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特開2024-93482超音波診断システム、超音波診断装置、超音波プローブ装置、および超音波診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093482
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】超音波診断システム、超音波診断装置、超音波プローブ装置、および超音波診断方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209888
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多木 真
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 航平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健吾
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA06
4C601GA18
4C601GA25
4C601JC37
(57)【要約】
【課題】超音波診断システムにおいて、検査者による超音波プローブ装置の走査を補助し、超音波検査を円滑に行えるようにさせることである。
【解決手段】実施形態の超音波診断システムは、超音波プローブ装置と、超音波診断装置とを持つ。超音波プローブ装置は、被検者に向けて送信した超音波信号が被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号を検出する複数の超音波振動素子を有する振動子群と、反射波信号を検出した位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を出力する磁場検出部と、複数の発光素子を有する発光素子群と、を持つ。超音波診断装置とは、反射波信号に基づく超音波画像を生成し、磁場を表す情報に基づいて、超音波振動素子が反射波信号を検出したときの検出位置を求める信号処理部と、検出位置を関心領域の位置と同定する関心領域同定部と、同定された関心領域の位置に基づいて、複数の発光素子の発光を制御する制御部と、を持つ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に向けて超音波信号を送信し、送信した前記超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号を検出する複数の超音波振動素子を有する振動子群と、前記反射波信号を検出した位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を出力する磁場検出部と、複数の発光素子を有する発光素子群と、を備える超音波プローブ装置と、
前記反射波信号に基づく超音波画像を生成し、前記磁場を表す情報に基づいて、前記超音波振動素子が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求める信号処理部と、前記検出位置を関心領域の位置と同定する関心領域同定部と、同定された前記関心領域の位置に基づいて、複数の前記発光素子の発光を制御する制御部と、を備える超音波診断装置と、
を備える超音波診断システム。
【請求項2】
前記関心領域は、前記超音波画像、あるいは前記被検者に対する過去の検査において得られた検査画像である過去画像に含まれる検査対象の前記被検者の体内の部位である、
請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記発光素子群は、それぞれの前記発光素子が、複数の前記超音波振動素子が配列された方向と同じ方向に沿って配列される、
請求項2に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記制御部は、同定された前記関心領域の位置に対応する位置に配置された少なくとも一つの前記発光素子の発光を制御する、
請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記制御部は、同定された前記関心領域の位置が、前記反射波信号を検出する範囲内である場合、前記関心領域の位置に最も近い位置に配置された前記発光素子を発光させる、
請求項4に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記制御部は、同定された前記関心領域の位置が、前記反射波信号を検出する範囲外である場合、前記関心領域が存在する方向に近い側に配置された前記発光素子を発光させる、
請求項4または請求項5に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
超音波プローブ装置が検出した、被検者に向けて送信した超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号に基づく超音波画像を生成し、前記超音波プローブ装置が検出した、前記反射波信号を検出した位置の磁場を表す情報に基づいて、前記超音波プローブ装置が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求める信号処理部と、
前記検出位置を関心領域の位置と同定する関心領域同定部と、
同定された前記関心領域の位置に基づいて、前記超音波プローブ装置が備える複数の発光素子の発光を制御する制御部と、を備える超音波診断装置と、
を備える超音波診断装置。
【請求項8】
被検者に向けて超音波信号を送信し、送信した前記超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号を検出する複数の超音波振動素子を有する振動子群と、
前記反射波信号を検出する位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を出力する磁場検出部と、
超音波診断装置からの制御に応じて発光する複数の発光素子を有する発光素子群と、
を備える超音波プローブ装置。
【請求項9】
超音波診断装置のコンピュータが、
超音波プローブ装置が検出した、被検者に向けて送信した超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号に基づく超音波画像を生成し、
前記超音波プローブ装置が検出した、前記反射波信号を検出した位置の磁場を表す情報に基づいて、前記超音波プローブ装置が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求め、
前記検出位置を関心領域の位置と同定し、
同定した前記関心領域の位置に基づいて、前記超音波プローブ装置が備える複数の発光素子の発光を制御する、
超音波診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断システム、超音波診断装置、超音波プローブ装置、および超音波診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波プローブを備える超音波診断装置が知られている。超音波診断装置では、超音波プローブから超音波信号を送信し、この超音波信号が被検体(患者)の体内で反射されて戻ってきた超音波信号(反射波信号)を超音波プローブで受信する。そして、超音波診断装置では、超音波プローブが受信した反射波信号に対して画像処理を施して超音波画像を生成し、生成した超音波画像を超音波診断装置が備える表示装置などに表示させることにより、超音波検査の検査者(医師など)に提示する。
【0003】
ところで、超音波診断装置を用いて超音波検査を行う検査環境は、表示装置に表示された超音波画像を見やすくするため、比較的暗い環境であることが多い。このため、超音波検査中は、検査者が超音波プローブを走査する際の手元が見づらい場合がある。このため、例えば、超音波検査に慣れていない検査者などは、被検体における所望の検査位置に超音波プローブを移動させて、超音波検査を行う対象の部位(組織)の超音波画像を表示装置に表示させることが容易ではない。さらに、超音波検査を行う対象の部位(組織)の超音波画像を表示装置に表示させることができたとしても、不意に超音波プローブを移動させてしまった場合には、移動前の被検者の検査位置を見失ってしまい、同じ部位(組織)の超音波画像を表示装置に再度表示させることが困難となってしまう、あるいは時間を要してしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-064380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、超音波診断システムにおいて、検査者による超音波プローブ装置の走査を補助し、超音波検査を円滑に行えるようにさせることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の超音波診断システムは、超音波プローブ装置と、超音波診断装置とを持つ。超音波プローブ装置は、振動子群と、磁場検出部と、発光素子群と、を持つ。超音波診断装置は、信号処理部と、関心領域同定部と、制御部と、を持つ。振動子群は、被検者に向けて超音波信号を送信し、送信した前記超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号を検出する複数の超音波振動素子を有する。磁場検出部は、前記反射波信号を検出した位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を出力する。発光素子群は、複数の発光素子を有する。信号処理部は、前記反射波信号に基づく超音波画像を生成し、前記磁場を表す情報に基づいて、前記超音波振動素子が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求める。関心領域同定部は、前記検出位置を関心領域の位置と同定する。制御部は、同定された前記関心領域の位置に基づいて、複数の前記発光素子の発光を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る超音波診断装置、および超音波プローブ装置が適用された超音波診断システムの概略構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る超音波プローブ装置におけるアレイ振動子群と発光素子群との配置関係の一例を示す図。
図3】実施形態に係る超音波プローブ装置における発光素子群の発光の一例(その1)を模式的に示す図。
図4】実施形態に係る超音波プローブ装置における発光素子群の発光の一例(その2)を模式的に示す図。
図5】実施形態に係る超音波診断装置における超音波プローブ装置が備える発光素子群の発光に関する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の超音波診断システム、超音波診断装置、超音波プローブ装置、および超音波診断方法について説明する。超音波診断装置は、超音波プローブ装置から超音波信号を送信し、この超音波信号が被検者(患者)の体内で反射されて戻ってきた超音波信号(反射波信号:エコー信号)を超音波プローブ装置で検出することにより被検者の超音波検査を行う。超音波診断装置は、超音波プローブ装置で検出された反射波信号に対して画像処理を施して、反射波信号の大きさなどに基づく超音波画像(エコー画像)を生成し、生成した超音波画像を超音波検査の検査者(医師など)に提示する。これにより、検査者は、被検者の体内の組織の状態を目視で確認することができる。
【0009】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置、および超音波プローブ装置が適用された超音波診断システムの概略構成を示すブロック図である。超音波診断システム1は、例えば、超音波診断装置100と、超音波プローブ装置200と、入力装置102と、表示装置104と、を備える。超音波診断システム1において超音波プローブ装置200は、超音波診断装置100に対して着脱可能であってよい。超音波診断システム1において、超音波診断装置100と超音波プローブ装置200とは、専用のケーブルによって接続されてもよいし、無線通信機能によって接続されてもよい。超音波診断システム1において、入力装置102と表示装置104とのいずれか一方または両方は、超音波診断装置100に対して着脱可能であってよいし、超音波診断装置100が備える、つまり、超音波診断装置100に組み込まれる構成要素であってもよい。
【0010】
超音波プローブ装置200は、被検者の体表面に当接または近接させた状態で使用される。超音波プローブ装置200は、超音波診断装置100からの制御に応じて、被検者の身体に指向性を有する超音波信号を送信(発信)し、被検者の体内で反射された反射波信号を検出して超音波診断装置100に出力する。超音波プローブ装置200は、例えば、アレイ振動子群220と、磁場検出部240と、発光素子群260と、を備える。
【0011】
アレイ振動子群220は、例えば、複数の超音波振動素子である。アレイ振動子群220は、超音波プローブ装置200において、被検者の体表面に当接または近接される側に配置される。複数の超音波振動素子のそれぞれは、例えば、圧電セラミックスなどの圧電素子である。アレイ振動子群220では、複数の超音波振動素子が、一列、あるいは二次元配列など、任意の配列方法で超音波プローブ装置200内に配列される。つまり、アレイ振動子群220は、複数の超音波振動素子がアレイ状に配列される。アレイ振動子群220は、超音波診断装置100からの制御に応じて、それぞれの超音波振動素子から超音波信号を送信(発信)し、それぞれの超音波振動素子で反射波信号を検出する。アレイ振動子群220は、それぞれの超音波振動素子で検出した反射波信号を超音波診断装置100に出力する。超音波プローブ装置200では、アレイ振動子群220に対して設けられる整合層、およびアレイ振動子群220の後方(被検者と反対側)への超音波信号の伝播を防止するバッキング材などを、さらに備えてもよい。アレイ振動子群220は、「振動子群」の一例である。
【0012】
磁場検出部240は、超音波検査を行う検査室における磁場を検出する磁場センサである。磁場検出部240は、超音波プローブ装置200内の任意の位置に配置される。磁場検出部240は、検出した磁場を表す情報を、超音波診断装置100に出力する。これにより、超音波診断装置100は、超音波プローブ装置200の現在の位置や姿勢、つまり、被検者の体表面上の水平方向の位置や、体表面に対する垂直方向の位置や角度を認識することが可能となる。磁場検出部240は、例えば、検査室において基準とする位置や方向に対して、超音波プローブ装置200において基準とする位置や、中心の位置における磁場の変化を検出してもよい。
【0013】
発光素子群260は、例えば、複数の発光素子である。発光素子群260は、超音波プローブ装置200において、例えば、超音波検査中の検査者が確認することができる位置に、それぞれの発光素子が一列に配列される。複数の発光素子のそれぞれは、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などである。発光素子群260は、複数の発光素子が、アレイ振動子群220における複数の超音波振動素子の配列方法に応じて、例えば、超音波プローブ装置200の筐体の側面に一列に配列される。つまり、複数の発光素子は、アレイ振動子群220における複数の超音波振動素子の配列方向に沿って、一列に配列される。
【0014】
ここで、超音波プローブ装置200におけるアレイ振動子群220と発光素子群260との配置関係の一例について説明する。図2は、実施形態に係る超音波プローブ装置200におけるアレイ振動子群220と発光素子群260との配置関係の一例を示す図である。図2には、超音波プローブ装置200内に配置される磁場検出部240も併せて示している。図2には、アレイ振動子群220が備える複数の超音波振動素子が一列に配列され、一次元の方向に超音波信号USを送信(発信)する構成の超音波プローブ装置200の一例を示している。この場合、超音波プローブ装置200では、発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子は、複数の超音波振動素子が配列された方向と同じ方向に、一列に配列される。図2には、超音波プローブ装置200の筐体における一つの側面に発光素子群260が備える九つの発光素子L(発光素子L-1~発光素子L-9)を配列した場合の一例を示している。図2に示したように、発光素子群260が備える発光素子Lの数は、アレイ振動子群220が備える超音波振動素子の数よりも少なくてもよい。
【0015】
図2では、超音波プローブ装置200の筐体における一つの側面に発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子を配列した場合を示したが、発光素子群260は、対向する二つの側面のそれぞれに、一列に配列されてもよい。より具体的には、図2に示した超音波プローブ装置200において発光素子群260が配列された側面を前面とした場合、発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子は、超音波プローブ装置200の裏面にも、複数の超音波振動素子が配列された方向と同じ方向(つまり、図2においてそれぞれの発光素子を配列した方向と同じ方向)にも、一列に配列されてもよい。
【0016】
一方、例えば、超音波プローブ装置200が、アレイ振動子群220が備える複数の超音波振動素子が二次元配列に配列され、二次元の行方向および列方向の面に対して超音波信号USを送信(発信)する構成である場合、発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子は、複数の超音波振動素子が配列された行方向と列方向とのそれぞれの方向に対して、一列に配列されてもよい。より具体的には、図2に示した超音波プローブ装置200において発光素子群260が配列された方向が行方向であり、図2の紙面に対する奥行き方向が列方向であるものとした場合、発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子は、図2に示した行方向に加えて、列方向にも、一列に配列されてもよい。この場合でも、発光素子群260が対向するそれぞれの二つの側面(例えば、超音波プローブ装置200における四つの側面)のそれぞれに、一列に配列されてもよい。
【0017】
図1に戻り、発光素子群260は、超音波診断装置100からの制御に応じて、いずれか一つあるいは複数の発光素子が発光する。これにより、超音波診断システム1では、検査者が超音波検査を行う対象の被検者の体内の部位(組織)を探索するために行う、被検者の体表面上での超音波プローブ装置200の走査を補助することができる。以下の説明においては、超音波検査を行う検査対象の被検者の体内の部位(組織)を、「関心領域」という。
【0018】
超音波診断装置100は、超音波プローブ装置200に超音波信号を送信(発信)させ、超音波プローブ装置200が備えるアレイ振動子群220により出力された反射波信号に基づいて、超音波画像(エコー画像)を生成する。超音波診断装置100は、生成した超音波画像を表示装置104に出力して表示させることにより、検査者に提示する。超音波診断装置100は、例えば、処理回路110を備える。図1では、超音波診断装置100において、検査者に対して超音波プローブ装置200の走査を補助する機能を実現するための処理回路110の機能構成の一例を示している。
【0019】
一方、図1では、超音波診断装置100における超音波プローブ装置200の走査の補助に関連しないその他の構成要素や機能構成の図示は省略している。例えば、図1では、超音波プローブ装置200に超音波信号を送信(発信)させるための制御信号を出力し、超音波プローブ装置200により出力された反射波信号を受け取る入出力回路や、超音波診断装置100の全体を制御する制御回路(制御機能)の図示を省略している。これら省略している構成要素や機能構成の構成や動作は、既存の超音波診断装置が備える構成要素や機能構成の構成や動作と等価なものであればよい。従って、省略している構成要素や機能構成の構成や動作に関する詳細な説明は省略する。
【0020】
処理回路110は、例えば、制御機能120や、超音波送信機能130、超音波受信機能140、磁場送信機能150、信号処理機能160、表示処理機能170、関心領域同定機能180などの処理を実行する。処理回路110は、例えば、ハードウェアプロセッサが不図示のメモリに記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、これらの機能を実現するものである。不図示のメモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、光ディスクなどにより実現される。
【0021】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。不図示のメモリにプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで各機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つの専用のLSIに組み込んで各機能を実現するようにしてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予めROMやRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブなどの記憶装置を構成する記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が超音波診断装置100に備えるドライブ装置に装着されることで、超音波診断装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワーク(不図示)を介して予めダウンロードされて、超音波診断装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされてもよい。超音波診断装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされたプログラム(ソフトウェア)は、処理回路110が備える記憶装置(不図示)に転送されて実行されてもよい。
【0022】
超音波送信機能130は、制御機能120からの制御に応じて、超音波プローブ装置200が備えるアレイ振動子群220に超音波信号を送信させる。より具体的には、超音波送信機能130は、アレイ振動子群220が備えるそれぞれの超音波振動素子に、超音波信号を送信させるための駆動信号を出力(供給)する。
【0023】
超音波受信機能140は、制御機能120からの制御に応じて、超音波プローブ装置200が備えるアレイ振動子群220が検出して出力した反射波信号を受信する。超音波受信機能140は、受信したアレイ振動子群220からの反射波信号を、信号処理機能160に出力する。
【0024】
磁場送信機能150は、制御機能120からの制御に応じて、超音波プローブ装置200が備える磁場検出部240に磁場を検出させる。信号処理機能160は、磁場の検出を制御するための制御信号を、磁場検出部240に出力する。これにより、磁場検出部240が検出した磁場を表す情報が、表示処理機能170に出力される。
【0025】
信号処理機能160は、制御機能120からの制御に応じて、超音波受信機能140により出力された反射波信号に基づく超音波画像(エコー画像)を生成する画像処理を行う。信号処理機能160は、生成した超音波画像を表示処理機能170に出力する。表示処理機能170は、磁場検出部240により出力された磁場を表す情報に基づいて、超音波プローブ装置200(より具体的には、超音波プローブ装置200が備えるアレイ振動子群220内の超音波振動素子)が反射波信号を検出したときの現在の位置や姿勢(被検者の体表面上の水平方向の位置や、体表面に対する垂直方向の位置や角度)を求める。信号処理機能160は、求めた超音波プローブ装置200が反射波信号を検出したときの現在の位置や姿勢を表す情報(以下、「プローブ位置情報」という)を、関心領域同定機能180に出力する。以下の説明においては、説明を容易にするため、プローブ位置情報に含まれる超音波プローブ装置200が反射波信号を検出したときの現在の位置や姿勢をまとめて、「位置」とする。信号処理機能160は、「信号処理部」の一例である。
【0026】
表示処理機能170は、信号処理機能160により出力された超音波画像を含む、検査者に提示する情報を表すための表示画像を生成する。表示処理機能170は、生成した表示画像を表示装置104に出力して表示させる。表示装置104は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。これにより、検査者は、被検者の体内の組織の状態を、表示装置104に表示された超音波画像で確認することができる。表示処理機能170は、被検者に対して以前(過去)に行った検査によって得られた検査画像(以下、「過去画像」という)を表示装置104に出力して表示させてもよい。過去画像は、例えば、被検者に対して過去に行った超音波検査の超音波画像や、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)検査のCT画像、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)検査のMRI画像、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影)検査のPET画像などである。表示処理機能170は、例えば、病院内に構築されたLAN(Local Area Network)などの不図示のネットワークによって接続されている、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)や、電子カルテシステムなどのデータベースシステムから過去画像を取得し、表示装置104に出力して表示させてもよい。表示処理機能170が検査者に提示する情報には、例えば、検査者による入力装置102に対する各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)の情報(画像)などが含まれる。
【0027】
入力装置102は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、マイクなどにより実現される。入力装置102がタッチパネルである場合、入力装置102は、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは超音波診断装置100に接続された表示装置104などの表示装置と一体として形成されてよい。入力装置102は、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは超音波診断装置100と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)により実現されてもよい。本明細書において入力装置102は、上述したマウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは超音波診断装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは超音波診断装置100へ出力する電気信号の処理回路も入力装置102の例に含まれる。
【0028】
関心領域同定機能180は、検査者が入力装置102を操作して、表示装置104に表示された超音波画像や過去画像に対して指定された関心領域の位置や姿勢の情報(以下、「関心領域位置情報」という)を取得する。以下の説明においては、説明を容易にするため、関心領域位置情報に含まれる関心領域の位置や姿勢をまとめて、「位置」とする。関心領域同定機能180は、信号処理機能160により出力されたプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定する。つまり、関心領域同定機能180は、現在の超音波プローブ装置200の被検者の体表面上の位置を、超音波プローブ装置200によって関心領域を検査するための被検者の体表面上の位置と同定する。関心領域同定機能180における同定は、プローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定することに限定されない。言い換えれば、関心領域同定機能180における同定の処理は、検査者が入力装置102を操作して関心領域の位置を指定することによって行われる手動の処理に限定されるものではない。つまり、関心領域同定機能180は、自動で同定の処理を行ってもよい。自動で同定の処理を行う場合、関心領域同定機能180は、例えば、信号処理機能160が生成した超音波画像や、表示処理機能170が取得して表示装置104に表示させている過去画像に撮像されている関心領域の位置を判定して、プローブ位置情報を、判定した関心領域の位置と同定してもよい。関心領域同定機能180は、同定した結果を表す情報、つまり、同定した関心領域の位置を表す情報(以下、「同定情報」という)を、制御機能120に出力する。同定情報は、同定した関心領域の位置を表す情報に限定されない。例えば、同定情報は、超音波プローブ装置200の現在の位置(姿勢を含む)と、関心領域を検査するための超音波プローブ装置200の位置(姿勢を含む)との差を表す情報であってもよい。関心領域同定機能180は、「関心領域同定部」の一例である。
【0029】
制御機能120は、上述した超音波送信機能130、超音波受信機能140、磁場送信機能150、および信号処理機能160に対する制御を行う。さらに、制御機能120は、関心領域同定機能180により出力された同定情報に基づいて、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。このとき、制御機能120は、発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子に、発光させるための駆動信号を出力(供給)する。より具体的には、制御機能120は、検査者における超音波プローブ装置200の走査を補助するため、例えば、関心領域が存在する方向を表す(指し示す)いずれかの発光素子を発光させるための駆動信号を出力する。制御機能120は、「制御部」の一例である。
【0030】
ここで、制御機能120によって発光素子群260が備えるそれぞれの発光素子を発光させる場合の一例について説明する。図3は、実施形態に係る超音波プローブ装置200における発光素子群260の発光の一例を模式的に示す図である。図3には、現在の超音波プローブ装置200の位置における超音波信号USの送信範囲(つまり、撮像範囲)内に関心領域Rを含む被検者の体内の組織である内臓Iが撮像されている場合の一例を示している。図3の(a)には、検査者が関心領域Rを指定する、つまり、手動で同定の処理を開始させる場合の一例を示している。図3の(b)には、指定された関心領域Rを含む被検者の体内の内臓Iの全体が撮像範囲内に撮像されているときに発光素子を発光させる場合の一例を示し、図3の(c)には、指定された関心領域Rを含む被検者の体内の内臓Iの一部が撮像範囲内に撮像されているときに発光素子を発光させる場合の一例を示している。
【0031】
検査者が手動で関心領域を指定する場合、例えば、図3の(a)に示したように、超音波プローブ装置200が現在の位置で撮像している内臓Iに含まれる関心領域Rの位置を、入力装置102を操作することによって行う。検査者が過去画像に対して関心領域Rを指定する場合も同様に、入力装置102を操作することによって行うことができる。これらの場合、関心領域同定機能180は、指定された関心領域Rの位置の情報(関心領域位置情報)を取得し、信号処理機能160により出力された現在のプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定して、同定情報を制御機能120に出力する。
【0032】
これにより、制御機能120は、関心領域同定機能180により出力された同定情報が表す関心領域Rの位置に最も近い位置の発光素子が発光(点灯)し、その他の発光素子は未発光(消灯)の状態になるように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。図3の(b)には、超音波プローブ装置200の位置が、検査者が関心領域Rを指定したときの位置から移動していない場合において、同定された関心領域Rに最も近い位置の発光素子L-2を発光させている状態を示している。
【0033】
関心領域同定機能180は、信号処理機能160から現在のプローブ位置情報が出力されるごとに、現在のプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定して、同定情報を制御機能120に出力する。これにより、制御機能120は、関心領域同定機能180により出力された同定情報が表す関心領域Rの位置に最も近い位置の発光素子が発光(点灯)し、その他の発光素子は未発光(消灯)の状態になるように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。図3の(c)には、超音波プローブ装置200の位置が、検査者が関心領域Rを指定したときの位置から移動している場合において、同定された関心領域Rに最も近い位置の発光素子L-7を発光させている状態を示している。
【0034】
このように、制御機能120は、関心領域同定機能180から同定情報が出力されるごとに、同定情報が表す関心領域Rの位置に最も近い位置の発光素子が発光(点灯)し、その他の発光素子は未発光(消灯)の状態になるように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。言い換えれば、制御機能120は、発光素子が発光(点灯)する位置が、同定情報が表す関心領域Rの位置を追従するように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。このようにして、制御機能120は、発光素子群260が備える発光素子の発光(点灯)によって、検査者における超音波プローブ装置200の走査を補助することができる。
【0035】
ところで、検査者によって超音波プローブ装置200が走査されている場合、検査者によって指定された関心領域Rや内臓Iの位置が、超音波プローブ装置200における撮像範囲外となってしまうことも考えられる。この場合も、関心領域同定機能180は、現在のプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定して、同定情報を制御機能120に出力する。このとき、例えば、関心領域Rの位置と超音波プローブ装置200の位置とが大きく離れてしまうと、関心領域同定機能180は、現在のプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定することができなくなってしまうことも考えられる。
【0036】
図4は、実施形態に係る超音波プローブ装置200における発光素子群260の発光の別の一例を模式的に示す図である。図4には、現在の超音波プローブ装置200の位置における超音波信号USの送信範囲(撮像範囲)内に関心領域Rを含む被検者の体内の組織(内臓I)が撮像されていない場合の一例を示している。図4の(a)には、指定された関心領域Rを含む内臓Iが同定されているときに発光素子を発光させる場合の一例を示し、図4の(b)には、指定された関心領域Rを含む内臓Iが同定されなくなってしまったときに発光素子を発光させる場合の一例を示している。
【0037】
制御機能120は、関心領域同定機能180によって関心領域Rの位置が同定されているものの、関心領域Rを含む内臓Iの位置が超音波プローブ装置200の撮像範囲から外れている場合、関心領域同定機能180により出力された同定情報が表す関心領域Rが存在する方向の複数の発光素子Lを発光(点灯)させるように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。図4の(a)には、同定された関心領域Rが存在する方向に最も近い側から二つの発光素子L(発光素子L-8および発光素子L-9)を発光させている状態を示している。これにより、制御機能120は、超音波プローブ装置200の現在の位置に対して、関心領域Rがいずれの方向に存在するのかを、発光素子群260が備える発光素子の発光(点灯)によって示し、検査者における超音波プローブ装置200の走査を補助することができる。
【0038】
制御機能120は、関心領域Rを含む内臓Iの位置が超音波プローブ装置200の撮像範囲から外れ、関心領域同定機能180によって関心領域Rの位置が同定されていない場合、関心領域同定機能180により出力された、関心領域Rの存在が不明であることを表す同定情報に応じて、全ての発光素子Lを発光(点灯)させるように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光を制御する。図4の(b)には、関心領域Rが同定されていないため、全ての発光素子L(発光素子L-1~発光素子L-9)を発光させている状態を示している。これにより、制御機能120は、超音波プローブ装置200の現在の位置に対して、同定されている関心領域Rが存在しないことを、発光素子群260が備える発光素子の発光(点灯)によって示し、検査者における超音波プローブ装置200の走査を補助することができる。
【0039】
このような構成によって超音波診断装置100では、信号処理機能160が、磁場検出部240により出力された磁場を表す情報に基づいて、超音波プローブ装置200の現在の位置を求める。さらに、超音波診断装置100では、関心領域同定機能180が、現在の超音波プローブ装置200の位置を、手動で指定された、あるいは自動で指定した関心領域の位置と同定する。そして、超音波診断装置100では、制御機能120が、同定した結果(同定情報)に基づいて、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光素子の発光を制御する。これにより、超音波診断装置100および超音波プローブ装置200が採用された超音波診断システム1を利用して超音波検査を行う検査者は、超音波プローブ装置200を走査する際の手元が見づらいような比較的暗い環境下で超音波検査を行う場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置200を走査することにより、所望の関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置200を移動させることができる。さらに、検査者が不意に超音波プローブを移動させてしまったことにより移動前の被検者の関心領域の位置を見失ってしまった場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置200を走査することにより、同じ関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置200を移動させることができる。このことにより、検査者は、超音波診断システム1によって行う超音波検査を円滑に行うことができ、検査時間の短縮を図ることができる。つまり、超音波診断システム1では、検査者に対する超音波検査の負荷を、従来の超音波検査よりも軽減させることができる。
【0040】
次に、超音波診断装置100において、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光素子を発光させる動作について説明する。図5は、実施形態に係る超音波診断装置100における超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、超音波診断装置100が備える処理回路110内のそれぞれの機能に着目して、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光素子を発光させる動作を説明する。
【0041】
検査者が超音波診断装置100および超音波プローブ装置200を走査して超音波検査を開始すると、超音波診断装置100が備える超音波送信機能130は、超音波プローブ装置200内のアレイ振動子群220が備えるそれぞれの超音波振動素子に、超音波信号を送信させるための駆動信号を出力(供給)する。これにより、アレイ振動子群220は、現在の位置において、超音波送信機能130により出力された駆動信号に従ってそれぞれの超音波振動素子から超音波信号を送信(発信)し、それぞれの超音波振動素子が検出した反射波信号を、超音波診断装置100が備える超音波受信機能140に出力する。超音波受信機能140は、アレイ振動子群220により出力された反射波信号を受信して、信号処理機能160に出力する。これにより、信号処理機能160は、超音波受信機能140により出力された反射波信号に基づく超音波画像(エコー画像)を生成して表示処理機能170に出力し、表示処理機能170は、超音波画像を含む表示画像を生成して表示装置104に表示させる。さらに、超音波診断装置100が備える磁場送信機能150は、超音波プローブ装置200内の磁場検出部240に、磁場の検出を制御するための制御信号を出力する。これにより、磁場検出部240は、磁場送信機能150により出力された制御信号に応じて現在の位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を、超音波診断装置100が備える信号処理機能160に出力する。信号処理機能160は、磁場検出部240により出力された磁場を表す情報に基づいて、超音波プローブ装置200の現在の位置を求め、プローブ位置情報を関心領域同定機能180に出力する(ステップS100)。
【0042】
続いて、関心領域同定機能180は、手動で指定された、あるいは自動で指定した関心領域の位置を表す関心領域位置情報を取得する(図3の(a)参照)。そして、関心領域同定機能180は、信号処理機能160により出力されたプローブ位置情報を、関心領域位置情報と同定する(ステップS120)。関心領域同定機能180は、同定情報を制御機能120に出力する。
【0043】
続いて、制御機能120は、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260内の発光素子の内、同定された関心領域に対応する発光素子の発光(点灯)、およびその他の発光素子の未発光(消灯)を制御する(ステップS140)。
【0044】
その後、アレイ振動子群220は、超音波送信機能130により出力された駆動信号に従って、現在の位置においてそれぞれの超音波振動素子から超音波信号を送信(発信)し、それぞれの超音波振動素子が検出した反射波信号を超音波受信機能140に出力する。これにより、超音波受信機能140は、アレイ振動子群220により出力された反射波信号を受信して信号処理機能160に出力し、信号処理機能160は、超音波受信機能140により出力された反射波信号に基づく超音波画像(エコー画像)を生成して表示処理機能170に出力し、表示処理機能170は、超音波画像を含む表示画像を生成して表示装置104に表示させる。さらに、超音波受信機能140は、磁場送信機能150により出力された制御信号に応じて、現在の位置において磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を信号処理機能160に出力する。これにより、信号処理機能160は、磁場検出部240により出力された磁場を表す情報に基づいて、超音波プローブ装置200の現在の位置を求め、プローブ位置情報を関心領域同定機能180に出力する。
【0045】
関心領域同定機能180は、信号処理機能160から現在のプローブ位置情報が出力されるごとに、現在のプローブ位置情報を、取得した関心領域位置情報と同定して、同定情報を制御機能120に出力する。これにより、制御機能120は、関心領域同定機能180により出力された同定情報が表す関心領域の位置が、現在の超音波プローブ装置200の位置における超音波画像の撮像範囲内にあるか否かを判定する(ステップS160)。
【0046】
ステップS160において、同定情報が表す関心領域の位置が、現在の超音波プローブ装置200の位置における超音波画像の撮像範囲内にあると判定した場合、制御機能120は、発光素子群260内の発光素子の内、同定された関心領域(同定情報が表す関心領域の位置)に対応する発光素子の発光(点灯)、およびその他の発光素子の未発光(消灯)を制御する(ステップS180)。より具体的には、制御機能120は、同定情報が表す関心領域の位置に最も近い位置の発光素子が発光(点灯)し、その他の発光素子は未発光(消灯)の状態になるように、発光素子群260内の発光素子の発光を制御する(図3の(b)および図3の(c)参照)。そして、制御機能120は、処理をステップS160に戻す。
【0047】
一方、ステップS160において、同定情報が表す関心領域の位置が、現在の超音波プローブ装置200の位置における超音波画像の撮像範囲内にない、つまり、関心領域が撮像範囲外にあると判定した場合、制御機能120は、関心領域同定機能180により関心領域の位置が同定されているか否かを確認する(ステップS200)。このステップS200における制御機能120の判定は、例えば、関心領域同定機能180により出力された同定情報に、同定された関心領域の位置を表す情報が含まれているか、同定された関心領域の位置を表す情報が含まれていない(関心領域の存在が不明であることを表す情報が含まれている)かを確認することによって行うことができる。
【0048】
ステップS200において、関心領域同定機能180により関心領域の位置が同定されていることを確認した場合、制御機能120は、発光素子群260内の発光素子の内、同定された関心領域(同定情報が表す関心領域の位置)が存在する方向に対応する発光素子の発光(点灯)、およびその他の発光素子の未発光(消灯)を制御する(ステップS220)。より具体的には、制御機能120は、同定情報が表す関心領域が存在する方向に最も近い側から複数の発光素子が発光(点灯)し、その他の発光素子は未発光(消灯)の状態になるように、発光素子群260内の発光素子の発光を制御する(図4の(a)参照)。そして、制御機能120は、処理をステップS160に戻す。
【0049】
一方、ステップS200において、関心領域同定機能180により関心領域の位置が同定されていないことを確認した場合、制御機能120は、関心領域が超音波画像の撮像範囲外であることを表すように発光素子の発光(点灯)、およびその他の発光素子の未発光(消灯)を制御する(ステップS240)。より具体的には、制御機能120は、全ての複数の発光素子が発光(点灯)する状態になるように、発光素子群260内の発光素子の発光を制御する(図4の(b)参照)。そして、制御機能120は、処理をステップS160に戻す。
【0050】
このような処理によって超音波診断装置100では、制御機能120が、信号処理機能160から現在のプローブ位置情報が出力され、関心領域同定機能180から同定情報が出力されるごとに、関心領域同定機能180が同定した関心領域の位置を示すように、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光素子の発光を制御する。これにより、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260の発光素子が発光(点灯)する位置は、検査者による超音波プローブ装置200の走査に応じて、関心領域の位置を追従するように適宜変更される。これにより、検査者は、超音波プローブ装置200を走査する際の手元が見づらいような比較的暗い環境下で超音波検査を行う場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置200を走査することにより、所望の関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置200を移動させることができる。さらに、検査者が不意に超音波プローブを移動させてしまったことにより移動前の被検者の関心領域の位置を見失ってしまった場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置200を走査することにより、同じ関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置200を移動させることができる。このことにより、検査者は、超音波診断システム1によって行う超音波検査を円滑に行うことができ、検査時間の短縮を図ることができる。つまり、超音波診断システム1では、検査者に対する超音波検査の負荷を、従来の超音波検査よりも軽減させることができる。
【0051】
上記に述べたとおり、実施形態の超音波診断システムでは、超音波プローブ装置が備える磁場検出部が、検出した磁場を表す情報を超音波診断装置に出力する。これにより、実施形態の超音波診断システムでは、超音波診断装置が備える処理回路内の信号処理機能が、超音波プローブ装置が、磁場検出部により出力された磁場を表す情報に基づいて、超音波プローブ装置200が反射波信号を検出したときの現在の位置(姿勢を含む)を求める。そして、実施形態の超音波診断システムでは、超音波診断装置100が備える処理回路内の関心領域同定機能が、超音波プローブ装置の位置(姿勢を含む)を、関心領域の位置(姿勢を含む)と同定する。そして、実施形態の超音波診断システムでは、超音波診断装置100が備える処理回路内の制御機能120が、超音波プローブ装置が備える発光素子群内の発光素子の内、同定された関心領域に対応する発光素子の発光(点灯)、およびその他の発光素子の未発光(消灯)を制御する。これにより、実施形態の超音波診断システムを利用して超音波検査を行う検査者は、超音波プローブ装置を走査する際の手元が見づらいような比較的暗い環境下で超音波検査を行う場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置を走査することにより、所望の関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置を移動させることができる。さらに、実施形態の超音波診断システムを利用して超音波検査を行う検査者は、不意に超音波プローブを移動させてしまったことにより移動前の被検者の関心領域の位置を見失ってしまった場合でも、発光素子の発光状態に基づいて超音波プローブ装置を走査することにより、同じ関心領域の位置に容易に超音波プローブ装置を移動させることができる。しかも、実施形態の超音波診断システムでは、超音波プローブ装置が備える発光素子群内の発光素子の発光(点灯)によって、所望の関心領域の位置を示すため、例えば、検査者が超音波検査に慣れていない場合でも、容易に所望の関心領域の位置に超音波プローブ装置を走査することができる。このことにより、検査者は、実施形態の超音波診断システムによって行う超音波検査を円滑に行うことができ、検査時間の短縮を図ることができる。つまり、実施形態の超音波診断システムでは、検査者に対する超音波検査の負荷を、従来の超音波検査よりも軽減させることができる。
【0052】
上述した実施形態では、制御機能120が、同定された関心領域が撮像範囲内にある場合に、関心領域の位置に最も近い位置の発光素子を発光(点灯)させ、同定された関心領域が撮像範囲外にある場合に、関心領域が存在する方向に位置する二つの発光素子を発光(点灯)させ、関心領域が同定されていない場合に、全ての発光素子を発光(点灯)させる場合について説明した。しかしながら、超音波プローブ装置200と関心領域との位置関係を表す際の発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)との制御、言い換えれば、発光素子の発光パターンは、少なくとも上述したような超音波プローブ装置200と関心領域との位置関係を表すことができれば、いかなる発光パターンであってもよい。
【0053】
上述した実施形態では、制御機能120が、超音波プローブ装置200が備える発光素子群260内の発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)とを制御することによって、同定された関心領域の位置を示す構成である場合について説明した。しかしながら、発光素子群260内の発光素子によって、同定された関心領域の位置を示す方法は、発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)とに限定されない。例えば、制御機能120は、発光素子の発光(点灯)させる際の発光量、つまり、発光素子の明るさを変更するように制御してもよい。例えば、制御機能120は、同じ発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)とを交互に行う際の周期、つまり、発光素子の点滅させる周期を変更するように制御してもよい。例えば、発光素子群260が備える発光素子が発光する色を変えることができる構成である場合、制御機能120は、発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)とに代えて、または加えて、発光素子を発光させる色を変更するように制御してもよい。そして、制御機能120は、これらの発光素子の発光(点灯)、未発光(消灯)、発光量、点滅などを組み合わせて、同定された関心領域の位置を示すようにしてもよい。さらに、制御機能120は、同定された関心領域の位置に加えて、関心領域に関する他の情報を示すようにしてもよい。例えば、発光素子が発光する色を変えることができる構成である場合、同定された関心領域の位置を発光素子の発光(点灯)と未発光(消灯)とによって示し、同定された関心領域と超音波プローブ装置200におけるアレイ振動子群220の面との間の距離、つまり、同定された関心領域が位置する被検者の体内の深さを、発光素子を発光させる色を変更することによって示すようにしてもよい。
【0054】
これらの場合における制御機能120の動作や処理などは、上述した実施形態の超音波診断装置100が備える処理回路110内の制御機能120の動作処理などと等価なものになるようにすればよく、容易に考えることができる。従って、この場合の制御機能120の動作や処理などに関する詳細な説明は省略する。
【0055】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
超音波診断装置に処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
超音波プローブ装置が検出した、被検者に向けて送信した超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号に基づく超音波画像を生成し、
前記超音波プローブ装置が検出した、前記反射波信号を検出した位置の磁場を表す情報に基づいて、前記超音波プローブ装置が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求め、
前記検出位置を関心領域の位置と同定し、
同定した前記関心領域の位置に基づいて、前記超音波プローブ装置が備える複数の発光素子の発光を制御する、
超音波診断装置、を備える超音波診断システム。
【0056】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、被検者に向けて超音波信号(US)を送信し、送信した前記超音波信号が前記被検者の体内により反射されて戻ってきた反射波信号を検出する複数の超音波振動素子を有する振動子群(220)と、前記反射波信号を検出した位置の磁場を検出し、検出した磁場を表す情報を出力する磁場検出部(240)と、複数の発光素子(L)を有する発光素子群(260)と、を備える超音波プローブ装置(200)と、前記反射波信号に基づく超音波画像を生成し、前記磁場を表す情報に基づいて、前記超音波振動素子が前記反射波信号を検出したときの検出位置を求める信号処理部(160)と、前記検出位置を関心領域(R)の位置と同定する関心領域同定部(180)と、同定された前記関心領域の位置に基づいて、複数の前記発光素子の発光を制御する制御部(120)と、を備える超音波診断装置(100)と、を持つことにより、超音波診断システム(1)において、検査者による超音波プローブ装置の走査を補助し、超音波検査を円滑に行えるようにさせることができる。
【0057】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1・・・超音波診断システム、100・・・超音波診断装置、102・・・入力装置、104・・・表示装置、110・・・処理回路、120・・・制御機能、130・・・超音波送信機能、140・・・超音波受信機能、150・・・磁場送信機能、160・・・信号処理機能、170・・・表示処理機能、180・・・関心領域同定機能、200・・・超音波プローブ装置、220・・・アレイ振動子群、240・・・磁場検出部、260・・・発光素子群
図1
図2
図3
図4
図5