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  • 特開-冊子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093455
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】冊子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42C 9/00 20060101AFI20240702BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20240702BHJP
   B42C 11/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B42C9/00
B42D15/00 301A
B42C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209846
(22)【出願日】2022-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年5月1日より、株式会社天白製本紙工前にてサンプルを配布した。 2022年12月3日、4日に、クリエイターズマーケットvol.47に、パンダノートを出品した。
(71)【出願人】
【識別番号】522503986
【氏名又は名称】株式会社天白製本紙工
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】上野 恭嗣
(57)【要約】
【課題】任意の用紙を、2頁からなる1枚毎、容易に切り離すことができる冊子の製造方法を提案する。
【解決手段】1枚で構成された用紙3aを複数枚積層して形成した本文3を有する冊子1の製造方法であって、表紙2と、前記本文3と、前記表紙2とは連結していない裏表紙4を所定の順番となるように積み重ねた後に、その背となる部分をミ―リング加工した後に、接着剤8を塗布し、表紙2の表側の少なくとも一部と、背7と、裏表紙4の裏側の少なくとも一部を覆うように、仮表紙10を取付け、前記接着剤8が硬化した後に、前記仮表紙10を取り外す。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚で構成された用紙を複数枚積層して形成した本文を有する冊子の製造方法であって、
表紙と、前記本文と、前記表紙とは連結していない裏表紙を所定の順番となるように積み重ねた後に、
その背となる部分をミ―リング加工した後に、接着剤を塗布し、
表紙の表側の少なくとも一部と、背と、裏表紙の裏側の少なくとも一部を覆うように、仮表紙を取付け、
前記接着剤が硬化した後に、前記仮表紙を取り外すことを特徴とする冊子の製造方法。
【請求項2】
仮表紙取り外した後に、表紙の表側の一部と、背と、裏表紙の一部を覆う背部材を取り付け、前記背部材を、前記表紙と裏表紙よりも柔らかい部材で構成したことを特徴とする請求項1記載の冊子の製造方法。
【請求項3】
前記冊子を、ノートブックとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の冊子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブックなどの冊子において、略180度開くことのできる、見開き性の良いものが望まれている。また、ノートとして使用した場合に、書き間違い等により、任意の頁を1枚ずつ取り外したいとの要望もある。
【0003】
このように、見開き性が良く用紙を取り除けるものとして、用紙を1葉ずつ2つ折りしたものを複数積層し、それを加圧プレスして冊子を形成することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6315534公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、一葉ずつ2つ折りしているため、折り目に沿って、その片方を切り離そうとすると、構造上2つ折りした1葉、4頁全体が外れてしまうという問題点がある。
【0006】
そこで、任意の用紙を、2頁からなる1枚毎、容易に切り離すことができる冊子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本願発明は、1枚で構成された用紙を複数枚積層して形成した本文を有する冊子の製造方法であって、
表紙と、前記本文と、前記表紙とは連結していない裏表紙を所定の順番となるように積み重ねた後に、
その背となる部分をミ―リング加工した後に、接着剤を塗布し、
表紙の表側の少なくとも一部と、背と、裏表紙の裏側の少なくとも一部を覆うように、仮表紙を取付け、
前記接着剤が硬化した後に、前記仮表紙を取り外すことを特徴とするものである。
【0008】
また、仮表紙取り外した後に、表紙の表側の一部と、背と、裏表紙の一部を覆う背部材を取り付け、前記背部材を、前記表紙と裏表紙よりも柔らかい部材で構成してもよい。
【0009】
また、前記冊子を、ノートブックとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、背となる部分をミ―リング加工した後に、接着剤を塗布し、
表紙の表側の少なくとも一部と、背と、裏表紙の裏側の少なくとも一部を覆うように、仮表紙を取付け、記接着剤が硬化した後に、仮表紙取り外すことにより、容易に、余分な接着剤を取り除くとともに、接着剤の厚みを均一で、かつ、一定にすることができる。これにより、見開き性の良い冊子とするとともに、用紙が脱離することなく保持できる。また、用紙を接着剤から容易に切り離せるが、接着剤が破損することなく形状を保持でき、冊子が分離することがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る冊子の斜視図。
図2】丁合工程を説明するための図。
図3】丁合工程後の斜視図。
図4】ミ―リング工程後の斜視図
図5図4の正面図。
図6図5の拡大図。
図7】接着剤塗布工程後の図。
図8】仮表紙取付工程後の図。
図9】背部材取付工程後の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0013】
[実施例1]
図1は、本発明の冊子1の斜視図を示す。冊子1は、無線綴じ冊子で構成され、雑誌、ノートブック、文庫本、パンフレット、写真集などに用いることができ、本実施例では、ノートブックに適用した例に基づいて説明を行う。
【0014】
冊子1は、図2に示すように、表紙2と、複数枚の用紙3aで構成された本文3と、裏表紙4で構成されている。表紙2、用紙3a、裏表紙4を構成する用紙は、任意のものを用いることができる。本文3を構成する用紙3aは、折られることなく各1枚で構成されている。
【0015】
また、表紙2と裏表紙4とは、別々に構成され、一体には形成されていない。表紙2と裏表紙4は、各1枚で構成してもよいし、任意の形状、構造としてもよい。
【0016】
まず、図1に示すように、表紙2、用紙3a、裏表紙4を所定の大きさとなるように形成するとともに、図2に示すように、所定の順番となるように配置した後に、図3に示すように重ね合わせる丁合工程を行う。
【0017】
次に、図4図6に示すように、背となる部分5を削るミ―リング工程を行う。
【0018】
背となる部分5を削った後の背7の形状は、図6に示すように、表裏方向の端面が波状となる溝6が複数形成されている。溝6のピッチL1が、0.65mm~0.7mmとし、溝6の深さL2を0.40mm~0.50mmとなるように削る。なお、図4図5は、溝6の形状が分かりやすいように誇張して作図してある。
【0019】
溝6のピッチL1、溝6の深さL2を上記より小さくすると、冊子1を開いた際や使用中等に、用紙3aが脱離してしまう恐れがあり、溝6のピッチL1、溝6の深さL2を上記より大きくすると、冊子1から任意の頁の用紙3aを切り取る際に、良好に取り外しができない恐れがある。
【0020】
反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤を使用したPUR製本の場合、一般的に、背となる部分5を刃物で削った後の溝のピッチL1を、0.9mm、溝の深さL2が0.40mmとなり、本発明のミ―リング工程の方が、PUR製本におけるミ―リング工程よりも背を細かくなるように削る。
【0021】
溝6は、図4に示すように、冊子1の表裏方向に対して、傾斜するように形成され、表紙2に対する溝6の傾斜角度は任意に形成することができる。
【0022】
次に、図7に示すように、背7と、表紙2の背側端部と、裏表紙4の背側端部に接着剤8の厚みが0.4mm~0.5mmとなるように塗布し、接着剤塗布工程を行う。接着剤として、本実施例では、反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤より接着力の弱いEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)系ホットメルト接着剤であるHenkel社製のTECHNOMELT GA 3980 ULTRAを使用した。
【0023】
接着剤8が硬化する前に、図8に示すように、仮表紙10を背7と表紙2の少なくとも一部である背側と、裏表紙4の少なくとも一部である背側を覆うように、巻き付けて取付ける仮表紙取付工程を行う。仮表紙10は、背7における冊子1の厚み方向と直交する高さ方向全体と、表紙2の背側と、裏表紙4の背側を覆うことができれば、任意の大きさに形成することができる。
【0024】
次に、接着剤8が硬化した後に、仮表紙10を手作業又は機械を用いて取り外す。不必要な接着剤8は仮表紙10と共に取り除かれ、背7と、表紙2の背側と、裏表紙4の背側には接着剤8が、冊子1の厚み方向と直交する高さ方向全体に亘って、硬化した接着剤8をムラのない一定の厚みとなるように形成できるともに、中間品毎によるばらつきをなくし、品質を均一化することができる。これにより、硬化した接着剤8による用紙3aの保持力を、一定にすることができるとともに、任意の頁の用紙3aを取り除いた際にも、硬化した接着剤8により冊子1の厚みや形状を保持でき、背の部分で、冊子1がばらばらになることを防ぐことができる。
【0025】
次に、図1図9に示すように、表紙1と裏表紙4よりも柔らかな部材で構成された帯状のクロスからなる背部材11を、接着剤等により背7と、表紙2の一部である背側端部と、裏表紙4の一部である背側端部に亘って、巻きつけて取り付ける背部材取付工程。なお、背部材11は、取付けず、接着剤8がむき出しとなるようにしてもよい。また、背部材11は、表紙1と裏表紙4よりも柔らかな部材で構成されていれば、帯状のクロス以外にも任意の部材を用いることができる。
【0026】
次に、必要に応じて、裁断を行って冊子1となる。
【0027】
上記の製造方法により冊子1を形成したことにより、次の作用、効果を奏する。
【0028】
仮表紙10を取り付け、接着剤硬化後に、仮表紙10を取り外すことで、容易に、余分な接着剤8を取り除くとともに、接着剤8の厚みを均一で、かつ、一定にすることができる。また、表紙1と裏表紙4よりも柔らかな素材で構成された帯状のクロスからなる背部材11を背に設けたことにより、見開き性の良い冊子1とすることができるとともに、使用時に用紙3aが脱離することなく冊子1の形状を保持できる。
【0029】
また、仮表紙10を取り付け、接着剤硬化後に、仮表紙10を取り外すとともに、PUR製本におけるミ―リング工程よりも背を細かくなるように削ることで、PUR製本のものよりも、用紙3a,3a間の接着剤8の量を少なくすることで、任意の用紙3aを根本部分から2頁からなる用紙3aを1枚毎、容易に切り離せるが、切り離した際に接着剤8が破損することなく、接着剤8の形状を保持でき、冊子1が複数に分離することがないとともに、他の用紙3aが脱離することもない。
【符号の説明】
【0030】
1 冊子
3a 用紙
3 本文
2 表紙
4 裏表紙
8 接着剤
10 仮表紙
11 背部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9