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特開2024-93480手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093480
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボット
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240702BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20240702BHJP
   G06Q 50/22 20240101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q10/06
A61B34/30
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209879
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政尚
(72)【発明者】
【氏名】北山 豊
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】手術の安全性を高めることができる手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットを提供する。
【解決手段】手術用ロボットに着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具120の管理方法であって、手術用ロボットによる手術に使用された手術器具120の使用状況に関する情報を取得し、使用状況が使用限度内である手術器具120について、使用不可を示す判定結果を取得し、手術器具120に関する情報と判定結果とを関連付ける。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用ロボットに着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具の管理方法であって、
前記手術用ロボットによる手術に使用された前記手術器具の使用状況に関する情報を取得し、
前記使用状況が前記使用限度内である前記手術器具について、使用不可を示す判定結果を取得し、
前記手術器具に関する情報と前記判定結果とを関連付ける、
手術器具の管理方法。
【請求項2】
前記判定結果は、前記手術器具の故障の可能性に基づく判定結果である、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項3】
前記手術器具が前記使用限度まで使用された場合、当該手術器具は使用不可であると判定すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項4】
使用不可と判定された前記手術器具が前記手術用ロボットに取り付けられた場合、アラートを出力すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項5】
使用不可と判定された前記手術器具が前記手術用ロボットに取り付けられた場合、使用可能な手術器具と交換されるまで前記手術用ロボットの稼働を禁止すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項6】
前記関連付けにおいて、(a)前記使用限度まで使用されたことにより使用不可と判定されたか、(b)前記使用状況が前記使用限度内である前記手術器具について、前記使用不可を示す判定結果が取得されたか、が判別可能となるように、前記手術器具に関する情報と、前記判定結果とを関連付ける、
請求項3に記載の手術器具の管理方法。
【請求項7】
前記判定結果の取得は、複数種類の条件のうちの少なくとも一つに基づいて前記判定結果を取得することを含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項8】
前記使用状況に関する情報は、前記手術器具の使用回数に関する情報を含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項9】
前記手術器具の使用回数に関する情報は、前記手術器具が使用された手術の回数に関する情報を含む、
請求項8に記載の手術器具の管理方法。
【請求項10】
前記使用限度内である前記手術器具は、使用回数が最大使用回数に到達していない手術器具、手術に使用された回数が最大使用回数に到達していない手術器具、また又は、使用期間が最大使用期間に到達していない手術器具である、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項11】
前記判定結果の取得は、オペレータから前記手術器具の使用不可の指示を受け付けると前記判定結果を取得することを含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項12】
前記使用状況に関する情報を表示する表示画面において、前記手術器具の使用不可の指示が受け付けられる、
請求項11に記載の手術器具の管理方法。
【請求項13】
前記手術器具の使用不可に関する前記オペレータからのコメントを受け付けること、および、
前記コメントを前記手術器具に関する情報に関連付けて記憶すること、を更に含む、
請求項11に記載の手術器具の管理方法。
【請求項14】
前記判定結果が取得された時点での前記使用状況に関する情報を提供すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項15】
前記判定結果の取得は、前記手術器具の動作状況に関する情報に基づいて前記判定結果を取得することを含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項16】
前記手術器具が使用不可であることを示す情報を提供すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項17】
前記判定結果の取得は、オペレータから前記手術器具の使用不可の指示を受け付けると前記判定結果を取得すること、および、前記手術器具の動作状況に関する情報に基づいて前記判定結果を取得すること、を含み、
前記関連付けにおいて、(a)前記オペレータから前記手術器具の使用不可の指示を受け付けたことにより前記判定結果が取得されたか、(b)前記手術器具の動作状況に関する情報に基づいて前記判定結果が取得されたか、が判別可能となるように、前記手術器具に関する情報と前記判定結果とを関連付ける、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項18】
前記判定結果に基づいて、前記手術器具の在庫に関する情報を提供すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項19】
前記在庫に関する情報は、使用可能な状態にある手術器具の数に関する情報を含む、
請求項18に記載の手術器具の管理方法。
【請求項20】
前記在庫に関する情報は、使用不可と判定された手術器具の数または割合に関する情報を含む、
請求項18に記載の手術器具の管理方法。
【請求項21】
前記判定結果が取得された手術器具を抽出し、手術器具の補償に関する情報を提供すること、を更に含む、
請求項1に記載の手術器具の管理方法。
【請求項22】
手術用ロボットに着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具を管理するための情報処理装置であって、
前記手術用ロボットと通信する通信部と、
前記通信部に接続された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記手術用ロボットによる手術に使用された前記手術器具の使用状況に関する情報を取得し、
前記使用状況が前記使用限度内である前記手術器具について、使用不可を示す判定結果を取得し、
前記手術器具に関する情報と前記判定結果とを関連付ける、
情報処理装置。
【請求項23】
前記情報処理装置は、前記手術用ロボットが設置される第1施設とは異なる第2施設に設置され、
前記通信部は、前記第1施設に設置された前記手術用ロボットと通信する、
請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項24】
手術用ロボットに着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具を管理するための管理システムであって、
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能に接続される閲覧端末と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記手術用ロボットと通信する通信部と、
前記通信部に接続された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記手術用ロボットによる手術に使用された前記手術器具の使用状況に関する情報を取得し、
前記使用状況が前記使用限度内である前記手術器具について、使用不可を示す判定結果を取得し、
前記判定結果に基づく情報を前記閲覧端末に提供する、
管理システム。
【請求項25】
手術用ロボットに着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具であって、
前記手術器具に関する情報を記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、
前記手術用ロボットによる手術に使用された前記手術器具の使用状況に関する情報と、前記使用状況が前記使用限度内である前記手術器具について判定された使用不可を示す判定結果と、を前記手術器具に関する情報に関連付けて記憶するための記憶領域を有する、
手術器具。
【請求項26】
使用限度まで再使用可能な手術器具を用いて手術動作を行う手術用ロボットであって、
前記手術器具が着脱可能に取り付けられるアームと、
前記アームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アームに取り付けられた前記使用限度内である前記手術器具について、使用不可を示す判定結果を取得し、
前記判定結果を取得したことを示すアラートを出力する、
手術用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術用ロボットを用いた外科手術が行われている。手術用ロボットは、コンソールと、手術ロボットアームと、を備える。外科手術の際には、手術ロボットアームに鉗子などの手術器具が装着され、オペレータがコンソールを操作することによって手術ロボットアームおよび手術器具が動作する。
【0003】
外科手術中に手術用ロボットや手術ロボットアームに装着する手術器具に不具合が生じることを防ぎ、外科手術を安全に完遂するためには、手術用ロボットで用いる手術器具の使用回数や使用期間などの使用状況を追跡し、適切に管理することが重要である。例えば、手術器具の中には使用可能回数や使用可能期間などの上限が使用限度として予め定められているものが存在する。以下の特許文献1には、手術用ロボットで用いる手術器具の使用回数または使用期間を追跡し、使用回数または使用期間が閾値を超えた場合に、予防メンテナンスが必要であることをオペレータに通知する医療用ロボットシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8285517号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、使用回数や使用期間に基づいて手術器具の交換の要否を判断しているだけであり画一的である。使用回数や使用期間が閾値に達していなくても、例えば、製造者が定めた性能の評価基準を満たした手術器具であっても、手術器具の性能には多少の個体差があるため、オペレータによっては、使用を開始した手術器具の性能が期待と異なる場合があり、手術器具の使用を控えた方がよい場合がある。また、手術中や手術後の洗浄および滅菌の作業中に手術器具が破損した場合にも、手術器具の使用を控えた方がよい場合がある。このような場合、上記特許文献1に記載のシステムでは手術の安全性が十分に確保できているとは言えない。手術器具の使用回数や使用期間だけでなく、種々の状況を考慮に入れて、手術の安全性を高められることが望ましい。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、手術の安全性を高めることができる手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、図1、9、14、15、23、24、27、37、50、62に示すように、手術用ロボット(4)に着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具(120)の管理方法であって、手術用ロボット(4)による手術に使用された手術器具(120)の使用状況に関する情報を取得し(図14、23、27のステップS301)、使用状況が使用限度内である手術器具(120)について、使用不可を示す判定結果を取得し(図15のステップS3064:YES、図24のステップS3126:YES)、手術器具(120)に関する情報と判定結果とを関連付ける(図15のステップS3065、図24のステップS3127)。
【0008】
本発明の手術器具の管理方法によれば、使用限度内の手術器具であっても、当該手術器具が使用不可であることを示す判定結果を当該手術器具に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。
【0009】
本発明は、図1、9、37、50、62に示すように、手術用ロボット(4)に着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具(120)を管理するための情報処理装置(500)であって、手術用ロボット(4)と通信する通信部(503)と、通信部(503)に接続された制御部(501)と、を備える。制御部(501)は、手術用ロボット(4)による手術に使用された手術器具(120)の使用状況に関する情報を取得し、使用状況が使用限度内である手術器具(120)について、使用不可を示す判定結果を取得し、手術器具(120)に関する情報と判定結果とを関連付ける。
【0010】
本発明の情報処理装置によれば、使用限度内の手術器具であっても、当該手術器具が使用可不可であることを示す判定結果を当該手術器具に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。
【0011】
本発明は、図1、8、9、37、50に示すように、手術用ロボット(4)に着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具(120)を管理するための管理システム(5)であって、情報処理装置(500)と、情報処理装置(500)と通信可能に接続される閲覧端末(400、410)と、を備える。情報処理装置(500)は、手術用ロボット(4)と通信する通信部(503)と、通信部(503)に接続された制御部(501)と、を備える。制御部(501)は、手術用ロボット(4)による手術に使用された手術器具(120)の使用状況に関する情報を取得し、使用状況が使用限度内である手術器具(120)について、使用不可を示す判定結果を取得し、判定結果に基づく情報を閲覧端末(400、410)に提供する。
【0012】
本発明の管理システムによれば、使用限度内の手術器具であっても、当該手術器具が使用不可であることを示す判定結果を当該手術器具に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。また、閲覧端末を介して手術器具の使用可否の判定結果を容易に確認できる。
【0013】
本発明は、図6、9、10、37、62に示すように、手術用ロボット(4)に着脱可能に取り付けられ、使用限度まで再使用可能な手術器具(400)であって、手術器具(120)に関する情報を記憶する記憶部(124)を備え、記憶部(124)は、手術用ロボット(4)による手術に使用された手術器具(120)の使用状況に関する情報と、使用状況が使用限度内である手術器具(120)について判定された使用不可を示す判定結果と、を手術器具(120)に関する情報に関連付けて記憶するための記憶領域(124b)を有する。
【0014】
本発明の手術器具によれば、使用限度内の手術器具であっても、当該手術器具が使用不可であることを示す判定結果を当該手術器具に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。
【0015】
本発明は、図1、2、6、20に示すように、使用限度まで再使用可能な手術器具(120)を用いて手術動作を行う手術用ロボット(4)であって、手術器具(120)が着脱可能に取り付けられるアーム(110)と、アーム(110)の動作を制御するための制御部(141)と、を備え、制御部(141)は、アーム(110)に取り付けられた使用限度内である手術器具(120)について、使用不可を示す判定結果を取得し、判定結果を取得したことを示すアラートを出力する。
【0016】
本発明の手術用ロボットによれば、使用期限内であっても使用しないことが好ましい手術器具が手術に使用されることを抑制し、手術の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、手術の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係る、手術用ロボットおよび手術器具の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1に係る、アーム装置および手術器具の外観を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る、アームおよびアームの先端に装着された手術器具の構成を示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る、操作装置の外観を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態1に係る、制御装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態1に係る、アーム装置および手術器具の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態1に係る、操作装置の構成を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態1に係る、管理システムの構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施形態1に係る、手術用ロボットおよび情報処理装置等の接続および各装置間で送受信される情報の概要を示す図である。
図10図10は、実施形態1に係る、手術器具の記憶部に記憶される記憶情報が含む項目を模式的に示す図である。
図11図11は、実施形態1に係る、情報処理装置の記憶部に記憶される構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る、アーム装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態1に係る、制御装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態1に係る、情報処理装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態1に係る、判定画面表示処理の詳細を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態1に係る、閲覧端末の表示部に表示される判定画面の構成を模式的に示す図である。
図17図17は、実施形態1に係る、閲覧端末の表示部に表示される判定画面の構成を模式的に示す図である。
図18図18は、実施形態1の変更例に係る、アームに装着された累計時間(使用時間)が記憶される場合の、構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図19図19は、実施形態1の変更例に係る、アームに装着された累計時間(使用時間)が記憶される場合の、判定画面を模式的に示す図である。
図20図20は、実施形態2に係る、アーム装置および手術器具の構成を示すブロック図である。
図21図21は、実施形態2に係る、アーム装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図22図22は、実施形態2に係る、制御装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図23図23は、実施形態2に係る、情報処理装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図24図24は、実施形態2に係る、自動検知処理の詳細を示すフローチャートである。
図25図25は、実施形態2に係る、自動検知処理における演算処理の詳細を模式的に示す図である。
図26図26は、実施形態2に係る、閲覧端末の表示部に表示される判定画面の構成を模式的に示す図である。
図27図27は、実施形態3に係る、情報処理装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図28図28は、実施形態3に係る、閲覧端末の表示部に表示される判定画面の構成を模式的に示す図である。
図29図29は、実施形態4に係る、構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図30図30は、実施形態4の変更例に係る、構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図31図31は、実施形態5に係る、情報処理装置の制御部による抽出画面の表示に関する処理を示すフローチャートである。
図32図32は、実施形態5に係る、構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図33図33は、実施形態5に係る、閲覧端末の表示部に表示される抽出画面の構成を模式的に示す図である。
図34図34は、実施形態5の変更例に係る、構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図35図35は、実施形態5の変更例に係る、閲覧端末の表示部に表示される抽出画面の構成を模式的に示す図である。
図36図36は、実施形態6に係る、操作装置の制御部による処理を示すフローチャートである。
図37図37は、実施形態7に係る、手術用ロボットおよび情報処理装置等の接続および各装置間で送受信される情報の概要を示す図である。
図38図38は、実施形態7に係る、情報処理装置の記憶部に記憶される構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図39図39は、実施形態7に係る、在庫DBの構成を模式的に示す図である。
図40図40は、実施形態7に係る、情報処理装置の制御部による在庫DBの更新処理を示すフローチャートである。
図41図41は、実施形態7に係る、情報処理装置の制御部による在庫管理画面の表示処理を示すフローチャートである。
図42図42は、実施形態7に係る、閲覧端末の表示部に表示される一覧画面の構成を模式的に示す図である。
図43図43は、実施形態7に係る、ステータス画面表示処理の詳細を示すフローチャートである。
図44図44は、実施形態7に係る、閲覧端末の表示部に表示されるステータス画面の構成を模式的に示す図である。
図45図45は、実施形態7に係る、閲覧端末の表示部に表示されるステータス画面の構成を模式的に示す図である。
図46図46は、実施形態7の変更例に係る、閲覧端末の表示部に表示されるステータス画面の構成を模式的に示す図である。
図47図47は、実施形態7の変更例に係る、閲覧端末の表示部に表示される一覧画面の構成を模式的に示す図である。
図48図48は、実施形態7の変更例に係る、在庫DBの構成を模式的に示す図である。
図49図49は、実施形態7の変更例に係る、閲覧端末の表示部に表示される在庫量の一覧画面の構成を模式的に示す図である。
図50図50は、実施形態8に係る、各装置の接続の概要を示す図である。
図51図51は、実施形態8に係る、情報処理装置の制御部による補償画面の表示処理を示すフローチャートである。
図52図52は、実施形態8に係る、閲覧端末の表示部に表示される補償画面の構成を模式的に示す図である。
図53図53は、実施形態8の変更例1に係る、情報処理装置の記憶部に記憶される構成ファイルの構成を模式的に示す図である。
図54図54は、実施形態8の変更例1に係る、閲覧端末の表示部に表示される補償画面の構成を模式的に示す図である。
図55図55は、実施形態8の変更例1に係る、閲覧端末の表示部に表示される補償画面の構成を模式的に示す図である。
図56図56は、実施形態8の変更例2に係る、情報処理装置の制御部による補償内容の決定処理を示すフローチャートである。
図57図57は、実施形態8の変更例2に係る、閲覧端末の表示部に表示される補償内容画面の構成を模式的に示す図である。
図58図58は、実施形態8の変更例2に係る、情報処理装置の制御部による補償内容の決定処理を示すフローチャートである。
図59図59は、実施形態9に係る、利用者情報の構成を模式的に示す図である。
図60図60は、実施形態9に係る、情報処理装置の制御部によるログイン処理を示すフローチャートである。
図61図61は、実施形態9に係る、オペレータ端末の表示部に表示されるステータス画面の構成を模式的に示す図である。
図62図62は、実施形態10に係る、医療施設の手術室内の装置の配置を模式的に示す図である。
図63図63は、実施形態11に係る、クレードルの構成および接続を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1は、手術用ロボット4および手術器具120の構成を示すブロック図である。
【0020】
手術用ロボット4は、内視鏡手術に用いられる装置である。手術用ロボット4は、アーム装置1と、操作装置2と、アーム装置1および操作装置2を制御する制御装置3と、を備える。制御装置3は、アーム装置1に内蔵されている。制御装置3を内蔵したアーム装置1と操作装置2とは、医療施設内の同じ部屋に設置されてもよく、医療施設内の異なる部屋に設置されてもよく、ネットワークを介して異なる施設に設置されていてもよい。アーム装置1には、3個の手術器具120が装着される。3個の手術器具120が動作することにより、患者に対する手術が行われる。なお、アーム装置1に装着される手術器具120の個数は3個には限定されず、1個、2個、または4個以上であってもよい。
【0021】
図2は、アーム装置1および手術器具120の外観を示す斜視図である。
【0022】
アーム装置1は、3個の手術器具120および1個の内視鏡130を装着可能な4つのアーム110を備えた患者側の装置である。アーム装置1は、操作装置2が医師であるオペレータによって操作されることにより制御装置3から送信される指令値に従って動作する。
【0023】
アーム装置1は、ベース101と、操作部102と、ベースアーム103と、支持部104と、4個のアーム110と、を備える。4個のアーム110には、それぞれ、3個の手術器具120および1個の内視鏡130が着脱可能に取り付けられる。
【0024】
操作部102は、ベース101に設置されており、表示部および入力部を含む。オペレータは、操作部102の表示部を見ながら、操作部102の入力部を操作して、アーム装置1のアーム110の初期位置を手術に適した位置に配置する。ベースアーム103は、その後端がベース101に設置され、複数の関節を備えるアームである。支持部104は、その上面がベースアーム103の先端に回動可能に接続されており、ベースアーム103の先端の移動に伴って移動するとともに、ベースアーム103の先端の軸を中心に回動する。
【0025】
4個のアーム110は、その上端が支持部104の下面に設置されている。1個のアーム110は、それぞれ、12本の軸および軸間の関節を備えたアームである。アーム110の下端には、手術器具120および内視鏡130を着脱できるように構成された支持具が設けられており、当該支持具に手術器具120または内視鏡130が装着される。
【0026】
手術器具120は、細長いシャフト121を備えており、内視鏡130は、細長いシャフト131を備えている。手術器具120は、先端部にエンドエフェクタ122(図3参照)を備える。内視鏡130は、例えば、3Dビデオスコープである。
【0027】
手術の開始前に、手術器具120および内視鏡130の下方に、手術台に横たわった患者が位置づけられる。手術が開始されると、患者の腹部に案内管(トロカール)が挿入され、手術器具120および内視鏡130のシャフト121、131が、案内管を介して患者の体内に挿入される。こうして、手術器具120を用いた手術が進められる。通常、手術器具120は、手術中に処置内容に応じて別種の手術器具120に複数回付け替えられる。
【0028】
図3は、アーム110およびアーム110の先端に装着された手術器具120の構成を示す図である。手術器具120は、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、バイポーラ、モノポーラ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーなど、各種の処置具である。
【0029】
手術器具120は、シャフト121と、エンドエフェクタ122と、ハウジング123と、記憶部124と、アダプタ125と、を備える。エンドエフェクタ122は、手術器具120の種類によって異なる。図3には、手術器具120が把持鉗子である場合のエンドエフェクタ122が示されている。アーム110には、ドレープ111がかけられている。
【0030】
シャフト121は、細長形状を有する。エンドエフェクタ122は、シャフト121の先端部に設けられている。ハウジング123は、略円柱形状を有しており、エンドエフェクタ122とは反対側のシャフト121の端部を支持している。
【0031】
記憶部124は、ハウジング123内に配置されており、例えば、フラッシュメモリにより構成される。記憶部124には、当該手術器具120に関する情報を含む記憶情報124aが記憶されている。記憶情報124aについては、追って図10を参照して説明する。アダプタ125は、ハウジング123の下面側に設置されている。ドレープ111は、アーム110に起因する患者への感染を防止するためのカバーである。
【0032】
手術器具120をアーム110に接続する場合、手術器具120のアダプタ125が、アーム110側の支持具に装着される。これにより、手術器具120の各部とアーム110とが、機械的および電気的に接続される。アーム装置1は、手術器具120との通電を検知することにより、手術器具120の装着を検知することができる。手術器具120の各部とアーム110とが電気的に接続されると、アーム装置1は、手術器具120の記憶部124からの情報の読み出し、および、記憶部124への情報の書き込みが可能になる。手術器具120をアーム110から取り外す場合、手術器具120のアダプタ125が、アーム110側の支持具から外される。
【0033】
図4は、操作装置2の外観を示す斜視図である。
【0034】
操作装置2は、内視鏡手術の際に医師であるオペレータが操作することによりアーム装置1を駆動するためのオペレータ側の装置である。
【0035】
操作装置2は、ベース201と、支持部202と、枠部材203と、操作パネル204と、ビューアユニット210と、2つのハンドコントローラ220と、フットユニット230と、を備える。
【0036】
支持部202は、上下に移動可能となるようにベース201の上部に設置されている。枠部材203は、支持部202に設置されている。操作パネル204は、枠部材203の前方中央の上面に設置されている。操作パネル204の左右には、オペレータがハンドコントローラ220を操作する際に肘を乗せるためのアームレスト203aが形成されている。アームレスト203aの高さは、ベース201に対して支持部202を上下に移動することにより変更できる。
【0037】
ビューアユニット210は、支持部202の上面に設置されたアーム213の先端に支持されており、アーム213の関節が回動することにより高さを変更可能である。ビューアユニット210は、ビューア211およびヘッドセンサ212を備える。ビューア211は、内視鏡130により撮影された映像(内視鏡画像)と、各種画面とを表示するための表示部である。ヘッドセンサ212は、ビューア211の手前の領域を挟むように設けられており、透過型の光電センサである。オペレータがビューア211を覗き込むと、オペレータの頭部がビューア211に接近し、ヘッドセンサ212の間が遮光され、オペレータがビューア211を見ている状態が検知される。
【0038】
2つのハンドコントローラ220は、それぞれ7本の軸および軸間の関節を備え、支持部202に設置されている。左および右のハンドコントローラ220は、それぞれ、オペレータが左手および右手を用いてアーム装置1の4個のアーム110を操作するための入力装置である。
【0039】
オペレータがハンドコントローラ220に対して移動の操作を入力すると、ハンドコントローラ220の各関節が軸回転する。これにより、対象となるアーム110が駆動され、当該アーム110に装着された手術器具120または内視鏡130が移動する。また、対象となるアーム110に、エンドエフェクタ122として鉗子を備えた手術器具120が装着されている場合、オペレータがハンドコントローラ220に対して把持の動作を入力すると、鉗子の先端部が開閉するように駆動される。
【0040】
フットユニット230は、ベース201の下部前側に設置されている。フットユニット230は、オペレータが左足および右足を用いてアーム装置1を操作するための入力装置である。
【0041】
オペレータは、フットユニット230に対して操作を行うことにより、左および右のハンドコントローラ220の操作対象となる手術器具120および内視鏡130を切り替えることができる。また、オペレータは、フットユニット230に対して操作を行うことにより、手術器具120の先端部に設けられたエンドエフェクタ122に所定の動作(例えば、切開や凝固など)を行わせることができる。
【0042】
手術の開始前に、オペレータは、椅子に座った状態で、両腕をアームレスト203aに置き、両足をフットユニット230内部または前方に置く。オペレータは、頭をビューアユニット210の中に入れ、ビューア211を覗き込む。ヘッドセンサ212によりオペレータの頭がビューアユニット210内に位置づけられたことが検知されると、操作装置2によるアーム装置1の操作が可能になる。
【0043】
図5は、制御装置3の構成を示すブロック図である。
【0044】
制御装置3は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、を備える。制御部301は、例えば、CPUにより構成される。制御部301は、記憶部302に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、制御装置3のハードウェアの各部を制御するとともに、各種の処理を実行する。記憶部302は、例えば、SSDやHDDなどにより構成される。通信部303は、所定の通信規格に基づいてアーム装置1、操作装置2および情報処理装置500(図8参照)と通信可能な通信インターフェースを備える。
【0045】
図6は、アーム装置1および手術器具120の構成を示すブロック図である。
【0046】
アーム装置1は、制御部141と、記憶部142と、通信部143と、複数の動作部150と、4つのセンサ161と、を備える。
【0047】
制御部141は、例えば、FPGAまたはCPUにより構成される。記憶部142は、例えば、ROMおよびRAMにより構成される。通信部143は、所定の通信規格に基づいて制御装置3と通信可能な通信インターフェースを備える。
【0048】
動作部150は、アーム装置1のベースアーム103および4つのアーム110の各動作部分に対応して複数設けられている。1つのアーム110に対応する複数の動作部150により、当該アーム110の複数の関節部分と、当該アーム110に接続された手術器具120または内視鏡130を動作させる複数の機構と、が駆動される。各動作部150は、モータ151を備える。モータ151は、ステッピングモータである。制御部141は、通信部143を介して制御装置3から受信した指令値(図9参照)に基づいて、対応する動作部150のモータ151を駆動する。
【0049】
4つのセンサ161は、それぞれ、4つのアーム110(図2参照)に設置されており、アーム110に対する手術器具120および内視鏡130の着脱を検出する。センサ161は、例えば、手術器具120および内視鏡130がアーム110に対して電気的に接続されたことを検出するセンサでもよく、手術器具120および内視鏡130が物理的に着脱されたことを検出する光電センサでもよい。
【0050】
手術器具120の記憶部124には、当該手術器具120の手術器具IDや種類などが記憶されている。アーム110に手術器具120が装着されると、制御部141は、手術器具120に付された手術器具IDや種類などを、手術器具120の記憶部124から読み出す。
【0051】
図7は、操作装置2の構成を示すブロック図である。
【0052】
操作装置2は、制御部241と、記憶部242と、通信部243と、ビューア211と、ヘッドセンサ212と、複数のエンコーダ251と、複数のリミットセンサ252と、複数のフットセンサ253と、を備える。
【0053】
制御部241は、例えば、FPGAまたはCPUにより構成される。記憶部142は、例えば、SSDやHDDにより構成される。通信部243は、所定の通信規格に基づいて制御装置3および映像処理装置21(図9参照)と通信可能な通信インターフェースを備える。
【0054】
複数のエンコーダ251は、左右のハンドコントローラ220に設けられ、左右のハンドコントローラ220に対して入力された操作に対応する移動量および回転量を出力する。複数のリミットセンサ252は、フットユニット230に設けられたフットペダルが踏まれたか否かを検出する。複数のフットセンサ253は、フットユニット230内のオペレータの足の位置を検出するための反射型の光電センサである。
【0055】
制御部241は、複数のエンコーダ251の出力値と、複数のリミットセンサ252の検出信号と、複数のフットセンサ253の検出信号とに基づく駆動指示を、通信部243を介して制御装置3に送信する。
【0056】
図8は、管理システム5の構成を示すブロック図である。
【0057】
管理システム5は、閲覧端末400および情報処理装置500を備える。ネットワーク10は、例えば、インターネットである。
【0058】
閲覧端末400は、制御部401と、記憶部402と、表示部403と、入力部404と、通信部405と、を備える。
【0059】
制御部401は、例えば、CPUにより構成される。制御部401は、記憶部402に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、閲覧端末400のハードウェアの各部を制御するとともに、各種の処理を実行する。記憶部402は、例えば、SSDやHDDなどにより構成される。表示部403は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。入力部404は、例えば、キーボードやマウスにより構成される。表示部403および入力部404は、タッチパネル式ディスプレイにより構成されてもよい。通信部405は、例えばイーサネット、Wi-Fiなどの所定の通信規格に基づいて、情報処理装置500と通信可能な通信インターフェースを備える。
【0060】
制御部401は、ウェブブラウザや所定のアプリケーションを実行することにより、情報処理装置500から画面の情報を受信する。そして、制御部401は、受信した画面の情報に基づいて、表示部403に各種の画面を表示する。閲覧端末400のオペレータは、表示部403に表示される画面に含まれる操作部を、入力部404を介して操作する。これにより、閲覧端末400から情報処理装置500に指示が送信される。
【0061】
情報処理装置500は、制御部501と、記憶部502と、通信部503と、を備える。
【0062】
制御部501は、例えば、CPUにより構成される。制御部501は、記憶部502に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理装置500のハードウェアの各部を制御するとともに、各種の処理を実行する。記憶部502は、例えば、SSDやHDDなどにより構成される。記憶部502は、手術器具120に関する情報を含む構成ファイル502aを記憶している。構成ファイル502aについては、追って図11を参照して説明する。通信部503は、例えばイーサネット、Wi-Fiなどの所定の通信規格に基づいて、閲覧端末400および手術用ロボット4の制御装置3と通信可能な通信インターフェースを備える。
【0063】
図9は、手術用ロボット4および情報処理装置500等の接続および各装置間で送受信される情報の概要を示す図である。
【0064】
医療施設の手術室内には、アーム装置1、操作装置2、制御装置3、映像処理装置21および閲覧端末400が配置される。3つの手術器具120および1つの内視鏡130は、上述したように、アーム装置1に装着されている。映像処理装置21は、内視鏡130により得られる映像を処理し、処理した映像を操作装置2に送信する。操作装置2は、映像処理装置21から受信した内視鏡画像を、ビューア211(図4参照)に表示する。情報処理装置500は、手術室外の環境に設置される。情報処理装置500は、例えば、手術用ロボット4のサポートセンターに設置される。情報処理装置500は、制御装置3および閲覧端末400と通信可能に接続される。
【0065】
なお、操作装置2および閲覧端末400は、必ずしも手術室内に設置されなくてもよく、医療施設内の他の部屋に設置されてもよい。閲覧端末400は、サポートセンターに設置されてもよい。情報処理装置500は、サポートセンターに設置されることに限らず、データセンターなどに設置されてもよい。また、情報処理装置500は、クラウドを提供するためのコンピュータであってもよいし、オンプレミスを提供するためのコンピュータであってもよい。
【0066】
上述したように、医師であるオペレータは、操作装置2を操作してアーム装置1を駆動し、手術を行う。このとき、操作装置2は、オペレータの操作に応じた駆動指示を、リアルタイムに制御装置3に送信する。制御装置3は、操作装置2から受信した駆動指示をアーム装置1用に変換して指令値を生成し、生成した指令値をリアルタイムで、すなわち操作装置2から駆動指示を受信するたびに、アーム装置1に送信する。アーム装置1は、受信した指令値に基づいて駆動される。
【0067】
アーム装置1は、装着されている各手術器具120の記憶部124から記憶情報124aを読み取る。記憶情報124aは、当該手術器具120を個別に識別するための識別情報と、当該手術器具120の使用状況に関する情報と、を含む。アーム装置1は、手術器具120を個別に識別するための識別情報と、手術器具120の使用状況に関する情報とを、制御装置3に送信する。制御装置3は、アーム装置1から受信した手術器具120を個別に識別するための識別情報と、手術器具120の使用状況に関する情報とを、情報処理装置500に送信する。
【0068】
情報処理装置500は、制御装置3から受信した手術器具120を個別に識別するための識別情報と、手術器具120の使用状況に関する情報とに基づいて、記憶部502に記憶している構成ファイル502aを更新する。また、情報処理装置500は、後述する構成ファイル502a内の判定フラグが更新されると、判定フラグの値を含む更新指示を、制御装置3を介してアーム装置1に送信する。アーム装置1は、制御装置3から受信した更新指示に基づいて、記憶情報124a内の判定フラグを更新する。さらに、情報処理装置500は、閲覧端末400からの要求に応じて、各種画面の情報を閲覧端末400に送信する。
【0069】
図10は、手術器具120の記憶部124に記憶される記憶情報124aが含む項目を模式的に示す図である。
【0070】
手術器具120の記憶部124は、手術用ロボット4による手術に使用された手術器具120の使用状況に関する情報と、使用状況が使用限度内である手術器具120について判定された使用不可を示す判定結果と、を手術器具120に関する情報に関連付けて記憶するための記憶領域124bを有する。記憶領域124bは、固定の記憶領域であってもよいし、可変の記憶領域であってもよい。また、記憶領域124bは、連続した記憶領域であってもよいし、分散した記憶領域であってもよい。
【0071】
記憶情報124aは、当該記憶情報124aが記憶されている手術器具120に関する、手術器具ID、種類、最大使用回数、現在の使用回数および判定フラグの項目を含む。手術器具ID、種類、最大使用回数、および現在の使用回数は、手術器具120に関する情報であり、判定フラグと関連付けられている。現在の使用回数は、手術器具120の使用状況に関する情報である。
【0072】
手術器具120に関する情報は、手術器具ID、種類、最大使用回数、および現在の使用回数の全てである必要はなく、個別の、または特定のグループの手術器具120を識別できる情報を含んでいればよい。例えば、手術器具120に関する情報は、手術器具IDであってもよい、また、手術器具120に関する情報は、手術器具ID、種類、最大使用回数、および現在の使用回数以外の情報を含んでいてもよい。特定のグループの手術器具120を識別できる情報とは、例えば、特定の製造ロットを識別するためのロット番号、特定の製造者を特定するための企業識別番号などであってもよい。
【0073】
手術器具IDは、手術器具120を個別に識別可能なIDである。手術器具IDは、シリアル番号とも呼ばれる。記憶情報124aにおいて、種類、最大使用回数、現在の使用回数および判定フラグは、手術器具IDに基づいて関連付けられている。なお、記憶情報124aは、製造ロットを識別するためのロット番号を含んでもよい。
【0074】
種類は、当該手術器具120の種類であり、当該手術器具120が有する機能や、エンドエフェクタ122の種類などを表している。種類は、例えば、鉗子A、鉗子B、鉗子C、高周波ナイフA、高周波ナイフB、高周波ナイフCなどである。最大使用回数は、当該手術器具120が新品の状態から使用できる回数であり、例えば10回である。現在の使用回数は、当該手術器具120の現時点までの累積使用回数である。現在の使用回数は、手術器具120が使用された手術の回数であり、1回の手術で用いられた場合に1だけカウントされる回数である。したがって、現在の使用回数は、1回の手術で複数回着脱されて使用されたとしても、1回とカウントされる。
【0075】
判定フラグは、当該手術器具120が今後継続して使用可能であるか否かの使用可否を示す情報である。判定フラグが0の場合、当該手術器具120は使用可能な状態であることを示し、判定フラグが1の場合、当該手術器具120は使用不可の状態であることを示す。判定フラグの初期値は0である。
【0076】
図11は、情報処理装置500の記憶部502に記憶される構成ファイル502aの構成を模式的に示す図である。
【0077】
構成ファイル502aは、複数の手術器具120に関する情報を格納する。構成ファイル502aは、手術器具ID、種類、最大使用回数、現在の使用回数および判定フラグの項目を含む。手術器具IDごとに、種類、最大使用回数、現在の使用回数および判定フラグが関連付けられている。判定フラグは、記憶情報124aの判定フラグと同様、判定フラグが0の場合、手術器具120は使用可能な状態であることを示し、判定フラグが1の場合、手術器具120は使用不可の状態であることを示す。判定フラグの初期値は0である。
【0078】
図11の手術器具ID「SI001」の手術器具120では、現在の使用回数が最大使用回数に達しておらず、また後述するように、オペレータによって当該手術器具120の使用不可が設定されていないため、判定フラグの値は0となっている。図11の2行目の手術器具ID「SI002」の手術器具120では、現在の使用回数が最大使用回数に到達していないが、オペレータによって当該手術器具120の使用不可が設定されたため、判定フラグの値は1となっている。図11の3行目の手術器具ID「SI003」の手術器具120では、現在の使用回数が最大使用回数に到達したため、判定フラグの値は1となっている。
【0079】
情報処理装置500が、ネットワーク10を介して複数の医療施設と接続される場合には、医療施設ごとの構成ファイル502aが、情報処理装置500の記憶部502に記憶されてもよい。または、共通の構成ファイル502aに、手術器具IDと対応付けて、各医療施設を識別するための情報が記憶されてもよい。これにより、特定の手術器具IDを有する手術器具120を記憶部502内で検索する処理を高速化することができる。
【0080】
図12は、アーム装置1の制御部141による処理を示すフローチャートである。
【0081】
図12に示すフローは、制御部141が、アーム110に手術器具120が装着されたことを検知すると開始する。図12に示す処理が開始された後、さらに他の手術器具120が装着されると、他の手術器具120について、ステップS101~S106が行われる。また、図12の処理の開始時点で複数の手術器具120が装着されている場合、それぞれの手術器具120について、ステップS101~S106の処理が順に行われる。
【0082】
手術器具120が装着されていると、ステップS101において、制御部141は、装着された手術器具120が、当該同一の手術内で初めて装着されたものか否かを判定する。
【0083】
手術器具120の装着が初回であると、ステップS102において、制御部141は、制御装置3を介して、情報処理装置500に構成ファイル502aの問い合わせを行う。具体的には、制御部141は、装着された手術器具120の記憶部124から記憶情報124aを読み出し、読み出した記憶情報124aに含まれる手術器具IDを取得する。そして、制御部141は、取得した手術器具IDを含む構成ファイル502aの問い合わせ情報を情報処理装置500に送信し、情報処理装置500から手術器具IDに対応する構成ファイル502aの内容を取得する。
【0084】
ステップS103において、制御部141は、ステップS102の問い合わせにより取得した手術器具120の構成ファイル502aの内容に基づいて、当該手術器具120の記憶部124に記憶された記憶情報124aを更新する。具体的には、制御部141は、構成ファイル502aに含まれる判定フラグの値と一致するように、記憶情報124aに含まれる判定フラグの値を更新する。
【0085】
ステップS104において、制御部141は、ステップS102の問い合わせにより更新した判定フラグの値が0であるか否か、すなわち当該手術器具120が今後継続して使用可能であるか否かを判定する。なお、ステップS104において判定フラグの値が1と判定された手術器具120は、同一の手術内で再度装着されたとしても、ステップS101において初回の装着と判定される。これにより、処理がステップS104、S105に進むため、使用不可である手術器具120が誤って使用されてしまうことを防止できる。
【0086】
ステップS102の問い合わせにより取得した判定フラグの値が1であると、ステップS105において、制御部141はアラートを出力する。アラートの出力は、例えば、アーム装置1の操作部102(図2参照)の表示部にアラート画面を表示させること、アーム装置1に設置されたスピーカからアラーム音を出力すること、アーム装置1に設置されたランプを点灯させること、他の装置にアラート情報を送信すること、などである。アラートの出力後、アラートの取り消しの入力または所定の時間の経過によって、処理がステップS101に戻される。
【0087】
なお、本実施形態において、ステップS102~S105の処理は、ステップS101の判定結果が肯定の場合に実行されるが、本発明はこれに限定されず、例えば、所定期間毎(例えば、1秒毎)に定期的に実行されてもよい。これにより、後述する判定画面610の使用不可ボタン614が手術中の任意のタイミングで操作された場合であっても、アーム装置1からアラートが出力されるため、医師であるオペレータは、使用不可の指定の対象となった手術器具120が使用不可であることを容易に認識できる。一方、オペレータが、使用不可の指定の対象となった手術器具120が装着されたことによるアラートの出力を好まない場合には、ステップS105の処理が省略されてもよい。
【0088】
他方、ステップS102の問い合わせにより更新した判定フラグの値が0であると、ステップS106において、制御部141は、記憶情報124aに含まれる現在の使用回数を1だけ増やす。
【0089】
ステップS101で、装着された手術器具120が当該同一の手術内で初めて装着されたものではないと判定された場合、処理がステップS107に進められる。
【0090】
制御部141は、結合子A1に示すように、図13のステップS201で制御装置3から送信された指令値を受信する。そして、ステップS107において、制御部141は、制御装置3からの指令値に基づいてアーム110および手術器具120を動作させる。その後、制御部141は、結合子A2に示すように、図13のステップS203で制御装置3から手術終了の通知が送信された場合、当該終了の通知を受信する。そして、ステップS108において、制御部141は、制御装置3から手術終了通知を受信したか否かを判定する。
【0091】
手術終了通知を受信していない場合、処理がステップS101に戻され、ステップS101~S107の処理が繰り返し行われる。手術終了通知を受信した場合、ステップS109において、制御部141は、記憶情報124a内の手術器具120に関する情報を取得し、結合子B1に示すように、手術器具IDに対応付けて手術器具120の使用状況に関する情報を制御装置3に送信する。実施形態1の手術器具120の使用状況に関する情報は、現在の使用回数である。アーム装置1に複数の手術器具120が装着されている場合、ステップS109の処理は、手術器具120ごとに順に行われる。
【0092】
その後、ステップS110において、制御部141は、結合子A3に示すように、図13のステップS207で制御装置3から送信された更新指示を受信したか否かを判定する。更新指示は、記憶情報124a内の判定フラグの値を1に更新する指示であり、手術器具IDを含んでいる。更新指示を受信すると、ステップS111において、制御部141は、判定フラグの値が1となるよう、対応する手術器具120の記憶情報124aを更新する。
【0093】
なお、ステップS111が実行される時点で、対象となる手術器具120が既にアーム装置1から取り外されている場合、当該手術器具120の記憶情報124aは、ステップS111で更新されない。この場合、当該手術器具120が次の手術でアーム装置1に装着された場合に、ステップS103において最新の判定フラグの値に更新される。
【0094】
図13は、制御装置3の制御部301による処理を示すフローチャートである。
【0095】
手術が開始されると、ステップS201において、制御部301は、操作装置2からの駆動指示に基づいて、結合子A1に示すように、アーム装置1に指令値を送信する。ステップS202において、制御部301は、オペレータが操作装置2を介して手術終了を入力したか否かを判定する。手術終了が入力されていない場合、処理がステップS201に戻され、ステップS201が繰り返し行われる。これにより、操作装置2からの駆動指示に基づいて、アーム装置1が継続して駆動される。手術終了が入力された場合、ステップS203において、制御部301は、結合子A2に示すように、アーム装置1に手術終了通知を送信する。
【0096】
ステップS204において、制御部301は、結合子B1に示すように、図12のステップS109でアーム装置1から送信された手術器具120の使用状況に関する情報を受信するまで処理を待機する。手術器具120の使用状況に関する情報を受信すると、ステップS205において、制御部301は、結合子C1に示すように、受信した使用状況に関する情報を手術器具IDと対応付けて情報処理装置500に送信する。
【0097】
ステップS206において、制御部301は、結合子B2に示すように、図14のステップS308で情報処理装置500から送信された更新指示を受信するまで処理を待機する。更新指示を受信すると、ステップS207において、制御部301は、結合子A3に示すように、受信した更新指示をアーム装置1に送信する。
【0098】
図14は、情報処理装置500の制御部501による処理を示すフローチャートである。以下のステップS301~S308は、対象となる1つの手術器具120に対して行われる。
【0099】
ステップS301において、制御部501は、結合子C1に示すように、図13のステップS205で制御装置3から送信された手術器具120の使用状況に関する情報を受信したか否かを判定する。手術器具120の使用状況に関する情報は、上述したように現在の使用回数である。受信された使用状況に関する情報には、手術器具IDが付与されている。制御部501は、使用状況に関する情報を受信した場合、ステップS302~S304の処理を実行し、使用状況に関する情報を受信していない場合、処理をステップS305に進める。
【0100】
ステップS302において、制御部501は、受信した手術器具120の使用状況に関する情報に基づいて、構成ファイル502aを更新する。具体的には、制御部501は、構成ファイル502aにおいて、手術器具IDに対応する現在の使用回数を、受信した現在の使用回数で更新する。
【0101】
ステップS303において、制御部501は、手術器具120の使用状態が使用限度に達したか否かを判定する。具体的には、制御部501は、構成ファイル502aの現在の使用回数が最大使用回数以上であるか否かを判定する。制御部501は、現在の使用回数が最大使用回数以上である場合、ステップS304の処理を実行し、現在の使用回数が最大使用回数未満である場合、処理をステップS305に進める。ステップS304において、制御部501は、構成ファイル502aにおいて、手術器具IDに対応する判定フラグの値を1に設定する。これにより、構成ファイル502aにおいて、手術器具IDと判定フラグの値とが関連付けられる。
【0102】
ステップS305において、制御部501は、閲覧端末400から手術器具120の判定画面610(図16、17参照)の表示指示を受け付けたか否かを判定する。判定画面610の表示指示は、手術器具IDを指定して行われる。制御部501は、判定画面610の表示指示を受け付けた場合、ステップS306の処理を実行し、判定画面610の表示指示を受け付けていない場合、処理をステップS307に進める。ステップS306において、制御部501は、判定画面表示処理を実行する。判定画面表示処理については、追って図15を参照して説明する。なお、制御部501は、ステップS301~S308の処理を継続的に実行しているため、オペレータは、判定画面の表示指示を任意のタイミングで入力することができる。
【0103】
ステップS307において、制御部501は、構成ファイル502aの判定フラグの値が1であるか否かを判定する。制御部501は、判定フラグの値が1である場合、ステップS308の処理を実行し、判定フラグの値が0である場合、処理をステップS301に戻す。ステップS308において、制御部501は、結合子B2に示すように、制御装置3に更新指示を送信する。ステップS308で送信される更新指示は、記憶情報124a内の判定フラグの値を1に更新する指示であり、判定フラグの値が1に設定された手術器具120の手術器具IDを含んでいる。
【0104】
ステップS308の更新指示の送信により、図12のステップS111において、アーム装置1の制御部141は、判定フラグの値が1となるよう対象の手術器具120の記憶情報124aを更新する。これにより、記憶情報124aにおいて、手術器具IDと判定フラグの値とが関連付けられる。
【0105】
図15は、図14のステップS306の判定画面表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【0106】
ステップS3061において、情報処理装置500の制御部501は、図14のステップS305で受信した表示指示において指定された手術器具IDに基づいて、対象の手術器具120の使用状況が使用限度内であるか否かを判定する。具体的には、制御部501は、構成ファイル502aの現在の使用回数が最大使用回数未満であるか否かを判定する。
【0107】
使用状況が使用限度内であると、ステップS3062において、制御部501は、構成ファイル502a内の対象となる手術器具120の判定フラグの値が0であるか否かを判定する。判定フラグの値が0である場合、ステップS3063において、制御部501は、手術器具120が使用可であることを示す判定画面610の情報を、閲覧端末400に送信する。閲覧端末400の制御部401は、判定画面610の情報を受信すると、表示部403に図16の上段に示す判定画面610を表示させる。図16の上段に示す判定画面610内の使用不可ボタン614が操作されると、閲覧端末400の制御部401は、使用不可ボタン614が操作されたことを示す情報を、情報処理装置500に送信する。
【0108】
ステップS3064において、情報処理装置500の制御部501は、図16の上段に示す判定画面610において使用不可ボタン614が操作されたことを示す情報を受信した否かを判定する。使用不可ボタン614が操作された場合、ステップS3065において、制御部501は、構成ファイル502a内の対象となる手術器具120の判定フラグの値を1に更新することにより、手術器具120に関する情報と、使用不可を示す判定結果とを関連付ける。
【0109】
他方、ステップS3061において使用状況が使用限度に達したと判定された場合、および、ステップS3062において判定フラグの値が1であると判定された場合、処理がステップS3066に進められる。ステップS3066において、制御部501は、手術器具120が使用不可であることを示す判定画面610の情報を、閲覧端末400に送信する。閲覧端末400の制御部401は、判定画面610の情報を受信すると、表示部403に図16の下段または図17に示す判定画面610を表示させる。
【0110】
図16、17は、閲覧端末400の表示部403に表示される判定画面610の構成を模式的に示す図である。
【0111】
図16、17に示す判定画面610は、手術器具情報表示領域611と、使用状況表示領域612と、使用可否表示領域613と、を備える。図16の上段に示す判定画面610は、さらに使用不可ボタン614を備える。手術器具情報表示領域611には、手術器具120の種類および手術器具IDが表示される。使用状況表示領域612には、手術器具120の現在の使用回数および最大使用回数が、それぞれ、分数の分子および分母の形式で表示される。
【0112】
図16の上段に示すように、手術器具120が使用可であることを示す判定画面610は、図15のステップS3061において使用状況が使用限度内であると判定され、かつ、ステップS3062において判定フラグの値が0であると判定された場合に表示される画面である。この場合、使用可否表示領域613に、「使用可」が表示される。閲覧端末400のオペレータが使用不可ボタン614を操作すると、情報処理装置500において図15のステップS3065が実行され、構成ファイル502a内の対象の手術器具120の判定フラグの値が1に設定される。
【0113】
操作装置2を操作する医師であるオペレータは、手術器具120の切れ味が悪くなったと感じた場合や、手術器具120の操作に違和感を持った場合、手術器具120に故障の可能性を感じた場合などに、図16の上段に示す判定画面610において、使用不可ボタン614を操作する。あるいは、操作装置2のオペレータは、閲覧端末400のオペレータに、使用不可ボタン614を操作するよう指示を与える。これにより、使用回数が最大使用回数に到達していない手術器具120が、使用不可の状態に設定される。
【0114】
図16の下段に示すように、使用回数により使用不可に設定されたことを示す判定画面610は、図15のステップS3061において使用状況が使用限度に達したと判定された場合に表示される画面である。この場合、使用可否表示領域613には、手術器具120の現在の使用回数が最大使用回数に到達していることが表示される。使用可否表示領域613には、「使用不可(使用回数上限)」が表示される。
【0115】
図17に示すように、オペレータにより使用不可に設定されたことを示す判定画面610は、図15のステップS3061において使用状況が使用限度内であると判定され、かつ、ステップS3062において判定フラグの値が1であると判定された場合に表示される画面である。この場合、使用可否表示領域613には、「使用不可(オペレータ判断)」が表示される。なお、図17に示す判定画面610に、一旦使用不可に設定した手術器具120を使用可に設定するための使用可ボタンを表示してもよい。その場合、オペレータにより使用可ボタンが操作されると、判定フラグの値が1から0に変更される。
【0116】
<実施形態1による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
使用限度(例えば、最大使用回数)まで再使用可能な手術器具120の管理方法において、情報処理装置500の制御部501は、手術用ロボット4による手術に使用された手術器具120の使用状況に関する情報(例えば、現在の使用回数)を取得し(図14のステップS301)、使用状況が使用限度内である手術器具120について(図15のステップS3061:YES)、使用不可を示す判定結果を取得し(図15のステップS3064:YES)、手術器具120に関する情報(例えば、手術器具ID)と判定結果とを関連付ける(図15のステップS3065)。
【0117】
この処理によれば、使用限度内の手術器具120であっても、当該手術器具120についての使用不可を示す判定結果を当該手術器具120に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。
【0118】
手術器具120が使用限度(例えば、最大使用回数)まで使用された場合(図14のステップS303:YES)、当該手術器具120は使用不可と判定される(図14のステップS304)。
【0119】
この処理によれば、使用限度まで使用された手術器具120についても、当該手術器具120の使用を適切に管理できる。
【0120】
アーム装置1の制御部141は、使用不可(判定フラグの値が1)と判定された手術器具120が手術用ロボット4に取り付けられた場合、アラートを出力する(図12のステップS105)。
【0121】
この処理によれば、使用不可と判定された手術器具120(例えば、使用期限内であっても使用しないことが好ましい手術器具120)が手術に使用されることを抑制し、手術の安全性を高めることができる。
【0122】
使用不可と判定された手術器具120が手術用ロボット4に取り付けられた場合、図12のステップS104においてNOと判定され、処理がステップS106以降に進められない。これにより、使用不可と判定された手術器具120が使用可能な手術器具120と交換されるまで、手術用ロボット4の稼働が禁止される。
【0123】
この処理によれば、使用不可と判定された手術器具120が誤って手術に使用されることをより確実に防止でき、手術の安全性を高めることができる。
【0124】
情報処理装置500の制御部501は、オペレータから、図16の使用不可ボタン614を介して、手術器具120の使用不可の指示を受け付けると、使用不可を示す判定結果を取得する(ステップS3064:YES)。
【0125】
この処理によれば、オペレータからの指示に応じて柔軟に手術器具120を使用不可に設定できる。このため、手術器具120の使用状況が使用限度を超えていない場合であっても、例えば手術用ロボット4のオペレータが手術器具120の切れ味が悪くなったと感じた場合、手術器具120の操作に違和感を持った場合、手術器具120に故障の可能性を感じた場合などに、オペレータの判断で手術器具120を使用不可にできる。
【0126】
使用状況に関する情報を表示する表示画面(例えば、図16の上段に示す判定画面610)において、手術器具120の使用不可の指示が受け付けられる。
【0127】
この処理によれば、手術器具120の使用状況を参考にした上で使用不可の指示を行うことができる。
【0128】
情報処理装置500の制御部501は、手術器具120が使用不可であることを示す図16の下段および図17の判定画面610の情報を、閲覧端末400に送信する(図15のステップS3066)。
【0129】
この処理によれば、手術器具120を使用する前などの任意のタイミングで、オペレータは、手術器具120の使用を控えた方がよいことを把握できる。よって、手術の安全性を高めることができる。
【0130】
なお、判定画面610に表示される手術器具120が使用不可であることを示す情報は、図16の下段および図17に示すように、手術器具120が使用不可であることを示すメッセージのほか、警告などの情報や、手術器具120の交換やメンテナンスが必要であることを示す情報などでもよい。
【0131】
情報処理装置500は、手術用ロボット4が設置される第1施設(例えば、図9の手術室がある医療施設)とは異なる第2施設(例えば、図9のサポートセンター)に設置され、情報処理装置500の通信部503は、第1施設に設置された手術用ロボット4と通信する。
【0132】
この構成によれば、第2施設に設置された情報処理装置500を用いて、第1施設に設置された手術用ロボット4における手術器具120の管理を行うことができる。
【0133】
<実施形態1の変更例>
実施形態1の構成ファイル502aは、図11に示したように、手術器具120の使用状況に関する情報として、現在の使用回数を含んだが、現在の使用回数に代えて、または、現在の使用回数に加えて、手術器具120がこれまでに使用された度合いを示す他の情報を含んでもよい。
【0134】
例えば、構成ファイル502aは、手術器具120の使用状況に関する情報として、例えば、アーム110に装着された累計時間(使用時間)、アーム110に装着された日の累計日数(使用日数)、手術器具120への電力供給期間の累計期間、手術器具120への電力供給のオン・オフの累積回数、手術器具120が最後に用いられてからの時間、使用された手術回数、手術器具120の操作回数(例えば、鋏型の鉗子の場合、切り取り操作の回数)、アーム110への着脱回数などを含んでもよい。
【0135】
構成ファイル502aに他の情報が記憶される場合、図10に示した手術器具120の記憶情報124aにも同様に他の情報が記憶されてもよい。アーム装置1の制御部141は、図12のステップS106、または、手術器具120が取り外されるタイミングで、記憶情報124aの他の情報を更新する。そして、ステップS109において、制御部141は、他の情報を手術器具120の使用状況に関する情報として、制御装置3を介して情報処理装置500に送信する。
【0136】
情報処理装置500の制御部501は、図14のステップS301において、手術器具120の使用状況に関する情報として他の情報を受信すると、ステップS302において、受信した他の情報に基づいて構成ファイル502aを更新する。そして、ステップS303において、制御部501は、他の情報に基づく使用状況が使用限度内であるか判定する。
【0137】
図18は、アーム110に装着された累計時間(使用時間)が記憶される場合の、構成ファイル502aの構成を模式的に示す図である。この場合、構成ファイル502aには、手術器具IDごとに手術器具120の使用時間が記憶される。情報処理装置500の制御部501は、図14のステップS303および図15のステップS3061において、現在の使用回数が最大使用回数未満であり、かつ、使用時間が最大使用時間未満であるか否かを判定する。最大使用時間は、予め構成ファイル502aに含まれてもよく、情報処理装置500の記憶部502に記憶されてもよい。
【0138】
図19は、アーム110に装着された累計時間(使用時間)が記憶される場合の、判定画面610を模式的に示す図である。図19の上段は、図16の上段と同様、使用可であることを示す判定画面610を示す図であり、図19の下段は、図16の下段と同様、使用時間により使用不可となったことを示す判定画面610を示す図である。
【0139】
図19の上段および下段の判定画面610には、使用状況表示領域612に、使用時間が表示されている。図19の上段では、使用回数および使用時間の両方が限度未満であったため、使用可否表示領域613に「使用可」が表示されている。図19の下段では、使用回数が最大使用回数未満であったものの、使用時間が最大使用時間(例えば、10時間)以上であったため、使用可否表示領域613に「使用不可(使用時間上限)」が表示されている。
【0140】
なお、以下の実施形態および変更例においても、使用状況に関する情報は、手術器具120の使用度合いを示す他の情報であってもよい。
【0141】
<実施形態2>
実施形態1では、オペレータが使用不可ボタン614を操作すると、手術器具120の使用状況が使用限度内であっても、当該手術器具120が使用不可に設定された。これに対し、実施形態2では、手術器具120の動作状況に関する情報に基づいて手術器具120の故障の可能性が検知された場合にも、同様に当該手術器具120が使用不可に設定される。すなわち、実施形態1ではオペレータにより使用不可の設定がされたが、実施形態2では、さらに情報処理装置500により自動で使用不可の設定がされる。
【0142】
図20は、実施形態2に係る、アーム装置1および手術器具120の構成を示すブロック図である。
【0143】
実施形態2のアーム装置1のアーム110は、複数の動作部150と、端子171と、複数の回転駆動部172と、を備える。アーム装置1は、上述したように4つのアーム110を備えているが、図20では、便宜上、1つのアーム110が図示されている。また、図20では、便宜上、アーム装置1の記憶部142、通信部143および複数のセンサ161の図示が省略されている。
【0144】
1つのアーム110は、1つの端子171と、4つの回転駆動部172と、複数の動作部150と、を備える。1つの動作部150は、モータ151と、モータ151の駆動量を出力するエンコーダ152と、を備える。回転駆動部172に対応する動作部150のモータ151は、回転駆動部172を駆動させる。端子171は、制御部141に接続されている。
【0145】
図20では、便宜上、把持鉗子である手術器具120が図示されている。図20に示す手術器具120は、端子126と、4つの駆動伝達部材127と、4つの軸128と、を備える。端子126は、記憶部124に接続されている。4つの軸128は、それぞれ、駆動伝達部材127に接続されている。
【0146】
手術器具120がアーム110に装着されると、アーム110の端子171と手術器具120の端子126とが互いに電気的に接続される。これにより、アーム装置1の制御部141は、端子171、126を介して、記憶部124から記憶情報124aを読み出すとともに、記憶情報124aの更新を行うことができる。
【0147】
また、手術器具120がアーム110に装着されると、アーム110の4つの回転駆動部172と手術器具120の4つの駆動伝達部材127とが機械的に接続される。この状態で、回転駆動部172に対応するモータ151が駆動されると、モータ151の駆動力が回転駆動部172および駆動伝達部材127を介して軸128に伝達され、軸128が駆動される。このとき、手術器具120の4つの軸128に対応する4つのエンコーダ152が出力する駆動量は、手術器具120の各軸128の動作、すなわち、手術器具120の実際の動作を反映したものとなる。
【0148】
実施形態1で説明したように、制御装置3は、操作装置2から受信した駆動指示を、アーム装置1用に変換して指令値を生成し、生成した指令値をアーム装置1に送信する。実施形態2では、アーム装置1の制御部141は、制御装置3から受信した指令値に基づいて各モータ151を駆動する。このとき、制御部141は、回転駆動部172に接続された動作部150のエンコーダ152から出力される駆動量を、現在値として制御装置3に送信する。制御装置3の制御部301は、指令値と、指令値に対応する現在値とを情報処理装置500に送信する。情報処理装置500の制御部501は、受信した指令値および現在値に基づいて、手術器具120の故障の可能性を判定する。
【0149】
図21は、実施形態2に係る、アーム装置1の制御部141による処理を示すフローチャートである。
【0150】
図21の処理は、図12に示した実施形態1の処理と比較して、ステップS107の後段に、ステップS121が追加されている。以下、実施形態1と異なる処理について説明する。
【0151】
ステップS107において、制御部141は、制御装置3から受信した指令値に基づいてモータ151を駆動し、アーム110および手術器具120を動作させる。ステップS121において、制御部141は、結合子B3に示すように、回転駆動部172に接続された動作部150のエンコーダ152から出力される駆動量を、現在値として制御装置3に送信する。制御部141は、ステップS101~S121の処理を、手術終了通知を受信するまで繰り返し行う。これにより、ステップS121の現在値の送信は、手術が行われている間、繰り返し行われる。ステップS121の送信は、例えば1秒間隔で行われる。
【0152】
図22は、実施形態2に係る、制御装置3の制御部301による処理を示すフローチャートである。
【0153】
図22の処理は、図13に示した実施形態1の処理と比較して、ステップS201の後段に、ステップS211、S212が追加されている。以下、実施形態1と異なる処理について説明する。
【0154】
ステップS211において、制御部301は、結合子B3に示すように、図21のステップS121で送信された現在値を受信する。続いて、ステップS212において、制御部301は、結合子C2に示すように、ステップS211で受信した現在値と、当該現在値に対応する指令値とを対応付けて、情報処理装置500に送信する。制御部301は、ステップS201~S212の処理を、オペレータが手術終了を入力するまで繰り返し行う。これにより、ステップS212の現在値および指令値の送信は、手術が行われている間、繰り返し行われる。ステップS212の送信は、例えば1秒間隔で行われる。
【0155】
図23は、実施形態2に係る、情報処理装置500の制御部501による処理を示すフローチャートである。
【0156】
図23の処理は、図14に示した実施形態1の処理と比較して、ステップS304の後段に、ステップS311、S312が追加されている。以下、実施形態1と異なる処理について説明する。
【0157】
制御部501は、結合子C2に示すように、図22のステップS212で送信された現在値および指令値を受信し、随時、情報処理装置500の記憶部502に記憶する。ステップS212で送信される現在値および指令値は、手術器具120の動作状況に関する情報である。また、制御部501は、結合子C3に示すように、図22のステップS203で制御装置3から手術終了の通知が送信された場合、当該終了の通知を受信する。そして、ステップS311において、制御部141は、制御装置3から手術終了通知を受信したか否かを判定する。手術終了通知を受信した場合、ステップS312において、制御部501は、図24に示す自動検知処理を実行する。
【0158】
図24は、図23のステップS312の自動検知処理の詳細を示すフローチャートである。図24の処理は、1回の手術の間に記憶部502に記憶された現在値および指令値に基づいて、手術器具120ごとに行われる。
【0159】
ステップS3121において、情報処理装置500の制御部501は、対象の手術器具120の使用状況が使用限度内であるか否かを判定する。使用状況が使用限度内でないと、ステップS3122~S3127の処理がスキップされる。
【0160】
使用状況が使用限度内であると、ステップS3122において、制御部501は、構成ファイル502a内の対象となる手術器具120の判定フラグの値が0であるか否かを判定する。判定フラグの値が0である場合、処理がステップS3123に進められ、判定フラグの値が1である場合、ステップS3123~S3127の処理がスキップされる。
【0161】
ステップS3123において、制御部501は、組となる現在値および指令値との差分を算出する。指令値に従って正常に手術器具120が動作した場合、通常、現在値と指令値との差分はゼロになる。ステップS3124において、制御部501は、軸128(図20参照)ごとに、ステップS3123で算出した複数の差分の平均値を算出する。ステップS3125において、制御部501は、ステップS3124で算出した軸128ごとの差分の平均値を、当該手術器具120の現在の使用回数と対応付けて記憶部502に記憶する。
【0162】
ステップS3126において、制御部501は、前回の差分の平均値と今回の差分の平均値との差分が閾値よりも大きい軸128があるか否かを判定する。4つのうち1以上の軸128において上記差分が閾値より大きいと、ステップS3127において、制御部501は、判定フラグの値が1となるよう対象の手術器具120の構成ファイル502aを更新することにより、手術器具120に関する情報と、使用不可を示す判定結果とを関連付ける。他方、全ての軸128において上記差分が閾値以下であると、ステップS3127の処理がスキップされる。
【0163】
図25は、自動検知処理における演算処理の詳細を模式的に示す図である。
【0164】
図25の上段に示すように、記憶部502は、軸128ごとに、時系列に沿って受信された現在値および指令値を記憶している。図24のステップS3123では、同時に受信された組となる現在値と指令値との差分が、各組に対応して算出される。これにより、軸128ごとに、時系列に沿った複数の差分が取得される。
【0165】
図25の中段に示すように、図24のステップS3124では、軸128ごとに、時系列に沿った複数の差分が平均され、差分の平均値が算出される。図24のステップS3125では、軸128ごとの差分の平均値が、当該手術器具120の現在の使用回数に対応付けて記憶される。これにより、図25の下段の表に示すように、使用回数に対応付けて、差分の平均値が軸128ごとに記憶される。
【0166】
図24のステップS3126では、各軸128において、今回の差分の平均値と、前回の差分の平均値との差分が取得され、当該差分が閾値より大きいか否かが判定される。図25の下段に示す例では、今回(使用回数=5)の差分の平均値0.005と、前回(使用回数=4)の差分の平均値0.001との差分0.004が取得され、この差分0.004が、予め記憶部502に記憶された閾値より大きいか否かが判定される。ステップS3126で用いられる閾値は、手術器具120の種類および軸128ごとに予め設定され、記憶部502に記憶されている。このように、今回の差分の平均値と前回の差分の平均値との差分が判定に用いられると、手術器具の故障の可能性の検知が可能になる。
【0167】
なお、本実施形態では、1回の手術毎に差分の平均値を算出しているが、例えば、1回の手術内の所定期間毎に差分の平均値を算出してもよい。また、本実施形態では、自動検知処理は手術終了後に実行されるが、手術中に実行してもよい。また、自動検知処理は、手術中に複数回、例えば所定期間毎(例えば、1秒毎)に実行してもよい。
【0168】
次に、実施形態2において表示される判定画面610について説明する。
【0169】
図23に示す実施形態2のステップS306の判定画面表示処理は、図15に示した実施形態1の判定画面表示処理と同様である。実施形態2では、図15のステップS3063において、実施形態1と同様、図16の上段に示した判定画面610が表示される。また、図15のステップS3066では、使用状況が使用限度内であると判定され、かつ、判定フラグの値が1であると判定された場合の判定画面610として、図26の判定画面610が表示される。
【0170】
図26の判定画面610は、使用可否表示領域613に「使用不可」が表示されており、使用可否表示領域613には、図17の判定画面610と異なり、使用不可となった理由は表示されない。この理由は、オペレータにより使用不可が設定された場合と、自動検知処理により使用不可が設定された場合とで、判定フラグの値が1に設定され、両者の区別が記憶されなかったためである。これに対し、両者を区別可能なフラグが構成ファイル502aに記憶される例については、追って実施形態4を参照して説明する。
【0171】
<実施形態2による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態2では、上記実施形態1の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0172】
情報処理装置500の制御部501は、手術器具120の使用状況に関する情報(例えば、現在の使用回数)を取得し(図23のステップS301)、使用状況が使用限度内である手術器具120について(図24のステップS3121:YES)、使用不可を示す判定結果を取得し(図24のステップS3126:YES)、手術器具120に関する情報(例えば、手術器具ID)と判定結果とを関連付ける(図24のステップS3127)。
【0173】
この処理においても、使用限度内の手術器具120であっても、当該手術器具120についての使用不可を示す判定結果を当該手術器具120に関する情報に関連付けて管理できる。このため、使用限度内か否かという単一の条件に基づいた画一的な判断が行われることが抑制され、手術の安全性を高めることができる。
【0174】
使用不可を示す判定結果の取得は、複数種類の条件の少なくとも一つに基づいて判定可能である。具体的には、使用不可を示す判定結果は、オペレータから使用不可ボタン614を介して手術器具120の使用不可の指示を受け付けたこと、および、情報処理装置500により自動で使用不可が検知されたこと、に基づいて取得可能である。
【0175】
この構成によれば、手術の安全性を更に高めることができる。
【0176】
使用不可を示す判定結果は、手術器具120の動作状況に関する情報(例えば、現在値および指令値)に基づいて取得することができる。
【0177】
この構成によれば、手術器具120の故障予知に応じて柔軟に手術器具120を使用不可と判断することができる。そのため、例えば、オペレータでは外観から目視で気付かないような故障の可能性が、動作状況に関する情報に基づいて検知された場合に、その手術器具120を使用不可にできる。
【0178】
<実施形態3>
実施形態3では、実施形態2と比較して、オペレータにより使用不可が設定される処理が省略される。
【0179】
図27は、実施形態3に係る、情報処理装置500の制御部501による処理を示すフローチャートである。
【0180】
図27の処理は、図23に示した実施形態2の処理と比較して、ステップS305、S306の処理が省略されている。したがって、実施形態3では、オペレータにより判定画面610を介して手術器具120の使用不可が入力されない。
【0181】
なお、実施形態3において、実施形態2と同様に図23の処理が実行され、図15に示した判定画面表示処理のS3063において、使用不可ボタン614が省略された判定画面610の情報が、閲覧端末400に送信されてもよい。この場合、図15において、ステップS3064、S3065の処理が省略される。また、この場合、使用状況が使用限度内であり、かつ、判定フラグの値が1であると判定された場合は、自動検出処理によって使用不可に設定された場合に限られる。したがって、図15のステップS3066に基づいて、図28の判定画面610が表示される。
【0182】
図28の判定画面610は、使用可否表示領域613に「使用不可(自動検知)」が表示されている。
【0183】
実施形態3においても、実施形態1、2と同様、使用限度内の手術器具120であっても、当該手術器具120についての使用不可を示す判定結果を当該手術器具120に関する情報に関連付けて管理できる。
【0184】
<実施形態4>
実施形態2では、オペレータまたは自動検出処理によって使用不可が設定された場合に、図26に示したように、使用不可となった理由が判定画面610に表示されなかった。これに対し、実施形態4では、上記のような場合でも使用不可となった理由が判定画面610に表示される。実施形態4では、使用不可の理由を区別するために、例えば、図29に示すように構成ファイル502aが構成される。
【0185】
図29は、実施形態4に係る、構成ファイル502aの構成を模式的に示す図である。
【0186】
図29の構成ファイル502aには、図11の構成ファイル502aと比較して、使用不可の要因の項目が追加されている。使用不可の要因の項目には、使用回数が最大使用回数に達したことを示す「001」、オペレータによって使用不可が設定されたことを示す「010」、および、自動検出処理により使用不可が設定されたことを示す「011」の何れかの値が記憶される。初期状態において、使用不可の要因の項目の値は「000」である。
【0187】
この場合、情報処理装置500の制御部501は、図23のステップS304において、構成ファイル502aの判定フラグの値に1を設定するとともに、構成ファイル502aの使用不可の要因の値に「001」を設定する。また、制御部501は、図24に示した自動検知処理のステップS3127において、構成ファイル502aの判定フラグの値に1を設定するとともに、構成ファイル502aの使用不可の要因の値に「011」を設定する。また、制御部501は、図15に示した判定画面表示処理のステップS3065において、構成ファイル502aの判定フラグの値に1を設定するとともに、構成ファイル502aの使用不可の要因の値に「010」を設定する。図15に示した判定画面表示処理において、使用不可の要因の値に「001」、「010」、「011」が設定されている場合、それぞれ、図16の下段、図17図28に示した判定画面610が、閲覧端末400の表示部403に表示される。
【0188】
なお、手術器具120が使用不可となった要因が、オペレータによる使用不可の設定および自動検出処理による使用不可の設定のいずれであるかを区別できるよう、構成ファイル502aが他の項目を記憶してもよい。
【0189】
例えば、図30の構成ファイル502aには、図29の構成ファイル502aと比較して、使用不可の要因に代えて、フラグAおよびフラグBの項目が追加されている。フラグAの項目には、オペレータにより使用不可が設定されたことを示す「1」、および、オペレータにより使用不可が設定されていないことを示す「0」の何れかの値が記憶される。フラグBの項目には、自動検出処理により使用不可が設定されたことを示す「1」、および、自動検出処理により使用不可が設定されていないことを示す「0」の何れかの値が記憶される。この場合も、使用不可の理由に応じて、判定画面610を切り替えることができる。
【0190】
<実施形態4による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態4では、上記実施形態1~3の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0191】
図29、30に例示した構成ファイル502aの更新において、手術器具120が使用限度まで使用されたことにより使用不可と判定されたか、使用状況が使用限度内である手術器具120について使用不可を示す判定結果が取得されたかが判別可能となるように、手術器具120に関する情報と判定結果とが関連付けられる。
【0192】
この構成によれば、手術器具120が使用不可と判定された要因を区別できる。例えば、手術器具120の使用回数や使用期間が上限に達したことで手術器具120が使用不可とされたのか、手術器具120の使用回数や使用期間が上限に達する前に故障の可能性が検知されたことで手術器具120が使用不可とされたのかを区別できる。
【0193】
図29、30に例示した構成ファイル502aの更新において、使用不可を示す判定結果が、オペレータからの手術器具120の使用不可の指示に基づいて取得されたか、手術器具120の動作状況に関する情報に基づいて取得されたかが判別可能となるように、手術器具120に関する情報と判定結果とが関連付けられる。
【0194】
この構成によれば、オペレータは、オペレータの指示および動作状況のいずれにより手術器具120が使用不可と判定されたかを区別できる。
【0195】
<実施形態5>
実施形態5では、閲覧端末400の表示部403に、手術器具120を条件に応じて抽出し、抽出した手術器具120の一覧を表示するための画面が表示される。また、実施形態5では、実施形態1~4と比較して、構成ファイル502aにさらに他の項目が記憶される。
【0196】
図31は、実施形態5に係る、情報処理装置500の制御部501による抽出画面620の表示に関する処理を示すフローチャートである。
【0197】
ステップS401において、制御部501は、閲覧端末400から手術器具120の抽出画面620の表示指示を受け付けたか否かを判定する。抽出画面620の表示指示を受け付けると、ステップS402において、制御部501は、抽出画面620の情報を閲覧端末400に送信する。これにより、閲覧端末400の表示部403に、抽出画面620が表示される。抽出画面620については、追って図33を参照して説明する。
【0198】
ステップS403において、制御部501は、抽出画面620で使用不可ボタン626が操作されたことを受け付けたか否かを判定する。使用不可ボタン626が操作されると、ステップS404において、制御部501は、抽出画面620に表示された全ての手術器具120について、構成ファイル502aの判定フラグの値を1に設定する。その後、ステップS405において、制御部501は、制御装置3を介して、アーム装置1に更新情報を送信する。ステップS405で送信される更新情報は、記憶情報124a内の判定フラグの値を1に更新する指示であり手術器具IDを含んでいる。アーム装置1は、更新情報を受信すると、更新情報に含まれる手術器具IDに対応する手術器具120について、記憶情報124a内の判定フラグの値を1に設定する。
【0199】
図32は、実施形態5に係る、構成ファイル502aの構成を模式的に示す図である。
【0200】
図32の構成ファイル502aには、図11の構成ファイル502aと比較して、メーカーの項目が追加されている。メーカーの項目には、手術器具120の製造者を特定できる文字列(例えば、メーカー名やメーカーID)が記憶される。
【0201】
図33は、閲覧端末400の表示部403に表示される抽出画面620の構成を模式的に示す図である。
【0202】
抽出画面620は、プルダウンメニュー621~623と、抽出ボタン624と、抽出結果表示領域625と、使用不可ボタン626と、を備える。
【0203】
閲覧端末400のオペレータは、プルダウンメニュー621~623を操作することにより、それぞれ、構成ファイル502aから抽出する手術器具120のメーカー、手術器具120の種類および手術器具IDの範囲を選択する。抽出ボタン624が操作されると、プルダウンメニュー621~623で選択された条件が情報処理装置500に送信され、情報処理装置500において、判定フラグの値が0、かつ、受信した条件で、構成ファイル502aの内容が抽出される。そして、情報処理装置500で取得された抽出結果が、閲覧端末400に送信され、抽出画面620の抽出結果表示領域625に表示される。
【0204】
使用不可ボタン626が操作されると、抽出結果表示領域625に表示された全ての手術器具120について、構成ファイル502aおよび記憶情報124a内の判定フラグの値が1に設定される。
【0205】
なお、図32に示す構成ファイル502aは、図34に示すように構成されてもよい。
【0206】
図34の構成ファイル502aには、図32の構成ファイル502aと比較して、ロット番号の項目が追加されている。ロット番号の項目には、手術器具120のロット番号を示す文字列が記憶される。
【0207】
図34に示すように構成ファイル502aが構成される場合、図33に示した抽出画面620は、例えば、図35に示すように構成される。
【0208】
図35の抽出画面620は、図33の抽出画面620と比較して、プルダウンメニュー623に代えてプルダウンメニュー627が追加されている。閲覧端末400のオペレータは、プルダウンメニュー627を操作することにより、構成ファイル502aから抽出する手術器具120のロット番号を選択する。この場合も、抽出ボタン624が操作されると、判定フラグの値が0、かつ、プルダウンメニュー621、622、627で選択された条件で構成ファイル502aの内容が抽出され、抽出結果が抽出結果表示領域625に表示される。また、使用不可ボタン626が操作されると、抽出結果表示領域625に表示された全ての手術器具120が使用不可に設定される。
【0209】
<実施形態5による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態5では、上記実施形態1~4の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0210】
図31に示したように、制御部501は、手術のタイミングとは関係なく抽出画面620の表示指示を受け付ける。これにより、閲覧端末400のオペレータは、任意のタイミングで抽出画面620を利用できる。また、使用不可ボタン626の操作により、抽出結果表示領域625に表示された1以上の手術器具120が一括で使用不可に設定される。これにより、閲覧端末400のオペレータは、メーカー、種類、手術器具IDの範囲、ロット番号などの単位で、該当する手術器具120を円滑に使用不可に設定できる。
【0211】
<実施形態6>
実施形態1、2では、オペレータが閲覧端末400に表示される判定画面610を介して、手術器具120を使用不可に設定した。これに対し、実施形態6では、操作装置2のオペレータが操作装置2に表示される判定画面610を介して、手術器具120を使用不可に設定する。
【0212】
図36は、実施形態6に係る、操作装置2の制御部241による処理を示すフローチャートである。
【0213】
アーム装置1の制御部141は、手術器具120がアーム110に装着されていることを検知すると、操作装置2に対して、手術器具120を検知したことを示す通知を送信する。この通知には、検出された手術器具120の手術器具IDが含まれる。
【0214】
操作装置2の制御部241は、ステップS501において、アーム装置1から手術器具120の検知の通知を受信すると、ステップS502において、通知に含まれる手術器具IDに基づいて情報処理装置500に問い合わせを行い、当該手術器具IDに対応した判定フラグの値を取得する。
【0215】
ステップS503において、制御部241は、ステップS502の問い合わせにより取得した判定フラグの値が0であるか否か、すなわち当該手術器具120が今後継続して使用可能であるか否かを判定する。
【0216】
判定フラグの値が1であると、ステップS504において、制御部241はアラートを出力する。アラートの出力は、例えば、操作装置2のビューア211(図4参照)にアラート画面を表示させること、操作装置2に設置されたスピーカからアラーム音を出力すること、操作装置2に設置されたランプを点灯させること、などである。アラートの出力後、アラートの取り消しの入力または所定の時間の経過によって、処理がステップS501に戻される。
【0217】
ステップS501においてアーム装置1から手術器具120の検知の通知を受信していない場合、および、ステップS503において判定フラグの値が0である場合、処理がステップS505に進められる。
【0218】
ステップS505において、制御部241は、操作装置2のオペレータにより操作パネル204(図4参照)を介して、判定画面の表示指示が入力されたか否かを判定する。判定画面の表示指示を受け付けると、ステップS506において、制御部241は、判定フラグの値が0のとき、図16の上段に示す判定画面610をビューア211に表示し、判定フラグの値が1のとき、図26に示す判定画面610をビューア211に表示する。
【0219】
図16の上段に示す判定画面610が表示された場合、操作装置2のオペレータは、操作パネル204を操作することにより、使用不可ボタン614(図16の上段参照)を操作できる。ステップS507では、制御部241は、使用不可ボタン614が操作されたか否かを判定する。使用不可ボタン614が操作された場合、ステップS508において、制御部241は、当該手術器具120の判定フラグの値を1に変更するよう、対象となる手術器具120の手術器具IDを含む指示を情報処理装置500に送信する。情報処理装置500の制御部501は、この指示を受信すると、構成ファイル502aにおいて、指示に含まれる手術器具IDに対応する判定フラグの値を1に変更する。
【0220】
なお、制御部241は、ステップS507において使用不可ボタン614が操作された場合にステップS508の処理を行ったが、これに限らず、例えば、ハンドコントローラ220またはフットユニット230に対して所定の操作が行われた場合に、ステップS507の判定結果を肯定としてステップS508の処理を行ってもよい。また、使用不可ボタン614は、アーム装置1の操作部102に表示されてもよい。この場合、アーム装置1の制御部141が上記のステップS505~S508の処理を実行し、操作部102を介して使用不可ボタン614の操作を受け付けてもよい。
【0221】
<実施形態6による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態6では、上記実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0222】
操作装置2のオペレータである医師は、手術の実行中に、操作パネル204を操作することにより、図16の上段および図26に示す判定画面610をビューア211に表示できる。そして、オペレータである医師は、判定画面610の使用不可ボタン614を操作することにより、故障の可能性を感じた手術器具120を使用不可に設定できる。これにより、手術の実行中に故障の可能性がある手術器具120を、迅速に使用不可に設定できる。
【0223】
<実施形態7>
実施形態7では、使用可能な手術器具120が、情報処理装置500の在庫DBによって管理され、在庫DBに基づく使用可能な手術器具120の在庫量が、閲覧端末400の表示部403に表示される。
【0224】
図37は、実施形態7に係る、手術用ロボット4および情報処理装置500等の接続および各装置間で送受信される情報の概要を示す図である。図37の構成は、図9に示した実施形態1の構成と比較して、情報処理装置500の記憶部502に在庫DB502bが記憶されている。
【0225】
図38は、実施形態7に係る、情報処理装置500の記憶部502に記憶される構成ファイル502aの構成を模式的に示す図である。図38の構成ファイル502aは、図11に示した実施形態1の構成ファイル502aと比較して、使用開始日時およびコメントの項目を含む。コメントの項目の表示については、追って図44、45を参照して説明する。
【0226】
図39は、在庫DB502bの構成を模式的に示す図である。在庫DB502bは、手術器具120の種類、種類に対応する手術器具120の全個数、および、種類に対応する手術器具120の使用可能な個数の項目を含む。
【0227】
図40は、情報処理装置500の制御部501による在庫DB502bの更新処理を示すフローチャートである。
【0228】
ステップS601において、制御部501は、構成ファイル502aに変化があるか否かを判定する。構成ファイル502aに変化があると、ステップS602において、制御部501は、構成ファイル502aにおいて判定フラグの値が1となっている手術器具120の数を種類ごとにカウントする。ステップS603において、制御部501は、ステップS602で取得したカウント数に基づいて在庫DB502bを更新する。具体的には、制御部501は、種類ごとの手術器具120の全個数から、ステップS603で取得した種類ごとのカウント数を減算し、種類ごとに使用可能な手術器具120の数を取得する。そして、制御部501は、種類ごとの使用可能な手術器具120の数に基づいて、在庫DB502bを更新する。
【0229】
図41は、情報処理装置500の制御部501による在庫管理画面の表示処理を示すフローチャートである。
【0230】
ステップS611において、制御部501は、閲覧端末400から在庫管理画面の表示指示を受け付けたか否かを判定する。在庫管理画面の表示指示を受け付けると、制御部501は、ステップS612において、在庫DB502bから情報を読み出し、ステップS613において、在庫DB502bから読み出した情報に基づいて、手術器具120の在庫量の一覧画面630の情報を閲覧端末400に送信する。そして、閲覧端末400の制御部401は、図42の上段に示す一覧画面630を表示部403に表示する。
【0231】
図42の上段に示すように、在庫量の一覧画面630は、手術器具120の種類ごとにボタン631を表示する。ボタン631の上方には、手術器具120の種類名が表示され、ボタン631の内側には、使用可能な手術器具120の数が表示される。一覧画面630において、オペレータによりボタン631が操作されると、閲覧端末400の制御部401は、手術器具120の種類を示す情報を情報処理装置500に送信する。
【0232】
図41に戻り、ステップS614において、情報処理装置500の制御部501は、閲覧端末400から手術器具120の種類の指定を受け付けたか否かを判定する。手術器具120の種類の指定を受け付けると、制御部501は、ステップS615において、指定された種類に基づいて構成ファイル502aから情報を読み出し、ステップS616において、指定された種類の手術器具120の一覧画面640の情報を閲覧端末400に送信する。そして、閲覧端末400の制御部401は、図42の下段に示す一覧画面640を表示部403に表示する。
【0233】
図42の下段に示すように、一覧画面640は、対象種類の手術器具120の一覧を示す一覧表示領域641を備える。一覧表示領域641は、使用の状態を示す項目と、手術器具IDの項目と、使用回数の項目と、を含む。使用の状態を示す項目には、手術器具120が使用可能な状態であることを示すアイコン641aと、オペレータまたは自動検出処理によって使用不可が設定されたことを示すアイコン641bと、最大使用回数に到達したことを示すアイコン641cと、が表示される。図42の下段に示す一覧画面640は、図42の上段において鉗子Aに対応するボタン631が操作された場合に表示される画面例である。一覧画面640において、オペレータにより、手術器具120に対応する行が操作されると、閲覧端末400の制御部401は、手術器具IDを含む情報を情報処理装置500に送信する。
【0234】
図41に戻り、ステップS617において、情報処理装置500の制御部501は、閲覧端末400から手術器具120の指定を受け付けたか否かを判定する。手術器具120の指定を受け付けると、制御部501は、ステップS618において、指定された手術器具120に基づいて構成ファイル502aから情報を読み出し、ステップS619において、指定された手術器具120のステータス画面表示処理を実行する。
【0235】
図43は、図41のステップS619のステータス画面表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【0236】
ステップS6191において、制御部501は、図41のステップS618で読み出した情報に基づいて、ステータス画面の情報を閲覧端末400に送信する。これにより、図44、45に示すステータス画面650が、閲覧端末400の表示部403に表示される。
【0237】
図44、45に示すように、ステータス画面650は、手術器具情報表示領域651と、使用状況表示領域652と、経過時間表示領域653と、OKボタン654と、を備える。手術器具情報表示領域651には、手術器具120の種類および手術器具IDが表示される。使用状況表示領域652には、手術器具120の現在の使用回数および最大使用回数と、使用開始日とが表示される。また、使用状況表示領域652は、使用不可ボタン652aと、使用中ボタン652bと、コメント領域652cと、を備える。閲覧端末400のオペレータは、入力部404(図9参照)を操作して、コメント領域652cにコメントを入力する。
【0238】
経過時間表示領域653には、当該手術器具120の装着時間および通電時間が表示される。この場合、アーム装置1から送信される使用状況に関する情報には、装着時間や通電時間などが含まれる。情報処理装置500の制御部501は、これらの情報に基づいて経過時間表示領域653の表示内容を生成する。
【0239】
図44の上段のステータス画面650は、手術器具120が使用可能である場合に表示される。この場合、使用不可ボタン652aは操作可能であるが、使用中ボタン652bは操作不可能な状態である。図44の下段のステータス画面650は、オペレータまたは自動検出処理によって手術器具120が使用不可に設定された場合に表示される。この場合、使用中ボタン652bは操作可能であるが、使用不可ボタン652aは操作不可能な状態である。図45に示すステータス画面650は、手術器具120の使用状況が使用限度に達している場合に表示される。この場合、使用不可ボタン652aおよび使用中ボタン652bは省略される。
【0240】
図43に戻り、制御部501は、ステップS6192において、図44の上段のステータス画面650において使用不可ボタン652a、または、図44の下段のステータス画面650において使用中ボタン652bが操作されたか否かを判定する。
【0241】
使用不可ボタン652aが操作された場合、制御部501は、ステップS6193において、対象となる手術器具120の判定フラグの値が1となるよう構成ファイル502aを更新し、ステップS6194において、当該手術器具120の種類について使用可能数が1だけ小さくなるよう在庫DB502bを更新する。一方、使用中ボタン652bが操作された場合、制御部501は、ステップS6193において、対象となる手術器具120の判定フラグの値が0となるよう構成ファイル502aを更新し、ステップS6194において、当該手術器具120の種類について使用可能数が1だけ大きくなるよう在庫DB502bを更新する。
【0242】
ステップS6195において、制御部501は、図44、45のステータス画面650において、コメント領域652cにコメントが入力された状態でOKボタン654が操作されたか否かを判定する。コメントが入力された状態でOKボタン654が操作された場合、制御部501は、ステップS6196において、入力されたコメントを、構成ファイル502a内の対象となる手術器具120のコメントの項目に記憶する。なお、OKボタン654が操作された後、ステータス画面650は消去されてもよいし、表示されたままにしておき、更なるコメントの入力を受け付けてもよい。
【0243】
<実施形態7による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態7では、上記実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0244】
情報処理装置500の制御部501は、手術器具120の使用不可に関するオペレータからのコメントを、コメント領域652cを介して受け付け、受け付けたコメントを手術器具120に対応付けて構成ファイル502aに記憶する。
【0245】
この処理によれば、手術器具120がオペレータによって使用不可とされた理由として、例えば、図44の下段に示すように「切れ味が悪い」などをメモとして残すことができる。これにより、複数のオペレータが存在する場合に、複数のオペレータ間でコメントを共有できる。
【0246】
図42に示した一覧画面630、640に、判定フラグに基づいて、手術器具120の在庫に関する情報(例えば、使用可能数および全個数など)が表示される。
【0247】
この処理によれば、使用可否の判定結果を反映して、手術器具120の在庫に関する情報を提供できる。これにより、実際に使用可能な手術器具120の量などを示す正確な在庫情報を提供できる。
【0248】
一覧画面630、640などに表示される在庫に関する情報は、使用可能な状態にある手術器具120の数に関する情報を含む。
【0249】
この構成によれば、実際に使用可能である手術器具120の数を把握できるため、手術器具120が不足しているか否かを容易に確認できる。
【0250】
<実施形態7の変更例>
図44、45に示したステータス画面650は、図46に示すように構成されてもよい。
【0251】
図46に示すステータス画面650は、図44、45と比較して、コメント領域652cに代えて2つのコメント領域652dを備える。コメント領域652dは、複数のコメントが選択可能となるプルダウンメニューにより構成されている。
【0252】
閲覧端末400のオペレータは、コメント領域652dを操作することにより、簡便にコメントを入力できる。
【0253】
図42の上段に示した在庫量の一覧画面630は、図47に示すように構成されてもよい。
【0254】
図47に示す在庫量の一覧画面630は、図42と比較して、切替スイッチ632を備える。切替スイッチ632は、一覧画面630における使用可能な手術器具120の表示状態をオンとオフの何れかに設定可能なスイッチである。切替スイッチ632がオンに設定されると、図47の上段に示すように、ボタン631内に、対象となる種類の使用可能な手術器具120の数が表示される。他方、切替スイッチ632がオフに設定されると、図47の下段に示すように、ボタン631内に、対象となる種類の手術器具120の全個数が表示される。
【0255】
閲覧端末400のオペレータは、切替スイッチ632を操作することにより、使用可能数および全個数の両方を円滑に把握できる。
【0256】
図39に示した在庫DB502bは、図48に示すように構成されてもよい。
【0257】
図48に示す在庫DB502bは、図39と比較して、残回数1回の個数、残回数2回の個数、残回数3回以上の個数、最大使用回数に達した個数、および、使用不可ボタンが操作された個数の項目を含む。残回数とは、最大使用回数から現在の使用回数を減算した回数である。使用不可ボタンが押された個数とは、判定画面610の使用不可ボタン614(図16、19の上段参照)、抽出画面620の使用不可ボタン626(図33、35参照)、ステータス画面650の使用不可ボタン652a(図44、46参照)が操作されたことにより、判定フラグの値が1に設定された手術器具120の数である。
【0258】
図48のように在庫DB502bが構成されることにより、在庫DB502bに基づいて、図49に示す在庫量の一覧画面660を、閲覧端末400の表示部403に円滑に表示させることができる。
【0259】
図49の在庫量の一覧画面660は、複数の円グラフ661を備える。1つの円グラフ661は、手術器具120の1つの種類に対応して表示される。円グラフ661の外周領域には、使用不可ボタンが操作された手術器具120の数、最大使用回数に達した手術器具120の数、残回数1回の手術器具120の数、残回数2回の手術器具120の数、および、残回数3回以上の手術器具120の数に、それぞれ対応する領域661aが表示される。各領域661aの面積は各個数の比率に対応しており、各領域661aは、異なる色や模様で表示される。また、円グラフ661の中心領域には、当該種類の手術器具120の全個数が表示される。
【0260】
閲覧端末400のオペレータは、一覧画面660を参照することにより、手術器具120の使用状況を視覚的に把握できる。また、一覧画面660に表示される在庫に関する情報は、使用不可と判定された手術器具120の数または割合に関する情報を含む。この構成によれば、在庫にある手術器具120のうちどの程度の数の手術器具120が使用不可となっているのかを把握できる。
【0261】
なお、図49に示す一覧画面660は、図48の在庫DB502bに基づいて生成されることに代えて、構成ファイル502aの内容が抽出されることにより生成されてもよい。
【0262】
<実施形態8>
実施形態1~7の閲覧端末400は、医療施設に配置されたが、実施形態6の閲覧端末は、医療施設だけでなく、手術用ロボット4や手術器具120を製造または販売した企業のサポートセンターにも配置される。
【0263】
図50は、実施形態8に係る、各装置の接続の概要を示す図である。
【0264】
サポートセンターは、複数の医療施設に設置された手術用ロボット4や、複数の医療施設で使用される手術器具120の管理を行っている。サポートセンター内の閲覧端末410は、医療施設の閲覧端末400と同様の構成を備え、閲覧端末400と同様の処理を行うことができる。これにより、サポートセンターのオペレータは、構成ファイル502aや在庫DB502bに基づく画面を、閲覧端末410の表示部403(図8参照)に表示させることができる。
【0265】
閲覧端末410に関する構成および処理を除いて、実施形態8の構成および処理は、上記実施形態と同様である。したがって、サポートセンターのオペレータは、例えば、閲覧端末410に表示された判定画面610、抽出画面620およびステータス画面650などの使用不可ボタンを操作して、手術器具120を使用不可に設定できる。
【0266】
ここで、医療施設は、使用限度まで使える前提で手術器具120の代金を企業に支払うことがある。この場合、手術室内のオペレータや自動検出処理によって、手術器具120が使用不可に設定されると、結果的に医療施設は、実際に使用した期間を超えた未使用の期間に対して代金を支払ったことになってしまう。このため、使用限度に達する前に使用不可に設定された手術器具120について、企業は、医療施設等に対して購入費用の補償を行うことがある。この場合、サポートセンターのオペレータは、サポートセンター内の閲覧端末410を操作して、後述する補償画面670を表示部403に表示し、補償が必要な手術器具120を確認する。
【0267】
図51は、情報処理装置500の制御部501による補償画面670の表示処理を示すフローチャートである。
【0268】
ステップS701において、制御部501は、閲覧端末410から補償画面670の表示指示を受け付けたか否かを判定する。補償画面670の表示指示を受け付けると、ステップS702において、制御部501は、構成ファイル502aを読み出して、使用不可に設定された手術器具120、例えば、使用状況が使用限度内、かつ、判定フラグの値が1である手術器具120を抽出する。続いて、ステップS703において、制御部501は、抽出した手術器具120の情報に基づいて、補償画面670の情報を閲覧端末410に送信する。これにより、閲覧端末410の表示部403に、図52に示す補償画面670が表示される。
【0269】
図52は、閲覧端末410の表示部403に表示される補償画面670の構成を模式的に示す図である。
【0270】
補償画面670は、プルダウンメニュー671、672と、抽出ボタン673と、結果表示領域674と、を備える。補償画面670の初期状態では、図51のステップS702の処理により、プルダウンメニュー621において、使用状況が使用限度内の手術器具120を表示させるための項目が選択され、プルダウンメニュー672において、判定フラグの値が1である手術器具120を表示させるための項目が選択される。これにより、結果表示領域674には、使用状況が使用限度内、かつ、判定フラグの値が1である手術器具120の情報が表示される。
【0271】
プルダウンメニュー671には、使用状況を選択するための項目が設定されており、プルダウンメニュー672には、使用可否を設定するための項目が設定されている。使用可否は、判定フラグの値に対応する。サポートセンターのオペレータが、プルダウンメニュー671、672の項目を選択して抽出ボタン673を操作すると、結果表示領域674に、プルダウンメニュー671、672の選択項目に対応する手術器具120の情報が表示される。
【0272】
<実施形態8による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態8では、上記実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0273】
図52に示したように、閲覧端末410の表示部403には、使用状況が使用限度内である手術器具120について使用不可と判定された時点での、手術器具120の使用状況に関する情報(例えば、現在の使用回数)が表示される。
【0274】
上述したように、手術器具120の判定フラグの値が1に設定されると、当該手術器具120を手術に使用することができなくなる。したがって、使用不可と判定された手術器具120の使用状況に関する情報は、使用不可と判定された時点での使用状況に関する情報となる。上記の処理によれば、メーカーのサポートセンターのオペレータは、閲覧端末410の表示部403を参照して、使用限度内の手術器具120が使用不可とされた時点までに、手術器具120がどの程度使用されていたかを把握できる。よって、例えば、医療施設が、使用限度まで使える前提で手術器具120の代金を製造元または販売元である企業に支払っている場合に、企業側は、未使用の分を考慮して返金処理などを行うことができる。
【0275】
<実施形態8の変更例1>
実施形態8において、記憶部502に記憶される構成ファイル502aが、手術器具120に対して補償が行われたか否かを示す項目を含んでもよい。
【0276】
図53に示す構成ファイル502aは、図32と比較して、顧客IDおよび補償済フラグの項目を含む。顧客IDは、手術器具120を購入した医療施設等を識別可能なIDである。補償済フラグの値は、手術器具120に対して補償が行われていない場合に0が設定され、手術器具120に対して補償が行われた場合に1が設定される。この場合、図51の処理により、閲覧端末410の表示部403に、図54に示す補償画面670が表示される。
【0277】
図54に示す補償画面670は、図52と比較して、プルダウンメニュー675、676および追加ボタン677を備える。プルダウンメニュー675は、顧客IDを選択するための項目が設定されており、プルダウンメニュー676には、補償済フラグを選択するための項目が設定されている。サポートセンターのオペレータが、プルダウンメニュー671、672、675、676の項目を選択して抽出ボタン673を操作すると、結果表示領域674に、プルダウンメニュー671、672、675、676の選択項目に対応する手術器具120の情報が表示される。また、オペレータは、追加ボタン677を操作することにより、手術器具120を抽出するためのプルダウンメニューを、さらに補償画面670に追加できる。
【0278】
サポートセンターのオペレータが、結果表示領域674の1つの手術器具120に対応する行を操作すると、情報処理装置500の制御部501は、操作された手術器具120に関する情報を構成ファイル502aから読み出し、閲覧端末410に送信する。これにより、図55に示す補償画面680が、閲覧端末410の表示部403に表示される。
【0279】
図55に示す補償画面680は、上記の判定画面610と同様、手術器具情報表示領域681と、使用状況表示領域682と、使用可否表示領域683と、を備える。また、補償画面680は、当該手術器具120を補償済に設定するための補償済ボタン684を備える。オペレータは、対象となる手術器具120に対して補償を行った場合、補償済ボタン684を操作する。これにより、情報処理装置500の制御部501は、補償済ボタン684が操作された手術器具120について、構成ファイル502a内の補償済フラグの値を1に設定する。
【0280】
<実施形態8の変更例2>
実施形態8の変更例1において、さらに、自動で補償内容が計算されてもよい。
【0281】
図56は、情報処理装置500の制御部501による補償内容の決定処理を示すフローチャートである。
【0282】
ステップS711において、制御部501は、補償計算のタイミングが到来するまで処理を待機する。補償計算のタイミングは、例えば、月初、月末、週初、週末などである。補償計算のタイミングが到来すると、ステップS712において、制御部501は、前回の補償計算のタイミングから今回の補償計算のタイミングまでの期間において使用状況が使用限度内であり、かつ、使用不可に設定された手術器具120を、顧客IDごとに抽出する。ステップS713において、制御部501は、例えば、以下の補償計算ルールに基づいて補償内容を決定する。
【0283】
ステップS713において、制御部501は、抽出された1つの手術器具120について、補償の基礎金額を以下の式により算出する。
【0284】
補償の基礎金額=当該手術器具120の基礎価格×(1-現在の使用量/最大使用量)
【0285】
制御部501は、1つの顧客IDに対応して抽出された全ての手術器具120について、上記式に基づいて補償の基礎金額を算出し、算出した補償の基礎金額を合計して、1つの顧客IDに対する補償額を算出する。そして、制御部501は、抽出された各顧客IDに対応する補償額を取得する。
【0286】
ステップS714において、制御部501は、ステップS713で取得した各顧客IDに対応する補償額を表示するための補償内容画面690の情報を、サポートセンターの閲覧端末410に送信する。これにより、閲覧端末410の表示部403に、図57に示す補償内容画面690が表示される。
【0287】
図57は、閲覧端末410の表示部403に表示される補償内容画面690の構成を模式的に示す図である。補償内容画面690は、補償内容の期間を示す期間表示領域691と、顧客IDごとに取得された補償額を示す補償額表示領域692と、を備える。
【0288】
本変更例によれば、情報処理装置500の制御部501は、使用状況が使用限度内であり、かつ、使用不可と判定された手術器具120を抽出し(図56のステップS712)、手術器具120の補償に関する情報(図57の補償内容画面690の表示内容に対応する情報)を、閲覧端末410に送信する(図56のステップS714)。
【0289】
この処理によれば、使用限度に達する前に使用不可と判定された補償対象となり得る手術器具120を容易に特定し、それらの補償に関する情報を提供できる。これにより、補償に関する情報を、医療施設への返金処理などに活用できる。
【0290】
なお、図58に示すように、制御部501は、手術器具120の補償内容の決定とともに、当該手術器具120を補償済に設定してもよい。
【0291】
図58の処理は、図56の処理と比較して、ステップS713とステップS714の間に、ステップS721が追加されている。ステップS721において、制御部501は、補償内容が決定された手術器具120の補償済フラグの値に1を設定する。このように手術器具120が自動的に補償済に変更されると、サポートセンターのオペレータは、図55に示した補償画面680の補償済ボタン684を操作して、個別に手術器具120を補償済に設定する必要がなくなる。
【0292】
この他、実施形態8および実施形態8の変更例1、2が、以下のように変更されてもよい。
【0293】
図56、58の処理で決定された手術器具120ごとの補償内容は、上記の構成ファイル502aに記憶されてもよい。
【0294】
情報処理装置500の制御部501は、上記のように算出した顧客ごとの補償額に基づいて、期間および顧客ごとの請求額を設定してもよい。この場合、制御部501は、当該期間において算出された補償額を、次の期間の請求額から減額する処理を行う。また、次の期間の請求額が、当該期間において算出された補償額より少ない場合、制御部501は、差分額をさらに次の期間の請求額から減額する。
【0295】
<実施形態9>
実施形態9では、オペレータは、当該オペレータに割り当てられた利用者IDを用いて、閲覧端末400、操作装置2および閲覧端末410などのオペレータ端末にログインする。
【0296】
図59は、利用者情報の構成を模式的に示す図である。
【0297】
利用者情報は、利用者IDと、利用者IDに対応付けられた顧客IDと、を含む。利用者IDは、オペレータ一人ずつに対して割り当てられ、各オペレータを個別に識別可能なIDである。顧客IDは、医療施設等を個別に識別可能なIDであり、1以上の利用者IDに対応付けられる。図59に示す例では、利用者IDが「1111」および「1112」のオペレータは、同じ医療施設に属するオペレータである。また、利用者IDが「admin1」のオペレータは、サービスセンターに属するオペレータである。したがって、対応する顧客IDは「service1」となっている。
【0298】
図60は、情報処理装置500の制御部501によるログイン処理を示すフローチャートである。以下、図44に示したステータス画面650が、オペレータの要求に応じて表示される例について説明する。
【0299】
ステップS801において、制御部501は、閲覧端末400、操作装置2および閲覧端末410などのオペレータ端末から、ログインの指示を受け付けたか否かを判定する。ログインの指示には、利用者IDが含まれる。ログインの指示を受け付けると、ステップS802において、制御部501は、オペレータ端末からステータス画面650の表示指示を受け付けたか否かを判定する。
【0300】
表示指示を受け付けると、ステップS803において、制御部501は、受け付けた利用者IDに基づいて、図59に示した利用者情報から顧客IDを取得し、取得した顧客IDに対応する全ての手術器具120を、構成ファイル502aから抽出する。例えば、利用者IDが「1111」の場合、顧客IDが「C001」となっている手術器具120が抽出され、利用者IDが「admin1」の場合、全ての顧客IDに対応する手術器具120が抽出される。ステップS804において、制御部501は、ステップS803で抽出した手術器具120に基づくステータス画面650の情報を、オペレータ端末に送信する。
【0301】
図61は、オペレータ端末の表示部に表示されるステータス画面650の構成を模式的に示す図である。
【0302】
図61の上段のステータス画面650は、利用者IDが「admin1」であり、手術器具IDが「SI051」である場合のステータス画面650である。
【0303】
ここで、顧客ID「C001」に対応する利用者ID「1111」および「1112」でログインしたオペレータのみが、手術器具IDが「SI051」である手術器具120の情報を閲覧できる。しかしながら、この場合の利用者IDは「admin1」であるため、利用者ID「admin1」でログインしたオペレータも、図61の上段のステータス画面650に示すように、手術器具IDが「SI051」である手術器具120の情報を閲覧できる。
【0304】
利用者ID「admin1」のオペレータ、すなわちサポートセンターのオペレータが、コメント領域652cにコメントを入力してOKボタン654を操作すると、構成ファイル502aに当該コメントが記憶される。このとき記憶されるコメントは、利用者IDと対応付けて記憶されるため、「admin1」以外の他の利用者IDのオペレータから閲覧できない。
【0305】
図61の下段のステータス画面650は、利用者IDが「1111」であり、手術器具IDが「SI005」である場合のステータス画面650である。この場合、図61の上段と同様の手術器具120が表示されているが、サポートセンターのオペレータが入力したコメント「仕様に基づく故障の可能性」は表示されず、自分自身が入力したコメント「切れ味が悪い」のみが表示される。
【0306】
<実施形態9による手術器具の管理方法、情報処理装置、管理システム、手術器具および手術用ロボットの効果>
実施形態9では、上記実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
【0307】
医療施設のオペレータがオペレータ端末にログインした場合、当該オペレータ端末に表示される情報は、当該オペレータが属する医療施設に対応する手術器具120の情報のみである。これにより、一の医療施設で使用される手術器具120の情報が、他の医療施設において閲覧されることを防止できる。また、オペレータがサポートセンターに属する場合、オペレータ端末には全ての手術器具120の情報が表示される。これにより、サポートセンターのオペレータは、全ての医療施設で使用される手術器具120の管理を行うことができる。
【0308】
医療施設のオペレータが入力したコメントの内容は、当該オペレータが属する医療施設のオペレータからのみ閲覧可能である。これにより、一の医療施設で入力されたコメントが、他の医療施設で閲覧されることを防止できる。同様に、サポートセンターのオペレータが入力したコメントの内容は、サポートセンターのオペレータからのみ閲覧可能である。これにより、サポートセンターのオペレータ間でコメントが共有されるため、サポートセンター内で情報の蓄積および解析を行うことができ、サービスの品質向上を実現できる。
【0309】
<実施形態10>
図62は、実施形態10に係る、医療施設の手術室内の装置の配置を模式的に示す図である。
【0310】
実施形態10の各装置の構成は、図9に示した実施形態1の構成と比較して、閲覧端末400が省略され、情報処理装置500が手術室内に配置されている。情報処理装置500は、手術室内において制御装置3と通信可能に接続されている。また、情報処理装置500は、図9の構成と比較して、表示部504および入力部505を備える。表示部504および入力部505は、実施形態1の閲覧端末400の表示部403および入力部404と同様の構成である。
【0311】
実施形態10では、情報処理装置500のオペレータが、情報処理装置500の入力部505を操作して情報処理装置500に指示を入力する。情報処理装置500の制御部501は、入力された指示に応じた画面を表示部504に表示する。したがって、実施形態10の情報処理装置500においても、上記実施形態で閲覧端末400に表示された画面が同様に表示され、情報処理装置500のオペレータは、上記実施形態の閲覧端末400のオペレータと同様の情報を閲覧できる。
【0312】
<実施形態11>
上記実施形態では、図12、21に示したように、ステップS111が実行される時点で、対象となる手術器具120が既にアーム装置1から取り外されている場合、当該手術器具120の記憶情報124aは、ステップS111で更新されない。この場合、当該手術器具120が次の手術でアーム装置1に装着された場合に、ステップS103において最新の判定フラグの値に更新される。
【0313】
これに対し、実施形態11では、以下に示すクレードル6を用いることにより、手術器具120が常に情報処理装置500と通信可能な状態にできる。これにより、手術器具120の記憶情報124aの判定フラグを、迅速に更新できる。
【0314】
図63は、クレードル6の構成および接続を模式的に示す図である。
【0315】
クレードル6は、制御部61と、通信部62と、複数の端子63と、を備える。制御部61は、例えば、CPUやFPGAにより構成される。通信部62は、制御部61の指示に応じて、複数の端子63と選択的に接続される。また、通信部62は、手術室内に配置された情報処理装置500に通信可能に接続される。手術器具120は、図20に示したように、端子126および記憶部124を備える。クレードル6の端子63と手術器具120の端子126とが電気的に接続するように、手術器具120がクレードル6に対して設置される。
【0316】
手術室のオペレータは、アーム装置1から取り外した手術器具120を、図63に示すようにクレードル6に設置する。これにより、この手術器具120は、情報処理装置500に対して通信可能に接続された状態となる。
【0317】
実施形態11によれば、手術器具120がアーム110から取り外された状態においても、当該手術器具120が、クレードル6に設置されることにより、常に情報処理装置500と通信可能に接続された状態となる。これにより、図12、21のステップS111において、情報処理装置500からの更新指示に応じて、記憶情報124aを迅速に更新できる。
【0318】
なお、クレードル6は、情報処理装置500に接続されることに限らず、アーム装置1、操作装置2、制御装置3または閲覧端末400に接続されてもよい。この場合、クレードル6が接続される装置が、情報処理装置500からの更新指示に基づいて記憶情報124aを更新する。また、クレードル6は、病院内の手術室以外の部屋、または、サポートセンター、データセンターなどの病院外の施設に設置された情報処理装置500と、LAN、インターネットなどを経由して接続されてもよい。
【0319】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0320】
例えば、手術用ロボット4は、アーム装置1、操作装置2、および制御装置3から構成される必要はなく、例えば、制御装置3を省略し、制御装置3が実行する各処理を、アーム装置1の制御部141または操作装置2の制御部241が実行してもよいし、制御装置3が実行する各処理を、アーム装置1の制御部141および操作装置2の制御部241が分担して実行するように手術用ロボット4を構成してもよい。
【符号の説明】
【0321】
4 手術用ロボット
5 管理システム
110 アーム
120 手術器具
124 記憶部
124b 記憶領域
141 制御部
400、410 閲覧端末
500 情報処理装置
501 制御部
503 通信部
610 判定画面(表示画面)
620 抽出画面(表示画面)
650 ステータス画面(表示画面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63