(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093501
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/44 20060101AFI20240702BHJP
F16D 25/08 20060101ALN20240702BHJP
F16D 48/02 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
F16K1/44 Z
F16D25/08 H
F16D48/02 640V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209923
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】江口 康彦
(72)【発明者】
【氏名】石本 貴大
【テーマコード(参考)】
3H052
3J057
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA21
3H052BA35
3H052CA02
3H052CA12
3H052CA22
3H052CA34
3H052CB02
3H052CD09
3H052EA16
3J057AA08
3J057BB02
3J057GC04
3J057GD02
3J057HH01
3J057JJ01
(57)【要約】
【課題】付勢部材による付勢力を小さくする。
【解決手段】流体制御弁は、弁本体、第1弁体、第1付勢部材、第2弁体、及び第2付勢部材を備える。第1弁体は、弾性材料からなるシート部を有する。第1弁体は、弁本体内において軸方向に移動可能に配置される。第1付勢部材は、第1弁体を軸方向第1側に付勢する。第2弁体は、弁本体内において第1弁体に対して軸方向第1側に配置される。第2弁体は、軸方向においてシート部と対向する。第2弁体は、軸方向に移動可能に配置される。第2付勢部材は、第2弁体を軸方向第1側に付勢する。弁本体は、軸方向第2側を向く当接面を有する。シート部は、第1凸部を有する。第1凸部は、軸方向第1側に突出して当接面と当接する。第1凸部は、当接面に押し付けられることで第1チャンバと第2チャンバとを隔離する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、
弾性材料からなるシート部を有し、前記弁本体内において軸方向に移動可能に配置される第1弁体と、
前記第1弁体を軸方向第1側に付勢する第1付勢部材と、
前記弁本体内において前記第1弁体に対して軸方向第1側に配置され、軸方向において前記シート部と対向し、軸方向に移動可能に配置される第2弁体と、
前記第2弁体を軸方向第1側に付勢する第2付勢部材と、
を備え、
前記弁本体は、軸方向第2側を向く当接面を有し、
前記シート部は、軸方向第1側に突出して前記当接面と当接する第1凸部を有し、
前記第1凸部は、前記当接面に押し付けられることで第1チャンバと第2チャンバとを隔離する、
流体制御弁。
【請求項2】
前記シート部は、軸方向第1側に突出する第2凸部を有し、
前記第2凸部は、軸方向において、前記第2弁体と対向する、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記第1凸部は、先端面が平坦である、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記第1凸部は、環状であり、
前記第1凸部の外周面は、軸方向第1側に向かって径が小さくなるような傾斜面である、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記第1凸部の内周面は、軸方向第1側に向かって径が大きくなるような傾斜面である、
請求項4に記載の流体制御弁。
【請求項6】
前記第1凸部の外周面は、前記第1凸部の内周面よりも傾斜している、
請求項4に記載の流体制御弁。
【請求項7】
前記第1弁体は、円筒部と、前記円筒部の軸方向第1側の端部から径方向外側に延びるフランジ部と、を有し、
前記フランジ部は、軸方向の第1側を向く第1端面と、外周面とを有し、
前記シート部は、前記フランジ部の第1端面及び外周面を覆うように配置される、
請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項8】
前記フランジ部は、軸方向の第2側を向く第2端面を有し、
前記シート部は、前記フランジ部の第2端面を覆う、
請求項7に記載の流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラッチ装置における動力伝達を解除するために、クラッチ装置にクラッチレリーズ装置(以下、単に「レリーズ装置」とも言う)が取り付けられている。特許文献1には、レリーズ装置へ供給する流体を制御するための流体制御弁が開示されている。流量制御弁は、コイルバネなどの付勢部材によって弁体を付勢して弁本体に押し付けることによって、各チャンバを隔離している。そして、この付勢部材の付勢力に抗して弁体を弁本体から離すことによって、各チャンバを連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
付勢部材による付勢力を小さくすることによって、制御弁の操作を容易にすることができる。このため、本発明の課題は、付勢部材による付勢力を小さくすることができる流体制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る流体制御弁は、弁本体、第1弁体、第1付勢部材、第2弁体、及び第2付勢部材を備える。第1弁体は、弾性材料からなるシート部を有する。第1弁体は、弁本体内において軸方向に移動可能に配置される。第1付勢部材は、第1弁体を軸方向第1側に付勢する。第2弁体は、弁本体内において第1弁体に対して軸方向第1側に配置される。第2弁体は、軸方向においてシート部と対向する。第2弁体は、軸方向に移動可能に配置される。第2付勢部材は、第2弁体を軸方向第1側に付勢する。弁本体は、軸方向第2側を向く当接面を有する。シート部は、第1凸部を有する。第1凸部は、軸方向第1側に突出して当接面と当接する。第1凸部は、当接面に押し付けられることで第1チャンバと第2チャンバとを隔離する。
【0006】
この構成によれば、シート部が第1凸部を有し、この第1凸部が当接面に押し付けられることによって第1チャンバと第2チャンバとを隔離している。このように、第1チャンバと第2チャンバとを隔離する凸部を、弾性部材からなるシート部の第1凸部によって構成しているため、密閉性を向上させることができる。このため、付勢部材による付勢力を小さくすることができる。
【0007】
なお、付勢部材による付勢力を小さくすると、流体制御弁を操作する際の操作力を小さくすることができ、例えば、ケーブルなどを介して流体制御弁を操作する際は、そのケーブルのたわみを小さくすることができる。このため、この流体制御弁を用いてクラッチ装置を操作する際、クラッチ装置が切れる点と、クラッチ装置がつながる点とを近づけることができ、クラッチ操作を容易にすることができる。
【0008】
第2態様に係る流体制御弁は、第1態様に係る流体制御弁において、次のように構成される。シート部は、第2凸部を有する。第2凸部は、軸方向第1側に突出する。第2凸部は、軸方向において、第2弁体と対向する。
【0009】
第3態様に係る流体制御弁は、第1又は第2態様に係る流体制御弁において、次のように構成される。第1凸部は、先端面が平坦である。
【0010】
第4態様に係る流体制御弁は、第1から第3態様のいずれかに係る流体制御弁において、次のように構成される。第1凸部は、環状である。第1凸部の外周面は、軸方向第1側に向かって径が小さくなるような傾斜面である。
【0011】
第5態様に係る流体制御弁は、第4態様に係る流体制御弁において、次のように構成される。第1凸部の内周面は、軸方向第1側に向かって径が大きくなるような傾斜面である。
【0012】
第6態様に係る流体制御弁は、第4又は第5態様に係る流体制御弁において、次のように構成される。第1凸部の外周面は、第1凸部の内周面よりも傾斜している。なお、第1凸部の内周面は傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0013】
第7態様に係る流体制御弁は、第1から第6態様のいずれかに係る流体制御弁において、次のように構成される。第1弁体は、円筒部と、フランジ部と、を有する。フランジ部は、円筒部の軸方向第1側の端部から径方向外側に延びる。フランジ部は、軸方向の第1側を向く第1端面と、外周面とを有する。シート部は、フランジ部の第1端面及び外周面を覆うように配置される。
【0014】
第8態様に係る流体制御弁は、第7態様に係る流体制御弁において、次のように構成される。フランジ部は、軸方向の第2側を向く第2端面を有する。シート部は、フランジ部の第2端面を覆う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、付勢部材による付勢力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る流体制御弁100について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、第1弁体3及び第2弁体5の中心軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、中心軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、中心軸Oを中心とした円の径方向である。また、軸方向第1側は
図1の上側を意味し、軸方向第2側は
図1の下側を意味する。
【0018】
<流体制御弁>
図1に示すように、流体制御弁100は、弁本体2、第1弁体3、第1付勢部材4、第2弁体5、及び第2付勢部材6を有している。流体制御弁100は、第1チャンバC1,第2チャンバC2,及び第3チャンバC3を有している。流体制御弁100は、クラッチ装置を操作するレリーズ装置200への圧縮空気の供給を制御するように構成されている。なお、
図2に示すように、レリーズ装置200は、エア室201及びピストン202を有している。エア室201に圧縮空気が供給されることで、ピストン202がクラッチ装置のダイヤフラムスプリング203の内周部を押圧するように
図2の上方に移動し、クラッチ装置は動力伝達を遮断する状態(クラッチオフ状態)となる。また、レリーズ装置200のエア室201から圧縮空気を排出することによって、ピストン202は
図2の下方に移動し、ピストン202によるダイヤフラムスプリング203の押圧が解除され、クラッチ装置は動力を伝達する状態(クラッチオン状態)となる。
【0019】
<弁本体>
図1に示すように、弁本体2は、軸方向に貫通する空間を有している。弁本体2は、外周壁21、サイレンサ22、及び当接面23を有している。外周壁21は、略円筒状である。外周壁21は、軸方向の両端部が軸方向に開口している。サイレンサ22は、外周壁21の軸方向第2側端部に取り付けられている。レリーズ装置200から排出された圧縮空気は、サイレンサ22を介して外部へと排出される。
【0020】
当接面23は、軸方向第2側を向いている。当接面23は、周方向に延びる環状である。なお、本実施形態では、軸方向の第2側に突出する突出部24の先端面が当接面23となっている。突出部24は、周方向に延びる環状である。
【0021】
弁本体2は、供給ポートP1、及び連通ポートP2を有している。供給ポートP1及び連通ポートP2は、外周壁21に形成されている。供給ポートP1は、エア供給源に接続されている。また、供給ポートP1は、第1チャンバC1と連通している。この供給ポートP1を介して、エア供給源から第1チャンバC1へと圧縮空気が供給される。
【0022】
連通ポートP2は、レリーズ装置200のエア室201と接続されている。また、連通ポートP2は、第2チャンバC2と連通している。この連通ポートP2を介して、レリーズ装置200のエア室201と第2チャンバC2とが連通している。
【0023】
<第1弁体>
第1弁体3は、弁本体2内に配置されている。第1弁体3は、軸方向に移動可能に配置されている。第1弁体3は、当接面23に対して、軸方向第2側に配置されている。第1弁体3の外周面は、弁本体2の内周面と間隔をあけて配置されている。径方向において、第1弁体3と弁本体2との間に、第1チャンバC1が形成されている。
【0024】
第1弁体3は、軸方向に貫通する貫通孔30を有している。貫通孔30は、弁本体2の内部空間及び弁本体2の外部と連通している。詳細には、貫通孔30は、サイレンサ22を介して弁本体2の外部と連通している。この第1弁体3の貫通孔30の内周面によって、第3チャンバC3が画定されている。第3チャンバC3は、弁本体2の外部と連通している。
【0025】
第1弁体3は、スリーブ7によって支持されている。スリーブ7は、径方向において、弁本体2と第1弁体3との間に配置されている。スリーブ7は、大径部71と小径部72とを有している。大径部71は、小径部72よりも外径が大きい。なお、大径部71及び小径部72は、内径は互いに同じである。スリーブ7の外周面は、大径部71において、弁本体2の内周面と接触している。シール部材73によって、スリーブ7の外周面と弁本体2の内周面との間の気密性が確保されている。
【0026】
スリーブ7の外周面は、小径部72において、弁本体2の内周面と間隔をあけている。このスリーブ7の外周面と弁本体2の内周面との間で第1チャンバC1が形成されている。すなわち、第1チャンバC1は、スリーブ7と弁本体2とによって画定されている。
【0027】
スリーブ7の内周面は、第1弁体3の外周面と接触している。シール部材74によって、スリーブ7の内周面と第1弁体3の外周面との間の気密性が確保されている。第1弁体3は、スリーブ7の内周面上を軸方向に摺動する。
【0028】
第1弁体3は、円筒部31、フランジ部32、及びシート部33を有している。円筒部31は、軸方向に延びている。円筒部31の外周面は、スリーブ7の内周面と接触している。フランジ部32は、円筒部31の軸方向第1側の端部から径方向外側に延びている。フランジ部32は、軸方向視において環状である。
【0029】
図3に示すように、フランジ部32は、軸方向の第1側を向く第1端面321と、外周面322とを有している。シート部33は、フランジ部32を覆うように配置されている。詳細には、シート部33は、フランジ部32の第1端面321を覆っている。また、シート部33は、フランジ部32の外周面322を覆っている。
【0030】
シート部33は、弾性材料によって構成されている。詳細には、シート部33は、合成ゴム、又は天然ゴムなどによって構成されている。なお、シート部33は、エラストマーなどによって構成されていてもよい。
【0031】
シート部33は、第1凸部331及び第2凸部332を有している。第1凸部331は、周方向に延びる環状である。第1凸部331は、軸方向第1側に突出している。中立状態において、第1凸部331は、当接面23と当接している。詳細には、第1凸部331は、当接面23に押し付けられることで弾性変形している。なお、中立状態とは、流体制御弁100が何も操作されていない状態を意味している。第1凸部331は、当接面23に押し付けられることで第1チャンバC1と第2チャンバC2とを隔離している。
【0032】
図4に示すように、第1凸部331は、先端面331aを有している。先端面331aは、軸方向第1側を向く面である。先端面331aは、平坦である。中立状態において、先端面331aは、当接面23と当接している。
【0033】
第1凸部331は、外周面331b及び内周面331cを有している。外周面331bは、径方向外側を向く面であり、内周面331cは、径方向内側を向く面である。外周面331bは、径方向外側を向くとともに軸方向第1側を向くように傾斜している。外周面331bは、軸方向第1側に向かって徐々に径が小さくなっている。すなわち、第1凸部331の外径は、軸方向第1側に向かって徐々に小さくなっている。なお、内周面331cは、傾斜していない。すなわち、第1凸部331の内径は軸方向において一定である。このように、外周面331bは、内周面331cよりも傾斜している。
【0034】
図3に示すように、第2凸部332は、周方向に延びる環状である。第2凸部332は、第1凸部331に対して、径方向内側に配置されている。第2凸部332は、軸方向第1側に突出している。第2凸部332は、軸方向において、第2弁体5と対向している。第2凸部332は、第2弁体5と当接するように構成されている。詳細には、第2凸部332は、中立状態では、第2弁体5と当接しておらず、第2弁体5と間隔をあけて配置されている。第2弁体5が第2付勢部材6の付勢力に抗して軸方向第2側に移動すると、第2凸部332は、第2弁体5と当接する。
【0035】
図4に示すように、第2凸部332は、先端面332aを有している。先端面332aは、軸方向第1側を向く面である。先端面332aは、平坦である。第2凸部332の先端面332aは、第2弁体5が軸方向第2側に移動してきたときに、第2弁体5と当接する。なお、第2凸部332の先端面332aは、第1凸部331の先端面331aと軸方向の位置が実質的に同じである。
【0036】
第2凸部332は、外周面332b及び内周面332cを有している。外周面332bは、径方向外側を向く面であり、内周面332cは、径方向内側を向く面である。内周面332cは、径方向内側を向くとともに軸方向第1側を向くように傾斜している。内周面332cは、傾斜面であって、軸方向第1側に向かって徐々に径が大きくなっている。すなわち、第2凸部332の内径は、軸方向第1側に向かって徐々に大きくなっている。なお、外周面332bは、傾斜していない。すなわち、第2凸部332の外径は軸方向において一定である。このように、内周面332cは、外周面332bよりも傾斜している。
【0037】
<第1付勢部材>
図1に示すように、第1付勢部材4は、第1弁体3を軸方向第1側に付勢するように構成されている。第1付勢部材4は、例えば、コイルスプリングである。第1付勢部材4は、第1チャンバC1内に配置されている。第1付勢部材4は、第1弁体3を囲むように配置されている。
【0038】
第1付勢部材4は、第1弁体3のフランジ部32と当接している。また、第1付勢部材4は、スリーブ7の大径部71と当接している。すなわち、第1付勢部材4は、軸方向において、フランジ部32と大径部71との間に配置されている。第1付勢部材4は、圧縮された状態で配置されている。第1付勢部材4が第1弁体3を軸方向第1側に付勢することによって、シート部33の第1凸部331が当接面23に押し付けられる。
【0039】
<第2弁体>
第2弁体5は、弁本体2内に配置されている。第2弁体5の軸方向第1側の端部は、弁本体2から突出している。この第2弁体5の軸方向第1側の端部が、操作部材101と当接している。第2弁体5は、弁本体2内で軸方向に移動可能である。第2弁体5は、第1弁体3に対して、軸方向第1側に配置されている。第2弁体5は、軸方向において第1弁体3のシート部33と対向している。なお、第2弁体5は、中立状態では、第1弁体3と軸方向において間隔をあけて配置されている。
【0040】
第2弁体5は、軸方向第2側を向く端面51を有している。この端面51が、第1弁体3と軸方向において対向している。詳細には、端面51は、第1弁体3のシート部33の第2凸部332と対向している。
【0041】
第2弁体5の外周面は、弁本体2の内周面と間隔をあけて配置されている。径方向において、第2弁体5と弁本体2との間に第2チャンバC2が形成されている。すなわち、第2チャンバC2は、第2弁体5と弁本体2とによって画定されている。
【0042】
第2弁体5は、大径部52と小径部53とを有している。大径部52は、弁本体2の内周面と当接している。シール部材54によって、大径部の外周面と弁本体2の内周面との間の気密性が確保されている。
【0043】
小径部53は、大径部52よりも外径が小さい。小径部53の外周面は、弁本体2の内周面と間隔をあけて配置されている。この小径部53と弁本体2との間で第2チャンバC2が形成されている。
【0044】
第2弁体5は、操作部材101によって押圧されることで、軸方向第2側に移動する。第弁体5が軸方向第2側に移動すると、第2弁体5の端面51が第2凸部332と当接する。第2凸部332は、第2弁体5の端面51に押し付けられることで、弾性変形する。また、操作部材101による押圧が解除されると、軸方向第1側に移動し、第2弁体5は、第2凸部332から離れる。
【0045】
<第2付勢部材>
第2付勢部材6は、第2弁体5を軸方向第1側に付勢するように構成されている。第2付勢部材6は、例えば、コイルスプリングである。第2付勢部材6は、第2チャンバC2内に配置されている。第2付勢部材6は、第2弁体5を囲むように配置されている。
【0046】
第2付勢部材6は、第2弁体5の大径部52と当接している。また、第2付勢部材6は、弁本体2と当接している。すなわち、第2付勢部材6は、軸方向において、大径部52と弁本体2との間に配置されている。第2付勢部材6は、圧縮された状態で配置されている。第2付勢部材6が第2弁体5を軸方向第1側に付勢することによって、第2弁体5は、第1弁体3と軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0047】
<動作>
次に、上述したように構成された流体制御弁100の動作について説明する。まず、運転者がクラッチ操作していない状態(例えば、運転者がクラッチペダルを踏み込んでいない状態)では、
図1に示すように、操作部材101は、第2弁体5を軸方向第2側に押圧しない。このため、流体制御弁100は何も操作されておらず中立状態にある。すなわち、第2弁体5は、第2付勢部材6によって軸方向第1側に付勢されており、第1弁体3と軸方向に間隔をあけて配置されている。このため、第2凸部332は、第2弁体5と接触していない。
【0048】
また、第1弁体3は、第1付勢部材4によって軸方向第1側に付勢されている。このため、第1凸部331は、当接面23に押し付けられている。このように、第1凸部331が当接面23に押し付けられる一方で、第2凸部332が第2弁体5と接触していないため、第2チャンバC2は、第1チャンバC1と隔離され、第3チャンバC3と連通している。
【0049】
このため、レリーズ装置200のエア室201は、第2チャンバC2及び第3チャンバC3を介して外部へと解放されている。すなわち、レリーズ装置200のエア室201内の圧縮空気はエア室201から排出されている。なお、このように、第2チャンバC2と第3チャンバC3とが連通されているときの流体制御弁100の状態を、排気状態という。
【0050】
次に、運転者がクラッチオフ操作をすると(例えば、運転者がクラッチペダルを踏み込むと)、
図5に示すように、操作部材101が第2弁体5を軸方向第2側に押圧し、第2弁体5は、第2付勢部材6の付勢力に抗して、軸方向第2側に移動する。そして、第2弁体5は、第1弁体3の第2凸部332を押圧し、第1弁体3を軸方向第2側に移動させる。このとき、第2凸部332は、第2弁体5によって押圧されて弾性変形する。第1弁体3が軸方向第2側に移動することによって、第1弁体3の第1凸部331は当接面23から離れる。すなわち、第2チャンバC2は、第3チャンバC3と隔離され、第1チャンバC1と連通する。この結果、第1チャンバC1から第2チャンバC2を介してレリーズ装置200のエア室201へ圧縮空気が供給され、レリーズ装置200のピストン202がダイヤフラムスプリング203の内周部を押圧し、クラッチ装置がクラッチオフ状態となる。なお、このように、第1チャンバC1と第2チャンバC2が連通されたときの流体制御弁100の状態を、供給状態という。
【0051】
運転者がクラッチ操作を停止すると(例えば、運転者がクラッチペダルの踏み込んだ状態で踏み込み動作を停止すると)、エア室201に圧縮空気が供給されてレリーズ装置200のピストン202がダイヤフラムスプリング203を押圧する位置まで移動すると、操作部材101がわずかに戻り、第2弁体5及び第1弁体3が軸方向第1側へ移動し、
図6に示すように、第2凸部332が第2弁体5と当接した状態のまま、第1凸部331が当接面23と当接する。このため、第2チャンバC2は、第1チャンバC1及び第3チャンバC3のいずれとも隔離されている。すなわち、第1チャンバC1、第2チャンバC2、及び第3チャンバC3は、それぞれが互いに連通していない。この結果、エア室201内の空気圧が維持され、ピストン202がダイヤフラムスプリング203を押圧し続ける。なお、このように、第1チャンバC1、第2チャンバC2、及び第3チャンバC3のそれぞれが互いに連結されていないときの流体制御弁100の状態を、保持状態という。
【0052】
運転者がクラッチオン操作をすると(例えば、運転者がクラッチペダルの踏込みを解除すると)、流体制御弁100は、
図1の状態に戻り、第2チャンバC2は、第3チャンバC3と連通し、第1チャンバC1と隔離される。この結果、レリーズ装置200のエア室201内の圧縮空気がエア室201から排出され、ピストン202はダイヤフラムスプリング203から離れるように移動し、クラッチ装置はクラッチオン状態となる。なお、このように、第2チャンバC2と第3チャンバC3とが連通されたときの流体制御弁100の状態を、排気状態という。以上のように、流体制御弁100は、供給状態、排気状態、及び保持状態の3つの状態の間で遷移する。
【0053】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0054】
(a)上記実施形態では、第1凸部331の内周面331cは傾斜していなかったが、
図7に示すように、第1凸部331の内周面331cは、傾斜していてもよい。具体的には、第1凸部331の内周面331cは、径方向内側を向くとともに、軸方向第1側を向くように傾斜している。すなわち、第1凸部331の内周面331cは、軸方向第1側に向かって径が大きくなるように傾斜している。この場合、第1凸部331の外周面331bは、内周面331cよりも傾斜している。
【0055】
また、第2凸部332の外周面332bは、傾斜していてもよい。具体的には、第2凸部332の外周面332bは、径方向外側を向くとともに、軸方向第1側を向くように傾斜している。すなわち、第2凸部332の外周面332bは、軸方向第1側に向かって径が小さくなるように傾斜していてもよい。この場合、第2凸部332の内周面332cは、外周面332bよりも傾斜している。
【0056】
(b)上記実施形態では、第1凸部331の先端面331aは平坦に形成されていたが、第1凸部331の構成はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、第1凸部331の先端面331aは、湾曲面として構成されていてもよい。詳細には、第1凸部331の先端面331aは、軸方向第1側に向かって膨らむように湾曲していてもよい。同様に、第2凸部332の先端面332aも、湾曲面として構成されていてもよい。
【0057】
(c)第1凸部331の形状は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、
図8に示すように、第1凸部331は、その断面形状が円弧状であってもよい。同様に第2凸部332も、その断面形状が円弧状であってもよい。また、
図9に示すように、第1凸部331は、リップシール形状であってもよい。同様に、第2凸部332も、リップシール形状であってもよい。この場合、例えば、第1凸部331及び第2凸部332の各リップは、径方向外側を向いている。なお、第1凸部331及び第2凸部332の少なくとも一方のリップは、径方向内側を向いていてもよい。
【0058】
(d)
図10に示すように、シート部33は、フランジ部32の第2端面323も覆っていてもよい。例えば、シート部33は、第2端面323の外周端部のみを覆っている。なお、フランジ部32の第2端面323は、軸方向第2側を向いている。
【0059】
(e)上記実施形態では、シート部33は、第2凸部332を有しているが、シート部33の構成はこれに限定されない。例えば、シート部33は、第2凸部332を有していなくてもよい。この場合、第2弁体5が軸方向第2側に突出する凸部を有している。そして、第2弁体5が軸方向第2側に移動したときに、第2弁体5の凸部がシート部33と当接する。
【符号の説明】
【0060】
2 :弁本体
23 :当接面
3 :第1弁体
31 :円筒部
32 :フランジ部
33 :シート部
331 :第1凸部
332 :第2凸部
4 :第1付勢部材
5 :第2弁体
6 :第2付勢部材
100 :流体制御弁
C1 :第1チャンバ
C2 :第2チャンバ