(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093445
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20240702BHJP
F16L 23/036 20060101ALI20240702BHJP
F16L 41/12 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16B35/00 Q
F16L23/036
F16L41/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209826
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】長澤 範明
【テーマコード(参考)】
3H016
3H019
【Fターム(参考)】
3H016AA06
3H016AB01
3H016AC02
3H019DA01
3H019DA02
3H019DA19
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する。
【解決手段】ボルト24Aの頭部42から突出した雄ねじ44が、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有し、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを折曲可能に結合するヒンジ機構52により雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが連結されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備えるボルトであって、
前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、
前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とは、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とが一体回転可能で、かつ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とを折曲可能に結合するヒンジ機構で連結されている、
ことを特徴とするボルト。
【請求項2】
前記ヒンジ機構は、前記雄ねじの軸方向における前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項3】
前記ヒンジ機構は、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の一方に設けられたヒンジ片と、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の他方に設けられ互いに対向してそれらの間に前記ヒンジ片が挿入される一対の支持片と、前記ヒンジ片と前記一対の支持片の連結孔にわたって挿通されるヒンジピンとを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項4】
前記ヒンジ機構は、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の一方に設けられたヒンジ片と、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の他方に設けられ互いに対向してそれらの間に前記ヒンジ片が挿入される一対の支持片と、前記ヒンジ片と前記一対の支持片の連結孔にわたって挿通されるヒンジピンとを含んで構成され、
前記ヒンジ片の前記連結孔は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成され、
前記可変機構は、前記ヒンジ片の前記連結孔を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のボルト。
【請求項5】
前記ヒンジ機構は、それぞれ連結孔を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片と第2ヒンジ片とを有し、
前記第1ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第1ヒンジピンを介して前記雄ねじ本体部に一体回転可能に結合され、
前記第2ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第2ヒンジピンを介して前記雄ねじ先端部に一体回転可能に結合され、
前記第1ヒンジピンと前記第2ヒンジピンとは、前記雄ねじの軸方向から見て直交している、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項6】
前記ヒンジ機構は、それぞれ連結孔を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片と第2ヒンジ片とを有し、
前記第1ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第1ヒンジピンを介して前記雄ねじ本体部に一体回転可能に結合され、
前記第2ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第2ヒンジピンを介して前記雄ねじ先端部に一体回転可能に結合され、
前記第1ヒンジピンと前記第2ヒンジピンとは、前記雄ねじの軸方向から見て直交しており、
前記第1ヒンジ片の前記連結孔と前記第2ヒンジ片の前記連結孔は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成され、
前記可変機構は、前記第1ヒンジ片の前記連結孔と前記第2ヒンジ片の前記連結孔を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のボルト。
【請求項7】
前記雄ねじ先端部の雄ねじは、前記雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ前記雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項8】
前記頭部の外周面には、前記雄ねじ本体部が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項9】
取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、前記押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを前記取り付け面の雌ねじに螺合させ、前記ボルトにより前記押さえ部材を前記被取り付け部材に押し付けて前記被取り付け部材を前記取り付け面に取り付けるボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造であって、
前記ボルトは、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備え、
前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、
前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とは、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とが一体に回転可能でかつ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とを折曲可能に結合するヒンジ機構で連結されている、
ことを特徴とするボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設機械では、油圧ポンプに接続されたコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブからホース配管を介して走行用油圧モータや旋回用油圧モータ、各種の作業用油圧アクチュエータに油圧が供給されている(特許文献1、特許文献2)。
ホース配管の端部には、流路が貫通されホースの端部が結合されるフランジヘッドが設けられている。このフランジヘッドの先端には環板部が設けられ、環板部には流路の開口が位置している。
また、コントロールバルブには、ホース配管の端部を取り付けるための取り付け面が設けられ、取り付け面には内部の流路に接続する複数の流路の開口が位置し、当該開口の周囲には雌ねじが形成されている。
そして、ホース配管の端部を取り付け面に取り付けるに際してクランプ金具が用いられている。
クランプ金具は、それぞれボルト挿通孔が貫通形成された一対のクランプから構成されており、この一対のクランプをフランジヘッドの両側に配置し、ボルト挿通孔に挿通されたボルトの雄ねじを取り付け面の雌ねじに螺合させることでボルトの締付力によりフランジヘッドを取り付け面に圧接して取り付け、フランジヘッドの流路と取り付け面の流路を連通させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-215006号公報
【特許文献2】特開2002-188175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、メンテナンス時にクランプ金具とボルトによって取り付けられているホース配管の端部を交換する場合、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されている全てのボルトを反時計回りに回転させて一旦抜き出した後、クランプ金具を取り外し、ホース配管の端部を取り外し交換していた。
このため、ホース配管の交換などのメンテナンス作業に時間がかかるとともに、機器内にボルトを脱落させ紛失させてしまうという懸念があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利なボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の一実施の形態は、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備えるボルトであって、前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とは、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とが一体回転可能で、かつ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とを折曲可能に結合するヒンジ機構で連結されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ヒンジ機構は、前記雄ねじの軸方向における前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ヒンジ機構は、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の一方に設けられたヒンジ片と、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の他方に設けられ互いに対向してそれらの間に前記ヒンジ片が挿入される一対の支持片と、前記ヒンジ片と前記一対の支持片の連結孔にわたって挿通されるヒンジピンとを含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ヒンジ機構は、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の一方に設けられたヒンジ片と、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部の他方に設けられ互いに対向してそれらの間に前記ヒンジ片が挿入される一対の支持片と、前記ヒンジ片と前記一対の支持片の連結孔にわたって挿通されるヒンジピンとを含んで構成され、前記ヒンジ片の前記連結孔は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成され、前記可変機構は、前記ヒンジ片の前記連結孔を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ヒンジ機構は、それぞれ連結孔を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片と第2ヒンジ片とを有し、前記第1ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第1ヒンジピンを介して前記雄ねじ本体部に一体回転可能に結合され、前記第2ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第2ヒンジピンを介して前記雄ねじ先端部に一体回転可能に結合され、前記第1ヒンジピンと前記第2ヒンジピンとは、前記雄ねじの軸方向から見て直交していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ヒンジ機構は、それぞれ連結孔を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片と第2ヒンジ片とを有し、前記第1ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第1ヒンジピンを介して前記雄ねじ本体部に一体回転可能に結合され、前記第2ヒンジ片は、前記連結孔に挿通された第2ヒンジピンを介して前記雄ねじ先端部に一体回転可能に結合され、前記第1ヒンジピンと前記第2ヒンジピンとは、前記雄ねじの軸方向から見て直交しており、記第1ヒンジ片の前記連結孔と前記第2ヒンジ片の前記連結孔は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成され、前記可変機構は、前記第1ヒンジ片の前記連結孔と前記第2ヒンジ片の前記連結孔を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記雄ねじ先端部の雄ねじは、前記雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ前記雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記頭部の外周面には、前記雄ねじ本体部が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、前記押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを前記取り付け面の雌ねじに螺合させ、前記ボルトにより前記押さえ部材を前記被取り付け部材に押し付けて前記被取り付け部材を前記取り付け面に取り付けるボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造であって、前記ボルトは、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備え、前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とは、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とが一体に回転可能でかつ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とを折曲可能に結合するヒンジ機構で連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ボルトの頭部から突出した雄ねじが、頭部側に接続された雄ねじ本体部と、雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、雄ねじ本体部と雄ねじ先端部とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部と雄ねじ先端部とを折曲可能に結合するヒンジ機構により雄ねじ本体部と雄ねじ先端部とが連結されている。
従って、雄ねじ先端部のみが所定の部材の雌ねじに螺合している状態にすれば、雄ねじ本体部を折曲させることができるため、ボルトにより取り付けている部品の交換などのメンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利となる。
例えば、取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを取り付け面の雌ねじに螺合させ、ボルトにより押さえ部材を被取り付け部材に押し付けて被取り付け部材を取り付け面に取り付けている場合、ボルトを反時計回りに回転させて緩め、雄ねじ先端部のみが雌ねじに螺合している状態にすれば、押さえ部材を雄ねじ本体部で保持した状態で雄ねじ本体部を折曲させることができるため、ボルトを全て抜き出さなくても被取り付け部材の交換が可能となり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利となる。
また、ヒンジ機構を、雄ねじの軸方向における雄ねじ本体部と雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成すれば、雄ねじ先端部および雄ねじ本体部を雌ねじに円滑に螺合させる上で有利となる。
また、ヒンジ機構を、雄ねじ本体部と雄ねじ先端部の一方に設けられたヒンジ片と、雄ねじ本体部と雄ねじ先端部の他方に設けられ互いに対向してそれらの間にヒンジ片が挿入される一対の支持片と、ヒンジ片と一対の支持片の連結孔にわたって挿通されるヒンジピンとを含んで構成すれば、折曲可能な雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、ヒンジ片の連結孔を雄ねじの軸方向に長孔状に形成し、可変機構をヒンジ片の連結孔を含んで構成すれば、折曲可能で、雌ねじに円滑に螺合できる雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、ヒンジ機構を、それぞれ連結孔を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片と第2ヒンジ片とを有し、第1ヒンジ片が連結孔に挿通された第1ヒンジピンを介して雄ねじ本体部に一体回転可能に結合され、第2ヒンジ片が連結孔に挿通された第2ヒンジピンを介して雄ねじ先端部に一体回転可能に結合され、第1ヒンジピンと第2ヒンジピンとが雄ねじの軸方向から見て直交している構成とすれば、折曲可能な雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、第1ヒンジ片の連結孔と第2ヒンジ片の連結孔を、雄ねじの軸方向に長孔状に形成し、可変機構を第1ヒンジ片の連結孔と第2ヒンジ片の連結孔を含んで構成すれば、折曲可能で、雌ねじに円滑に螺合できる雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、雄ねじ先端部の雄ねじを、雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成する構成とすれば、ボルトの締め付けによるトルクが雄ねじ先端部およびヒンジ機構にかかることを抑制する上で有利となる。
また、ボルトの頭部の外周面に、雄ねじ本体部が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部が形成されている構成とすれば、ボルトの頭部から軸方向を見た場合に、雄ねじ本体部がいずれの方向に折曲可能であるかを判断することができ、作業効率を高める上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】フランジヘッドが取り付け面に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】取り付け面にボルトおよびクランプ金具を介してフランジヘッドを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【
図3】雄ねじ本体部を折曲させた状態を示す斜視図である。
【
図4】ボルトが取り付け面の雌ねじに螺合している状態を示す断面図である。
【
図5】(A)は第1の実施の形態のボルトを分解した正面図あり、(B)は側面図である。
【
図6】(A)は
図5(A)のボルトを結合したA-A断面図あり、(B)は
図5(B)のボルトを結合したB-B断面図である。
【
図7】軸方向に見たボルトの頭部を示す説明図である。
【
図9】(A)は雄ねじ本体部と雄ねじ先端部の結合部分を示す図であり、(B)は(A)の一部拡大図である。
【
図10】(A)は第2の実施の形態のボルトを分解した正面図あり、(B)は側面図である。
【
図11】(A)は
図10(A)のボルトを結合したC-C断面図あり、(B)は
図10(B)のボルトを結合したD-D断面図である。
【
図12】(A)は第3の実施の形態のボルトを分解した正面図あり、(B)は側面図である。
【
図13】(A)は
図12(A)のボルトを結合したE-E断面図あり、(B)は
図12(B)のボルトを結合したF-F断面図である。
【
図14】軸方向に見たボルトの頭部を示す説明図である。
【
図15】(A)は接続部材の正面図あり、(B)は接続部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について
図1~
図9を参照して説明する。
本実施の形態では、建設機械に搭載され油圧ポンプに接続されたコントロールバルブに設けられた取り付け座12に、ホース14の端部を取り付ける例を挙げて説明する。
図1、2に示すように、ホース14の端部はフランジヘッド16に結合されることでホース配管の端部を構成しており、ホース14が結合されたフランジヘッド16は、クランプ金具20およびボルト22、24Aにより取り付け座12の取り付け面1202に取り付けられる。
【0009】
まず、被取り付け部材としてのフランジヘッド16について説明する。
フランジヘッド16には、ホース14の内部に連通する流路(不図示)が貫通形成されている。
図1、2に示すように、フランジヘッド16の外周部の長手方向の一部は、ホース14の端部が被せられるニップル部(不図示)と、ニップル部の半径方向外側に設けられ半径方向内側に加締められることでホース14の端部をニップル部に固定するソケット26とを有するホース結合部28として形成され、フランジヘッド16の長手方向の残りの部分の先端に環板部30が形成されている。
また、フランジヘッド16は、環板部30から突設され環板部30より径の小さい第1小径部32を備え、さらに、第1小径部32から突設され第1小径部32より径の小さい第2小径部34を備えている。
ホース結合部28と環板部30とは、第1小径部32と第2小径部34を介して連結されている。
環板部30と第1小径部32とは共に外周が円形の輪郭に形成されているが、環板部30と第1小径部32の外周の輪郭は、多角形などの輪郭で形成されていてもよく円形の輪郭に限定されない。
【0010】
環板部30は、フランジヘッド16を構成し、取り付け面1202上に載置されるものであって、下面3002と、上面3004と、外周面3006とを有している。
下面3002は、環板部30の厚さ方向の一方の面をなし、平坦面で形成され、下面3002の中心に流路の開口(不図示)が位置し、Oリング(不図示)が装着されている。
上面3004は、環板部30の厚さ方向の他方の面をなし、環状の平坦面で形成され、上面3004の内周部から第1小径部32が突設している。
外周面3006は、下面3002の外周と上面3004の外周を接続する円筒面で形成されている。
【0011】
図2に示すように、取り付け座12には流路36が設けられており、取り付け面1202は平坦な面で形成され、流路36の開口3602が位置している。
取り付け面1202の開口3602の周囲には、取り付け面1202に直交する4つの雌ねじ38が設けられている。
【0012】
次に、押さえ部材としてのクランプ金具20について説明する。
図1、2に示すように、クランプ金具20は、フランジヘッド16を構成する環板部30の両側に配置され、それぞれボルト挿通孔4002が貫通形成された一対のクランプ40により構成されている。
一対のクランプ40は、同じ形状のクランプを対象に配置している。
一対のクランプ40はそれぞれ、環板部30の外周面3006に沿って延在し、その延在方向の両端にボルト挿通孔4002が設けられ、環板部30の外周面3006に対向する内周面4004と、環板部30の上面3004に当接可能な当接面4006と、第1小径部32の外周面3202に対向する内周面4008とを備えて構成されている。
また、一対のクランプ40は、その延在方向と直交する方向の厚さを有しており、厚さ方向の一方の面である下面4010は、単一の平坦面で形成されている。
【0013】
すなわち、
図2に示すように、一対のクランプ40は、延在方向に沿って半円弧状に延在しており、下面4010の内側の端部から鉛直方向上方に向けて内周面4004が延在し、内周面4004の上端から内側に向けて水平方向に当接面4006が延在し、当接面4006の端部から鉛直方向上方に向けて内周面4008が延在して設けられている。
また、一対のクランプ40の厚さ方向の他方の面である上面は、その延在方向の両端に座面4012が設けられている。
座面4012は、ボルト挿通孔4002の周囲に設けられており、ボルト挿通孔4002の軸心と直交する平坦面で形成され、ボルト22、24Aの頭部2202、42の下面が当接可能となっている。
【0014】
次に、ボルト22、24Aについて説明する。
図2に示すように、本実施の形態では、一方のクランプ40Aには2つのボルト22が用いられ、他方のクランプ40Bには2つのボルト24Aが用いられている。
ボルト22は、
図2に示すように、市販されている金属製の六角穴付きボルトであって、回転操作可能な頭部2202と、頭部2202から突出し雄ねじ22Aが設けられた軸部2204とを備えており、頭部2202の軸部2204から離れた上面に六角の穴が形成されている。
【0015】
ボルト24Aは、
図5~
図9に示すように、金属製の六角穴付きボルトであって、回転操作可能な頭部42と、頭部42から突出し雄ねじ44が設けられた軸部46とを備えている。
軸部46の雄ねじ44は、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部か48から離された雄ねじ先端部50とを有して構成されている。
そして、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とは、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを折曲可能に結合するヒンジ機構52で連結されている。
【0016】
頭部42は、円柱状に形成され、
図6、7に示すように、軸部46から離れた上面に六角の穴4202が形成され、六角レンチにより回転操作が可能となっている。
頭部42の外周面4204には、
図5、7に示すように、雄ねじ本体部48が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部54が形成されている。本実施の形態では、雄ねじ本体部48がX1方向およびX2方向に折曲するため、2つの溝部54が形成されている。
これにより、ボルト24Aを頭部42から軸方向に見た場合に(
図7)、頭部42に接続された雄ねじ本体部48がいずれの方向に折曲可能であるかを判断することができるため、作業効率を高める上で有利となる。
頭部42の形状は限定されることはなく、なべ頭、皿頭等の様々な公知のボルトの頭部が適用可能である。
【0017】
図5に示すように、雄ねじ先端部50は、雄ねじ44Bとヒンジ片56とを備え、雄ねじ本体部48は、雄ねじ44Aと一対の支持片58とを備えて構成されており、
図9に示すように、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bと雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aとは同一のピッチPで形成されている。
ヒンジ機構52は、
図5、6に示すように、雄ねじ先端部50に設けられたヒンジ片56と、雄ねじ本体部48に設けられ互いに対向してそれらの間にヒンジ片56が挿入される一対の支持片58と、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって挿通されるヒンジピン60とを含んで構成されている。
【0018】
ヒンジ片56は、雄ねじ先端部50の雄ねじ44の軸方向の端部から突出して設けられ先端部が円弧状に形成された板状の部材であって、先端部よりに連結孔5602が形成されている。
連結孔5602は、ヒンジピン60が挿入可能であって、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成されている。
【0019】
一対の支持片58は、頭部42から離れた雄ねじ本体部48の雄ねじ44の軸方向の端部から平行に突出して設けられ先端部が円弧状に形成された一対の板状の部材であって、先端部よりに連結孔5802が形成されている。
連結孔5802は、ヒンジピン60が挿入可能な円形状に形成されている。
また、互いに対向する一対の支持片58の距離は、ヒンジ片56を挿入できるようにヒンジ片56の厚さより大きい寸法となっている。
【0020】
ヒンジピン60は、円筒状に形成されており、互いに対向する一対の支持片58の間にヒンジ片56が挿入された状態で、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって圧入される。
【0021】
また、ヒンジ機構52は、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構62を含んで構成されている。
可変機構62は、ヒンジ片56の連結孔5602と、ヒンジピン60とを含んで構成されている。
【0022】
ヒンジ片56の連結孔5602は、
図8に示すように、先端部側の半円弧状の内周部5602Aと、雄ねじ44B側の半円弧状の内周部5602Bと、内周部5602Aの端部と内周部5602Bの端部とを接続する直線状の一対の内周部5602Cとから構成されている。
内周部5602Aと内周部5602Bはヒンジピン60が当接可能に設けられ、内周部5602Cの軸方向の距離L1は、雄ねじ44のピッチPの少なくとも一つ分の距離で形成されている。つまり、連結孔5602の長さは、連結孔5602内でヒンジピン60が雄ねじ44のピッチPの少なくとも一つ分の距離を移動できる寸法で形成されている。
これは、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bとは同一のピッチPで形成されているものの、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とは印字機構52を介して連結されているため、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの山と谷の仮想延長線上から雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの山と谷とがずれることが考えられる。
そのような場合に、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を調整し、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの山と谷の仮想延長線上に雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの山と谷とが重なるようにしたものである。
すなわち、本実施の形態では、取り付け面1202の雌ねじ38に、まず、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bを螺合させ、次に雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aを螺合させるため、連結孔5602内でヒンジピン60が移動することで、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが取り付け面1202の雌ねじ38に円滑に螺合させることができる。
【0023】
また、
図9に示すように、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの外径D1と谷径D2は、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの外径D3と谷径D4とより長さ2S小さい寸法で形成されている。すなわち、外径D1は外径D3より長さ2S小さく、谷径D2は谷径D4より長さ2S小さい寸法で形成されている。
そうすると、取り付け面1202の雌ねじ38にボルト24Aを螺合させた場合、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの外周面と雌ねじ38の内周面との間に、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aとの外径差および谷径差と同様に長さ2S分の隙間が形成されるため、ボルト24Aの締め付けによるトルクが雄ねじ先端部50およびヒンジ機構52にかかることを抑制する上で有利となる。
【0024】
次に、
図1、2を参照して、ホース14が結合されたフランジヘッド16を取り付け座12に取り付ける方法について説明する。
本実施の形態では、取り付け座12の取り付け面1202上に載置されたフランジヘッド16(被取り付け部材)にクランプ金具20(押さえ部材)を載せ、クランプ金具20に挿通させたボルト22、24Aの雄ねじ22A、44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させ、ボルト22、24Aによりクランプ金具20をフランジヘッド16に押し付けてフランジヘッド16を取り付け面1202に取り付ける。
【0025】
具体的には、まず、フランジヘッド16の流路の開口(不図示)と、取り付け座12の流路36の開口3602が向かい合うように、フランジヘッド16の環板部30の下面3002を、取り付け座12の取り付け面1202に合わせ、フランジヘッド16を載置する。
次に、フランジヘッド16の環板部30に沿わせて一対のクランプ40を配置する。すなわち、
図2に示すように、一対のクランプ40の内周面4004を環板部30の外周面3006に対向させ、一対のクランプ40の当接面4006を環板部30の上面3004に当接させ、一対のクランプ40の内周面4008を第1小径部32の外周面3202に対向させる。
そして、一対のクランプ40のうちの一方のクランプ40Aのボルト挿通孔4002にワッシャー64を介して2つのボルト22を挿通させ、ボルト22の雄ねじ22Aを取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させて締結し、他方のクランプ40Bのボルト挿通孔4002にワッシャー64を介してボルト24Aを挿通させ、ボルト24Aの雄ねじ44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させて締結することで、フランジヘッド16の環板部30を取り付け面1202に圧接して取り付ける。
【0026】
ここで、ボルト24Aの雄ねじ44の雌ねじ38への螺合について詳細に説明する。
ボルト挿通孔4002に挿通されたボルト24Aの頭部42を六角レンチにより回転させると、頭部42と一体形成された雄ねじ本体部48からヒンジ機構52を介して雄ねじ先端部50に回転力が伝達される。
伝達された回転力により、雄ねじ本体部48と一体回転可能な雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bが雌ねじ38に螺合されていく。雄ねじ先端部50、ヒンジ機構52が順に雌ねじ38の内部に収まっていくと、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが取り付け面1202の開口3602に位置し、雌ねじ38に螺合されていく。
このとき、可変機構62により雄ねじ先端部50に対して雄ねじ本体部48は、軸方向にピッチPの少なくとも一つ分の距離が移動可能となっているため、軸方向に微調整されながら雄ねじ44Aが雌ねじ38に円滑に螺合されていき、
図4に示すように、ボルト24Aの雄ねじ44が雌ねじ38の内部に収まる。なお、
図4では、他のクランプ40Bは省略されている。
このように、ボルト24Aにより他方のクランプ40Bを介してフランジヘッド16を取り付ける。
【0027】
次に、
図3を参照してメンテナンス時のフランジヘッド16の交換方法について説明する。
メンテナンス時にフランジヘッド16を交換する場合、一方のクランプ40Aに挿通されているボルト22、および他方のクランプ40Bに挿通されているボルト24Aを回転操作させる。
まず、ボルト22の頭部2202を反時計回りに回転操作して、一方のクランプ金具20によるフランジヘッド16の押し付け力を弱め、解除する。
【0028】
そして、ボルト24Aの頭部42を反時計回りに回転操作して、ヒンジ機構52が取り付け面1202の開口3602から突出するまでボルト24Aを抜き出す。
このとき、雄ねじ本体部48を折曲する方向、
図3ではフランジヘッド16と反対方向に溝部54が位置するように、頭部42の位置合わせも行う。
ボルト24Aを所定位置まで抜き出し、ヒンジ機構52を取り付け面1202の開口3602から突出させるとともに頭部42の位置合わせを行ったならば、
図3に示すように、他方のクランプ40Bを頭部42の近傍まで移動させつつ軸部46に保持した状態にして、ボルト24Aの雄ねじ本体部48をフランジヘッド16と反対側に折曲させる。
これにより、クランプ金具40によるフランジヘッド16への押さえ付けが解除されるとともに、他方のクランプ40Bが一方のクランプ40Aから離れるため、フランジヘッド16を取り付け面1202に沿ってずらしながら取り外す。
【0029】
次に、別のフランジヘッド16を取り付ける。
すなわち、フランジヘッド16を取り付け面1202の所定位置に載置したら、ボルト24Aの雄ねじ本体部48をフランジヘッド16側に戻し、雄ねじ先端部50と雄ねじ本体部48の軸方向を合わせる。
そして、ボルト22の頭部2202を時計回りに回転操作して、雄ねじ22Aを雌ねじ38に螺合させていき、再度、ボルト22により一方のクラン部40Aを介してフランジヘッド16を押さえ付ける。
また、ボルト24Aの頭部42を時計回りに回転操作して、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aを雌ねじ38に螺合させていき、再度、ボルト24Aにより他方のクランプ40Bを介してフランジヘッド16を押さえつけ、フランジヘッド16を取り付ける。
【0030】
このように、本実施の形態によれば、ボルト24Aの頭部42から突出した雄ねじ44が、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有し、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを折曲可能に結合するヒンジ機構52により雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが連結されている。
従って、雄ねじ先端部50のみが所定の部材、例えばコントロールバルブの取り付け座12の雌ねじ38に螺合している状態にすれば、雄ねじ本体部48を折曲させることができるため、ボルト24Aにより取り付けている部品、例えばフランジヘッド16の交換などのメンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト24Aの紛失を回避する上で有利となる。
本実施の形態では、取り付け面1202上に載置されたフランジヘッド16(被取り付け部材)にクランプ金具20(押さえ部材)を載せ、クランプ金具20に挿通させたボルト22、24Aの雄ねじ22A、44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させ、ボルト22、24Aによりクランプ金具20をフランジヘッド16に押し付けてフランジヘッド16を取り付け面1202に取り付けている。
したがって、ボルト24Aを反時計回りに回転させて緩め、雄ねじ先端部50のみが雌ねじ38に螺合している状態にすれば、他方のクランプ40Bを雄ねじ本体部48で保持した状態で雄ねじ本体部48を折曲させることができるため、ボルト22、24Aを全て抜き出さなくてもフランジヘッド16の交換が可能となり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト22、24Aの紛失を回避する上で有利となる。
また、ヒンジ機構52を、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構62を含んで構成したため、雄ねじ先端部50および雄ねじ本体部48を雌ねじ38に円滑に螺合させる上で有利となる。
また、ヒンジ機構52を、雄ねじ先端部50に設けられたヒンジ片56と、雄ねじ本体部48に設けられ互いに対向してそれらの間にヒンジ片56が挿入される一対の支持片58と、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって挿通されるヒンジピン60とを含んで構成したため、折曲可能な雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、ヒンジ片56の連結孔5602を雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成し、可変機構62をヒンジ片56の連結孔5602を含んで構成したため、折曲可能で、雌ねじ38に円滑に螺合できる雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bを、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと同一のピッチPで、かつ雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aより外径と谷径とが小さい寸法で形成したため、ボルト24Aの締め付けによるトルクが雄ねじ先端部50およびヒンジ機構52にかかることを抑制する上で有利となる。
また、ボルト24Aの頭部42の外周面4204に、雄ねじ本体部48が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部54が形成されている構成としたため、ボルト24Aの頭部42から軸方向を見た場合に、雄ねじ本体部48がいずれの方向に折曲可能であるかを判断することができ、作業効率を高める上で有利となる。
【0031】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、雄ねじ先端部50にヒンジ片56を備え、雄ねじ本体部48に一対の支持片58を備えて構成されていたのに対して、第2の実施の形態では、雄ねじ本体部48にヒンジ片56を備え、雄ねじ先端部50に一対の支持片58を備えて構成されている点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0032】
図10、11を参照して本実施の形態のボルト24Bについて説明する。
本実施の形態のボルト24Bの雄ねじ本体部48は、雄ねじ44Aとヒンジ片56とを備え、雄ねじ先端部50は、雄ねじ44Bと一対の支持片58とを備えて構成されている。
ヒンジ機構52は、
図10、11に示すように、雄ねじ本体部48に設けられたヒンジ片56と、雄ねじ先端部50に設けられ互いに対向してそれらの間にヒンジ片56が挿入される一対の支持片58と、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって挿通されるヒンジピン60とを含んで構成されている。
ヒンジ片56および一対の支持片58の形状については、第1の実施の形態と同様である。
【0033】
このような本実施の形態のボルト24Bによっても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態では、ヒンジ機構52を、雄ねじ本体部48に設けられたヒンジ片56と、雄ねじ先端部50に設けられ互いに対向してそれらの間にヒンジ片56が挿入される一対の支持片58と、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって挿通されるヒンジピン60とを含んで構成したため、折曲可能な雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
【0034】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態のヒンジ機構52は、雄ねじ先端部50に設けられたヒンジ片56と、雄ねじ本体部48に設けられた一対の支持片58と、ヒンジ片56と一対の支持片58の連結孔5602、5802にわたって挿通されるヒンジピン60とにより構成されていたのに対して、第3の実施の形態では、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを接続する、第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70とを有する接続部材66を備えて構成されている点が異なっている。
【0035】
図12~15を参照して本実施の形態のボルト24Cについて説明する。
ボルト24Cは、金属製の六角穴付きボルトであって、回転操作可能な頭部42と、頭部42から突出し雄ねじ44が設けられた軸部46とを備えている。
軸部46の雄ねじ44は、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50と、第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70とを有する接続部材66とを有して構成されている。
そして、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とは、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを折曲可能に結合するヒンジ機構72で連結されている。
【0036】
頭部42の形状は第1の実施の形態と同様であるが、本実施の形態では、雄ねじ本体部48がX1方向、X2方向、Y1方向、およびY2方向に折曲するため、頭部42の外周面4204には、
図12、14に示すように、4つの溝部54が形成されている。
【0037】
図12に示すように、雄ねじ先端部50は、雄ねじ44Bと一対の支持片76とを備え、雄ねじ本体部48は、雄ねじ44Aと一対の支持片74とを備えて構成されており、第1の実施の形態と同様に、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bと雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aとは同一のピッチPで形成されている(
図9参照)。
【0038】
ヒンジ機構72は、
図12、13に示すように、第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70とを有する接続部材66と、雄ねじ本体部48に設けられ互いに対向してそれらの間に第1ヒンジ片68が挿入される一対の支持片74と、雄ねじ先端部50に設けられ互いに対向してそれらの間に第2ヒンジ片70が挿入される一対の支持片76と、第1ヒンジ片68と一対の支持片74の連結孔6802、7402にわたって挿通される第1ヒンジピン78と、第2ヒンジ片70と一対の支持片76の連結孔7002、7602にわたって挿通される第2ヒンジピン80とを含んで構成されている。
【0039】
接続部材66は、
図15に示すように、それぞれ連結孔6802、7002を有し、互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70とを有して構成されている。
第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70は、楕円形状の板状の部材であって、
図12に示すように、雄ねじ44の軸方向から見て直交するように接続されている。
第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70の中央部には、それぞれ連結孔6802、7002が形成されている。
第1ヒンジ片68の連結孔6802と第2ヒンジ片70の連結孔7002は、それぞれ第1ヒンジピン78、第2ヒンジピン80が挿入可能であって、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成されている。
第1ヒンジ片68は、連結孔6802、7402に挿通された第1ヒンジピン78を介して雄ねじ本体部48に一体回転可能に結合され、第2ヒンジ片70は、連結孔7002、7602に挿通された第2ヒンジピン80を介して雄ねじ先端部50に一体回転可能に結合されている。
【0040】
一対の支持片74は、頭部42から離れた雄ねじ本体部48の雄ねじ44の軸方向の端部から平行に突出して設けられ先端部が円弧状に形成された一対の板状の部材であって、先端部よりに連結孔7402が形成されている。
連結孔7402は、第1ヒンジピン78が挿入可能な円形状に形成されている。
また、互いに対向する一対の支持片74の距離は、第1ヒンジ片68を挿入できるように第1ヒンジ片68の厚さより大きい寸法となっている。
【0041】
一対の支持片76は、雄ねじ先端部50の雄ねじ44の軸方向の端部から平行に突出して設けられ先端部が円弧状に形成された一対の板状の部材であって、先端部よりに連結孔7602が形成されている。
連結孔7602は、第2ヒンジピン80が挿入可能な円形状に形成されている。
また、互いに対向する一対の支持片76の距離は、第2ヒンジ片70を挿入できるように第2ヒンジ片70の厚さより大きい寸法となっている。
【0042】
第1ヒンジピン78は、円筒状に形成されており、互いに対向する一対の支持片74の間に第1ヒンジ片68が挿入された状態で、第1ヒンジ片68と一対の支持片74の連結孔6802、7402にわたって圧入される。
第2ヒンジピン80は、第1ヒンジピン78と同様に円筒状に形成されており、互いに対向する一対の支持片76の間に第2ヒンジ片70が挿入された状態で、第2ヒンジ片70と一対の支持片76の連結孔7002、7602にわたって圧入される。
第1ヒンジピン78と第2ヒンジピン80とは、雄ねじ44の軸方向から見て直交して配置されている。
【0043】
また、ヒンジ機構72は、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構82を含んで構成されている。
可変機構82は、第1ヒンジ片68の連結孔6802と第2ヒンジ片70の連結孔7002を含んで構成されている。
【0044】
第1ヒンジ片68の連結孔6802は、
図15(A)に示すように、端部側の半円弧状の内周部6802Aと、第2ヒンジ片70側の半円弧状の内周部6802Bと、内周部6802Aの端部と内周部6802Bの端部とを接続する直線状の一対の内周部6802Cとから構成されている。
内周部6802Aと内周部6802Bは第1ヒンジピン78が当接可能に設けられ、内周部6802Cの軸方向の距離L2は、雄ねじ44のピッチPの1/2分(
図9参照)の距離で形成されている。
従って、第1ヒンジピン78を連結孔6802に挿通した場合、第1ヒンジピン78は連結孔6802内においてピッチPの1/2分の軸方向の距離を移動できるため、可変機構82は、第1ヒンジピン78を介して接続された雄ねじ本体部48と接続部材66との間の軸方向の距離をピッチPの1/2分の距離だけ移動させることができる。
【0045】
第2ヒンジ片70の連結孔7002は、
図15(B)に示すように、端部側の半円弧状の内周部7002Aと、第1ヒンジ片68側の半円弧状の内周部7002Bと、内周部7002Aの端部と内周部7002Bの端部とを接続する直線状の一対の内周部7002Cとから構成されている。
内周部7002Aと内周部7002Bは第2ヒンジピン80が当接可能に設けられ、内周部7002Cの軸方向の距離L3は、雄ねじ44のピッチPの1/2分(
図9参照)の距離で形成されている。
従って、第2ヒンジピン80を連結孔7002に挿通した場合、第2ヒンジピン80は連結孔7002内においてピッチPの1/2分の軸方向の距離を移動できるため、可変機構82は、第2ヒンジピン80を介して接続された雄ねじ先端部50と接続部材66との間の軸方向の距離をピッチPの1/2分の距離だけ移動させることができる。
【0046】
よって、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とは接続部材66を介して結合されているため、可変機構82は、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の軸方向の距離をピッチPの一つ分の距離(L2+L3)だけ移動させることができる。
そうすると、本実施の形態では、取り付け面1202の雌ねじ38に、まず、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bを螺合させ、次に雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aを螺合させるため、連結孔6802、7002内でそれぞれ第1ヒンジピン78、第2ヒンジピン80が移動することで、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが取り付け面1202の雌ねじ38に円滑に螺合させることができる。
なお、本実施の形態の距離L2+L3は、ピッチPの一つ分の距離で形成されているが、第1ヒンジ片68、第2ヒンジ片70における雄ねじ44の軸方向の長さに余裕があれば、ピッチPの一つ分以上の任意の長さで形成してもよい。
また、本実施の形態の連結孔6802、7002はともに同一の長孔状に形成されているが、距離L2+L3がピッチPの一つ分以上の任意の長さで形成されていれば、一方の連結孔が円形状で他方の連結孔が長孔状に形成してもよいし、異なる長孔状に形成してもよい。
【0047】
雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bおよび雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの外径と谷径については、第1の実施の形態と同様である。
また、本実施の形態におけるホース14が結合されたフランジヘッド16を取り付け座12に取り付ける方法、およびメンテナンス時のフランジヘッド16の交換方法については第1の実施の形態と同様である。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、ボルト24Cの頭部42から突出した雄ねじ44が、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有し、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが一体回転可能で、かつ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とを折曲可能に結合するヒンジ機構72により雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とが連結されている。
従って、雄ねじ先端部50のみが所定の部材、例えばコントロールバルブの取り付け座12の雌ねじ38に螺合している状態にすれば、雄ねじ本体部48を折曲させることができるため、ボルト24Cにより取り付けている部品、例えばフランジヘッド16の交換などのメンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト24Cの紛失を回避する上で有利となる。
本実施の形態では、取り付け面1202上に載置されたフランジヘッド16(被取り付け部材)にクランプ金具20(押さえ部材)を載せ、クランプ金具20に挿通させたボルト22、24Cの雄ねじ22A、44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させ、ボルト22、24Cによりクランプ金具20をフランジヘッド16に押し付けてフランジヘッド16を取り付け面1202に取り付けている。
したがって、ボルト24Cを反時計回りに回転させて緩め、雄ねじ先端部50のみが雌ねじ38に螺合している状態にすれば、他方のクランプ40Bを雄ねじ本体部48で保持した状態で雄ねじ本体部48を折曲させることができるため、ボルト22、24Cを全て抜き出さなくてもフランジヘッド16の交換が可能となり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト22、24Cの紛失を回避する上で有利となる。
また、ヒンジ機構72を、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構82を含んで構成したため、雄ねじ先端部50および雄ねじ本体部48を雌ねじ38に円滑に螺合させる上で有利となる。
また、ヒンジ機構72を、それぞれ連結孔6802、7002を有し互いに一体回転可能に結合された第1ヒンジ片68と第2ヒンジ片70とを有し、第1ヒンジ片68が連結孔6802に挿通された第1ヒンジピン78を介して雄ねじ本体部48に一体回転可能に結合され、第2ヒンジ片70が連結孔7002に挿通された第2ヒンジピン80を介して雄ねじ先端部50に一体回転可能に結合され、第1ヒンジピン78と第2ヒンジピン80とが雄ねじ44の軸方向から見て直交している構成としたため、折曲可能な雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、第1ヒンジ片68の連結孔6802と第2ヒンジ片70の連結孔7002を、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成し、可変機構82を第1ヒンジ片68の連結孔6802と第2ヒンジ片70の連結孔7002を含んで構成したため、折曲可能で、雌ねじ38に円滑に螺合できる雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bを、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと同一のピッチPで、かつ雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aより外径と谷径とが小さい寸法で形成する構成したため、ボルト24Cの締め付けによるトルクが雄ねじ先端部50およびヒンジ機構72にかかることを抑制する上で有利となる。
また、ボルト24Cの頭部42の外周面に、雄ねじ本体部48が折曲可能な方向で、軸方向に延在する溝部54が形成されている構成としたため、ボルト24Cの頭部42から軸方向を見た場合に、雄ねじ本体部48がいずれの方向に折曲可能であるかを判断することができ、作業効率を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0049】
12 取り付け座
1202 取り付け面
14 ホース
16 フランジヘッド
20 クランプ金具
22、24A、24B、24C ボルト
26 ソケット
28 ホース結合部
30 環板部
32 第1小径部
34 第2小径部
36 流路
40(40A、40B) 一対のクランプ
4002 ボルト挿通孔
42 頭部
44雄ねじ
46 軸部
48 雄ねじ本体部
50 雄ねじ先端部
52、72 ヒンジ機構
54 溝部
56 ヒンジ片
5602、5802、6802、7002、7402、7602 連結孔
58、74、76 一対の支持片
60 ヒンジピン
62、82 可変機構
64 ワッシャー
66 接続部材
68 第1ヒンジ片
70 第2ヒンジ片
78 第1ヒンジピン
80 第2ヒンジピン