(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093508
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】補強金具およびそれを使用した棟構造および棟工法
(51)【国際特許分類】
E04D 3/40 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
E04D3/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209936
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】595035533
【氏名又は名称】株式会社丸惣
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 基登
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AZ02
2E108BN01
2E108CC02
2E108CC15
2E108EE01
2E108FG01
2E108GG05
2E108GG15
2E108JJ02
(57)【要約】
【課題】 建物屋根の棟部における棟包みを簡易に補強することが可能な補強金具を提供することである。
【解決手段】 屋根の棟部の長手方向に向かって配置される貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具であって、前記補強金具は、前記貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であることを特徴とする補強金具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の棟部の長手方向に向かって配置される貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具であって、
前記補強金具は、前記貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、
前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であることを特徴とする補強金具。
【請求項2】
屋根の棟部の長手方向に向かって配置される貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具であって、
前記補強金具は、前記貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、
前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、
前記上板には、前記側板と対向する位置に前記側板より短く形成された短側板が設けられ、
前記上板と前記短側板により形成される角度が85°~105°であり、
前記側板には、前記軒側へ延伸する方向に裾板が設けられていることを特徴とする補強金具。
【請求項3】
前記上板は、前記貫板と前記補強金具とを緊結するための第1の緊結具を通すための第1の貫通孔を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補強金具。
【請求項4】
前記上板の裏側には、前記第1の貫通孔より大きな第2の貫通孔を有する補強板が、前記第1の貫通孔を塞がないように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の補強金具。
【請求項5】
屋根の棟部の長手方向に向かって配置された貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具を使用した棟構造であって、
前記補強金具は、屋根の棟部における貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、
前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、
前記棟構造は、棟部の長手方向に配置された棟木と、屋根材と、前記屋根材の上に配置された前記貫板と、前記貫板の上に配置された前記補強金具と、前記補強金具の上に配置された前記棟包みと、を備え、
前記貫板と前記補強金具とを緊結するように第1の緊結具が前記補強金具の上板から前記貫板に向かって打ち込まれており、
前記棟包みと前記補強金具と前記貫板とを緊結するように第2の緊結具が前記貫板の軒側の側面に向かって打ち込まれていることを特徴とする棟構造。
【請求項6】
屋根の棟部の長手方向に向かって配置された貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具を使用した棟工法であって、
前記補強金具は、屋根の棟部における貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、
前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、
屋根の棟部の長手方向に向かって前記貫板を配置する工程と、前記貫板の上方から前記補強金具を配置する工程と、前記補強金具を配置した前記貫板の上方から前記棟包みを配置する工程と、前記貫板と前記補強金具とを緊結するように第1の緊結具を前記補強金具の上板から前記貫板に向かって打ち込む工程と、前記棟包みと前記補強金具と前記貫板とを緊結するように第2の緊結具を前記貫板の軒側の側面に打ち込む工程と、を含むことを特徴とする棟工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物屋根の棟部に配置される棟包みを補強する補強金具およびそれを使用した棟構造および棟工法に関する。
【背景技術】
【0002】
棟包みは、鋼板を折り曲げて形成されたものであり、建物屋根の棟部に配置されるものである。建物屋根の棟部に棟包みを配置することで、棟部からの雨などの侵入を防いでいる。
【0003】
一般的に棟包みは、棟頂部にあたる部位が山形になった長尺な部材であり、貫板と共に施工される。なお、貫板とは、屋根の棟部の長手方向に向かって配置されるものであり、棟包みを固定するための板である。棟包みは、棟部に沿って配置された貫板の上に被せた後、釘などの緊結具により固定される。しかし、釘などが錆びたり、貫板が腐食したりすることで耐久性が弱くなり、その結果、棟包みが風などによって飛ばされてしまうという問題が生じている。
【0004】
そのため、棟包みを強固な構造とすることで耐久性を向上させることが考えられる。例えば、特許文献1に記載の安全金具を取り付ければ、耐久性が向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の安全金具は命綱を取り付けるためのものであるため、構造が複雑で取り付けにも手間がかかるという問題が生じる。また、そもそも特許文献1の安全金具は命綱を取り付けるためのものであるため、棟包みの耐久性の向上については一切記載されていない。さらに、特許文献1の安全金具は棟部の左右両側に配置された2本の貫板を1つの安全金具で覆うように配置しているが、このように配置するのは貫板の配置を少しずつ修正等する必要があるため手間が生じていた。
【0007】
それ故に、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的の1つは、簡易に棟包みを補強することが可能な補強金具を提供することである。また、当該補強金具を使用した棟構造および棟工法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。
【0009】
本発明の一局面に係る補強金具は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置される貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具であって、前記補強金具は、前記貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であることを特徴とする。
かかる構成により、棟包みを簡易に補強することができる。棟包みを固定する際、貫板の軒側の側面側から釘等の緊結具を使用して棟包みと貫板とを緊結するが、棟包みと貫板との間に本発明に係る補強金具を設けることでより強固に緊結できるため、棟包みをより強固な構造することができる。
【0010】
本発明の一局面に係る補強金具は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置される貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具であって、前記補強金具は、前記貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、前記上板には、前記側板と対向する位置に前記側板より短く形成された短側板が設けられ、前記上板と前記短側板により形成される角度が85°~105°であり、前記側板には、前記軒側へ延伸する方向に裾板が設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、棟包みを簡易に補強することができる。棟包みを固定する際、貫板の軒側の側面側から釘等の緊結具を使用して棟包みと貫板とを緊結するが、棟包みと貫板との間に本発明に係る補強金具を設けることでより強固に緊結できるため、棟包みをより強固な構造することができる。
【0011】
また、より好ましくは、前記上板は、前記貫板と前記補強金具とを緊結するための第1の緊結具を通すための第1の貫通孔を有していることを特徴とする。
かかる構成により、貫板と補強金具とをより簡易に緊結することができる。
【0012】
また、より好ましくは、前記上板の裏側には、前記第1の貫通孔より大きな第2の貫通孔を有する補強板が、前記第1の貫通孔を塞がないように設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、補強板によって補強金具の強度をより向上させることができる。また、一枚の金属板を折り曲げて補強金具を作成する際、多少ずれて折り曲げられても第1の貫通孔が塞がれることがなくなる。また、第1の緊結具を使用して貫板の上に補強金具を固定した際、補強金具が折り曲げられて2重になっていると、補強金具の表面部分を平坦に保てることができる。
【0013】
本発明の一局面に係る棟構造は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置された貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具を使用した棟構造であって、前記補強金具は、屋根の棟部における貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、前記棟構造は、棟部の長手方向に配置された棟木と、屋根材と、前記屋根材の上に配置された前記貫板と、前記貫板の上に配置された前記補強金具と、前記補強金具の上に配置された前記棟包みと、を備え、前記貫板と前記補強金具とを緊結するように第1の緊結具が前記補強金具の上板から前記貫板に向かって打ち込まれており、前記棟包みと前記補強金具と前記貫板とを緊結するように第2の緊結具が前記貫板の軒側の側面に向かって打ち込まれていることを特徴とする。
かかる構成により、より簡易に棟包みの箇所をより強固な構造とすることができる。
【0014】
本発明の一局面に係る棟工法は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置された貫板と棟包みとの間に配置され、棟包みを補強するための補強金具を使用した棟工法であって、前記補強金具は、屋根の棟部における貫板の上面に配置される上板と、前記貫板の軒側の側面に沿うように配置される側板とを備え、前記上板と前記側板により形成される角度が85°~105°であり、屋根の棟部の長手方向に向かって前記貫板を配置する工程と、前記貫板の上方から前記補強金具を配置する工程と、前記補強金具を配置した前記貫板の上方から前記棟包みを配置する工程と、前記貫板と前記補強金具とを緊結するように第1の緊結具を前記補強金具の上板から前記貫板に向かって打ち込む工程と、前記棟包みと前記補強金具と前記貫板とを緊結するように第2の緊結具を前記貫板の軒側の側面に打ち込む工程と、を含むことを特徴とする。
かかる構成により、簡易な工法で配置される強固な構造とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、簡易に棟部における棟包みをより強固な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る補強金具を使用した棟構造を示す図である。
【
図3】本発明に係る補強金具の平面、正面及び側面を示す図である。
【
図4】本発明に係る補強金具を貫板に取り付けた状態を示す図である。
【
図5】本発明に係る補強金具を貫板に取り付けた後、棟包みを被せた状態を示す図である。
【
図7】別形態の補強金具の平面、正面及び側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。なお、以下の説明において、本発明の理解を容易にするために図面に示されている符号等を付記する場合があるが、本発明の各構成要素は、図面に示されているものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0018】
図1は、本発明に係る補強金具100を使用した棟構造を示す図である。棟構造は、棟部の長手方向に配置された棟木10と、屋根材20と、屋根材20の上に配置された貫板30と、貫板30の上に配置された補強金具100と、補強金具100の上に配置された棟包み40と、を備えている。また、第1の緊結具50の先端が棟木10に届くように打ち込まれており、第2の緊結具60の先端が貫板30に届くように打ち込まれている。
【0019】
屋根材20は、野地板70の上に配置されている。屋根材20としては、スレート材を使用しているがこれに限られず、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ジンカリウム鋼板、アスファルトシングル、トタンなど様々な屋根材20を適時使用することができる。
【0020】
貫板30は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置されており、棟頂部の左右に分かれて配置されている。貫板30が配置された状態において、軒側に近い方の側面が軒側の側面31であり、棟頂部に近い方の側面が棟頂部側の側面32である。なお、棟頂部とは、配置された棟包みの山形の頂点のことを示す。
【0021】
貫板30としては、木材を使用しているがこれに限られず、樹脂で形成されているものを使用しても構わない。
【0022】
第1の緊結具50としては、長寸ねじを使用しているがこれに限られず、長寸くぎなどを使用しても構わない。なお、第1の緊結具50は、補強金具100の上から打ち込まれている。
【0023】
第2の緊結具60としては、ドリルビスを使用しているがこれに限られずに、釘やねじなどを使用しても構わない。第2の緊結具60によって、棟包み40と補強金具100と貫板30とを緊結している。なお、第2の緊結具60は棟包み40の上から、貫板30の軒側の側面31に向かって打ち込まれている。
【0024】
棟包み40は、棟頂部にあたる部位が山形になった長尺なものを使用している。また、棟包み40は、各種塗装処理等が施されたものを使用している。また、棟包み40は、棟木10を跨いで棟部の長手方向に向かって複数個連続して配置され、棟頂部の左右に分かれて配置された2本の貫板30を包むように配置されている。
【0025】
次に、本発明に係る補強金具100について説明する。
図2は本発明に係る補強金具100を示す斜視図であり、
図3は本発明に係る補強金具100の平面、正面及び側面を示す図である。また、
図2(a)は補強金具100の表側を示す斜視図であり、
図2(b)は補強金具100の裏側を示す斜視図である。補強金具100は、貫板30の上面に配置される上板110と、貫板30の軒側の側面31に沿うように配置される側板120とを備えており、上板110と側板120とは、θ1として、略90°の角度で形成されている。なお、θ1は、85°~105°の範囲が好ましい。また、上板110には、側板120と対向する位置に側板120より短く形成された短側板130が設けられており、上板110と短側板130とは、θ2として略90°の角度で設けられている。なお、θ2は85°~105°の範囲が好ましい。また、側板120において、上板110と側板120とが連結する端部と対向する他方端部140には、軒側へ延伸する方向に裾板150が設けられている。
【0026】
補強金具100は、折り曲げて形成されており、金属板が2重となっている。なお、折り曲げられて形成された裏面が補強板160となっている。補強金具100の上板110の表面には、貫板30と補強金具100とを緊結するための第1の緊結具50を通すための第1の貫通孔111を有している。また、上板110の裏面である補強板160には、第1の貫通孔111より大きな第2の貫通孔161が形成されている。これは、折り曲げによるズレを考慮して第2の貫通孔161を第1の貫通孔111を大きくしている。この構造により、補強金具100を折り曲げて形成する際、より確実に第1の緊結具50を第1の貫通孔111及び第2の貫通孔161を通るように形成することができる。なお、裏面である補強板160は別の金属板を貼り付けて形成しても構わない。
【0027】
なお、補強金具100の第1の貫通孔111及び第2の貫通孔161があるのが好ましいが、無くても釘などの緊結具を打ち込むことは可能である。ただし、第1の貫通孔111及び第2の貫通孔161を設けていない場合、釘などの緊結具を打ち込むのに手間が生じる。
【0028】
また、実際に施工する際は、補強金具100の裏面の補強板160に防水テープ等を貼ってから施工するのが好ましいい。具体的には、補強板160の第2の貫通孔161を塞ぐように両面に粘着層を有した防水テープを貼り付けてから施工する。この場合、第1の緊結具50が第1の貫通孔111及び第2の貫通孔161を通過する際、第1の緊結具50が防水テープに絡みながらねじ込まれるため、防水性を向上させることができる。なお、防水テープとしては、両面に粘着層を有したブチルテープが好ましい。
【0029】
図4は、貫板30に補強金具100を取り付けた状態を示す図であり、
図5は、貫板30に補強金具100を取り付けた後、棟包み40を被せた状態を示す図である。補強金具100を貫板30に被せるように配置した後、補強金具100の上から第1の緊結具50が打ち込まれている。その後、棟包み40が被せられ、貫板30の軒側の側面31の部分に第2の緊結具60が打ち込まれている。仮に、棟包み40を被せた後に上方向から釘などを打ち込んだ場合、その打ち込んだ箇所から雨などが侵入し、棟包み40及び貫板30を劣化などさせてしまうため、補強金具100の上から貫板30に向かって第1の緊結具50を打ち込む構成としている。また、第2の緊結具60は、棟包み40の上から側板120の軒側の側面31を貫通するように打ち込まれており、棟包み40と補強金具100と貫板30とを緊結している。
【0030】
また、
図5から、補強金具100の裾板150は、棟包み40に完全に隠れておらず、棟包み40からはみ出る構成としている。補強金具100の裾板150がはみ出る構成とすると、雨などの侵入をより確実に防ぐことができるためである。仮に、裾板150が短く、棟包み40に完全に隠れる形態であれば、雨などが棟包み40の裾の部分から潜り込むように侵入する可能性があるが、裾板150がはみ出る構成とすると、雨などが裾板150によって屋根の軒側に流れるようになる。
【0031】
次に、補強金具100を使用した棟工法について説明する。棟木10を挟んで両側に野地板70及び屋根材20を施工し、屋根材20の上に貫板30を屋根の棟部の長手方向に向かって配置する。なお、貫板30は棟木10を挟んで屋根の両側に配置した後、釘などで固定する。そして、補強金具100の第2の貫通孔161を塞ぐように防水テープを貼り付けて、貫板30に補強金具100を被せるように配置し、補強金具100の上面から棟木10に向かって第1の緊結具50を打ち込む。この際、第1の緊結具50は、補強金具100の第1の貫通孔111及び第2の貫通孔161を通過するように打ち込む。そして、棟包み40を貫板30及び補強金具100の両方を包むように配置し、第2の緊結具60を棟包み40の上から側板120を貫通するように打ち込み固定する。なお、第2の緊結具60を打ち込む際は、棟包み40、補強金具100、貫板30を連結するように打ち込む。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態では、別形態の補強金具200について説明する。
図6は、別形態の補強金具200を示す斜視図であり、
図7は、別形態の補強金具200の平面、正面及び側面を示す図である。なお、
図6および
図7ついては、同一の参照符号を付すことによって、詳細な説明は省略する。
【0033】
補強金具200は、屋根の棟部の長手方向に向かって配置された貫板30と棟包み40との間に配置され、棟包み40を補強するための補強金具200である。補強金具200は、貫板30の上面に配置される上板110と、貫板30の軒側の側面31に沿うように配置される側板120とを備えており、上板110と側板120とは、θ3として略95°の角度で形成されている。なお、θ3としては、85°~105°の角度が好ましい。補強金具200は、折り曲げて形成されており、金属板が2重となっている。なお、折り曲げられて形成された裏面が補強板160となっている。補強金具200の上板110の表面には貫板30と補強金具200とを緊結するための第1の緊結具50を通すための第1の貫通孔111を有しており、上板110の裏面である補強板160には、第1の貫通孔111より大きな第2の貫通孔161が形成されている。また、側板120には、第3の貫通孔210が設けられている。貫板30に補強金具200を配置した後、第3の貫通孔210に釘などを打ち込むことで、より強く固定することができる。
【0034】
また、別形態の補強金具200は、補強金具100と同様に使用することができる。そのため、補強金具100の代わりに別形態の補強金具200を使用して本発明に係る棟工法を施工することができるし、本発明に係る棟構造を構築することもできる。
【0035】
以上により、本発明に係る補強金具100を使用した場合、貫板30と補強金具100をより強固に固定することによって配置される棟包み40の強度を向上させることができる。一方、別形態の補強金具200を使用した場合、施工する際、貫板30により簡易に配置することができる態様になっているため、施工時間を短縮可能な棟工法を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る補強金具を使用すれば、棟部における棟包みをより強固な構造とすることができ、特に、スレート屋根材を使用した棟工法及び棟構造等に有用である。
【符号の説明】
【0037】
10 棟木
20 屋根材
30 貫板
31 軒側の側面
32 棟頂部側の側面
40 棟包み
50 第1の緊結具
60 第2の緊結具
70 野地板
100 補強金具
110 上板
111 第1の貫通孔
120 側板
130 短側板
140 他方端部
150 裾板
160 補強板
161 第2の貫通孔
200 補強金具
210 第3の貫通孔