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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093516
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240702BHJP
   F16H 57/021 20120101ALI20240702BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240702BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 Z
F16H57/021
F16H57/04 G
F16H57/04 K
F16H57/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209948
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】助森 大地
(72)【発明者】
【氏名】牧野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】兼松 智也
(72)【発明者】
【氏名】重松 晃二
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB02
3J063AC01
3J063AC11
3J063BA03
3J063BA15
3J063BB48
3J063CA01
3J063CD44
3J063XD15
3J063XD43
3J063XF14
3J063XH02
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH42
5H609BB03
5H609BB12
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP17
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR12
5H609RR50
5H609RR52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クーラを有する駆動装置を小型化する駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置100は、モータ本体10と、ギヤ機構と、モータ本体を内部に収容するモータハウジング31、ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジング32、および流体が内部に貯留される貯留部を有するハウジング30と、貯留部内の流体をモータハウジングの内部に送るポンプ71と、少なくともポンプとモータハウジングの内部との間を繋ぎ、流体が流れる流路と、流路のうちポンプからモータハウジングの内部に流体が送られるまでの間の部分に配置されるクーラ72と、を備える。モータ90の一部は、ギヤハウジングと軸方向に重なっている。モータは、軸方向に見て、ギヤハウジングよりも径方向外側に突出する突出部91を有する。クーラの少なくとも一部は、軸方向と直交する所定方向にギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に突出部と重なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して対向するステータを有するモータ本体と、
前記ロータに接続されたギヤ機構と、
前記モータ本体を内部に収容するモータハウジング、前記モータハウジングの軸方向一方側に位置し前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジング、および流体が内部に貯留される貯留部を有するハウジングと、
前記貯留部内の前記流体を前記モータハウジングの内部に送るポンプと、
少なくとも前記ポンプと前記モータハウジングの内部との間を繋ぎ、前記流体が流れる流路と、
前記流路のうち前記ポンプから前記モータハウジングの内部に前記流体が送られるまでの間の部分に配置されるクーラと、
を備え、
前記モータ本体と前記モータハウジングとを有するモータが構成され、
前記モータの一部は、前記ギヤハウジングと軸方向に重なり、
前記モータは、軸方向に見て、前記ギヤハウジングよりも径方向外側に突出する突出部を有し、
前記クーラの少なくとも一部は、軸方向と直交する所定方向に前記ギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に前記突出部と重なっている、駆動装置。
【請求項2】
前記流路は、
前記ステータに前記流体を供給する供給口を有する第1流路部と、
少なくとも一部が前記ロータの内部に設けられた第2流路部と、
を有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ポンプは、前記第1流路部内に前記流体を送る、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記貯留部の少なくとも一部は、前記ギヤハウジングに設けられ、
前記ギヤ機構は、少なくとも一部が前記貯留部内に位置するギヤを有し、
前記第2流路部は、前記ギヤハウジング内に開口し、
前記第2流路部内には、前記ギヤによってかき上げられた前記流体の少なくとも一部が入る、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ポンプは、前記第2流路部内に前記流体を送る、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2流路部は、前記第1流路部から分岐している、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2流路部は、前記第1流路部のうち前記貯留部と前記クーラとの間に位置する部分から分岐している、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2流路部は、前記第1流路部のうち前記クーラと前記供給口との間に位置する部分から分岐している、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第2流路部は、前記第1流路部の下流側の端部から延びている、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ロータは、軸方向に延びるモータシャフトを有し、
前記第2流路部は、前記モータシャフトの内部に設けられたモータシャフト内流路部を有する、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ギヤ機構は、前記モータシャフトと軸方向に繋がるギヤシャフトを有し、
前記第2流路部は、前記ギヤシャフトの内部に設けられたギヤシャフト内流路部を有し、
前記ギヤシャフト内流路部は、前記モータシャフト内流路部の軸方向一方側に繋がっている、請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記第2流路部内において前記流体は、前記ギヤシャフト内流路部内から前記モータシャフト内流路部内に流れる、請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記第2流路部内において前記流体は、前記モータシャフト内流路部内から前記ギヤシャフト内流路部内に流れる、請求項11に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記モータハウジングの内部と前記ギヤハウジングの内部とを区画する隔壁部を有し、
前記第1流路部の少なくとも一部は、前記隔壁部に設けられている、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記クーラは、
前記流体が流入する流入口と、
前記流体が流出する流出口と、
を有し、
前記流入口と前記流出口とは、互いに同じ向きに開口している、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記クーラは、
前記流体が流入する流入口と、
前記流体が流出する流出口と、
を有し、
前記流入口と前記流出口とは、互いに異なる向きに開口している、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項17】
前記流入口は、上下方向下向きに開口し、
前記流出口は、水平方向または水平方向よりも上下方向上向きに開口している、請求項16に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記ポンプは、前記ハウジングの内部に位置する、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記ポンプは、前記所定方向に前記ギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に前記突出部と重なっている、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項20】
前記モータは、前記モータ本体に電気的に接続された制御装置を有し、
前記突出部の少なくとも一部は、前記制御装置によって構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータにオイルを供給するポンプ構造を有する動力伝達装置が知られている(例えば、特許文献1)。当該構造では、モータをオイルで直接冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-91001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記動力伝達装置では、オイルを冷却するオイルクーラが動力伝達装置のケースの外面に取り付けられている。この場合、オイルクーラがケースの外面からケースの外側に向かって出っ張ってしまい、動力伝達装置が大型化してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、クーラを有する駆動装置を小型化することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して対向するステータを有するモータ本体と、前記ロータに接続されたギヤ機構と、前記モータ本体を内部に収容するモータハウジング、前記モータハウジングの軸方向一方側に位置し前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジング、および流体が内部に貯留される貯留部を有するハウジングと、前記貯留部内の前記流体を前記モータハウジングの内部に送るポンプと、少なくとも前記ポンプと前記モータハウジングの内部との間を繋ぎ、前記流体が流れる流路と、前記流路のうち前記ポンプから前記モータハウジングの内部に前記流体が送られるまでの間の部分に配置されるクーラと、を備える。前記モータ本体と前記モータハウジングとを有するモータが構成されている。前記モータの一部は、前記ギヤハウジングと軸方向に重なっている。前記モータは、軸方向に見て、前記ギヤハウジングよりも径方向外側に突出する突出部を有する。前記クーラの少なくとも一部は、軸方向と直交する所定方向に前記ギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に前記突出部と重なっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、クーラを有する駆動装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態における駆動装置を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態における駆動装置を軸方向一方側から見た図である。
図4図4は、第2実施形態における駆動装置を軸方向一方側から見た図である。
図5図5は、第3実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図6図6は、第4実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図7図7は、第5実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図8図8は、第6実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図9図9は、第6実施形態における駆動装置を軸方向一方側から見た図である。
図10図10は、第7実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図11図11は、第8実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図12図12は、第9実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図13図13は、第10実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図14図14は、第11実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図15図15は、第12実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
図16図16は、第13実施形態における駆動装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。+Z側は、上側であり、-Z側は、下側である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両における前側であり、-X側は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両における左側であり、-Y側は、車両における右側である。
【0010】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0011】
適宜図に示す中心軸線J1は、上下方向と交差する方向に延びる仮想軸線である。より詳細には、中心軸線J1は、上下方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線J1を中心とする周方向、つまり中心軸線J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
以下の説明においては、軸方向のうち左側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうち右側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。上下方向は、例えば、鉛直方向であり、前後方向および左右方向は、例えば、鉛直方向と直交する水平方向である。また、前後方向は、上下方向および軸方向の両方と交差する交差方向であり、前側(+X側)は交差方向一方側であり、後側(-X側)は交差方向他方側である。なお、以下の実施形態において上下方向(Z軸方向)は、軸方向と直交する「所定方向」に相当する。
【0013】
<第1実施形態>
図1から図3に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸DSを回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。図2に示すように、駆動装置100は、モータ本体10と、ギヤ機構20と、モータ本体10を内部に収容するモータハウジング31およびギヤ機構20を内部に収容するギヤハウジング32を有するハウジング30と、制御装置80と、を備える。
【0014】
モータ本体10は、中心軸線J1を中心として回転可能なロータ40と、ロータ40と隙間を介して対向するステータ50と、を有する。ロータ40は、中心軸線J1に沿って配置されたモータシャフト41と、モータシャフト41に固定されたロータコア42と、を有する。本実施形態においてモータシャフト41は、中心軸線J1を中心として軸方向に延び、軸方向両側に開口する中空シャフトである。モータシャフト41は、一対のベアリング43a,43bによって、中心軸線J1回りに回転可能に支持されている。一対のベアリング43a,43bは、例えば、ボールベアリングである。モータシャフト41には、モータシャフト41の内部とモータシャフト41の外部とを繋ぐ孔部41aが設けられている。孔部41aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。図示は省略するが、ロータコア42には、マグネットが保持されている。
【0015】
ステータ50は、ロータ40と隙間を介して径方向に対向している。本実施形態においてステータ50は、ロータ40の径方向外側に位置する。ステータ50は、ロータ40を囲む環状である。ステータ50は、ステータコア51と、コイルアセンブリ54と、を有する。ステータコア51は、ロータコア42の径方向外側に位置し、ロータコア42と隙間を介して対向して配置されている。ステータコア51は、例えば、電磁鋼板などの板部材が軸方向に複数積層されて構成されている。
【0016】
コイルアセンブリ54は、ステータコア51に取り付けられた複数のコイル54cを有する。図示は省略するが、コイルアセンブリ54は、各コイル54cを結束する結束部材などを有してもよいし、各コイル54c同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。コイルアセンブリ54は、ステータコア51よりも軸方向に突出するコイルエンド54a,54bを有する。
【0017】
ギヤ機構20は、ロータ40に接続されている。より詳細には、ギヤ機構20は、モータシャフト41の軸方向一方側(+Y側)の端部に接続されている。ギヤ機構20は、ロータ40の回転を車両の車軸DSに伝達する。ギヤ機構20は、ロータ40に接続された減速装置21と、減速装置21に接続された差動装置22と、を有する。
【0018】
減速装置21は、第1ギヤシャフト23aと、第2ギヤシャフト23bと、第1ギヤ24aと、第2ギヤ24bと、第3ギヤ24cと、を有する。つまり、ギヤ機構20は、第1ギヤシャフト23aと、第2ギヤシャフト23bと、第1ギヤ24aと、第2ギヤ24bと、第3ギヤ24cと、を有する。第1ギヤシャフト23aは、軸方向に延びている。本実施形態において第1ギヤシャフト23aは、中心軸線J1を中心とし、軸方向両側に開口する中空シャフトである。第1ギヤシャフト23aは、一対のベアリング25a,25bによって中心軸線J1回りに回転可能に支持されている。一対のベアリング25a,25bは、例えば、ボールベアリングである。第1ギヤシャフト23aの軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータシャフト41の軸方向一方側(+Y側)の端部に接続されている。つまり、本実施形態において第1ギヤシャフト23aは、モータシャフト41と軸方向に繋がるギヤシャフトである。
【0019】
第2ギヤシャフト23bは、中間軸線J2回りに回転可能である。本実施形態において中間軸線J2は、中心軸線J1と平行に延びる仮想軸線である。図3に示すように、中間軸線J2は、中心軸線J1よりも下側に位置し、かつ、中心軸線J1よりも後側(-X側)に位置する。図2に示すように、第1ギヤ24aは、第1ギヤシャフト23aの外周面に設けられている。第2ギヤ24bおよび第3ギヤ24cは、第2ギヤシャフト23bの外周面に設けられている。第2ギヤ24bは、第1ギヤ24aと噛み合っている。本実施形態において第2ギヤ24bは、少なくとも一部が後述する第1貯留部39内に位置するギヤである。本実施形態では、第2ギヤ24bの下側の端部が第1貯留部39内に位置し、第1貯留部39内に貯留されたオイルOに浸漬している。第2ギヤ24bが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置21および差動装置22に潤滑油として供給される。第3ギヤ24cは、第1ギヤ24aおよび第2ギヤ24bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。
【0020】
差動装置22は、デフケース22aと、リングギヤ22bと、を有する。デフケース22aおよびリングギヤ22bは、出力軸線J3回りに回転可能である。本実施形態において出力軸線J3は、中心軸線J1と平行に延びる仮想軸線である。図3に示すように、出力軸線J3は、中心軸線J1よりも下側に位置し、かつ、中間軸線J2よりも上側に位置する。出力軸線J3は、中心軸線J1および中間軸線J2よりも後側(-X側)に位置する。デフケース22aには、車両の車軸DSが接続されている。図2に示すように、リングギヤ22bは、デフケース22aに設けられている。リングギヤ22bは、第3ギヤ24cと噛み合っている。
【0021】
本実施形態のハウジング30において、モータハウジング31とギヤハウジング32とは軸方向に並んで配置されている。モータハウジング31の一部は、ギヤハウジング32と軸方向に重なっている。ギヤハウジング32は、モータハウジング31の軸方向一方側(+Y側)に位置する。ギヤハウジング32は、モータハウジング31の軸方向一方側に繋がっている。図1に示すように、モータハウジング31は、ギヤハウジング32よりも上側に突出している。モータハウジング31のうちギヤハウジング32よりも上側に位置する部分は、ハウジング突出部31dである。ギヤハウジング32は、モータハウジング31よりも後側(-X側)に突出している。ギヤハウジング32は、モータハウジング31よりも下側に突出している。
【0022】
図2に示すように、本実施形態においてモータハウジング31は、軸方向他方側(-Y側)に開口する筒状の第1周壁部31cと、第1周壁部31cの軸方向他方側の開口を塞ぐモータカバー31bと、を有する。モータカバー31bの軸方向一方側(+Y側)の面には、ベアリング43bを保持するベアリング保持部34bが設けられている。ベアリング保持部34bは、中心軸線J1を中心としてベアリング43bを囲む略円環状である。
【0023】
本実施形態においてギヤハウジング32は、軸方向一方側(+Y側)に開口する筒状の第2周壁部32cと、第2周壁部32cの軸方向一方側の開口を塞ぐギヤカバー32bと、を有する。ギヤカバー32bの軸方向他方側(-Y側)の面には、ベアリング25aを保持するベアリング保持部35aが設けられている。ベアリング保持部35aは、中心軸線J1を中心としてベアリング25aを囲む略円環状である。
【0024】
ハウジング30は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを区画する隔壁部33を有する。隔壁部33は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを軸方向に隔てる壁部である。隔壁部33は、モータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部とを繋ぐ隔壁開口33aを有する。本実施形態において隔壁開口33aは、隔壁部33の下側の端部を軸方向に貫通している。
【0025】
隔壁部33のうちモータハウジング31の内面の一部を構成する部分、すなわち隔壁部33の軸方向他方側(-Y側)の面には、ベアリング43aを保持するベアリング保持部34aが設けられている。隔壁部33のうちギヤハウジング32の内面の一部を構成する部分、すなわち隔壁部33の軸方向一方側(+Y側)の面には、ベアリング25bを保持するベアリング保持部35bが設けられている。各ベアリング保持部34a,35bは、各ベアリング43a,25bを囲む略円環状である。ベアリング保持部34aの内部とベアリング保持部35bの内部とは、互いに軸方向に繋がっており、隔壁部33を軸方向に貫通する孔を構成している。
【0026】
本実施形態においてハウジング30は、流体としてのオイルOが内部に貯留される第1貯留部39を有する。オイルOは、モータ本体10を冷却する冷媒として使用される。また、オイルOは、減速装置21および差動装置22に対して潤滑油として使用される。オイルOとしては、例えば、冷媒および潤滑油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0027】
第1貯留部39の少なくとも一部は、ギヤハウジング32に設けられている。本実施形態では、第1貯留部39の全体が、ギヤハウジング32に設けられている。第1貯留部39は、ギヤハウジング32の下側部分に設けられている。第1貯留部39は、ギヤハウジング32を構成する壁部のうち下側に位置する底壁部32aと、底壁部32aから上側に突出する複数の壁部と、によって構成されている。本実施形態において底壁部32aは、モータハウジング31を構成する壁部のうち下側に位置する底壁部31aよりも下側に位置する。
【0028】
制御装置80は、モータハウジング31の上側に位置する。制御装置80は、モータハウジング31に取り付けられている。より詳細には、制御装置80は、ハウジング突出部31dの上側に位置し、ハウジング突出部31dに取り付けられている。制御装置80のケースは、モータハウジング31と別体であってもよいし、一部が第1周壁部31cを構成する単一部材の一部であってもよい。制御装置80は、ステータ50と電気的に接続されている。これにより、制御装置80は、モータ本体10に電気的に接続されている。図示は省略するが、制御装置80は、コイル54cに電力を供給するインバータ回路を有する。制御装置80は、軸方向に見て、ギヤハウジング32よりも径方向外側に位置する。本実施形態において制御装置80は、ギヤハウジング32よりも上側に位置する。
【0029】
本実施形態では、モータ本体10とモータハウジング31と制御装置80とによって、モータ90が構成されている。つまり、モータ90は、モータ本体10と、モータハウジング31と、制御装置80と、を有する。図1から図3に示すように、モータ90は、軸方向に見て、ギヤハウジング32よりも径方向外側に突出する突出部91を有する。本実施形態において突出部91は、モータハウジング31のハウジング突出部31dと制御装置80とによって構成されている。つまり、突出部91の一部は、制御装置80によって構成されている。そのため、ハウジング突出部31dのみで突出部91を構成する場合に比べて、突出部91が突出する方向における突出部91の寸法を大きくしやすい。本実施形態において突出部91は、軸方向に見て、ギヤハウジング32よりも上側に突出している。
【0030】
駆動装置100は、第1貯留部39内のオイルOをモータハウジング31の内部に送るポンプ71を備える。本実施形態においてポンプ71は、電動ポンプである。図1に示すように、ポンプ71は、ギヤハウジング32の前側(+X側)の壁部に取り付けられている。より詳細には、ポンプ71は、ギヤハウジング32の前側の壁部に設けられた取付穴36に前側から差し込まれている。取付穴36は、前側に開口している。
【0031】
駆動装置100は、ポンプ71によって送られるオイルOを冷却するクーラ72を備える。クーラ72は、例えば、前後方向(X軸方向)に長い略直方体状である。本実施形態においてクーラ72は、クーラ72内に設けられた図示しない流路内を流れる冷媒との間で熱交換することによりオイルOを冷却するオイルクーラである。当該冷媒は、例えば、水である。クーラ72は、例えば、内部に間隔を空けて積層された複数のプレートを有し、当該プレート同士の間に交互にオイルOが流れる流路と冷媒としての水が流れる流路とが設けられた積層式のオイルクーラである。本実施形態においてクーラ72に設けられた当該複数のプレートは、例えば、上下方向に積層されている。
【0032】
クーラ72は、ギヤハウジング32の上側に位置する。つまり、クーラ72の少なくとも一部は、軸方向と直交する上下方向(Z軸方向)にギヤハウジング32と重なっている。本実施形態では、クーラ72の全体が、上下方向にギヤハウジング32と重なっている。本実施形態においてクーラ72は、ギヤハウジング32に固定されている。より詳細には、クーラ72は、ギヤハウジング32を構成する壁部のうち上側に位置する上壁部32dに固定されている。図2に示すように、クーラ72は、第2周壁部32cの上側部分に固定されている。図1に示すように、クーラ72は、ギヤハウジング32のうち前側部分の上側に位置する。クーラ72の軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤハウジング32の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。
【0033】
クーラ72は、突出部91の軸方向一方側(+Y側)に位置する。つまり、クーラ72の少なくとも一部は、軸方向に突出部91と重なっている。本実施形態では、クーラ72の全体が、軸方向に突出部91と重なっている。このように、本実施形態では、クーラ72の少なくとも一部が、軸方向と直交する上下方向にギヤハウジング32と重なり、かつ、軸方向に突出部91と重なっている。そのため、モータ90とギヤハウジング32とによって構成される段差部分に、クーラ72を配置することができる。これにより、駆動装置100においてクーラ72が出っ張ることを抑制でき、駆動装置100を小型化できる。また、駆動装置100が配置される場所においてクーラ72が他の部材と接触することを抑制でき、クーラ72の位置によらず駆動装置100を配置しやすい。そのため、駆動装置100の配置される位置が制限されることを抑制できる。また、クーラ72が駆動装置100において突出することが抑制されることから、駆動装置100が大型化することを抑制することができる。
【0034】
なお、本明細書において「或る対象が或る方向に他の対象と重なる」とは、或る方向に見た際に、或る対象が他の対象と重なる位置に配置されていればよい。本実施形態においてクーラ72の全体は、上下方向に見てギヤハウジング32と重なる位置に配置され、軸方向に見て突出部91と重なる位置に配置されている。本実施形態においてクーラ72は、突出部91のうちハウジング突出部31dと軸方向に重なっている。クーラ72の上側の端部は、ハウジング突出部31dの上側の端部と上下方向においてほぼ同じ位置に配置されている。より詳細には、クーラ72の上側の端部は、ハウジング突出部31dの上側の端部よりも僅かに下側に位置する。クーラ72の上側の端部は、ハウジング突出部31dの上側の端部と上下方向において同じ位置に位置してもよいし、ハウジング突出部31dの上側の端部より上側に位置してもよい。クーラ72は、ハウジング突出部31dから軸方向一方側(+Y側)に離れて位置する。
【0035】
図2に示すように、クーラ72は、オイルOが流入する流入口72aと、オイルOが流出する流出口72bと、を有する。本実施形態において流入口72aと流出口72bとは、クーラ72の下側の面に設けられ、下側向きに開口している。つまり、本実施形態において流入口72aと流出口72bとは、互いに同じ向きに開口している。そのため、クーラ72の同じ面に流入口72aおよび流出口72bを開口させることができる。これにより、クーラ72のうち流入口72aおよび流出口72bが開口する面をハウジング30に固定することで、流入口72aおよび流出口72bを後述する流路60のうちハウジング30に設けられた流路部分に繋げることができる。したがって、クーラ72をハウジング30に取り付けやすくできる。
【0036】
駆動装置100は、流体としてのオイルOが流れる流路60を備える。なお、以下の説明においては、流路60内におけるオイルOの流れ方向における上流側を単に「上流側」と呼ぶ場合があり、流路60内におけるオイルOの流れ方向における下流側を単に「下流側」と呼ぶ場合がある。本実施形態において流路60は、第1流路部61と、第2流路部62と、を有する。
【0037】
第1流路部61は、第1接続流路部61aと、第2接続流路部61bと、第3接続流路部61cと、流体供給部61dと、第4接続流路部61eと、を有する。第1接続流路部61aは、第1貯留部39の内部とポンプ71とを繋いでいる。第2接続流路部61bは、ポンプ71とクーラ72とを繋いでいる。第2接続流路部61bは、クーラ72の流入口72aに繋がっている。第1接続流路部61aおよび第2接続流路部61bは、例えば、ギヤハウジング32を構成する壁部に設けられている。第3接続流路部61cは、クーラ72と流体供給部61dとを繋いでいる。第3接続流路部61cは、クーラ72の流出口72bに繋がっている。第3接続流路部61cは、例えば、ギヤハウジング32を構成する壁部とモータハウジング31を構成する壁部とに跨って設けられている。
【0038】
本実施形態において流体供給部61dは、軸方向に延びるパイプである。流体供給部61dは、モータハウジング31の内部に位置する。流体供給部61dは、例えば、ステータ50の上側に位置する。流体供給部61dは、ステータ50にオイルOを供給する供給口61fを有する。つまり、第1流路部61は、供給口61fを有する。供給口61fは、モータハウジング31の内部に開口している。これにより、第1流路部61は、ポンプ71とモータハウジング31の内部とを繋いでいる。つまり、流路60は、少なくともポンプ71とモータハウジング31の内部との間を繋いでいる。供給口61fは、ステータコア51に向かって開口している。供給口61fは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0039】
第4接続流路部61eは、流体供給部61dとベアリング保持部34bの内部とを繋いでいる。第4接続流路部61eは、ベアリング保持部34bの内部を介してモータハウジング31の内部に繋がっている。第4接続流路部61eは、例えば、モータカバー31bに設けられている。
【0040】
ポンプ71が駆動されると、第1貯留部39内のオイルOが第1接続流路部61aを介してポンプ71内に流入する。ポンプ71内に流入したオイルOは、第2接続流路部61b内に流出され、流入口72aからクーラ72の内部に流入する。クーラ72の内部に流入したオイルOは、クーラ72内を流れる水によって冷却され、流出口72bから第3接続流路部61cに流出される。第3接続流路部61c内に流出されたオイルOは、流体供給部61d内に流入し、流体供給部61d内を軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側(-Y側)に流れる。
【0041】
流体供給部61d内に流入したオイルOの一部は、供給口61fからモータハウジング31の内部に噴射され、ステータ50に供給される。このように、ポンプ71によって第1貯留部39内から吸い上げられたオイルOの一部は、クーラ72を通過してから、モータハウジング31の内部に流入する。つまり、クーラ72は、流路60のうちポンプ71からモータハウジング31の内部にオイルOが送られるまでの間の部分に配置されている。
【0042】
流体供給部61d内に流入したオイルOの残りは、流体供給部61dの軸方向他方側(-Y側)の端部から第4接続流路部61e内に流入する。第4接続流路部61e内に流入したオイルOは、第4接続流路部61e内を流れてベアリング保持部34b内に流入し、ベアリング保持部34bに保持されたベアリング43bに潤滑油として供給される。
【0043】
流体供給部61dからステータ50に供給されたオイルOおよび第4接続流路部61eからベアリング43bに供給されたオイルOは、下側に落下して、モータハウジング31内の下部領域に溜まる。モータハウジング31内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部33に設けられた隔壁開口33aを介してギヤハウジング32内の第1貯留部39内に戻る。このように、本実施形態においてポンプ71は、第1流路部61内に流体としてのオイルOを送る。そのため、第1流路部61の供給口61fからステータ50に安定かつ好適にオイルOを供給することができる。
【0044】
第2流路部62は、第2貯留部62aと、接続流路部62bと、ギヤシャフト内流路部62cと、モータシャフト内流路部62dと、ロータコア内流路部62eと、を有する。第2貯留部62aは、ギヤハウジング32の内部に設けられている。第2貯留部62aは、第1貯留部39よりも上側に離れて位置する。第2貯留部62aは、ギヤハウジング32内に開口している。これにより、第2流路部62は、ギヤハウジング32内に開口している。本実施形態において第2貯留部62aは、上側に開口している。第2貯留部62aは、例えば、樋状である。接続流路部62bは、第2貯留部62aの内部とギヤシャフト内流路部62cとを繋いでいる。接続流路部62bは、ギヤハウジング32を構成する壁部に設けられている。接続流路部62bは、ベアリング保持部35aの内部を含み、ベアリング保持部35aの内部を介してギヤシャフト内流路部62cの軸方向一方側(+Y側)の端部と繋がっている。
【0045】
ギヤシャフト内流路部62cは、第1ギヤシャフト23aの内部に設けられている。モータシャフト内流路部62dは、モータシャフト41の内部に設けられている。そのため、第2流路部62内を流れるオイルOを好適にロータ40に供給しやすい。ギヤシャフト内流路部62cおよびモータシャフト内流路部62dは、軸方向に延びている。ギヤシャフト内流路部62cとモータシャフト内流路部62dとは、互いに軸方向に繋がっている。ギヤシャフト内流路部62cは、モータシャフト内流路部62dの軸方向一方側(+Y側)に繋がっている。そのため、モータシャフト内流路部62dとギヤシャフト内流路部62cとの間でオイルOを流すことができ、オイルOをモータハウジング31の内部とギヤハウジング32の内部との間で好適に流しやすい。モータシャフト内流路部62dの軸方向他方側(-Y側)の端部は、ベアリング保持部34bの内部に繋がっている。
【0046】
ロータコア内流路部62eは、ロータコア42に設けられている。このように、本実施形態において第2流路部62のうちモータシャフト内流路部62dおよびロータコア内流路部62eは、ロータ40の内部に設けられている。つまり、本実施形態において第2流路部62の一部は、ロータ40の内部に設けられている。ロータコア内流路部62eの上流側の端部は、孔部41aを介してモータシャフト内流路部62dに繋がっている。ロータコア内流路部62eの下流側の端部は、モータハウジング31の内部に開口している。ロータコア内流路部62eの下流側の端部は、例えば、ロータコア42の軸方向端部に開口している。
【0047】
モータ本体10によってギヤ機構20が駆動されると、第2ギヤ24bが回転して、ギヤハウジング32内において第1貯留部39内のオイルOがかき上げられる。第2ギヤ24bによってかき上げられたオイルOの少なくとも一部は、第2貯留部62aの上側の開口から第2貯留部62a内に入る。これにより、第2流路部62内に、第2ギヤ24bによってかき上げられたオイルOの少なくとも一部が入る。そのため、別途ポンプを設けることなく、第2流路部62内にオイルOを流入させることができる。
【0048】
第2貯留部62a内に入ったオイルOは、接続流路部62b内を流れて、ベアリング保持部35aの内部に流入する。ベアリング保持部35a内に流入したオイルOの一部は、ベアリング保持部35aに保持されたベアリング25aに供給される。ベアリング保持部35a内に流入したオイルOの残りは、ギヤシャフト内流路部62c内に流入する。ギヤシャフト内流路部62c内に流入したオイルOは、軸方向他方側(-Y側)に流れて、モータシャフト内流路部62d内に流入する。つまり、本実施形態の第2流路部62内においてオイルOは、ギヤシャフト内流路部62c内からモータシャフト内流路部62d内に流れる。そのため、ギヤシャフト内流路部62cを介して、モータシャフト内流路部62d内に好適にオイルOを流せる。モータシャフト内流路部62d内においてオイルOは、軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側に流れる。
【0049】
モータシャフト内流路部62d内に流入したオイルOの一部は、第1ギヤシャフト23aとモータシャフト41との接続部における隙間からベアリング保持部34a,35b内に流れ、ベアリング43a,25bに供給される。モータシャフト内流路部62d内に流入したオイルOの他の一部は、孔部41aからロータコア内流路部62e内に流入し、ロータコア内流路部62eからモータハウジング31の内部に流出する。ロータコア内流路部62eからモータハウジング31の内部に流出したオイルOは、ロータ40が回転することで生じる遠心力によって径方向外側に飛ばされて、ステータ50のコイルエンド54a,54bに供給される。モータシャフト内流路部62d内に流入したオイルOの残りは、ベアリング保持部34b内に流れ、ベアリング43bに供給される。
【0050】
ロータコア内流路部62eからステータ50に供給されたオイルOおよびモータシャフト内流路部62dからベアリング43bに供給されたオイルOは、下側に落下して、モータハウジング31内の下部領域に溜まる。モータハウジング31内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部33に設けられた隔壁開口33aを介してギヤハウジング32内の第1貯留部39内に戻る。
【0051】
本実施形態によれば、上述したように、流路60は、ステータ50にオイルOを供給する供給口61fを有する第1流路部61と、少なくとも一部がロータ40の内部に設けられた第2流路部62と、を有する。そのため、流路60内を流れるオイルOを好適にモータ本体10に供給することができる。これにより、モータ本体10を好適に冷却できる。
【0052】
以下、上述した実施形態と異なる実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明においては、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、以下の各実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、各実施形態よりも上段において説明した構成と同様の構成を採用できる。
【0053】
<第2実施形態>
図4に示すように、本実施形態の駆動装置200においてポンプ271は、ハウジング30の内部に位置する。そのため、ハウジング30の外面に開口する取付穴にポンプ271が差し込まれている場合に比べて、ポンプ271が駆動装置200の外部に出っ張ることがない。これにより、駆動装置200をより小型化できる。また、駆動装置200が配置される場所においてポンプ271が他の部材と接触することがなく、ポンプ271の位置によらず駆動装置200を配置することができる。したがって、駆動装置200の配置される位置が制限されることをより抑制できる。また、ポンプ271が駆動装置200の外部に出っ張ることがないため、駆動装置200が大型化することを抑制することができる。
【0054】
ポンプ271は、例えば、樹脂モールドによって覆われた状態で第1貯留部39内に配置されている。本実施形態のポンプ271における吸入口は、第1貯留部39の内部に開口している。そのため、ポンプ271には、第1貯留部39内のオイルOが直接的に吸入される。ポンプ271は、電動ポンプである。
【0055】
<第3実施形態>
図5に示すように、本実施形態の駆動装置300の流路360において、第1流路部361の第2接続流路部361bは、ギヤカバー32bに設けられ、ポンプ71とクーラ72とを繋いでいる。第2接続流路部361bは、ベアリング保持部35aの内部を含む。本実施形態においても、クーラ72が駆動装置300の外部に出っ張ることがないため、駆動装置300が大型化することを抑制することができる。
【0056】
本実施形態において第2流路部362は、第1実施形態の第2流路部62と異なり、第2貯留部62aおよび接続流路部62bを有しない。本実施形態の第2流路部362内には、ポンプ71によってオイルOが送られる。そのため、第2流路部362内に安定してオイルOを送ることができる。第2流路部362におけるギヤシャフト内流路部362cの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ベアリング保持部35aの内部を介して、第1流路部361の第2接続流路部361bに繋がっている。つまり、本実施形態において第2流路部362は、第1流路部361から分岐している。そのため、第1流路部361に対してポンプ71によってオイルOを送ることで、第2流路部362内にも安定してオイルOを送ることができる。
【0057】
本実施形態において第2流路部362は、第1流路部361のうち第1貯留部39とクーラ72との間に位置する部分から分岐している。そのため、第1流路部361のうち第1貯留部39に比較的近い部分からオイルOを第2流路部362内へと流すことができる。これにより、比較的圧力が高い状態のオイルOを第2流路部362内へと流しやすく、第2流路部362内に好適にオイルOを流すことができる。
【0058】
<第4実施形態>
図6に示すように、本実施形態の駆動装置400において、ポンプ471は、ギヤカバー32bに設けられたポンプ室471c内に設けられている。ポンプ室471cは、ベアリング保持部35aの軸方向一方側(+Y側)に位置する。ポンプ室471cの内部は、ベアリング保持部35aの内部に繋がっている。ポンプ室471cは、第1流路部461の一部を構成している。本実施形態においてポンプ471は、メカニカルポンプである。また、ポンプ471が駆動装置400の外部に出っ張ることがないため、駆動装置400が大型化することを抑制することができる。
【0059】
ポンプ471は、ポンプ室471c内に配置されたインナーロータ471aおよびアウターロータ471bを有する。インナーロータ471aには、第1ギヤシャフト23aの軸方向一方側(+Y側)の端部が接続されている。アウターロータ471bは、インナーロータ471aを囲む環状である。図示は省略するが、インナーロータ471aとアウターロータ471bとは、互いに噛み合う歯部を有する。第1ギヤシャフト23aが中心軸線J1回りに回転することで、インナーロータ471aが中心軸線J1回りに回転させられる。インナーロータ471aが回転させられることによって、アウターロータ471bも回転し、オイルOが流路460内に送られる。
【0060】
第1流路部461の第1接続流路部461aは、第1貯留部39の内部とポンプ室471cの内部とを繋いでいる。第1流路部461の第2接続流路部461bは、ポンプ室471cの内部とクーラ72とを繋いでいる。第2流路部462におけるギヤシャフト内流路部462cの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ポンプ室471cの内部に繋がっている。ギヤシャフト内流路部462c内には、ポンプ室471c内からオイルOが流入する。第2流路部462のその他の構成は、第3実施形態の第2流路部362のその他の構成と同様である。
【0061】
<第5実施形態>
図7に示すように、本実施形態の駆動装置500において、流路560の第2流路部562は、第1流路部61から分岐して延びる分岐流路部562aを有する。分岐流路部562aは、例えば、ギヤハウジング32を構成する壁部に設けられている。分岐流路部562aは、第1流路部61とギヤシャフト内流路部62cとを繋いでいる。本実施形態において分岐流路部562aの上流側の端部は、クーラ72と流体供給部61dとを繋ぐ第3接続流路部61cに繋がっている。つまり、本実施形態において第2流路部562は、第1流路部61のうちクーラ72と供給口61fとの間に位置する部分から分岐している。そのため、第2流路部562内に流れるオイルOをクーラ72によって冷却された後のオイルOとすることができる。これにより、第2流路部562を介してモータ本体10に供給されるオイルOの温度を好適に低くすることができ、モータ本体10をより好適に冷却できる。また、本実施形態においても、クーラ72が駆動装置500の外部に出っ張ることがないため、駆動装置500が大型化することを抑制することができる。
【0062】
分岐流路部562aの下流側の端部は、ベアリング保持部35aの内部を含み、ベアリング保持部35aを介してギヤシャフト内流路部62cに繋がっている。第2流路部562のその他の構成は、第3実施形態の第2流路部362のその他の構成と同様である。本実施形態の第1流路部は、第1実施形態の第1流路部61と同様である。
【0063】
<第6実施形態>
図8および図9に示すように、本実施形態の駆動装置600において、ポンプ671は、モータハウジング31の下側、かつ、ギヤハウジング32のうちモータハウジング31よりも下側に突出する部分の軸方向他方側(-Y側)に位置する。ポンプ671は、例えば、ギヤハウジング32に固定されている。ポンプ671は、電動ポンプである。図9に示すように、ポンプ671は、例えば、中心軸線J1と上下方向に重なる位置に配置されている。また、本実施形態においても、ポンプ671が駆動装置600の外部に出っ張ることがないため、駆動装置600が大型化することを抑制することができる。
【0064】
図8に示すように、本実施形態においてクーラ672の軸方向他方側(-Y側)の面は、モータハウジング31に固定されている。より詳細には、クーラ672の軸方向他方側の面は、ハウジング突出部31dの軸方向一方側(+Y側)の面に固定されている。クーラ672の流出口672bは、軸方向他方側に開口している。流入口72aは、上述した実施形態と同様に下側に開口している。つまり、本実施形態において流入口72aと流出口672bとは、互いに異なる向きに開口している。そのため、流入口72aと流出口672bとが互いに同じ向きに開口する場合に比べて、流路660において、流入口72aに接続される流路部分と流出口672bに接続される流路部分との配置自由度を向上させることができる。
【0065】
本実施形態において流入口72aは、上下方向下向きに開口し、流出口672bは、水平方向に開口している。そのため、流入口72aからクーラ672内に流入したオイルOが流出口672bへと向かう際に、オイルOが重力によって勢いよく流れてしまうことが抑制される。これにより、クーラ672内において積層されるプレート同士の間に設けられる層状の流路がオイルOで満たされないことを抑制できる。したがって、クーラ672内に空気が残ることが抑制され、クーラ672内を流れるオイルOの圧力が低下することを抑制できる。
【0066】
本実施形態の流路660において、第1流路部661の第1接続流路部661aは、ギヤハウジング32のうちモータハウジング31よりも下側に突出した部分における軸方向他方側(-Y側)の壁部に設けられている。第1接続流路部661aは、第1貯留部39の内部とポンプ671とを繋いでいる。第2接続流路部661bは、隔壁部33に設けられた第1部分661fと、上壁部32dに設けられた第2部分661gと、を有する。つまり、本実施形態において第1流路部661の一部は、隔壁部33に設けられている。そのため、第1貯留部39内からクーラ672へと、隔壁部33を介して第1流路部661を比較的真っ直ぐに上側に延ばしやすく、第1流路部661の長さを短くしやすい。これにより、第1流路部661内におけるオイルOの圧力損失を低減しやすい。なお、第1流路部661の全体が隔壁部33に設けられてもよい。
【0067】
第1部分661fは、ポンプ671から隔壁部33内を上側に延びている。第2部分661gは、第1部分661fの上側の端部から上壁部32d内を軸方向一方側(+Y側)に延びて、クーラ672の流入口72aに繋がっている。
【0068】
第1流路部661の第3接続流路部661cは、軸方向に延びて、クーラ672の流出口672bと流体供給部61dの軸方向一方側(+Y側)の端部とを繋いでいる。第3接続流路部661cは、ハウジング突出部31dを構成する壁部のうち軸方向一方側に位置する壁部に設けられている。本実施形態では、流出口672bが軸方向他方側(-Y側)に開口しているため、第3接続流路部661cを軸方向に延びる簡易な形状としつつ、クーラ672と流体供給部61dとを繋ぐことができる。本実施形態の第2流路部は、第1実施形態の第2流路部62と同様である。
【0069】
<第7実施形態>
図10に示すように、本実施形態の駆動装置700の流路760において、第2流路部762は、第1流路部661の下流側の端部から延びている。そのため、第1流路部661と第2流路部762とを順に繋げて、第1流路部661と第2流路部762とに順番にオイルOを流していくことができる。これにより、流路760においてオイルOが分岐して流れる場合に比べて、オイルOの流れが複雑化することを抑制できる。したがって、流路760内にオイルOをより好適に流すことができる。本実施形態において第1流路部661の下流側の端部は、第4接続流路部61eの下流側の端部である。また、本実施形態においても、ポンプ671が駆動装置700の外部に出っ張ることがないため、駆動装置700が大型化することを抑制することができる。
【0070】
第2流路部762は、モータシャフト内流路部762dと、ギヤシャフト内流路部762cと、を有する。モータシャフト内流路部762dは、内部を流れるオイルOの向きが逆向きとなる点を除いて、第1実施形態のモータシャフト内流路部62dと同様である。ギヤシャフト内流路部762cは、内部を流れるオイルOの向きが逆向きとなる点を除いて、第1実施形態のギヤシャフト内流路部62cと同様である。
【0071】
第1流路部661の第4接続流路部61eを流れるオイルOは、モータシャフト内流路部762dの軸方向他方側(-Y側)の端部からモータシャフト内流路部762d内に流入する。モータシャフト内流路部762d内に流入したオイルOは、軸方向一方側(+Y側)に流れて、ギヤシャフト内流路部762c内に流入する。つまり、第2流路部762内においてオイルOは、モータシャフト内流路部762d内からギヤシャフト内流路部762c内に流れる。そのため、モータシャフト内流路部762dを介して、ギヤシャフト内流路部762c内に好適にオイルOを流せる。ギヤシャフト内流路部762c内に流入したオイルOは、軸方向一方側に流れて、ベアリング保持部35a内に流入し、ベアリング25aに供給される。ベアリング保持部35a内に流入したオイルOは、下側に落下して、第1貯留部39内に戻る。
【0072】
<第8実施形態>
図11に示すように、本実施形態の駆動装置800の流路860において、第1流路部861は、第3接続流路部が第1実施形態の第3接続流路部61cと同様である点を除いて、第6実施形態の第1流路部661と同様である。本実施形態の第2流路部は、第5実施形態の第2流路部562と同様である。また、本実施形態においても、ポンプ671が駆動装置800の外部に出っ張ることがないため、駆動装置800が大型化することを抑制することができる。
【0073】
<第9実施形態>
図12に示すように、本実施形態の駆動装置900のハウジング930において、モータハウジング931の底壁部931aとギヤハウジング932の底壁部932aとは、上下方向において同じ位置に位置する。本実施形態において第1貯留部939は、モータハウジング931とギヤハウジング932とに跨って設けられている。第1貯留部939は、モータハウジング931の下部領域に設けられたモータ側貯留部939aと、ギヤハウジング932の下部領域に設けられたギヤ側貯留部939bと、を有する。モータ側貯留部939aの内部とギヤ側貯留部939bの内部とは、隔壁開口33aを介して繋がっている。また、本実施形態においては、モータハウジング931の底壁部931aとギヤハウジング932の底壁部932aとは、上下方向において同じ位置に位置するため、駆動装置900が大型化することを抑制することができる。
【0074】
本実施形態においてポンプ971は、モータハウジング931の内部に位置する。ポンプ971は、例えば、樹脂モールドによって覆われた状態で、モータ側貯留部939aの内部に配置されている。ポンプ971は、電動ポンプである。本実施形態のポンプ971における吸入口は、モータ側貯留部939aの内部に開口している。そのため、ポンプ971には、モータ側貯留部939a内のオイルOが直接的に吸入される。
【0075】
ポンプ971がモータ側貯留部939a内のオイルOを直接的に吸い込めるため、本実施形態の流路960の第1流路部961は、第1貯留部939内とポンプ971とを繋ぐ第1接続流路部61aを有しない。第1流路部961の第2接続流路部961bは、モータハウジング931を構成する壁部とギヤハウジング932を構成する壁部とに跨って設けられ、ポンプ971とクーラ672とを繋いでいる。第2接続流路部961bの一部は、隔壁部33に設けられている。本実施形態の第2流路部は、第1実施形態の第2流路部62と同様である。本実施形態のモータ990は、モータハウジング931が異なる点を除いて、第1実施形態のモータ90と同様である。
【0076】
<第10実施形態>
図13に示すように、本実施形態の駆動装置1000において、ハウジング1030のギヤハウジング1032は、上壁部1032dの上下方向の位置が、モータハウジング1031の上側の壁部における上下方向の位置と同じである。モータハウジング1031は、例えば、軸方向に見てギヤハウジング1032よりも上側に突出する部分を有しない。モータハウジング1031のその他の構成は、第9実施形態のモータハウジング931のその他の構成と同様である。ギヤハウジング1032のその他の構成は、第9実施形態のギヤハウジング932のその他の構成と同様である。本実施形態において突出部1091の全体は、制御装置80によって構成されている。モータ1090は、突出部1091が制御装置80のみによって構成されている点を除いて、第9実施形態のモータ990と同様である。また、本実施形態の駆動装置1000においては、モータハウジング1031の底壁部931aとギヤハウジング1032の底壁部932aとは、上下方向において同じ位置に位置するため、駆動装置1000が大型化することを抑制することができる。また、本実施形態の駆動装置1000においては、ハウジング1030のギヤハウジング1032は、上壁部1032dの上下方向の位置が、モータハウジング1031の上側の壁部における上下方向の位置と同じであるため、駆動装置1000が大型化することを抑制することができる。
【0077】
クーラ1072は、制御装置80の軸方向一方側(+Y側)に位置する。クーラ1072は、軸方向に制御装置80と重なっている。本実施形態のように、クーラ1072が軸方向に重なる突出部1091を制御装置80のみで構成することで、モータハウジング1031の一部をギヤハウジング1032よりも径方向外側に突出させることなく、駆動装置1000においてクーラ1072が出っ張ることを抑制できる。クーラ1072のその他の構成は、第1実施形態のクーラ72のその他の構成と同様である。
【0078】
本実施形態の流路1060において、第1流路部1061は、第3接続流路部が第1実施形態の第3接続流路部61cと同様である点を除いて、第9実施形態の第1流路部961と同様である。本実施形態の第2流路部は、第1実施形態の第2流路部62と同様である。
【0079】
<第11実施形態>
図14に示すように、本実施形態の駆動装置1100において、クーラ1172は、突出部91のうちハウジング突出部31dと制御装置80との両方と軸方向に重なっている。そのため、クーラ1172をハウジング突出部31dのみに軸方向に重ならせて配置する場合に比べて、クーラ1172の上下方向の寸法を大きくできる。クーラの1172のその他の構成は、第1実施形態のクーラ72のその他の構成と同様である。本実施形態の流路は、第10実施形態の流路1060と同様である。また、本実施形態の駆動装置1100においては、モータハウジング931の底壁部931aとギヤハウジング932の底壁部932aとは、上下方向において同じ位置に位置するため、駆動装置1100が大型化することを抑制することができる。
【0080】
<第12実施形態>
図15に示すように、本実施形態の駆動装置1200において、ポンプ1271は、ギヤハウジング932の上側に位置する。ポンプ1271は、ギヤハウジング932の上壁部32dに固定されている。ポンプ1271は、クーラ1272の軸方向一方側(+Y側)に並んで配置されている。ポンプ1271は、電動ポンプである。
【0081】
本実施形態においてポンプ1271は、上下方向にギヤハウジング932と重なり、かつ、軸方向に突出部91と重なっている。そのため、モータ990とギヤハウジング932とによって構成される段差部分に、ポンプ1271を配置することができる。これにより、駆動装置1200においてポンプ1271が出っ張ることを抑制できる。したがって、駆動装置1200をより小型化できる。また、駆動装置1200が配置される場所においてポンプ1271が他の部材と接触することを抑制できる。そのため、ポンプ1271の位置によらず駆動装置1200を配置しやすく、駆動装置1200の配置される位置が制限されることをより抑制できる。
【0082】
本実施形態においてポンプ1271は、突出部91のうちハウジング突出部31dのみと軸方向に重なっている。なお、ポンプ1271は、突出部91を構成するハウジング突出部31dおよび制御装置80の両方と軸方向に重なっていてもよいし、第10実施形態のクーラ1072のように、制御装置80のみと軸方向に重なってもよい。
【0083】
本実施形態においてクーラ1272の流入口1272aは、軸方向一方側(+Y側)に開口している。クーラ1272の流出口は、第6実施形態の流出口672bと同様であり、軸方向他方側(-Y側)に開口している。つまり、本実施形態のクーラ1272において、流入口1272aと流出口672bとは、軸方向において互いに反対向きに開口している。クーラ1272のその他の構成は、第6実施形態のクーラ672のその他の構成と同様である。
【0084】
本実施形態の流路1260において、第1流路部1261の第1接続流路部1261aは、第1貯留部939のギヤ側貯留部939bの内部から上側に延びてポンプ1271に繋がっている。第2接続流路部1261bは、例えば、ハウジング930の外部において、ポンプ1271の吐出口とクーラ1272の流入口1272aとを繋いでいる。第2接続流路部1261bは、例えば、配管で構成されている。なお、第2接続流路部1261bは、ギヤハウジング932の上壁部32dに設けられてもよい。また、第2接続流路部1261bが設けられずに、ポンプ1271の吐出口とクーラ1272の流入口1272aとが直接的に接続されてもよい。第1流路部1261のその他の構成は、第6実施形態の第1流路部661のその他の構成と同様である。本実施形態の第2流路部は、第1実施形態の第2流路部62と同様である。また、本実施形態の駆動装置1200においては、モータハウジング931の底壁部931aとギヤハウジング932の底壁部932aとは、上下方向において同じ位置に位置するため、駆動装置1200が大型化することを抑制することができる。
【0085】
<第13実施形態>
図16に示すように、本実施形態の駆動装置1300において、クーラ1372の流出口1372bは、上側に開口している。つまり、本実施形態において流出口1372bは、水平方向よりも上下方向上向きに開口している。そのため、流入口72aからクーラ1372内に流入したオイルOが流出口1372bへと向かう際に、オイルOが重力によって勢いよく流れてしまうことがより抑制される。これにより、クーラ1372内において積層されるプレート同士の間に設けられる層状の流路がオイルOで満たされないことをより抑制できる。したがって、クーラ1372内に空気が残ることがより抑制され、クーラ1372内を流れるオイルOの圧力が低下することをより抑制できる。また、クーラ1372が駆動装置1300の外部に出っ張ることがないため、駆動装置1300が大型化することを抑制することができる。
【0086】
クーラ1372の流入口72aは、下向きに開口している。つまり、本実施形態のクーラ1372において、流入口72aと流出口1372bとは、上下方向において互いに反対向きに開口している。クーラ1372のその他の構成は、第1実施形態のクーラ72のその他の構成と同様である。
【0087】
本実施形態の流路1360の第1流路部1361において、第3接続流路部1361cは、配管1363と、ハウジング突出部31dに設けられた貫通孔31eと、によって構成されている。配管1363は、ハウジング30の外部において、クーラ1372の流出口1372bと貫通孔31eとを繋いでいる。貫通孔31eは、ハウジング突出部31dにおける軸方向一方側(+Y側)の壁部を軸方向に貫通している。貫通孔31eは、配管1363の内部と流体供給部61dの内部とを繋いでいる。第1流路部1361のその他の構成は、第1実施形態の第1流路部61のその他の構成と同様である。本実施形態の第2流路部は、第1実施形態の第2流路部62と同様である。
【0088】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。クーラは、少なくとも一部が、軸方向と直交する所定方向にギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向にモータの突出部と重なっていれば、どのように配置されてもよい。クーラの一部が所定方向にギヤハウジングと重ならなくてもよいし、クーラの一部が軸方向に突出部と重ならなくてもよい。クーラがギヤハウジングと重なる所定方向は、軸方向と直交する方向であればよく、上下方向以外の方向であってもよい。
【0089】
モータの突出部は、モータの一部で構成されていれば、モータのいずれの部位によって構成されていてもよい。突出部は、モータハウジングのみによって構成されてもよい。また、例えば、モータがモータ本体、モータハウジング、および制御装置以外の他の部位を有する場合には、当該他の部位の少なくとも一部によって突出部が構成されてもよい。突出部は、軸方向に見て、ギヤハウジングよりも径方向外側に突出していればよく、上下方向以外の方向に突出していてもよい。例えば、突出部が水平方向に突出している場合、クーラは、ギヤハウジングの水平方向の側面に取り付けられてもよい。モータは、制御装置を有しなくてもよい。
【0090】
クーラは、流体を冷却できるならば、どのような種類のクーラであってもよいし、どのような構造のクーラであってもよい。ポンプは、どのような位置に配置されてもよい。ポンプは、流体を送ることができるならば、どのような種類のポンプであってもよいし、どのような構造のポンプであってもよい。流体が流れる流路は、少なくともポンプとモータハウジングの内部との間を繋ぐならば、どのように設けられてもよい。流路を流れる流体は、流体であればどのような流体であってもよく、例えば水などのオイル以外の流体であってもよい。
【0091】
本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。駆動装置が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。駆動装置のモータ本体における中心軸線は、水平方向に対して傾いていてもよいし、上下方向に延びてもよい。
【0092】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して対向するステータを有するモータ本体と、前記ロータに接続されたギヤ機構と、前記モータ本体を内部に収容するモータハウジング、前記モータハウジングの軸方向一方側に位置し前記ギヤ機構を内部に収容するギヤハウジング、および流体が内部に貯留される貯留部を有するハウジングと、前記貯留部内の前記流体を前記モータハウジングの内部に送るポンプと、少なくとも前記ポンプと前記モータハウジングの内部との間を繋ぎ、前記流体が流れる流路と、前記流路のうち前記ポンプから前記モータハウジングの内部に前記流体が送られるまでの間の部分に配置されるクーラと、を備え、前記モータ本体と前記モータハウジングとを有するモータが構成され、前記モータの一部は、前記ギヤハウジングと軸方向に重なり、前記モータは、軸方向に見て、前記ギヤハウジングよりも径方向外側に突出する突出部を有し、前記クーラの少なくとも一部は、軸方向と直交する所定方向に前記ギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に前記突出部と重なっている、駆動装置。
(2) 前記流路は、前記ステータに前記流体を供給する供給口を有する第1流路部と、少なくとも一部が前記ロータの内部に設けられた第2流路部と、を有する、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記ポンプは、前記第1流路部内に前記流体を送る、(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記貯留部の少なくとも一部は、前記ギヤハウジングに設けられ、前記ギヤ機構は、少なくとも一部が前記貯留部内に位置するギヤを有し、前記第2流路部は、前記ギヤハウジング内に開口し、前記第2流路部内には、前記ギヤによってかき上げられた前記流体の少なくとも一部が入る、(2)または(3)に記載の駆動装置。
(5) 前記ポンプは、前記第2流路部内に前記流体を送る、(2)または(3)に記載の駆動装置。
(6) 前記第2流路部は、前記第1流路部から分岐している、(5)に記載の駆動装置。
(7) 前記第2流路部は、前記第1流路部のうち前記貯留部と前記クーラとの間に位置する部分から分岐している、(6)に記載の駆動装置。
(8) 前記第2流路部は、前記第1流路部のうち前記クーラと前記供給口との間に位置する部分から分岐している、(6)に記載の駆動装置。
(9) 前記第2流路部は、前記第1流路部の下流側の端部から延びている、(5)に記載の駆動装置。
(10) 前記ロータは、軸方向に延びるモータシャフトを有し、前記第2流路部は、前記モータシャフトの内部に設けられたモータシャフト内流路部を有する、(2)から(9)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(11) 前記ギヤ機構は、前記モータシャフトと軸方向に繋がるギヤシャフトを有し、前記第2流路部は、前記ギヤシャフトの内部に設けられたギヤシャフト内流路部を有し、前記ギヤシャフト内流路部は、前記モータシャフト内流路部の軸方向一方側に繋がっている、(10)に記載の駆動装置。
(12) 前記第2流路部内において前記流体は、前記ギヤシャフト内流路部内から前記モータシャフト内流路部内に流れる、(11)に記載の駆動装置。
(13) 前記第2流路部内において前記流体は、前記モータシャフト内流路部内から前記ギヤシャフト内流路部内に流れる、(11)に記載の駆動装置。
(14) 前記ハウジングは、前記モータハウジングの内部と前記ギヤハウジングの内部とを区画する隔壁部を有し、前記第1流路部の少なくとも一部は、前記隔壁部に設けられている、(2)から(13)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(15) 前記クーラは、前記流体が流入する流入口と、前記流体が流出する流出口と、を有し、前記流入口と前記流出口とは、互いに同じ向きに開口している、(1)から(14)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(16) 前記クーラは、前記流体が流入する流入口と、前記流体が流出する流出口と、を有し、前記流入口と前記流出口とは、互いに異なる向きに開口している、(1)から(14)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(17) 前記流入口は、上下方向下向きに開口し、
前記流出口は、水平方向または水平方向よりも上下方向上向きに開口している、(16)に記載の駆動装置。
(18) 前記ポンプは、前記ハウジングの内部に位置する、(1)から(17)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(19) 前記ポンプは、前記所定方向に前記ギヤハウジングと重なり、かつ、軸方向に前記突出部と重なっている、(1)から(17)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(20) 前記モータは、前記モータ本体に電気的に接続された制御装置を有し、前記突出部の少なくとも一部は、前記制御装置によって構成されている、(1)から(19)のいずれか一項に記載の駆動装置。
【0093】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0094】
10…モータ本体、20…ギヤ機構、23a…第1ギヤシャフト(ギヤシャフト)、24b…第2ギヤ(ギヤ)、30,930,1030…ハウジング、31,931,1031…モータハウジング、32,932,1032…ギヤハウジング、33…隔壁部、39…第1貯留部(貯留部)、40…ロータ、41…モータシャフト、50…ステータ、60,360,460,560,660,760,860,960,1060,1260,1360…流路、61,361,461,661,861,961,1061,1261,1361…第1流路部、61f…供給口、62,362,462,562,762…第2流路部、62c,362c,462c,762c…ギヤシャフト内流路部、62d,762d…モータシャフト内流路部、71,271,471,671,971,1271…ポンプ、72,672,1072,1172,1272,1372…クーラ、72a,1272a…流入口、72b,672b,1372b…流出口、80…制御装置、90,990,1090…モータ、91,1091…突出部、100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300…駆動装置、J1…中心軸線、O…オイル(流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16