(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093483
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ホイール
(51)【国際特許分類】
B60B 19/00 20060101AFI20240702BHJP
B60B 3/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B60B19/00 K
B60B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209889
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110251
【氏名又は名称】トピー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳道
(57)【要約】
【課題】発熱部材の冷却効率を高めつつデザイン制約の少ないホイールを提供する。
【解決手段】リム部11と、ディスク部12と、を備え、ディスク部12は、ハブ取付部31からリム部11とを繋ぐスポーク32と、スポークの間に構成される開口35と、を備え、スポーク32は、第1側面32cを溝開口端36aとするとともに第2側面32d側を溝底部36cとしたスポーク溝36を備え、スポーク32は、スポーク溝36のある範囲において、スポーク溝36よりも車幅方向外側の外側壁部と、スポーク溝36よりも車幅方向内側の内側壁部と、を備え、外側壁部のホイール半径方向外側の端部には、スポーク溝36にて構成される溝空間39と車幅方向外側の空間とを連通する、隙間26cを備え、スポーク溝36は、外周側位置の方が内周側位置よりも溝空間39が広くなるように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが取り付けられるリム部と、
前記リム部の内側に取り付けられるディスク部と、を備え、
前記ディスク部は、
回転中心に位置するハブ取付部と、
前記ハブ取付部と前記リム部とを繋ぐスポークと、
隣り合う前記スポークの間に構成される開口と、を備え、
前記スポークは、1つの前記開口を構成する一側面と、
1つの前記開口に対して隣に位置する前記開口を構成する他側面と、
前記一側面を溝開口端とするとともに前記他側面側を溝底部とした有底のスポーク溝と、を備え、
前記スポークは、前記スポーク溝のある範囲において、
前記スポーク溝よりも車幅方向外側の外側壁部と、
前記スポーク溝よりも車幅方向内側の内側壁部と、を備え、
前記外側壁部のホイール半径方向外側の端部には、
前記スポーク溝にて構成される溝空間と車幅方向外側の空間とを連通する、隙間を備え、
前記スポーク溝は、少なくとも一部において、前記ハブ取付部よりも前記隙間に近い外周側位置の方が前記隙間よりも前記ハブ取付部に近い内周側位置よりも前記溝空間が広くなるように構成されている
ホイール。
【請求項2】
前記一側面は、車両前進時のタイヤの回転方向の前方に位置する面である
請求項1に記載のホイール。
【請求項3】
前記スポーク溝は、前記ハブ取付部側の端から前記隙間側の端に向って漸次深くなるように構成されている
請求項1に記載のホイール。
【請求項4】
前記外側壁部及び前記内側壁部の各々の板厚は、少なくとも前記溝開口端の溝幅より薄い部分を少なくとも一部に備える
請求項1に記載のホイール。
【請求項5】
前記内側壁部が前記リム部と一体で構成され、前記外側壁部が前記リム部とは別の部材で構成されている
請求項1に記載のホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールは、その内側にディスクブレーキが配置されている。そこで、ホイールには、車両走行時において、ホイール側面を流れる走行風によってディスクブレーキを冷却する機能を備えたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホイールの車幅方向の外側の面は、車両の外観の一部を構成する部分であるため、デザイン設計をし易い形状が望まれる。このような要請がある中で、ホイールにおいては、走行風によるディスクブレーキの冷却効率の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するホイールは、外周面にタイヤが取り付けられるリム部と、前記リム部の内側に取り付けられるディスク部と、を備え、前記ディスク部は、回転中心に位置するハブ取付部と、前記ハブ取付部と前記リム部とを繋ぐスポークと、隣り合う前記スポークの間に構成される開口と、を備え、前記スポークは、1つの前記開口を構成する一側面と、1つの前記開口に対して隣に位置する前記開口を構成する他側面と、前記一側面を溝開口端とするとともに前記他側面側を溝底部とした有底のスポーク溝と、を備え、前記スポークは、前記スポーク溝のある範囲において、前記スポーク溝よりも車幅方向外側の外側壁部と、前記スポーク溝よりも車幅方向内側の内側壁部と、を備え、前記外側壁部のホイール半径方向外側の端部には、前記スポーク溝にて構成される溝空間と車幅方向外側の空間とを連通する、隙間を備え、前記スポーク溝は、少なくとも一部において、前記ハブ取付部よりも前記隙間に近い外周側位置の方が前記隙間よりも前記ハブ取付部に近い内周側位置よりも前記溝空間が広くなるように構成されている。
【0006】
上記構成によれば、スポークの一側面に衝突する走行風が溝開口端よりスポーク溝に流入し、隙間を通じて車幅方向外側の空間に排出される。これにより、走行風がディスクブレーキ装置が配置されたディスク部の車幅方向内側の空間に戻ることを抑えることができる。その結果、ディスク部よりも車幅方向の内側の空間に配置されたディスクブレーキ装置等の発熱部材の冷却効率を向上できる。
【0007】
上記ホイールにおいて、前記一側面は、車両前進時のタイヤの回転方向に対して前方に位置する面であってもよい。上記構成によれば、車両前進時において、一側面に衝突する走行風がディスク部の車幅方向内側の空間に戻ることを抑えることができる。
【0008】
上記ホイールにおいて、前記スポーク溝は、前記ハブ取付部側の端から前記隙間側の端に向って漸次深くなるように構成されていることが好ましい。上記構成によれば、スポーク溝のハブ取付部側の端から隙間側の端に向って漸次深くなるように構成されているので、スポークの一側面に衝突する走行風を円滑に車幅方向外側の空間に排出することができる。
【0009】
上記ホイールにおいて、前記外側壁部及び前記内側壁部の各々の板厚は、少なくとも前記溝開口端の溝幅より薄い部分を少なくとも一部に備える構成としてもよい。上記構成によれば、外側壁部及び内側壁部の各々の厚さが、少なくとも第1溝開口端の溝幅より薄い部分を少なくとも一部に備えることで、溝開口端を大きくすることができ、溝空間により多くの走行風を取り入れることができる。
【0010】
上記ホイールにおいて、前記内側壁部が前記リム部と一体で構成され、前記外側壁部が前記リム部とは別の部材で構成してもよい。上記構成によれば、スポークの外周端面に、スポーク溝に連通する隙間を構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱部材の冷却効率を高めつつデザイン制約の少ないホイールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態における車両用ホイールの車幅方向の外側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるスポーク溝をスポークの一側面側から見た図である。
【
図5】
図5は、実施形態において、走行風とスポーク溝及び隙間との関係を示す透視平面図である。
【
図7】
図7は、上記実施形態の変形例としての車両用ホイールの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るホイールが適用された車両用ホイールについて図面を参照して説明する。
<ホイールの全体構成>
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る車両用ホイール10は、乗用車等に用いられるホイールであるが、トラック、バス、商用車用ホイールにも適用可能である。車両用ホイール10は、空気入りタイヤが取り付けられる略円筒状のリム部11と、リム部11の車幅方向の外側outとなる位置に設けられるディスク部12と、を備えている。リム部11及びディスク部12は、鉄を含む金属、アルミニウムを含む金属等の金属製である。車両用ホイール10は、鋳造ホイール又は鋼板からプレス絞り成形された鍛造ホイール又はビュレットや鋳物から成形される鍛造アルミホイールである。なお、リム部11及びディスク部12は、鋳造であることが好ましい。ホイール10は、車軸に取り付けられたとき、ディスク部12よりも車幅方向の内側の空間には、発熱部材となるディスクブレーキ装置13が配置される。
【0014】
<リム部>
リム部11は、内側フランジ部21と、内側ビードシート部22と、ドロップ部23と、外側ビードシート部24と、外側フランジ部25と、を備えている。内側フランジ部21及び内側ビードシート部22は、外側ビードシート部24及び外側フランジ部25よりも、ホイール10を車両に装着した際に車幅方向の内側in、すなわち車両に近い側に位置する。
【0015】
<ディスク部>
ディスク部12は、回転中心に設けられたハブ取付部31と、ハブ取付部31からリム部11に向って径方向に延在するスポーク32と、を備えている。
【0016】
ハブ取付部31は、その中心に形成されたハブ穴33と、このハブ穴33の周りに配置される複数のボルト穴34と、を備えている。スポーク32は、車幅方向の外側outから見て、周方向に一定間隔をおいて複数形成されている。周方向で隣接するスポーク32間には、ディスク部12の車幅方向の外側outの空間と車幅方向の内側inの空間とを連通する略扇形形状の開口35を複数備えている。開口35は、例えば飾り穴である。本実施形態では、5本のスポーク32と5個の開口35がそれぞれ周方向に等間隔に構成されている。
【0017】
各スポーク32は、リム部11と繋がるように構成されている。外側フランジ部25の内側は、車幅方向の外側outの面において、L字形状を有している。すなわち、外側フランジ部25の内側は、側壁部26aと、底壁部26bと、を備えている。側壁部26aは、外側フランジ部25と底壁部26bとを繋ぐ環状の縦壁である。底壁部26bは、環状の横壁である。底壁部26bは、スポーク32の内側壁部41bが繋がるとともに、スポーク32の間では開口35の外周側の縁を区画する。
【0018】
各スポーク32は、ハブ取付部31からリム部11に向って径方向に延在する矩形板形状を有している。そして、各スポーク32は、車幅方向の外側outに位置する外面32aと、車幅方向の内側inに位置する内面32bと、外面32aと内面32bを繋ぐ第1側面32c及び第2側面32dと、隙間26cに臨む外周端部となる外周端面32eと、を備えている。一側面を構成する第1側面32cは、車両が前進する際の回転方向Rの前方に位置する面である。他側面を構成する第2側面32dは、車両が前進する際の回転方向Rの後方の面である。外周端面32eは、ホイール半径方向外側の端部である。外周端面32eは、スポーク32の先端を構成するC字形状の面であって、その先で側壁部26aと対向し離間することで隙間26cを構成している。外周端面32eは、第2溝開口端36bを構成する。隙間26cは、スポーク溝36にて構成される溝空間39と車幅方向外側の空間とを連通する。
【0019】
<スポーク溝>
図3及び
図4に示すように、各スポーク32は、第1側面32cを第1溝開口端36aとしたスポーク溝36を備えている。各スポーク32は、外周端面32eにも第1溝開口端36aと連続する第2溝開口端36bを備えている。第2溝開口端36bは、隙間26cと連通している。隙間26cは、スポーク32において、スポーク溝36のある範囲の少なくとも一部に構成されている。スポーク溝36は、第2側面32d側を溝底部36cとした三角形形状を有した有底溝である。スポーク溝36は、ハブ取付部31よりも隙間26cに近い任意の外周側位置37の方が隙間26cよりもハブ取付部31に近い任意の内周側位置38よりも溝空間39が広くなるように構成されている。一例として、外周側位置37は、第1溝開口端36aの外周側の端位置で、第2溝開口端36bとの境界位置である。内周側位置38は、第1溝開口端36aのハブ取付部31に近い端位置である。
【0020】
スポーク溝36は、外面32aを構成する外側壁部41aと、内面32bを構成する内側壁部41bと、を備えている。外側壁部41aと内側壁部41bとの間は、溝空間39が構成されている。そして、スポーク溝36は、第1溝開口端36aを備えた第1側面32cに対して第2側面32d側が溝底部36cである。スポーク溝36は、第1溝開口端36aのハブ取付部31側の端から第2溝開口端36bの第2側面32d側の端に向って漸次深くなるように構成されている。また、スポーク溝36は、第1溝開口端36aのハブ取付部31側の端から第2溝開口端36bの第2側面32d側の端に向って断面積が漸次大きくなるように構成されている。すなわち、溝底部36cは、第1溝開口端36aのハブ取付部31側の端から第2溝開口端36bの第2側面32d側の端に向うに連れて、直線的な傾斜部で構成されている。
【0021】
溝底部36cは、平面で構成されていてもよいし、第2側面32dの方向に膨らむ曲面で構成されていてもよいし、第1側面32cの方向に膨らむ曲面で構成されていてもよい。
【0022】
また、内側壁部41bの外周端部は、底壁部26bと繋がって構成されている。内側壁部41bは、溝構成面が底壁部26bの表面に対して一段高くなっている。内側壁部41bの外周端部及び外側壁部41aの外周端部は、その位置が揃っており、隙間26cを構成する側壁部26aと離間している。
【0023】
図4に示すように、溝空間39において、外側壁部41aの溝構成面と内側壁部41bの溝構成面との間隔である溝幅W1は、溝底部36cに至るまで一定幅である。溝幅W1は、第1溝開口端36a及び第2溝開口端36bの溝幅ではなく、第1溝開口端36aよりも溝底部36c側の溝空間39の溝幅である。
【0024】
第1溝開口端36aにおける溝幅W2も、第2溝開口端36bにおける溝幅W3も一定幅である。第1溝開口端36aの溝幅W2と第2溝開口端36bの溝幅W3も同じ幅寸法である。
【0025】
更に、溝幅W1と溝幅W2,W3の幅寸法も同じである。外側壁部41aの板厚T1と内側壁部41bの板厚T2は、第1溝開口端36a及び第2溝開口端36bから溝底部36cに至るまで一定であり、また、同じ寸法である。すなわちスポーク溝36の溝幅は、全体に亘って一定である。
【0026】
更に、外側壁部41aの板厚T1と内側壁部41bの板厚T2は、溝幅W1,溝幅W2,溝幅W3の何れよりも薄く構成されている。これにより、溝空間39は、より大きく構成することができる。その結果、スポーク溝36の内部に、より多くの走行風51,52を取り入れ、ディスク部12の車幅方向の内側inの空間に逆戻りすることを抑えることができる。
【0027】
<実施形態の作用>
以上のように構成されるホイール10は、ハブ取付部31を通じて車両に取り付けられる。
図5において、矢印は、車両が前進している際のホイール10の関係する走行風51を示している。また、
図5中矢印Rで示す回転方向が車両前進時の回転方向である。車両前進時において、走行風51は、空気入りタイヤのサイドを介してホイール10の車幅方向の外側表面に沿って流れる。また、
図6において、矢印は、空気入りタイヤ及びホイール10の回転に伴って、スポーク32の回転方向下流側の開口35から車幅方向の内側inから外側outに向って流れるディスクブレーキ装置13を冷却する走行風52を示している。
【0028】
そうすると、走行風51,52は、ホイール10において、スポーク32の第1側面32cと衝突することになる。スポーク32は、スポーク溝36を備えている。したがって、走行風51,52は、第1溝開口端36aより溝空間39に進入する。そして、走行風51,52は、外側壁部41a、内側壁部41b、及び溝底部36cにガイドされて、順次第2溝開口端36bを通じて隙間26cに流出する。すなわち、走行風51,52が第1側面32cに衝突して、ディスク部12の車幅方向内側の空間に逆戻りすることを抑えることができる。このように、スポーク溝36は、走行風51,52の排出効率を高めることができ、その結果、ディスクブレーキ装置13の冷却効率を向上できる。
【0029】
<実施形態の効果>
以上のような車両用ホイール10は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1)スポーク32の第1側面32cに衝突する走行風51,52がスポーク溝36に流入し、隙間26cを通じて車幅方向外側の空間に排出される。これにより、走行風51,52がディスクブレーキ装置13が配置されたディスク部12の車幅方向の内側inの空間に逆戻りすることを抑えることができる。
【0030】
(2)両前進時において、第1側面32cに衝突する走行風51,52がディスク部12の車幅方向の内側inの空間に戻ることを抑えることができる。
(3)スポーク溝36は、ハブ取付部31側の端から隙間26c側の端に向って漸次深くなるように構成されている。したがって、効果的に、スポーク32の第1側面32cに衝突する走行風51,52を効率的に車幅方向外側の空間に排出することができる。
【0031】
(4)スポーク溝36を構成する一対の外側壁部41a及び内側壁部41bの各々の板厚T1,T2が、第1溝開口端36aの溝幅W2より薄い部分を備えることで、第1溝開口端36aを大きくすることができる。その結果、スポーク溝36の内部に走行風51,52をより多く取り入れることができる。そして、走行風51,52がディスクブレーキ装置13が配置されたディスク部12の車幅方向の内側inの空間に逆戻りすることを抑えることで、ディスクブレーキ装置13の冷却効率を向上できる。
【0032】
(5)スポーク溝36を構成する内側壁部41bがリム部11と繋がって構成される。これにより、スポーク32の先端側に、スポーク溝36と連続し、溝空間39と車幅方向外側の空間とを連通する隙間26cを構成することができる。
【0033】
なお、車両用ホイール10は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・スポーク32と隙間26cの関係において、外側壁部41aの外周端部は、その一部又は全体が側壁部26a及び/又は外側フランジ部25と繋がっていてもよい。例えば、外側壁部41aは、上から隙間26cを塞いていてもよい。第2溝開口端36bと隙間26cが連通し、隙間26cにおいて、第2側面32d側の面が開口していれば、走行風51,52を排出できるからである。
【0034】
・内側壁部41bの外周端部は、底壁部26bに対して一段高い状態で、側壁部26aと繋がっていてもよい。このような場合であっても、隙間26cは構成され、走行風51,52を隙間26cに排出できるからである。
【0035】
・外側壁部41aの板厚T1及び内側壁部41bの板厚T2は、上述のように全ての位置で同じでもよいし、一部異なっていてもよい。外側壁部41aの板厚T1及び内側壁部41bの板厚T2は、必要とされる強度を維持できるのであれば、溝空間39を大きくできるように、薄い方が好ましい。
【0036】
・スポーク溝36は、少なくとも、ハブ取付部31よりも隙間26cに近い任意の外周側位置37の方が隙間26cよりもハブ取付部31に近い任意の内周側位置38よりも溝空間39が広くなるように構成されていればよい。すなわち、ハブ取付部31よりも隙間26cに近い領域の一部に、隙間26cよりもハブ取付部31に近い領域よりも狭い空間が存在していてもよい。スポーク溝36の大部分において、ハブ取付部31よりも隙間26cに近い任意の外周側位置37の方が隙間26cよりもハブ取付部31に近い任意の内周側位置38よりも溝空間39が広ければ、上述のような効果を実現できるからである。
【0037】
・溝空間39において、外側壁部41aの溝構成面と内側壁部41bの溝構成面との間隔である溝幅W1は、位置によって異なっていてもよい。
・第1溝開口端36aにおいて、溝幅W2は、位置によって異なっていてもよい。また、第2溝開口端36bにおいて、溝幅W3は、位置によって異なっていてもよい。
【0038】
・溝空間39において、外側壁部41aの板厚T1、内側壁部41bの板厚T2の各々は、溝幅W1より薄いことが好ましいが、少なくとも一部に厚い箇所を備えていてもよい。
【0039】
・第1溝開口端36aにおいて、外側壁部41aの板厚T1、内側壁部41bの板厚T2の各々は、第1溝開口端36aの全ての位置で溝幅W2より薄いことが好ましいが、少なくとも一部に厚い箇所を備えていてもよい。
【0040】
・第2溝開口端36bにおいて、外側壁部41aの板厚T1、内側壁部41bの板厚T2の各々は、第2溝開口端36bの全ての位置で溝幅W3より薄いことが好ましいが、少なくとも一部に厚い箇所を備えていてもよい。
【0041】
・外側壁部41aの溝構成面と内側壁部41bの溝構成面との間隔である溝幅W1、第1溝開口端36aにおける溝幅W2、第2溝開口端36bにおける溝幅W3の中で、少なくとも2つの溝幅が同じで1つが異なっていてもよい。また、全ての溝幅が異なっていてもよい。
【0042】
・スポーク溝36は、内周側位置38である第1溝開口端36aのハブ取付部31側の端から第2溝開口端36bの第2側面32d側の端に向けて漸次深くなるように構成されていなくてもよい。すなわち、溝底部36cは、直線形状を有した傾斜部ではなく、波線形状、鋸歯形状等であってもよい。波線形状、鋸歯形状等であっても、各頂点や各底点を結ぶ仮想線が内周側位置38である第1溝開口端36aのハブ取付部31側の端から第2溝開口端36bの第2側面32d側の端に向けて漸次深くなるような形状であればよい。
【0043】
・第1溝開口端36aの溝幅W2は、外側壁部41aの溝構成面と内側壁部41bの溝構成面との間隔である溝幅W1よりも大きくしてもよい。この場合、第1溝開口端36aは、未端から先端に向って拡幅する形状となる。これにより、走行風51,52が溝空間39内に進入し易くなる。
【0044】
・スポーク溝36は、全てのスポーク32に設けられていなくてもよい。例えば、スポーク32は、1つおきに設けられていてもよいし、2つおきに設けられていなくてもよい。すなわち、少なくとも1つのスポーク32にスポーク溝36が設けられても、効果の程度に差はあれ、ディスクブレーキ装置13の冷却効率を向上できるからである。
【0045】
・内側壁部41bは、溝構成面が底壁部26bの表面に対して一段高くなっているが、外周端面が底壁部26bの端面と繋がることで、
図7に示すように、溝構成面である内側壁部41bの内面と底壁部26bの表面とが面一であってもよい。
【0046】
・隙間26cは、第1側面32c側が塞がっていてもよい。これらの場合でも、第2溝開口端36bと隙間26cが連通し、隙間26cにおいて、第2側面32d側の面が開口していれば、走行風51,52を排出できるからである。
【0047】
・第1溝開口端36aと第2溝開口端36bとは、連続した開口でなくてもよい。すなわち、第1溝開口端36aと第2溝開口端36bとの境界において、仕切りを設けるようにしてもよい。このような構成によれば、スポーク32の強度を高めることができる。
【0048】
・外側壁部41aは、他の部分と別体の部材で構成されていてもよい。この場合、外側壁部41aを構成する外側壁部材は、他の部分と溶接やボルト等の固定手段で固定されることになる。この場合において、内側壁部41bはリム部11と一体である。
【0049】
・ホイール10において、ディスク部12の車幅方向内側の空間には、ディスクブレーキ装置13の他、発熱部材として、圧電素子等の発電素子や発光素子やインホイールタイプのモータ等が配置されていてもよい。この場合、これらの素子の冷却効率も高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…ホイール
11…リム部
12…ディスク部
13…ディスクブレーキ装置
21…内側フランジ部
22…内側ビードシート部
23…ドロップ部
24…外側ビードシート部
25…外側フランジ部
26a…側壁部
26b…底壁部
26c…隙間
31…ハブ取付部
32…スポーク
32a…外面
32b…内面
32c…第1側面
32d…第2側面
32e…外周端面
33…ハブ穴
34…ボルト穴
35…開口
36…スポーク溝
36a…第1溝開口端
36b…第2溝開口端
36c…溝底部
37…外周側位置
38…内周側位置
39…溝空間
41a…外側壁部
41b…内側壁部
51…走行風
52…走行風