(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093441
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】インペラ及び遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/30 20060101AFI20240702BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F04D29/30 D
F04D29/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209819
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中庭 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】永尾 英樹
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA66C
3H130CB01
3H130EA07C
3H130EB04C
3H130EB05C
(57)【要約】
【課題】カバーに作用する遠心力の影響を抑え、カバーを有するインペラの高周速化を図る。
【解決手段】インペラは、軸線を中心とした円盤状をなすディスクと、前記ディスクに対して、前記軸線の延びる軸方向に離れて配置されたカバーと、前記ディスクと前記カバーとを接続し、前記軸線周りの回転方向に間隔をあけて配置された複数のブレードと、を備え、各前記ブレードは、前記軸線を中心とする径方向の内側から外側に向かうにしたがって回転方向の後方側に延びる主翼と、前記主翼に対して前記回転方向の前方側に間隔をあけて配置され、前縁が前記主翼の前縁よりも前記径方向の外側に位置する副翼と、を有し、前記主翼は、リーン角が0度以上20度以内であり、前記主翼の前縁は、前記回転方向から見た際に、前記カバーと接続されるチップ部と前記ディスクと接続されるハブ部との前記軸方向の位置が一致している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心とした円盤状をなすディスクと、
前記ディスクに対して、前記軸線の延びる軸方向に離れて配置されたカバーと、
前記ディスクと前記カバーとを接続し、前記軸線周りの回転方向に間隔をあけて配置された複数のブレードと、を備え、
各前記ブレードは、
前記軸線を中心とする径方向の内側から外側に向かうにしたがって回転方向の後方側に延びる主翼と、
前記主翼に対して前記回転方向の前方側に間隔をあけて配置され、前縁が前記主翼の前縁よりも前記径方向の外側に位置する副翼と、を有し、
前記主翼は、リーン角が0度以上20度以内であり、
前記主翼の前縁は、前記回転方向から見た際に、前記カバーと接続されるチップ部と前記ディスクと接続されるハブ部との前記軸方向の位置が一致しているインペラ。
【請求項2】
前記副翼は、リーン角が0度以上20度以内である請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記副翼の前縁は、前記回転方向で隣り合う一対の前記主翼の間のスロート位置に対して少なくとも一部が上流側に位置している請求項1又は2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記副翼の前縁は、子午面断面上で、前記軸線に対して直交する仮想線に対して45度以内の傾きで傾斜している請求項1又は2に記載のインペラ。
【請求項5】
前記主翼の後縁及び前記副翼の後縁は、前記径方向において同じ位置に配置されている請求項1又は2に記載のインペラ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のインペラを備える遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インペラ及び遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機に用いられるインペラとして、クローズド型と呼ばれる形式のインペラが知られている。この種のインペラは、ディスクと、ブレードと、カバーとを有している。ディスクの外周面は、軸方向の一方側に向かうに従って径方向の外側に延びている。この外周面上には、周方向に間隔をあけて配列された複数のブレードが設けられている。カバーは、これらブレードを径方向の外側から覆っている。これにより、インペラには、隣接する一対のブレード、ディスク、及びカバーによって囲まれたインペラ流路が形成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インペラを備えた遠心圧縮機が開示されている。この特許文献1に記載されたインペラが、ディスクと、ディスクに設けられた複数のブレードと、複数のブレードを覆うように設けられたカバーと、を備えた、いわゆるクローズドインペラである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遠心圧縮機の能力向上のため、インペラの高周速化を図ろうとすると、重量のあるカバーに作用する遠心応力が増大する。その結果、インペラに発生する遠心応力がカバーのないオープンインペラに比べて大きくなってしまい、高周速化を図ることが難しくなってしまう。そのため、カバーを備えたインペラに対して、カバーに作用する遠心力の影響を抑え、カバーを有するインペラの高周速化を図ることが求められている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、カバーに作用する遠心力の影響を抑え、カバーを有するインペラの高周速化を図ることが可能なインペラ及び遠心圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示にかかるインペラは、軸線を中心とした円盤状をなすディスクと、前記ディスクに対して、前記軸線の延びる軸方向に離れて配置されたカバーと、前記ディスクと前記カバーとを接続し、前記軸線周りの回転方向に間隔をあけて配置された複数のブレードと、を備え、各前記ブレードは、前記軸線を中心とする径方向の内側から外側に向かうにしたがって回転方向の後方側に延びる主翼と、前記主翼に対して前記回転方向の前方側に間隔をあけて配置され、前縁が前記主翼の前縁よりも前記径方向の外側に位置する副翼と、を有し、前記主翼は、リーン角が0度以上20度以内であり、前記主翼の前縁は、前記回転方向から見た際に、前記カバーと接続されるチップ部と前記ディスクと接続されるハブ部との前記軸方向の位置が一致している。
【0008】
本開示にかかる遠心圧縮機は、前記インペラを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のインペラ及び遠心圧縮機によれば、カバーに作用する遠心力の影響を抑え、カバーを有するインペラの高周速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る遠心圧縮機の構成を示す断面図である。
【
図2】上記遠心圧縮機に設けられたインペラの上半部の子午面断面を示す断面図である。
【
図3】上記インペラのブレードを軸方向の第一側から見た図である。
【
図4】上記インペラを軸方向から見た際のブレードの形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示によるインペラ40及び遠心圧縮機10を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
(遠心圧縮機の構成)
以下、本開示の実施形態に係るインペラ40及び遠心圧縮機10について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1に示すように、遠心圧縮機10は、主として、ケーシング20と、回転軸30と、インペラ40と、を備えている。
【0013】
(ケーシングの構成)
ケーシング20は、回転軸30の一部及びインペラ40を収容している。ケーシング20は、回転軸30の軸線Oの延びる方向(以下、この方向を軸方向Daと称する)に延びる筒状をなしている。
【0014】
ケーシング20において、軸方向Daの第一側Dauの一端部20aに近い位置には、プロセスガス(作動流体)を外部からケーシング20内に流入させる吸込口21が形成されている。また、ケーシング20において、軸方向Daの第二側Dadの他端部20bに近い位置には、プロセスガスをケーシング20の外部に流出させる排出口22が形成されている。つまり、軸方向Daの第一側Dauの一端部20a側とは、遠心圧縮機10におけるプロセスガスの流通方向の上流側である。また、軸方向Daの第二側Dadの他端部20b側とは、遠心圧縮機10におけるプロセスガスの流通方向の下流側である。
【0015】
ケーシング20の内部には、インペラ40同士の間となる位置に、ケーシング側流路25が形成されている。ケーシング側流路25は、インペラ40を流通するプロセスガスを、後述するインペラ流路45を介しつつ、ケーシング20において軸方向Daの第一側Dauの一端部20a側の吸込口21から、軸方向Daの第二側Dadの他端部20b側の排出口22に流通させる。
【0016】
(回転軸の構成)
回転軸30は、ケーシング20に対して軸線O回りに回転可能とされている。回転軸30の両端は、ジャーナル軸受28A及び28Bを介して軸線O回りに回転自在にそれぞれ支持されている。また、ケーシング20の一端部20aには、ジャーナル軸受28Aに近い位置にスラスト軸受29が配置されている。回転軸30の一端側は、スラスト軸受29を介して軸方向Daに支持されている。
【0017】
(インペラの構成)
複数のインペラ40は、それぞれ、回転軸30に取り付けられ、遠心力を利用してプロセスガスを圧縮する。複数のインペラ40は、ケーシング20の内部に、軸方向Daに間隔を空けて収容されている。なお、本開示の実施形態では、
図1において、インペラ40が6つ配置されている場合の一例を示しているが、インペラ40は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0018】
図2~
図4に示すように、各インペラ40は、ディスク41と、ブレード50と、カバー42と、を備えた、いわゆるクローズドインペラである。
【0019】
(ディスクの構成)
ディスク41は、軸線Oを中心とした円盤状に形成されている。
図2に示すように、ディスク41は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうにつれて、軸線Oを中心とする径方向Drの外側Droに漸次拡径するように形成されている。
【0020】
ディスク41の中心部には、軸方向Daに貫通する円形の貫通孔411が形成されている。インペラ40は、貫通孔411の内面が回転軸30の外周面に嵌まり込んだ状態で、回転軸30に対して一体に固定されている。
【0021】
ディスク41における軸方向Daの第一側Dauには、ディスク主面412が形成されている。ディスク主面412は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうに従って径方向Drの外側Droに広がっている。ディスク主面412は、軸方向Daの第一側Dauの部分では、径方向Drの外側Droを向いている。ディスク主面412は、軸方向Daの第二側Dadの部分では、軸方向Daの第一側Dauを向いている。つまり、ディスク主面412は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうにしたがって、軸方向Daの第一側Dauを向くように湾曲している。即ち、ディスク主面412は、凹曲面状をなしている。ディスク主面412は、後述するインペラ流路45を形成する面の一つである。つまり、ディスク主面412は、ディスク41において、プロセスガスが流通する面である。
【0022】
(ブレードの構成)
ブレード50は、ディスク41とカバー42とを接続している。ブレード50は、ディスク主面412から軸方向Daの第一側Dauに向かって延びている。ブレード50は、チップ部51でカバー42と接続されている。また、ブレード50は、ハブ部52でディスク41と接続されている。ブレード50は、軸線O周りの回転方向Rに間隔をあけて複数配置されている。複数のブレード50は、軸線Oを中心として径方向Drの外側Droに向かって放射状に複数配列されている。本実施形態では、各ブレード50は、主翼55と、主翼55に対応する副翼57とを有している。つまり、一対の主翼55及び副翼57が複数(例えば、6組計12枚)配置されている。
【0023】
主翼55は、径方向Drの内側Driから外側Droに向かうにしたがって回転方向Rの前方側から後方側に向かって延びている。主翼55の前縁551は、カバー42の軸方向Daの第一側Dauの端部に近接した位置に配置されている。主翼55の前縁551では、回転方向Rから見た際に、チップ部51とハブ部52との軸方向Daの位置が一致している。主翼55の後縁552は、径方向Drにおいて、ディスク41の外周縁部と同じ位置に配置されている。即ち、主翼55の後縁552は、ディスク41の外周縁部まで間隔をあけないように延びている。
図4に示すように、主翼55は、回転方向Rの前方側(周方向の一方側)に向かって中間部が凸となるように湾曲している。主翼55では、回転方向Rの前方側を向く面は、凸曲面である圧力面555とされている。主翼55では、回転方向Rの後方側(周方向の他方側)を向く面は、凹曲面である負圧面556とされている。また、
図3に示すように、主翼55は、リーン角αが0度以上20度以内とされている。ここで、リーン角αとは、ディスク主面412に対する回転方向Rの前方への倒れ角度である。好ましくは、主翼55のリーン角αは、0度以上15度以内とされている。より好ましくは、主翼55のリーン角αは0度以上10度以内とされている。
【0024】
図4に示すように、副翼57は、対応する主翼55に対して、回転方向Rの前方側に間隔をあけて配置されている。つまり、一つの副翼57は、対応する主翼55に対して、回転方向Rの前方側に配置されつつ、対応する主翼55に対して回転方向Rの前方側に配置された別の主翼55に対して、回転方向Rの後方側に間隔をあけて配置されている。副翼57は、主翼55よりも短く形成されている。副翼57は、径方向Drの内側Driから外側Droに向かうにしたがって回転方向Rの前方側から後方側に向かって延びている。
図2に示すように、副翼57の前縁571は、対応する主翼55の前縁551に対して径方向Drの外側Droに位置している。副翼57の前縁571のチップ部51は、回転方向Rから見た際に、ディスク主面412における湾曲した領域と接続されている。また、副翼57の前縁571は、回転方向Rから見た際に、子午面断面上で、軸線Oに対して直交する仮想線に対して45度以内の傾き(傾斜角β)で傾斜している。ここで、子午面断面とは、軸線Oを通る縦断面に、ブレード50の部分だけ切断断面そのままではなく、ブレード50の形状を軸線Oに沿って回転投影した形状を重ね合わせた流路形状の断面である。また、副翼57の後縁572は、径方向Drにおいて、ディスク41の外周縁部と同じ位置に配置されている。即ち、副翼57の後縁572は、主翼55の後縁552と同様に、ディスク41の外周縁部まで間隔をあけないように延びている。
【0025】
また、
図4に示すように、副翼57の前縁571は、回転方向Rで隣り合う一対の主翼55の間のスロート位置Sに対して少なくとも一部が上流側に位置している。ここで、スロート位置Sとは、回転方向Rで隣り合う一対の主翼55の内で、回転方向Rの前方側に配置された主翼55の負圧面556、回転方向Rの後方側に配置された主翼55の圧力面555との間に形成されるインペラ流路45の中で、最も流路断面積が小さくなる位置である。本実施形態のスロート位置Sは、翼高さ方向に対して垂直な断面において、回転方向Rの前方側に配置された主翼55の負圧面556と、回転方向Rの後方側に配置された主翼55の圧力面555の前縁551とを結ぶ仮想直線が最も短くなる位置である。副翼57の前縁571は、チップ部51からハブ部52の全領域が、スロート位置Sに対して上流側に位置している。ここで、上流側とは、インペラ流路45を流通するプロセスガスの流通方向での上流側であって、後述するインペラ流路45の流入口451に近い側(位置)である。つまり、副翼57の前縁571は、チップ部51からハブ部52の全領域が、スロート位置Sに対してインペラ流路45の流入口451に近い位置に配置されている。
【0026】
副翼57は、回転方向Rの前方側に向かって中間部が凸となるように湾曲している。つまり、副翼57は、主翼55と同じ方向に湾曲している。副翼57では、回転方向Rの前方側を向く面は、凸曲面である圧力面575とされている。副翼57では、回転方向Rの後方側を向く面は、凹曲面である負圧面576とされている。また、
図3に示すように、副翼57は、主翼55と同様に、リーン角αが0度以上20度以内とされている。好ましくは、副翼57のリーン角αは、0度以上15度以内とされている。より好ましくは、主翼55のリーン角αは0度以上10度以内とされている。つまり、副翼57のリーン角αは、主翼55と同じであることが好ましい。
【0027】
(カバーの構成)
図2に示すように、カバー42は、ディスク41に対して、軸方向Daの第一側Dauに離れて配置されている。カバー42は、複数のブレード50を軸方向Daの第一側Dauから覆っている。カバー42には、ブレード50におけるディスク主面412に接続された端部とは反対側の端部が固定されている。カバー42は、ディスク41との間に主翼55及び副翼57を挟むように、ディスク41と対向して配置されている。カバー42は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうにしたがって径方向Drの外側Droに漸次拡径するように形成されている。カバー42は、径方向Drの外側Droに向かうに従って肉厚が薄くなすように形成されている。カバー42における軸方向Daの第二側Dadには、ディスク主面412に対向するカバー対向面421が形成されている。
【0028】
カバー対向面421は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうに従って径方向Drの外側Droに広がっている。カバー対向面421は、軸方向Daの第一側Dauの部分では、径方向Drの外側Droを向いている。カバー対向面421は、軸方向Daの第二側Dadの部分では、軸方向Daの第二側Dadを向いている。つまり、カバー対向面421は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうにしたがって、軸方向Daの第二側Dadを向くように湾曲している。即ち、カバー対向面421は、凸曲面状をなしている。主翼55及び副翼57のチップ部51は、カバー対向面421に接合されている。
【0029】
ディスク41とカバー42の間には、複数のブレード50で回転方向Rに区画されたインペラ流路45が形成されている。インペラ流路45は、軸方向Daの第一側Dauから第二側Dadに向かうに従って、径方向Drの内側Driから外側Droに向かうように湾曲しながら延びている。インペラ流路45は、径方向Drの内かつ軸方向Daの第一側Dauで開口する流入口451と、径方向Drの外側Droかつ軸方向Daの第一側Dauで開口する流出口452と、を有している。流入口451は、ケーシング側流路25を流れたプロセスガスが流入可能なように、軸方向Daの第一側Dauを向いて開口している。流出口452は、ケーシング側流路25にプロセスガスを流出させるように、径方向Drの外側Droを向いて開口している。
【0030】
(作用効果)
上記構成のインペラ40及び遠心圧縮機10によれば、リーン角αが0度以上20度以内である主翼55と、前縁571が主翼55の前縁551よりも径方向Drの外側Droに位置する副翼57とを有している。さらに、主翼55の前縁551が、回転方向Rから見た際に、チップ部51とハブ部52との軸方向Daの位置が一致するように配置されている。主翼55のリーン角αが小さく、前縁551のチップ部51及びハブ部52の軸方向Daの位置が一致していることで、ディスク主面412及びカバー対向面421に対して、主翼55は、垂直に近い状態で接続される。これにより、複数の主翼55によって、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。さらに、副翼57によって、インペラ40における径方向Drの外側Droに位置でディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の主翼55及び副翼57によって高めつつ、カバー42に作用する遠心力の影響を抑えることができる。これにより、インペラ40の高回転化を図ることが可能となる。
【0031】
また、主翼55だけでなく、副翼57のリーン角αも0度以上20度以内とされている。そのため、主翼55だけでなく、副翼57もディスク主面412及びカバー対向面421に対して、垂直に近い状態で接続される。これにより、複数の主翼55だけでなく、複数の副翼57によっても、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より高めることができる。
【0032】
また、副翼57の前縁571の少なくとも一部が、一対の主翼55の間のスロート位置Sに対して上流側に位置している。そのため、一対の主翼55の前縁551の間で、支柱のようにディスク主面412及びカバー対向面421に対して副翼57が作用する。つまり、副翼57の前縁571付近で、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より高めることができる。特に、本実施形態では、副翼57の前縁571の全領域が、一対の主翼55の間のスロート位置Sに対して上流側に位置している。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より一層高めることができる。
【0033】
また、副翼57の前縁571は、子午面断面上で、軸線Oに対して直交する仮想線に対して45度以内の傾きで傾斜している。そのため、インペラ流路45を流通するプロセスガスが、副翼57の前縁571に対して衝突する際の損失を抑えつつ、副翼57の前縁571でディスク41に対してカバー42を支持することができる。さらに、副翼57の前縁571の傾斜角βが45度以内であることで、インペラ流路45(インペラ40の内部)の加工性を確保できる。
【0034】
また、主翼55の後縁552と副翼57の後縁572とが同じ位置に配置されている。具体的には、主翼55の後縁552及び副翼57の後縁572は、径方向Drにおいて、ディスク41の外周縁部まで延びている。そのため、主翼55及び副翼57による整流効果をインペラ流路45の流出口452まで維持できる。したがって、ディスク41の外周縁部まで主翼55及び副翼57でプロセスガスを案内することで、副翼57の前縁571の位置や形状によって生じる損失以上の損失が生じることを抑えられる。
【0035】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0036】
なお、副翼57のリーン角αは0度以上20度以内であることに限定されるものではない。つまり、主翼55のリーン角αのみが0度以上20度以内であって、副翼57のリーン角αは、20度以上であってもよい。
【0037】
また、副翼57の前縁571は、本実施形態のように全領域が、一対の主翼55の間のスロート位置Sに対して上流側に位置している構造であることに限定されるものではない。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より一層高めることができる。副翼57の前縁571は、少なくとも一部が、一対の主翼55の間のスロート位置Sに対して上流側に位置していればよい。
【0038】
また、ブレード50は、本実施形態のように主翼55及び副翼57のみを有する構造に限定されるものではない。例えばブレード50は、第二の副翼を有していてもよい。
【0039】
<付記>
実施形態に記載のインペラ40及び遠心圧縮機10は、例えば以下のように把握される。
【0040】
(1)第1の態様に係るインペラ40は、軸線Oを中心とした円盤状をなすディスク41と、前記ディスク41に対して、前記軸線Oの延びる軸方向Daに離れて配置されたカバー42と、前記ディスク41と前記カバー42とを接続し、前記軸線O周りの回転方向Rに間隔をあけて配置された複数のブレード50と、を備え、各前記ブレード50は、前記軸線Oを中心とする径方向Drの内側Driから外側Droに向かうにしたがって回転方向Rの後方側に延びる主翼55と、前記主翼55に対して前記回転方向Rの前方側に間隔をあけて配置され、前縁571が前記主翼55の前縁551よりも前記径方向Drの外側Droに位置する副翼57と、を有し、前記主翼55は、リーン角αが0度以上20度以内であり、前記主翼55の前縁551は、前記回転方向Rから見た際に、前記カバー42と接続されるチップ部51と前記ディスク41と接続されるハブ部52との前記軸方向Daの位置が一致している。
【0041】
これにより、主翼55のリーン角αが小さく、前縁551のチップ部51及びハブ部52の軸方向Daの位置が一致していることで、ディスク41及びカバー42に対して、主翼55は、垂直に近い状態で接続される。これにより、複数の主翼55によって、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。さらに、副翼57によって、インペラ40における径方向Drの外側Droに位置でディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の主翼55及び副翼57によって高めつつ、カバー42に作用する遠心力の影響を抑えることができる。これにより、インペラ40の高回転化を図ることが可能となる。
【0042】
(2)第2の態様に係るインペラ40は、(1)のインペラ40であって、前記副翼57は、リーン角αが0度以上20度以内である。
【0043】
これにより、主翼55だけでなく、副翼57もディスク41及びカバー42に対して、垂直に近い状態で接続される。これにより、複数の主翼55だけでなく、複数の副翼57によっても、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より高めることができる。
【0044】
(3)第3の態様に係るインペラ40は、(1)又は(2)のインペラ40であって、前記副翼57の前縁571は、前記回転方向Rで隣り合う一対の前記主翼55の間のスロート位置Sに対して少なくとも一部が上流側に位置している。
【0045】
これにより、一対の主翼55の前縁551の間で、支柱のようにディスク41及びカバー42に対して副翼57が作用する。つまり、副翼57の前縁571付近で、ディスク41に対してカバー42が強固に支持される。したがって、カバー42の剛性を複数の副翼57によって、より高めることができる。
【0046】
(4)第4の態様に係るインペラ40は、(1)から(3)のいずれか一つのインペラ40であって、前記副翼57の前縁571は、子午面断面上で、前記軸線Oに対して直交する仮想線に対して45度以内の傾きで傾斜している。
【0047】
これにより、インペラ40の流路を流通する作動流体が、副翼57の前縁571に対して衝突する際の損失を抑えつつ、副翼57の前縁571でディスク41に対してカバー42を支持することができる。さらに、副翼57の前縁571の傾斜角βが45度以内であることで、インペラ40の内部の加工性を確保できる。
【0048】
(5)第5の態様に係るインペラ40は、(1)から(4)のいずれか一つのインペラ40であって、前記主翼55の後縁552及び前記副翼57の後縁572は、前記径方向Drにおいて同じ位置に配置されている。
【0049】
これにより、主翼55及び副翼57による整流効果をインペラ流路45の流出口452まで維持できる。したがって、ディスク41の外周縁部まで主翼55及び副翼57でプロセスガスを案内することで、副翼57の前縁571の位置や形状によって生じる損失以上の損失が生じることを抑えられる。
【0050】
(6)第6の態様に係る遠心圧縮機10は、(1)から(5)の何れか一つのインペラ40を備える。
【符号の説明】
【0051】
10…遠心圧縮機
O…軸線
20…ケーシング
20a…一端部
20b…他端部
21…吸込口
22…排出口
25…ケーシング側流路
30…回転軸
40…インペラ
41…ディスク
411…貫通孔
412…ディスク主面
50…ブレード
51…チップ部
52…ハブ部
55…主翼
551…前縁(主翼)
552…後縁(主翼)
555…圧力面(主翼)
556…負圧面(主翼)
57…副翼
571…前縁(副翼)
572…後縁(副翼)
575…圧力面(副翼)
576…負圧面(副翼)
S…スロート位置
α…リーン角
β…傾斜角
42…カバー
421…カバー対向面
45…インペラ流路
451…流入口
452…流出口
28A及び28B…ジャーナル軸受
29…スラスト軸受
Da…軸方向
Dau…第一側
Dad…第二側
Dr…径方向
Dro…外側
Dri…内側
R…回転方向