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特開2024-93453ロータ、回転電機、およびロータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093453
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ロータ、回転電機、およびロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20240702BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209844
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】則兼 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】中津 智貴
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB04
5H622PP03
5H622PP18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気特性が低下することを抑制できる構造を有するロータおよび回転電機を提供する。
【解決手段】ロータ10は、中心軸線を中心として回転可能なロータコア30と、ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、ロータコアおよび複数のマグネットを保持するホルダ50と、ロータコアと複数のマグネットとホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部61を有するロータカバー60と、を備える。ホルダの径方向外側面と筒状部の径方向内側面との一方の面には、径方向に突出する凸部70が設けられている。ホルダの径方向外側面と筒状部の径方向内側面との他方の面には、凸部が径方向に挿入された挿入部80が設けられている。凸部は、挿入部に軸方向に接触している。凸部および挿入部は、複数のマグネットと周方向に異なる位置に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、
前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、
前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、
前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、
を備え、
前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との一方の面には、径方向に突出する凸部が設けられ、
前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との他方の面には、前記凸部が径方向に挿入された挿入部が設けられ、
前記凸部は、前記挿入部に軸方向に接触し、
前記凸部および前記挿入部は、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置に配置されている、ロータ。
【請求項2】
前記挿入部は、前記凸部と周方向に対向する周方向対向部を有する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記凸部と前記挿入部は、前記ホルダと前記筒状部とを互いに固定するスナップフィット構造を構成している、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータカバーは、前記ロータコアの軸方向他方側に位置する底部を有し、
前記底部の径方向外縁部は、前記筒状部の軸方向他方側の端部に繋がり、
前記底部と前記筒状部との接続部分には、軸方向に弾性変形可能な弾性部が設けられている、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記弾性部は、周方向と直交する断面において軸方向他方側に凸となる円弧状である、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記凸部は、
前記挿入部に軸方向に接触する軸方向接触部と、
前記軸方向接触部から軸方向に離れて配置され、前記軸方向接触部に軸方向に近づくに従って径方向の寸法が大きくなる傾斜部と、
前記軸方向接触部と前記傾斜部とを軸方向に繋ぐ接続部と、
を有する、請求項3に記載のロータ。
【請求項7】
前記ホルダは、
周方向に隣り合う前記マグネット同士の間にそれぞれ位置する複数の柱部と、
前記ロータコアの軸方向一方側に位置し、前記複数の柱部の軸方向一方側の端部同士を繋ぐ連結部と、
前記連結部から軸方向一方側に突出する第1突出部と、
を有し、
前記凸部または前記挿入部は、前記第1突出部に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記ホルダは、
周方向に隣り合う前記マグネット同士の間にそれぞれ位置する複数の柱部と、
前記ロータコアの軸方向一方側に位置し、前記複数の柱部の軸方向一方側の端部同士を繋ぐ連結部と、
を有し、
前記凸部または前記挿入部は、前記連結部に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
前記凸部は、前記ホルダの径方向外側面に設けられ、
前記挿入部は、前記筒状部の径方向内側面に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項10】
前記挿入部は、前記筒状部を径方向内側面から径方向外側面まで径方向に貫通する孔である、請求項9に記載のロータ。
【請求項11】
前記凸部は、前記筒状部の径方向内側面に設けられ、
前記挿入部は、前記ホルダの径方向外側面に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項12】
前記ホルダは、径方向内側に窪み前記挿入部から軸方向他方側に延びる溝部を有する、請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
請求項9に記載のロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備え、
前記ステータは、
前記ロータコアの径方向外側に位置するステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられたインシュレータと、
を有し、
前記インシュレータは、前記ステータコアよりも軸方向に突出する第2突出部を有し、
前記第2突出部の径方向内側の端部は、前記ステータコアの径方向内側の端部よりも径方向外側に位置し、
前記凸部の少なくとも一部は、径方向に見て前記第2突出部と重なることが可能な軸方向位置に配置されている、回転電機。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備える、回転電機。
【請求項15】
中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、を備えるロータの製造方法であって、
前記ロータコアと前記複数のマグネットを保持した状態の前記ホルダに前記ロータカバーを固定するロータカバー固定工程を含み、
前記ロータカバー固定工程は、
径方向に突出する凸部と前記凸部が径方向に挿入される挿入部との一方が径方向内側面に設けられた状態の前記筒状部の内側に、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置における径方向外側面に前記凸部と前記挿入部との他方が設けられた状態の前記ホルダを、軸方向一方側から挿入することと、
前記凸部を前記挿入部内に径方向に挿入させて、前記凸部と前記挿入部とを軸方向に接触させ、前記ホルダに前記ロータカバーを固定することと、
を含む、ロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、回転電機、およびロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータカバーを備えるロータが知られている。例えば、特許文献1には、そのようなロータを備える電動パワーステアリング用のモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-30406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなロータカバーは、例えば、軸方向端部が径方向内側に折り曲げられる向きにカシメられることで、ロータコアに取り付けられる場合がある。しかしながら、その場合、ロータカバーに歪みが生じ、ロータの磁気特性が低下する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、磁気特性が低下することを抑制できる構造を有するロータおよび回転電機、並びに磁気特性が低下することを抑制できる構造を有するロータの製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、を備える。前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との一方の面には、径方向に突出する凸部が設けられている。前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との他方の面には、前記凸部が径方向に挿入された挿入部が設けられている。前記凸部は、前記挿入部に軸方向に接触している。前記凸部および前記挿入部は、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置に配置されている。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。
【0008】
本発明のロータの製造方法の一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、を備えるロータの製造方法であって、前記ロータコアと前記複数のマグネットを保持した状態の前記ホルダに前記ロータカバーを固定するロータカバー固定工程を含む。前記ロータカバー固定工程は、径方向に突出する凸部と前記凸部が径方向に挿入される挿入部との一方が径方向内側面に設けられた状態の前記筒状部の内側に、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置における径方向外側面に前記凸部と前記挿入部との他方が設けられた状態の前記ホルダを、軸方向一方側から挿入することと、前記凸部を前記挿入部内に径方向に挿入させて、前記凸部と前記挿入部とを軸方向に接触させ、前記ホルダに前記ロータカバーを固定することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、回転電機において、磁気特性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態における回転電機を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態におけるロータを示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態におけるロータを示す断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、第1実施形態におけるロータを示す断面図であって、図3におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、第1実施形態におけるロータの一部を示す斜視図であって、ロータカバーを外した状態を示す図である。
図6図6は、第1実施形態におけるロータの一部を示す断面図であって、図4におけるVI-VI断面図である。
図7図7は、第1実施形態における回転電機の一部を示す断面図である。
図8図8は、第1実施形態におけるロータの一部を示す斜視図であって、凸部と挿入部とを示す図である。
図9図9は、第1実施形態におけるロータの下側部分を示す斜視図である。
図10図10は、第1実施形態におけるロータカバー固定工程の手順の一部を示す斜視図である。
図11図11は、第2実施形態におけるロータの一部を示す斜視図である。
図12図12は、第2実施形態におけるロータカバーの一部を示す斜視図である。
図13図13は、第2実施形態におけるロータの一部を示す断面図である。
図14図14は、第2実施形態におけるホルダを示す斜視図である。
図15図15は、第2実施形態におけるホルダの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図には、適宜、以下の各実施形態の回転電機の中心軸線Jを示している。中心軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸線Jが延びる方向、つまり中心軸線Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図においては、軸方向と平行なZ軸を示している。以下の説明においては、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。本実施形態において、上側は「軸方向一方側」に相当し、下側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の回転電機100は、車両に搭載されるモータである。回転電機100は、ハウジング110と、ロータ10と、ステータ20と、ベアリングホルダ120と、ベアリング131,132と、を備える。ハウジング110は、ロータ10、ステータ20、ベアリングホルダ120、およびベアリング131,132を内部に収容している。ベアリングホルダ120は、ベアリング132を保持している。
【0013】
ロータ10は、中心軸線Jを中心として回転可能である。ロータ10は、シャフト11と、ロータ本体12と、を備える。シャフト11は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト11は、ベアリング131,132によって中心軸線J回りに回転可能に支持されている。ロータ本体12は、シャフト11の外周面に固定されている。図2から図4に示すように、ロータ本体12は、ロータコア30と、複数のマグネット40と、ホルダ50と、ロータカバー60と、を有する。つまり、ロータ10は、ロータコア30と、複数のマグネット40と、ホルダ50と、ロータカバー60と、を備える。
【0014】
本実施形態においてロータコア30は、軸方向に延びる柱状である。より詳細には、図3に示すように、ロータコア30は、例えば、中心軸線Jを中心とする略正十角柱状である。図示は省略するが、ロータコア30は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されている。なお、ロータコア30は、単一の部材であってもよい。ロータコア30は、コア本体部31と、複数のマグネット支持部32と、を有する。
【0015】
コア本体部31は、コア本体部31を軸方向に貫通する第1貫通孔33および第2貫通孔34を有する。第1貫通孔33は、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円形状である。第1貫通孔33内には、シャフト11が軸方向に通されている。第1貫通孔33の内周面は、シャフト11の外周面に固定されている。これにより、ロータコア30は、シャフト11に固定され、シャフト11とともに中心軸線Jを中心として回転可能である。
【0016】
第2貫通孔34は、第1貫通孔33の径方向外側に位置する。第2貫通孔34は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の第2貫通孔34は、周方向において一周に亘って等間隔に配置され、第1貫通孔33を囲んでいる。第2貫通孔34は、軸方向に見て円形状である。第2貫通孔34の内径は、第1貫通孔33の内径よりも小さい。本実施形態において第2貫通孔34は、10個設けられている。
【0017】
複数のマグネット支持部32は、コア本体部31から径方向外側に突出している。複数のマグネット支持部32は、周方向に隙間を空けて並んで配置されている。複数のマグネット支持部32は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態においてマグネット支持部32は、10個設けられている。各マグネット支持部32の径方向内側には、各第2貫通孔34がそれぞれ位置する。各マグネット支持部32は、径方向外側を向くマグネット支持面32aを有する。マグネット支持面32aは、軸方向に延びている。マグネット支持面32aは、径方向と直交する平坦な面である。マグネット支持部32の径方向内側の端部は、周方向の寸法が小さくなる括れ(くびれ)部となっている。
【0018】
図3から図5に示すように、マグネット40は、径方向の寸法が周方向の寸法よりも小さく、軸方向に延びる略四角柱状である。図3に示すように、複数のマグネット40は、ロータコア30の径方向外側に位置する。複数のマグネット40は、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。複数のマグネット40は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態においてマグネット40は、10個設けられている。
【0019】
本実施形態において各マグネット40は、各マグネット支持部32のマグネット支持面32aにそれぞれ径方向内側から支持されている。マグネット40の径方向内側面は、径方向と直交する平坦な面であり、マグネット支持面32aと接触している。マグネット40の径方向外側面は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる湾曲面である。マグネット40の径方向外側面のうち周方向の中央部は、ロータカバー60の後述する筒状部61の内周面に接触している。これにより、マグネット40は、ロータコア30とロータカバー60とに接触した状態で径方向に挟まれている。マグネット40の径方向外側面は、周方向の中央部から周方向両側に離れるに従って、筒状部61の内周面から径方向内側に離れている。
【0020】
図4に示すように、マグネット40の軸方向の寸法は、例えば、ロータコア30の軸方向の寸法と同じである。マグネット40の上面とロータコア30の上面とは、例えば、軸方向において同じ位置に配置されている。マグネット40の下面とロータコア30の下面とは、例えば、軸方向において同じ位置に配置されている。なお、マグネット40の軸方向の寸法とロータコア30の軸方向の寸法とは、互いに異なってもよい。
【0021】
マグネット40の磁化方向は、径方向である。つまり、マグネット40の径方向内側の磁極とマグネット40の径方向外側の磁極とは、互いに異なる。周方向に隣り合うマグネット40は、互いに磁極の配置が反対になっている。つまり、周方向に隣り合う一対のマグネット40のうち一方のマグネット40における径方向外側の磁極がN極である場合、当該一対のマグネット40のうち他方のマグネット40における径方向外側の磁極はS極である。
【0022】
ホルダ50は、ロータコア30および複数のマグネット40を保持している。ホルダ50によって、複数のマグネット40がロータコア30に固定されている。ホルダ50は、樹脂製である。ホルダ50は、例えば、ロータコア30とマグネット40とを挿入した金型に樹脂を流し込むインサート成形によって単一の部材として成形される。なお、ホルダ50は、ロータコア30およびマグネット40とは別々に成形されてもよい。図5に示すように、ホルダ50は、連結部51と、複数の柱部52と、第1突出部53と、を有する。
【0023】
連結部51は、周方向に延びている。本実施形態において連結部51は、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、連結部51は、中心軸線Jを中心とする円環状である。なお、連結部51は、多角環状であってもよい。連結部51は、板面が軸方向を向く板状である。連結部51は、シャフト11を囲んでいる。図4に示すように、連結部51は、ロータコア30およびマグネット40の上側に位置する。連結部51の下側の面は、コア本体部31の径方向外縁部における上側の面と、マグネット支持部32の上側の面と、マグネット40の上側の面と、に跨って接触している。これにより、連結部51は、ロータコア30およびマグネット40を上側から支持している。連結部51の径方向内縁部は、マグネット40よりも径方向内側に位置し、かつ、第2貫通孔34よりも径方向外側に位置する。
【0024】
図5に示すように、複数の柱部52は、連結部51から下側に延びている。複数の柱部52の上側の端部同士は、連結部51によって繋がれている。複数の柱部52は、周方向に間隔を空けて並んで配置されている。複数の柱部52は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。複数の柱部52は、周方向に隣り合うマグネット40同士の間にそれぞれ位置する。複数の柱部52によって、マグネット40がロータコア30に対して周方向に移動することを抑制できる。
【0025】
本実施形態において柱部52の軸方向の寸法は、ロータコア30の軸方向の寸法およびマグネット40の軸方向の寸法と同じである。柱部52の下側の端部は、ロータコア30の下側の端部およびマグネット40の下側の端部と軸方向において同じ位置に配置されている。なお、柱部52の軸方向の寸法は、ロータコア30の軸方向の寸法およびマグネット40の軸方向の寸法と異なっていてもよい。図4に示すように、柱部52の径方向内側の端部は、連結部51の径方向内縁部よりも径方向外側に位置する。
【0026】
図3に示すように、柱部52は、基部52aと、基部52aの径方向内側に繋がる抜け止め部52bと、基部52aの径方向外側に繋がる押え部52cと、を有する。基部52aは、周方向に隣り合うマグネット40同士の間に位置する。基部52aは、周方向に隣り合うマグネット40のそれぞれと接触している。
【0027】
抜け止め部52bは、周方向に隣り合うマグネット支持部32同士の間に位置する。抜け止め部52bは、周方向に隣り合うマグネット支持部32同士の間に充填されており、周方向に隣り合う一対のマグネット支持部32の周方向側面に接触している。抜け止め部52bは、周方向に隣り合うマグネット支持部32同士の間において、マグネット支持部32の周方向側面に径方向内側から引っ掛かっている。これにより、柱部52がロータコア30から径方向外側に外れることを抑制できる。
【0028】
押え部52cは、基部52aよりも周方向両側に突出している。押え部52cは、周方向に隣り合う一対のマグネット40を径方向外側から押さえている。これにより、マグネット40がロータコア30に対して径方向外側に移動することをホルダ50によって抑制できる。押え部52cの径方向外側面は、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円弧状である。押え部52cの径方向外側面は、軸方向に見てロータカバー60の後述する筒状部61の内周面に沿っており、筒状部61の内周面と接触している。図5に示すように、押え部52cの径方向外側面は、ホルダ50の径方向外側面の一部を構成している。押え部52cの径方向外側面は、連結部51の径方向外側面と径方向において同じ位置に配置され、連結部51の径方向外側面の下側に滑らかに繋がっている。
【0029】
柱部52の下側の端部は、幅狭部52dとなっている。幅狭部52dの周方向の寸法は、柱部52のうち幅狭部52dよりも上側に位置する部分における周方向の寸法よりも小さい。幅狭部52dの径方向外側面における下側部分は、軸方向に対して径方向に傾斜する傾斜面52eである。傾斜面52eは、下側に向かうに従って径方向内側に位置する。
【0030】
第1突出部53は、連結部51から上側に突出している。図2に示すように、本実施形態において第1突出部53の上側の端部は、ロータカバー60の上側の端部よりも下側に位置する。本実施形態において第1突出部53は、略直方体状である。第1突出部53は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の第1突出部53は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。図5に示すように、複数の第1突出部53は、複数の柱部52の上側にそれぞれ位置する。つまり、複数の第1突出部53は、軸方向に見て、複数の柱部52とそれぞれ重なっている。図6に示すように、第1突出部53の周方向両側の端部は、軸方向に見て、周方向に隣り合う一対のマグネット40の周方向端部と重なっている。
【0031】
第1突出部53の径方向外側面は、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円弧状である。第1突出部53の径方向外側面は、ロータカバー60の後述する筒状部61の内周面に接触している。第1突出部53の径方向外側面は、ホルダ50の径方向外側面の一部を構成している。図5に示すように、第1突出部53の径方向外側面は、連結部51の径方向外側面および押え部52cの径方向外側面と径方向において同じ位置に配置され、連結部51の径方向外側面の上側に滑らかに繋がっている。本実施形態においてホルダ50の径方向外側面は、連結部51の径方向外側面と柱部52の径方向外側面と第1突出部53の径方向外側面とによって構成されている。
【0032】
第1突出部53の径方向内側の端部は、連結部51の径方向内側の端部および柱部52の径方向内側の端部よりも径方向外側に位置する。第1突出部53の径方向内側の面は、上側に向かうに従って径方向外側に位置する向きに僅かに傾斜する傾斜面である。第1突出部53の径方向内側の面は、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円弧状に延びている。第1突出部53の周方向両側の面は、上側に向かうに従って互いに周方向に近づく向きに僅かに傾斜する傾斜面である。第1突出部53の上側の面は、軸方向と直交する平坦面である。
【0033】
本実施形態においてホルダ50の径方向外側面には、径方向に突出する凸部70が設けられている。本実施形態において凸部70は、第1突出部53に設けられている。より詳細には、凸部70は、第1突出部53の径方向外側面から径方向外側に突出している。本実施形態において凸部70とホルダ50とは、同一の単一部材の一部である。凸部70は、樹脂製である。凸部70は、径方向外側から見て、軸方向に長い略長方形状である。凸部70の上側の端部は、第1突出部53の上側の端部よりも下側に位置する。凸部70の下側の端部は、連結部51の径方向外側面に設けられている。凸部70は、マグネット40よりも上側に位置する。
【0034】
図7に示すように、凸部70は、軸方向接触部71と、傾斜部72と、接続部73と、を有する。軸方向接触部71は、凸部70の上側の端部である。軸方向接触部71は、上側を向く接触面71aを有する。本実施形態において接触面71aは、軸方向と直交する面である。軸方向接触部71は、接触面71aを介して、後述する挿入部80に軸方向に接触している。
【0035】
傾斜部72は、軸方向接触部71から軸方向に離れて配置されている。本実施形態において傾斜部72は、軸方向接触部71から下側に離れて配置されている。傾斜部72は、上側に向かうに従って径方向の寸法が大きくなっている。つまり、傾斜部72は、軸方向接触部71に軸方向に近づくに従って径方向の寸法が大きくなっている。傾斜部72は、軸方向に対して径方向に傾く傾斜面72aを有する。傾斜面72aは、径方向外側かつ下側を向いている。傾斜面72aは、上側に向かうに従って径方向外側に位置する。本実施形態において傾斜面72aは、周方向に見て、直線状に延びている。
【0036】
接続部73は、軸方向接触部71と傾斜部72とを軸方向に繋いでいる。本実施形態において接続部73の径方向の寸法は、軸方向の全体に亘ってほぼ同じである。接続部73の軸方向の寸法は、傾斜部72の軸方向の寸法よりも小さい。接続部73は、径方向外側を向く接続面73aを有する。接続面73aは、例えば、径方向と直交する面である。接続面73aは、接触面71aの径方向外側の端部と傾斜面72aの上側の端部とを繋いでいる。接触面71aと接続面73aとの接続部分は、丸みを帯びている。なお、接続部73の径方向の寸法は軸方向位置によって変化してもよいし、接続面73aは軸方向に対して径方向に傾斜する面であってもよい。
【0037】
図8に示すように、凸部70の周方向両側の面は、径方向外側に向かうに従って互いに近づく向きに湾曲しており、傾斜面72aおよび接続面73aに滑らかに繋がっている。凸部70の下端部における周方向の寸法は、下側に向かうに従って小さくなっている。
【0038】
図5に示すように、本実施形態において凸部70は、第1突出部53ごとに1つずつ設けられている。つまり、凸部70は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の凸部70は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において凸部70は、10個設けられている。
【0039】
図6に示すように、各凸部70の周方向位置は、周方向に隣り合う各マグネット40同士の間における周方向位置である。つまり、凸部70は、複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。本実施形態において各凸部70の周方向の中心は、周方向に隣り合う各マグネット40同士の間における中心と同じ周方向位置に配置されている。各凸部70の周方向の中心は、各第1突出部53の周方向の中心および各柱部52の周方向の中心と同じ周方向位置に配置されている。
【0040】
図2に示すように、ロータカバー60は、中心軸線Jを囲む筒状の部材である。ロータカバー60は、ロータコア30、複数のマグネット40、およびホルダ50を径方向外側から覆っている。ロータカバー60は、金属製である。本実施形態においてロータカバー60は、板金部材である。ロータカバー60は、磁性体製である。図4に示すように、ロータカバー60は、筒状部61と、底部62と、を有する。
【0041】
筒状部61は、少なくとも上側に開口する筒状である。本実施形態において筒状部61は、中心軸線Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。筒状部61は、ロータコア30、複数のマグネット40、およびホルダ50の径方向外側に位置し、ロータコア30と複数のマグネット40とホルダ50とを径方向外側から囲んでいる。筒状部61の上側の端部は、ホルダ50の上側の端部、すなわち第1突出部53の上側の端部よりも上側に離れて位置する。筒状部61の下側の端部は、ロータコア30の下側の端部、マグネット40の下側の端部、およびホルダ50の下側の端部と軸方向においてほぼ同じ位置に位置する。
【0042】
図6から図8に示すように、筒状部61の径方向内側面には、凸部70が径方向に挿入された挿入部80が設けられている。本実施形態において挿入部80は、筒状部61を径方向内側面から径方向外側面まで径方向に貫通する孔である。そのため、筒状部61の一部を径方向内側面から径方向外側面まで打ち抜いて除去することにより、挿入部80を容易に作ることができる。図8に示すように、本実施形態において挿入部80は、軸方向に長い角丸の長方形状の孔である。本実施形態において凸部70は、挿入部80に径方向に通されている。凸部70の径方向外側の端部は、挿入部80を介して、ロータカバー60の外周面よりも径方向外側に突出している。
【0043】
挿入部80は、筒状部61の上側部分に設けられている。挿入部80は、筒状部61の上側の端部に近い位置に設けられている。挿入部80の上側の端部と筒状部61の上側の端部との間の軸方向の距離は、挿入部80の軸方向の寸法よりも小さい。挿入部80の軸方向の寸法は、凸部70の軸方向の寸法以上である。本実施形態において挿入部80の軸方向の寸法は、凸部70の軸方向の寸法よりも大きい。挿入部80の周方向の寸法は、凸部70の周方向の寸法以上である。本実施形態において挿入部80の周方向の寸法は、凸部70の周方向の寸法よりも大きい。
【0044】
図2に示すように、挿入部80は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の挿入部80は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において挿入部80は、10個設けられている。つまり、本実施形態において凸部70の数と挿入部80の数とは、互いに同じである。図6に示すように、各挿入部80の周方向位置は、周方向に隣り合う各マグネット40同士の間における周方向位置である。つまり、挿入部80は、複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。図6の例において、各挿入部80の周方向の中心は、周方向に隣り合う各マグネット40同士の間における中心と同じ周方向位置に配置されている。
【0045】
複数の挿入部80には、複数の凸部70がそれぞれ径方向に挿入されている。図7に示すように、挿入部80に挿入された凸部70の軸方向接触部71は、挿入部80の内縁のうち上側に位置する部分に下側から接触している。これにより、凸部70は、挿入部80に軸方向に接触している。より詳細には、軸方向接触部71の接触面71aが挿入部80の内縁のうち上側に位置する部分に接触している。凸部70が挿入部80に軸方向に接触することで、ロータカバー60がホルダ50に対して軸方向に引っ掛かり、ロータカバー60がホルダ50から軸方向に外れることが抑制されている。このように、本実施形態によれば、ロータカバー60の軸方向端部を径方向内側に折り曲げてカシメることなく、凸部70を挿入部80に挿入することで、ロータカバー60をホルダ50に対して軸方向に固定することができる。そのため、ロータカバー60が大きく歪むことを抑制できる。これにより、ロータカバー60において磁束の流れが阻害されることを抑制でき、ロータカバー60に対して好適に磁束を流れさせることができる。したがって、ロータ10の磁気特性が低下することを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態によれば、凸部70および挿入部80は、複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。そのため、マグネット40とステータ20との間で流れる磁束が比較的通りにくい位置に凸部70および挿入部80を配置できる。これにより、ロータカバー60に挿入部80を設けても、マグネット40とステータ20との間における磁束の流れが挿入部80によって阻害されにくい。これにより、ロータ10の磁気特性が低下することをより抑制できる。
【0047】
また、例えば、マグネット40が割れるなどした場合に、割れたマグネット40の破片が、遠心力によってロータカバー60を径方向内側から径方向外側向きに押す場合であっても、当該破片によって押されるロータカバー60の部分を、凸部70および挿入部80の周方向位置と異なる周方向位置に位置する部分にできる。これにより、当該破片によってロータカバー60が径方向外側向きに押されても、挿入部80が設けられた部分においてロータカバー60が径方向外側に変形しにくく、挿入部80内から凸部70が外れにくい。したがって、ロータカバー60がホルダ50から外れることを好適に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、凸部70は、ホルダ50の径方向外側面に設けられ、挿入部80は、筒状部61の径方向内側面に設けられている。そのため、凸部70をロータカバー60に設ける場合に比べて、凸部70の形状の自由度を大きくしやすい。具体的に本実施形態では、金型を用いた樹脂成形によってホルダ50と共に凸部70を作ることができるため、凸部70の形状の自由度を大きくしやすい。これにより、凸部70の形状を挿入部80に対して好適に軸方向に接触する形状にしやすく、ロータカバー60とホルダ50とをより好適に互いに固定できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、凸部70は、連結部51から上側に突出する第1突出部53に設けられている。そのため、凸部70をマグネット40から軸方向に離しやすい。これにより、マグネット40とステータ20との間で流れる磁束がより通りにくい位置に凸部70および挿入部80を配置しやすい。したがって、ロータカバー60に挿入部80を設けても、マグネット40とステータ20との間における磁束の流れが挿入部80によってより阻害されにくくできる。これにより、ロータ10の磁気特性が低下することをより抑制できる。
【0050】
本実施形態において凸部70と挿入部80とは、ホルダ50と筒状部61とを互いに固定するスナップフィット構造を構成している。そのため、凸部70を挿入部80に挿入する際に、凸部70と挿入部80との少なくとも一方の弾性変形および復元変形を利用して、凸部70を容易に挿入部80内に挿入でき、凸部70と挿入部80とを強固に軸方向に固定することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、上述したように、凸部70は、挿入部80に軸方向に接触する軸方向接触部71と、軸方向接触部71から軸方向に離れて配置され、軸方向接触部71に軸方向に近づくに従って径方向の寸法が大きくなる傾斜部72と、軸方向接触部71と傾斜部72とを軸方向に繋ぐ接続部73と、を有する。そのため、筒状部61内にホルダ50を挿入していく際に、傾斜部72に沿って筒状部61を径方向外側に弾性変形させやすくでき、スナップフィット構造により挿入部80内に凸部70を挿入させやすくできる。また、接続部73が設けられることで凸部70の強度を向上させることができ、ロータカバー60に設けられた挿入部80から凸部70が軸方向に力を受けても、凸部70が損傷しにくい。これにより、凸部70と挿入部80とによってロータカバー60をホルダ50に対して、より強固に固定できる。
【0052】
図8に示すように、本実施形態において挿入部80は、凸部70と周方向に対向する周方向対向部81を有する。そのため、ロータカバー60がホルダ50に対して周方向に回転しようとしても、挿入部80の周方向対向部81に凸部70が周方向に引っ掛かるため、ロータカバー60がホルダ50に対して周方向に回転することを抑制できる。周方向対向部81は、凸部70を周方向に挟んで一対設けられている。本実施形態において一対の周方向対向部81は、孔である挿入部80の内縁のうち周方向両側にそれぞれ位置する部分である。図8の例では、一対の周方向対向部81のそれぞれは、隙間を介して凸部70と周方向に対向している。なお、一対の周方向対向部81の一方が凸部70と周方向に接触していてもよい。本実施形態において挿入部80の下側の縁部は、凸部70から下側に離れて配置されている。
【0053】
また、本実施形態によれば、上述したように凸部70が接続部73を有することで、凸部70の強度を向上できる。これにより、ロータカバー60に設けられた挿入部80から凸部70が周方向に力を受けても、凸部70が損傷しにくい。また、接続部73によって凸部70の軸方向の寸法を大きくできるため、周方向対向部81に凸部70が周方向に引っ掛かる際に、凸部70と周方向対向部81との接触面積を大きくできる。これらにより、ロータカバー60がホルダ50に対して周方向に回転することをより安定して抑制できる。
【0054】
図9に示すように、本実施形態において底部62は、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、底部62は、中心軸線Jを中心とする円環状である。底部62は、板面が軸方向を向く板状である。底部62の径方向外縁部は、筒状部61の下側の端部に繋がっている。図4に示すように、底部62は、ロータコア30、マグネット40、およびホルダ50の下側に位置する。底部62の上側の面は、コア本体部31の径方向外縁部における下側の面と、マグネット支持部32の下側の面と、マグネット40の下側の面と、に跨って接触している。これにより、底部62は、ロータコア30、マグネット40、およびホルダ50を下側から支持している。底部62は、軸方向に見て、連結部51と重なる位置に配置されている。底部62の径方向内縁部は、第2貫通孔34よりも径方向外側に位置する。
【0055】
底部62と筒状部61との接続部分には、軸方向に弾性変形可能な弾性部63が設けられている。そのため、弾性部63を軸方向に伸ばす向きに弾性変形させることで、筒状部61の軸方向位置を底部62に対して上側に移動させることができる。これにより、ロータカバー60をホルダ50に対して取り付ける際に、挿入部80と凸部70との位置が軸方向にずれても、弾性部63を弾性変形させることで、挿入部80内に凸部70を挿入することが可能となる。また、ロータカバー60の寸法とホルダ50の寸法とを、公差を考慮して、弾性部63を弾性変形させないと挿入部80内に凸部70が僅かに挿入できないか、または弾性部63を弾性変形させずに挿入部80内に凸部70がちょうど挿入される寸法に合わせることで、挿入部80内に挿入された凸部70を挿入部80に軸方向に確実に接触させることが可能である。これにより、ロータカバー60がホルダ50に対して軸方向にガタつくことを好適に抑制できる。
【0056】
本実施形態において弾性部63は、底部62の径方向外縁部の一部によって構成され、底部62のうち弾性部63よりも径方向内側に位置する部分よりも下側に突出している。本実施形態において弾性部63は、周方向と直交する断面において下側に凸となる円弧状である。そのため、弾性部63を軸方向に弾性変形させやすくできる。図9に示すように、弾性部63は、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、弾性部63は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0057】
図1に示すように、ステータ20は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ20は、ステータコア21と、インシュレータ22と、複数のコイル23と、を有する。複数のコイル23は、インシュレータ22を介してステータコア21に装着されている。ステータコア21は、ロータコア30の径方向外側に位置する。ステータコア21は、中心軸線Jを囲む環状のコアバック21aと、コアバック21aから径方向内側に延びる複数のティース21bと、を有する。
【0058】
インシュレータ22は、ステータコア21に取り付けられている。図示は省略するが、インシュレータ22は、複数のティース21bごとに設けられている。各インシュレータ22は、ステータコア21よりも軸方向に突出する第2突出部22aおよび第3突出部22bを有する。第2突出部22aは、インシュレータ22のうちステータコア21よりも上側に突出している部分である。第3突出部22bは、インシュレータ22のうちステータコア21よりも下側に突出している部分である。
【0059】
図7に示すように、第2突出部22aは、ティース21bの上側に位置する被覆部22cと、被覆部22cの径方向内側の端部から上側に突出する内側フランジ部22dと、被覆部22cの径方向外側の端部から上側に突出する外側フランジ部22eと、を有する。内側フランジ部22dの上側の端部は、ロータカバー60の上側の端部、すなわち筒状部61の上側の端部よりも下側に位置する。外側フランジ部22eの上側の端部は、内側フランジ部22dの上側の端部およびロータカバー60の上側の端部よりも上側に位置する。内側フランジ部22dと外側フランジ部22eとの径方向の間には、コイル23の一部が位置する。
【0060】
第2突出部22aの径方向内側の端部は、ステータコア21の径方向内側の端部よりも径方向外側に位置する。本実施形態において第2突出部22aの径方向内側の端部は、内側フランジ部22dの径方向内側の端部である。ステータコア21の径方向内側の端部は、ティース21bの径方向内側の端部である。
【0061】
本実施形態において第2突出部22aの軸方向位置は、凸部70の軸方向位置および挿入部80の軸方向位置を含んでいる。第2突出部22aの周方向位置と凸部70の周方向位置とが同じ位置である場合、第2突出部22aと凸部70とは、径方向に隙間を介して対向している。つまり、本実施形態において凸部70の少なくとも一部は、径方向に見て第2突出部22aと重なることが可能な軸方向位置に配置されている。そのため、凸部70の軸方向位置をステータコア21の軸方向位置に対してずらすことができる。これにより、ステータコア21とロータ10との径方向の隙間を大きくすることなく、凸部70がステータコア21と接触することを抑制できる。また、上述したように第2突出部22aの径方向内側の端部は、ステータコア21の径方向内側の端部よりも径方向外側に位置する。そのため、径方向外側に突出する凸部70が第2突出部22aと接触することも抑制できる。本実施形態では、ホルダ50に第1突出部53を設けて、第1突出部53に凸部70を設けることで、凸部70の軸方向位置をステータコア21の軸方向位置に対して好適にずらしやすくできる。
【0062】
なお、「凸部70の少なくとも一部が径方向に見て第2突出部22aと重なることが可能な軸方向位置に配置されている」とは、ロータ10が中心軸線J回りに一回転する間の少なくとも一部において、凸部70の少なくとも一部が径方向に見て第2突出部22aと重なればよい。
【0063】
本実施形態では、凸部70の全体が、ステータコア21よりも上側に位置しており、径方向に見て第2突出部22aと重なることが可能な軸方向位置に配置されている。凸部70の上側の端部および挿入部80の上側の端部は、第2突出部22aの上側の端部よりも下側に位置する。本実施形態において凸部70の下側の端部は、第2突出部22aの下側の端部よりも上側に位置する。本実施形態において挿入部80の下側の端部は、第2突出部22aの下側の端部と軸方向において同じ位置に位置する。第2突出部22aの下側の端部における軸方向位置は、ステータコア21の上側の端部における軸方向位置と同じである。
【0064】
上述したロータ10の製造方法は、ロータコア30と複数のマグネット40を保持した状態のホルダ50にロータカバー60を固定するロータカバー固定工程S1を含む。図10に示すように、ロータカバー固定工程S1を行う作業者等は、ロータコア30と複数のマグネット40とがホルダ50によって連結されたアッセンブリ90を、ロータカバー60の筒状部61における上側の開口からロータカバー60の内部に挿入する。ロータカバー固定工程S1を行う際、アッセンブリ90のホルダ50には予め凸部70が設けられ、ロータカバー60の筒状部61には予め挿入部80が設けられている。つまり、ロータカバー固定工程S1は、凸部70が径方向に挿入される挿入部80が径方向内側面に設けられた状態の筒状部61の内側に、複数のマグネット40と周方向に異なる位置における径方向外側面に凸部70が設けられた状態のホルダ50を、上側から挿入することを含む。なお、図10においてロータカバー固定工程S1のアッセンブリ90にはシャフト11が含まれていないが、ロータカバー固定工程S1においてアッセンブリ90はシャフト11を含んでいてもよい。
【0065】
筒状部61内にアッセンブリ90を挿入していくと、筒状部61の上側の端部が凸部70に下側から接触する。この状態でアッセンブリ90を筒状部61内にさらに押し込むと、凸部70の傾斜部72に沿って筒状部61の一部が径方向外側に広がる向きに弾性変形した状態で筒状部61内にアッセンブリ90がさらに挿入されていく。筒状部61内にアッセンブリ90がさらに挿入されて、挿入部80の上側の端部が凸部70よりも上側に位置すると、筒状部61が復元変形して挿入部80内に凸部70が挿入され、凸部70の軸方向接触部71が挿入部80の内縁における上側の縁部と軸方向に接触する。これにより、ロータカバー60がホルダ50に固定される。このように、ロータカバー固定工程S1は、凸部70を挿入部80内に径方向に挿入させて、凸部70と挿入部80とを軸方向に接触させ、ホルダ50にロータカバー60を固定することを含む。
【0066】
以上のように、本実施形態では、ロータカバー60の一部をカシメる作業を行うことなく、ロータカバー60の内部にロータコア30と複数のマグネット40とホルダ50とのアッセンブリ90を挿入する作業を行うことで、ロータカバー60をアッセンブリ90に容易に固定することができる。したがって、ロータ10の製造に要する工数および時間を低減できる。
【0067】
本実施形態では、上述したロータカバー固定工程S1において、筒状部61が凸部70に接触して弾性変形してから筒状部61が復元変形するまでの間に、アッセンブリ90の下側の端部が底部62に接触する。作業者等は、この状態で弾性部63を軸方向に変形させて筒状部61を上側に弾性変位させ、挿入部80の軸方向位置を凸部70が挿入可能となる軸方向位置にする。これにより、筒状部61が復元変形して挿入部80内に凸部70が挿入される。このとき、弾性部63は、軸方向に引き延ばされる向きに弾性変形した状態となっているため、凸部70には、挿入部80の上側の縁部から下側向きに、弾性部63の復元力が加えられる。これにより、凸部70と挿入部80とをより強固かつ安定して軸方向に接触させることができ、ロータカバー60とホルダ50とをより好適に互いに固定することができる。
【0068】
なお、ロータカバー固定工程S1においては、アッセンブリ90を軸方向に移動させて筒状部61内にアッセンブリ90を挿入してもよいし、ロータカバー60を軸方向に移動させて筒状部61内にアッセンブリ90を挿入してもよいし、アッセンブリ90とロータカバー60とを共に軸方向に移動させて筒状部61内にアッセンブリ90を挿入してもよい。
【0069】
また、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置などを含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0070】
<第2実施形態>
以下の本実施形態の説明においては、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、上述した実施形態において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、本実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、上述した実施形態の構成と同様の構成を採用できる。
【0071】
図11から図13に示すように、本実施形態のロータ210のロータカバー260において、筒状部261の径方向内側面には、径方向内側に突出する凸部270が設けられている。凸部270は、例えば、筒状部261の一部が径方向外側から径方向内側に向けてカシメられることで作られている。図12および図13に示すように、本実施形態において凸部270は、径方向内側に凸となる半球状である。図11に示すように、凸部270は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の凸部270は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において凸部270は、5つ設けられている。各凸部270は、複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。ロータカバー260のその他の構成は、第1実施形態のロータカバー60のその他の構成と同様である。
【0072】
図14に示すように、本実施形態のホルダ250の連結部251の径方向外側面は、上側に向かうに従って径方向内側に位置する向きに湾曲する湾曲面251aである。図13に示すように、湾曲面251aは、周方向と直交する断面において径方向外側かつ上側に凸となる円弧状である。湾曲面251aは、ホルダ250の径方向外側面の一部を構成している。湾曲面251aの下側の端部には、凸部270が挿入される挿入部280が設けられている。つまり、本実施形態において挿入部280は、ホルダ250の径方向外側面に設けられている。
【0073】
このように、凸部270が筒状部261の径方向内側面に設けられ、挿入部280がホルダ250の径方向外側面に設けられることで、凸部270が突出する向きを径方向内側にすることができる。これにより、凸部270を設けても、ロータ210の一部が径方向外側に突出することがない。したがって、凸部270をステータコア21に対して軸方向にずらして配置する必要がなく、凸部270および挿入部280をロータコア30に軸方向に近い位置に配置できる。そのため、ホルダ250が軸方向に大型化することを抑制でき、ロータ210が軸方向に大型化することを抑制できる。具体的に、本実施形態では挿入部280が連結部251に設けられている。そのため、第1実施形態のように第1突出部53に凸部270を設ける場合に比べて、凸部270および挿入部280をロータコア30に軸方向に近づけやすく、ホルダ250に第1突出部53を設ける必要もない。したがって、ロータ210が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0074】
なお、本実施形態では凸部270および挿入部280がマグネット40に対しても軸方向に近くなるが、凸部270および挿入部280が複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。そのため、凸部270と挿入部280との接触部分などに力が加えられる場合であっても、当該力がマグネット40に加えられにくい。したがって、マグネット40が損傷することを好適に抑制できる。
【0075】
図15に示すように、本実施形態において挿入部280は、連結部251の径方向外側面、すなわち湾曲面251aから径方向内側に窪む凹部である。挿入部280は、径方向外側に開口し、かつ、上側に開口している。図14に示すように、挿入部280は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の挿入部280は、周方向において一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において挿入部280は、10個設けられている。つまり、本実施形態において凸部270の数は、挿入部280の数よりも少ない。そのため、複数の挿入部280は、凸部270が挿入された挿入部280と、凸部270が挿入されていない挿入部280と、を含む。本実施形態において、凸部270が挿入された挿入部280と凸部270が挿入されていない挿入部280とは、周方向に交互に設けられている。各挿入部280は、複数のマグネット40と周方向に異なる位置に配置されている。
【0076】
複数の挿入部280のそれぞれは、連結部251のうち複数の柱部252の上端部が繋がる部分にそれぞれ設けられている。各挿入部280の周方向の中心は、各柱部252の周方向の中心と同じ周方向位置に配置されている。図15に示すように、挿入部280の内面は、周方向両側に位置する一対の周方向側面281と、下側に位置する軸方向側面282と、径方向内側に位置する径方向側面283と、を有する。一対の周方向側面281は、周方向において互いに対向して配置される面であり、凸部270と周方向に対向する周方向対向部である。図15の例では、一対の周方向側面281には、凸部270が周方向に接触している。なお、一対の周方向側面281と凸部270との周方向の間には隙間が設けられてもよい。軸方向側面282は、上側を向く面である。軸方向側面282には、凸部270が上側から接触している。径方向側面283は、径方向外側を向く面である。径方向側面283と凸部270との径方向の間には隙間が設けられている。
【0077】
本実施形態においてホルダ250は、径方向内側に窪み挿入部280から下側に延びる溝部254を有する。溝部254は、複数の柱部252の径方向外側面、すなわち押え部252cの径方向外側面にそれぞれに設けられている。図14に示すように、溝部254は、径方向外側に開口し、かつ、軸方向両側に開口している。溝部254の下側の端部は、幅狭部52dの傾斜面52eに開口している。図15に示すように、溝部254の上側の端部は、挿入部280の軸方向側面282に開口している。溝部254の径方向の寸法は、凹部である挿入部280の径方向の寸法よりも小さい。溝部254の内面のうち径方向内側に位置する溝底面は、挿入部280の径方向側面283よりも径方向外側に位置する。溝部254の溝底面は、軸方向に見て、径方向内側に凹となる円弧状である。溝部254の溝底面は、軸方向に見て、凸部270の径方向内側の端部に沿った形状である。
【0078】
本実施形態においてロータカバー260をホルダ250に固定する作業を行う作業者等は、径方向に突出する凸部270が径方向内側面に設けられた状態の筒状部261の内側に、複数のマグネット40と周方向に異なる位置における径方向外側面に挿入部280が設けられた状態のホルダ250を、上側から挿入する。このとき、本実施形態では、径方向内側に突出する凸部270が柱部252の径方向外側面に接触して、筒状部261が径方向外側に弾性変形する。
【0079】
本実施形態によれば、挿入部280から下側に延びる溝部254が設けられているため、ロータカバー260内にホルダ250が挿入された際に、図13において二点鎖線で示すように凸部270の一部を溝部254内に挿入することができる。これにより、筒状部261の弾性変形量が大きくなり過ぎることを抑制できる。したがって、ロータカバー260内にホルダ250を挿入していく際に、筒状部261の復元力を比較的小さくでき、凸部270がホルダ250の外周面に強く押し付けられることを抑制できる。そのため、ロータカバー260内にホルダ250を挿入しやすい。また、ロータカバー260内にホルダ250を挿入していく際に、ホルダ250の径方向外側面が凸部270によって削られることを抑制できる。これにより、ホルダ250の一部が削れて落ちることを抑制でき、異物がロータカバー260の内部に残ることなどを抑制できる。また、ロータカバー260内にホルダ250を挿入していく際に、溝部254によって凸部270を挿入部280まで導くことができ、挿入部280内に凸部270を挿入しやすくできる。本実施形態では、ロータカバー260内にホルダ250を挿入する際に、凸部270の径方向内側の端部が溝部254内に挿入される。
【0080】
ロータカバー260内にホルダ250がさらに押し込まれて、凸部270が挿入部280と対向する位置まで移動すると、筒状部261が復元変形して、凸部270が挿入部280内に挿入される。これにより、凸部270と挿入部280とによって構成されるスナップフィット構造によって、ロータカバー260とホルダ250とが互いに固定される。
【0081】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。凸部は、挿入部に径方向に挿入され、かつ、挿入部に軸方向に接触できるならば、どのような形状であってもよい。凸部は、軸方向接触部と傾斜部とを軸方向に繋ぐ接続部を有しなくてもよい。
【0082】
挿入部は、凸部が挿入されるならば、どのような形状であってもよい。挿入部は、ホルダの径方向外側面またはロータカバーの筒状部の径方向内側面に設けられた切り欠きなどであってもよい。挿入部は、凸部と周方向に対向する周方向対向部を有しなくてもよい。上述した第1実施形態において、第1突出部53の径方向外側面に挿入部が設けられ、筒状部61の径方向内側面に凸部が設けられてもよい。上述した第2実施形態において、連結部251の径方向外側面に凸部が設けられ、筒状部261の径方向内側面に挿入部が設けられてもよい。
【0083】
凸部と挿入部とは、スナップフィット構造を構成していなくてもよい。ロータカバーの筒状部内にホルダが挿入された後に、ロータカバーの一部をカシメることなどによって、挿入部に挿入される凸部が作られてもよい。ロータカバーの底部と筒状部との接続部分には軸方向に弾性変形可能な弾性部が設けられなくてもよい。凸部の軸方向位置および挿入部の軸方向位置は、特に限定されない。例えば、上述した第1実施形態において凸部70の傾斜部72の下端部がステータコア21の径方向内側面に対向可能となる軸方向位置に配置されてもよい。凸部の周方向位置および挿入部の周方向位置は、複数のマグネットの周方向位置と異なっていれば、特に限定されない。
【0084】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。
【0085】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、を備え、前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との一方の面には、径方向に突出する凸部が設けられ、前記ホルダの径方向外側面と前記筒状部の径方向内側面との他方の面には、前記凸部が径方向に挿入された挿入部が設けられ、前記凸部は、前記挿入部に軸方向に接触し、前記凸部および前記挿入部は、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置に配置されている、ロータ。
(2) 前記挿入部は、前記凸部と周方向に対向する周方向対向部を有する、(1)に記載のロータ。
(3) 前記凸部と前記挿入部は、前記ホルダと前記筒状部とを互いに固定するスナップフィット構造を構成している、(1)または(2)に記載のロータ。
(4) 前記ロータカバーは、前記ロータコアの軸方向他方側に位置する底部を有し、前記底部の径方向外縁部は、前記筒状部の軸方向他方側の端部に繋がり、前記底部と前記筒状部との接続部分には、軸方向に弾性変形可能な弾性部が設けられている、(3)に記載のロータ。
(5) 前記弾性部は、周方向と直交する断面において軸方向他方側に凸となる円弧状である、(4)に記載のロータ。
(6) 前記凸部は、前記挿入部に軸方向に接触する軸方向接触部と、前記軸方向接触部から軸方向に離れて配置され、前記軸方向接触部に軸方向に近づくに従って径方向の寸法が大きくなる傾斜部と、前記軸方向接触部と前記傾斜部とを軸方向に繋ぐ接続部と、
を有する、(3)から(5)のいずれか一項に記載のロータ。
(7) 前記ホルダは、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間にそれぞれ位置する複数の柱部と、前記ロータコアの軸方向一方側に位置し、前記複数の柱部の軸方向一方側の端部同士を繋ぐ連結部と、前記連結部から軸方向一方側に突出する第1突出部と、を有し、前記凸部または前記挿入部は、前記第1突出部に設けられている、(1)から(6)のいずれか一項に記載のロータ。
(8) 前記ホルダは、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間にそれぞれ位置する複数の柱部と、前記ロータコアの軸方向一方側に位置し、前記複数の柱部の軸方向一方側の端部同士を繋ぐ連結部と、を有し、前記凸部または前記挿入部は、前記連結部に設けられている、(1)から(6)のいずれか一項に記載のロータ。
(9) 前記凸部は、前記ホルダの径方向外側面に設けられ、前記挿入部は、前記筒状部の径方向内側面に設けられている、(1)から(8)のいずれか一項に記載のロータ。
(10) 前記挿入部は、前記筒状部を径方向内側面から径方向外側面まで径方向に貫通する孔である、(9)に記載のロータ。
(11) 前記凸部は、前記筒状部の径方向内側面に設けられ、前記挿入部は、前記ホルダの径方向外側面に設けられている、(1)から(8)のいずれか一項に記載のロータ。
(12) 前記ホルダは、径方向内側に窪み前記挿入部から軸方向他方側に延びる溝部を有する、(11)に記載のロータ。
(13) (9)または(10)に記載のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備え、前記ステータは、前記ロータコアの径方向外側に位置するステータコアと、前記ステータコアに取り付けられたインシュレータと、を有し、前記インシュレータは、前記ステータコアよりも軸方向に突出する第2突出部を有し、前記第2突出部の径方向内側の端部は、前記ステータコアの径方向内側の端部よりも径方向外側に位置し、前記凸部の少なくとも一部は、径方向に見て前記第2突出部と重なることが可能な軸方向位置に配置されている、回転電機。
(14) (1)から(12)のいずれか一項に記載のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える、回転電機。
(15) 中心軸線を中心として回転可能なロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数のマグネットと、前記ロータコアおよび前記複数のマグネットを保持するホルダと、前記ロータコアと前記複数のマグネットと前記ホルダとを径方向外側から囲み少なくとも軸方向一方側に開口する筒状部を有するロータカバーと、を備えるロータの製造方法であって、前記ロータコアと前記複数のマグネットを保持した状態の前記ホルダに前記ロータカバーを固定するロータカバー固定工程を含み、前記ロータカバー固定工程は、径方向に突出する凸部と前記凸部が径方向に挿入される挿入部との一方が径方向内側面に設けられた状態の前記筒状部の内側に、前記複数のマグネットと周方向に異なる位置における径方向外側面に前記凸部と前記挿入部との他方が設けられた状態の前記ホルダを、軸方向一方側から挿入することと、前記凸部を前記挿入部内に径方向に挿入させて、前記凸部と前記挿入部とを軸方向に接触させ、前記ホルダに前記ロータカバーを固定することと、を含む、ロータの製造方法。
【0086】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0087】
10,210…ロータ、20…ステータ、21…ステータコア、22…インシュレータ、22a…第2突出部、30…ロータコア、40…マグネット、50,250…ホルダ、51,251…連結部、52,252…柱部、53…第1突出部、60,260…ロータカバー、61,261…筒状部、62…底部、63…弾性部、70,270…凸部、71…軸方向接触部、72…傾斜部、73…接続部、80,280…挿入部、81…周方向対向部、100…回転電機、254…溝部、281…周方向側面(周方向対向部)、J…中心軸線、S1…ロータカバー固定工程
図1
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