(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093473
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240702BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240702BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240702BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/24 J
H02M3/155 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209867
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 朋史
【テーマコード(参考)】
5E070
5H730
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB04
5E070BB03
5E070CA07
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB82
5H730ZZ17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイル導体間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上が図られた複合インダクタ及びそれを用いたDC-DCコンバータを提供する。
【解決手段】複合インダクタにおいて、各端子部23を介して電圧が印加されると第1のコイル導体20A及び第2のコイル導体20Bのそれぞれを電流が流れる。このとき、第1のコイル導体20Aと第2のコイル導体20Bとの間において結合が生じることがある。ただし、第1の磁性体30Aが設けられているため、第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bとの間の結合が抑制され、その上、一対の第2の磁性体30Bが追加的に設けられているため、高いインダクタンスを実現することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の外形を有し、第1方向おいて対面する一対の第1側面と、前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記第1方向に沿って延びる第1導体と、前記第1方向に沿って延びるとともに前記第2方向において前記第1導体と隣り合う第2導体と、前記第2方向に沿って延びて前記第1導体および前記第2導体の前記第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、前記第1のコイル導体と前記第3方向において並び、前記第1導体と前記第2導体と前記第3導体とを備える第2のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第3方向において前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体との間に介在し、前記第1方向において対面する一対の第4側面と、前記第2方向において対面する一対の第5側面と、前記第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い第1の磁性体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第1方向に直交する断面において前記第1の磁性体が設けられた領域とは異なる領域に設けられ、前記第1方向において対面する一対の第7側面と、前記第2方向において対面する一対の第8側面と、前記第3方向において対面する一対の第9側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い一対の第2の磁性体とを備え、
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に少なくとも位置している、複合インダクタ。
【請求項2】
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第3方向における前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに前記第2方向に沿って延在している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項3】
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項4】
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第3方向における前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに前記第2方向に沿って延在する第1部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置する第2部分とを含み、前記第1部分と前記第2部分とが連結している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項5】
前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する前記第4側面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する第7側面は、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面より前記第1方向における他方側に位置している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項6】
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および前記第2の磁性体の前記一対の第8側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体よりも外側に突出して前記素体の前記一対の第2側面に近接している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項7】
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第2方向における前記第1の磁性体および前記第2の磁性体の外側にも位置している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項8】
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および前記第2の磁性体の前記一対の第8側面の、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体からの突出長さが、前記第2方向における前記第1の磁性体および前記第2の磁性体の外側に位置する前記素体の第1素体部の前記第2方向に関する長さより長い、請求項7に記載の複合インダクタ。
【請求項9】
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に位置する前記素体の第1素体部の前記第3方向に関する長さが、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体の前記第3方向に関する長さより長い、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項10】
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第1の磁性体に接している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項11】
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第2の磁性体に接している、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第2方向に関する長さが前記第3方向に関する長さより長い、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項13】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体は、前記第3方向外側に向かって前記第1導体および前記第2導体から屈曲されている、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項14】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第3方向に関する長さは、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の前記第2方向に関する長さより長い、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項15】
前記第1の磁性体および前記第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項16】
前記第1の磁性体および前記第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項17】
前記複数の磁性体ブロックが前記第1方向に積層されている、請求項16に記載の複合インダクタ。
【請求項18】
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および一対の第6側面と前記第2の磁性体の前記一対の第8側面および前記一対の第9側面が凹凸面であり、該凹凸面が前記素体の第1素体部と接している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項19】
前記素体が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面と、前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側の面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における一方側の面と、前記素体の第1素体部の前記一対の第1側面のうちの前記第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項20】
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第3方向における前記第2の磁性体の外側にも位置している、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項21】
前記素体が、前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第4側面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第7側面と、前記第1素体部の前記一対の第1側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第1側面とを一体的に覆う第3素体部をさらに備える、請求項1に記載の複合インダクタ。
【請求項22】
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体が、前記第1導体および前記第2導体のそれぞれの前記第1方向における他方側の端部から互いに離れるように延びる第4導体をさらに備え、
前記第4導体の前記第1方向における一方側の端部は前記第3素体部に埋設されており、前記第4導体の前記第1方向における他方側の端部は前記第3素体部から露出している、請求項21に記載の複合インダクタ。
【請求項23】
請求項1に記載の複合インダクタを備える、DC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、内部にコイル導体が設けられた複数の磁性コアと、磁性コアより透磁率が高い複数のシールド部とが並んだ構成を有するインダクタであって、一部品中に複数のコイル導体を含む複合インダクタが開示されている。本文献における複合インダクタでは、隣り合う2つの磁性コアの間に介在するシールド部により両磁性コアのコイル導体間の結合が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、鋭意研究の末、複合インダクタにおいてコイル導体間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上を図ることができる技術を新たに見出した。
【0005】
本開示は、コイル導体間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上が図られた複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る複合インダクタは、直方体形状の外形を有し、第1方向おいて対面する一対の第1側面と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、素体内に設けられ、第1方向に沿って延びる第1導体と、第1方向に沿って延びるとともに第2方向において第1導体と隣り合う第2導体と、第2方向に沿って延びて第1導体および第2導体の第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、素体内に設けられ、第1のコイル導体と第3方向において並び、第1導体と第2導体と第3導体とを備える第2のコイル導体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第3方向において第1のコイル導体と第2のコイル導体との間に介在し、第1方向において対面する一対の第4側面と、第2方向において対面する一対の第5側面と、第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い第1の磁性体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第1方向に直交する断面において第1の磁性体が設けられた領域とは異なる領域に設けられ、第1方向において対面する一対の第7側面と、第2方向において対面する一対の第8側面と、第3方向において対面する一対の第9側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い一対の第2の磁性体とを備え、第1方向に直交する断面において、素体の第1素体部が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第2方向における第1導体と第2導体との外側に少なくとも位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コイル導体間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上が図られた複合インダクタおよびそれを用いたDC-DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る複合インダクタを示す概略斜視図である。
【
図2】
図1の複合インダクタを端面から見た図である。
【
図3】
図1の複合インダクタのコイル導体および磁性体を示した分解斜視図である。
【
図4】
図3のコイル導体を示した概略斜視図である。
【
図8】
図1の複合インダクタのVIII-VIII線断面図である。
【
図9】異なる態様の複合インダクタを示した図である。
【
図10】異なる態様の複合インダクタを示した図である。
【
図11】異なる態様の複合インダクタを示した図である。
【
図12】
図11の複合インダクタのXII-XII線断面図である。
【
図13】異なる態様の複合インダクタを示した図である。
【
図14】
図1に示した複合インダクタが用いられるDC-DCコンバータの回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0010】
図1~3に、一実施形態に係るインダクタ1を示す。インダクタ1は、素体10と、一対のコイル導体20と、3つの磁性体30とを備えて構成されている。すなわち、本実施形態に係るインダクタ1は、2つのインダクタが設けられた複合インダクタである。
【0011】
インダクタ1に含まれる一対のコイル導体20(20Aおよび20B)は、
図14に示すDC-DCコンバータ5の回路のチョークコイルに採用され得る。DC-DCコンバータ5は、スイッチング素子SW1、SW2、チョークコイル20A、20B、ダイオードD1、D2による変換部を一対備え、これら変換部が並列接続されたマルチフェーズコンバータであり、各変換部のチョークコイル20A、20Bとして上記インダクタ1が採用され得る。DC-DCコンバータ5の構成についてより詳しく説明すると、DC-DCコンバータ5は、一対の入力端子A1、A2と、一対の出力端子B1、B2と、入力端子A1と出力端子B1の間に直列にこの順に接続されたスイッチング素子SW1およびチョークコイル20Aと、入力端子A1と出力端子B1の間に直列にこの順に接続されたスイッチング素子SW2およびチョークコイル20Bと、出力端子B1、B2間に接続されたキャパシタC1とを備えている。スイッチング素子SW1とチョークコイル20Aからなる回路と、スイッチング素子SW2とチョークコイル20Bからなる回路は、入力端子A1と出力端子B1の間に並列に接続される。入力端子A2と出力端子B2はグランドラインを構成する。スイッチング素子SW1およびチョークコイル20Aの接続点とグランドラインの間にはダイオードD1が逆方向に接続され、スイッチング素子SW2およびチョークコイル20Bの接続点とグランドラインの間にはダイオードD2が逆方向に接続される。スイッチング素子SW1、SW2は、図示しない制御回路によって交互にオンオフされ、これにより、入力電圧を降圧した出力電圧が生成される。DC-DCコンバータ5における一対のチョークコイル20A、20Bを、インダクタ1の一対のコイル導体20で構成することで、DC-DCコンバータ5を構成する部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
素体10は、略直方体形状の外形を有する。素体10は、第1方向である上下方向において対面する上面10aおよび下面10b(一対の第1側面)と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の側面10e、10f(一対の第2側面)と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の端面10c、10d(一対の第3側面)とを有する。本実施形態に係る素体10は、第1の素体部11、第2の素体部12および第3の素体部13を含んで構成されている。第1の素体部11は、素体10の上面10aを構成し、第3の素体部13は素体10の下面10bを構成し、第2の素体部12は素体10の上下方向において第1の素体部11と第3の素体部13との間に介在している。
【0013】
素体10内に、一対のコイル導体20および3つの磁性体30が設けられている。一対のコイル導体20は、素体10の端面10c、10dの対面方向に沿って並んでおり、一対のコイル導体20の間および外側のそれぞれに磁性体30が配置されている。以下の説明では、必要に応じて、一対のコイル導体20のうち、端面10c側に位置するコイル導体20を第1のコイル導体20A、端面10d側に位置するコイル導体20を第2のコイル導体20Bと言い分ける。また、必要に応じて、3つの磁性体30のうち、一対のコイル導体20の間に介在する磁性体30を第1の磁性体30A、一対のコイル導体20の外側に位置する磁性体30を第2の磁性体30Bと言い分ける。
【0014】
一対のコイル導体20はいずれも、
図3、4に示すとおり、1本の細長い帯状導体が略矩形波状となった構成を有する。各コイル導体20は、たとえば1本の細長い帯状導体を折り曲げて形成することができる。各コイル導体20は、より詳しくは、一対の並列部21と連結部22と一対の端子部23とを備えて構成されている。各コイル導体20は、Cu、Ag、Au、Al、Niなどから選ばれる金属で構成されており、本実施形態ではCuで構成されている。各コイル導体20の表面は、図示しない絶縁被覆によって覆われていてもよく、たとえば各並列部21および連結部22が絶縁被覆で覆われていてもよい。
【0015】
一対の並列部21は第1の並列部21A(第1導体)および第2の並列部21B(第2導体)で構成されており、第1の並列部21Aと第2の並列部21Bとは同じ長さを有し、互いに平行に延びている。
図2に示すようにコイル導体20が素体10に取り付けられた状態では、一対の並列部21は素体10の厚さ方向(すなわち、上面10aと下面10bとが対面する第1方向)に延びている。以下、並列部21の延在方向を第1方向とも称す。第1の並列部21Aおよび第2の並列部21Bはいずれも上面10a側に位置する上端部21aを有し、上端部21a同士は一対の側面10e、10fの対面方向に並んで位置している。同様に、第1の並列部21Aおよび第2の並列部21Bはいずれも下面10b側に位置する下端部21bを有し、下端部21b同士は一対の側面10e、10fの対面方向に並んで位置している。一対の並列部21はいずれも、
図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の端面10c、10dに対して平行である側面21c、21dを有するとともに、素体10の側面10e、10fに対して平行である外側面21eおよび内側面21fを有する。並列部21の側面21cは素体10の端面10c側を向いており、側面21dは素体10の端面10d側を向いている。並列部21の外側面21eは外方を向いており、内側面21fは内方を向いて互いに対向している。
【0016】
連結部22(第3導体)は、一対の並列部21のそれぞれの上端部21aを連結する部分であり、素体10の一対の側面10e、10fの対面方向に一直線状に延びている。以下、連結部22の延在方向を第2方向とも称す。連結部22は、
図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の上下面10a、10bに対して平行である上下面22a、22bを有するとともに素体10の端面10c、10dに対して平行である側面22c、22dを有する。連結部22の側面22cは素体10の端面10c側を向いており、側面22dは素体10の端面10d側を向いている。並列部21と連結部22との接続箇所26(
図2参照)は、直角に湾曲しており、その外表面および内表面は湾曲面を構成している。
【0017】
一対の端子部23(第4導体)はいずれもコイル導体20の端部であり、一対の並列部21のそれぞれの下端部21bから互いに離れるように延びている。
図2に示すようにコイル導体20が素体10に取り付けられた状態では、一対の端子部23は、素体10の下面10b上に露出し、側面10e、10fの対面方向に沿って延びる。詳しくは、一対の端子部23のうちの第1の端子部23Aが側面10eに向かって延び、第2の端子部23Bが側面10fに向かって延びる。一対の端子部23はいずれも、
図4に示すようにその延在方向に対して直交する断面において矩形状断面を有し、素体10の上下面10a、10bに対して平行である上下面23a、23bを有するとともに素体10の端面10c、10dに対して平行である側面23c、23dを有する。端子部23の側面23cは素体10の端面10c側を向いており、側面23dは素体10の端面10d側を向いている。本実施形態において、
図5に示すように、各端子部23の高さh1(すなわち、第1方向に関する長さ)は、各並列部21の幅W1(すなわち、第2方向に関する長さ)より短くなるように設計されている。一対の端子部23は、インダクタ1の端子として機能し、インダクタ1が表面実装される回路基板側の端子と電気的に接続され得る。本実施形態では、一対の端子部23は下面10b上において終端しているが、必要に応じて側面10e、10fに沿って延びるように引き延ばしてもよい。また、一対の端子部23は、接触しない範囲で互いに近づくように側面10e、10fの対面方向に沿って延びていても構わない。コイル導体20は一対の端子部23を備えない形態であってもよく、この場合、一対の並列部21の下端部21bで実装され得る。
【0018】
各磁性体30は、長方形板状の外形を有し、第1方向および第2方向を含む面に対して平行に延在している。第1の磁性体30Aは、第1方向において対面する上面30aおよび下面30b(一対の第4側面)と、第2方向において対面する一対の側面30e、30f(一対の第5側面)と、第3方向において対面する一対の端面30c、30d(一対の第6側面)とを有する。第2の磁性体30Bは、第1方向において対面する上面30aおよび下面30b(一対の第7側面)と、第2方向において対面する一対の側面30e、30f(一対の第8側面)と、第3方向において対面する一対の端面30c、30d(一対の第9側面)とを有する。各磁性体30の上面30aおよび下面30bは、素体10の上面10aおよび下面10bに対してそれぞれ平行である。各磁性体30の端面30cおよび端面30dは、素体10の端面10cおよび端面10dに対してそれぞれ平行である。各磁性体30の側面30eおよび側面30fは、素体10の側面10eおよび側面10fに対してそれぞれ平行である。
図2に示すように、各磁性体30の上面30aは各コイル導体20の連結部22の上面22aより下方に位置している。各磁性体30の下面30bは、素体10の下面10bには露出しておらず、上下方向において磁性体30と素体下面10bとの間には第3の素体部13が介在している。なお、各磁性体30の上面30aの高さ位置は、各コイル導体20の連結部22の下面22bの高さ位置より下方であってもよく、各コイル導体20の連結部22の上面22aの高さ位置と下面22bの高さ位置との間であってもよい。
【0019】
各磁性体30は、比較的高い透磁率を有するように構成することができ、後述する第2の素体部12および第3の素体部13を構成する磁性粉含有樹脂の透磁率より高い透磁率を有するように設計され得る。本実施形態に係る各磁性体30は、
図6に示すように、素体10の上下方向(すなわち第1方向)に積層された複数の磁性薄帯32(より詳しくは金属軟磁性体からなる薄帯)を含み、複数の磁性薄帯32と複数の接着層34とが交互に並ぶ積層構造を有する。各磁性体30の上面30aおよび下面30bは、磁性薄帯32または接着層34で構成されていてもよい。各磁性体30を構成する磁性薄帯32の層数は一例として120層である。磁性薄帯32は、たとえば、アモルファス合金、微結晶合金、パーマロイ、ナノヘテロ構造からなる合金等の磁性合金などで構成され得る。アモルファス合金材料には、Fe基アモルファス軟磁性材料、Co基アモルファス軟磁性材料などがあり、また、微結晶合金にはFe基ナノ結晶軟磁性材料などがある。ナノヘテロ構造とは微結晶がアモルファス中に存在する構造のことを指す。各磁性体30の表面は、必要に応じて図示しない絶縁被覆によって覆われていてもよい。
【0020】
本実施形態に係る磁性体30は複数の磁性薄帯32を含んで構成されているため、端面30c、30dおよび側面30e、30fは平滑になりにくく、上下方向の全長にわたってある程度の凹凸が生じている。この凹凸面は第2の素体部12と接している。その結果、磁性体30は、上下面30a、30bに比べて端面30c、30dおよび側面30e、30fは粗面となっている。この粗面により、磁性体30と接する素体10との密着性向上が図られている。
【0021】
各磁性体30は、複数のブロック(磁性体ブロック)で構成されていてもよい。たとえば、
図7に示すように、磁性体30は上下方向に重なる2つの磁性体ブロック30M、30Nで構成されていてもよい。各磁性体ブロック30M、30Nは、
図6に示した複数の磁性薄帯32と複数の接着層34とが交互に並ぶ積層構造を有する。磁性体ブロック30Mと磁性体ブロック30Nとは接着層36により接着されている。接着層36の構成材料は、各磁性体ブロック30M、30Nに含まれる接着層34の構成材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。各磁性体30は、積層構造に限らず、単層構造であってもよく、たとえば単層のフェライトブロックであってもよい。
【0022】
続いて、素体10内に設けられた各コイル導体20および各磁性体30の配置について、より詳しく説明する。
【0023】
図1、2に示すように、素体10は、第1の素体部11、第2の素体部12および第3の素体部13が上から順に並んだ構成を有する。第1の素体部11(第2素体部)は、非磁性の樹脂で構成されており、たとえば液晶ポリマーで構成されている。第2の素体部12(第1素体部)および第3の素体部13(第3素体部)は、いずれも磁性材料を含む材料で構成されており、たとえば磁性粉含有樹脂(具体的には軟磁性金属粉を含む熱硬化性樹脂)で構成されている。軟磁性金属粉は、例えば鉄、鉄-ケイ素合金、パーマロイ、センダスト、アモルファス、微結晶合金の粉末を用いることができ、これらを組み合わせてもよい。熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。第2の素体部12の構成材料と第3の素体部13の構成材料とは、同じであってもよく異なっていてもよい。また、第1の素体部11は、磁性材料を含んでいてもよく、第2の素体部12の構成材料や第3の素体部13の構成材料と同じ材料であってもよい。
【0024】
第1の素体部11は、素体10の上面10aを構成しており、上面10aに対して平行に延在する略平板状の外形を有する。第3の素体部13は、素体10の下面10bを構成しており、下面10bに対して平行に延在する略平板状の外形を有する。第2の素体部12は、上下方向において第1の素体部11と第3の素体部13との間に挟まれており、素体10の上下面10a、10bに対して平行に延在している。
図8に示す断面図のとおり、第2の素体部12は、より詳しくは5つの領域S1~S5の領域を有する。5つの領域のうち、第1領域S1は第2方向に関する第1の並列部21Aと第2の並列部21Bとの間の領域であり、第2領域S2は第2方向に関する並列部21と側面10e、10fとの間の領域であり、第3領域S3は第2方向に関する第1の磁性体30Aと側面10e、10fとの間の領域であり、第4領域S4は第2方向に関する第2の磁性体30Bと側面10e、10fとの間の領域であり、第5領域S5は第2の磁性体30Bより端面10c、10d側の領域である。
【0025】
各第1領域S1は、コイル導体20の各並列部21A、21Bの内側面21fと接しており、かつ、第1の磁性体30Aおよび第2の磁性体30Bの端面30c、30dとも接している。各第2領域S2は、コイル導体20の各並列部21A、21Bの外側面21eと接しており、かつ、磁性体30の端面30c、30dとも接しており、素体10の側面10e、10fの一部を構成している。各第3領域S3は、第1の磁性体30Aの側面30e、30fと接しており、素体10の側面10e、10fの一部を構成している。各第4領域S4は、第2の磁性体30Bの側面30e、30fと接しており、素体10の側面10e、10fの一部を構成している。各第5領域S5は、第2の磁性体30Bの端面30c、30dと接しており、素体10の端面10c、10dの一部を構成している。
【0026】
本実施形態においては、
図8に示す断面においては、第1の磁性体30Aおよび一対の第2の磁性体30Bは同一の断面形状および断面寸法を有し、第2方向(
図8における左右方向)に沿って延在している。第3方向(
図8における上下方向)に関しては、第1の磁性体30Aは、端面30c、30dにおいて、第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bのそれぞれの並列部21と接している。第1の磁性体30Aは、並列部21と直接的に接していてもよく間接的に接していてもよい。間接的に接する態様では、第1の磁性体30Aの表面またはコイル導体20の表面に設けられた絶縁被膜が第1の磁性体30Aとコイル導体20の並列部21との間に介在していてもよく、第1の磁性体30Aとコイル導体20の並列部21との間が磁性粉含有樹脂で充たされていてもよい。第1の磁性体30Aとコイル導体20の並列部21との間が磁性粉含有樹脂で充たされる場合、その磁性粉含有樹脂は第2の素体部12を構成する材料と同じであってもよい。同様に、第3方向に関し、素体10の端面10c側に位置する第2の磁性体30Bは、端面30dにおいて第1のコイル導体20Aの並列部21と接し、素体10の端面10d側に位置する第2の磁性体30Bは、端面30cにおいて第2のコイル導体20Bの並列部21と接している。各第2の磁性体30Bは、並列部21と直接的に接していてもよく間接的に接していてもよい。間接的に接する態様では、第2の磁性体30Bの表面またはコイル導体20の表面に設けられた絶縁被膜が第2の磁性体30Bとコイル導体20の並列部21との間に介在していてもよく、第2の磁性体30Bとコイル導体20の並列部21との間が磁性粉含有樹脂で充たされていてもよい。第2の磁性体30Bとコイル導体20の並列部21との間が磁性粉含有樹脂で充たされる場合、その磁性粉含有樹脂は第2の素体部12を構成する材料と同じであってもよい。
図8に示す断面において、第1の磁性体30Aと各第2の磁性体30Bとは、異なる断面形状および断面寸法を有していてもよい。
【0027】
図8に示すとおり、磁性体30の側面30e、30fは、コイル導体20A、20Bのそれぞれの並列部21A、21Bよりも外側に突出しており、素体10の側面10e、10fに近接している。本実施形態では、磁性体30の側面30e、30fは、コイル導体20A、20Bそれぞれの並列部21A、21Bから長さL2だけ突出しており、長さL2より第2方向に関する第3領域S3の長さL1が短くなっている(L1<L2)。同様に、長さL2より第2方向に関する第4領域S4の長さも短くなっている。それにより、インダクタ1におけるインダクタンスを高めつつ、素体10の側面10e、10fにおける漏れ磁束が抑制され得る。
【0028】
図1、2に示すように、第1の素体部11は、第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bのそれぞれの連結部22の上面22aと、各磁性体30の上面30aと、第2の素体部12の第2領域S2の部分、第3領域S3の部分、第4領域S4の部分および第5領域S5の部分のそれぞれの上面とを、素体10の上面10a側から一体的に覆っている。第1の素体部11と第2の素体部12との界面の上下高さ位置は、適宜に設定することができる。本実施形態では、第1の素体部11と第2の素体部12との界面は、連結部22の上面22aと下面22bとの間に位置しており、並列部21と連結部22との接続箇所26と第1の素体部11との間の少なくとも一部に、第2の素体部12が介在している。この場合、連結部22の下面22bは、第2の素体部12を構成する磁性粉含有樹脂で全面的に覆われる。第3の素体部13は、磁性体30の下面30bと、第2の素体部12の第1領域S1の部分、第3領域S3の部分、第4領域S4の部分および第5領域S5の部分のそれぞれの下面とを、素体10の下面10b側から一体的に覆っている。第2の素体部12と第3の素体部13との界面の上下高さ位置についても、適宜に設定することができる。
【0029】
第2の素体部12において、第5領域S5の部分については磁性材料に代えて非磁性の樹脂で構成することができる。
【0030】
上述したインダクタ1においては、各端子部23を介して電圧が印加されると第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bのそれぞれを電流が流れ、このとき、第1のコイル導体20Aと第2のコイル導体20Bとの間において結合が生じることがある。ただし、インダクタ1において、第1の磁性体30Aが設けられているため、第1のコイル導体20Aおよび第2のコイル導体20Bとの間の結合が抑制され、その上、一対の第2の磁性体30Bが追加的に設けられているため、高いインダクタンスを実現することができる。
【0031】
第2の磁性体30Bは、各コイル導体20の各並列部21に接する形態であれば、上記形態に限定されない。
【0032】
たとえば、一対の第2の磁性体30Bは、
図9に示すように、各コイル導体20の一対の並列部21間に介在する位置に配置することができる。
図9に示す断面においては、第3方向に関し、素体10の端面10c側に位置する第2の磁性体30Bは、端面30dにおいて第1の磁性体30Aと接し、素体10の端面10d側に位置する第2の磁性体30Bは、端面30cにおいて第1の磁性体30Aと接している。各第2の磁性体30Bは、並列部21と直接的に接していてもよく間接的に接していてもよい。間接的に接する態様では、第1の磁性体30Aの表面または第2の磁性体30Bの表面に設けられた絶縁被膜が磁性体30間に介在していてもよく、磁性体30間が磁性粉含有樹脂で充たされていてもよい。
図9に示した態様において、第1の磁性体30Aと第2の磁性体30Bとは互いに連結されていてもよい。
【0033】
また、一対の第2の磁性体30Bは、
図10に示すように、
図8に示した第2の磁性体30Bと
図9に示した第2の磁性体30Bとを結合したような形態とすることもできる。すなわち、
図10に示す断面においては、第3方向に関し、素体10の端面10c側に位置する第2の磁性体30Bは、第1の磁性体30Aと同様の断面形状を有するとともに端面30dにおいて第1のコイル導体20Aの並列部21と接する第1部分30B
1と、第1のコイル導体20Aの一対の並列部21間に介在して端面30dにおいて第1の磁性体30Aと接する第2部分30B
2とを含んでいる。同様に、第3方向に関し、素体10の端面10d側に位置する第2の磁性体30Bは、第1の磁性体30Aと同様の断面形状を有するとともに端面30cにおいて第2のコイル導体20Bの並列部21と接する第1部分30B
1と、第2のコイル導体20Bの一対の並列部21間に介在して端面30cにおいて第1の磁性体30Aと接する第2部分30B
2とを含んでいる。各第2の磁性体30Bは、並列部21と直接的に接していてもよく間接的に接していてもよい。間接的に接する態様では、各コイル導体20の表面または第2の磁性体30Bの表面に設けられた絶縁被膜が介在していてもよく、磁性粉含有樹脂で充たされていてもよい。また、間接的に接する態様では、第1の磁性体30Aの表面または第2の磁性体30Bの表面に設けられた絶縁被膜が磁性体30間に介在していてもよく、磁性体30間が磁性粉含有樹脂で充たされていてもよい。
図10に示した態様において、第1の磁性体30Aと第2の磁性体30Bとは互いに連結されていてもよい。また、第2の磁性体30Bの第1部分30B1と第2部分30B2とは互いに連結された磁性体から構成されていてもよく、互いに分離された磁性体から構成されていてもよい。
【0034】
各コイル導体20の形態についても、上記形態に限定されず、様々に変形することができる。たとえば、
図11に示したように、各コイル導体20の連結部22が、第3方向外側に向かって並列部21から屈曲されている態様であってもよい。各連結部22の第3方向に関する長さW2(幅)は、各並列部21の第2方向に関する長さW1(幅)より長くすることができ、コイル導体20の電気抵抗をより低減することができる。各連結部22の第1方向に関する長さh2(高さ)は、
図4等に示した連結部22が屈曲していない形態の連結部22の高さよりも低くなるように設計することができ、この場合コイル導体20およびインダクタ1の低背化を図ることができる。また、
図12に示すように、第1方向に直交する断面において、各並列部21の第2方向に関する長さW1は第3方向に関する長さt(厚さ)より長くなるように設計することができる。この場合、第1の磁性体30Aに相対するコイル導体20の対向面の面積が増え、高いインダクタンスを得ることができる。さらに、第1方向に直交する断面において、素体10の第2の素体部12の第2領域S2の部分の第3方向に関する長さL3が、各並列部21の第3方向に関する長さtより長くなるように設計することができ、この場合、第2の素体部12を構成する磁性粉含有樹脂が増大することができ、それにより高いインダクタンスを実現することができる。加えて、組立時における各コイル導体20と第1の磁性体30Aと干渉や接触を有意に回避することができ、それによりインダクタ1を構成する部材のダメージを避けることができる。
【0035】
一対の端子部23については、
図13に示すように、素体10の第3の素体部13に部分的に埋まるように設計することができる。
図13に示した態様においては、各端子部23の上端部23hが素体10の第3の素体部13に埋設されており、各端子部23の下端部23iは第3の素体部13から露出している。このように端子部23の一部が素体10に埋め込まれた構造とすることにより、端子強度を高め、実装性を改善することができる。
【0036】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本開示の一形態に係る複合インダクタは、直方体形状の外形を有し、第1方向おいて対面する一対の第1側面と、第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、第1方向および第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、素体内に設けられ、第1方向に沿って延びる第1導体と、第1方向に沿って延びるとともに第2方向において第1導体と隣り合う第2導体と、第2方向に沿って延びて第1導体および第2導体の第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、素体内に設けられ、第1のコイル導体と第3方向において並び、第1導体と第2導体と第3導体とを備える第2のコイル導体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第3方向において第1のコイル導体と第2のコイル導体との間に介在し、第1方向において対面する一対の第4側面と、第2方向において対面する一対の第5側面と、第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い第1の磁性体と、素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、第1方向に直交する断面において第1の磁性体が設けられた領域とは異なる領域に設けられ、第1方向において対面する一対の第7側面と、第2方向において対面する一対の第8側面と、第3方向において対面する一対の第9側面とを有し、第1素体部より透磁率が高い一対の第2の磁性体とを備え、第1方向に直交する断面において、素体の第1素体部が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第2方向における第1導体と第2導体との外側に少なくとも位置している。
【0038】
上記複合インダクタにおいては、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれを電流が流れたとき、第1のコイル導体と第2のコイル導体との間において結合が生じ得る。上記インダクタでは、第1の磁性体だけでなく一対の第2の磁性体が追加的に設けられているため、第1のコイル導体および第2のコイル導体との間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上を図ることができる。
【0039】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、一対の第2の磁性体は、第3方向における第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに第2方向に沿って延在している。この場合、第1のコイル導体および第2のコイル導体に対する一対の第2の磁性体の細かい位置合わせが不要であり、容易に作製することができる。
【0040】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、一対の第2の磁性体は、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置している。この場合、一対の第2の磁性体を配置しても第3方向の長さが延長されないため、部品寸法の小型化を図ることができる。
【0041】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、一対の第2の磁性体は、第3方向における第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに第2方向に沿って延在する第1部分と、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置する第2部分とを含み、第1部分と第2部分とが連結している。この場合、素体内に大容量の磁性体を配置することができ、コイル導体間の結合を抑制して、さらなるインダクタンスの向上を図ることができる。
【0042】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体の一対の第4側面のうちの第1方向における一方側に位置する第4側面および第2の磁性体の一対の第7側面のうちの第1方向における一方側に位置する第7側面は、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第1方向における一方側の面より第1方向における他方側に位置している。この場合、磁性体が第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体で発生する磁界の影響を受けにくくなるため磁性体内の磁束分布が均一になり、飽和特性の改善が図られる。
【0043】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体の一対の第5側面および第2の磁性体の一対の第8側面が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体よりも外側に突出して素体の一対の第2側面に近接している。この場合、コイル導体間の結合を抑制して、さらなるインダクタンスの向上を図ることができる。
【0044】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、素体の第1素体部が、第2方向における第1の磁性体および第2の磁性体の外側にも位置している。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の側面における漏れ磁束を抑制することができる。
【0045】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体の一対の第5側面および第2の磁性体の一対の第8側面の、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体からの突出長さが、第2方向における第1の磁性体および第2の磁性体の外側に位置する素体の第1素体部の第2方向に関する長さより長い。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の側面における漏れ磁束を抑制することができる。
【0046】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第2方向における第1導体と第2導体との外側に位置する素体の第1素体部の第3方向に関する長さが、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体の第3方向に関する長さより長い。この場合、素体部を構成する磁性粉含有樹脂が増大することで、高いインダクタンスを実現することができる。加えて、組立時におけるコイル導体と磁性体と干渉や接触を有意に回避することができ、それにより複合インダクタを構成する部材のダメージを避けることができる。
【0047】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体は、第1の磁性体に接している。この場合、第1の磁性体と第1のコイル導体および第2のコイル導体とが接することで、互いの距離が安定し、安定したインダクタンス値を得ることができる。
【0048】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体は、第2の磁性体に接している。この場合、第2の磁性体と第1のコイル導体および第2のコイル導体とが接することで、互いの距離が安定し、安定したインダクタンス値を得ることができる。
【0049】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体は、第2方向に関する長さが第3方向に関する長さより長い。この場合、透磁率が高い第1の磁性体に相対するコイル導体の対向面の面積が増え、高いインダクタンスを得ることができる。
【0050】
他の形態に係る複合インダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体は、第3方向外側に向かって第1導体および第2導体から屈曲されている。この場合、コイル導体を流れる電流の直流抵抗を小さくしつつ、コイル導体の高さ寸法を小さくすることができる。
【0051】
他の形態に係る複合インダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第3方向に関する長さは、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第1導体および第2導体の第2方向に関する長さより長い。この場合、コイル導体の高さ寸法を小さくしつつ、コイル導体の流れる電流の直流抵抗を小さくすることができる。
【0052】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体および第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている。このような透磁率が高い材料を用いることで、飽和磁化が大きくなり、優れた直流重畳特性を実現できる。また、各コイル導体の第1導体および第2導体で発生する磁界は第1方向に垂直な面内に発生するため、絶縁層による透磁率低下の影響を受けることがない。また、第1方向に絶縁層を介した構成であるため、渦電流損失の発生を抑制することができる。
【0053】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体および第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む。また、複数の磁性体ブロックが第1方向に積層されている。このような透磁率が高い材料を用いることで、飽和磁化が大きくなり、優れた直流重畳特性を実現できる。また、磁性体の積層数が増えるほど積層位置ズレが生じやすくなるため、複数ブロックに分けて積層することで積層位置ズレの低減や寸法精度の向上を図ることができる。
【0054】
他の形態に係る複合インダクタは、第1の磁性体の一対の第5側面および一対の第6側面と第2の磁性体の一対の第8側面および一対の第9側面が凹凸面であり、該凹凸面が素体の第1素体部と接している。第1素体部を構成する材料が凹凸に入り込むことでインダクタンス低下を招く空隙が埋まり、高いインダクタンスを得ることができるとともに、素体と第1の磁性体および第2の磁性体との密着を強固にすることができる。
【0055】
他の形態に係る複合インダクタは、素体が、第1のコイル導体および第2のコイル導体のそれぞれの第3導体の第1方向における一方側の面と、第1の磁性体の一対の第4側面のうちの第1方向における一方側の面および第2の磁性体の一対の第7側面のうちの第1方向における一方側の面と、素体の第1素体部の一対の第1側面のうちの第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える。この場合、非磁性の樹脂で構成された第2素体部により第3導体で発生する第1方向の磁束成分を小さくすることができ、第1方向の磁束成分による渦電流損失の発生をより低減することができる。
【0056】
他の形態に係る複合インダクタは、第1方向に直交する断面において、素体の第1素体部が、第3方向における第2の磁性体の外側にも位置している。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の端面の漏れ磁束を小さくすることができる。
【0057】
他の形態に係る複合インダクタは、素体が、第1の磁性体の一対の第4側面のうちの第1方向における他方側に位置する第4側面および第2の磁性体の一対の第7側面のうちの第1方向における他方側に位置する第7側面と、第1素体部の一対の第1側面のうちの第1方向における他方側に位置する第1側面とを一体的に覆う第3素体部をさらに備える。この場合、インダクタンスを高めつつ、素体の下面の漏れ磁束を小さくすることができる。
【0058】
他の形態に係る複合インダクタは、第1のコイル導体および第2のコイル導体が、第1導体および第2導体のそれぞれの第1方向における他方側の端部から互いに離れるように延びる第4導体をさらに備え、第4導体の第1方向における一方側の端部は第3素体部に埋設されており、第4導体の第1方向における他方側の端部は第3素体部から露出している。この場合、コイル導体の端子として機能させることができる第4導体の強度を高め、実装性を向上することができる。
【0059】
本開示の一形態に係るDC-DCコンバータは、上記複合インダクタを備える。それにより、コイル導体間の結合を抑制しつつ、インダクタンスの向上が図られた複合インダクタを備えたDC-DCコンバータが得られる。
【0060】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。たとえば、インダクタに含まれるコイル導体の数は、3つ以上であってもよい。また、インダクタに含まれる磁性体の数は、4つ以上であってもよい。
【0061】
上述の記載から把握されるとおり、本明細書は下記を開示している。
[付記1]
直方体形状の外形を有し、第1方向おいて対面する一対の第1側面と、前記第1方向に対して直交する第2方向において対面する一対の第2側面と、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において対面する一対の第3側面とを有し、磁性材料を含む材料で構成された第1素体部を有する素体と、
前記素体内に設けられ、前記第1方向に沿って延びる第1導体と、前記第1方向に沿って延びるとともに前記第2方向において前記第1導体と隣り合う第2導体と、前記第2方向に沿って延びて前記第1導体および前記第2導体の前記第1方向における一方側の端部同士を連結する第3導体とを備える第1のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、前記第1のコイル導体と前記第3方向において並び、前記第1導体と前記第2導体と前記第3導体とを備える第2のコイル導体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第3方向において前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体との間に介在し、前記第1方向において対面する一対の第4側面と、前記第2方向において対面する一対の第5側面と、前記第3方向において対面する一対の第6側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い第1の磁性体と、
前記素体内に設けられ、直方体形状の外形を有するとともに、前記第1方向に直交する断面において前記第1の磁性体が設けられた領域とは異なる領域に設けられ、前記第1方向において対面する一対の第7側面と、前記第2方向において対面する一対の第8側面と、前記第3方向において対面する一対の第9側面とを有し、前記第1素体部より透磁率が高い一対の第2の磁性体とを備え、
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に少なくとも位置している、複合インダクタ。
[付記2]
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第3方向における前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに前記第2方向に沿って延在している、付記1に記載の複合インダクタ。
[付記3]
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置している、付記1に記載の複合インダクタ。
[付記4]
前記第1方向に直交する断面において、前記一対の第2の磁性体は、前記第3方向における前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の外側にそれぞれ位置するとともに前記第2方向に沿って延在する第1部分と、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体と第2導体とに間にそれぞれ位置する第2部分とを含み、前記第1部分と前記第2部分とが連結している、付記1に記載の複合インダクタ。
[付記5]
前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する前記第4側面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における一方側に位置する第7側面は、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面より前記第1方向における他方側に位置している、付記1~4のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記6]
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および前記第2の磁性体の前記一対の第8側面が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体よりも外側に突出して前記素体の前記一対の第2側面に近接している、付記1~5のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記7]
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第2方向における前記第1の磁性体および前記第2の磁性体の外側にも位置している、付記1~6のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記8]
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および前記第2の磁性体の前記一対の第8側面の、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体からの突出長さが、前記第2方向における前記第1の磁性体および前記第2の磁性体の外側に位置する前記素体の第1素体部の前記第2方向に関する長さより長い、付記7に記載の複合インダクタ。
[付記9]
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第2方向における前記第1導体と第2導体との外側に位置する前記素体の第1素体部の前記第3方向に関する長さが、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体の前記第3方向に関する長さより長い、付記1~8のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記10]
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第1の磁性体に接している、付記1~9のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記11]
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第2の磁性体に接している、付記1~10のいずれか一つに記載のインダクタ。
[付記12]
前記第1方向に直交する断面において、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および第2導体は、前記第2方向に関する長さが前記第3方向に関する長さより長い、付記1~11のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記13]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体は、前記第3方向外側に向かって前記第1導体および前記第2導体から屈曲されている、付記1~12のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記14]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第3方向に関する長さは、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第1導体および前記第2導体の前記第2方向に関する長さより長い、付記1~13のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記15]
前記第1の磁性体および前記第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層されて構成されている、付記1~14のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記16]
前記第1の磁性体および前記第2の磁性体が、アモルファスリボンまたはナノ結晶リボンで構成された複数の磁性薄帯が絶縁層を介して第1方向に積層された磁性体ブロックを複数含む、付記1~14のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記17]
前記複数の磁性体ブロックが前記第1方向に積層されている、付記16に記載の複合インダクタ。
[付記18]
前記第1の磁性体の前記一対の第5側面および一対の第6側面と前記第2の磁性体の前記一対の第8側面および前記一対の第9側面が凹凸面であり、該凹凸面が前記素体の第1素体部と接している、付記1~17のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記19]
前記素体が、前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体のそれぞれの前記第3導体の前記第1方向における一方側の面と、前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における一方側の面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における一方側の面と、前記素体の第1素体部の前記一対の第1側面のうちの前記第1方向における一方側の面とを一体的に覆うとともに樹脂を含む材料で構成された第2素体部をさらに備える、付記1~18のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記20]
前記第1方向に直交する断面において、前記素体の第1素体部が、前記第3方向における前記第2の磁性体の外側にも位置している、付記1~19のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記21]
前記素体が、前記第1の磁性体の前記一対の第4側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第4側面および前記第2の磁性体の前記一対の第7側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第7側面と、前記第1素体部の前記一対の第1側面のうちの前記第1方向における他方側に位置する前記第1側面とを一体的に覆う第3素体部をさらに備える、付記1~20のいずれか一つに記載の複合インダクタ。
[付記22]
前記第1のコイル導体および前記第2のコイル導体が、前記第1導体および前記第2導体のそれぞれの前記第1方向における他方側の端部から互いに離れるように延びる第4導体をさらに備え、
前記第4導体の前記第1方向における一方側の端部は前記第3素体部に埋設されており、前記第4導体の前記第1方向における他方側の端部は前記第3素体部から露出している、付記21に記載の複合インダクタ。
[付記23]
付記1~22のいずれか一つに記載の複合インダクタを備える、DC-DCコンバータ。
【符号の説明】
【0062】
1…インダクタ、5…DC-DCコンバータ、10…素体、11…第1の素体部、12…第2の素体部、13…第3の素体部、20…コイル導体、20A…第1のコイル導体、20B…第2のコイル導体、21…並列部、22…連結部、23…端子部、30…磁性体、30A…第1の磁性体、30B…第2の磁性体。