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特開2024-93472複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093472
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20240702BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240702BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/24 J
H02M3/155 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209864
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 朋史
【テーマコード(参考)】
5E070
5H730
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB10
5E070BB01
5E070BB03
5E070CA07
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB82
5H730ZZ17
(57)【要約】
【課題】コイル導体間の結合を抑制しつつ、磁気飽和の抑制が図られた複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータを提供する。
【解決手段】 インダクタ1においては、一対のコイル導体20A、20Bの間に介在する磁性体30により、一対のコイル導体20A、20Bの間における磁束が遮蔽される。インダクタ1では、磁性体30の側面30e、30fが各コイル導体20の並列部21より外側に突出しているので、並列部21に生じる磁束が磁性体30により遮蔽される。また、インダクタ1では、磁性体30の上面30aが各コイル導体20の連結部22の上面22aより下方に位置しているため、コイル導体20の連結部22において発生する磁界の影響を磁性体30が受けにくくなる。それにより、磁性体30内の磁束分布が均一になり、磁気飽和の抑制が図られる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の外形を有し、第1方向において対面する一対の第1側面と、前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記第1方向に沿って延びる第1導体と、前記第1方向に沿って延びるとともに前記第2方向において前記第1導体と隣り合う第2導体と、前記第2方向に沿って延びて前記第1導体および前記第2導体の前記第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、前記第1のコイル導体と前記第3方向において並び、前記第1導体と前記第2導体と前記第3導体とを備える第2のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第3方向において前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体との間に介在し、前記第1方向において対面する一対の第4側面と、前記第2方向において対面する一対の第5側面と、前記第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い磁性体と
を備え、
前記磁性体の一対の第5側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体よりも外側に突出して前記素体の一対の第2側面に近接しており、
前記磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する前記第4側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面より前記第1方向における他方側に位置する、複合インダクタ。
【請求項2】
前記素体の第1素体部が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間に位置する第1部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に位置する第2部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体の前記第3方向における外側において前記第1部分と前記第2部分とを連結する第3部分とを有する、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項3】
前記素体の第1素体部が、前記第2方向における前記磁性体の外側に位置する第4部分をさらに有する、請求項2に記載の複合インダクタ。
【請求項4】
前記磁性体の前記一対の第5側面のそれぞれの、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体からの突出長さが、前記第2方向に関する前記第4部分の長さより長い、請求項3に記載の複合インダクタ。
【請求項5】
前記素体の第1素体部が、前記磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第4側面と、前記第1素体部の前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分の前記第1方向における他方側の面とを一体的に覆う第5部分をさらに有する、請求項2に記載の複合インダクタ。
【請求項6】
前記素体が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面と、前記磁性体の前記第1方向における一方側の面と、前記第1素体部の前記第2部分および前記第3部分の前記第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える、請求項2に記載の複合インダクタ。
【請求項7】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体との距離は、前記第3方向に関する前記第1素体部の第3部分の長さより短く、かつ、前記第3方向に関する前記磁性体の長さより短い、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項8】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体との間は前記第1素体部を構成する材料で充たされている、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項9】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体とが接している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項10】
前記磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項11】
前記磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項12】
前記複数の磁性体ブロックが前記第1方向に積層されている、請求項11に記載の複合インダクタ。
【請求項13】
前記磁性体の前記一対の第5側面および前記一対の第6側面のそれぞれが凹凸面であり、該凹凸面が前記素体の第1素体部と接している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項14】
請求項1に記載の複合インダクタを備える、DC-DCコンバータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、内部にコイル導体が設けられた複数の磁性コアと、磁性コアより透磁率が高い複数のシールド部とが並んだ構成を有するインダクタであって、一部品中に複数のコイル導体を含む複合インダクタが開示されている。本文献における複合インダクタでは、隣り合う2つの磁性コアの間に介在するシールド部により両磁性コアのコイル導体間の結合が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-019141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に係るインダクタでは、磁気飽和が生じた場合にインダクタ特性の低下を招き得る。発明者らは、インダクタの磁気飽和について研究を重ね、磁気飽和を抑制することができる技術を新たに見出した。
【0005】
本開示は、コイル導体間の結合を抑制しつつ、磁気飽和の抑制が図られた複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る複合インダクタは、直方体形状の外形を有し、第1方向において対面する一対の第1側面と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、素体内に設けられ、第1方向に沿って延びる第1導体と、第1方向に沿って延びるとともに第2方向において第1導体と隣り合う第2導体と、第2方向に沿って延びて第1導体および第2導体の第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、素体内に設けられ、第1のコイル導体と第3方向において並び、第1導体と第2導体と第3導体とを備える第2のコイル導体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第3方向において第1のコイル導体と第2のコイル導体との間に介在し、第1方向において対面する一対の第4側面と、第2方向において対面する一対の第5側面と、第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い磁性体とを備え、磁性体の一対の第5側面が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体よりも外側に突出して素体の一対の第2側面に近接しており、磁性体の一対の第4側面のうちの第1方向における一方側に位置する第4側面が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第1方向における一方側の面より第1方向における他方側に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コイル導体間の結合を抑制しつつ、磁気飽和の抑制が図られた複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る複合インダクタを示す概略斜視図である。
図2図1の複合インダクタを端面から見た図である。
図3図1の複合インダクタのコイル導体および磁性体を示した分解斜視図である。
図4図3のコイル導体を示した概略斜視図である。
図5図3のコイル導体を示した正面図である。
図6図1の磁性体の構成を示した図である。
図7】異なる態様の磁性体を示した図である。
図8図1の複合インダクタのVIII-VIII線断面図である。
図9図1に示した複合インダクタが用いられるDC-DCコンバータの回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0010】
図1に、一実施形態に係るインダクタ1を示す。インダクタ1は、素体10と、一対のコイル導体20と、一つの磁性体30とを備えて構成されている。すなわち、本実施形態に係るインダクタ1は、2つのインダクタが設けられた複合インダクタである。
【0011】
インダクタ1に含まれる一対のコイル導体20(20Aおよび20B)は、図9に示すDC-DCコンバータ5の回路の各チョークコイルに採用され得る。DC-DCコンバータ5は、スイッチング素子SW1、SW2、チョークコイル20A、20B、ダイオードD1、D2による変換部を一対備え、これら変換部が並列接続されたマルチフェーズコンバータであり、各変換部のチョークコイル20A、20Bとして上記インダクタ1が採用され得る。DC-DCコンバータ5の構成についてより詳しく説明すると、DC-DCコンバータ5は、一対の入力端子A1、A2と、一対の出力端子B1、B2と、入力端子A1と出力端子B1の間に直列にこの順に接続されたスイッチング素子SW1およびチョークコイル20Aと、入力端子A1と出力端子B1の間に直列にこの順に接続されたスイッチング素子SW2およびチョークコイル20Bと、出力端子B1、B2間に接続されたキャパシタC1とを備えている。スイッチング素子SW1とチョークコイル20Aからなる回路と、スイッチング素子SW2とチョークコイル20Bからなる回路は、入力端子A1と出力端子B1の間に並列に接続される。入力端子A2と出力端子B2はグランドラインを構成する。スイッチング素子SW1およびチョークコイル20Aの接続点とグランドラインの間にはダイオードD1が逆方向に接続され、スイッチング素子SW2およびチョークコイル20Bの接続点とグランドラインの間にはダイオードD2が逆方向に接続される。スイッチング素子SW1、SW2は、図示しない制御回路によって交互にオンオフされ、これにより、入力電圧を降圧した出力電圧が生成される。DC-DCコンバータ5における一対のチョークコイル20A、20Bを、インダクタ1の一対のコイル導体20で構成することで、DC-DCコンバータ5を構成する部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
素体10は、略直方体形状の外形を有する。素体10は、第1方向である上下方向において対面する上面10aおよび下面10b(一対の第1側面)と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の側面10e、10f(一対の第2側面)と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の端面10c、10d(一対の第3側面)とを有する。本実施形態に係る素体10は、第1の素体部11、第2の素体部12および第3の素体部13を含んで構成されている。第1の素体部11は、素体10の上面10aを構成し、第3の素体部13は素体10の下面10bを構成し、第2の素体部12は素体10の上下方向において第1の素体部11と第3の素体部13との間に介在している。
【0013】
素体10内に、一対のコイル導体20および磁性体30が設けられている。一対のコイル導体20は、素体10の側面10c、10dの対面方向に沿って並んでおり、一対のコイル導体20の間に磁性体30が介在している。以下の説明では、必要に応じて、一対のコイル導体20のうち、側面10c側に位置するコイル導体20を第1コイル導体20A、側面10d側に位置するコイル導体20を第2コイル導体20Bと言い分ける。
【0014】
一対のコイル導体20はいずれも、図2および図3に示すとおり、1本の細長い帯状導体が略矩形波状となった構成を有する。各コイル導体20は、たとえば1本の細長い帯状導体を折り曲げて形成することができる。各コイル導体20は、より詳しくは、一対の並列部21と連結部22と一対の端子部23とを備えて構成されている。各コイル導体20は、Cu、Ag、Au、Al、Niなどから選ばれる金属で構成されており、本実施形態ではCuで構成されている。各コイル導体20の表面は、図示しない絶縁被覆によって覆われていてもよく、たとえば各並列部21および連結部22が絶縁被覆で覆われていてもよい。
【0015】
一対の並列部21は第1の並列部21A(第1導体)および第2の並列部21B(第2導体)で構成されており、第1の並列部21Aと第2の並列部21Bとは同じ長さを有し、互いに平行に延びている。図1に示すようにコイル導体20が素体10に取り付けられた状態では、一対の並列部21は素体10の厚さ方向(すなわち、上面10aと下面10bとが対面する第1方向)に延びている。第1の並列部21Aおよび第2の並列部21Bはいずれも上面10a側に位置する上端部21a(第1端部)を有し、上端部21a同士は一対の側面10e、10fの対面方向に並んで位置している。同様に、第1の並列部21Aおよび第2の並列部21Bはいずれも下面10b側に位置する下端部21b(第2端部)を有し、下端部21b同士は一対の側面10e、10fの対面方向に並んで位置している。一対の並列部21はいずれも、図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の端面10c、10dに対して平行である側面21c、21dを有するとともに、素体10の側面10e、10fに対して平行である外側面21eおよび内側面21fを有する。並列部21の側面21cは素体10の端面10c側を向いており、側面21dは素体10の端面10d側を向いている。並列部21の外側面21eは外方を向いており、内側面21fは内方を向いて互いに対向している。
【0016】
連結部22(第3導体)は、一対の並列部21のそれぞれの上端部21aを連結する部分であり、素体10の一対の側面10e、10fの対面方向に一直線状に延びている。連結部22は、図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の上下面10a、10bに対して平行である上下面22a、22bを有するとともに素体10の端面10c、10dに対して平行である側面22c、22dを有する。連結部22の側面22cは素体10の端面10c側を向いており、側面22dは素体10の端面10d側を向いている。並列部21と連結部22との接続箇所26(図2参照)は、直角に湾曲しており、その外表面および内表面は湾曲面を構成している。
【0017】
一対の端子部23(第4導体)はいずれもコイル導体20の端部であり、一対の並列部21のそれぞれの下端部21bから互いに離れるように延びている。図2に示すようにコイル導体20が素体10に取り付けられた状態では、一対の端子部23は、素体10の下面10b上に露出し、側面10e、10fの対面方向に沿って延びる。詳しくは、図2に示すように、一対の端子部23のうちの第1の端子部23Aが側面10eに向かって延び、第2の端子部23Bが側面10fに向かって延びる。一対の端子部23はいずれも、図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の上下面10a、10bに対して平行である上下面23a、23bを有するとともに素体10の端面10c、10dに対して平行である側面23c、23dを有する。端子部23の側面23cは素体10の端面10c側を向いており、側面23dは素体10の端面10d側を向いている。本実施形態において、各端子部23の高さh(すなわち、第1方向に関する長さ)は、各並列部21の幅W(すなわち、第2方向に関する長さ)より短くなるように構成されている。一対の端子部23は、インダクタ1の端子として機能し、インダクタ1が表面実装される回路基板側の端子と電気的に接続され得る。本実施形態では、一対の端子部23は下面10b上において終端しているが、必要に応じて側面10e、10fに沿って延びるように引き延ばしてもよい。また、一対の端子部23は、接触しない範囲で互いに近づくように側面10e、10fの対面方向に沿って延びていても構わない。コイル導体20は一対の端子部23を備えない形態であってもよく、この場合、一対の並列部21の下端部21bで実装され得る。
【0018】
磁性体30は、長方形板状の外形を有し、第1方向および第2方向を含む面に対して平行に延在している。磁性体30は、第1方向において対面する上面30aおよび下面30b(一対の第4側面)と、第2方向において対面する一対の側面30e、30f(一対の第5側面)と、第3方向において対面する一対の端面30c、30d(一対の第6側面)とを有する。磁性体30の上面30aおよび下面30bは、素体10の上面10aおよび下面10bに対してそれぞれ平行である。磁性体30の端面30cおよび端面30dは、素体10の端面10cおよび端面10dに対してそれぞれ平行である。磁性体30の側面30eおよび側面30fは、素体10の側面10eおよび側面10fに対してそれぞれ平行である。図2に示すように、磁性体30の上面30aは各コイル導体20の連結部22の上面22aより下方に位置している。磁性体30の下面30bは、素体10の下面10bには露出しておらず、上下方向において磁性体30と素体下面10bとの間には第3の素体部13が介在している。なお、磁性体30の上面30aの高さ位置は、各コイル導体20の連結部22の下面22bの高さ位置より下方であってもよく、各コイル導体20の連結部22の上面22aの高さ位置と下面22bの高さ位置との間であってもよい。
【0019】
磁性体30は、比較的高い透磁率を有するように構成され、後述する第2の素体部12および第3の素体部13を構成する磁性粉含有樹脂の透磁率より高い透磁率を有するように設計され得る。本実施形態に係る磁性体30は、図6に示すように、素体10の上下方向(すなわち第1方向)に積層された複数の磁性薄帯32(より詳しくは金属軟磁性体からなる薄帯)を含み、複数の磁性薄帯32と複数の接着層34とが交互に並ぶ積層構造を有する。磁性体30の上面30aおよび下面30bは、磁性薄帯32または接着層34で構成されていてもよい。磁性体30を構成する磁性薄帯32の層数は一例として120層である。磁性薄帯32は、たとえば、アモルファス合金、微結晶合金、パーマロイ、ナノヘテロ構造からなる合金等の磁性合金などで構成され得る。アモルファス合金材料には、Fe基アモルファス軟磁性材料、Co基アモルファス軟磁性材料などがあり、また、微結晶合金にはFe基ナノ結晶軟磁性材料などがある。ナノヘテロ構造とは微結晶がアモルファス中に存在する構造のことを指す。磁性体30の表面は、必要に応じて図示しない絶縁被覆によって覆われていてもよい。
【0020】
本実施形態に係る磁性体30は複数の磁性薄帯32を含んで構成されているため、端面30c、30dおよび側面30e、30fは平滑になりにくく、上下方向の全長にわたってある程度の凹凸が生じている。その結果、磁性体30は、上下面30a、30bに比べて端面30c、30dおよび側面30e、30fは粗面となっている。この粗面により、磁性体30と接する素体10との密着性向上が図られている。
【0021】
磁性体30は、複数のブロック(磁性体ブロック)で構成されていてもよい。たとえば、図7に示すように、磁性体30は上下方向に重なる2つの磁性体ブロック30A、30Bで構成されていてもよい。各磁性体ブロック30A、30Bは、図6に示した複数の磁性薄帯32と複数の接着層34とが交互に並ぶ積層構造を有する。磁性体ブロック30Aと磁性体ブロック30Bとは接着層36により接着されている。接着層36の構成材料は、各磁性体ブロック30A、30Bに含まれる接着層34の構成材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。磁性体30は、積層構造に限らず、単層構造であってもよく、たとえば単層のフェライトブロックであってもよい。
【0022】
続いて、素体10を構成する素体部11~13について、より詳しく説明する。
【0023】
図1、2に示すように、素体10は、第1の素体部11、第2の素体部12および第3の素体部13が上から順に並んだ構成を有する。第1の素体部11(第2素体部)は、非磁性の樹脂を含む材料で構成されており、たとえば液晶ポリマーで構成されている。第2の素体部12(第1素体部)および第3の素体部13は、いずれも磁性材料を含む材料で構成されており、たとえば磁性粉含有樹脂(具体的には軟磁性金属粉を含む熱硬化性樹脂)で構成されている。軟磁性金属粉は、たとえば鉄、鉄-ケイ素合金、パーマロイ、センダスト、アモルファス、微結晶合金の粉末を用いることができ、これらを組み合わせてもよい。熱硬化性樹脂は、たとえばエポキシ樹脂を用いることができる。第2の素体部12の構成材料と第3の素体部13の構成材料とは、同じであってもよく異なっていてもよい。また、第1の素体部11は、磁性材料を含んでいてもよく、第2の素体部12の構成材料や第3の素体部13の構成材料と同じ材料であってもよい。
【0024】
第1の素体部11は、素体10の上面10aを構成しており、上面10aに対して平行に延在する略平板状の外形を有する。第3の素体部13(第5部分)は、素体10の下面10bを構成しており、下面10bに対して平行に延在する略平板状の外形を有する。第2の素体部12は、上下方向において第1の素体部11と第3の素体部13との間に挟まれており、素体10の上下面10a、10bに対して平行に延在している。図8に示す断面図のとおり、第2の素体部12は、より詳しくは4つの領域S1~S4の領域を有する。4つの領域のうち、第1領域S1は第2方向に関する第1の並列部21Aと第2の並列部21Bとの間の領域であり、第2領域S2は第2方向に関する並列部21と側面10e、10fとの間の領域であり、第3領域S3はコイル導体20より端面10c、10d側の領域であり、第4領域S4は第2方向に関する磁性体30と側面10e、10fとの間の領域である。
【0025】
第1領域S1は、コイル導体20の各並列部21A、21Bの内側面21fと接しており、かつ、磁性体30の端面30c、30dと接している。第2領域S2は、コイル導体20の各並列部21A、21Bの外側面21eと接しており、かつ、磁性体30の端面30c、30dと接しており、素体10の側面10e、10fの一部を構成している。第3領域S3は、コイル導体20の各並列部21A、21Bの側面21c、21dと接しており、素体10の端面10c、10dの一部を構成している。第4領域S4は、磁性体30の側面30e、30fと接しており、素体10の側面10e、10fの一部を構成している。
【0026】
図8に示すとおり、磁性体30の側面30e、30fは、コイル導体20A、20Bのそれぞれの並列部21A、21Bよりも外側に突出しており、素体10の側面10e、10fに近接している。本実施形態では、磁性体30の側面30e、30fは、コイル導体20A、20Bそれぞれの並列部21A、21Bから長さL2だけ突出しており、長さL2より第2方向に関する第4領域S4の長さL1が短くなっている(L1<L2)。それにより、インダクタ1におけるインダクタンスを高めつつ、素体10の側面10e、10fにおける漏れ磁束が抑制され得る。
【0027】
本実施形態では、図8に示すとおり、磁性体30の端面30c、30dは、第3方向においてコイル導体20A、20Bのそれぞれの並列部21A、21Bと直接接している。コイル導体20A、20Bのそれぞれの並列部21A、21Bと磁性体30との距離は、第3方向に関する第3領域S3の長さより短く、かつ、第3方向に関する磁性体30の長さより短くなっている。磁性体30の端面30c、30dは、第3方向においてコイル導体20A、20Bのそれぞれの並列部21A、21Bと所定距離だけ離間するように配置してもよい。この場合、磁性体30と並列部21A、21Bとの間は第2の素体部12を構成する材料で充たすことができる。なお、第2の素体部12を構成する材料は、磁性体30と並列部21A、21Bとの間を完全に充たす態様であってもよく、磁性体30と並列部21A、21Bとの間の一部を充たす態様であってもよい。
【0028】
図1、2に示すように、第1の素体部11は、第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bのそれぞれの連結部22の上面22aと、磁性体30の上面30aと、第2の素体部12の第2部分S2、第3部分S3および第4部分S4のそれぞれの上面とを、素体10の上面10a側から一体的に覆っている。第1の素体部11と第2の素体部12との界面の上下高さ位置は、適宜に設定することができる。本実施形態では、第1の素体部11と第2の素体部12との界面は、連結部22の上面22aと下面22bとの間に位置しており、並列部21と連結部22との接続箇所26と第1の素体部11との間の少なくとも一部に、第2の素体部12が介在している。この場合、連結部22の下面22bは、第2の素体部12を構成する磁性粉含有樹脂で全面的に覆われる。コイル導体20A、20Bにおいては、並列部21と連結部22との接続箇所26が湾曲していてもよい。コイル導体20A、20Bの湾曲した接続箇所で発生する磁界は、上下方向成分が小さいので、渦電流損失を上げることなく、インダクタンスを高めることができる。第3の素体部13は、磁性体30の下面30bと、第2の素体部12の第1部分S1、第2部分S2、第3部分S3および第4部分S4のそれぞれの下面とを、素体10の下面10b側から一体的に覆っている。第2の素体部12と第3の素体部13との界面の上下高さ位置についても、適宜に設定することができる。
【0029】
上述したインダクタ1においては、各端子部23を介して各コイル導体20に電圧が印加されると各コイル導体20を電流が流れ、その際、各コイル導体20の主に並列部21および連結部22に磁束が生じる。このとき、一対のコイル導体20A、20Bの間に介在する磁性体30により、一対のコイル導体20A、20B間における磁束が遮蔽される。インダクタ1では、磁性体30の側面30e、30fが各コイル導体20の並列部21より外側に突出しているので、並列部21に生じる磁束が磁性体30により遮蔽される。また、インダクタ1では、磁性体30の上面30aが各コイル導体20の連結部22の上面22aより下方に位置しているため、各コイル導体20の連結部22において発生する磁界の影響を磁性体30が受けにくい。そのため、磁性体30内の磁束分布が均一になり、磁気飽和の抑制(すなわち、飽和特性の改善)を実現することができる。
【0030】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本開示の一形態に係る複合インダクタは、直方体形状の外形を有し、第1方向において対面する一対の第1側面と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、素体内に設けられ、第1方向に沿って延びる第1導体と、第1方向に沿って延びるとともに第2方向において第1導体と隣り合う第2導体と、第2方向に沿って延びて第1導体および第2導体の第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、素体内に設けられ、第1のコイル導体と第3方向において並び、第1導体と第2導体と第3導体とを備える第2のコイル導体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第3方向において第1のコイル導体と第2のコイル導体との間に介在し、第1方向において対面する一対の第4側面と、第2方向において対面する一対の第5側面と、第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い磁性体とを備え、磁性体の一対の第5側面が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体よりも外側に突出して素体の一対の第2側面に近接しており、磁性体の一対の第4側面のうちの第1方向における一方側に位置する第4側面が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第1方向における一方側の面より第1方向における他方側に位置している。
【0032】
上記複合インダクタにおいては、第1のコイル導体および第2のコイル導体の間に介在する磁性体により、第1のコイル導体および第2のコイル導体の間における磁束が遮蔽される。磁性体の側面が各コイル導体の並列部より外側に突出することで、第1導体および第2導体に生じる磁束が磁性体により遮蔽される。また、磁性体の上面が第1のコイル導体および第2のコイル導体の第3導体の上面より下方に位置していることで、各コイル導体の第3導体において発生する磁界の影響を磁性体が受けにくくなるため、磁性体内の磁束分布が均一になり、磁気飽和の抑制(すなわち、飽和特性の改善)が図られる。
【0033】
他の形態に係るインダクタは、素体の第1素体部が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体と第2導体とに間に位置する第1部分と、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第2方向における第1導体と第2導体との外側に位置する第2部分と、第1のコイル導体および第2のコイル導体の第3方向における外側において第1部分と第2部分とを連結する第3部分とを有する。この場合、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体のそれぞれの周囲に、第1素体部と磁性体を介した磁気回路を連続的に形成することができ、高いインダクタンスを得ることができる。
【0034】
他の形態に係るインダクタは、素体の第1素体部が、第2方向における磁性体の外側に位置する第4部分をさらに有する。また、他の形態に係るインダクタは、磁性体の側面の、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体からの突出長さが、第2方向に関する第4部分の長さより長い。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の側面における漏れ磁束を抑制することができる。
【0035】
他の形態に係るインダクタは、素体の第1素体部が、磁性体の下面と、素体部の第1部分、第2部分および第3部分の下面とを一体的に覆う第5部分をさらに有する。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の下面における漏れ磁束を抑制することができる。
【0036】
他の形態に係るインダクタは、素体が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第1方向における一方側の面と、磁性体の第1方向における一方側の面と、第1素体部の第2部分および第3部分の第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える。この場合、樹脂を含む材料で構成された第2素体部により第3導体で発生する磁束のうち第1方向の磁束成分を小さくすることができ、第1方向の磁束成分による渦電流損失の発生をより低減することができる。
【0037】
他の形態に係るインダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体と磁性体との距離は、第3方向に関する素体部の第3部分の長さより短く、かつ、第3方向に関する磁性体の長さより短い。この場合、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれが磁性体と近接しており磁性体との間の距離が近いため、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれを流れる電流によって、比較的透磁率の高い磁性体が励磁されやすくなり、高いインダクタンスを得ることができる。
【0038】
他の形態に係るインダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体と磁性体との間は第1素体部を構成する磁性粉含有樹脂で充たされている。コイル導体と磁性体との間が磁性粉含有樹脂で充填されている場合、高いインダクタンスを得ることができる。
【0039】
他の形態に係るインダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体と磁性体とが接している。この場合、磁性体と第1のコイル導体および第2のコイル導体とが接することで、互いの距離が安定し、安定したインダクタンス値を得ることができる。
【0040】
他の形態に係るインダクタは、磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている。このような透磁率が高い材料を用いることで、飽和磁化が大きくなり、優れた直流重畳特性を実現できる。
【0041】
他の形態に係るインダクタは、磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む。また、複数の磁性体ブロックが第1方向に積層されている。このような透磁率が高い材料を用いることで、飽和磁化が大きくなり、優れた直流重畳特性を実現できる。また、磁性体の積層数が増えるほど積層位置ズレが生じやすくなるため、複数ブロックに分けて積層することで積層位置ズレの低減や寸法精度の向上を図ることができる。
【0042】
他の形態に係るインダクタは、磁性体の一対の第5側面および一対の第6側面のそれぞれが凹凸面であり、該凹凸面が素体の第1素体部と接している。第1素体部の磁性粉含有樹脂が凹凸に入り込むことでインダクタンス低下を招く空隙が埋まり、高いインダクタンスを得ることができる。
【0043】
本開示の一形態に係るDC-DCコンバータは、上記複合インダクタを備える。それにより、コイル導体間の結合を抑制しつつ、磁気飽和の抑制が図られた複合インダクタを備えたDC-DCコンバータが得られる。
【0044】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。たとえば、インダクタに含まれるコイル導体は3つ以上であってもよい。また、磁性体は複数含まれていてもよい。
【0045】
上述の記載から把握されるとおり、本明細書は下記を開示している。
[付記1]
直方体形状の外形を有し、第1方向において対面する一対の第1側面と、前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記第1方向に沿って延びる第1導体と、前記第1方向に沿って延びるとともに前記第2方向において前記第1導体と隣り合う第2導体と、前記第2方向に沿って延びて前記第1導体および前記第2導体の前記第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、前記第1のコイル導体と前記第3方向において並び、前記第1導体と前記第2導体と前記第3導体とを備える第2のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第3方向において前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体との間に介在し、前記第1方向において対面する一対の第4側面と、前記第2方向において対面する一対の第5側面と、前記第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い磁性体と
を備え、
前記磁性体の一対の第5側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体よりも外側に突出して前記素体の一対の第2側面に近接しており、
前記磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する前記第4側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面より前記第1方向における他方側に位置する、複合インダクタ。
[付記2]
前記素体の第1素体部が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間に位置する第1部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に位置する第2部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体の前記第3方向における外側において前記第1部分と前記第2部分とを連結する第3部分とを有する、付記1に記載の複合インダクタ。
[付記3]
前記素体の第1素体部が、前記第2方向における前記磁性体の外側に位置する第4部分をさらに有する、付記2に記載の複合インダクタ。
[付記4]
前記磁性体の前記一対の第5側面のそれぞれの、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体からの突出長さが、前記第2方向に関する前記第4部分の長さより長い、付記3に記載の複合インダクタ。
[付記5]
前記素体の第1素体部が、前記磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第4側面と、前記第1素体部の前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分の前記第1方向における他方側の面とを一体的に覆う第5部分をさらに有する、付記2~4のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記6]
前記素体が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面と、前記磁性体の前記第1方向における一方側の面と、前記第1素体部の前記第2部分および前記第3部分の前記第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える、付記2~5のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記7]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体との距離は、前記第3方向に関する前記第1素体部の第3部分の長さより短く、かつ、前記第3方向に関する前記磁性体の長さより短い、付記1~6のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記8]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体との間は前記第1素体部を構成する材料で充たされている、付記1~7のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記9]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体と前記磁性体とが接している、付記1~8のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記10]
前記磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている、付記1~9のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記11]
前記磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む、付記1~9のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記12]
前記複数の磁性体ブロックが前記第1方向に積層されている、付記11に記載の複合インダクタ。
[付記13]
前記磁性体の前記一対の第5側面および前記一対の第6側面のそれぞれが凹凸面であり、該凹凸面が前記素体の第1素体部と接している、付記1~12のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記14]
付記1~13のいずれか一つに記載の複合インダクタを備える、DC-DCコンバータ。
【符号の説明】
【0046】
1…インダクタ、5…DC-DCコンバータ、10…素体、11…第1の素体部、12…第2の素体部、13…第3の素体部、20…コイル導体、20A…第1のコイル導体、20B…第2のコイル導体、21…並列部、22…連結部、23…端子部、30…磁性体、30A…第1の磁性体、30B…第2の磁性体。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9