(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093435
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】プラットフォームシステム、情報管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209811
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】521501761
【氏名又は名称】VFR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 浩一郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】工業製品の設計を行う為の新規な技術を提供すること
【解決手段】工業製品の設計のためのプラットフォームシステムであって、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理するプロジェクト管理部と、を備え、前記プロジェクト管理部は、前記プロジェクト情報に対し、複数の前記資源情報を関連付けることで、前記プロジェクト参加者が特定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業製品の設計のためのプラットフォームシステムであって、
ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、
工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、
工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理するプロジェクト管理部と、を備え、
前記プロジェクト管理部は、前記プロジェクト情報に対し、複数の前記資源情報を関連付けることで、前記プロジェクト参加者が特定される、プラットフォームシステム。
【請求項2】
前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いる部品の設計データを含み、
複数の前記部品の設計データを組み合わせて工業製品の設計データを生成し、該設計データを、設計者、及び組み合わせた部品の設計データの保有者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、
前記プロジェクト管理部は、前記工業製品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項3】
前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いる部品の設計データを含み、
前記部品の設計データを用いて独自部品の設計データを生成し、該設計データを、設計者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、
前記プロジェクト管理部は、前記独自部品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項4】
前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いるソフトウェア部品の設計データを含み、
前記ソフトウェア部品の設計データを用いて、独自のソフトウェア部品の設計データを生成し、該設計データを、設計者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、
前記プロジェクト管理部は、前記独自のソフトウェア部品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項5】
前記部品の設計データは、部品の三次元モデルデータを含み、
前記設計管理部は、設計用の仮想空間上において、前記三次元モデルデータの組み合わせ、配置指定又は加工を受け付けて、前記設計データを生成する、請求項2又は請求項3に記載のプラットフォームシステム。
【請求項6】
前記プロジェクト情報及び前記設計データの1又は複数は、トークン化して管理され、
プロジェクトの報酬を示す報酬情報を、前記プロジェクト参加者のユーザ情報に対して設定する報酬設定部と、
前記トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、
前記報酬設定部は、前記所有権又は使用権に基づいて前記プロジェクト参加者を決定し、前記所有権又は使用権が移転された場合には、移転元のユーザ情報に設定された前記報酬情報に基づき、移転先のユーザ情報に設定する前記報酬情報を設定する、請求項2又は請求項3に記載のプラットフォームシステム。
【請求項7】
プロジェクトの報酬を示す報酬情報を、前記プロジェクト参加者のユーザ情報に対して設定する報酬設定部と、
トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、
前記権利管理部は、前記報酬情報、及び報酬が設定されたプロジェクト参加者のユーザ情報を用いて、ブロックチェーンに報酬情報トークンの発行を要求する、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項8】
前記ユーザは、プロジェクト作成者、及び製品設計者を含み、
前記プロジェクト情報は、トークン化して管理され、
前記トークン化された各情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、
前記権利管理部は、前記プロジェクト作成者よりプロジェクト登録を受け付けて、ブロックチェーンにプロジェクトトークンの発行を要求し、
前記設計管理部は、前記プロジェクトトークンの所有権又は使用権を有する設計者に対し、前記プロジェクト情報に対する前記設計データの登録を許可する、請求項2~4の何れかに記載のプラットフォームシステム。
【請求項9】
前記資源情報は、他の資源情報に関連付け可能な知的財産権情報を含み、
該知的財産権情報は、知的財産権を特定する情報、及び使用料率を含む、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項10】
プロジェクト情報に基づいてプロジェクトを公開し、出資募集情報に基づいて、公開した該プロジェクト情報に対して、ユーザからの出資を受け付けるプラットフォーム提供部を備える、請求項1に記載のプラットフォームシステム。
【請求項11】
コンピュータ装置が実行する工業製品の設計のための情報管理方法であって、
前記コンピュータ装置は、記憶部に格納されたコンピュータ読取可能な命令を実行するように構成された1又は複数の処理部を含み、
前記記憶部は、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、
工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、を含み、
情報管理方法は、前記処理部が、
工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理する工程と、
前記プロジェクト情報に対し、前記資源情報を関連付けることで、前記プロジェクト参加者が特定される工程と、を有する情報管理方法。
【請求項12】
コンピュータ装置が実行する工業製品の設計のためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータ装置の記憶部は、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、
工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、を含み、
前記コンピュータ装置に、
工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理させ、
前記プロジェクト情報に対し、前記資源情報を関連付けさせることで、前記プロジェクト参加者が特定されるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品の設計のためのプラットフォームシステム、情報管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、個人又は組織がウェブプラットフォーム上に工業製品デザインや製品コンセプト等を公開し、それに対する出資や事前予約注文等を受付けることが行われていた。
【0003】
特許文献1には、いわゆるクラウドファンディングのような予約販売システムにおいて、情報処理装置が、所定の商品又はサービスに対する予約販売を受け付け、予約販売の受付状況を公開するプラットフォームを提供し、プラットフォームに登録されたプロジェクトの中から、少なくとも一のプロジェクトを選択することと、選択されたプロジェクトの商品又はサービスに対し、商品又はサービスを他人に提供するバイヤからの発注要求を取得することと、発注要求に関する処理を実行することと、を含む予約販売システムに関する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、デザイナーが製作したデザイン画像をデジタルデータ化し、個々のデータを選択・区分けし、関連付けして保存・蓄積するデザイン・データベースと、デザイン画像をライブラリ化し、店舗、建設会社等の不特定多数の顧客へ通信ネットワークを介して、公開・受注・再現・販売するデザイン管理本部と、デザイン画像を登録するデザイナーと、公開されたデザイン画像を参照して希望する商品を発注依頼する顧客と、顧客からの依頼又はデザイン管理本部からの指示により受注・製品化・施工・納品を行う代理店との各端末装置で構成されるコンピュータシステムに関する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、第1のユーザ端末または第2のユーザ端末により実行される、デザイン情報に基づく製品化依頼処理、および、第2のユーザ端末または第3のユーザ端末により実行される、プロダクト情報に対応付けられる製品の購入処理を受け付ける流通手段と、購入処理を最初に実行した第2のユーザ端末に対し、当該製品の代理販売権限を設定する管理手段と、を有すること、を特徴とするワンオフモデル流通システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-086171号公報
【特許文献2】特開2002-183469号公報
【特許文献3】特開2020-098482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工業製品を提供するまでの過程では、製品アイデアの創出から製品設計等を経て、製品製造、検査、販売等が行われる。なお、製品のデザイン(意匠設計)はアイデア創出又は製品設計のプロセスに含まれる場合もあれば、これらと独立している場合もある。しかしながら、従来技術では、創出したアイデアを設計に落とし込んだり、設計に基づく以降のプロセスを実行する為の資源(ノウハウや部品、設備等)を有した企業でなければ、工業製品の設計、及び設計より後の工程を行うことはできなかった。そのため、部分的にしか資源を保有しない又は、資源を保有しない個人、組織は、それら資源を十分に保有する企業と協力したり、企業に所属しなければ、アイデアに基づく、工業製品の設計等を行うことができない。
【0008】
上記事情を鑑みて、本発明は、工業製品の設計を行う為の新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、工業製品の設計のためのプラットフォームシステムであって、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理するプロジェクト管理部と、を備え、前記プロジェクト管理部は、前記プロジェクト情報に対し、複数の前記資源情報を関連付けることで、前記プロジェクト参加者が特定される。
【0010】
また、本発明は、コンピュータ装置が実行する工業製品の設計のための情報管理方法であって、前記コンピュータ装置は、記憶部に格納されたコンピュータ読取可能な命令を実行するように構成された1又は複数の処理部を含み、前記記憶部は、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、を含み、情報管理方法は、前記処理部が、工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理する工程と、前記プロジェクト情報に対し、前記資源情報を関連付けることで、前記プロジェクト参加者が特定される工程と、を有する。
【0011】
また、本発明は、コンピュータ装置が実行する工業製品の設計のためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ装置の記憶部は、ユーザ情報を格納するユーザ情報データベースと、工業製品の資源情報を、その保有者のユーザ情報と紐付けて格納する資源情報データベースと、を含み、前記コンピュータ装置に、工業製品の設計に関するプロジェクト情報を、その作成者を含むプロジェクト参加者のユーザ情報と紐づけて管理させ、前記プロジェクト情報に対し、前記資源情報を関連付けさせることで、前記プロジェクト参加者が特定される。
【0012】
このような構成とすることで、資源情報を部分的にしか持たないユーザであっても、他者の資源情報を活用して工業製品の設計を行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いる部品の設計データを含み、複数の前記部品の設計データを組み合わせて工業製品の設計データを生成し、該設計データを、設計者、及び組み合わせた部品の設計データの保有者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、前記プロジェクト管理部は、前記工業製品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける。
【0014】
このような構成とすることで、部品の設計データを組み合わせて、工業製品の設計データを生成することができ、工業製品の設計者や部品の設計データの提供者等をプロジェクト参加者とすることもできる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いる部品の設計データを含み、前記部品の設計データを用いて独自部品の設計データを生成し、該設計データを、設計者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、前記プロジェクト管理部は、前記独自部品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける。
【0016】
このような構成とすることで、部品の設計データを用いて、独自部品の設計データを生成することができ、独自部品の設計者やその元となる部品の設計データの提供者等をプロジェクト参加者とすることもできる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記部品の設計データは、部品の三次元モデルデータを含み、前記設計管理部は、設計用の仮想空間上において、前記三次元モデルデータの組み合わせ、配置指定又は加工を受け付けて、前記設計データを生成する。
【0018】
このような構成とすることで、仮想空間上において設計データの作成を行うことができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記資源情報は、工業製品の製品設計に用いるソフトウェア部品の設計データを含み、前記ソフトウェア部品の設計データを用いて、独自のソフトウェア部品の設計データを生成し、該設計データを、設計者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する為の設計管理部を備え、前記プロジェクト管理部は、前記独自のソフトウェア部品の設計データを前記プロジェクト情報と紐づけることで、前記プロジェクト情報に対して資源情報を関連付ける。
【0020】
このような構成とすることで、ソフトウェア部品の設計データを用いて、独自のソフトウェア部品の設計データを生成することができ、独自のソフトウェア部品の設計者やその元となるソフトウェア部品の設計データの提供者等をプロジェクト参加者とすることもできる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記プロジェクト情報及び前記設計データの1又は複数は、トークン化して管理され、プロジェクトの報酬を示す報酬情報を、前記プロジェクト参加者のユーザ情報に対して設定する報酬設定部と、前記トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、前記報酬設定部は、前記所有権又は使用権に基づいて前記プロジェクト参加者を決定し、前記所有権又は使用権が移転された場合には、移転元のユーザ情報に設定された前記報酬情報に基づき、移転先のユーザ情報に設定する前記報酬情報を設定する。
【0022】
このような構成とすることで、プロジェクトに紐付けられたトークンの移転等により、プロジェクト参加者の報酬を移転させることができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、プロジェクトの報酬を示す報酬情報を、前記プロジェクト参加者のユーザ情報に対して設定する報酬設定部と、トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、前記権利管理部は、前記報酬情報、及び報酬が設定されたプロジェクト参加者のユーザ情報を用いて、ブロックチェーンに報酬情報トークンの発行を要求する。
【0024】
このような構成とすることで、プロジェクトによって提供される報酬をトークン化して管理することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記ユーザは、プロジェクト作成者、及び製品設計者を含み、前記プロジェクト情報は、トークン化して管理され、前記トークン化された各情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する為の権利管理部を備え、前記権利管理部は、前記プロジェクト作成者よりプロジェクト登録を受け付けて、ブロックチェーンにプロジェクトトークンの発行を要求し、前記設計管理部は、前記プロジェクトトークンの所有権又は使用権を有する設計者に対し、前記プロジェクト情報に対する前記設計データの登録を許可する。
【0026】
このような構成とすることで、プロジェクトに対して参加する権限を持ったユーザが、プロジェクトに対する資源情報の関連付けを行うことができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記資源情報は、他の資源情報に関連付け可能な知的財産権情報を含み、該知的財産権情報は、知的財産権を特定する情報、及び使用料率を含む。
【0028】
このような構成とすることで、資源情報に関連付けられた知的財産権を加味して、報酬の設定などが可能となる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、プロジェクト情報に基づいてプロジェクトを公開し、出資募集情報に基づいて、公開した該プロジェクト情報に対して、ユーザからの出資を受け付けるプラットフォーム提供部を備える。
【0030】
このような構成とすることで、プロジェクトを公開して、プロジェクトに対する出資の受け付けが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、工業製品の設計を行う為の新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一実施形態のシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】一実施形態のシステムのハードウェア構成図。
【
図3】一実施形態の工業製品の製造プロジェクト進行手順例。
【
図4】一実施形態のプラットフォームシステムの機能ブロック図。
【
図5】一実施形態のプロジェクト作成工程を示すフローチャート。
【
図6】一実施形態の製品設計工程を示すフローチャート。
【
図7】一実施形態の製造工程を示すフローチャート。
【
図8】一実施形態の報酬分配工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0034】
例えば、本実施形態ではプラットフォームシステム0の構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態では、クライアント端末でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させる、いわゆるサーバ・クライアント型のシステムについて説明する。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、さらに外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0035】
<1.1.システム構成>
図1は、一実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プラットフォームシステム0は、情報処理装置10、ユーザ端末装置90、ブロックチェーンネットワークシステムBC、及びネットワークNWを備える。情報処理装置10及びユーザ端末装置90と、情報処理装置10及びブロックチェーンネットワークシステムBCがそれぞれ、IP(Internet Protocol)ネットワーク等のネットワークNWを介して通信可能に構成される。
【0036】
ブロックチェーンネットワークシステムBCは、複数のコンピュータノード(以降、単にノードと呼称する)によって構成されるP2P(Peer to Peer)型ネットワークである。ブロックチェーンネットワークシステムBCを構成するノード同士も、ネットワークNW、又はその他のネットワークを介して通信可能に構成される。独自に設計されたブロックチェーンネットワークシステムによってブロックチェーンネットワークシステムBCが実現されてもよいし、EthereumやHyperledger Fabric等の既存のブロックチェーンプラットフォームを利用して実現されてもよい。
【0037】
<1.2.ハードウェア構成>
情報処理装置10は、汎用のサーバ向けのコンピュータ、パーソナルコンピュータ等によって構成される。また、ブロックチェーンネットワークシステムBCを構成するノードも、例えば、情報処理装置10によって構成される。ユーザ端末装置90は、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末、VRヘッドセット、並びに片手用又は両手用入力デバイス等によって構成される。
【0038】
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、処理部101、記憶部102及び通信部103を備える。
【0039】
処理部101は、命令セットを実行可能なCPU等のプロセッサを有し、後述の機能構成要素を実現する為の各プログラム、OSやその他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
記憶部102は、命令セットを記憶可能なRAM等の揮発性メモリ、OS及び上述のプログラム等を記録可能なHDDやSSD等の不揮発性の記録媒体を有する。
通信部103は、ネットワークに接続するための通信インタフェース装置を有し、通信制御を実行して情報の入出力を行う。
【0040】
図2(b)に示すようにユーザ端末装置90は、処理部901、記憶部902、通信部903、入力部904及び、表示部905を有する。
【0041】
処理部901は、命令セットを実行可能なCPU等のプロセッサを有し、OSやその他のアプリケーションを実行することで、端末装置の動作処理全体を制御する。
記憶部902は、命令セットを記憶可能なRAM等の揮発性メモリ、OS等を記録可能なHDDやSSD等の不揮発性の記録媒体を有する。
通信部903は、ネットワークに接続するための通信インタフェース装置を有し、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
入力部904は、キーボードやタッチパネル等の入力処理が可能な入力デバイスを有する。
表示部905は、ディスプレイ等の表示処理が可能な表示デバイスを有する。
【0042】
<1.3.工業製品の製造プロジェクト進行手順例>
図3は、本実施形態における工業製品の製造プロジェクトの進行手順の一例である。本実施形態では、情報処理装置10が、工業製品製造に関するプロジェクト管理の為のプラットフォーム機能を提供する。
【0043】
<1.3.1.プロジェクト作成工程>
ステップS1において、プロジェクト作成者となるユーザは、工業製品のアイデアの登録を行い、プロジェクトを作成してプラットフォームに登録する。プラットフォームは、作成されたプロジェクトの公開機能を有し、他のユーザからプロジェクトが閲覧可能となる。なお、本実施形態ではプロジェクト作成者が、工業製品のデザイン(意匠設計)についても作成し、製品デザインデータをプロジェクトと関連付けて登録するものとして説明するが、プロジェクトの公開後、意匠設計者となるユーザが該プロジェクトに係る工業製品の製品デザインデータを作成・登録するように構成してもよい。即ち、意匠設計者は、プロジェクト作成者と同一ユーザであってもよいし、別のユーザであってもよい。
【0044】
プロジェクト管理者は、ステップS1においてステップS1’を実行し、プロジェクトに対するユーザからの出資を受け付ける。例えば、プロジェクト管理者は、出資に係る目標額を登録し、プラットフォームは、プロジェクトを出資可能に公開する。プラットフォームは、例えば、ユーザからの出資額が目標額に到達した場合には、プロジェクトを次の段階に進める。ステップS1’では、プロジェクト管理者は、プロジェクトに係る工業製品の試作を行う為の目標額等を登録し、ユーザからの出資額が目標額に到達した場合には、プロジェクトを以降のステップに進める。
【0045】
<1.3.2.製品設計工程>
ステップS2においては、製品設計者となるユーザが、プロジェクトの情報、製品デザインデータを基に該プロジェクトに係る工業製品の製品設計データを作成・登録する。製品設計者は、プロジェクト作成者と同一ユーザであってもよいし、別のユーザであってもよい。製品設計データの作成前又は作成中に、必要に応じて独自部品(ハードウェア部品/ソフトウェア部品)の部品設計者(独自部品設計者)となるユーザが、プロジェクトの情報、製品デザインデータ等を基に独自部品の設計データである独自部品設計データ/ソフトウェア部品を作成・登録する。独自部品設計者は、プロジェクト作成者又は製品設計者と同一ユーザであってもよいし、別のユーザであってもよい。ここで、独自部品設計データは、独自部品設計者によってゼロベースで作られてもよいし、データベースに格納された部品の設計データをベースに、変更或いは他の部品の設計データを組み合わせて作られてもよい。
【0046】
<1.3.3.製造工程>
ステップS3では、工業製品の製造者(工業製品製造者)となるユーザが、製品設計データに基づいて工業製品の製造プロセスを実行する。工業製品の製造プロセスは、試作製造プロセスと量産製造プロセスを含み得る。また、試作製造プロセスの開始前又は実行中に、必要に応じて独自部品の部品製造者(独自部品製造者)となるユーザが、独自部品設計データに基づいて独自部品の製造プロセスを実行してもよい。独自のハードウェア部品の製造プロセスも同様に、試作製造プロセスと量産製造プロセスが含み得る。ソフトウェア部品は工業製品の製造プロセスにおいて既製品部品又は独自部品に対して組み合わせ(デプロイ、インストール、設定等)されてもよいし、独自部品の製造プロセスにおいて既製品部品又は独自部品に対して組み合わせされてもよい。即ち、ソフトウェア部品については、製造プロセスが、ソフトウェアを動作主体(部品や工業製品、アプリケーションサーバ)にデプロイやインストール、公開等するプロセスを含んでいてもよいし、アプリケーションの配布プラットフォーム(アプリストア等)に公開、リリース等するプロセスを含んでいてもよい。或いは、工業製品の製造プロセスがソフトウェア部品をデプロイやインストール、公開、リリース等するプロセスを含んでいてもよい。独自部品製造者は、プロジェクト作成者、製品設計者、独自部品設計者、又は工業製品製造者と同一ユーザであってもよいし、別のユーザであってもよい。
【0047】
プロジェクト管理者は、ステップS3においてステップS3’を実行し、プロジェクトに対するユーザからの出資を受け付ける。ステップS1’と同様に、プロジェクト管理者は、出資に係る目標額を登録し、プラットフォームは、プロジェクトを出資可能に公開する。プラットフォームは、例えば、ユーザからの出資額が目標額に到達した場合には、プロジェクトを次の段階に進める。ステップS3’では、プロジェクト管理者は、プロジェクトに係る工業製品の量産を行う為の目標額等を登録し、ユーザからの出資額が目標額に到達した場合には、プロジェクトを以降のステップ(例えば、工業製品の量産製造等)に進める。
【0048】
<1.3.4.報酬分配工程>
そして、ステップS4では、販売者となるユーザが、製造された工業製品の販売プロセスを実行し、販売実績がプラットフォームに登録される。プラットフォームは、登録された販売実績に基づいて、プロジェクトの参加者(プロジェクト参加者)に対する報酬分配を行う。
【0049】
なお、本実施形態では、ユーザからの出資を受ける回数をステップS1’、S3’の2回としたが、回数は任意であってもよく、プロジェクト管理者等、参加者の自己資金で製品化を行う場合には出資を受けなくてもよい。また、プラットフォームが、出資を募集・申込可能にプロジェクトを公開する(出資を受ける)タイミングを、プロジェクトの登録後~設計前のフェーズ(ステップS1とステップS2の間)及び、設計後~製造前のフェーズ(ステップS3)とした。このフェーズのタイミングは一例であり、任意のタイミングに、任意の目的で出資を募ることが可能であってもよい。
【0050】
<1.4.プラットフォームシステム0の機能構成>
図4は、プラットフォームシステム0の機能ブロック図である。
図4に示すように、情報処理装置10の処理部101は、プラットフォーム提供部11、プロジェクト管理部12、設計管理部21(製品設計管理部22、部品設計管理部23、ソフトウェア設計管理部24)、権利管理部31、報酬設定部32、販売管理部41、報酬割り当て部42、及びデータベースDBを備える。データベースDBは、ユーザ情報DB51、資源情報DB61(プロジェクト情報DB62、ハードウェア部品情報DB63、ソフトウェア部品情報DB64、製品設計情報DB65、知的財産権情報DB66、機能/技能資源情報DB67、製造資源情報DB68)、トークン管理DB71、契約情報DB72、購入者情報DB81、及び販売実績DB82を備える。
【0051】
なお、情報処理装置10及び機能構成要素の配置、組み合わせは一例である。本実施形態では、情報処理装置10として、単独のコンピュータがこれらの各機能構成要素を有するものとして説明するが、各機能構成要素が、ネットワーク等を介して通信可能な複数のコンピュータが各機能構成要素を有していてもよい。ネットワークは、該ネットワークNWであってもよいし、その他のネットワーク(例えば、無線LAN(Local Area Network)やイーサネット)等であってもよい。機能構成要素の一部は、ユーザ端末装置90側においてプログラムを実行することで、実現されてもよい。
【0052】
<1.5.プラットフォーム>
プラットフォーム提供部11は、ユーザに対してプラットフォームを提供する。該プラットフォーム上で上述の機能が提供される。本実施形態では、プラットフォーム提供部11は、ユーザ端末装置90からのリクエストに応じて、プラットフォームを介した情報の入出力を処理し、表示処理結果を返送することで、プラットフォーム機能を実現する。例えば、プラットフォーム提供部11は、ユーザ端末装置90のウェブブラウザアプリケーションを介して、プラットフォーム機能を提供する。以降、不明ならない範囲でプラットフォーム提供部11の介在は省略する。
【0053】
<1.6.ユーザ情報>
ユーザ情報DB51は、プラットフォームを利用するユーザのユーザ情報を格納する。ユーザ情報は、例えば、プラットフォームを介してユーザ情報DB51に登録される。本実施形態では、ユーザ情報として、ユーザの識別情報に紐付けて、ユーザの氏名/名称、住所、連絡先(メールアドレス等)、報酬受取先(銀行口座や仮想通貨のウォレットアドレス等)の情報が格納される。なお、ユーザは個人であってもよいし、法人などの組織であってもよい。なお、ユーザ情報の登録に際しては、本人確認等が実施されることが好ましい。
【0054】
本実施形態では、ユーザ端末装置90を操作するユーザについて、特に以下のように区分する場合がある。
プロジェクト登録を行うユーザをプロジェクト作成者、プロジェクトに関する管理権を保有するユーザをプロジェクト管理者と呼称する。プロジェクト作成者がプロジェクト管理者を兼ねる場合もあれば、プロジェクト作成者から直接、或いは間接的に管理権を移転されたユーザがプロジェクト管理者となる場合がある。
プロジェクトに対して出資を行うユーザを出資者と呼称する。
部品の設計データを提供するユーザを設計データ提供者と呼称する。データを設計する部品設計者が設計データ提供者を兼ねる場合もあれば、部品設計者から直接、或いは間接的に管理権を移転されたユーザが設計データ提供者となる場合がある。
製品設計データを提供するユーザを製品設計データ提供者と呼称する。製品設計データを作成する製品設計者が製品設計データ提供者を兼ねる場合もあれば、製品設計者から直接、或いは間接的に管理権を移転されたユーザが製品設計データ提供者となる場合がある。
部品の製造設備などを保有し、部品を製造するユーザを部品製造者と呼称する。特に、製造する部品が独自部品の場合には独自部品製造者と呼称する。部品が既製品部品の場合は、部品卸である部品提供者より部品が提供されてもよい。工業製品の製造設備などを保有し、製品設計データに基づいて部品を組み合わせて工業製品を製造するユーザを工業製品製造者と呼称する。
製造された工業製品に対する受注・配送などを行うユーザを、販売者と呼称する。
なお、ある区分のユーザが他の区分(例えば、プロジェクト作成者が部品設計者や工業製品製造者、販売者等)を兼ねても構わない。
【0055】
<1.7.資源情報>
資源情報DB61は、プロジェクトに対して関連付けられる工業製品製造の為の資源に関する情報である資源情報を格納する。資源情報は、例えば、プラットフォームを介して資源情報DB61に登録される。資源情報は、無形資産に係る情報、及び有形資産に係る情報を含む。無形資産に係る情報としては、プロジェクト情報、既製品/独自部品の設計データ、組織の機能や個人の技能、知的財産権等が挙げられる。有形資産に係る情報としては、部品や製品の製造設備等が挙げられる。本実施形態では、資源情報DB61は、プロジェクト情報DB62、ハードウェア部品情報DB63、ソフトウェア部品情報DB64、製品設計情報DB65、知的財産権情報DB66、機能/技能資源情報DB67、及び製造資源情報DB68を含む。
【0056】
<2.1.プロジェクト作成工程>
図5は、プロジェクト作成工程を示すフローチャートである。なお、フローチャートにおいて、特に条件がない場合、ステップの順番、発生タイミングは任意となる。
【0057】
プロジェクト管理部12は、工業製品の製造プロジェクトに関するプロジェクト情報を、プロジェクト作成者のユーザ情報と紐づけて登録する。これにより、プロジェクト管理部12は、紐付けられたプロジェクト作成者を、プロジェクト参加者としてプロジェクト情報に紐づける。また、プロジェクト管理部12は、プロジェクト情報に対して、複数の資源情報を関連付ける。これにより、プロジェクト管理部12は、プロジェクトに対して、直接又は間接的に関連付けられた資源情報の保有者を、プロジェクト参加者としてプロジェクト情報に紐づける。
【0058】
ステップS101において、プロジェクト管理部12は、プラットフォーム上でプロジェクトに関する情報の入力を受け付けて、プロジェクト情報の登録を受け付け、プロジェクト情報をプロジェクト情報DB62に登録する。
【0059】
<2.2.プロジェクト情報>
プロジェクト情報DB62は、資源情報として、工業製品の製造プロジェクトに関するプロジェクト情報を格納する。プロジェクト情報は、プロジェクトの識別情報と紐付けて、プロジェクトの名称、カテゴリ、プロジェクト内容情報、プロジェクト参加者に対する報酬情報、プロジェクトに関連付けられる独自部品設計データ、製品設計データ等の帰属情報、プロジェクトのフェーズを示す情報等を含む。プロジェクト内容情報は、プロジェクトの背景、内容、工業製品のデザイン、展望等を説明するドキュメント、メディア等のファイルを含み得る。報酬情報は、プリセット或いはプロジェクト作成者が設定した該プロジェクトのプロジェクト参加者に対して提供される報酬に関する情報であり、例えば、「区分:製品設計データ提供者、報酬:商品売り上げの1%」等が登録される。プロジェクト情報には、プロジェクトへの出資の目標額や募集期間等が対応付けられてもよい。プロジェクトのフェーズを示す情報とは、例えば、工業製品の試作品作成の為の出資者募集フェーズ、試作フェーズ、量産化の為の出資者募集フェーズ、量産フェーズ、等である。
【0060】
<2.3.ブロックチェーンネットワークシステムBCでの処理>
権利管理部31は、トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理する。本実施形態では、権利管理部31は、トランザクション処理として、NFT(Non-Fungible Token)等のトークンの登録トランザクションを、ブロックチェーンネットワークシステムBCを構成するノードに対して送信する。ブロックチェーンネットワークシステムBCでは、登録トランザクションに基づいてブロックチェーンへのトークンの登録が行われる。登録トランザクションは、例えば、トークン化したい情報(トークン化情報)と、トークンの保有者を示す情報を含む。ブロックチェーンネットワークシステムBCは、登録トランザクションに含まれた情報等を、トークン識別情報と紐付けてブロックに追加し、権限を有したノードによってブロックの承認が行われることで、登録トランザクションに含まれた情報がブロックチェーンに格納される。トークン識別情報は、ブロックへの追加時に発行されたトークンを一意に識別可能な情報であり、例えばトランザクションのID等である。
【0061】
なお、ブロックチェーンネットワークシステムBCにおける登録等に際してコントラクトアドレスの指定が必要な場合、権利管理部31は、コントラクトアドレス等を含んだトランザクションを生成する。また、権利管理部31は、権利管理部31が生成した電子署名をトランザクションに含めてもよく、権限を有したノードによる電子署名の検証を経て、ブロックへのトランザクションの追加やブロックのファイナライズ等が行われてもよい。また、権利管理部31は、権利管理部31が生成した電子署名に加えて、又は代えて、ユーザ端末装置90等が、記憶部902等に保有した秘密鍵、並びにプラットフォーム上で入力した情報又は登録された情報を用いて生成した電子署名を含んでいてもよく、権限を有したノードによる電子署名の検証を経て、ブロックへのトランザクションの追加やブロックのファイナライズ等が行われる。後述するように、この秘密鍵から生成したウォレットアドレスを、トランザクションに含めてもよい。
【0062】
権利管理部31は、トークン化情報の一部又は全部をそのまま登録トランザクションに含めてもよいし、必要に応じて加工して登録トランザクションに含めてもよい。例えば、ブロックチェーンに記録管理したい任意の情報を、ハッシュ関数や暗号鍵等を利用して要約情報に加工し、得られた要約情報を登録トランザクションに含めてもよい。また、権利管理部31は、トークン化情報にアクセスする為のURI(Uniform Resource Identifier)やURL(Uniform Resource Locator)を登録トランザクションに含めてよい。URI等は、例えば、データベースDBに格納されたデータを参照する為のものであってもよいし、あるいは、権利管理部31がデータファイルやテキストデータをアップロードした図示しないDFS(分散ファイルシステム:distributed file system)に格納されたデータを参照する為のURI等であってもよい。
【0063】
<2.4.プロジェクトトークンの登録>
ステップS102において、権利管理部31は、プロジェクト管理部12がプロジェクト作成者よりプロジェクト登録を受け付けると、ブロックチェーンネットワークシステムBCに対して、プロジェクト情報についてのトークン(プロジェクトトークン)を登録する為のトランザクション処理を行う。
【0064】
権利管理部31が送信する登録トランザクションは、トークン化情報として、プロジェクト作成者を特定可能な情報及びプロジェクト情報の一部又は全部、並びにトークンの保有者を示す情報を含む。本実施形態では、プロジェクト作成者を特定可能な情報、及びトークンの保有者を示す情報として、プロジェクト作成者のユーザ情報の識別情報を、プロジェクト情報の一部として、プロジェクト内容情報を参照する為のURIを含む。
【0065】
本実施形態では、トークンの保有者として、ユーザ情報の識別情報を登録トランザクションに含める構成について例示したが、ユーザが管理する秘密鍵を用いて生成されるユーザのウォレットアドレスや電子署名を登録トランザクションに含め、ウォレットアドレスにトークンを紐づける構成としてもよい。
【0066】
権利管理部31は、ブロックチェーンネットワークシステムBCから登録されたプロジェクトトークンのトークン識別情報、及びその保有者の識別情報(ユーザの識別情報やウォレットアドレス)を受け取り、トークン管理DB71に紐付けて格納する。
【0067】
<2.5.報酬情報の設定>
報酬設定部32は、トークン化された情報の所有権又は使用権に基づいてプロジェクト参加者を決定し、プロジェクトの報酬を示す報酬情報を、プロジェクト参加者のユーザ情報に対して設定する。ステップS102において、権利管理部31がプロジェクトトークンを登録すると、ステップS103において、報酬設定部32は、その所有者であるプロジェクト作成者のユーザ情報に対して、プロジェクト管理者の報酬情報を設定する。報酬設定部32によって報酬情報が設定されると、設定がされたユーザに対する報酬情報についての契約情報が作成され、契約情報DB72に格納される。
【0068】
ステップS104では、プラットフォーム提供部11は、登録されたプロジェクト情報をプラットフォーム上で公開し、他ユーザに閲覧可能とする。この際、プロジェクト管理者は、プロジェクトに参加してほしいユーザを指定して、併せて公開することができる。例えば、工業製品の設計データ作成が可能なユーザにプロジェクトに参加してほしい場合等は、製品設計データ提供者を募集している旨を掲示することができる。
【0069】
権利管理部31は、トークン化された情報の所有権又は使用権を移転する為のトランザクション処理を行うこともできる。移転トランザクションは、例えば、トークン識別情報と、移転先となるユーザを特定可能な情報の識別情報(ユーザの識別情報やウォレットアドレス)を含む。報酬設定部32は、トークン化された情報の所有権又は使用権が移転された場合、移転元のユーザ情報に設定された報酬情報に基づき、移転先のユーザ情報に設定する報酬情報を設定する。
【0070】
ステップS105に示すように、プロジェクトトークンの保有者は、プロジェクトトークンを他のユーザに移転することもできる。プロジェクトトークンを移転する場合(ステップS105でYES)、権利管理部31は、移転トランザクションを、ブロックチェーンネットワークシステムBCに送信する。トークンの移転が行われると、ステップS106において、報酬設定部32は、新たな保有者となったユーザに対して報酬情報を設定し、該ユーザとの新たな契約情報を作成して、契約情報DB72に格納する。移転元のユーザについては、報酬情報を再設定し、契約情報についても破棄又は再作成を行う。
【0071】
プラットフォーム提供部11は、プロジェクト情報が登録されると、プロジェクト情報を公開する。この時、プロジェクト管理部12は、プロジェクト管理者より入力された出資募集情報を、プロジェクト情報と紐付けて出資管理DB69に登録する。出資募集情報は、出資募集情報の識別情報と紐付けて、出資を受けるプロジェクトの識別情報、目標額、募集期間、出資額毎の報酬に関する情報等を有する。報酬は、プロジェクトが成功した場合等に分配される報酬に関する報酬情報であってもよいし、製造される工業製品そのものやノベルティー、サービス・特典等のリターンであってもよい。これらの報酬が、出資者に対して、出資額に応じて付与されるようにしてもよい。
【0072】
本実施形態では、プラットフォーム提供部11は、出資募集情報に基づいて、公開したプロジェクト情報に対して、ユーザからの出資を受け付ける。プラットフォーム提供部11は、ユーザから出資が行われると、出資情報を出資管理DB69に格納する。出資情報は、出資したプロジェクト、出資金額、及び出資者を示す情報が対応付けられており、例えば、出資情報の識別情報と紐付けて、プロジェクト情報又は出資募集情報の識別情報、出資者であるユーザの識別情報、出資金額等を含む。出資を行ったユーザを、プロジェクト参加者として、報酬情報を設定してもよい。報酬情報の設定は、出資募集情報に基づいて行われてもよい。ユーザからの出資額が目標額に到達した場合には、ステップS2に進む。この時、プロジェクト情報のフェーズを更新する(例えば、「出資者募集フェーズ」から「試作フェーズ」)。目標に到達しなかった場合は、プロジェクト管理者は、プロジェクト内容情報やリターン、報酬等を見直し、プロジェクト管理部12を介してプロジェクト情報や出資募集情報を修正しても良いし、プロジェクトを失敗としてクローズするようにしてもよい。
【0073】
<2.6.機能/技能資源の検索>
プラットフォーム提供部11は、プラットフォームを上で機能/技能資源情報を検索可能とし、プロジェクト管理者は、機能/技能資源情報を検索して、機能を提供する組織や技能を提供するユーザに対してプロジェクトへの参加依頼を行うことができる。なお、プラットフォーム提供部11は、ユーザに対するプロジェクトへの参加要請を、プロジェクト管理者等による操作に応じて実行しても良し、プロジェクトのフェーズ等に応じた任意のタイミングに、主体的に実行してもよい。例えば、プラットフォーム提供部11は、プロジェクト情報を用いてプロジェクトに紐づけるべき資源をプロジェクト管理者に提案したり、プロジェクトへの参加要請を実行する為のレコメンドエンジンを有していてもよい。レコメンドエンジンは、例えば、プロジェクト情報やプロジェクト情報を加工して得られる値を入力することで、資源をスコアリング処理や分類処理等して、処理結果よってプロジェクトに紐づけるべき資源を決定する。例えば、機械学習モデルや、条件分岐処理を実行するプログラムによって、資源のスコアリング処理や分類処理等が実行される。
【0074】
プロジェクトへの参加依頼がなされると、依頼されたユーザの連絡先等に対して連絡が行われると共に、ユーザによる依頼承諾を受け付けることができる。本実施形態では、依頼が承諾されると、権利管理部31は、プロジェクトトークンの使用権をユーザに設定し、報酬設定部32は、使用権を設定されたユーザに対して報酬情報を設定すると共に、該ユーザとの新たな契約情報を作成して、契約情報DB72に格納する。なお、使用権についても移転が可能であってもよい。
【0075】
機能/技能資源情報DB67は、資源情報として、組織の機能や個人の技能を示す機能/技能資源情報を格納する。機能/技能資源情報は、ユーザが提供可能な機能/技能に関する情報であり、ユーザの識別情報と紐付けて、ユーザが提供可能な機能/技能に関する情報を含む。技能は、例えば、部品設計、意匠設計、製品設計、回路設計、金型設計、生産技術、光学設計、CAE解析、部品・製品評価、品質管理等であり、機能/技能資源情報は、ユーザが提供可能な機能/技能の種別を示すカテゴリやタグ、自己紹介文、過去の経歴、関連付けられたプロジェクト情報等を含み得る。なお、これら機能/技能を有する組織/個人は、製造資源等の有形資産に含まれるものとしてもよい。
【0076】
<3.1.製品設計工程>
製品設計管理部22は、複数の部品の設計データを組み合わせて工業製品の設計データを生成し、該設計データを、設計者、及び組み合わせた部品の設計データの保有者のユーザ情報と紐付けて資源情報(帰属情報)として管理する。なお、製品設計管理部22は、プロジェクトトークンの所有権又は使用権を有するユーザに対し、プロジェクト情報に対する設計データの登録を許可する。作成した製品設計データは、製品設計情報として製品設計情報DB65に格納される。製品設計情報は、製品設計データの識別情報に紐付けて、製品設計データ、設計に使用された部品の識別情報、製品設計者の識別情報、登録日時、等の情報を含む。
【0077】
<3.2.部品情報>
本実施形態では、例えば、「ネジ」、「基板」、「電子部品」、「センサモジュール」、「線材」、「半導体」、「筐体」、「バッテリ」、「コンデンサ」、「モータ」、「GNSSモジュール」、「カメラ」、「コンピュータ」等のハードウェア部品、「コンピュータプログラム」、「設定ファイル」、「コンピュータプログラムに対する設定値の情報」等のソフトウェア部品を、工業製品を構成する1単位の部品として扱う。ハードウェア部品には、ソフトウェア部品が組み込まれる場合もある。また、部品同士を組み合わせ部品として扱う場合もある(例えば独自部品のコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータ)。このように、パーツやモジュールを部品として扱ってもよいし、複数部品の組み合わせたものを部品と定義しても構わない。市場流通、配布等されている既製品の部品を既製品部品、部品設計者によって独自設計された部品を独自部品と呼称する。
【0078】
ハードウェア部品情報DB63及びソフトウェア部品情報DB64は、資源情報として、製品設計を行う為の部品の部品情報を格納する。部品情報は、部品の識別情報に紐付けて、部品設計データ(独自部品設計データ/既製品部品設計データ)、独自部品設計に使用された部品の識別情報、部品設計データ提供者の識別情報、部品名、既製品フラグ、既製品の製品型番、登録日時、部品種別を示す部品種別情報、等の情報を含む。部品設計データは、ハードウェア部品の三次元モデルデータ、又はソフトウェア部品を含み、部品設計データ提供者によってハードウェア部品情報DB63、又はソフトウェア部品情報DB64に登録され、独自部品設計者、製品設計者等に対して提供される。
【0079】
本実施形態では、部品設計データは部品仕様情報を含んでもよい。ハードウェア部品の部品仕様情報は、他の部品との組み合わせの可否を判定したり、動作や試験等の設計検証シミュレーションの為に用いられる情報であり、例えば、部品間の接続関係を特定する為の接続情報(端子規格、寸法、材質)、部品の動作に関係し、その動作時間や作用等を含む動作情報、部品の強度等に関係する材質情報等である。ソフトウェア部品の部品仕様情報は、対応OSや推奨スペック等である。
【0080】
部品設計データは、部品の設計仕様、図面情報、ソフトウェア情報、法規制情報、知的財産権情報等を含んでいてもよい。知的財産権情報DB66は、知的財産権情報を格納しており、部品情報に対して1又は複数の知的財産権情報が紐付けされてもよい。知的財産権情報は、知的財産権を特定する情報(登録番号等)、知的財産権を保有するユーザ(知的財産権保有者)の識別情報(帰属情報)及び使用料率を含む。部品情報に知的財産権情報が紐づけられる場合、知的財産権情報を保有するユーザをプロジェクト参加者として設定し、プロジェクトの報酬を示す報酬情報を使用料率に基づいて設定してもよい。
【0081】
<3.3.独自部品設計>
部品設計管理部23は、部品の設計データを用いて独自部品の設計データを生成し、該設計データを、設計者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する。作成した独自部品設計データは、部品情報としてハードウェア部品情報DB63に格納される。独自部品の部品情報は、設計に使用された部品の識別情報を含み、既製品フラグがFalseとなり、製品型番が無い。
【0082】
プラットフォーム提供部11は、プラットフォーム機能として製品設計及び部品設計用の仮想空間を提供し、製品設計者及び部品設計者は、仮想空間上において、部品設計データの三次元モデルデータの組み合わせ、配置指定又は加工等の操作を受け付ける。製品設計管理部22及び部品設計管理部23は、これらに基づいて独自部品設計データを生成し、製品設計情報DB65及びハードウェア部品情報DB63に製品設計情報、部品情報を格納する。
【0083】
ソフトウェア設計管理部24は、工業製品に用いるコンピュータプログラム、又は特定のコンピュータプログラムにおける設定情報であるソフトウェア部品の登録を受け付け、該ソフトウェア部品を、作成者のユーザ情報と紐付けて資源情報として管理する。登録されたソフトウェア部品は、部品情報としてソフトウェア部品情報DB64に格納される。
【0084】
<3.4.製品設計工程のフローチャート>
図6は、製品設計工程を示すフローチャートである。ステップS201において、第三者に対して製品設計を依頼する場合(ステップS201でYES)、権利管理部31は、プロジェクト参加者からの要求に基づいて、製品設計者となるユーザに対してプロジェクトトークンの利用権を設定する(ステップS202)。機能/技能資源情報を検索してプロジェクト管理者側から製品設計者となるユーザへの依頼を行っても良いし、公開されたプロジェクトに対する応募等を製品設計者となるユーザから受け付け、プロジェクト管理者が承認等を行うようにしてもよい。なお、利用権の設定は、所有権を有するユーザに加えて、利用権を有するユーザからの要求に応じて設定可能であってもよいし、複数又はすべての参加者からの要求がある場合に設定可能であってもよい。
【0085】
独自部品が必要な場合(ステップS203でYES)、ステップS204に進む。ここで、第三者に対して独自部品設計を依頼する場合には、権利管理部31は、プロジェクト参加者からの要求に基づいて、独自部品設計者となる1又は複数のユーザに対してプロジェクトトークンの利用権を設定する。プロジェクトトークンの利用権が設定された製品設計者が独自部品設計者となるユーザに対してプロジェクトトークンの利用権を設定可能であってもよい。
【0086】
<3.5.独自部品設計トークンの登録>
ステップS204では、部品設計管理部23及び/又はソフトウェア設計管理部24が、独自部品の部品情報を登録する。ステップS205において、権利管理部31は、部品設計管理部23及び/又はソフトウェア設計管理部24が、独自部品設計者より独自部品設計データの登録を受け付けると、ブロックチェーンネットワークシステムBCに対して、独自部品に係る部品情報についてのトークン(独自部品設計トークン)を登録する為のトランザクション処理を行う。
【0087】
権利管理部31が送信する登録トランザクションは、トークン化情報として、独自部品設計者を特定可能な情報及び部品情報の一部又は全部、並びにトークンの保有者を示す情報を含む。本実施形態では、独自部品設計者を特定可能な情報、及びトークンの保有者を示す情報として、独自部品設計者のユーザ情報の識別情報を、部品情報の一部として、独自部品設計データを参照する為のURIを含む。
【0088】
権利管理部31は、ブロックチェーンネットワークシステムBCから登録された独自部品設計トークンのトークン識別情報、及びその保有者の識別情報(ユーザの識別情報やウォレットアドレス)を受け取り、トークン管理DB71に紐付けて格納する。
【0089】
ステップS205において、権利管理部31が独自部品設計トークンを登録すると、ステップS206において、報酬設定部32は、その所有者である独自部品設計者のユーザ情報に対して、独自部品設計者の報酬情報を設定する。報酬設定部32によって報酬情報が設定されると、設定がされたユーザに対する報酬情報についての契約情報が作成され、契約情報DB72に格納される。
【0090】
ステップS207に示すように、独自部品設計トークンの保有者は、独自部品設計トークンを他のユーザに移転することもできる。独自部品設計トークンを移転する場合(ステップS207でYES)、権利管理部31は、移転トランザクションを、ブロックチェーンネットワークシステムBCに送信する。トークンの移転が行われると、ステップS208において、報酬設定部32は、新たな保有者となったユーザに対して報酬情報を設定し、該ユーザとの新たな契約情報を作成して、契約情報DB72に格納する。移転元のユーザについては、報酬情報を再設定し、契約情報についても破棄又は再作成を行う。
【0091】
<3.6.製品設計トークンの登録>
ステップS209では、製品設計管理部22が、製品設計情報を登録する。ステップS210において、権利管理部31は、製品設計管理部22が、製品設計者より製品設計データの登録を受け付けると、ブロックチェーンネットワークシステムBCに対して、製品設計情報についてのトークン(製品設計トークン)を登録する為のトランザクション処理を行う。
【0092】
権利管理部31が送信する登録トランザクションは、トークン化情報として、製品設計者を特定可能な情報及び製品設計情報の一部又は全部、並びにトークンの保有者を示す情報を含む。本実施形態では、製品設計者を特定可能な情報、及びトークンの保有者を示す情報として、製品設計者のユーザ情報の識別情報を、製品設計情報の一部として、製品設計データを参照する為のURIを含む。
【0093】
権利管理部31は、ブロックチェーンネットワークシステムBCから登録された製品設計トークンのトークン識別情報、及びその保有者の識別情報(ユーザの識別情報やウォレットアドレス)を受け取り、トークン管理DB71に紐付けて格納する。
【0094】
ステップS210において、権利管理部31が製品設計トークンを登録すると、ステップS211において、報酬設定部32は、その所有者である製品設計者のユーザ情報に対して、製品設計者の報酬情報を設定する。報酬設定部32によって報酬情報が設定されると、設定がされたユーザに対する報酬情報についての契約情報が作成され、契約情報DB72に格納される。ここで、製品設計データに含まれた部品の設計データ提供者や、知的財産権保有者を、プロジェクト参加者としてプロジェクト情報に紐づける。
【0095】
ステップS212に示すように、製品設計トークンの保有者は、製品設計トークンを他のユーザに移転することもできる。製品設計トークンを移転する場合(ステップS212でYES)、権利管理部31は、移転トランザクションを、ブロックチェーンネットワークシステムBCに送信する。トークンの移転が行われると、ステップS213において、報酬設定部32は、新たな保有者となったユーザに対して報酬情報を設定し、該ユーザとの新たな契約情報を作成して、契約情報DB72に格納する。移転元のユーザについては、報酬情報を再設定し、契約情報についても破棄又は再作成を行う。
【0096】
<4.1.製造工程>
製造資源情報DB68は、工業製品及び独自部品の製造資源として、製造資源情報を格納する。製造資源情報は、ユーザが提供可能な製造資源に関する情報であり、ユーザの識別情報と紐付けて、ユーザが提供可能な製造資源に関する情報を含む。製造資源は、例えば、生産設備(個々の加工機械や、生産ライン)、サプライチェーン(購買、部品又は製品在庫の管理、部品又は製品在庫の倉庫、工業製品の販売管理、配送管理)等であり、製造資源情報は、ユーザが提供可能な製造資源の種別を示すカテゴリやタグ、製造資源の所在地、説明文、過去の経歴、関連付けられたプロジェクト情報等を含み得る。なお、製造資源に組織の機能や個人の技能が含まれていてもよく、例えば、製造資源としての生産設備に、生産技術や品質保証等の機能/技能が含まれていてもよい。
【0097】
<4.2.製造工程のフローチャート>
図7は、製造工程を示すフローチャートである。ステップS301において、第三者に対して独自部品製造を依頼する場合(ステップS301でYES)、プロジェクト管理部12は、プロジェクト情報に対して、製造資源情報を紐づける(ステップS302)。これにより、製造資源を有するユーザを、プロジェクト参加者としてプロジェクト情報に紐づける。紐づけられたユーザに対しては、独自部品設計データ等が提供され、ステップS303では、独自部品の試作部品について、製造資源を用いた試作製造プロセスが実行される。試作部品が製造されたならば、ステップS304において、試作部品の評価や品質保証を行う。
【0098】
ステップS305において、第三者に対して工業製品製造を依頼する場合(ステップS305でYES)、プロジェクト管理部12は、プロジェクト情報に対して製造資源情報を紐づける(ステップS306)。ステップS306では、例えば工業製品の試作製造を行う製造者の製造資源情報が、プロジェクト情報に関連付けられる。これにより、製造資源を有するユーザを、プロジェクト参加者としてプロジェクト情報に紐づける。紐づけられたユーザに対しては、製造された独自部品、及び製品設計データ等が提供され、ステップS307では、工業製品の試作製品について、製造資源を用いた試作製造プロセスが実行される。試作部品が製造されたならば、ステップS308において、試作部品の評価や品質保証を行う。
【0099】
プロジェクト管理者は、ステップS3’を実行してプロジェクトに対するユーザからの出資を受け付ける。ユーザからの出資額が目標額に到達した場合(ステップS3’でYES)には、ステップS309に進む。この時、プロジェクト情報のフェーズを更新する(例えば、「出資者募集フェーズ」から「量産フェーズ」)。目標に到達しなかった場合(ステップS3’でNO)は、プロジェクト管理者は、プロジェクト内容情報やリターン、報酬等を見直し、プロジェクト管理部12を介してプロジェクト情報や出資募集情報を修正しても良いし、プロジェクトを失敗としてクローズするようにしてもよい。
【0100】
ステップS309において、第三者に対してサプライチェーン又はサプライチェーンの一部機能の提供を依頼する場合(ステップS309でYES)、プロジェクト管理部12は、プロジェクト情報に対して製造資源情報(サプライチェーン又は一部機能)を紐づける(ステップS310)。なお、生産された工業製品の販売等、サプライチェーンの一部機能については、プラットフォームが提供してもよい。
【0101】
ステップS311では、プロジェクト情報に関連付けられた独自部品の製造を行う製造者に対して独自部品の設計データ等が提供され、製造資源を用いた独自部品の量産製造プロセスが実行される。独自部品が量産製造されたならば、プロジェクト情報に関連付けられた独自部品の製造を行う製造者に対して製造された独自部品、及び製品設計データ等が提供され、ステップS312では、工業製品について、製造資源を用いた量産製造プロセスが実行される。
【0102】
なお、製造プロセス(試作製造、量産製造)は、複数の対象を製造するプロセスを含む場合がある。例えば、ハードウェアの製造、ハードウェアが実行するソフトウェアの製造、製造したソフトウェアのハードウェアへのインストール等を含む。また、製品によっては、該ソフトウェアと協働するアプリケーション(Webアプリケーション及び/又はクライアントアプリケーション)や、アプリケーションのUI・UX等を含んでもよい。なお、これらは工業製品(システム)の部品として扱ってもよく、その場合は、独自のソフトウェア部品に係る製造プロセスにおいて製造されてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、試作品製造と量産製造が同一製造者によって行われるものとして説明したが、これらは別々の製造者によって製造されてもよい。その場合は、S301、S305等における製造依頼、S302、S306等におけるプロジェクト情報への資源情報の関連付けを、それぞれの製造者に対して行うこととなる。
【0104】
<5.1.報酬分配工程>
販売管理部41は、注文管理、支払管理、配送管理等を行い、工業製品の販売管理を行う。販売管理部41は、購入者情報の入力を受け付け、購入者情報DB81に格納し、注文情報を受け付けて販売実績として販売実績DB82に格納する。購入者情報は、購入者の識別情報、購入者名、配送先住所、連絡先(電話番号、メールアドレス等)、支払情報等を含む。注文情報は、注文の識別情報、注文日時、出荷日時、購入者の識別情報、購入する工業製品の数量、ステータス(例えば、製造前、製造中、出荷準備中、出荷済、配送済等)を含む。
【0105】
プラットフォーム提供部11は、プラットフォーム上などで、工業製品を販売する為のEC機能を提供する。なお、工業製品は、受注製造、予約販売等されてもよいし、事前製造された工業製品を販売するようにしてもよい。また、販売管理部41は、外部の販売プラットフォーム(ECサイトやクラウドファンディング)のAPI等を介して、工業製品の出品を行う出品手段を有していてもよい。出品手段は、データベースDBに格納されたプロジェクト情報等を用いて、工業製品の出品を行う。なお、販売管理部41や外部の販売プラットフォームにおけるエンドユーザへの工業製品販売の申し出は、量産製造プロセス(ステップS311又はS312)の前に行われてもよく、好ましくは、量産目標額の調達を受けた後(ステップS3’)に行われる。
【0106】
報酬割り当て部42は、工業製品の販売実績、及びユーザに設定された報酬情報に基づいて、プロジェクト参加に対する報酬の付与を行う。なお、すべてのプロジェクト参加者に対して報酬が付与される必要はなく、すべてのプロジェクト参加者に対して報酬情報が設定されなくてもよい。例えば、既製品部品の設計データ提供者については、設計データ提供の対価として報酬が付与されてもよいし、既製品部品の購入によって対価が支払われる等として、報酬を付与しなくてもよい。また、例えば、部品設計者、製品設計者、製造資源を有したユーザ等に対して、報酬の一部又は全部に代えて、別の対価(例えば金銭)等が支払われてもよい。その場合、例えば、別の対価を負担したユーザ(例えばプロジェクト管理者)が、別の対価に代替された報酬分を受け取れるように、報酬情報が設定されてもよい。
【0107】
<5.2.報酬分配工程のフローチャート>
図8は、報酬分配工程を示すフローチャートである。ステップS401において、報酬割り当て部42は、販売実績を集計する。報酬情報に販売期間や販売地域等の集計の為の条件が設定される場合は、購入者の住所や注文情報の日時等を用いて集計を行ってもよい。ステップS402において、報酬割り当て部42は、集計した販売実績、及び報酬情報に基づいて、プロジェクト参加者毎の報酬値を決定する。報酬値は、法定通貨や仮想通貨の金額、数量であってもよいし、ポイント等であってもよい。ステップS403において、報酬割り当て部42は、報酬値に基づいて、各プロジェクト参加者の報酬受取先に対して報酬を付与する。
【0108】
<6.1.変形例>
本実施形態ではプロジェクト作成者が、工業製品のデザインについても作成して、製品デザインデータをプロジェクトと関連付けて登録するものとして説明したが、デザイン作成者が資源情報(無形資産)として製品デザインデータを登録可能であってもよい。その場合は更に、プラットフォームシステム0は、工業製品の製品デザインデータを、そのデザイン作成者のユーザ情報、及びプロジェクト情報と紐づけて管理する製品デザイン管理部を備える。製品デザイン管理部は、プロジェクト情報に対し、関連付けられた製品デザインデータの作成者を、プロジェクト参加者とする。また、権利管理部31は、デザイン作成者より製品デザイン登録を受け付けて、ブロックチェーンに製品デザイントークンの発行を要求してもよい。権利管理部31が送信する登録トランザクションは、トークン化情報として、デザイン作成者を特定可能な情報及び製品デザインデータ、並びにトークンの保有者を示す情報を含む。登録トランザクションに含まれる製品デザインデータは、例えば要約情報や製品デザインデータを参照する為のURIであってもよい。
【0109】
権利管理部31は、設定された報酬情報、又は報酬情報を含む契約情報をトークン化して、トークン化された情報の所有権又は使用権の所在を、ブロックチェーンに記録して管理してもよい。この場合、権利管理部31は、報酬情報、及び報酬が設定されたプロジェクト参加者のユーザ情報を用いて、ブロックチェーンに報酬情報トークンの発行を要求する。権利管理部31は、報酬設定部32が、報酬情報、又は報酬情報を含む契約情報を登録すると、ブロックチェーンネットワークシステムBCに対して、報酬情報、又は契約情報についてのトークン(報酬情報トークン)を登録する為のトランザクション処理を行う。権利管理部31が送信する登録トランザクションは、トークン化情報として、報酬が提供されるユーザ(トークンの保有者)を特定可能な情報及び報酬情報を含む。権利管理部31は、ブロックチェーンネットワークシステムBCから登録された報酬情報トークンのトークン識別情報、及びその保有者の識別情報(ユーザの識別情報やウォレットアドレス)を受け取り、トークン管理DB71に紐付けて格納する。
【0110】
プラットフォーム提供部11が提供する設計用の仮想空間は、VR(virtual reality)空間であってもよい。設計管理部は、好ましくは、設計データに含まれた部品仕様情報を用いて、動作や試験等の設計検証シミュレーション手段を備える。設計検証シミュレーション手段は、設計検証用の仮想空間内において、製品設計データや製品を構成する部品の部品データ、それらの部品仕様情報を用いて、設計検証シミュレーションを行ってもよい。設計検証用の仮想空間は、VR空間であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
0 :プラットフォームシステム
10 :情報処理装置
11 :プラットフォーム提供部
12 :プロジェクト管理部
21 :設計管理部
22 :製品設計管理部
23 :部品設計管理部
24 :ソフトウェア設計管理部
31 :権利管理部
32 :報酬設定部
41 :販売管理部
42 :報酬割り当て部
51 :ユーザ情報DB
61 :資源情報DB
62 :プロジェクト情報DB
63 :ハードウェア部品情報DB
64 :ソフトウェア部品情報DB
65 :製品設計情報DB
66 :知的財産権情報DB
67 :機能/技能資源情報DB
68 :製造資源情報DB
69 :出資管理DB
71 :トークン管理DB
72 :契約情報DB
81 :購入者情報DB
82 :販売実績DB
90 :ユーザ端末装置
101 :処理部
102 :記憶部
103 :通信部
901 :処理部
902 :記憶部
903 :通信部
904 :入力部
905 :表示部
BC :ブロックチェーンネットワークシステム
NW :ネットワーク