IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キーエンスの特許一覧

特開2024-93417コロニー計数装置、制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093417
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コロニー計数装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
C12M1/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209785
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 高広
(72)【発明者】
【氏名】假屋 洸希
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB02
4B029CC07
4B029FA10
4B029GB06
(57)【要約】
【課題】コロニー計数装置において拡散度を切り替える際のユーザの負担を軽減する。
【解決手段】コロニー計数装置は、検査個体が載置される第一面と、第一面の裏面である第二面とを有し、第二面から第一面に光を透過可能なステージと、ステージの第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された検査個体の検査画像を生成する撮像部と、ステージの第二面から第一面へ検査光のビームが透過するように、第二面に向けて検査光を照射する面光源と、面光源と、ステージの第二面との間に配置され、検査光のビームの拡散度を調整する調光部と、制御部と、面光源から出力され、調光部で拡散度が調整された検査光のビームが照射された検査個体を、撮像部により撮像することで生成された検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部と、を有する。
【選択図】図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査個体が載置される第一面と、前記第一面の裏面である第二面とを有し、前記第二面から前記第一面に光を透過可能なステージと、
前記ステージの前記第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された前記検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記ステージの前記第二面から前記第一面へ検査光のビームが透過するように、前記第二面に向けて前記検査光を照射する面光源と、
前記面光源と、前記ステージの前記第二面との間に配置され、前記検査光のビームの拡散度を調整する調光部と、
少なくとも前記調光部を制御する制御部と、
前記面光源から出力され、前記調光部で拡散度が調整された前記検査光のビームが照射された前記検査個体を、前記撮像部により撮像することで生成された検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部と、
を有するコロニー計数装置。
【請求項2】
前記面光源は、当該面光源から出力される前記検査光の配光角を規制する配光角規制部を有する、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項3】
前記配光角規制部は、
前記面光源を形成する複数の発光素子の各々に対して配置される複数のライトガイドと、
前記複数のライトガイドの各々に対して配置される複数の絞りと、
を有する、請求項2に記載のコロニー計数装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、それぞれ半径が異なる複数の同心円のいずれか上に配置されている、請求項3に記載のコロニー計数装置。
【請求項5】
前記複数の同心円のうち半径の大きな同心円上に配置される複数の発光素子の配置間隔は、前記複数の同心円のうち半径の小さな同心円上に配置される複数の発光素子の配置間隔よりも狭い、請求項4に記載のコロニー計数装置。
【請求項6】
前記配光角規制部は、前記面光源と前記調光部との間に配置されたテレセントリックレンズを有する、請求項2に記載のコロニー計数装置。
【請求項7】
前記調光部は、第一拡散度と、第二拡散度との間で前記拡散度を切り替え可能であり、
前記第一拡散度は、前記第二拡散度よりも大きい、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項8】
前記撮像部は、前記調光部により前記検査光のビームの拡散度が前記第一拡散度に切り替えられることにより、前記検査個体を収容する容器の傷または前記検査個体に起因するノイズが低減された検査画像を生成する、請求項7に記載のコロニー計数装置。
【請求項9】
前記撮像部は、前記調光部により前記検査光のビームの拡散度が前記第二拡散度に切り替えられることにより、前記コロニーの輪郭が強調された検査画像を生成する、請求項7に記載のコロニー計数装置。
【請求項10】
前記検査画像を取得する際に前記調光部に設定された拡散度と、当該検査画像とを対応付けて記憶する記憶部をさらに有する、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記計数部による計数対象の前記検査画像として、前記調光部を制御して前記検査個体に第一拡散度の検査光が照射された状態で、前記撮像部を制御して第一検査画像を取得するとともに、前記調光部を制御して前記検査個体に前記第一拡散度よりも小さい第二拡散度の検査光が照射された状態で、前記撮像部を制御して第二検査画像を取得するように構成されており、
前記コロニー計数装置は、さらに、
前記第一検査画像と前記第一拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて記憶部に登録するとともに、前記第二検査画像と前記第二拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて前記記憶部に登録する登録部と、
前記第一検査画像と、前記第二検査画像と、の差分を算出することで、前記第一検査画像と前記第二検査画像との双方で明領域として観察される外乱の影響を抑制した外乱抑制画像を生成する画像処理部と、を有し、
前記計数部は、前記検査画像として、前記画像処理部により生成された前記外乱抑制画像に基づいて前記コロニーの数を計数する、請求項10に記載のコロニー計数装置。
【請求項12】
前記調光部は、電気的に拡散度を変更可能な拡散部材を有し、
前記制御部は、前記拡散部材の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項13】
前記調光部は、電気的に拡散度を変更可能な複数の拡散部材を有し、
前記制御部は、前記複数の拡散部材の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記拡散部材に印加される電圧を変化させることで、前記拡散部材の拡散度を変更する、請求項12または13に記載のコロニー計数装置。
【請求項15】
前記調光部は、
透光性を有する透明基板と、
前記透明基板の第一面に設けられた第一拡散フィルムと、
前記透明基板の第二面に設けられた第二拡散フィルムと、
を有し、
前記制御部は、前記第一拡散フィルムと前記第二拡散フィルムとのうちの少なくとも一方の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項16】
前記調光部は、
所定の拡散度を有する拡散部材と、
前記拡散部材を前記検査光の光路中に配置したり、前記拡散部材を前記光路中から退避させたりするよう前記拡散部材を移動するアクチュエータと、
を有し、
前記制御部は、前記アクチュエータを制御することで、前記検査光のビームの拡散度を変更する、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項17】
培地の種別ごとに拡散度の設定を受け付ける設定受付部と、
前記ステージに載置された前記検査個体の培地の種別の入力を受け付ける種別受付部と、
をさらに有し、
前記制御部は、前記種別受付部により受け付けられた前記検査個体の前記培地の前記種別に対応する拡散度を特定し、当該特定された拡散度に応じて前記調光部を制御するように構成されている、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項18】
前記検査個体を識別する識別情報と、前記検査個体に適用される前記調光部の拡散度に関する拡散度情報と、前記計数部により取得される前記コロニーの数と、を記録するカウント表を作成する作成部をさらに有し、
前記制御部は、
前記カウント表からセルの選択を受け付け、
前記受け付けたセルに対応する前記拡散度情報に基づき前記調光部の前記拡散度を制御するように構成されており、
前記計数部は、前記コロニーの数を前記受け付けたセルに書き込むように構成されている、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項19】
前記検査個体は、容器と、当該容器に収容され、菌が塗布された培地と、当該培地に滴下された薬剤と、を含み、
前記コロニー計数装置は、さらに、
前記検査画像から、前記薬剤が広がることで前記菌の周囲に形成される阻止円のサイズを演算する演算部をさらに有する、請求項1に記載のコロニー計数装置。
【請求項20】
検査個体を載置される第一面と、前記第一面の裏面である第二面とを有し、前記第二面から前記第一面に光を透過可能なステージと、
前記ステージの前記第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された前記検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記ステージの前記第二面から前記第一面へ検査光のビームが透過するように、前記第二面に向けて前記検査光を照射する面光源と、
前記面光源と、前記ステージの前記第二面との間に配置され、前記検査光のビームの拡散度を調整する調光部と、を有するコロニー計数装置の制御方法であって、
前記調光部に前記拡散度を設定することと、
前記面光源を点灯することと、
前記面光源から出力され、前記調光部で拡散度を調整され、前記ステージの前記第二面から入射して前記ステージの前記第一面から出射した前記検査光のビームが照射された前記検査個体を、前記撮像部により撮像することで検査画像を生成することと、
前記検査画像に含まれるコロニーの数を計数することと、
を有する制御方法。
【請求項21】
請求項20に記載の制御方法をコロニー計数装置に実行させる、プログラム。
【請求項22】
培地の種別ごとに拡散度の設定を受け付ける設定受付部と、
検査個体を載置されるステージと、
前記ステージに載置された前記検査個体の培地の種別の入力を受け付ける種別受付部と、
前記ステージに載置された前記検査個体に対して検査光を照射する照明部と、
前記照明部から照射された前記検査光が前記検査個体に至るまでの光路中に設けられ、前記照明部から照射された前記検査光の拡散度を調整する調光部と、
前記種別受付部により受け付けられた前記検査個体の前記種別に対応する拡散度を特定し、当該特定された拡散度に応じて前記調光部を制御する制御部と、
前記照明部から照射され、前記調光部を透過し、前記ステージに載置された前記検査個体を透過または前記検査個体で反射してきた検査光を受光し、当該検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記調光部を介して前記検査光が照射された前記検査個体について、前記撮像部により生成された前記検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部と、
を有するコロニー計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロニー計数装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を製造する工場ではコロニーカウンタを用いて菌が商品に混入しているかどうかが検査される。検査者は、シャーレ内に培地を形成し、培地に食品サンプルを投入し、所定期間にわたり培養器等で培養する。その後、検査者は、培養器からシャーレを取り出して、コロニーカウンタでコロニー(細菌の群体)をカウントする。このようにコロニーカウンタのカウント精度は食品の衛生管理上で重要である。特許文献1によれば、サンプルの上方にカメラが配置され、サンプルの下方に光源が配置されるコロニー計数装置において、ユーザが、培地の種類に応じて、光源とサンプルとの間に白色光散乱板を手動で挿入したり、除去したりことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-270840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ユーザは、菌を培養するための培地の種類に応じて、手動で、白色光散乱板をコロニー計数装置に挿し込んだり、コロニー計数装置から白色光散乱板を抜き取ったりする必要があり、ユーザビリティに欠けていた。そこで、本発明は、拡散度を切り替える際のユーザの負担を軽減できるコロニー計数装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
検査個体が載置される第一面と、前記第一面の裏面である第二面とを有し、前記第二面から前記第一面に光を透過可能なステージと、
前記ステージの前記第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された前記検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記ステージの前記第二面から前記第一面へ検査光のビームが透過するように、前記第二面に向けて前記検査光を照射する面光源と、
前記面光源と、前記ステージの前記第二面との間に配置され、前記検査光のビームの拡散度を調整する調光部と、
少なくとも前記調光部を制御する制御部と、
前記面光源から出力され、前記調光部で拡散度が調整された前記検査光のビームが照射された前記検査個体を、前記撮像部により撮像することで生成された検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部と、
を有するコロニー計数装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、拡散度を切り替える際のユーザの負担を軽減できるコロニー計数装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コロニー計数装置を示す図。
図2】ヘッド装置の構造を説明する図。
図3】ヘッド装置の電気的な構成を説明する図。
図4】制御装置の電気的な構成を説明する図。
図5】ユーザインタフェース(UI)を説明する図。
図6】サンプルデータベースからカウント表を作成するUIを説明する図。
図7】サンプル名の入力補助に関するUIを説明する図。
図8】新規にカウント表を作成するUIを説明する図。
図9】表計算ソフトのシートを説明する図。
図10】過去のカウント表を流用するためのUIを説明する図。
図11】統計処理の設定を容易化するUIを説明する図。
図12】統計処理の設定を容易化するUIを説明する図。
図13】親子関係に関するUIを説明する図。
図14】親子関係に関するUIを説明する図。
図15】列要素を追加するためのUIを説明する図。
図16】検査時のUIを説明する図。
図17】検査条件等を変更するUIを説明する図。
図18】カウントを指示する際のUIを説明する図。
図19】カウント結果をセルに登録する際のUIを説明する図。
図20】対象セルの自動特定を示すUIを説明する図。
図21】カウント結果の単位を切り替えるUIを説明する図。
図22】セルに表示する情報を切り替えるUIを説明する図。
図23】計数条件を再設定するUIを説明する図。
図24】ボタンへの機能の割り当ての遷移を説明する図。
図25】検査条件等を変更するためのUIを説明する図。
図26】過去に作成されたカウント表を呼び出すUIを説明する図。
図27】検査リストを説明する図。
図28】ユーザ認証札を説明する図。
図29】自由列のセルへ情報を登録するUIを説明する図。
図30】自由列のセルへ情報を登録するUIを説明する図。
図31】コード(シンボル)の読み取りUIを説明する図。
図32】シンボルのデコード結果を説明する図。
図33】レポートを説明する図。
図34】PCにより実行される処理を示すフローチャート。
図35】ヘッド装置により実行される処理を示すフローチャート。
図36】サンプルデータベースの編集を示すフローチャート。
図37】カウント表の編集を説明するフローチャート。
図38】カウント表の特定を説明するフローチャート。
図39】コロニーのカウント方法を説明するフローチャート。
図40】自由列のセルへ情報を登録する方法を説明するフローチャート。
図41】シャーレに付与された識別画像を説明する図。
図42】ヘッド装置の概略断面図。
図43】配光角規制板を有する同軸照明装置を説明する平面図。
図44】同軸照明装置の構造を説明する断面斜視図。
図45】ライトガイドを説明する図。
図46】一つの発光素子ごとの配光角を説明する。
図47】レンズにより所望の配光角を実現することを示す図。
図48】他の構造を採用した同軸照明装置を有するヘッド装置の概略断面図。
図49】低拡散度を説明する図。
図50】拡散板の構造を説明する図。
図51】機械的に実現される高拡散度を説明する図。
図52】機械的に実現される低拡散度を説明する図。
図53】拡散度が検査画像に及ぼす効果を説明する図。
図54】拡散度を設定するUIを説明する図。
図55】合成検査画像を説明する図。
図56】阻止円の計測方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
[コロニー計数装置]
図1はコロニー計数装置1を示している。なお、コロニー計数装置1は、ヘッド装置1aと、後述される制御装置(パーソナルコンピュータ(PC))1bとを含む。ヘッド装置1aとPC1bとは、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルで有線接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。
【0010】
ヘッド装置1aは、上部ユニット2、支持ユニット3および下部ユニット4を有している。ヘッド装置1aの内部には、カメラおよび照明装置が設けられている。支持ユニット3は、上部ユニット2と下部ユニット4との間に存在し、上部ユニット2を支持している。下部ユニット4の頂面にはステージ5が設けられている。ステージ5は、シャーレ15が載置される透過窓6と、透過窓6の中央にシャーレ15を位置決めするための位置決め部材7とが設けられている。下部ユニット4の正面には、操作部8とフロントカメラ10が設けられている。操作部8は、ユーザが指示を入力するための複数のスイッチ(例:第一ハードウエアボタン8a、第二ハードウエアボタン8b、第三ハードウエアボタン8c)などを含む。フロントカメラ10は、オプションであり、たとえば、二次元シンボル(バーコード)などを読み取る。フロントカメラ10は、ヘッド装置1の筐体の前面に設けられた凹部4aに、配置されている。切替レバー10aは、フロントカメラ10の向きを前方または下方に切り替えるためのレバーである。下部ユニット4の側面には電源スイッチ9が設けられている。
【0011】
図2はヘッド装置1aの断面図である。上部ユニット2の下面付近には、落射照明を行うためのリング照明装置12が配置されている。落射照明とは、検査個体で反射した光を受光することで検査個体を観察するための照明手法である。リング照明装置12の上方にはメインカメラ11と光学系16とが配置されている。透過窓6の下方にもリング照明装置13が配置されている。リング照明装置13のさらに下方には、同軸照明(全射照明)を行う同軸照明装置14が配置されている。同軸照明(全射照明)は、透過照明とも呼ばれ、検査個体を透過してきた光を受光することで検査個体を観察する手法で利用される。リング照明装置12は、リング状に並べられた複数の発光素子12aと、複数の発光素子12aから出力される光を拡散する拡散板12bとを有している。同時に点灯する発光素子12aを選択することで、照明方向が自在に変更可能となっている。これは、それぞれ異なる方向から照明された検査個体(食品サンプル)を撮像して取得された複数の検査画像を合成する際に役立つであろう。リング照明装置13は、リング状に並べられた複数の発光素子13aと、反射板13bと、拡散板13cとを有している。反射板13bは、複数の発光素子13aから出力された光を拡散板13cに向けて反射する。
【0012】
拡散板13cは、反射板13bからの光を均一に拡散する。拡散板13cは、拡散度を電気的に調整可能な拡散部材であってもよい。拡散板13cの下方には第二の拡散板13dが設けられている。拡散板13dは、拡散度が一定の拡散部材である。
【0013】
複数の発光素子13aのうち同時に点灯する発光素子13aを選択することで、照明方向が自在に変更される。同軸照明装置14は、同心円状またはアレイ状に並べられた複数の発光素子14aを有する。このように複数のタイプの照明装置を設け、食品サンプルと培地との組み合わせごとに適切な照明装置を選択することで、コロニーの個数を正確にカウントすることが可能となろう。
【0014】
下部ユニット4は、ステージ5を指示する、金属製の前方柱4bと後方柱4dとを有している。前方柱4bの一部は、ギリシャ文字のηを逆さまにしたような断面形状を有している。つまり、前方柱4bは、ユーザが指を挿入可能で、かつ、把持部として機能する凹部4cを有している。凹部4cは前方柱4bに設けられていることから、ユーザが凹部4cに手を入れてヘッド装置1aを持ち上げても、ヘッド装置1aが歪みにくい。よって、ユーザは、安定的にヘッド装置1aを運ぶことができる。
【0015】
図3はヘッド装置1aの電気的構成を示している。MCU20は、記憶装置25に記憶されている制御プログラム27を実行し、制御プログラム27にしたがってヘッド装置1aを制御するプロセッサである。なお、MCUはマイクロコントローラユニットの略称である。MCU20は撮像制御部21を介してメインカメラ11およびフロントカメラ10を制御し、様々な画像データを取得する。撮像制御部21は、たとえば、メインカメラ11の露光時間などを制御する。MCU20は、照明制御部22を介してリング照明装置12、13および同軸照明装置14を点灯させたり、消灯させたりする。照明制御部22は、リング照明装置12、13および同軸照明装置14に供給される駆動電力を制御する。MCU20は、操作受付部23を介して操作部8から入力されるユーザ入力を受け付ける。操作受付部23は、操作部8のスイッチ部の状態を示す信号を生成する入力回路などを含む。通信回路24は、通信ケーブル26を介して、図4に示されるPC1bと通信する回路である。通信回路24は、無線通信回路およびLANインタフェース回路を含んでもよい。LANはローカルエリアネットワークの略称である。通信ケーブル26は、たとえば、USBケーブルであってもよい。記憶装置25は、たとえば、制御プログラム27を記憶するリードオンリメモリ(ROM)と、ワークエリアとして利用されるランダムアクセスメモリ(RAM)とを含む。記憶装置25は、たとえば、PC1bにより設定された検査条件28と、メインカメラ11により取得された検査画像29などを記憶してもよい。検査条件28は、たとえば、照明条件や撮像条件、カウント条件などを含みうる。検査画像29は、培地およびサンプルを含むシャーレ15の画像である。
【0016】
調光制御部13zは、MCU20からの命令にしたがって拡散板13cの拡散度を電気的に制御する。
【0017】
図4は、ヘッド装置1aを制御するPC1bを示す。MCU30は、記憶装置35に記憶されたプログラムを実行し、プログラムにしたがってPC1bおよびヘッド装置1aを制御するプロセッサである。MCU30は、入出力回路31に接続されたキーボード32およびポインティングデバイス33からユーザの指示を受け付ける。MCU30は、入出力回路31に接続されたプリンタ38を制御し、表などを紙に印刷する。MCU30は、グラフィクスボードなどの表示制御部36を介して、表示装置37に様々な情報を表示する。通信回路34は、通信ケーブル26を介して、ヘッド装置1aと通信する回路である。通信回路34は、無線通信回路およびLANインタフェース回路を含んでもよい。記憶装置35は、たとえば、プログラムを記憶するリードオンリメモリ(ROM)と、ワークエリアとして利用されるランダムアクセスメモリ(RAM)とを含む。さらに、記憶装置35は、ハードディスクドライブ(HDD)およびソリッドステートドライブ(SSD)を含んでもよい。記憶装置35は、アプリケーションプログラム39、検査条件28、検査画像29、サンプルDB40およびカウント表55などを記憶してもよい。DBはデータベースの略称である。アプリケーションプログラム39は、たとえば、サンプルDB40およびカウント表55の作成・編集、ヘッド装置1の制御などを担当する。検査条件28は、アプリケーションプログラム39にしたがって、MCU30により設定される。検査画像29はヘッド装置1から受信される。サンプルDB40は、カウント表55を作成する際に参照されるデータベースである。カウント表55は、複数のセルがアレイ状に配置された表であり、行要素と列要素とを含む。
【0018】
PC1bは、通信回路34は、スマートフォンやタブレット端末などの端末装置1cと無線通信を実行してもよい。端末装置1cは、カウント表55を表示したり、カウント表55から作成された検査リストを表示したりしてもよい。検査リストは、シャーレ番号、サンプル名、菌種、培地、希釈倍率、培養時間などを含み、ユーザが検査個体をシャーレ15に準備する際に参照される。
【0019】
[検査手順]
一般的な検査手順は以下のとおりである。
(1)ユーザは、手書きで検査リストを作成する。検査リストは、複数の行を含み、各行は、シャーレ番号、菌種、希釈倍率、カウント数、コメント(サンプル品名など)を書き込み可能となっている。なお、ここでシャーレ番号とは、培地の種類や希釈倍率などの培養条件を特定するために予め所定のルールで割り当てられた識別情報である。
(2)ユーザは、検査リストにしたがってシャーレのふたに番号を書き込むか、または、シャーレに予め書き込まれた番号を検査リストに書き込む。
(3)ユーザは、検査リストに書き込まれている希釈倍率にしたがって培地を作成する。検査リストに希釈倍率が書き込まれていなければ、ユーザは、実際の希釈倍率を検査リストに書き込む。
(4)ユーザは、各シャーレの培地にサンプルを投入(混釈)する。ユーザは、検査リストのコメント欄にサンプル名を書き込む。
(5)ユーザは、培養器にシャーレを投入する。
(6)所定時間が経過すると、ユーザは、培養器からシャーレを取り出して、コロニーの個数をカウントする。たとえば、ユーザは、シャーレの底面側からコロニーを透かし見ながら、コロニーの位置に油性ペンでカウント済みのマークを付与して行く。コロニーの個数は検査リストに書き込まれる。なお、ユーザは、目視で菌種を確かめながら、菌種ごとのコロニーの個数をカウントしてもよい。この場合、ユーザは、各シャーレについて菌種ごとのコロニーの個数を検査リストに書き込む。
(7)ユーザは、PCを起動し、検査リストに書き込まれている数値および文字を読み取りながら、表計算ソフトウエアに、入力する。表計算ソフトウエアのマクロ機能などを使用して、コロニーの個数が集計される。
【0020】
このように、従来の検査手順では、手書きで検査リストが作成されており、これはユーザにとって非常に面倒な作業であった。また、検査リストに書き込まれた数値等を表計算ソフトウエアのシートに転記する際に誤入力があると、集計結果も誤ってしまう可能性があった。仮に、コロニーの個数をコロニーカウンタによって自動的に取得できたとしても、依然として、従来手法では、検査リストの作成と、コロニー個数の検査リストへの書き込みと、検査リストから表計算ソフトウエアのシートへの転記は、いずれも手書きであり、誤記入および誤入力の可能性があった。
【0021】
そこで、本実施例では、PC1bにより電子的な検査リストを作成し、電子的な検査リストにしたがってコロニーを計数し、当該計数結果を電子的な検査リストに直接入力し、入力された個数を集計することが提案される。これにより、コロニーの計数結果についての事後処理に関するユーザの負担が軽減されるだろう。また、ユーザによる手書き、または、手入力が減少するため、誤入力も減少し、検査精度も向上するであろう。
【0022】
[検査リスト(カウント表)の作成]
図5は、PC1bの表示装置37に表示されるカウントアプリケーションプログラムのUI50を示している。カウントアプリケーションプログラムは記憶装置35に記憶されており、MCU30により実行される。UI50は、カウントアプリケーションプログラムが有している複数の機能を切り替えるためのボタン、リンクまたはタブなどを有している。
【0023】
UI50は、表作成領域51と、DB表示領域61とを有している。DBはデータベースの略称である。表作成領域51は、少なくともカウント表55を表示する。タイトル表示部52は、カウント表55に付与されたタイトル(名称)の入力をキーボード32から受け付けて表示する。ボタン53は各セルのカウントの実施/非実施を切り替えるボタンである。ボタン54は、カウント表55に列を追加することを指示するボタンである。平均化設定部56は、カウント結果の平均化を実行するかどうかを指示するためのチェックボックスと、平均化の対象となるカウント値の数(=カウントの反復回数)の選択部と、を有する。
【0024】
DB表示領域61は、予め登録されたカウント項目のひな型の一覧(例:サンプルDB40)を表示する。ここで、カウント項目とは、カウント表55における一行に相当する。カウント項目は、通常、検査対象物の名称(サンプル名)により区別される。名称表示部62は、予め登録されているひな型の名称(サンプル名)を表示する。インジケータ63は、サンプル名に対して関連付けられている分類タグを視覚的に表示するオブジェクトである。分類タグとは、ユーザによって定義された分類(例:主食、総菜、デザート)を示すタグである。たとえば、インジケータ63は、色の違いによって分類タグの違いを表現してもよい。インジケータ63は、インジケータ63の形状の違いによって分類タグの違いを表現してもよい。ボタン67は、あるサンプル名に対して親子関係にある1つ以上のサブ項目を展開して表示するためのボタンである。親子関係とは、あるサンプルと、そのサンプルを構成する複数の具材との関係をいう。たとえば、サンドイッチを親とすると、サンドイッチを構成する具材(例:ハム、レタス、玉子)は子となる。ボタン64は、対応するひな型をカウント表55に追加することを指示するボタンである。このように予めサンプルDB40を用意しておくことで、ユーザは、カウント表55を容易に作成できるようになる。
【0025】
図5に示された事例では、ユーザがサンドイッチに関連付けられたボタン64を押すと、MCU30は、カウント表55に一行を追加し、追加された行のID表示セルにIDとして"1"を表示し、追加された行においてサンプル名を表示するセルに「サンドイッチ」を表示する。IDは識別情報の略称である。すなわち、IDやサンプル名は行単位で設定されるものであり、「行に対する設定」である。さらに、MCU30は、サンプルDB40に登録されているサンドイッチの検査条件を記憶装置35から読み出し、カウント表55に新規の列を追加し、新規の列に、読み出した検査条件を表示する。この例では、検査条件は、菌種(例:一般生菌/大腸菌)、培地の希釈倍率、サンプルの培養時間などを含んでいる。各列は、たとえば、菌種のセル、希釈倍率のセル、培養時間のセルおよびカウント値のセルを含む。すなわち、菌種や希釈倍率、培養時間は列単位で設定されるものであり、「列に対する設定」である。この例では、まだ、検査の実行前であり、カウント値が入手されていないため、カウント値のセルには何も入力されていない。サンドイッチについての一つ目の検査項目は、一般生菌について希釈倍率として100倍の培地を使用し、培養時間として48時間が適用されることである。サンドイッチについての二つ目の検査項目は、一般生菌について希釈倍率として1000倍の培地を使用し、培養時間として48時間が適用されることである。このように、MCU30は、検査項目の個数に応じて列を追加する。
【0026】
図6は、ユーザがキムチに関連付けられたボタン64を押すと、MCU30は、サンプルDB40に登録されているキムチの検査条件を記憶装置35から読み出し、読み出された検査条件に対応する行と列をカウント表55に追加する。
【0027】
この例で、キムチは、二つの検査項目を有している。キムチについての一つ目の検査項目は、一般生菌について希釈倍率として100倍の培地を使用し、培養時間として48時間が適用されることである。これは、サンドイッチについての一つ目の検査項目と共通している。そのため、MCU30は、キムチのひな型に含まれている一つ目の検査項目を破棄し、新規の列として追加しない。キムチについての二つ目の検査項目は、大腸菌について希釈倍率として100倍の培地を使用し、培養時間として24時間が適用されることである。MCU30は、これを新規の列としてカウント表55に追加する。
【0028】
なお、サンドイッチについては大腸菌に関する検査は実行されない。そのためカウント値のセルには「非検査」を示す文字または画像が表示されてもよい。同様に、キムチについては一般生菌について希釈倍率として1000倍の培地を使用する検査は実行されない。そのため、カウント値のセルには「非検査」を示す文字または画像が表示されてもよい。
【0029】
なお、カウントの実施・非実施はカウント反転ボタン53の操作により実行することもできる。サンドイッチについて、大腸菌に対応するセルを選択した状態で、カウント反転ボタン53が操作されると、MCU30は、「非検査」を示す文字または画像を表示するか、カウント結果を入力するために空欄とするのかを切り替えることができてもよい。
【0030】
図5および図6が示すように検索ボックス65やタグ検索絞り込みボタン66が追加されてもよい。サンプルDB40に登録されているひな型の個数が多くなると、DB表示領域61は、一度にすべてのひな型を表示することができなくなる。そこで、MCU30は、検索ボックス65に入力された文字に基づき記憶装置35から検索してひな型を抽出し、DB表示領域61に検索結果を表示してもよい。また、タグ検索絞り込みボタン66が押されると、MCU30は、指定した分類タグでフィルタされたサンプル品だけを表示してもよい。たとえば、複数のサンプル品に対して同じ分類タグが付与されていてもよい。この場合、選択された分類タグが付与されている複数のサンプル品をカウント表55へ追加する。
【0031】
図7は、新規の行を追加する別の手順を示している。ユーザは、新規の行におけるサンプル名表示セルをポインタ57で選択し、キーボード32を通じてサンプル名を先頭の文字から順番に入力して行く。MCU30は、入力された一以上の文字でサンプルDB40を検索し、入力候補となるサンプル名を候補表示部58に表示する。この例では、サンプル名表示セルに「ミックス」が入力されたため、MCU30は「ミックス」をサンプル名として含むひな型を検索し、「ミックスジュース」を発見し、候補表示部58に「ミックスジュース」を表示する。ここで、ユーザが、ポインタ57によって候補表示部58に表示された「ミックスジュース」を選択すると、MCU30は、ミックスジュースの検査条件を記憶装置35から読み出し、読み出された検査条件に応じて列を追加する。これにより、ミックスジュースのセルに検索条件が関連付けられることになる。
【0032】
図8は、新規にカウント表を作成する場合のUI50を示している。たとえば、MCU30は、アプリケーションプログラム39と並行して表計算ソフトウエアを起動することができる。
【0033】
図9は、表計算ソフトウエアのシート70を示している。MCU30は、表計算ソフトウエアにおいて選択されたシート70またはセル群について、UI50へのコピーペーストの指示を受け付ける。これにより、MCU30は、図6に示されたカウント表55を作成してもよい。
【0034】
図10は、すでにカウント値が入力されたカウント表82を呼び出して新規のカウント表55を作成する手順を説明する図である。MCU30は、検索ボックス65に入力されたファイル名に対応するファイルを記憶装置35から読み出し、そのファイルの属性を属性表示部80に表示してもよい。MCU30は、表作成領域51に、読み出されたカウント表82を表示する。図10が示すように、カウント値のセルにはカウント値が入力済みである。MCU30は、新規作成ボタン81が押されたことを検知すると、読み出されたカウント表82を構成しているカウント値のセルに入力されているカウント値をすべて削除し、新規のカウント表55を作成する。図11は、すでにカウント値が入力されたカウント表82から作成された新規のカウント表55を示している。カウント値を削除する代わりに、カウント値が0にリセットされてもよい。
【0035】
なお、MCU30は、複数のカウント表82をマージして一つのカウント表55を作成してもよい。この場合、MCU30は、複数のカウント表82を分析し、重複する行と列を削除し、新規のカウント表55を作成する。
【0036】
図12は、平均化を含むカウント表55の作成方法を説明するための図である。この例では、平均化がまだ適用されていないため、一つのサンプル名について一つの行が設けられている。この状態で平均化設定部56がチェックされ、反復回数として「2」が選択されると、MCU30は、図11に示されたUI50を表示する。図11が示すように、反復回数が「2」であることから、MCU30は、各サンプル名に関連付けられたカウント値の入力行を三つの行に分割するとともに、反復回数を示す列を追加する。この例では、三つの行のうち、一つ目の行は1回目の検査で取得されたカウント値が入力されるセルを有する。二つ目の行は2回目の検査で取得されたカウント値が入力されるセルを有する。三つ目の行は1回目の検査で取得されたカウント値と、2回目の検査で取得されたカウント値との平均値が入力されるセルを有する。このように、MCU30は、反復回数に応じて、カウント値が入力されるセルと平均値が入力されるセルとをカウント表55に追加してもよい。
【0037】
図13は、複数のサンプル間の親子関係の一例を示す。この例では、サンドイッチのインジケータ63が押されると、MCU30は、サンドイッチと親子関係を有する具材である「ハム」と「レタス」を選択可能にDB表示領域61に表示する。この状態で、「ハム」または「レタス」のボタン64が押されると、MCU30は、「ハム」または「レタス」の検査項目を記憶装置35から読み出し、カウント表55に追加する。図14は、「ハム」および「レタス」の各検査項目が記憶装置35から読み出されて、カウント表55に追加されたことを示す。親子関係を有するサンドイッチ、ハムおよびレタスが一括して登録されてもよい。たとえば、サンドイッチに関連付けられたボタン64が押されると、サンドイッチ、ハムおよびレタスがカウント表55に一括して登録されてもよい。
【0038】
図15は、列を追加するためのダイアログ90を示している。UI50に設けられたボタン54が押されると、MCU30は、ダイアログ90を表示装置37に表示する。項目名設定部91は、列の項目名である菌種の名称の入力を受け付ける。列タイプ設定部92は、列のタイプがカウント列であるか、または、自由列であるかの設定を受け付ける。カウント列とは、カウント値が入力されるセルを含む列である。自由列とは、備考やコメントなど、ユーザが自由にテキスト、画像、その他の情報を入力可能な列である。希釈倍率設定部93は、希釈倍率の入力を受け付ける。培養時間設定部94は、培養時間の入力を受け付ける。アルゴリズム設定部95は、検査画像に適用される画像処理の設定を受け付ける。残渣除去とは、シャーレ15などに付着した残渣(例:ゴミ、汚れ、手書き)を画像処理によって低減するモードである。迅速モードとは、迅速な結果の確認を重視したモードであり、従来よりも短い培養時間で培養されたシャーレ15を高感度で検査するモードである。培地タイプ設定部96は、培地の種類(例:一般生菌(白)、一般生菌(黒))などの選択を受け付ける。なお、一覧ボタン96aが押されると、MCU30は、記憶装置35から培地タイプの候補を読み出してリストを作成して表示装置37に表示してもよい。カウント設定部97は、メインカメラ11の撮影条件(例:露光時間)、照明の種類(例:明るさ、照明装置)、表示処理の種類、画像処理の種類などの設定を受け付ける。すなわち、ダイアログ90で受け付けられた菌種、希釈倍率、培養時間、アルゴリズム設定、培地タイプ、またはカウント設定は、デフォルトの設定として列ごとに設定される。
【0039】
後述されるように、カウント設定部97の照明ボタンを押すことで、照明の種類の選択、明るさの設定、拡散度の設定等を受け付けるUIが表示装置37に表示されてもよい。
【0040】
また、記憶装置35は、培地タイプの候補に紐づけられた複数の拡散度を記憶していてもよい。この場合、MCU30は、選択された培地に紐づけられた拡散度を記憶装置35から読み出して取得することができる。
【0041】
[カウント処理]
図16は、PC1bからヘッド装置1aを制御してカウント処理を実行中にPC1bの表示装置37に表示されるUI100を示している。カウント表領域101は、UI50を通じて編集されたカウント表55を表示する領域である。結果領域102は、ヘッド装置1aのメインカメラ11により取得された検査画像103を表示する領域である。なお、検査画像103は、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。一般に、メインカメラ11の露光時間の調整、リング照明装置12、13および同軸照明装置14の明るさ、点灯すべき発光素子の選択、画像処理の選択などを実行する際は、MCU30は、メインカメラ11により動画像を取得して、結果領域102に表示する。一方で、カウント処理を実行する際には、MCU30は、メインカメラ11により静止画像を取得して、結果領域102に表示する。
【0042】
チェックボックス106は、カウント値領域104にカウント結果を表示するかどうかを選択するためのコントロールオブジェクトである。第一ソフトウエアボタン105aは、第一ハードウエアボタン8aと同一の機能を有するボタンである。第二ソフトウエアボタン105bは、第二ハードウエアボタン8bと同一の機能を有するボタンである。この例では、第一ソフトウエアボタン105aには撮影の指示(撮影ボタン)が割り当てられている。第二ソフトウエアボタン105bには登録の指示(登録ボタン)が割り当てられている。図15においては、第二ソフトウエアボタン105bが破線で示されているが、これは操作不可能であることを意味する。
【0043】
ユーザは、カウント表領域101に表示されたカウント表に含まれる複数のセルのうち、ステージ5にセットしたシャーレ15に対応するセルをポインタ57によりクリックして選択する。図16に示すように、どのセルがユーザにより選択されたかが分かるように、ポインタ57により選択されたセルは、強調して表示されてもよい。各セルには、予め検査条件(コロニーを二値化する際の感度、照明装置の種類、明るさなど)が関連付けられて記憶装置35に保存されている。MCU30は、選択されたセルに関連付けられている検査条件を記憶装置35から読み出して、ヘッド装置1aに送信する。ヘッド装置1aのMCU20は受信された検査条件にしたがってメインカメラ11、リング照明装置12、13、および同軸照明装置14を制御し、画像を取得して、PC1bへ送信する。なお、別のセルが選択されると、MCU30は、選択されたセルに関連付けられている検査条件を記憶装置35から読み出して、ヘッド装置1aに送信する。ヘッド装置1aのMCU20は受信された検査条件にしたがってメインカメラ11、リング照明装置12、13および同軸照明装置14を制御し、画像を取得して、PC1bへ送信する。このように、ユーザは、セルを選択することで、検査条件を変更することができる。
【0044】
図17は、設定タブまたは設定ボタンをポインタ57にクリックすることで表示される検査条件の確認画面110を示す。これにより、ユーザは、各セルごとの検査条件を確認することができる。なお、セルをポインタ57により右クリックすることで、確認画面110が表示されてもよい。確認画面110に表示される情報としては、たとえば、サンプル名、培地の種類、希釈倍率、培養時間、シャーレ番号、コメント、撮影設定(落射照明のオンオフ、照明装置の種類、落射照明の明るさ、透過照明の明るさ、画像処理(ハイダイナミックレンジ"HDR"のオンオフ、リング除去のオンオフなどのカウント設定)などである。図17において、「上リング」とはリング照明装置12の略称である。「下リング」とはリング照明装置13の略称である。「全射」とは同軸照明装置14の略称である。ここで、MCU30は、菌種、希釈倍率、培養時間、アルゴリズム設定、培地タイプ、または撮影設定(カウント設定)について、図15に示すダイアログ90上で、列単位で、デフォルト値を設定するが、図17の確認画面110上で、各セルに対して個別に設定してもよい。
【0045】
確認画面110は、拡散度を選択するためのプルダウンリスト、チェックボックスまたはラジオボタンを有していてもよい。あるいは、MCU30は、確認画面110で選択された培地の種類に紐づけられている拡散度を記憶装置35から読み出してセルに関連づけてもよい。確認画面110において拡散度が変更されると、MCU30は変更後の拡散度を調光制御部13zに設定し、調光制御部13zに拡散板13cの拡散を変更される。変更後の拡散度で拡散された検査光は検査個体に照射され、メインカメラ11により撮像される。メインカメラ11により生成された検査画像103は、結果領域102に表示される。これにより、ユーザは、検査画像103を観察しながら、どの拡散度が適切かを判断できる。
【0046】
なお、セルに対してダブルクリックなどの特定の入力を受け付けることで、当該セルに対応する設定を一覧表示した確認画面110がUI100上に重畳して表示されてもよい。また、ポインタ57によりセルが選択されると、MCU30は、当該セルに対応する設定をUI100上に表示するようにしてもよい。
【0047】
図18は、撮影ボタンである第一ソフトウエアボタン105aまたは第一ハードウエアボタン8aが押されると、MCU30が表示装置37に表示するUI100を示している。結果領域102には、シャーレ15の画像103(静止画像)が表示される。MCU30は、第一ソフトウエアボタン105aを撮影ボタンからカウントを指示するボタン(カウントボタン)に割り当てる。
【0048】
図19は、カウントボタンである第一ソフトウエアボタン105aまたは第一ハードウエアボタン8aが押されると、MCU30が表示装置37に表示するUI100を示している。カウントボタンが押されると、MCU30は、ヘッド装置1aにコロニーのカウントを指示する。ヘッド装置1aのMCU20はカウント指示にしたがってコロニーをカウントし、カウント値をPC1bへ送信する。なお、カウント処理はMCU30により実行されてもよい。MCU30は、カウント値をカウント値領域104に表示する。この際には、MCU30は、カウント値をCFU/mL(単位体積(ミリリットル)あたりのコロニーの個数)に変換してカウント値領域104に表示してもよい。たとえば、カウント値領域104をポインタ57でクリックするごとに、MCU30は、カウント値のみ、CFU/mLのみ、カウント値+CFU/mLと順番に表示を切り替えてもよい。なお、CFUはコロニー形成単位の略称である。また、カウント値が取得されると、MCU30は、第一ソフトウエアボタン105aをカウントボタンから撮影ボタンに割り当て直す。さらに、MCU30は、登録ボタンに割り当てられている第二ソフトウエアボタン105bおよび第二ハードウエアボタン8bを操作不可能状態から操作可能状態に変更する。
【0049】
図20は、登録ボタンが押された状態を示している。MCU30は、現在選択中のセルに対してカウント値を書き込み、次のセルを選択中(注目セル)に変更してもよい。この例では、1行目のセルから2行目のセルに注目セル(アクティブセル)が変更されている。このように、MCU30が自動的に次のセルを選択することで、ユーザの負担が軽減される。なお、MCU30は、登録ボタンに割り当てられている第二ソフトウエアボタン105bおよび第二ハードウエアボタン8bを操作可能状態から操作不可能状態に戻す。
【0050】
図20に示されているUI100は、セルの表示対象の変更メニュー109を有している。図20では、変更メニュー109において「カウント数」が選択されているため、セルには、「100」が表示されている。
【0051】
図21が示すように、ユーザが変更メニュー109において「CFU/mL」を選択すると、MCU30は、セルの表示対象を「カウント数」から「CFU/mL」に変更する。これにより、ユーザは容易にセルの表示対象を切り替えることができる。
【0052】
図22が示すように、ユーザが変更メニュー109において「コメント」を選択すると、MCU30は、セルの表示対象を「コメント」に変更する。これにより、ユーザは容易にセルの表示対象をコメントに切り替えることができる。また、このUI100においても、ユーザは、図22に示すように「コンタミ発生」などのコメントを直接入力できる。ここで、コメントとは、カウント表の一行に含まれる備考などである。
【0053】
図23は、カウント値が入力済みであるセルをダブルクリックされると、MCU30が表示装置37に表示するUI100を示している。設定画面120は、ダブルクリックにより選択されたセルに関連付けられている検査条件のうちコロニーの検出アルゴリズムに関するパラメータを調整するためのコントロールオブジェクトを含む。スライドバー121は、たとえば、小粒子を画像処理により除去するための閾値を設定するためのコントロールオブジェクトである。スライドバー122は、コロニーの検出感度を調整するためのコントロールオブジェクトである。
【0054】
MCU30は、結果領域102に表示された画像103において、コロニーとして検出された部分にサークルなどのマークを重畳表示してもよい。スライドバー121、122の調整に応じて、MCU30がアルゴリズムを変更するため、コロニーを示すマークの位置と個数も変化する。これにより、ユーザは、適切な調整量を見出しやすくなるであろう。
【0055】
[ボタンの割り当て]
図24は、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)と、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)に割り当てられる機能の一例を示している。
【0056】
カウント表の状態が「カウント表が表示されている」状態であり、画像103が動画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値未入力であれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)にはカウントボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作不可能)が割り当てられる。
【0057】
カウント表の状態が「カウント表が表示されている」状態であり、画像103が動画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値入力済みであれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)にはカウントボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作不可能)が割り当てられる。
【0058】
カウント表の状態が「カウント表が表示されている」状態であり、画像103が静止画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値未入力であれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)には撮影ボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作可能)が割り当てられる。なお、撮影ボタンは、撮りなおしボタンと呼ばれてもよい。
【0059】
カウント表の状態が「カウント表が表示されている」状態であり、画像103が静止画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値入力済みであれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)には撮影ボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作不可能)が割り当てられる。
【0060】
カウント表の状態が「カウント表が表示されていない」状態であり、画像103が動画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値未入力であれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)にはカウントボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作不可能)が割り当てられる。
【0061】
カウント表の状態が「カウント表が表示されていない」状態であり、画像103が動画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値入力済みであれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)にはカウントボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作不可能)が割り当てられる。
【0062】
カウント表の状態が「カウント表が表示されていない」状態であり、画像103が静止画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値未入力であれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)には撮影ボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には登録ボタン(操作可能)が割り当てられる。
【0063】
カウント表の状態が「カウント表が表示されていない」状態であり、画像103が静止画像であり、かつ、アクティブセルの状態がカウント値入力済みであれば、第一ハードウエアボタン8a(第一ソフトウエアボタン105a)には撮影ボタンが割り当てられ、第二ハードウエアボタン8b(第二ソフトウエアボタン105b)には再登録ボタン(操作可能)が割り当てられる。
【0064】
図17図23が示すように、カウント表の状態が「カウント表が表示されていない」状態では、カウント表に代えて、検査条件を変更可能なUIが表示されている。したがって、検査条件が変更されると、カウント値も変化するため、ユーザには、変化後のカウント値をアクティブセルに書き込む(再登録)するかどうかをMCU30が問い合わせることになる。
【0065】
「カウント表が表示されていない」状態は、カウント結果が入力されたカウント表が表示され、かつ、カウント結果を再編集可能な状態であってもよい。図25は、再編集のための編集タブ124が設けられたUI100を示している。図24に表示された「カウント表が表示されていない」状態は、カウント結果が入力されたカウント表が表示され、かつ、編集タブ124がクリックされた状態であってもよい。図25において検査条件タブ123は、図17に示された検査条件の確認画面110を表示するためのタブである。上述されたように、確認画面110において照明やメインカメラ11の設定が変更可能となっている。
【0066】
このように結果領域102に動画像が表示されているときにカウントボタンが押されると、動画像が静止画像に変更され、カウント結果が表示され、登録ボタンが操作可能となる。静止画像が表示されているときに登録ボタンが押されると、カウント結果がアクティブセルに書き込まれ、結果領域102は動画像を表示する状態に戻る。一度登録されたカウント結果が変更され、再登録ボタンが押されると、変更されたカウント結果がカウント表に上書きされ、結果領域102は動画像を表示する状態に戻る。結果領域102が静止画像を表示しているときに、撮影ボタン(撮りなおしボタン)が押されると、結果領域102は動画像を表示する状態に戻る。
【0067】
[カウント表の特定方法]
ユーザは、シャーレ15で菌を培養したり、コロニーをカウントしたりする際にカウント表を見ることになる。ここで、カウント表を作成された日と、カウント表を目視して準備作業およびカウント作業を実行する日と、が異なっている場合がある。この場合、ユーザは、所望のカウント表を記憶装置35から読み出して表示装置37に表示させる必要がある。
【0068】
図26は、カウント表などのファイルを呼び出すファイルUI200を示している。ボタン210は、呼び出す対象としてカウント表を指定するためのボタンである。ファイルリスト211は、記憶装置35に記憶されたファイルを一覧212として表示する領域である。ボタン210が押されると、MCU30は、複数のファイルのうちカウント表に特有の拡張子を有するファイルのみをファイルリスト211に表示する。一覧212は、ID(通し番号)、タイトル、最終更新日、カウントが済んでいるかどうか、その他の情報を含む。
【0069】
検索ボックス213は、一覧212に含まれる複数のファイルからさらに所望のファイルを検索するためのキーワードを入力されるボックスである。ボタン214は、カウント表を紙に印刷することで作成された検査リストに付与されている識別画像を読み取るためにフロントカメラ10を起動することを指示するためのボタンである。開くボタン215は、一覧212から選択されたカウント表を開くことを指示するボタンである。
【0070】
図27は、検査リスト220を示している。MCU30は検査リスト220をプリンタ38から出力してもよいし、端末装置1cの表示装置に出力してもよい。検査リスト220は、対応するカウント表55から作成されたリストである。カウント表55における情報の並ぶ順序と検査リスト220における情報の並ぶ順序とは異なっていてもよいし、一致していてもよい。検査リスト220は、表示装置37に表示されるカウント表55と同じであってもよい。また、検査リスト220にはカウント結果を記入する必要が無いため、カウント結果を記入するためのセルが省略されていてもよい。さらに、ユーザが検査リスト220を培養サンプルの準備に用いる場合、培養時間は必ずしも必要ではない。そのため、培養時間のセルが省略されていてもよい。検査リスト220は、各カウント表を識別するための識別情報として一次元シンボルや二次元シンボルなどの識別画像221を付与されていてもよい。識別画像221は、ユーザの識別情報を含んでいてもよい。
【0071】
図26に示されたボタン214が押されると、MCU30は、ヘッド装置1aにフロントカメラ10の起動を指示する。ヘッド装置1aのMCU20は、フロントカメラ10を起動し、識別画像221の読み取りを試行する。識別画像221は単にシンボルと呼ばれてもよい。この際にユーザは、フロントカメラ10に識別画像221を読み取らせるよう、検査リスト220の位置をフロントカメラ10に対して合わせる。MCU20は、識別画像221の読取に成功すると、識別画像221から識別情報を復号(デコード)して、PC1bへ送信する。MCU30は、ヘッド装置1aから受信された識別情報に関連付けられているカウント表を記憶装置35から読み出す。
【0072】
図28は、ユーザが身に着けるユーザ認証札230を示している。データインテグリティ規制のために、ヘッド装置1aを使用するユーザに種々の制限が課されることがある。たとえば、米国のFDA(食品医薬品局)の規則である21 CFR Part11によれば、ユーザは、物理的および論理的に管理されることが求められている。たとえば、ヘッド装置1aおよびPC1bについてもユーザごとに使用可能な機能を制限するために、ユーザ認証札230が利用されてもよい。ユーザは、フロントカメラ10によりユーザ認証札230の識別画像221を読み取らせることで、MCU20またはMCU30がユーザ認証を実行してもよい。つまり、識別画像221は、ユーザ名とパスワードなどのアカウント情報を示すシンボルを含んでいてもよい。ただし、ユーザ名とパスワードは暗号化された上で、識別画像221となっている。
【0073】
ユーザごとの機能制限としては、次のようなものが考えられる。一例として、ユーザは、管理者、リーダー、および作業者に分かれている。管理者は、ユーザを追加したり、各ユーザの権限を設定したりすることができる。リーダーは、カウント表を作成でき、カウントを実行でき、カウント結果を保存でき、カウント結果を編集でき、カウント結果を出力(印刷、送信)できる。作業者は、カウントを実行でき、カウント結果を保存できる。MCU20およびMCU30は、識別画像221から特定されたユーザの権限に応じて、そのユーザが実行できる機能を制限してもよい。
【0074】
ここで、フロントカメラ10により識別画像221が読み取られているが、メインカメラ11により識別画像221が読み取られてもよい。
【0075】
図41が示すように、フロントカメラ10およびメインカメラ11は、シャーレ15に貼付されたシール270に印刷されているシャーレ番号や識別画像221を撮像して読み取ってもよい。識別画像221には、カウント表55の識別情報、サンプル名、カウント結果が格納されるセルを示す固有の識別情報などが符号化されていてもよい。つまり、識別画像221を読み取ることで、MCU30は、カウント表55、サンプル名、シャーレ15、検査条件を特定することができる。さらに、MCU30は、特定された検査条件をヘッド装置1aに送信し、ヘッド装置1aのMCU20は受信された検査条件にしたがってメインカメラ11、リング照明装置12、13、および同軸照明装置14を制御し、画像を取得できる。
【0076】
[フロントカメラの他の応用例]
(1)セルへのテキスト入力
図29はボタン54を押すことで備考として利用される新規の列が追加されたカウント表55を示している。新規の列は、自由列として定義されており、文字や数字だけでなく、画像などを保持することができる。
【0077】
図30は、自由列のセルをポインタ57で右クリックされると表示される編集画面240を示している。この例では、セルに対するテキスト「商品番号:」が入力済みであり、それに続くテキストを入力するためのダイアログ241が表示されている。ダイアログ241は、編集画面240のテキストボックス内をポインタ57で右クリックすることで表示される。ダイアログ241は、フロントカメラ10を利用することで商品等からコードを読み取り、読取結果をセルに入力するための複数の選択肢を含む。この例では、選択肢として、フロントカメラ10によるコードの読み取りが含まれる。たとえば、「コード読み取り(一次元シンボル)」がポインタ57により選択され、読み取りボタン242が押されると、MCU30は、ヘッド装置1aに対して一次元シンボルの読み取りを指示する。
【0078】
図31は、読み取りボタン242が押されると、表示装置37に表示される読取画面250を示している。チェックボックス251は、MCU20がコードの認識に成功したときにMCU30が読取画面250を自動的に閉じることを指示するためのチェックボックスである。画像領域252は、フロントカメラ10により取得された動画像または静止画像を表示する。読取結果領域253は、一次元シンボルや二次元シンボルから復号されたテキストを表示する領域である。
【0079】
ヘッド装置1aのMCU20はフロントカメラ10を起動し、一次元コードを読み取らせ、一次元コードからテキストを復号し、復号されたテキストをPC1bへ送信する。ユーザは読取結果領域253に表示されたテキストを確認し、OKボタン254またはキャンセルボタン255を押す。OKボタン254が押されると、MCU30は、読取画面250を閉じて編集画面240に戻り、ヘッド装置1aから受信されたテキストをセルに挿入する。キャンセルボタン255が押されると、ヘッド装置1aから受信されたテキストを破棄し、読取画面250を閉じて、編集画面240に戻る。
【0080】
図32は、テキストを挿入された編集画面240を示す。ここで、OKボタン254が押されると、MCU30は、編集画面240を閉じ、図29に示されたUI50を表示装置37に表示する。
【0081】
(2)セルへの画像入力
図33は、カウント表の一部、またはカウント表から作成されたカウントレポート260の一例を示している。カウント表55に含まれる自由列のセルには画像データを関連付けることができる。MCU30は、ヘッド装置1aのメインカメラ11を制御してシャーレ15の画像(シャーレ画像)を取得し、取得したシャーレ画像をセルに関連付ける。あるいは、MCU30は、ヘッド装置1aのフロントカメラ10を制御してシャーレ15の画像(シャーレ画像)を取得し、取得したシャーレ画像をセルに関連付けてもよい。同様に、MCU30は、ヘッド装置1aのフロントカメラ10を制御して商品の外観画像を取得し、取得した外観画像をセルに関連付けてもよい。さらに、MCU30は、ヘッド装置1aのフロントカメラ10を制御して商品に付与されているバーコードを読み取って復号させ、復号された商品番号等をセルに入力してもよい。MCU30は、プリンタ38を制御し、カウントレポート260を紙に印刷してもよい。
【0082】
ここでは、フロントカメラ10により様々な画像が取得されているが、メインカメラ11により様々な画像が取得されて、セルに関連付けられてもよい。
【0083】
[フローチャート]
(1)PC1bの主な処理
図34は、PC1bのMCU30により実行される一連の処理を示すフローチャートである。MCU30は、記憶装置35に記憶されたカウントアプリケーションプログラムにしたがって以下の処理を実行する。
【0084】
S1でMCU30はカウント表の編集を実行する。図5から図15などを用いて説明されたように、UI50などを通じてカウント表が編集または作成される。
【0085】
S2でMCU30はカウント表を記憶装置35に保存する。
【0086】
S3でMCU30はカウント表を特定する。カウント表の特定は、フロントカメラ10と検査リスト220またはユーザ認証札230を用いて実行されたり、図26に示されたファイルUI200を使用して実行されたりしてもよい。
【0087】
S4でMCU30は特定されたカウント表を記憶装置35から読み出す。これにより、図16に示されたUI100が表示装置37に表示される。
【0088】
S5でMCU30はカウント値を書き込まれるセルを特定する。最初は、カウント表において最も上に位置する行のセルが選択されてもよいし、ポインタ57によりクリックされたセルが選択されてもよい。
【0089】
S6でMCU30はアクティブセルに関連付けられている検査条件を特定する。たとえば、MCU30は、カウント表の作成の際に各セルに対し関連付けられた検査条件を記憶装置35から読み出す。
【0090】
S7でMCU30は、アクティブセルに関連付けられている検査条件をヘッド装置1aに設定する。上述されたように、メインカメラ11の感度、点灯すべき照明装置、明るさ、点灯すべき発光素子の数(照射方向)、画像処理(HDR、リング除去)、カウントアルゴリズム(閾値などのパラメータ)などをヘッド装置1aに送信する。
【0091】
S8でMCU30は検査条件が変更されたかどうかを判定する。上述されたように、セルに関連付けられた検査条件は検査中においても随時変更可能である。よって、検査条件が変更されると、MCU30は、S7に戻り、変更後の検査条件をヘッド装置1aに送信する。検査条件が変更されていなければ、MCU30は、S9に進む。
【0092】
S9でMCU30は、ユーザにより撮影指示が入力されたかどうかを判定する。ユーザは、ヘッド装置1aの第一ハードウエアボタン8aまたはUI100の第一ソフトウエアボタン105aを押すことで撮影を指示することができる。撮影指示が入力されていなければ、MCU30はS9からS8に戻る。撮影指示が入力されると、MCU30は、S9からS10に進む。
【0093】
S10でMCU30は、ヘッド装置1aに対して撮像指示を送信する。
【0094】
S11でMCU30は、ヘッド装置1aからメインカメラ11により取得されたシャーレ画像103の画像(検査画像)を取得し、UI100の結果領域102に検査画像を表示する。
【0095】
S12でMCU30は、カウント指示が入力されたかどうかを判定する。ユーザは、カウントボタンとして割当たられたヘッド装置1aの第一ハードウエアボタン8aまたはUI100の第一ソフトウエアボタン105aを押すことで、カウント指示を入力できる。カウント指示が入力されていなければ、MCU30は、S12からS8に戻る。カウント指示が入力されると、MCU30は、S12からS13に進む。
【0096】
S13でMCU30は、カウント指示をヘッド装置1aへ送信する。なお、カウント処理がPC1bにより実行される場合、MCU30がMCU20の代わりにカウント処理を実行する。
【0097】
S14でMCU30は、ヘッド装置1aからカウント結果を受信し、カウント結果をカウント値領域104に表示する。なお、S14でMCU30がカウント処理を実行する場合、MCU30はカウント処理を実行することで得られたカウント結果をカウント値領域104に表示する。
【0098】
S15で、MCU30は、画像処理、カウントアルゴリズム等の検査条件が変更されたかどうかを判定する。検査条件が変更されると、S13に戻る。検査条件が変更されていなければ、MCU30はS16に進む。なお、S8の検査条件の変更は画像の再取得が必要になるような検査条件の変更が想定されている。S15の検査条件の変更は取得された画像に対する画像処理の変更をもたらすが、画像の再取得は不要なものが想定されている。
【0099】
S16でMCU30は、ユーザにより登録指示が入力されたかどうかを判定する。ユーザは、登録ボタンとして割当たられたヘッド装置1aの第二ハードウエアボタン8bまたはUI100の第二ソフトウエアボタン105bを押すことで、登録指示を入力できる。登録指示が入力されていなければ、MCU30は、S16からS8に戻り、撮りなおしを実行したり、検査条件を変更したりする。登録指示が入力されると、MCU30は、S16からS17に進む。
【0100】
S17でMCU30は、カウント結果をアクティブセルに登録する。
【0101】
S18でMCU30は、カウントがすべて終了したかどうかを判定する。たとえば、カウント表に存在するすべてのセルにカウント結果が入力されていれば、MCU30は、カウント終了と判定する。まだ、未入力のセルが存在している場合、MCU30は、S18からS5に進み、アクティブセルを次のセルに変更する(セルの特定)。
【0102】
(2)ヘッド装置1aの主な処理
図35は、ヘッド装置1aのMCU20が制御プログラムにしたがって実行する一連の処理を示す。
【0103】
S21でMCU20は、フロントカメラ10に対する撮影の指示を受信したかどうかを判定する。上述されたように検査リスト220の識別画像221を読み取る場合、フロントカメラ10に対する撮影の指示(コードを読み取り指示)がPC1bからヘッド装置1aへ入力される。フロントカメラ10に対する撮影の指示が入力されていなければ、MCU20は、S21からS23に進む。フロントカメラ10に対する撮影の指示が入力されると、MCU20は、S21からS22に進む。
【0104】
S22でMCU20は、フロントカメラ10を起動して画像(フロントカメラ画像)を取得し、フロントカメラ画像またはシンボルのデコード結果をPC1bへ送信する。
【0105】
S23でMCU20は、PC1bから検査条件を受信し、記憶装置25に保存する。
【0106】
S24でMCU20は、検査条件を各部に設定する。検査条件のうち感度は撮像制御部21に設定される。点灯すべき照明装置、明るさ、照明方向などは照明制御部22に設定される。
【0107】
S25でMCU20は、PC1bから検査条件の変更指示が受信されたかどうかを判定する。変更指示は、新しい検査条件とともに受信される。検査条件の変更指示が受信されると、MCU20は、S24に戻り、新しい検査条件を設定する。変更指示が受信されていなければ、MCU20は、S25からS26に進む。
【0108】
S26でMCU20は、PC1bから撮像指示が受信されたかどうかを判定する。撮像指示が入力されていなければ、MCU20は、S26からS25に戻る。撮像指示が入力されると、MCU20は、S26からS27に進む。
【0109】
S27でMCU20は、メインカメラ11を起動して検査画像を取得し、検査画像をPC1bへ送信する。
【0110】
S28でMCU20は、ヘッド装置1aからカウント指示が入力されたかどうかを判定する。カウント指示が入力されていなければ、MCU20は、S28からS25に戻る。カウント指示が入力されると、MCU20は、S28からS29に進む。
【0111】
S29でMCU20は、検査条件にしたがってコロニーのカウントを実行する。
【0112】
S30でMCU20は、カウント結果をPC1bへ送信する。
【0113】
S31でMCU20は、カウント終了指示を受信したかどうかを判定する。カウント終了指示が受信されると、MCU20は、カウントを終了する。カウント終了指示が受信されていなければ、MCU20は、S31からS23に戻り、次のセルについての検査条件を受信する。
【0114】
(3)サンプルデータベースの登録
カウント表は複数の行および列を有し、さらに各セルには検査条件が関連付けられている。カウント表や検査リストは、日ごとに作り替えられることがある。ただし、同一のサンプルについて毎日検査が実行されることもある。したがって、検査頻度の多いサンプルについては、サンプルDB40に予め登録しておくことで、カウント表の作成処理の負担が軽減される。そこで、サンプル表を作成したときに、ユーザは、各サンプルに対応する行要素をサンプルDB40に登録してもよい。
【0115】
図36は、PC1bのMCU30により実行されるサンプルDB40の編集処理を示すフローチャートである。MCU30は、記憶装置35に記憶されたアプリケーションプログラム39にしたがって以下の処理を実行する。
【0116】
S41でMCU30は、カウント表に含まれる複数の行要素のうちサンプルDB40に登録したい行要素の選択を受け付ける。たとえば、MCU30は、サンプル表に含まれる行要素のうちいずれかの行要素に対するポインタ57によるクリックを受け付けてもよい。
【0117】
S42でMCU30は、選択された行要素の追加指示を受け付ける。たとえば、行要素が選択された状態でポインタ57により右クリックが実行されると、追加指示が入力されてもよい。
【0118】
S43でMCU30は、追加指示された行要素のサンプル名を取得し、同一のサンプル名がすでにサンプルDB40に登録済みであるかどうかを判定する(重複判定)。追加指示された行要素が既に存在しなければ、MCU30は、S43からS45に進む。追加指示された行要素がサンプルDB40に存在すれば、MCU30は、S43からS44に進む。
【0119】
S44でMCU30は、サンプルDB40に行要素を上書きするかどうかをユーザに問い合わせる。キャンセル指示が入力されると、MCU30は、行要素の追加をキャンセルする。上書き指示が入力されると、MCU30は、S44からS45に進む。
【0120】
S45でMCU30は、追加対象の行要素を構成している項目名(例:サンプル名、菌種、培地タイプ、希釈倍率)を取得する。
【0121】
S46でMCU30は、行要素のセルに関連付けられている検査条件を記憶装置35から取得する。
【0122】
S47でMCU30は、項目名と検査条件をサンプルDB40に登録する。
【0123】
S48でMCU30は、UI50におけるサンプルDB40の表示を更新する。
【0124】
(4)カウント表の編集
図37は、PC1bのMCU30により実行されるカウント表の編集処理を示すフローチャートである。MCU30は、記憶装置35に記憶されたカウントアプリケーションプログラムにしたがって以下の処理を実行する。
【0125】
S51でMCU30は、カウント表において新しく行要素を追加される位置(セルまたは行)を特定する。たとえば、MCU30は、カウント表においてサンプル名が入力済みである最終行の次の行を選択する。なお、ある行と別の行との間に新たな行が選択されてもよい。たとえば、カウント表においてサンプル名が入力済みである行が選択され、ポインタ57による右クリックが実行されると、選択された行の次に空行が追加される。
【0126】
S52でMCU30は、サンプルDB40から行の追加が指示されたかどうかを判定する。たとえば、UI50のボタン64が押されると、MCU30は、サンプルDB40から行の追加が指示されたと認識する。サンプルDB40から行の追加が指示されると、MCU30は、S53に進む。サンプルDB40から行の追加が指示されていなければ、MCU30は、S61に進む。
【0127】
S53でMCU30は、追加指示された行の項目名をサンプルDB40から取得する。
【0128】
S54でMCU30は、追加指示された行の検査条件をサンプルDB40から取得する。
【0129】
S55でMCU30は、取得された項目名と検査条件とをカウント表に貼り付ける。つまり、MCU30は新規の行要素をカウント表に追加する。なお、MCU30は、サンプルDB40に保持されている複数の行要素のうちユーザにより指定された行要素が新規のカウント表に含まれているか否かを判定してもよい。さらに、ユーザにより指定された行要素が新規のカウント表に含まれていないと判定された場合、MCU30は、ユーザにより指定された行要素が新規のカウント表に含まれていない列要素のセルを含むか否かを判定してもよい。ユーザにより指定された行要素が新規のカウント表に含まれていない列要素のセルを含むと判定された場合、MCU30は、当該列要素を新規のカウント表に追加する。つまり、すでにカウント表に存在する他のサンプル名を付与された行要素にも列要素が追加されることになる。
【0130】
S56でMCU30は、編集完了かどうかを判定する。ユーザにより編集完了が指示されると、MCU30は、カウント表を記憶装置35に保存する。ユーザにより編集完了が指示されなければ、MCU30は、S56からS51に戻る。
【0131】
サンプルDB40を利用せずに新規に行が追加される場合、S61でMCU30は、キーボード32やポインティングデバイス33を通じた項目名の入力を受け付ける。
【0132】
S62でMCU30は、キーボード32やポインティングデバイス33を通じた検査条件の入力を受け付ける。
【0133】
S63でMCU30は、取得された項目名と検査条件とをカウント表に書き込む。その後、MCU30は、S56に進む。
【0134】
(5)カウント表の特定
図38は、PC1bのMCU30により実行されるカウント表の特定処理を示すフローチャートである。MCU30は、記憶装置35に記憶されたカウントアプリケーションプログラムにしたがって以下の処理を実行する。
【0135】
S71でMCU30は、フロントカメラ10の起動指示が入力されたどうかを判定する。たとえば、図26に示されたファイルUI200のボタン214がクリックされると、MCU30は、起動指示が入力されたと判定し、S72に進む。
【0136】
S72でMCU30は、フロントカメラ10の起動指示をヘッド装置1aへ送信する。
【0137】
S73でMCU30は、ヘッド装置1aにおいて識別画像221の読取が成功するのを待つ。
【0138】
S74でMCU30は、ヘッド装置1aにおいて識別画像221からデコードされた識別情報を取得する。
【0139】
S75でMCU30は、記憶装置35において、識別情報に対応するカウント表を検索する。
【0140】
S76でMCU30は、識別情報に対応するカウント表が発見されたかどうかを判定する。カウント表が存在しない場合、MCU30は、S71に戻る。カウント表が存在した場合、MCU30は、S77に進む。
【0141】
S77でMCU30は、カウント表を記憶装置35から読み出し、UI100にセットする。
【0142】
S71で起動指示が入力されていなければ、MCU30は、S78に進む。S78でMCU30は、カウント表の検索画面を表示装置37に表示する。S79でMCU30は、カウント表の選択を受け付ける。たとえば、図26に示されたファイルUI200においていずれかカウント表が選択されてもよい。その後、MCU30は、S77に進む。
【0143】
(6)コロニーのカウント
図39は、ヘッド装置1aのMCU20が制御プログラムにしがって実行するコロニーのカウント処理を示す。ただし、画像処理やカウント処理は、MCU30により実行されてもよい。
【0144】
S81でMCU20は、PC1bから受信された検査条件からカウントアルゴリズムを取得する。具体的には、カウントアルゴリズムにおいて使用される画像処理や閾値パラメータ(例:二値化閾値)が取得される。
【0145】
S82でMCU20は、メインカメラ11により取得された検査画像にカウントアルゴリズムを適用する。たとえば、HDRやリング除去などの画像処理が検査画像に適用される。
【0146】
S83でMCU20は、検査条件(閾値パラメータ)にしたがって検査画像に含まれるコロニーをカウントする。
【0147】
(7)自由列(例:備考セル)への情報の登録
図40は、PC1bのMCU30により実行される備考セル等の自由列への情報登録処理を示すフローチャートである。MCU30は、記憶装置35に記憶されたカウントアプリケーションプログラムにしたがって以下の処理を実行する。
【0148】
S91でMCU30は、備考セルの選択を受け付ける。ここでは一例として備考セルが挙げられているが、他の自由列のセルであってもよい。MCU30は、ポインタ57により選択された備考セルをアクティブセルに設定する。
【0149】
S92でMCU30は、備考セルの属性を特定する。各セルには、属性(例:カウント値、文字列、画像)が予め付与されていてもよい。MCU30は、各セルの属性を記憶装置35から読み出する。
【0150】
S93でMCU30は、フロントカメラの起動が指示されたかどうかを判定する。フロントカメラ10の起動が指示されなければ、MCU30は、キーボード32等から入力されたテキストを備考セルに入力する。一方、起動指示が入力されると、MCU30は、S94に進む。
【0151】
S94でMCU30は、ヘッド装置1aのフロントカメラ10を起動する。
【0152】
S95でMCU30は、フロントカメラ10により画像を取得する。
【0153】
S96でMCU30は、特定された属性が画像かどうかを判定する。属性が画像である場合、MCU30は、S97に進む。
【0154】
S97でMCU30は、フロントカメラ10により取得された画像(例:商品の外観画像)を備考セルに関連付ける。
【0155】
S96で、特定された属性が画像でないと判定されると、MCU30は、S98に進む。
【0156】
S98でMCU30は、フロントカメラ10により取得された画像のデコード結果をヘッド装置1aから取得する。
【0157】
S99でMCU30は、取得された情報(デコード結果(例:商品のシリアル番号など))を備考セルに書き込む。
【0158】
[同軸照明装置の詳細]
図42はヘッド装置1aの概略断面図である。同軸照明装置14に設けられた複数の発光素子14aから出力された検査光が拡散板13dおよび拡散板13cで拡散されて透過窓6aの裏面から入射して表面から出射し、シャーレ15に収容されている検査個体を照明する。メインカメラ11は、このように同軸照明装置14からの検査光により照明された検査個体を撮像し、検査画像を生成する。拡散板13dおよび拡散板13cを採用することで、簡単な構成で、大きな拡散度を達成することが可能である。反射板13bは底の抜けたお椀または皿のような形状を有しており、その底の部分に拡散板13dが設けられている。拡散板13cは、お椀形状の反射材13bの上面または出射面に配置されている。
【0159】
図43は、同軸照明装置14の平面図である。同軸照明装置14を構成する複数の発光素子14aのそれぞれの上方には概ね直方体形状のライトガイド4302が設けられている。つまり、発光素子14aとライトガイド4302とは一対一で設けられている。ライドガイド4302は、底面側から入射した光を天面側へ誘導する。ライトガイド4302の上方には配光規制板4301が設けられている。配光規制板4301は、アルミなどの金属や樹脂などの遮光部材により形成されている。配光規制板4301にはほぼ円形の複数の絞り4303が設けられている。ライトガイド4302と絞り4303とは一対一で設けられている。ライドガイド4302から出射した光は絞り5404によって整形される。
【0160】
図43からわかるように、複数の発光素子14aは、複数(例:8個)の同心円のそれぞれに配置されている。また、外側の同心円に配置される複数の発光素子14aの密度は、内側の同心円に配置される複数の発光素子14aの密度よりも高い。つまり、外側の同心円上で隣り合った二つ発光素子間の距離(配置間隔i1)は、内側の同心円上で隣り合った二つ発光素子間の距離(配置間隔i2)よりも短い。これは、同軸照明装置14から出力される検査光を均一にするために、役立っている。つまり、同軸照明装置14の中心付近の検査光の光量と、同軸照明装置14の外縁部付近の検査光の光量とを均一化できる。
【0161】
図44および図45は、配光規制板4301、ライトガイド4302、ライトガイド基板4401、発光素子14aおよび基板4400の断面斜視図である。複数の発光素子14aは基板4400に実装されている。ビス4402はライトガイド基板4401を介して配光規制板4301に締結することで、ライトガイド基板4401を配光規制板4301に固定している。ビス4403は、基板4400およびライトガイド基板4401を介して配光規制板4301と締結することで、ライトガイド基板4401および配光規制板4301を基板4400に固定している。なお、複数のライトガイド4302はライトガイド基板4401と一体化されていてもよい。複数のライトガイド4302およびライトガイド基板4401は、透光性を有する樹脂(例:アクリル)やガラスにより成型されている。
【0162】
図45が示すように、ライトガイド基板4401は複数の同心円に配置された複数の突起部4501を有していてもよい。複数の突起部4501は、ライトガイド基板4401の形状を維持することに役立っている。つまり、複数の突起部4501は、ライトガイド基板4401の剛性を高めることに役立っている。
【0163】
図46は、同軸照明装置14の配光角を説明するための概略図である。同軸照明装置14の配光角は、たとえば、10度以上でかつ25度以下程度に設計されうる。配光角をこの範囲から外れた値で設計すると、透過窓6の縁部付近に載置された検査個体を撮像することが難しくなる。また、シャーレ15の汚れおよび傷が誤検知されるおそれがある。同軸照明装置14の配光角を10度以上でかつ25度以下程度にするには、複数の発光素子14aのそれぞれから出射される光線の配光角θを20度以上でかつ50度以下に設計すればよい。
【0164】
図46が示すように、絞り4304の直径はDaである。ライトガイド4302は直方体または四角錘でありうるが、説明の便宜上、図46ではライトガイド4302が円錐台であると仮定されている。ライトガイド4302の出射面の面積をS2とし、入射面の面積をS1とする。発光素子14aの発光面積をS0とする。発光素子14a、ライトガイド4302および絞り4304の1つのセットの配光角を所望角度にするには、エタンデュの保存則に基づき、以下の条件式が満たされればよい。
0.8=<S1/S2=<1.2 ・・・・(1)
1.0=<S2/S9=<25 ・・・・(2)
Dp=<Da ・・・・(3)
ここで、Dpはライトガイド4302の出射面の直径である。Daは絞り4303の直径である。
【0165】
一般に、配光角θが20度を下回ると、ゴミ、傷および透過窓6の縁の影響が検査画像に影響しやすくなり、コロニーのカウント値を誤らせる。一方、配光角θが50度を超えると、拡散度が高くなりすぎて、検査画像のコントラストが低くなる。
【0166】
なお、(1)式と(2)式が満たされている場合、絞り4303は省略可能である。ただし、ライトガイド4302と発光素子14aの製造上の誤差や取付誤差を考慮し、絞り4304が設けられている。絞り4304を設けることで、配光角θを理想状態に近づけることが可能となる。
【0167】
本実施例では、ライトガイド4302および絞り4304の1つのセットとする照明光学系が採用されているが、他の照明光学系が採用されてもよい。たとえば、20度以上でかつ50℃以下の配光角θを有する砲弾型の発光ダイオードが、発光素子14a、ライトガイド4302および絞り4304の1つのセットと置換可能である。
【0168】
図47が示すように、ライトガイド4302および絞り4304は、レンズ4701と置換されてもよい。この場合、レンズ4701の開口数NAと直径Diは以下の条件を満たすことが求められる。
NA>=0.17 ・・・(4)
Di/2Li>=0.17 ・・・(5)
ここで、Liはレンズ4701の中心と発光素子14aの出射面との間の距離である。(4)式と(5)式とを満たすことで、レンズ4701自体のNAが0.17以上となり、かつ、レンズ4701による発光素子14aからの光の取り込み角がNA0.17以上となり、配光角θが20度以上になる。
【0169】
[同軸照明装置の変形例]
図48はテレセントリック光学系4802を採用した同軸照明装置14を示している。本実施例で同軸照明装置14はおおむねテレセントリックであることが求められる。そこで、同軸照明装置14は、ハロゲンライトなどの光源4801と、テレセントリック光学系4802と、ミラー4803とを有している。光源4801から出力された検査光はテレセントリック光学系4802を通過することでテレセントリック性の高い検査光ビームとなる。検査光ビームはミラー4803によって偏向され、拡散板13dおよび拡散板13cを通過し、透過窓6の裏面からシャーレ15内の検査個体を照明する。光源4801は面光源であってもよい。
【0170】
図48に示された同軸照明装置14はテレセントリック光学系4802が必要になるため、同軸照明装置14が大きくなってしまう。一方で、図42に示された同軸照明装置14は小型化に有利である。
【0171】
[拡散板による調光]
図49は拡散板13cの拡散度を第一拡散度から第二拡散度に切り替えたときの検査光の様子を示している。なお、すでに説明された図42は、拡散板13cの拡散度が第一拡散度であるときの検査光の様子を示している。図42で、検査光は、拡散度が一定の拡散板13dで拡散され、さらに、拡散板13cを通過することでさらに拡散されて所望の検査光になる。一方、図49では、検査光は、拡散度が一定の拡散板13dで拡散されるものの、拡散板13cを通過する際には拡散されないか、小さな拡散度で拡散されて、所望の検査光になる。
【0172】
図42が示すように、第一拡散度で拡散板13cにより拡散された検査光は、検査画像のコントラストを低下させ、シャーレ15の傷やゴミの影響を低減できる。一方で、図49が示すように、第一拡散度よりも小さな第二拡散度で拡散板13cにより拡散された検査光は、検査画像のコントラストを増大させ、コロニーのカウント値を増加させることができる。あるいはコロニーの輪郭を明確にすることができ、コロニーの形状を検査することに有用である。
【0173】
拡散度が第一拡散度よりも小さな第二拡散度の場合、第一拡散度の場合と比較して相対的に傷やゴミの影響を受ける。計数部は、円形度やアスペクト比、面積、周囲長などの形状特徴に基づいて、検査画像に含まれるコロニーの数を計数してもよい。これにより、傷やゴミによる誤カウントを抑制でき、より正確にコロニーの数を計数できる。
【0174】
ユーザはキーボード32またはポインティングデバイス33を通じて拡散板13cの拡散度を調光制御部13zに設定する。調光制御部13zは、設定された拡散度となるように、拡散板13cを電気的に制御する。たとえば、第一拡散度は第一電圧を拡散板13cに印加することで実現され、第二拡散度は第二電圧を拡散板13cに印加することで実現されてもよい。
【0175】
図50は拡散板13cの構成例を示す図である。透光性を有するガラス板またはアクリル板である基材4900の第一面側に拡散フィルム4901が設けられている。オプションで、基材4900の第二面側に拡散フィルム4902が設けられてもよい。拡散フィルム4901、4902は液晶フィルムであってもよい。この場合、調光制御部13zは拡散フィルム4901、4902に印加する電圧をオン/オフすることで、拡散フィルム4901、4902内の液晶の向きが変化し、拡散フィルム4901、4902の拡散度が変更される。たとえば、拡散フィルム4901、4902がともにオフの場合、第二拡散度が実現される。拡散フィルム4901、4902がともにオンの場合、第一拡散度が実現される。拡散フィルム4901がオンで、拡散フィルム490がオフの場合、第三拡散度が実現される(第二拡散度<第三拡散度<第一拡散度)。拡散フィルム4901がオフで、拡散フィルム490がオンの場合、第四拡散度が実現される(第二拡散度<第四拡散度<第一拡散度)。ここで、第三拡散度は第四拡散度より大きくても、小さくてもよい。あるいは、第三拡散度は第四拡散度と等しくてもよい。これにより、拡散板13cの拡散度を3段階または4段階で切り替え可能となる。
【0176】
図51および図52は電気的および機械的に拡散度を切り替える方法を示す。調光制御部13zは、モータ13eを制御することで、検査光の光路に拡散板13cを挿入したり(図51)、光路から拡散板13cを抜き取ったり(図52)することができる。下部ユニット4のサイズに余裕がある場合、電気的および機械的に拡散度を切り替える方法も実装可能である。また、この場合、拡散板13cの拡散度は一定である。
【0177】
[拡散度の設定と検査画像への紐づけ]
図53は拡散板13cにより高拡散度で拡散された検査光を照射された検査個体の検査画像5301と、拡散板13cにより低拡散度で拡散された検査光を照射された検査個体の検査画像5302である。また、拡大画像5311は検査画像5301に含まれる、あるコロニーを拡大した図である。拡大画像5312は検査画像5302に含まれる、同一のコロニーを拡大した図である。
【0178】
検査画像5301のコントラストが低いため、検査画像5301では傷や汚れなどが目立っていない。一方、検査画像5302のコントラストが高いため、検査画像5301では傷や汚れなどが目立つ。その一方で、検査画像5301およびその拡大画像5311ではコロニーの輪郭が目立っていない。検査画像5302およびその拡大画像5312ではコロニーの輪郭が目立っている。つまり、検査の用途に応じて拡散度を切り替えることで、用途に応じた所望の検査画像が得られるようになる。
【0179】
図53の比較結果は、菌種および培地の種類に依存して、適切な拡散度が異なることを示唆している。その一方で、検査画像5301と検査画像5302とを比較することでユーザは初めて拡散度の違いを理解できる。つまり、検査画像5301だけ、または、検査画像5302だけを見ても、それが高拡散度で撮影されたものなのか、それとも低拡散度で撮影されたすぐには理解できないだろう。とりわけ、検査画像を取得したユーザと、検査画像を観察するユーザとが違うケースや、検査画像を取得してから数日または数か月が経過した後に検査画像を再度観察するケースでは、検査画像からすぐに拡散度を思い出すことができないかもしれない。
【0180】
そこで、本実施例では、カウント表のセルおよび検査画像に拡散度が紐づけられる。これによりユーザはセルまたは検査画像に紐づけられている拡散度を容易に知ることができる。
【0181】
図54は、図15に示されたダイアログ90の照明ボタンまたは図17に示された検査条件の確認画面110から呼び出されうる照明設定UI5400を示している。照明選択部5401は照明の種類を選択するためのUIである。この例では、落射リング(リング照明装置12)、透過同軸(同軸照明装置14)、または、透過リング(リング照明装置13)から一つの種類が選択可能となっている。選択枠5402は現在選択中の照明の種類を強調表示するディスプレイオブジェクトである。チェックボックス5403は、拡散度を選択するためのコントロールオブジェクトである。チェックボックス5403にチェックが入れられると、高拡散度が選択される。チェックボックス5403からチェックが外されると、低拡散度が選択される。
【0182】
明るさ調整部5410は、明るさの調整方法(オートまたはマニュアル)を選択するためのラジオボタンと、明るさを選択するためのスライドバーとを有している。オートが選択されると、MCU30により明るさが自動で決定されてスライドバーに反映される。マニュアルが選択されると、スライドバーの操作に応じて、明るさが選択される。このようにして決定された明るさは照明選択部5401のスライドバーと数値にも反映される。
【0183】
ここで、決定された照明の種類、拡散度、および明るさは、カウント表のセルのうち、照明設定UI5400を呼び出したセルに関連付けられる。上述されたように各セルには検査画像も関連付けられる。たとえば、一般生菌のセルと大腸菌のセルとでは異なる拡散度が関連付けられてもよいし、同一の拡散度が関連付けられてもよい。
【0184】
上述されたようにカウント表の各セルには検査条件、検査画像およびカウント結果が関連づけられる。拡散度は検査条件の一つであることから、拡散度は検査画像およびカウント結果にも関連付けられることになる。
【0185】
ここでは、チェックボックス5403によって拡散度が選択されているが、他のコントロールオブジェクトを通じて拡散度が選択されてもよい。たとえば、選択可能な二つ以上の拡散度から一つの拡散度を選択するためのラジオボタンが採用されてもよい。あるいは、傷やノイズを軽減する機能(ノイズ軽減機能)をオン/オフするチェックボックスまたはラジオボンタンが採用されてもよい。この場合、MCU30は、ノイズ軽減機能がオンされると、高拡散度を選択し、ノイズ軽減機能がオフされると、低拡散度を選択する。このように、UI上の他の選択肢と拡散度とが関連付けられており、ユーザが複数の選択肢から一つの選択肢を選択することで、間接的に拡散度も選択されてもよい。
【0186】
培地の種類と拡散度とが予め関連付けられていてもよい。MCU30は、図15に示される培地タイプ設定部96からユーザによる培地の種類の選択を受け付け、選択された培地に関連付けられている拡散度を記憶装置35から取得し、調光制御部13zに拡散度を設定してもよい。
【0187】
[拡散度の切替の応用]
本実施例のコロニー計数装置1は拡散度を変えながら複数の検査画像を取得できる。一般には、コロニーを精度よく計数可能なひとつの拡散度が選択され、選択された拡散度で生成された一つの検査画像からコロニーが計数される。しかし、それぞれ異なる拡散を適用された複数の検査画像が、コロニーの計数のために、生成されてもよい。
【0188】
図55は、高拡散度で生成された検査画像5501と、低拡散度で生成された検査画像5502とを合成して合成検査画像5503が得られることを示している。ここでは、照明装置として、透過型のリング照明装置13が使用されている。リング照明装置13が使用されるため、検査光は拡散板13dを通過することなく、拡散板13cのみを通過することになる。
【0189】
シャーレ15を培養していると、シャーレ15内に結露が発生することがある。とりわけ、検査画像5502では結露の輪郭が強調されてしまい、結露の一つ一つの水滴までもがコロニーとしてカウントされてしまう(例:カウント値=3000)。一方で、検査画像5501ではユーザがシャーレに手書きした文字がコロニーとしてカウントされてしまうことがある(例:カウント値=175)。そこで、MCU30は、拡散板13cを高拡散度に設定して生成した検査画像5501と、拡散板13cを低拡散度に設定して生成した検査画像5502と、を合成して、検査画像5503を生成し、検査画像5503においてコロニーをカウントする。その結果、より正確なコロニー数(例:64)が得られる。合成方法としては、結露や文字の影響が低減されるような方法であればよい。たとえば、MCU30は、検査画像5502と検査画像5501との差分から検査画像5501を生成してもよい。このように、検査画像5501と検査画像5502との差分を算出することで、これらの双方で明領域として観察される外乱の影響を抑制した合成検査画像5503が生成される。なお、合成検査画像5503は、外乱抑制画像と呼ばれてもよい。
【0190】
[阻止円の計測]
図56は薬剤に対する菌の耐性を測定することを説明する図である。菌は薬剤に対して耐性を獲得することが知られている。したがって、ある菌について複数の薬剤のうちのどの薬剤が有効であるかを調べることは非常に有用である。図56ではシャーレ15に菌を均一に塗布された培地5601が収容されている。そこに、6種類の薬剤5602が投入または滴下されている。
【0191】
菌に対して薬剤5602が有効であれば、薬剤5602の周囲に存在する複数の菌類が死滅する。培地5601のうち、菌類が死滅した円形領域は阻止円5603と呼ばれる。この阻止円の5603の直径Dcは、菌に対する薬剤の有効性を示している。ある薬剤の阻止円の直径Dcが小さいほど、その薬剤に対して菌は強い耐性を獲得している。ある薬剤の阻止円の直径Dcが大きいほど、その薬剤は菌に対して強い有効性を有している。
【0192】
培地の種別に依存して阻止円の直径Dcを測定するのに有効な拡散度は異なりうる。そこで、MCU30は、阻止円の直径Dcを計測するための検査画像を生成する際に、ユーザによる培地の種別の入力を受け付け、複数の拡散度のうち、培地の種別に応じた拡散度を選択する。記憶装置35は、予め培地の種別と拡散度を紐づけて記憶していてもよい。たとえば、MCU30は、培地の種別と拡散度とを一対一で紐づけるためのUIを表示装置37に表示し、そのUIを通じて培地の種別に対して拡散度を紐づけるための設定を受け付けてもよい。MCU30は、阻止円を計測する際に入力された培地の種別に対応する拡散度を、記憶装置35を参照することで、特定し、特定された拡散度を調光制御部13zに設定する。調光制御部13zは、設定された拡散度となるような電圧を拡散板13cに印加する。これにより、培地に適した拡散度が採用されるため、MCU30は、検査画像から阻止円5603の直径Dcを正確に計測することが可能となる。
【0193】
[その他]
分析業界ではLIMS(Laboratory Information Management System)が着目されている。LIMSは一種のアプリケーションであり、検査個体とそれに関連する検査条件、検査画像、検査結果、検査フロー、検査機器などをデータベース化するものである。これにより、実験室における書類の整理から解放され、検査データを効率よく、かつ、透明性をもって管理することが可能となる。コロニー計数装置1もカウント表と連携したり、検査条件と検査結果とを紐づけしたりするため、LIMSの一端を担うことになる。とりわけ、検査画像に拡散度が紐付けされて管理されるため、後日に、検査時の検査条件(とりわけ、拡散度)について検証することが可能となる。
【0194】
[実施例から導き出される技術思想]
[観点A1]
記憶装置35は、複数の検査個体の各々のカウント結果が入力されるセルを含むカウント表を記憶する記憶部の一例である。MCU30および表示制御部36は、記憶部に記憶されているカウント表を表示装置37に表示する表示制御部の一例である。MCU30およびポインティングデバイス33などは、表示制御部により表示されるカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定するセル特定部の一例である。MCU20またはMCU30は、ユーザの操作にしたがった計数指示を生成する計数指示部の一例である。MCU30およびメインカメラ11は、計数指示部で生成された計数指示に基づいて検査個体の画像である検査画像を取得する取得部の一例である。MCU20またはMCU30は、取得部で取得された検査画像に基づき検査個体に含まれるコロニーを計数する計数部の一例である。図19図20などが例示するように、MCU20またはMCU30は、計数部により計数されたコロニーの数を対象セルに反映する表管理部として機能する。これにより、コロニーの計数結果についての事後処理に関するユーザの負担が軽減される。
【0195】
[観点A2]
表管理部(例:MCU30)は、ユーザ操作に応じて検査個体の識別情報を格納する識別情報セルと、識別情報セルと関連付けられ、検査個体についてのコロニーの数のカウント結果を格納するカウント結果セルと、を含むカウント表を作成し、記憶部に当該カウント表を記憶させてもよい。つまり、図5図16などが示すように、カウント表55、82は、検査個体の識別情報(例:サンプル名)を格納する識別情報セルと、識別情報セルと関連付けられ、検査個体についてのコロニーの数のカウント結果を格納するカウント結果セルと、を含んでもよい。これにより、ユーザは、カウント表を手書きで作成する手間を省くことができるであろう。
【0196】
[観点A3]
表管理部(例:MCU30)は、コロニーの数のカウント結果を格納するカウント結果セルに対して検査条件を関連付けてもよい。これにより、カウント結果が格納されるセルに対して検査条件を関連付けておくことで、コロニーに関する検査を事項する際に検査条件を容易に設定することが可能となる。
【0197】
[観点A4]
取得部は、検査個体を照明する照明部(例:リング照明装置12、13、同軸照明装置14)と、照明部により照明された検査個体を撮像する撮像部(例:メインカメラ11)と、を有してもよい。検査条件は、照明部の照明条件(例:照明の種類、明るさ)を含んでもよい。大腸菌、一般生菌などの菌の種別や培地の種別(例:シート型の培地、液体型の培地、選択型の培地)に応じて適切な照明条件は異なる。よって、検査条件として照明条件を含めることで、各セルに適した照明条件が設定可能となる。さらに、検査条件は、撮像部の撮像条件(例:露光時間)を含んでもよい。培地の色やコロニーの色によって適切な撮像条件は異なりうる。検査条件が撮像条件を含むことで、各セルごとに適切な撮像条件が設定可能となろう。
【0198】
[観点A5]
照明部は、検査個体を落射照明する第一照明モード(例:リング照明装置12を点灯するモード)と、撮像部に対して対向する方向から検査個体を透過照明する第二照明モード(例:同軸照明装置14を点灯するモード)とのいずれかにしたがって動作してもよい。検査条件は、第一照明モードまたは第二照明モードの選択を含む。検査条件が照明モードの指定を含むことで、各セルごとに適切な照明モードを選択することが可能となろう。
【0199】
[観点A6]
検査条件は、計数部に適用される計数条件を含んでもよい。ここで、計数条件は、コロニーを検出するための閾値、および、コロニーを検出する際の基準となる色の少なくとも一方を含みうる。たとえば、計数条件は、コロニーとそれ以外とを区別するための閾値(例:検出感度を左右する二値化閾値)、および、コロニーを計数する際の基準となる色(例:前景色、背景色)を含んでもよい。MCU20またはMCU30は、検査画像を二値化してコロニーの個数をカウントしてもよい。よって、二値化閾値はコロニーの検出感度を左右する。二値化閾値を適切に設定することで、コロニーの誤検出が減少する。また、コロニーの色と培地の色とを適切に設定することが出来れば、コロニーの誤検出が減少する。各セルごとに計数条件を設定することで、各セルごとにコロニーの誤検出が減少するであろう。また、計数条件に応じて計数アルゴリズムを適切に調整することが可能となろう。
【0200】
[観点A7]
計数部(例:MCU20、MCU30)は、ユーザにより計数指示が入力されると、対象セルに関連付けられている検査条件にしたがった照明コマンドを照明部に出力してもよい。照明部は、照明コマンドにしたがって検査個体を照明する。撮像部は、照明コマンドにしたがって照明部により照明された検査個体を撮像して検査画像を生成する。計数部は、照明コマンドが反映された検査画像に基づきコロニーの数を計数する。これにより、各セルごとに設定された検査条件が反映された検査画像についてコロニー数を計数することが可能となる。
【0201】
[観点A8]
計数部(例:MCU20、MCU30)は、特定部により対象セルが第一セルから第二セルに変更されると、取得部に適用される検査条件を、第一セルに関連付けられている第一検査条件から、第二セルに関連付けられている第二検査条件に変更する。このように、対象セルが変更されるとそれに連動して検査条件を変更することが可能となる。各セルごとに、つまり、検査個体ごとに適切な検査条件はことなることがある。予めセルごとに適切な検査条件が設定されていれば、ユーザはセルを選択するだけで適切な検査条件を選択することが可能となろう。
【0202】
[観点A9]
サンプルDB40は、カウント表55,82の作成を補助するためのデータベースである。MCU30は、データベースにデータを登録する登録部として機能してもよい。カウント表55、82は、識別情報セルとカウント結果セルとをそれぞれ含む複数の行要素を有してもよい。登録部(MCU30)は、カウント結果がカウント結果セルに入力されたカウント表82に含まれる行要素をデータベースに登録するように構成されてもよい。ここで、行要素は、セルと当該セルに関連付けられた検査条件とを含む。表管理部(MCU30)は、データベースに保持されている複数の行要素のうちユーザにより指定された行要素に基づき新規のカウント表を作成してもよい。たとえば、ユーザにより指定された行要素を構成するセルと当該セルに関連付けられている検査条件とが新規のカウント表へコピーされる。また、セルに格納されていたカウント結果は、サンプルDB40に登録される際に削除されてもよい。このように、予めカウント表の行要素として採用可能な行要素をデータベース化しておくことで、ユーザは、新規のカウント表を容易に作成することができる。
【0203】
[観点A10]
カウント表55、82は、複数の列要素を有してもよい。複数の列要素は、それぞれ組み合わせに関連付けられていてもよい。ここで、組み合わせとは、検査個体の培養条件(例:希釈倍率、培養時間)と菌種(例:一般生菌、大腸菌)との組み合わせである。各列要素は、培養条件と菌種との組み合わせが異なっている。たとえば、第一列要素と第二列要素とでは、培養条件と菌種とのうち少なくとも一方が異なっている。これにより、ある検査個体について、様々な培養条件と様々な菌種とから構成される複数の組み合わせそれぞれ対応するセルを一行にまとめることも可能となろう。
【0204】
[観点A11]
表管理部(例:MCU30)は、データベースに保持されている複数の行要素のうちユーザにより指定された行要素(指定行要素)が、新規のカウント表に含まれているか否かを判定してもよい。指定行要素がカウント表に含まれていないと判定された場合、MCU30は、指定行要素が、カウント表に含まれていない新規の列要素のセルを含むか否かを判定してもよい。指定行要素が新規の列要素のセルを含むと判定された場合、MCU30は、当該新規の列要素を新規のカウント表に追加する。一方、指定行要素がカウント表にすでに含まれているか、または、指定行要素が新規の列要素のセルを含まない場合、当該列要素はカウント表に追加されない。これにより、カウント表における行要素の重複と列要素の重複が抑制され、カウント表のコンパクト化が実現されよう。
【0205】
[観点A12、13]
データベースは、親子関係を定義された複数の行要素を含んでもよい。親子関係は、完成品を親とし、当該完成品を構成する具材を子とする関係であってもよい。商品全体(完成品)の培養結果におけるコロニーのカウントと、商品を構成する個別の具材の培養結果におけるコロニーのカウントとが必要なケースがある。よって、親子関係をあらかじめ定義しておくことで、カウント表を作成する際のユーザ工数が削減される。たとえば、ある完成品(例:サンドイッチ)が選択されたときに、その具材(例:ハム、レタス)が選択可能に提示されてもよい。
【0206】
[観点A14]
表管理部(例:MCU30)は、親子関係を定義された複数の行要素を一括して新規のカウント表に追加してもよい。これにより、カウント表を作成する際のユーザの負担がさらに軽減されるであろう。
【0207】
[観点A15]
表管理部(例:MCU30)は、統計処理の適用が指示されると、同一の検査個体をそれぞれ培養するn個の培養器の各カウント結果を格納するn個の行要素と、当該n個の行要素の統計処理結果を格納する少なくとも1個の行要素と、を含むようにカウント表を作成してもよい。図11によれば、n=2の事例が説明されている。nは3以上であってもよい。これにより、平均化等の統計処理を実行するカウント表の作成が容易になろう。
【0208】
[観点A16]
図16などが例示するように、表示制御部(例:MCU30)は、表示装置37に、検査画像とカウント表とを並べて(同時並行的に)表示させてもよい。セル特定部(例:MCU30)は、表示装置37に検査画像とともに表示されるカウント表に含まれる複数のセルの中から、ユーザの選択にしたがって対象セルを特定してもよい。表示制御部(例:MCU30)は、計数部により計数されたコロニーの数が対象セルに反映されたカウント表を、検査画像とともに表示装置に表示させてもよい。これにより、カウント結果を格納されるセルが容易に選択可能となろう。
【0209】
[観点A17]
図25が例示するように、表示制御部(例:MCU30)は、対象セルに関連付けられる検査条件に含まれる照明条件を設定するための第一コントロールオブジェクト(例:タブ123)と、当該検査条件に含まれる計数条件を設定するための第二コントロールオブジェクト(例:タブ124)と、を表示装置37に表示してもよい。これにより、セルに関連付けられている検査条件を容易に変更することが可能となろう。さらに、表示制御部(例:MCU30)は、第一コントロールオブジェクト(例:タブ123)に対するユーザ操作を検知すると、照明条件を設定するための設定画面(例:確認画面110)を表示装置に表示してもよい。表示制御部(例:MCU30)は、第二コントロールオブジェクト(例:タブ124)に対するユーザ操作を検知すると、計数条件を設定するための設定画面(例:設定画面120)を表示装置に表示してもよい。
【0210】
[観点A18]
表示制御部(例:MCU30)は、計数部に計数を指示するための第三コントロールオブジェクト(例:第一ソフトウエアボタン105a)と、カウント結果を対象セルに登録することを指示するための第四コントロールオブジェクト(例:第二ソフトウエアボタン105b)と、を表示装置37に表示してもよい。これによりユーザは容易にカウントの指示とカウント結果の登録とを指示することが可能となろう。
【0211】
[観点A19]
表示制御部(例:MCU30)は、第三コントロールオブジェクトに対するユーザ操作を検知すると、当該第三コントロールオブジェクトを、計数を指示するためのコントロールオブジェクト(例:カウントボタン)から、取得部に検査画像の取得を指示するためのコントロールオブジェクト(例:撮影ボタン、撮りなおしボタン)に割り当ててもよい。つまり、MCU30は、第三コントロールオブジェクトを操作することで発行されるコマンドを、計数を指示するためのコマンドから、検査画像の取得を指示するためのコマンドに変更してもよい。これにより、操作可能なボタンの数が削減され、ユーザは、今、何を操作すべきかを容易に判断できるであろう。
【0212】
[観点A20]
図18が例示するように、表示制御部(例:MCU30)は、第三コントロールオブジェクトが計数を指示するためのコントロールオブジェクト(例:カウントボタン)に割り当てられているときは、ユーザ操作を受け付けないように第四コントロールオブジェクト(例:登録ボタン)を表示してもよい。図19が例示すように、計数を指示するためのコントロールオブジェクトに割り当てられている第三コントロールオブジェクトが操作されると、計数結果が取得される。表示制御部(例:MCU30)は、計数結果が取得されると、第三コントロールオブジェクトが取得部に検査画像の取得を指示するためのコントロールオブジェクト(例:撮影ボタン)に割り当てられ、かつ、ユーザ操作を受け付けるように第四コントロールオブジェクト(例:登録ボタン)を変更してもよい。つまり、第三コントロールオブジェクトに対して計数を指示するためのコマンドが割り当てられているときは、ユーザ操作を受け付けないように第四コントロールオブジェクトが表示されてもよい。さらに、計数を指示するためのコマンドが割り当てられている第三コントロールオブジェクトが操作されて、カウント結果が取得されると、第三コントロールオブジェクトに対して、取得部に検査画像の取得を指示するためのコマンドが割り当てられ、かつ、ユーザ操作を受け付けるように、第四コントロールオブジェクトの表示が変更されてもよい。これにより、ユーザは、今、何を操作すべきかを容易に判断できるであろう。
【0213】
[観点A21]
図19図20などが例示するように、表示制御部(例:MCU30)は、第四コントロールオブジェクト(例:登録ボタン)が操作されると、カウント結果を対象セルに登録し、ユーザ操作を受け付けないように第四コントロールオブジェクトを再び変更してもよい。ここで、セル特定部は、対象セルを次のセルに変更する。図20および図18が例示するように、表示制御部(例:MCU30)は、取得部に検査画像の取得を指示するためのコマンドが割り当てられた第三コントロールオブジェクト(例:撮影ボタン)が操作されると、取得部に検査画像を取得させ、計数を指示するためのコマンドが第三コントロールオブジェクト(例:カウントボタン)に割り当てられてもよい。これにより、ユーザは、今、何を操作すべきかを容易に判断できるであろう。
【0214】
[観点A22]
ヘッド装置1は、たとえば、コロニー計数装置の筐体に設けられた第一ハードウエアボタンおよび第二ハードウエアボタンをさらに有してもよい。第一ハードウエアボタンと第三コントロールオブジェクトには同一の機能が割り当てられ、第二ハードウエアボタンと第四コントロールオブジェクトには同一の機能が割り当てられてもよい。これにより、ハードウエアボタンとソフトウエアボタンとを連携させることが可能となろう。ユーザが、ヘッド装置1にセットされたシャーレ15に注視している場合、ヘッド装置1のハードウエアボタンにより指示を入力することが可能となる。つまり、ユーザは、PC1bの表示装置37に視線を移し、かつ、ポインティングデバイス33を操作することなく、簡単に指示を入力できるようになろう。その一方で、ユーザが、PC1bに表示された検査画像に注視している場合、ハードウエアボタンに視線を移し、それを押すことは、作業効率を低下させるだろう。よって、この場合、表示装置37にソフトウエアボタンを表示することで、ユーザは簡単かつ正確にボタンを操作できるようになろう。
【0215】
[観点A23]
アプリケーションプログラム39は、コロニー計数装置を制御する制御装置において実行されるプログラムの一例である。アプリケーションプログラム39は、PC1bに、
複数の検査個体の各々のカウント結果が入力されるセルを含むカウント表を記憶部に記憶させ、
記憶部に記憶されているカウント表を表示装置に表示させ、
表示装置に表示されるカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定させ、
検査個体の画像である検査画像を取得させ、
ユーザにより入力される計数指示にしたがって、取得部で取得された検査画像に基づき検査個体に含まれるコロニーの数を取得させ、
コロニーの数を対象セルに反映させる。
【0216】
[観点A24]
上記の実施例によれば、コロニー計数装置1を制御する制御方法が提供される。当該制御方法は、
複数の検査個体の各々のカウント結果が入力されるセルを含むカウント表を記憶部に記憶させることと、
記憶部に記憶されているカウント表を表示装置に表示することと、
表示装置に表示されるカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定することと、
検査個体の画像である検査画像を取得することと、
ユーザにより入力される計数指示にしたがって、取得部で取得された検査画像に基づき検査個体に含まれるコロニーを計数することと、
計数されたコロニーの数を対象セルに反映させることと、
を有する。
【0217】
[観点B1]
記憶装置35は、検査個体についてのコロニーのカウント結果が入力されるセルを含むカウント表と、当該カウント表に関連付けられた識別情報と、を記憶する記憶部として機能する。MCU30およびMCU20は、識別情報を符号化した識別画像(例:一次元シンボル、二次元シンボル)から当該識別情報を取得する識別情報取得部として機能する。MCU30は、取得部により取得された識別情報に関連付けられているカウント表を記憶部から読み出す表管理部として機能する。さらに、MCU30は、表管理部で読み出されたカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定するセル特定部として機能する。MCU20またはMCU30は、ユーザの操作にしたがった計数指示を生成する計数指示部として機能する。メインカメラ11は、計数指示部で生成された計数指示に基づいて検査個体の画像である検査画像を撮像する第一撮像部として機能する。MCU20またはMCU30は、前記第一撮像部で撮像された検査画像に基づき検査個体に含まれるコロニーを計数する計数部として機能する。表管理部(例:MCU30)は、セル特定部で特定された対象セルに、計数部により計数されたコロニーの数を反映するように構成されている。このように、識別画像から、カウント結果を入力されることになるカウント表が特定されて表示されるため、コロニーの計数に関するユーザの負担が軽減される。
【0218】
[観点B2]
識別情報取得部は、第一撮像部(例:メインカメラ11)により撮像された識別画像から識別情報を取得するように構成されていてもよい。このように、検査個体を撮像する撮像部を、識別画像を撮像する撮像部として兼用してもよい。
【0219】
[観点B3]
識別情報取得部は第二撮像部を有してもよい。フロントカメラ10は、識別画像を撮像する第二撮像部の一例である。識別情報取得部(例:MCU20,30)は、第二撮像部により撮像された識別画像から識別情報を取得するように構成されていてもよい。
【0220】
[観点B4]
第二撮像部(例:フロントカメラ10)は、検査個体の外観、包装体(例:包装袋、商品パッケージ)により包装された検査個体の外観、および、当該包装体に印刷された情報のうちの少なくとも一つである付加画像を撮像するように構成されていてもよい。記憶部(例:記憶装置35)は、対象セルに対して、付加画像と、当該付加画像から取得される付加情報とのうちの少なくとも一方を関連付けて記憶してもよい。上述されたように、カウント表は、カウント結果が入力されるセルと、画像等を格納可能なセル(例:備考セル、自由列のセル)を有してもよい。この場合、後者のセルには、付加画像(例:商品外観)や付加情報(例:商品コード)が格納されるか、関連付けられてもよい。ユーザは、対象セルに関連付けられて記憶されている付加情報または付加画像を参照することで、どの検査個体についてのカウント結果であるかを、容易に把握できるようになろう。
【0221】
[観点B5]
カウント表は、付加画像と付加情報とのうちの少なくとも一方を保持する付加セル(例:備考セル、自由列のセル)を含んでもよい。ユーザは、付加セルに保持されている付加情報または付加画像を参照することで、どの検査個体についてのカウント結果であるかを、容易に把握できるようになろう。
【0222】
[観点B6]
図29図40が示すように、MCU30およびポインタ57は、カウント表に存在する複数の付加セルから一つの付加セルを選択する選択部として機能してもよい。さらに、MCU30は、選択部により選択された一つの付加セルに、付加画像と付加情報とのうちの少なくとも一方を登録する付加情報登録部として機能してもよい。これにより、ユーザは、カウント表において希望するセルに対して付加画像や付加情報を登録することができる。
【0223】
[観点B7]
MCU30は、対象セルに関連付けられている検査個体の識別情報(例:サンプル名、シャーレ番号)を入手する入手部として機能してもよい。記憶部は、ユーザにより入力される計数指示により第一撮像部により撮像された検査個体の検査画像を検査個体の識別情報と関連付けて記憶するように構成されていてもよい。従来、検査画像と検査個体との関係を正しく記録することは多くの工数が必要であった。たとえば、デジタルカメラで検査画像を取得することが考えられるが、この場合、検査画像と検査個体の識別情報とを人手による紐づけすること必要となるだろう。また、人手による紐づけは、ヒューマンエラーの原因となる。本実施例では、MCU30が対象セルを特定し、かつ、対象セルに関連付けられている検査個体の識別情報に対して検査個体の検査画像を関連付ける。よって、従来によりユーザに必要とされる項数が削減され、かつ、検査個体の検査画像と検査個体の識別情報との関係を正しく記録することが可能となる。
【0224】
[観点B8]
図33が例示するように、MCU30は、検査個体の識別情報と、計数部により計数されたコロニーの数と、検査個体の検査画像と、を含むレポートを生成するレポート生成部として機能してもよい。これにより、ユーザは、どのサンプルの計測結果であるかを直感的に把握できるようになろう。
【0225】
[観点B9]
カウント表においてコロニーの数を入力されるセルには固有のセル識別情報が付与されていてもよい。図41が示すように、MCU30は、固有のセル識別情報を符号化した識別画像221をプリンタ38によりシール270(粘着面を有する樹脂または紙)に印刷してもよい。ユーザは、シャーレ15の側面にシール270を貼り付ける。なお、シャーレ番号は、固有のセル識別情報として利用されてもよい。識別情報取得部(例:MCU30、フロントカメラ10またはメインカメラ11)は、セル識別情報を取得するように構成されていてもよい。セル特定部(例:MCU30)は、識別情報取得部により取得されたセル識別情報に基づき対象セルを特定してもよい。これにより、ユーザが対象セルを指定する手間が省けるようになる。さらに、検査個体に対応した対象セルが正確に特定されるようになろう。
【0226】
[観点B10]
図28が示すように、識別情報取得部(例:MCU30)は、第一撮像部または第二撮像部によりユーザ認証情報を取得してもよい。これにより、ユーザ認証用の専用のカメラやコードリーダーを省略できるようになろう。
【0227】
[観点B11]
図27が例示するように、識別情報取得部(例:MCU30、フロントカメラ10またはメインカメラ11)は、印刷媒体(例:検査リスト220)に印刷された識別画像から識別情報を取得するように構成されていてもよい。
【0228】
[観点B12]
MCU30は、カウント表と、当該カウント表に関連付けられた識別情報とを含む検査リストのデータを作成するデータ作成部として機能してもよい。
【0229】
[観点B13]
識別情報取得部(例:MCU30、フロントカメラ10またはメインカメラ11)は、端末装置1cに表示された識別画像から識別情報を取得するように構成されていてもよい。これにより、紙媒体を削減することが可能となる。
【0230】
[観点B14]
通信回路34は、端末装置1cと通信し、端末装置1cに識別画像を送信する通信部の一例である。
【0231】
[観点B15]
MCU30は、ユーザ操作に応じてカウント表を作成し、記憶部に当該カウント表を記憶させる作成部として機能してもよい。
【0232】
[観点B16]
作成部(例:MCU30)は、コロニーの数のカウント結果を格納するセルに対して検査条件を関連付けてもよい。第一撮像部は、検査条件(例:露光時間、照明の種類、明るさ)にしたがって検査個体を撮像するように構成されていてもよい。
【0233】
[観点B17]
コロニー計数装置1は、第一撮像部を有する筐体(例:上部ユニット2、支持ユニット3および下部ユニット4)をさらに有してもよい。
【0234】
筐体は、検査個体を収容したシャーレ15を保持するステージ5と、検査個体を照明する照明部(例:リング照明装置12、13、同軸照明装置14)と、ユーザにより入力される計数指示を受け付ける受付部(例:第一ハードウエアボタン8a)と、を有してもよい。
【0235】
[観点B18]
コロニー計数装置1は、第一撮像部および第二撮像部を有する筐体(例:上部ユニット2、支持ユニット3および下部ユニット4)をさらに有してもよい。筐体は、検査個体を収容したシャーレ15を保持するステージ5と、検査個体を照明する照明部(例:リング照明装置12、13、同軸照明装置14)と、ユーザにより入力される計数指示を受け付ける受付部(例:第一ハードウエアボタン8a)とを有してもよい。さらに、筐体は、凹部4aを有してもよい。第二撮像部(例:フロントカメラ10)は、凹部に配置されていてもよい。受付部(例:第一ハードウエアボタン8a)は、ステージと凹部との間にある操作部(操作部8)に配置されていてもよい。これにより、簡単に、計数指示を入力することが可能となる。
【0236】
[観点B19]
コロニー計数装置1が第一状態にあるときに受付部(例:第一ハードウエアボタン8a)が撮像指示を受け付けると、第一撮像部が撮像を実行してもよい。コロニー計数装置1が第一状態と異なる第二状態にあるときに受付部が撮像指示を受け付けると、第二撮像部が撮像を実行してもよい。これにより、単一の受付部に対する同一の操作であるにも拘らず、異なる撮像部に撮像を指示することが可能となる。第一状態とは、たとえば、カウント表がすでに特定された状態である。第二状態とは、たとえば、カウント表がまだ特定されていない状態である。
【0237】
[観点B20]
コロニー計数装置を制御するプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、プロセッサに、
検査個体についてのコロニーのカウント結果が入力されるセルを含むカウント表と、当該カウント表に関連付けられた識別情報と、を記憶部に記憶させ、
前記識別情報を符号化した識別画像から当該識別情報を取得させ、
前記取得された前記識別情報に関連付けられている前記カウント表を前記記憶部から読み出させ、
前記読み出されたカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定させ、
ユーザの操作にしたがった計数指示を生成させ、
前記生成された計数指示に基づき前記検査個体の画像である検査画像を撮像させ、
前記撮像された検査画像に基づき前記検査個体に含まれるコロニーを計数させ、
前記特定された対象セルに、前記計数されたコロニーの数を反映させる。
【0238】
[観点B23]
コロニー計数装置を制御するプロセッサにおいて実行される制御方法であって、
検査個体についてのコロニーのカウント結果が入力されるセルを含むカウント表と、当該カウント表に関連付けられた識別情報と、を記憶部に記憶することと、
識別情報を符号化した識別画像から当該識別情報を取得することと、
前記取得された前記識別情報に関連付けられている前記カウント表を前記記憶部から読み出すことと、
前記読み出されたカウント表に含まれる複数のセルの中から、カウント結果が入力される対象セルを特定することと、
ユーザの操作にしたがった計数指示を生成することと、
前記生成された計数指示に基づき、前記検査個体の画像である検査画像を撮像することと、
前記撮像された検査画像に基づき前記検査個体に含まれるコロニーを計数することと、
前記特定された対象セルに、前記計数されたコロニーの数を反映することと、
を有する。
【0239】
[観点C]
[観点C1]
検査個体が載置される第一面と、前記第一面の裏面である第二面とを有し、前記第二面から前記第一面に光を透過可能なステージ(例:透過窓6)と、
前記ステージの前記第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された前記検査個体の検査画像を生成する撮像部(例:メインカメラ11)と、
前記ステージの前記第二面から前記第一面へ検査光のビームが透過するように、前記第二面に向けて前記検査光を照射する面光源(例:同軸照明装置14)と、
前記面光源と、前記ステージの前記第二面との間に配置され、前記検査光のビームの拡散度を調整する調光部(例:拡散板13c、13d)と、
少なくとも前記調光部を制御する制御部(例:MCU20、30、調光制御部13z)と、
前記面光源から出力され、前記調光部で拡散度が調整された前記検査光のビームが照射された前記検査個体を、前記撮像部により撮像することで生成された検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部(例:MCU20,30)と、
を有するコロニー計数装置。
【0240】
本実施例によれば、調光部が拡散度を調整可能であるため、拡散度を切り替える際のユーザの負担が軽減される。また、培養する菌種・培地の種類に合わせて最適な照明(拡散性)を選択することができ、カウント精度を向上させることができる。
【0241】
[観点C2]
前記面光源は、当該面光源から出力される前記検査光の配光角を規制する配光角規制部(例:配光規制板4301)を有する、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0242】
一般に面光源では各発光素子が独立していることから、光量のムラが発生する。特に面光源から平行光を検査光として検査個体に照射することがある。光量ムラは小さくするには、透過窓6から面光源を遠ざけねばならず、ヘッド装置1aが大型化してしまう。そこで、配光角規制部を採用することで、面光源から透過窓6までの距離を削減しても、光量ムラが少なくなる。
【0243】
[観点C3]
前記配光角規制部は、
前記面光源を形成する複数の発光素子(例:発光素子14a)の各々に対して配置される複数のライトガイド(例:ライトガイド4302)と、
前記複数のライトガイドの各々に対して配置される複数の絞り(例:絞り4303)と、
を有する、観点C2に記載のコロニー計数装置。
【0244】
このような構造を採用することで、所望の配光角が実現され、光量ムラが少なくなる。また、単一の光源とレンズ光学系で構成する場合と比較して、照射面積を維持しつつ、より小型に光学系を構成することができる。
【0245】
[観点C4]
前記複数の発光素子は、それぞれ半径が異なる複数の同心円のいずれか上に配置されている(例:図43)、観点C3に記載のコロニー計数装置。
【0246】
このように複数の発光素子を配置することでさらに光量ムラが少なくなる。
【0247】
[観点C5]
前記複数の同心円のうち半径の大きな同心円上に配置される複数の発光素子の配置間隔(例:i1)は、前記複数の同心円のうち半径の小さな同心円に配置される複数の発光素子の配置間隔(例:i2)よりも狭い(例:図43でi2>i1)、観点C4に記載のコロニー計数装置。
【0248】
このように複数の発光素子を配置することで、面光源の中心部の光量と外縁部の光量との差が小さくなる。
【0249】
[観点C6]
前記配光角規制部は、前記面光源と前記調光部との間に配置されたテレセントリックレンズ(例:テレセントリック光学系4802)を有する、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0250】
このように配光角規制部がテレセントリックレンズにより実現されてもよい。
【0251】
[観点C7]
前記調光部は、第一拡散度と、第二拡散度との間で前記拡散度を切り替え可能であり、
前記第一拡散度は、前記第二拡散度よりも大きい、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0252】
このように少なくとも二つの拡散度を実現可能な調光部が採用されてもよい。これにより、ユーザは、簡単に拡散度を選択できるようになろう。
【0253】
[観点C8]
前記撮像部は、前記調光部により前記検査光のビームの拡散度が前記第一拡散度に切り替えられることにより、前記検査個体を収容する容器(例:シャーレ15)の傷または前記検査個体に起因するノイズが低減された検査画像を生成する、観点C7に記載のコロニー計数装置。
【0254】
拡散度を大きくすることで、検査個体を収容する容器の傷や、検査個体に起因するノイズを低減することができ、カウントを正確に実行することが可能となろう。
【0255】
[観点C9]
前記撮像部は、前記調光部により前記検査光のビームの拡散度が前記第二拡散度に切り替えられることにより、前記コロニーの輪郭が強調された検査画像を生成する、観点C7に記載のコロニー計数装置。
【0256】
MCU30は、検査条件に従って、コロニーの円形度、アスペクト比、面積、周長などを計測することがある。この場合、コロニーの輪郭が強調される第二拡散度が有効であろう。
【0257】
[観点C10]
前記検査画像を取得する際に前記調光部に設定された拡散度と、当該検査画像とを対応付けて記憶する記憶部(例:記憶装置35)をさらに有する、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0258】
拡散度は検査条件28の一つである。図4が示すように検査条件28はカウント表55,検査画像と紐づけられて記憶装置35に記憶される。つまり、検査画像29を取得する際に調光部に設定された拡散度と検査画像29とが紐付けられて記憶装置35に記憶される。
【0259】
[観点C11]
前記制御部は、前記計数部による計数対象の前記検査画像として、前記調光部を制御して前記検査個体に第一拡散度の検査光が照射された状態で、前記撮像部を制御して第一検査画像(例:高拡散度の検査画像5301、5501)を取得するとともに、前記調光部を制御して前記検査個体に前記第一拡散度よりも小さい二拡散度の検査光が照射された状態で、前記撮像部を制御して第二検査画像(例:低拡散度の検査画像5302、5502)を取得するように構成されており、
前記コロニー計数装置は、さらに、
前記第一検査画像と前記第一拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて記憶部に登録するとともに、前記第二検査画像と前記第二拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて前記記憶部に登録する登録部と、
前記第一検査画像と、前記第二検査画像と、の差分を算出することで、前記第一検査画像と前記第二検査画像との双方で明領域として観察される外乱の影響を抑制した外乱抑制画像を生成する画像処理部と、を有し、
前記計数部は、前記検査画像として、前記画像処理部により生成された前記外乱抑制画像に基づいて前記コロニーの数を計数する、観点C10に記載のコロニー計数装置。
【0260】
MCU30は、検査画像5301、5501と第一拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて記憶装置35に登録する登録部として機能する。さらに、MCU30は、第二検査画像5302、5502と第二拡散度に関する拡散度情報とを対応付けて記憶装置35に登録する登録部として機能する。拡散度情報は、数値、レベル、程度(強弱、大小、高低)、機能(ノイズ低減オン/オフ)などを含みうる。
【0261】
[観点C12]
前記調光部は、電気的に拡散度を変更可能な拡散部材(例:拡散板13c、液晶フィルムタイプの拡散フィルム4901、4902)を有し、
前記制御部は、前記拡散部材の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0262】
これにより即座に拡散度を切り替えることが可能となる。また、拡散部材の設置スペースを削減することが可能となる。
【0263】
[観点C13]
前記調光部は、電気的に拡散度を変更可能な複数の拡散部材(例:拡散板13c、液晶フィルムタイプの拡散フィルム4901、4902)を有し、
前記制御部は、前記複数の拡散部材の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0264】
上記の実施例では拡散板13cが拡散フィルム4901、4902により実現されているが、拡散板13dも拡散フィルム4901、4902により実現されてもよい。つまり、拡散板13dも拡散板13cと同様に拡散度を切り替え可能であってもよい。
【0265】
[観点C14]
前記制御部(例:調光制御部13z)は、前記拡散部材に印加される電圧を変化させることで、前記拡散部材の拡散度を変更する、観点C12または13に記載のコロニー計数装置。
【0266】
このように電気的パラメータを変更することで拡散度が変更できるため、調光部および制御部の実装が容易になろう。
【0267】
[観点C15]
前記調光部は、
透光性を有する透明基板(例:ガラス板などの基材4900)と、
前記透明基板の第一面に設けられた第一拡散フィルム(例:拡散フィルム4901、4902)と、
前記透明基板の第二面に設けられた第二拡散フィルム(例:拡散フィルム4901、4902)と、
を有し、
前記制御部(例:調光制御部13z)は、前記第一拡散フィルムと前記第二拡散フィルムとのうちの少なくとも一方の拡散度を電気的に変更することで、前記調光部の拡散度を変更する、
観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0268】
このように複数の拡散フィルムの拡散度を選択的に変更することで、複数の拡散度を実現することが可能となる。また、複数の拡散フィルムのうち、より光量ムラを小さくできるような拡散フィルムをMCU30が優先的に使用してもよい。
【0269】
[観点C16]
前記調光部は、
所定の拡散度を有する拡散部材(例:拡散板13c、13d)と、
前記拡散部材を前記検査光の光路中に配置したり、前記拡散部材を前記光路中から退避させたりするよう前記拡散部材を移動するアクチュエータ(例:モータ13e)と、
を有し、
前記制御部(例:調光制御部13z)は、前記アクチュエータを制御することで、前記検査光のビームの拡散度を変更する、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0270】
ヘッド装置1aのサイズに余裕がある場合、このような機械的な拡散度調整機構が採用されてもよい。これにより、ユーザは簡単に拡散度を切り替えることが可能となる。
【0271】
[観点C17]
培地の種別ごとに拡散度の設定を受け付ける設定受付部(例:MCU30,UI5400、チェックボックス5403)と、
前記ステージに載置された前記検査個体の培地の種別の入力を受け付ける種別受付部(例:MCU30,ダイアログ90)と、
をさらに有し、
前記制御部は、前記種別受付部により受け付けられた前記検査個体の前記培地の前記種別に対応する拡散度を特定し、当該特定された拡散度に応じて前記調光部を制御するように構成されている、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0272】
このように、MCU30は、キーボード32やポインティングデバイス33を通じて、培地の種別ごとに拡散度を受け付け、培地の種別と拡散度とを紐づけて記憶装置35に記憶してもよい。さらに、MCU30は、キーボード32やポインティングデバイス33を通じて、ステージに載置された検査個体の培地の種別の入力を受け付けてもよい。MCU30は、種別受付部により受け付けられた検査個体の培地の種別に対応する拡散度を特定し、当該特定された拡散度に応じて拡散板13cを制御してもよい。
【0273】
[観点C18]
前記検査個体を識別する識別情報と、前記検査個体に適用される前記調光部の拡散度に関する拡散度情報と、前記計数部により取得される前記コロニーの数と、を記録するカウント表を作成する作成部(例:MCU30)をさらに有し、
前記制御部は、
前記カウント表からセルの選択を受け付け、
前記受け付けたセルに対応する前記拡散度情報に基づき前記調光部の前記拡散度を制御するように構成されており、
前記計数部は、前記コロニーの数を前記受け付けたセルに書き込むように構成されている、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0274】
このように、MCU30は、検査個体を識別する識別情報と、検査個体に適用される調光部の拡散度に関する拡散度情報と、計数部により取得されるコロニーの数と、を記録するカウント表を作成する作成部として機能する。MCU30は、カウント表の拡散度情報に基づき調光部の拡散度を制御するように構成されてもよい。さらに、MCU30は、コロニーの数をカウント表に書き込む。
【0275】
[観点C19]
前記検査個体は、容器と、当該容器に収容され、菌が塗布された培地(例:培地5601)と、当該培地に置かれた薬剤(例:薬剤5602)と、を含み、
前記コロニー計数装置は、さらに、
前記検査画像から、前記薬剤が広がることで前記菌の周囲に形成される阻止円のサイズ(例:直径Dc)を演算する演算部(例:MCU30)をさらに有する、観点C1に記載のコロニー計数装置。
【0276】
図56が示すように阻止円5603を測定するためにコロニー計数装置1が利用されてもよい。従来は、ノギス等を用いて阻止円5603が計測されていたが、本実施例であれば、コロニー計数装置1を用いて容易に阻止円5603を計測できるようになる。
【0277】
[観点C20]
検査個体を載置される第一面と、前記第一面の裏面である第二面とを有し、前記第二面から前記第一面に光を透過可能なステージと、
前記ステージの前記第一面に対向して配置され、当該ステージに載置された前記検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記ステージの前記第二面から前記第一面へ検査光のビームが透過するように、前記第二面に向けて前記検査光を照射する面光源と、
前記面光源と、前記ステージの前記第二面との間に配置され、前記検査光のビームの拡散度を調整する調光部と、を有するコロニー計数装置の制御方法であって、
前記調光部に前記拡散度を設定することと、
前記面光源を点灯することと、
前記面光源から出力され、前記調光部で拡散度を調整され、前記ステージの前記第二面から入射して前記ステージの前記第一面から出射した前記検査光のビームが照射された前記検査個体を、前記撮像部により撮像することで検査画像を生成することと、
前記検査画像に含まれるコロニーの数を計数することと、
を有する制御方法。
【0278】
[観点C21]
観点C20に記載の制御方法をコロニー計数装置に実行させる、プログラム。
【0279】
[観点C22]
培地の種別ごとに拡散度の設定を受け付ける設定受付部(例:MCU30,UI5400、チェックボックス5403)と、
検査個体を載置されるステージと、
前記ステージに載置された前記検査個体の培地の種別の入力を受け付ける種別受付部(例:MCU30,ダイアログ90)と、
前記ステージに載置された前記検査個体に対して検査光を照射する照明部と、
前記照明部から照射された前記検査光が前記検査個体に至るまでの光路中に設けられ、前記照明部から照射された前記検査光の拡散度を調整する調光部と、
前記種別受付部により受け付けられた前記検査個体の前記種別に対応する拡散度を特定し、当該特定された拡散度に応じて前記調光部を制御する制御部(例:MCU20、MCU30、調光制御部13z)と、
前記照明部から照射され、前記調光部を透過し、前記ステージに載置された前記検査個体を透過または前記検査個体で反射してきた検査光を受光し、当該検査個体の検査画像を生成する撮像部と、
前記調光部を介して前記検査光が照射された前記検査個体について、前記撮像部により生成された前記検査画像に含まれるコロニーの数を計数する計数部と、
を有するコロニー計数装置。
【0280】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56