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特開2024-93447ミネラル溶出組成物、並びにミネラル付与装置、ミネラル付与水の製造方法及びミネラル付与水の製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093447
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ミネラル溶出組成物、並びにミネラル付与装置、ミネラル付与水の製造方法及びミネラル付与水の製造システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20240702BHJP
【FI】
C02F1/68 530F
C02F1/68 510B
C02F1/68 520B
C02F1/68 520D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209835
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】522503964
【氏名又は名称】通用理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100229389
【弁理士】
【氏名又は名称】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】山内 知子
(57)【要約】
【課題】持続的にミネラル成分を水に付与できるミネラル溶出組成物を提供する。また、ミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムを提供する。
【解決手段】ミネラル溶出組成物は、ミネラル成分を水溶性高分子で固めて成形されてなり、ミネラル成分が少なくともマグネシウム及びカルシウムのいずれかを含有することを特徴とする。浄水などの飲用水にミネラル溶出組成物を接するように配置することにより、持続的にミネラル成分を付与することができる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水にミネラル成分を付与するためのミネラル溶出組成物であって、
前記ミネラル成分を水溶性高分子で固めて成形されてなり、
前記ミネラル成分が、少なくともマグネシウム及びカルシウムのいずれかを含有することを特徴とするミネラル溶出組成物。
【請求項2】
前記被処理水が、浄水である請求項1のミネラル溶出組成物。
【請求項3】
前記マグネシウムとしてマグネシウム塩を含有し、前記カルシウムとしてカルシウム塩を含有する請求項1に記載のミネラル溶出組成物。
【請求項4】
前記マグネシウム塩が、グリシン酸マグネシウムであり、前記カルシウム塩が、塩化カルシウムである、請求項3に記載のミネラル溶出組成物。
【請求項5】
前記水溶性高分子が、デキストリン、アガー、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ペクチン、及びイヌリンから選択される1以上である請求項1に記載のミネラル溶出組成物。
【請求項6】
前記水溶性高分子が、難消化性デキストリンである請求項1に記載のミネラル溶出組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のミネラル溶出組成物と、前記被処理水と、を接触させ、前記被処理水に前記ミネラル成分を溶出させて前記ミネラル成分を付与するミネラル付与水の製造方法。
【請求項8】
前記被処理水が、浄水である請求項7のミネラル付与水の製造方法。
【請求項9】
被処理水にミネラル成分を付与するミネラル付与装置であって、
請求項1から6のいずれかに記載のミネラル溶出組成物を前記被処理水と接触するように配置して含むミネラル付与装置。
【請求項10】
原水から浄水を製造する浄水器と、
前記浄水器から排出された前記浄水にミネラルを付与するミネラル付与装置と、
を有し、
前記ミネラル付与装置が、請求項9に記載のミネラル付与装置であることを特徴とするミネラル付与水の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水にミネラル成分を付与するためのミネラル溶出組成物、並びにミネラル付与装置、ミネラル付与水の製造方法及びミネラル付与水の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水にミネラル成分を付与してミネラル水を製造するためのミネラル水製造技術として、麦飯石やサンゴ石、セラミックボールなどのミネラル溶出素材を使用したものが一般に知られている。
例えば、特許文献1には、麦飯石などの天然鉱石を水に数時間浸漬することによりミネラル成分を溶出させるミネラル水の製造方法が開示されている。また、短時間にミネラル付与水を製造するために、特許文献2には超音波を照射するようにしたもの、特許文献3にはミネラル付与材を移動可能にしたものなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―72723号公報
【特許文献2】特開平9-117779号公報
【特許文献3】特開平10-5774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のミネラル水製造技術では、ミネラル成分の水溶性が低く、ミネラル成分の溶出に長時間を要するという問題があった。
また、ミネラル成分の水溶性を高めるために、ミネラル水製造装置に超音波機能を付加して構造が複雑化するという問題があり、あるいは、ミネラル付与材を粒子状にすることによりミネラル付与材の交換が煩雑化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、持続的にミネラル成分を水に付与できるミネラル溶出組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、ミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、マグネシウム及びカルシウムを含有するミネラル成分と水溶性高分子を混合し加熱することにより得られた固形物が、すぐに水に溶けず、持続的にミネラル成分を水に付与できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 被処理水にミネラル成分を付与するためのミネラル溶出組成物であって、
前記ミネラル成分を水溶性高分子で固めて成形されてなり、
前記ミネラル成分が、少なくともマグネシウム及びカルシウムのいずれかを含有するミネラル溶出組成物。
<2> 前記被処理水が、浄水である<1>のミネラル溶出組成物。
<3> 前記マグネシウム又はカルシウムとして、マグネシウム塩又はカルシウム塩を含有する<1>又は<2>に記載のミネラル溶出組成物。
<4> 前記マグネシウムが、グリシン酸マグネシウムであり、前記カルシウムが、塩化カルシウムである、<3>のミネラル溶出組成物。
<5> 前記水溶性高分子が、デキストリン、アガー、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ペクチン、イヌリン及びそれらの混合物から選択される、<1>から<4>のいずれかに記載のミネラル溶出組成物。
<6> 前記水溶性高分子が、難消化性デキストリンである<1>から<5>のいずれかに記載のミネラル溶出組成物。
【0008】
<7> <1>から<6>のいずれかに記載のミネラル溶出組成物と、前記被処理水と、を接触させ、前記被処理水に前記ミネラル成分を溶出させて前記ミネラル成分を付与するミネラル付与水の製造方法。
<8> 前記被処理水が、浄水である<7>のミネラル付与水の製造方法。
<9> 被処理水にミネラル成分を付与するミネラル付与装置であって、<1>から<6>のいずれかに記載のミネラル溶出組成物を前記被処理水と接触するように配置して含むミネラル付与装置。
<10> 原水から浄水を製造する浄水器と、前記浄水器から排出された前記浄水にミネラルを付与するミネラル付与装置と、を有し、前記ミネラル付与装置が、<9>に記載のミネラル付与装置であるミネラル付与水の製造システム。
【0009】
<1a> <1>から<6>のいずれかに記載されたミネラル溶出組成物の製造方法であって、前記ミネラル成分と前記水溶性高分子と原料水を混合した混合物を得る工程(1)と、前記混合物を加熱する工程(2)と、前記工程(2)後の前記混合物を冷却して固化する工程(3)と、を有する製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、持続的にミネラル成分を水に付与できるミネラル溶出組成物が提供される。また、本発明によれば、ミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のミネラル付与水の製造システム100(第1の実施形態)のシステムフロー図である。
図2】本発明のミネラル付与水の製造システム200(第2の実施形態)のシステムフロー図である。
図3】本発明のミネラル付与水の製造システム300(第3の実施形態)のシステムフロー図である。
図4】本発明のミネラル溶出組成物の実施例の外観写真である。
図5】本発明のミネラル溶出組成物の実施例B1及びB5を被処理水(純水)に浸漬して懸濁性を評価した時の写真である。
図6】本発明のミネラル溶出組成物の実施例C1~C6の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
【0013】
また、本明細書において、「~」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
また、本明細書において、「A及び/又はB」と いう表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「A及びBの双方」が含まれる。
【0014】
<1.ミネラル溶出組成物>
本発明は、被処理水にミネラル成分を付与するためのミネラル溶出組成物であって、前記ミネラル成分を水溶性高分子で固めて成形されてなり、前記ミネラル成分が、少なくともマグネシウム及びカルシウムのいずれかを含有するミネラル溶出組成物(以下、「本発明のミネラル溶出組成物」と称す)に関する。
【0015】
[1-1.ミネラル成分]
本発明のミネラル溶出組成物は、ミネラル成分として、少なくともマグネシウム及びカルシウムのいずれかを含有する。
【0016】
一般的に、水溶性高分子は水に溶ける性質があるため、単に水溶性高分子を用いて固めた固形物は、水に浸漬されると、比較的短時間で水に溶けてしまう。そのため、水にミネラル成分を持続的に付与する固形物として、単に水溶性高分子を用いて固めた固形物を用いることは困難であった。
これに対し、本発明のミネラル溶出組成物は、2価イオンとして存在しうるマグネシウム又はカルシウムをミネラル成分として含有することにより、2価イオンのミネラル成分と水溶性高分子との結合が強まり、本発明のミネラル溶出組成物は、水に浸漬されても、すぐに水に溶けることはなく、水に持続的にミネラル成分を付与することが可能となる。
【0017】
本発明のミネラル溶出組成物に含有されるマグネシウム及び/又はカルシウムの量は、本発明の目的を損なわない範囲で、他のミネラル成分の種類及び量、本発明に用いられる水溶性高分子の種類及び量、製造条件、使用条件、等によって適宜選択することができる。
【0018】
本発明のミネラル溶出組成物は、被処理水にミネラル成分を付与した水(ミネラル付与水)を製造するために使用される。ここで、「被処理水」は、任意であるが、例えば、水道水、井戸水、天然水、等の飲用される水が好適な対象である。また、浄水器によって原水から溶存物質(ミネラル成分を含む)を取り除いた浄水は、ミネラル成分が不足しているため、本発明のミネラル溶出組成物における被処理水として好適な対象である。
【0019】
本発明のミネラル溶出組成物は、マグネシウム及びカルシウム以外にも他のミネラル成分を含んでいてもよい。
他のミネラル成分として、例えば、ナトリウム、カリウム、鉄、リン、銅、亜鉛、マンガン、クロム、セレン、モリブデン、ヨウ素、珪素、等を挙げることができる。本発明のミネラル溶出組成物は、他のミネラル成分を1種又は2種以上を含んでいてもよい。また、前記珪素は、もみ殻由来の珪素であってもよい。他のミネラル成分の量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定すればよい。
これらのうち、被処理水が飲用される水である場合、健康増進の観点から、日々の生活で不足しがちな、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムがミネラル成分として活用しやすい。
【0020】
また、上述のように本発明のミネラル溶出組成物は、被処理水に接触してもすぐには被処理水に溶けず、持続的にミネラル成分を水へ付与できる。
被処理水に接触してもすぐには被処理水に溶けない理由についての詳細は明らかではないが、ミネラル成分はイオン化して水溶性高分子と結合していると推測される。水溶性高分子との結合に関して1価イオンと2価イオンを比較した場合、2価イオンの方が水溶性高分子と結合する力は強いと想定される。ミネラル溶出組成物が被処理水に接触してもすぐには被処理水に溶けず、持続的にミネラル成分を被処理水へ付与するためには、水溶性高分子とより強く結合する2価イオンミネラル成分が必要となる。
したがって、ミネラル成分であるナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムのうち、1価イオンとなりうるナトリウム及びカリウムより、2価イオンとなりうるマグネシウムやカルシウムをミネラル成分として含有することが必須となる。
【0021】
また、本発明のミネラル溶出組成物において、ミネラル成分として含有されるマグネシウム及びカルシウムは、イオンとして作用すべく、マグネシウム塩又はカルシウム塩であることが好ましい。
【0022】
マグネシウム塩として、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、等が挙げられ、好適例として、グリシン酸マグネシウムが挙げられる。これらのマグネシウム塩は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0023】
カルシウム塩として、例えば、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム等が挙げられ、好適例として、塩化カルシウムが挙げられる。これらのカルシウム塩は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0024】
[1-2.水溶性高分子]
本発明のミネラル溶出組成物が含有する水溶性高分子(以下、「本発明に係る水溶性高分子」と称する場合がある。)は、上述のミネラル成分によって固めることができ、かつ、ミネラル溶出組成物を被処理水と接触した場合にすぐに溶けてしまうことはなく、徐々に溶解するポリマーを使用することができる。
【0025】
本発明に係る水溶性高分子は、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明に用いられるミネラル成分の種類及び量、製造条件、使用条件、等によって適宜選択することができる。
本発明に係る水溶性高分子として、好適には、デキストリン、アガー、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ペクチン、イヌリン、セルロース、ガラクトマンナン、グルコマンナン、スクシノグリカン、スクレログルカン、カルボマー、アルギン酸、アルジネート、カラジーナン、カロブガム、グアーガム、トラガカントガム、アラビアゴム、カシアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タラガム、及びゲランガム、等を挙げることができる。
【0026】
被処理水が飲用される水である場合、本発明に係る水溶性高分子として、飲用に支障がない水溶性高分子が選択され、具体的にはデキストリン、アガー、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ペクチン、イヌリンを選択することができる。
これらの中でも、特に、ミネラル溶出組成物のミネラル水溶性や懸濁性(被処理水中に溶出した異物)の点で、デキストリン、アガー、ジェランガムが好ましく、デキストリンが特に好ましい。
【0027】
また、水溶性高分子は水に溶けるため、本発明のミネラル溶出組成物を被処理水に浸漬した際、ミネラル溶出組成物に含まれるミネラル成分だけでなく、水溶性高分子も徐々に被処理水に溶ける。
被処理水が飲用水であったとしても、水溶性高分子がデキストリン、アガー、ジェランガムであれば、水溶性高分子が溶けた被処理水を飲用しても特段支障はない。これらの水溶性高分子のうち、デキストリンがより好ましい。
【0028】
また、デキストリンの中でも、難消化性デキストリンは、食後の血糖値上昇抑制効果のほか、血中脂質の改善効果、整腸効果が期待される。健康増進の観点から、難消化性デキストリンが好適である。
なお、難消化性デキストリンは、澱粉に微量の塩酸を加えて加熱し、アミラーゼ等の酵素で処理して得られた食物繊維成分を分取して得ることができる。
【0029】
(配合割合)
本発明のミネラル溶出組成物におけるミネラル成分と水溶性高分子の割合は、固形物を形成でき、水に接触させた際に水溶性高分子のみである場合と比較して、溶解速度が遅くなる割合であればよく、ミネラル成分及び水溶性高分子の種類及び量、製造条件、ミネラル組成物の使用目的及び使用条件を考慮して適宜設定することができる。
【0030】
本発明のミネラル溶出組成物は固形物であり、使用目的や使用条件を任意の形状及び寸法にすることができる。
例えば、後述するようにミネラル付与装置に本発明のミネラル溶出組成物を充填して使用する場合には、球形、円柱形、円盤形、円錐形、直方体形、立方体形、多角柱形、等の形状とすることができる。
【0031】
[1-3.ミネラル溶出組成物の製造方法]
上述した本発明のミネラル溶出組成物は、以下に説明する製造方法によって好適に製造することができる。
すなわち、本発明のミネラル溶出組成物の製造方法は、前記ミネラル成分と前記水溶性高分子と原料水を混合した混合物を得る工程(1)と、前記混合物を加熱する工程(2)と、前記工程(2)後の前記混合物を冷却して固化する工程(3)と、を有する製造方法である。
【0032】
以下、各工程を説明する。なお、工程(1)と工程(2)は、必要に応じて、同時に行ってもよい。また、ミネラル成分及び水溶性高分子の詳細については、上述した通りであるため、説明を省略する。
【0033】
〔工程(1)〕
工程(1)は、ミネラル成分と水溶性高分子と原料水を混合する工程である。
【0034】
工程(1)では、ミネラル成分と水溶性高分子と原料水(ミネラル溶出組成物の原料となる混合物に加える水)とを混合した混合物を、一体的なまとまりが形成されるまで混ぜる。
工程(1)における混合物は、ミネラル成分と水溶性高分子と原料水を含むが、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明に用いられるミネラル成分の種類及び量、製造条件、使用条件、等によって混合割合を適宜設定することができる。
【0035】
工程(1)における各原料の混合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で任意であり、ミネラル成分の種類、水溶性高分子の種類、使用目的及び使用条件等を考慮して適宜選択すればよい。
例えば、ミネラル成分、水溶性高分子及び原料水の合計を100重量%としたとき、ミネラル成分1~99重量%、水溶性高分子1~99重量%、原料水1~99重量%から選択することができる。
なお、ミネラル成分がグリシン酸マグネシウムと塩化カルシウムであり、水溶性高分子がデキストリンである場合、各原料の混合割合は、後述する実施例に示す通り、ミネラル成分15~85重量%、水溶性高分子15~85重量%、原料水10~30重量%とすることができる。
【0036】
〔工程(2)〕
続いて、工程(2)では、一体的なまとまりが形成された混合物に熱を加え、混合物中に粉状体が目視で確認できなくなるまで混合物を撹拌しながら加熱する。なお、工程(1)と工程(2)は、本発明の目的を損なわない範囲で、同時に行ってもよい。
【0037】
〔工程(3)〕
工程(1)及び工程(2)を経たのち、工程(3)では、混合物を所定の形状に成形して常温環境で放置(冷却)する。混合物が固化して飴状の固形物となったら、本発明のミネラル溶出組成物を得ることができる。
【0038】
<2.ミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造方システム>
本発明のミネラル溶出組成物を用いた応用技術として、ミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムを説明する。
【0039】
本発明のミネラル付与水の製造方法は、上述した本発明のミネラル溶出組成物と、前記被処理水と、を接触させ、前記被処理水に前記ミネラル成分を溶出させて前記ミネラル成分を付与することにより、ミネラル付与水を製造する方法である。
【0040】
本発明のミネラル付与装置は、被処理水にミネラル成分を持続的に付与するミネラル付与装置であって、上述した本発明のミネラル溶出組成物を前記被処理水と接触するように配置して含む装置である。
【0041】
本発明のミネラル付与水の製造システムは、原水から浄水を製造する浄水器と、前記浄水器から排出された前記浄水にミネラルを付与するミネラル付与装置と、を有し、前記ミネラル付与装置が本発明のミネラル付与装置であるシステムである。
【0042】
なお、以下の説明において<1.ミネラル溶出組成物及びその製造方法>にて上述した内容については説明を省略する。
【0043】
以下、図面を参照しながら、本発明のミネラル付与水の製造方法、ミネラル付与装置、及びミネラル付与水の製造システムの好適な実施形態を説明する。
なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の用紙を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。実施形態に示す寸法、材料、その他の具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図面に示す矢印の向きは、水の流れを示す。
【0044】
図1に、ミネラル付与水の製造システム100(第1の実施形態)を示す。
ミネラル付与水の製造システム100は、浄水器20とミネラル付与装置10を主要部として構成される。また、ミネラル付与水の製造システム100において、浄水器20に給水管40が接続され、浄水器20とミネラル付与装置10は連結管41を介して接続され、ミネラル付与装置10に出水管42が接続されている。出水弁30は出水管42に設置されている。
【0045】
浄水器20は、給水管40を通じて供給された原水から、ろ材又は逆浸透膜等を用いて原水中の溶存物質などを減少あるいは除去することにより、浄水を製造する。なお、本明細書において「浄水」とは、浄水器によって水道水中の溶存物質などを減少あるいは除去した水を意味する。
【0046】
ミネラル付与装置10は、連結管41を通じて浄水器20から浄水が供給され、常に浄水が貯留されている。ミネラル付与装置10内の浄水が貯留もしくは流通する経路に、ミネラル溶出組成物1が配置されている。ミネラル溶出組成物1には、上述した本発明のミネラル溶出組成物が使用される。
貯留された浄水は、ミネラル付与装置10に配置されたミネラル溶出組成物1と接触することによりミネラル成分が付与され、ミネラル付与水が製造される。
ミネラル付与水の製造システム100は、出水弁30を開くことにより、出水管42を通じてミネラル付与水を供給する。
【0047】
ミネラル付与水の製造システム100は、被処理水の流量、ミネラル成分の付与量、等の使用条件に応じて、ミネラル付与水の製造システム100を構成する各要素の方式、寸法、構成材料等を適宜設定することができる。特にミネラル付与装置10内のミネラル溶出組成物1の組成(ミネラル成分、水溶性高分子の種類や配合割合)、形状、数等は、ミネラル付与水の製造システム100の使用目的や使用条件等に応じて適宜選択される。
また、ミネラル付与水の製造システム100は、家庭用上水経路や集合住宅の給水設備に接続し、ミネラル成分を付与したミネラル付与水を製造することができる。
【0048】
なお、ミネラル付与水の製造システム100がミネラル付与水を供給している間、ミネラル付与装置10は連続式(フロー式)反応器として機能し、浄水とミネラル溶出組成物1の接触時間は比較的短い。そのため、ミネラル付与水の製造システム100では、ミネラル放出性が比較的高いミネラル溶出組成物が好ましく選択される。
【0049】
図2に、ミネラル付与水の製造システム200(第2の実施形態)を示す。
【0050】
ミネラル付与水の製造システム200は、原水から浄水を製造する浄水器20と、前記浄水器20から排出された前記浄水にミネラルを付与するミネラル付与装置10と、前記浄水器20と前記ミネラル付与装置10を接続する連結管41に設置された開閉弁31と、を有し、前記ミネラル付与装置10が、本発明のミネラル付与装置であるシステムである。
【0051】
ミネラル付与水の製造システム200は、ミネラル付与水の製造システム100(第1の実施形態)と、主な構成は共通するが、開閉弁31を有し、出水弁30が無い点で相違する。
【0052】
ミネラル付与水の製造システム200において、ミネラル付与装置10内のミネラル溶出組成物1の組成(ミネラル成分、水溶性高分子の種類や配合割合)、形状、数等は、ミネラル付与水の製造システム200の使用目的や使用条件等に応じて適宜選択される。
なお、本実施形態のミネラル付与水の製造システム200では、浄水はミネラル付与装置10に貯留されず流通するため、浄水とミネラル溶出組成物1との接触時間が短い。そのため、ミネラル付与水の製造システム200では、ミネラル放出性が高いミネラル溶出組成物が好ましく選択される。
【0053】
図3に、ミネラル付与水の製造システム300(第3の実施形態)を示す。
【0054】
ミネラル付与水の製造システム300は、原水から浄水を製造する浄水器20と、前記浄水器20から排出された前記浄水にミネラルを付与するミネラル付与装置10と、前記浄水器20と前記ミネラル付与装置10を接続する連結管41に設置された開閉弁31と、前記ミネラル付与装置10に設置された水位センサ50と、を有し、前記ミネラル付与装置10が、本発明のミネラル付与装置であるシステムである。
【0055】
ミネラル付与水の製造システム300は、ミネラル付与水の製造システム100(第1の実施形態)と、主な構成は共通するが、開閉弁31及び水位センサ50を有する点で相違する。
【0056】
ミネラル付与水の製造システム300において、ミネラル付与装置10内のミネラル溶出組成物1の組成(ミネラル成分、水溶性高分子の種類や配合割合)、形状、数等は、ミネラル付与水の製造システム300の使用目的や使用条件等に応じて適宜選択される。
なお、水位センサ50が検知したミネラル付与装置10内の浄水の水位情報に基づいて開閉弁31を制御することにより、ミネラル付与装置10の浄水の滞留時間を十分確保し、浄水とミネラル溶出組成物1との接触時間を長くすることができる。そのため、ミネラル付与水の製造システム300では、ミネラル放出性が低いミネラル溶出組成物が好ましく選択される。
【0057】
以上、図面を参照して本発明のミネラル付与水の製造システムについて説明したが、本発明のミネラル溶出組成物をミネラル付与装置に配置するシンプルな構成により、ミネラル付与水を製造することができるため、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムの構造を簡素化できる。
また、本発明のミネラル溶出組成物は飴状の固形物であり、本発明のミネラル付与水の製造システムにおいて数も限定的であるため、容易に交換することができる。本発明のミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造システムの維持、メンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0058】
なお、本発明のミネラル付与水の製造システムは上記実施形態に限定されるものではなく、本発明のミネラル付与水の製造システムの目的を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
例えば、ミネラル付与装置10にミネラル溶出組成物1は配置されるが、配置される際、ミネラル溶出組成物1は固定されていてもよく、あるいは、固定されていなくてもよい。
また、ミネラル付与装置10に含まれるミネラル溶出組成物1の数は、使用条件等によって適宜変更することが可能であり、1つでも、2つでも、あるいは3つ以上でもよい。
また、いずれのミネラル付与水の製造システムもミネラル付与装置10を1つ含んでいるが、2つ以上含んでもよい。本発明のミネラル付与水の製造システムがミネラル付与装置10を2つ以上含む場合、直列及び/又は並列に接続してもよい。
また、本発明のミネラル付与水の製造システムに含まれるミネラル付与装置10は、回分式(バッチ式)、連続式(フロー式)、これら以外の方式でもよい。
【0059】
また、浄水器20は、例えば、逆浸透膜浄水器でもよく、逆浸透膜浄水器で製造された浄水には各種ミネラルが不足しがちであり、特に本発明のミネラル付与装置、ミネラル付与水の製造方法及びその製造システムが好適である。
【実施例0060】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
また、実施例において示す「純水」は、水道水を精製して得られた水であり、以下の実施例では、混合物に混合する原料水、及び、ミネラル成分を付与する被処理水のいずれにも純水を用いた。
また、実施例において示すTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形物)値とは、水の導電率の測定値に基づいて水中の溶解物濃度の総計を示すものである。本実施例において、TDS値はミネラル成分由来の溶出量に対応し、TDS計(ZX-TDS-O、深セン市欧蒙王不保科技有限公司)を用いて計測した値である。
【0062】
<1.ミネラル溶出組成物の比較>
[1-1.試料]
1-1-1.実施例A
以下の手順で実施例Aのミネラル溶出組成物を作製した。
(1)ミネラル成分として塩化カルシウム10g、グリシン酸マグネシウム10g、水溶性高分子としてデキストリン10g、原料水として純水10gを混合して、混合物が一体的なまとまりを形成するまで混ぜた。
(2)混合物中の粉状体が目視で確認できなくなるまで、混合物を撹拌しながら加熱した。
(3)加熱後の混合物を常温で成形しながら冷却し、実施例Aのミネラル溶出組成物を得た。
【0063】
1-1-2.比較例a1,a2
比較例a1として麦飯石を、比較例a2としてセラミックボールを準備した。
【0064】
[1-2.評価方法]
以下の手順で、実施例Aのミネラル溶出組成物、比較例a1(麦飯石)及び比較例a2(セラミックボール)のミネラル水溶性をTDS値により評価した。
(1)被処理水として純水を用い、実施例Aのミネラル溶出組成物20gを被処理水(純水)1.2Lに、比較例a1(麦飯石)10gを被処理水(純水)0.6Lに、比較例a2(セラミックボール)10gを被処理水(純水)0.6Lに、常温環境下で個別に浸漬した。
(2)各試料を被処理水(純水)に浸漬した後、1分間撹拌して、被処理水(純水)のTDS値をTDS計でそれぞれ5回ずつ計測した。
【0065】
[1-3.結果]
図4に実施例Aのミネラル溶出組成物を示す。また、表1に各ミネラル溶出組成物のTDS値の測定結果を示す。
比較例a1(麦飯石)及び比較例a2(セラミックボール)はTDS値が0~1ppmと非常に低い値を示したことに対して、実施例Aのミネラル溶出組成物は53~60ppmと安定したTDS値を示した。したがって、実施例Aのミネラル溶出組成物は、比較例a1(麦飯石)及び比較例a2(セラミックボール)に対して、ミネラル水溶性に関して優れていることが確認された。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、実施例Aのミネラル溶出組成物は、厚さ約15mm、直径約30mmの略円柱形であるが、本発明のミネラル溶出組成物の寸法及び形状は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜寸法及び形状を変更してもよい。すなわち、被処理水へのミネラル成分溶出速度やミネラル溶出組成物の交換容易性を考慮して、本発明のミネラル溶出組成物の形状及び寸法を適宜選択してもよい。
【0068】
<2.水溶性高分子の種類の比較>
[2-1.試料:実施例B1~B7]
表2に示した原料を用いた以外は、実施例Aと同じ作製方法により実施例B1~B7の各ミネラル成分溶出組成物を作製した。
【0069】
【表2】
【0070】
なお、表2に記載した実施例B1のデキストリンは「難消化性デキストリン」(バブルスター株式会社)又は「難消化性デキストリン」(大東物産株式会社)、実施例B2のアガーは市販品、実施例B3のジェランガムは市販品、実施例B4のゼラチンは「森永クックゼラチン」(森永製菓株式会社)、実施例B5の寒天は「かんてんクック」(伊那食品工業株式会社)、実施例B6のペクチンは市販品、実施例B7のイヌリンは市販品、を用いた。
【0071】
[2-2.評価方法]
2-2-1.ミネラル水溶性
以下の手順で、実施例B1~B7のミネラル溶出組成物のミネラル水溶性を評価した。
(1)実施例B1~B7のミネラル溶出組成物50gを被処理水(純水)1.2Lに常温環境下で個別に浸漬した。
(2)各試料を被処理水(純水)に浸漬した後、1時間後の被処理水(純水)のTDS値をTDS計で計測した。
2-2-2.懸濁性
各試料を被処理水(純水)に浸漬してから1時間後の被処理水(純水)中の異物を目視で確認した。
【0072】
<2-3.結果>
表3にミネラル水溶性及び懸濁性の結果を、図5に懸濁性評価の被処理水(純水)の代表的な結果を示す。
実施例B1~B7のミネラル溶出組成物のTDS値は76~217ppmであり、TDS値に差はあったものの、いずれの実施例のミネラル溶出組成物もミネラル水溶性は良好であった。その中でも特に実施例B1(デキストリン)、実施例B2(アガー)、実施例B3(ジェランガム)のミネラル溶出組成物は、TDS値が200ppm以上であり、さらに良好なミネラル水溶性を示した。
懸濁性に関しては、実施例B1(デキストリン)以外のミネラル溶出組成物はいずれも被処理水(純水)中に浮遊物が確認された。実施例B1(デキストリン)のミネラル溶出組成物は被処理水(純水)中に浮遊物が確認されず、良好な結果であった。
実施例B1~B7に含まれるデキストリン、アガー、ジェランガム、ゼラチン、寒天、ペクチン、イヌリンのいずれもミネラル水溶性は良好で、水溶性高分子として好適であり、その中でもデキストリン、アガー、ジェランガムはよりミネラル水溶性が高く、水溶性高分子としてより好適であり、さらにデキストリンは懸濁性に優れ水溶性高分子としてさらに好適であると判断した。
【0073】
【表3】
【0074】
<3.混合物中の水溶性高分子(デキストリン)の量の比較>
[3-1.試料:実施例C1~C6]
表4に示した原料を用いた以外は、実施例Aと同じ作製方法により実施例C1~C6の各ミネラル成分溶出組成物を作製した。
【0075】
【表4】
【0076】
[3-2.評価方法]
3-2-1.硬化性
各試料を作製した直後の状態(すなわち、加熱後の混合物を常温で冷却して混合物が常
温に達した状態)において、各試料の硬化性(硬さ)を確認した。
3-2-2.ミネラル水溶性
以下の手順で、実施例C1~C6のミネラル溶出組成物のミネラル水溶性を評価した。
(1)実施例C1~C6のミネラル溶出組成物5gを被処理水(純水)0.1Lに常温環境下で個別に浸漬した。
(2)各試料を被処理水(純水)に浸漬した後、1分後の被処理水(純水)のTDS値をTDS計で計測した。
【0077】
[3-3.結果]
図6に実施例C1~C6のミネラル溶出組成物の外観写真を示す。また、表5に結果を示す。
試料作製直後の状態は、混合物中のデキストリン89wt%の実施例C1のミネラル溶出組成物は硬く、混合物中のデキストリン9wt%の実施例C6のミネラル溶出組成物は柔らかく、デキストリンの割合が増えるに従い、柔らかく(硬化性が低く)なった。
また、混合物中のデキストリン89wt%の実施例C1のミネラル溶出組成物のTDS値は0ppmであり、混合物中のデキストリンの割合が下がるほど(ミネラル成分の割合が上がるほど)、TDS値が上昇した。
なお、実施例C1は混合物中のミネラル成分0wt%であり、実施例C1のTDS値が0ppmであることから、TDS値は被処理水中のミネラル成分量に相当すると判断できる。
【0078】
【表5】
【0079】
<4.混合物中の原料水の量の比較>
[4-1.試料:実施例D1~D4]
表6に示した原料を用いた以外は、実施例Aと同じ作製方法により実施例D1~D4の各ミネラル成分溶出組成物を作製した。
【0080】
【表6】
【0081】
[4-2.評価方法]
4-2-1.硬化性
各試料を作製した直後の状態(すなわち、加熱後の混合物を常温で冷却して混合物が常温に達した状態)において、各試料の硬化性(硬さ)を確認した。
4-2-2.ミネラル水溶性
以下の手順で、実施例D1~D4のミネラル溶出組成物のミネラル水溶性を評価した。
(1)実施例D1~D4のミネラル溶出組成物5gを被処理水(純水)0.1Lに常温環境下で個別に浸漬した。
(2)各試料を被処理水(純水)に浸漬した後、1時間後の被処理水(純水)のTDS値をTDS計で計測した。
【0082】
[4-3.結果]
表7に結果を示す。
試料作製直後の状態は、混合物中の原料水(純水)12~23wt%の実施例D1~D3のミネラル溶出組成物は成形可能な程度の硬さを有しているものの、混合物中の原料水(純水)33wt%の実施例D4のミネラル溶出組成物は水飴程度の柔らかさであった。
また、実施例D1~D4のミネラル溶出組成物のTDS値は99ppm以上であり、ミネラル水溶性に問題はなかった。
【0083】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のミネラル溶出組成物、ミネラル付与装置及びミネラル付与水の製造方法は、浄水、水道水、天然水等の主に飲用される水に適用可能である。特に、ミネラル成分が不足しがちな浄水に本発明を用いることで、効率的にミネラル成分が付与されたミネラル付与水を得ることができる。また、ミネラル付与装置の構造を簡素でき、ミネラル溶出組成物を容易に交換可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1 ミネラル溶出組成物
10 ミネラル付与装置
20 浄水器
30 出水弁
31 開閉弁
40 給水管
41 連結管
42 出水管
50 水位センサ
100 ミネラル付与水の製造システム(第1の実施形態)
200 ミネラル付与水の製造システム(第2の実施形態)
300 ミネラル付与水の製造システム(第3の実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6