(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093449
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】光触媒装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/39 20240101AFI20240702BHJP
B01J 27/24 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B01J35/02 J
B01J27/24 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209840
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 璃奈
(72)【発明者】
【氏名】柴田 菜央夏
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA20
4G169BA04B
4G169BA48A
4G169BB06B
4G169BB11B
4G169BC02B
4G169BC10B
4G169BC42B
4G169BC56B
4G169CB81
4G169CC33
4G169DA06
4G169EC28
4G169EE09
4G169HA05
4G169HB01
4G169HB06
4G169HB10
4G169HD05
4G169HE09
4G169HF05
(57)【要約】
【課題】 太陽光線を利用して水素を生成する光触媒装置において、太陽光線を有効的に利用することができる技術を提供する。
【解決手段】 光触媒装置は、太陽光線を分光する分光器と、水素を含む液体が供給されるハウジングと、ハウジング内に収容され、分光器に接続され、分光器によって分光された光のうち、第1の波長を含む光が伝搬される第1導光部材と、ハウジング内に収容され、分光器に接続され、分光器によって分光された光のうち、第1の波長とは異なる第2の波長を含む光が伝搬される第2導光部材と、ハウジング内に収容され、第1の波長にピークを有する第1のモル吸光係数を有し、第1導光部材から発光される光が照射される第1光触媒と、ハウジング内に収容され、第2の波長にピークを有する第2のモル吸光係数を有し、第2導光部材から発光される光が照射される第2光触媒と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光線を利用して水素を生成する光触媒装置であって、
前記太陽光線を分光する分光器と、
水素を含む液体が供給されるハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記分光器に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、第1の波長を含む光が伝搬される第1導光部材と、
前記ハウジング内に収容され、前記分光器に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、前記第1の波長とは異なる第2の波長を含む光が伝搬される第2導光部材と、
前記ハウジング内に収容され、前記第1の波長にピークを有する第1のモル吸光係数を有し、前記第1導光部材から発光される光が照射される第1光触媒と、
前記ハウジング内に収容され、前記第2の波長にピークを有する第2のモル吸光係数を有し、前記第2導光部材から発光される光が照射される第2光触媒と、
を備える、光触媒装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光触媒装置であって、
前記ハウジング内に収容され、前記分光器によって分光された光のうち、前記第1の波長及び前記第2の波長よりも長い波長を有する赤外光を利用して、前記ハウジング内の水を加熱する加熱部を備える、光触媒装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光触媒装置であって、
前記ハウジングに前記液体を供給する供給部と、
前記分光器に伝搬される光量を検知する光量検知部と、
前記光量検知部によって検知される前記光量に基づいて、前記供給部の動作を制御する制御部と、をさらに備える、光触媒装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光触媒装置であって、
前記ハウジングは、前記ハウジング内に前記液体を供給する供給孔と、前記供給孔よりも上方に設けられており、前記ハウジング内から水素を排出する排出孔と、を備える、光触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、光触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光線を利用して、水素を生成する光触媒装置が開示されている。この光触媒装置は、水素を含む液体が供給されるハウジングと、ハウジング内に収容され、太陽光線が伝搬される導光部材と、ハウジング内に収容され、特定の波長にピークを有する特定のモル吸光係数を有し、導光部材から発光される光が照射される光触媒と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光線には、様々な波長の光が含まれている。特許文献1の光触媒装置は、1種類の光触媒のみを備えている。この場合、太陽光線に含まれる様々な波長の光のうち、当該光触媒が吸収可能な波長の光しか、水素を生成するのに利用することができない。
【0005】
本明細書では、太陽光線を利用して水素を生成する光触媒装置において、太陽光線を有効的に利用することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術の第1の態様では、太陽光線を利用して水素を生成する光触媒装置は、前記太陽光線を分光する分光器と、水素を含む液体が供給されるハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記分光器に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、第1の波長を含む光が伝搬される第1導光部材と、前記ハウジング内に収容され、前記分光器に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、前記第1の波長とは異なる第2の波長を含む光が伝搬される第2導光部材と、前記ハウジング内に収容され、前記第1の波長にピークを有する第1のモル吸光係数を有し、前記第1導光部材から発光される光が照射される第1光触媒と、前記ハウジング内に収容され、前記第2の波長にピークを有する第2のモル吸光係数を有し、前記第2導光部材から発光される光が照射される第2光触媒と、を備える。
【0007】
上記の構成によると、光触媒装置は、モル吸光係数のピークの波長が異なる2種類の光触媒を備えている。第1光触媒は、分光器によって分光された光のうち、第1の波長を含む光を利用して、水素を生成し、第2光触媒は、分光器によって分光された光のうち、第2の波長を含む光を利用して、水素を生成する。従って、1種類の光触媒のみを備える構成と比較して、太陽光線を有効的に利用することができる。
【0008】
第2の態様では、上記第1の態様において、前記光触媒装置は、前記ハウジング内に収容され、前記分光器によって分光された光のうち、前記第1の波長及び前記第2の波長よりも長い波長を有する赤外光を利用して、前記ハウジング内の水を加熱する加熱部を備えてもよい。
【0009】
一般的な光触媒では、赤外光を吸収することができない。このため、光触媒によって水素を生成する光として赤外光は利用されない。上記の構成によると、赤外光を利用して、ハウジング内の液体を加熱することができる。液体の温度が高い方が、光触媒が活性化される。このため、第1光触媒及び第2光触媒によって生成される水素の量を増加させることができる。従って、太陽光線をさらに有効的に利用することができる。
【0010】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、前記光触媒装置は、前記ハウジングに水を供給する供給部と、前記分光器に伝搬される光量を検知する光量検知部と、前記光量検知部によって検知される前記光量に基づいて、前記供給部の動作を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。
【0011】
分光器に伝搬される光量が少ない場合に、多くの液体をハウジングに供給することは、エネルギーの無駄となる。上記の構成によると、制御部は、光量検知部によって検知される光量に基づいて、供給部の動作を制御する。従って、エネルギーの無駄となることを抑制することができる。
【0012】
第4の態様では、上記第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記ハウジングは、前記ハウジング内に液体を供給する供給孔と、前記供給孔よりも上方に設けられており、前記ハウジング内から水素を排出する排出孔と、を備えてもよい。
【0013】
供給孔が排出孔よりも上方に設けられている構成の場合、液体によって排出口が覆われている場合がある。この場合、液体から生成された水素ガスの気泡が液体内に滞留し得る。上記の構成によると、液体から生成された水素が液体内に滞留することなく、供給孔よりも上方に設けられている排出孔から排出される。従って、液体から生成された水素を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例に係る光触媒システムの概略を示す図。
【
図2】実施例に係るガス生成ユニットの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
図1~
図3を参照して、実施例の光触媒システム2について説明する。
図1に示すように、光触媒システム2は、集光レンズ10と、ガス生成ユニット12と、を備えている。集光レンズ10は、例えば、建物の屋上に設置される。集光レンズ10は、太陽4からの光(以下では、「太陽光線」と記載する)を集光する。集光レンズ10には、集光レンズ10によって集光される光量を検知する光量センサ10aが設けられている。集光レンズ10とガス生成ユニット12とは、光ファイバ14によって接続されている。集光レンズ10で集光された太陽光線は、光ファイバ14を介して、ガス生成ユニット12に伝搬される。ガス生成ユニット12は、集光レンズ10から伝搬される太陽光線を利用して、水素を生成する。
【0016】
図2を参照して、ガス生成ユニット12について説明する。ガス生成ユニット12は、分光器20と、ハウジング22と、ポンプ24と、制御部26と、給水管28と、排水管30と、酸素ガス排出管32と、水素ガス排出管34と、を備えている。分光器20は、光ファイバ14によって、集光レンズ10(
図1参照)に接続されている。分光器20は、光ファイバ14を介して伝搬される太陽光線を波長ごとに分光する。
【0017】
ハウジング22には、光触媒ユニット40が収容されている。ハウジング22は、給水口42と、排水口44と、酸素ガス排出口46と、水素ガス排出口48と、を備えている。給水口42及び排水口44は、ハウジング22の下部に設けられている。給水管28の一端は、給水口42に接続されており、給水管28の他端は、水が貯留されるタンク(図示省略)に接続されている。給水管28には、ポンプ24が設けられている。ポンプ24は、タンクに貯留されている水をハウジング22内に供給する。排水管30の一端は、排水口44に接続されており、排水管30の他端は、タンクに接続されている。酸素ガス排出口46及び水素ガス排出口48は、ハウジング22の上部に設けられている。酸素ガス排出口46及び水素ガス排出口48は、給水口42及び排水口44よりも上方、及び、第1光触媒62a、第2光触媒62b、第3光触媒62cの上端よりも上方に設けられている。酸素ガス排出口46には酸素ガス排出管32が接続されており、水素ガス排出口48には水素ガス排出管34が接続されている。なお、本実施例では、ハウジング22は、水平方向に平行に配置されているが、変形例では、酸素ガス排出口46及び水素ガス排出口48が給水口42及び排水口44よりも上方に位置していれば、ハウジング22が水平方向に対して傾斜していてもよい。
【0018】
光触媒ユニット40は、4個の導光板(第1導光板60a~第4導光板60d)と、3個の光触媒(第1光触媒62a~第3光触媒62c)と、を備えている。第1導光板60a~第4導光板60dは、それぞれ、第1光ファイバ64a~第4光ファイバ64dを介して、分光器20に接続されている。第1導光板60a~第4導光板60dは、水平方向に間隔を空けて配置されている。水平方向において、第1光触媒62aは、第1導光板60aと第2導光板60bとの間に配置されており、第2光触媒62bは、第2導光板60bと第3導光板60cとの間に配置されており、第3光触媒62cは、第3導光板60cと第4導光板60dとの間に配置されている。各導光板60a~60dと各光触媒62a~62cとの間には、隙間Sが設けられている。毛細管現象によって、隙間S内を水が上昇するように構成されている。このような構成によると、ハウジング22内の全体の水位を、第1光触媒62a~第3光触媒62cの上端付近まで上昇させる構成と比較して、光触媒システム2に利用されるエネルギーを低減することができる。本実施例では、第1導光板60a~第3導光板60cは、
図2の右側の面からのみ、光が発光されるように構成されている。第1導光板60aは、第1光触媒62aに光を照射し、第2導光板60bは、第2光触媒62bに光を照射し、第3導光板60cは、第3光触媒62cに光を照射する。なお、変形例では、第1導光板60a~第3導光板60cは、
図2の左右両側の面から光が発光されるように構成されていてもよい。第4導光板60dには、赤外光を熱に変換する発熱部材66が塗布されている。発熱部材66は、例えば、ジイモニウム系化合物からなる。
【0019】
図3を参照して、第1光触媒62a~第3光触媒62cについて説明する。
図3の縦軸は、モル吸光係数[L・mol
-1・cm
-1]を示し、横軸は、波長[nm]を示す。モル吸光係数は、物質が光を吸収する程度を示す指標である。第1光触媒62a~第3光触媒62cは、光が照射されることによって、光触媒反応を生じる。本実施例では、第1光触媒62a~第3光触媒62cは、LaMg
xTa
1-xO
1+3XN
2-3Xから構成される部材である。この化学式の変数Xについて、第1光触媒62aでは「X=0.66」であり、第2光触媒62bでは「X=0.6」であり、第3光触媒62cでは「X=0.05」である。第1光触媒62a、第2光触媒62b、第3光触媒62cにおいて、モル吸光係数がピークとなる波長は、それぞれ、約250nm、約400nm、約500nmである。
【0020】
図2の第1導光板60aには、第1光ファイバ64aを介して、約250nmの波長を有する光が伝搬され、第2導光板60bには、第2光ファイバ64bを介して、約400nmの波長を有する光が伝搬され、第3導光板60cには、第3光ファイバ64cを介して、約500nmの波長を有する光が伝搬され、第4導光板60dには、第4光ファイバ64dを介して、約780nmよりも長い波長を有する光(即ち赤外光)が伝搬される。
【0021】
制御部26は、例えば、CPU、ROM、RAMを備えている。制御部26は、記憶装置(図示省略)に記憶されている所定のプログラムに従って、ポンプ24等の動作を制御する。制御部26は、光量センサ10aによって検出される光量に応じて、ポンプ24の回転数を変化させる。制御部26は、光量センサ10aによって検出される光量が大きいほど、ポンプ24の回転数を高くする。即ち、制御部26は、光量センサ10aによって検出される光量が大きいほど、ハウジング22に供給される水量を多くする。
【0022】
本実施例の光触媒システム2の動作について説明する。まず、
図1の集光レンズ10で集光された太陽光線が分光器20に伝搬され、分光器20において太陽光線が分光される。そして、約250nmの波長を有する光が、第1光ファイバ64aを介して、第1導光板60aに伝搬され、約400nmの波長を有する光が、第2光ファイバ64bを介して、第2導光板60bに伝搬される。また、約500nmの波長を有する光が、第3光ファイバ64cを介して、第3導光板60cに伝搬され、約780nmよりも長い波長を有する赤外光が、第4光ファイバ64dを介して、第4導光板60dに伝搬される。そして、第1導光板60a~第3導光板60cのそれぞれから、第1光触媒62a~第3光触媒62cに光が照射される。光が照射されることによって、第1光触媒62a~第3光触媒62cにおいて光触媒反応が生じ、ハウジング22内の水が、酸素と水素とに分解される。即ち、第1光触媒62a~第3光触媒62cによって、酸素と水素とが生成される。生成された酸素は、酸素ガス排出口46及び酸素ガス排出管32を介して外部に排出される。生成された水素は、水素ガス排出口48及び水素ガス排出管34を介して外部に排出される。このようにして、光触媒システム2によって水素が生成される。
【0023】
また、第4導光板60dに赤外光が伝搬されることによって、発熱部材66が発熱し、ハウジング22内の水温が高くなる。これにより、第1光触媒62a~第3光触媒62cが活性化され、酸素と水素とを生成する能力が向上する。
【0024】
(本実施例の効果)
上述のように、光触媒システム2(「光触媒装置」の一例)は、太陽光線を分光する分光器20と、水(「液体」の一例)が供給されるハウジング22と、ハウジング22内に収容され、前記分光器20に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、約250nmの波長(「第1の波長」の一例)を含む光が伝搬される第1導光板60a(「第1の導光部材」の一例)と、ハウジング22内に収容され、前記分光器20に接続され、前記分光器によって分光された光のうち、約400nmの波長(「第2の波長」の一例)を含む光が伝搬される第2導光板60b(「第2導光部材」の一例)と、ハウジング22内に収容され、約250nmの波長にピークを有する第1のモル吸光係数を有し、第1導光板60aから発光される光が照射される第1光触媒62aと、ハウジング22内に収容され、約400nmの波長にピークを有する第2のモル吸光係数を有し、第2導光板60bから発光される光が照射される第2光触媒62bと、を備える。
【0025】
上記の構成によると、光触媒システム2は、モル吸光係数のピークの波長が異なる2種類の光触媒62a、62bを備えている。第1光触媒62aは、分光器20によって分光された光のうち、約250nmの波長を含む光を利用して、水素を生成する。また、第2光触媒62bは、分光器20によって分光された光のうち、約250nmの波長を含む光を利用して、水素を生成する。従って、1種類の光触媒のみを備える構成と比較して、太陽光線を有効的に利用することができる。また、第1光触媒62a~第3光触媒62cに様々な波長の光が照射される構成と比較して、第1光触媒62a~第3光触媒62cの発熱を抑制することができ、この結果、第1光触媒62a~第3光触媒62cの耐久性を向上させることができる。
【0026】
また、光触媒システム2は、ハウジング22内に収容され、分光器20によって分光された光のうち、赤外光を利用して、ハウジング22内の水を加熱する発熱部材66(「加熱部」の一例)を備えている。
【0027】
一般的な光触媒では、赤外光を吸収することができない。このため、光触媒によって水素を生成する光として赤外光は利用されない。上記の構成によると、赤外光を利用して、ハウジング22内の水を加熱することができる。水の温度が高い方が、光触媒が活性化される。このため、第1光触媒62a及び第2光触媒62bによって生成される水素の量を増加させることができる。従って、太陽光線をさらに有効的に利用することができる。
【0028】
また、光触媒システム2は、ハウジング22に水を供給するポンプ24(「供給部」の一例)と、分光器20に伝搬される光量を検知する光量センサ10a(「光量検知部」の一例)と、光量センサ10aによって検知される光量に基づいて、ポンプ24の動作を制御する制御部26と、をさらに備えている。
【0029】
分光器20に伝搬される光量が少ない場合に、多くの水をハウジング22に供給することは、エネルギーの無駄となる。上記の構成によると、制御部26は、光量センサ10aによって検知される光量に基づいて、ポンプ24の動作を制御する。従って、エネルギーの無駄となることを抑制することができる。
【0030】
また、ハウジング22は、ハウジング22内に水を供給する給水口42(「供給孔」の一例)と、給水口42よりも上方に設けられており、ハウジング22内から水素を排出する水素ガス排出口48(「排出孔」の一例)と、を備えている。
【0031】
給水口42が水素ガス排出口48よりも上方に設けられている構成の場合、水によって水素ガス排出口48が覆われている場合がある。この場合、水から生成された水素ガスの気泡が滞留し得る。上記の構成によると、水から生成された水素が滞留することなく、給水口42よりも上方に設けられている水素ガス排出口48から排出される。従って、水から生成された水素を効率的に回収することができる。
【0032】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下、上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0033】
(第1変形例)「水素を含む液体」は、水に限定されず、メタノールなどのアルコールであってもよい。
【0034】
(第2変形例)光触媒システム2は、2種類の光触媒を備えていてもよいし、4種類以上の光触媒を備えていてもよい。
【0035】
(第3変形例)光触媒システム2は、発熱部材66が塗布されている第4導光板60dを備えていなくてもよい。本変形例では、「加熱部」を省略可能である。また、別の変形例では、光触媒システム2は、第4導光板60dに代えて、ヒータなどの加熱装置を備えていてもよい。
【0036】
(第4変形例)制御部26は、分光器20に伝搬される光量に関わらず、ポンプ24を一定の回転数で動作させてもよい。本変形例では、光触媒システム2は、光量センサ10aを備えていなくてもよい。また、別の変形例では、光触媒システム2は、ハウジング22内の水の温度を検知する水温センサを備えていてもよい。本変形例では、制御部26は、光量センサ10aによって検知される光量、及び、水温センサによって検知される水温に基づいて、ポンプ24の動作を制御するとよい。例えば、制御部26は、光量が大きいほど、ポンプ24の回転数を高くするとともに、水温が高いほど、ポンプ24の回転数を高くするとよい。
【0037】
(第5変形例)給水口42の上下方向の位置と、水素ガス排出口48の上下方向の位置と、が同じでもよいし、給水口42が水素ガス排出口48よりも上方に位置していてもよい。
【0038】
(第6変形例)上記の実施例では、第1光触媒62a~第3光触媒62cを構成する元素が同じであるが、複数の光触媒を構成する元素が異なっていてもよい。また、第1光触媒62a~第3光触媒62cは、LaMgxTa1-xO1+3XN2-3Xに限定されず、TiO2、NaTaO3等であってもよい。
【0039】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
2:光触媒システム、4:太陽、10:集光レンズ、10a:光量センサ、12:ガス生成ユニット、14:光ファイバ、20:分光器、22:ハウジング、24:ポンプ、26:制御部、28:給水管、30:排水管、32:酸素ガス排出管、34:水素ガス排出管、40:光触媒ユニット、42:給水口、44:排水口、46:酸素ガス排出口、48:水素ガス排出口、60a:第1導光板、60b:第2導光板、60c:第3導光板、60d:第4導光板、62a:第1光触媒、62b:第2光触媒、62c:第3光触媒、64a:第1光ファイバ、64b:第2光ファイバ、64c:第3光ファイバ、64d:第4光ファイバ、66:発熱部材