(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093517
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】猫用トイレセット
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240702BHJP
A01K 1/015 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209950
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】510107530
【氏名又は名称】クニミネマーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100141771
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 宏和
(72)【発明者】
【氏名】森 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】唐津 利明
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】猫用トイレ容器を長期間に亘って清潔な状態に維持することができ、さらに排泄物処理材の使用量を削減できる、猫用トイレセットを提供する。
【解決手段】排泄物処理材が載置可能な底部と外壁部とを備える猫用トイレ容器と、前記排泄物処理材と接する下側開口部と内壁部とを有する仕切り部とを含み、
前記仕切り部が前記猫用トイレ容器の内側に設置可能な形状であり、
前記仕切り部の内壁部が、前記下側開口部に対して90°以上120°以下の側面を有する、猫用トイレセット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物処理材が載置可能な底部と外壁部とを備える猫用トイレ容器と、前記排泄物処理材と接する下側開口部と内壁部とを有する仕切り部とを含み、
前記仕切り部が前記猫用トイレ容器の内側に設置可能な形状であり、
前記仕切り部の内壁部が、前記下側開口部に対して90°以上120°以下の側面を有する、猫用トイレセット。
【請求項2】
排泄物処理材を有する、請求項1に記載の猫用トイレセット。
【請求項3】
前記排泄物処理材が、ベントナイトを主原料とする排泄物処理材である、請求項2に記載の猫用トイレセット。
【請求項4】
前記ベントナイトを主原料とする排泄物処理材が、RAGDOLLプレミアムサンド(商品名)である、請求項3に記載の猫用トイレセット。
【請求項5】
前記猫用トイレ容器と前記仕切り部の各形状が、前記排泄物処理材が前記猫用トイレ容器の底部に載置され、前記排泄物処理材と前記下側開口部が接するよう仕切り部が配されたときの排泄物処理材の表面において、前記猫用トイレ容器の外壁部の内側表面と前記排泄物処理材との接地点から、前記仕切り部の内壁部の外側表面と前記排泄物処理材との接地点までの最小距離が1cm以上となる形状である、請求項4に記載の猫用トイレセット。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の猫用トイレセットを用いる猫用トイレの組み立て方法であって、
前記排泄物処理材を前記猫用トイレ容器の底部に載置し、前記仕切り部を前記猫用トイレ容器の内側に配し、前記仕切り部の下側開口部を、前記排泄物処理材の表面に接するように配するか、当該表面よりも下位置に埋め込むように配する、猫用トイレの組み立て方法。
【請求項7】
前記仕切り部を、前記排泄物処理材の表面において、前記猫用トイレ容器の外壁部の内側表面と前記排泄物処理材との接地点から、前記仕切り部の内壁部の外側表面と前記排泄物処理材との接地点までの最小距離が1cm以上となるように配する、請求項6に記載の猫用トイレの組み立て方法。
【請求項8】
前記仕切り部の下側開口部の位置を、前記排泄物処理材の表面に対して、少なくとも下方向に0cm以上2cm以下の位置となるように前記仕切り部を配する、請求項7に記載の猫用トイレの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫用トイレセットに関する。
【背景技術】
【0002】
猫用トイレ容器としては、オープン型やハーフカバー型、ドーム型など様々な形状のものが知られており、通常は猫用トイレ容器の底面に排泄物処理材を載置して使用される。一般的に用いられている猫の排泄物処理材は、排泄物を吸着して団塊を形成し固まるタイプが主流となっており、団塊を除去することにより簡単に排泄物を除去することができる。団塊を除去することにより猫用トイレ容器内の排泄物処理材の量が減少するため、排泄物処理材の減少量に応じて適宜排泄物処理材を継ぎ足して使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排泄された尿の大部分は排泄物処理材に吸着されるため、吸着して固まった団塊を除去することにより、猫用トイレ容器を清潔に維持することができる。しかしながら、例えば猫がトイレ容器内の壁に近い場所で排泄を行った場合や、通常の排泄姿勢が取れない等の場合には、尿がトイレの壁部分に飛び散ってしまい、トイレ容器が汚染されることがある。また、吸着能の低い排泄物処理材を使用した場合や、トイレ容器の底面に載置される排泄物処理材の量が少ない場合には、尿の一部が排泄物処理材を通過してトイレの底部まで到達し、トイレ容器が汚染されることもある。さらに、トイレ容器の壁部や底部に付着した尿は周囲の排泄物処理材と反応して壁部や底部に固着し、拭き取り等により取り除くことが困難となる。このような汚染部は異臭の発生源となり、また汚染部の放置は衛生的に好ましくないため、必要に応じて猫用トイレ容器の洗浄が行われる。
【0004】
猫用トイレ容器は少なくとも猫が侵入できる程度の大きさが確保されているため、その大きさと重さにより扱いづらく、猫用トイレ容器の洗浄には多大な労力が必要であった。また、通常猫用トイレ容器の洗浄の際に、載置されている排泄物処理材を廃棄する必要があり、洗浄頻度の増加に応じて排泄物処理材の廃棄量(使用量)が増大するという問題があった。さらに、排泄物処理材自体にも一定の重量があるため、排泄物処理材を廃棄するために排泄物処理材が大量に載置された状態の猫用トイレ容器を動かすことは重労働であった。
【0005】
本発明は、猫用トイレ容器を長期間に亘って清潔な状態に維持することができ、さらに排泄物処理材の使用量を削減できる、猫用トイレセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、猫用トイレ容器の内側に、猫用トイレ容器とは独立した仕切り部を、猫用トイレ容器の底部に載置された排泄物処理材の上に配し、当該仕切り部の内側で排泄を行わせることにより、猫用トイレ容器自体が尿により汚染されることを防ぐことができること、及び仕切り部に付着した尿は汚染状況に応じて仕切り部のみを取り外して洗浄して除去できるため、猫用トイレを、簡単に、低負担で、長期間に亘り清潔な状態に維持できることを見出した。また、猫用トイレを長期間に亘り清潔な状態で維持できるため、猫用トイレ容器の洗浄回数を減少させることができ、洗浄に伴う排泄物処理材の廃棄量(使用量)を大幅に削減できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0007】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
[1]
排泄物処理材が載置可能な底部と外壁部とを備える猫用トイレ容器と、前記排泄物処理材と接する下側開口部と内壁部とを有する仕切り部とを含み、
前記仕切り部が前記猫用トイレ容器の内側に設置可能な形状であり、
前記仕切り部の内壁部が、前記下側開口部に対して90°以上120°以下の側面を有する、猫用トイレセット。
[2]
排泄物処理材を有する、前記[1]に記載の猫用トイレセット。
[3]
前記排泄物処理材が、ベントナイトを主原料とする排泄物処理材である、前記[2]に記載の猫用トイレセット。
[4]
前記ベントナイトを主原料とする排泄物処理材が、RAGDOLLプレミアムサンド(商品名)である、前記[3]に記載の猫用トイレセット。
[5]
前記猫用トイレ容器と前記仕切り部の各形状が、前記排泄物処理材が前記猫用トイレ容器の底部に載置され、前記排泄物処理材と前記下側開口部が接するよう仕切り部が配されたときの排泄物処理材の表面において、前記猫用トイレ容器の外壁部の内側表面と前記排泄物処理材との接地点から、前記仕切り部の内壁部の外側表面と前記排泄物処理材との接地点までの最小距離が1cm以上となる形状である、前記[4]に記載の猫用トイレセット。
[6]
前記[2]~[5]のいずれかに記載の猫用トイレセットを用いる猫用トイレの組み立て方法であって、
前記排泄物処理材を前記猫用トイレ容器の底部に載置し、前記仕切り部を前記猫用トイレ容器の内側に配し、前記仕切り部の下側開口部を、前記排泄物処理材の表面に接するように配するか、当該表面よりも下位置に埋め込むように配する、猫用トイレの組み立て方法。
[7]
前記仕切り部を、前記排泄物処理材の表面において、前記猫用トイレ容器の外壁部の内側表面と前記排泄物処理材との接地点から、前記仕切り部の内壁部の外側表面と前記排泄物処理材との接地点までの最小距離が1cm以上となるように配する、前記[6]に記載の猫用トイレの組み立て方法。
[8]
前記仕切り部の下側開口部の位置を、前記排泄物処理材の表面に対して、少なくとも下方向に0cm以上2cm以下の位置となるように前記仕切り部を配する、前記[7]に記載の猫用トイレの組み立て方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の猫用トイレセットによれば、猫用トイレ容器の尿による汚染を防ぐことができ、猫用トイレ容器を長期間に亘り清潔な状態に維持することができる。さらに、本発明の猫用トイレセットによれば、猫用トイレ容器の洗浄回数を減少させ、排泄物処理材の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の猫用トイレセットを組み立ててなる猫用トイレの一実施形態の縦断面を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の猫用トイレセットを組み立ててなる猫用トイレの一実施形態を示す縮小斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の猫用トイレセットを組み立ててなる猫用トイレの一実施形態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の猫用トイレセットを組み立ててなる猫用トイレの一実施形態を示す正面方向からの縦断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の猫用トイレセットを組み立ててなる猫用トイレの一実施形態を示す側面方向からの縦断面図である。
【
図6】
図6は、実施例に示す試験態様の模式図である。
【
図7】
図7は、実施例の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の猫用トイレセットの好ましい実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は本明細書で規定すること以外は、下記で説明する形態に限定されるものではない。
図1は、
図2の縮小斜視図に示す本発明の猫用トイレセット1を組み立ててなる猫用トイレの一実施形態の縦断面を示す概略断面図である。本発明の猫用トイレセット1は、猫用トイレ容器11と仕切り部12とを有する。猫用トイレ容器11は、排泄物処理材13を載置可能な底部11aと、底部11aの外周全体を取り囲む外壁部11bとを有する。仕切り部12は、仕切り部12の下方向に開口する下側開口部12aと、下側開口部12aの外周全体を取り囲み、下側開口部12aに対して90°以上120°以下の側面(垂直面、又は傾斜面)を有する内壁部12bとを有する。
図1及び
図2に示す猫用トイレにおいて、猫用トイレ容器11は上方向に開口する上側開口部11cを有し、また仕切り部12も上方向に開口する上側開口部12cを有する。仕切り部12は猫用トイレ容器11の内側に配されている。また、
図1に示す猫用トイレにおいて、仕切り部12の下側開口部12aは、排泄物処理材13に埋め込まれるように配置されており、さらに内壁部12bに付されている目盛り線12dが排泄物処理材13の表面よりも下位置となるように配置されている。また、内壁部12bの内側表面に接する排泄物処理材13は、内壁部12bの内側表面を沿うように配されている。
【0011】
図3は、
図2の縮小斜視図に示す本発明の猫用トイレセット1を組み立ててなる猫用トイレを上から見たときの平面図である。また、
図4及び5は、
図2の縮小斜視図に示す本発明の猫用トイレセット1を組み立ててなる猫用トイレを正面、及び側面から見たときの縦断面図である。
本発明の猫用トイレセット1は
図1~
図5に示される形状に限定されず、各構成要素は、本発明で規定する範囲で、目的に応じて適宜設定されるものである。
【0012】
[猫用トイレセット]
本発明の猫用トイレセット1は、猫用トイレ容器11と、当該猫用トイレ容器11から独立した仕切り部12とを含む。当該トイレセット1は猫用トイレを構成する。
前記猫用トイレにおいて、猫は仕切り部12で区切られた区画内(仕切り部12の内壁部12bの内側区画)に侵入し、排泄行為を行う。基本的に、尿は排泄物処理材13に吸着され、排泄物処理材13の団塊が形成される。尿排泄後は、団塊を取り除くことにより尿を除去して猫用トイレを清潔に維持することができる。一方、尿が仕切り部12の内壁部12bの内側表面に付着した場合、仕切り部12の内壁部12bが所定の角度の側面を有するので、尿は仕切り部12の内壁部12bの内側表面を伝うように流れ落ちて排泄物処理材13に吸着される。このとき、内壁部12bの内側表面は尿により汚染されるが、仕切り部12のみを猫用トイレから取り外して洗浄することが可能であり、容易に汚染を除去することができる。また、猫用トイレ容器11の内側に仕切り部12を設けることにより、尿が猫用トイレ容器11の外壁部11bに付着することを防ぐことができ、猫用トイレ容器11の外壁部11bが尿に汚染されることを防ぐことができる。そのため、猫用トイレ容器11を、洗浄することなく長期間に亘り清潔に維持することができ、猫用トイレ容器11の洗浄頻度を減少させることができる。また、通常は猫用トイレ容器11の洗浄に伴い猫用トイレ容器11に載置された排泄物処理材13を廃棄する必要がある。しかし、本発明の猫用トイレセット1は、猫用トイレ容器11の洗浄頻度の減少に伴い、排泄物処理材13の廃棄量(排泄物処理材13の使用量)を削減することができる。
【0013】
(猫用トイレ容器)
猫用トイレ容器11は、排泄物処理材13を載置可能な底部11aと、底部11aの外周全体を取り囲む外壁部11bとを有する。
【0014】
前記猫用トイレ容器11の大きさは特に限定されず、猫のサイズに応じて適宜設定することができる。猫用トイレ容器11の全体形状も特に限定されず、猫用トイレとして一般的な形状を採用することができる。例えば、平面視したときの形状が、略直方体型、略楕円柱型、円柱型などの形状とすることもできる。また、例えば猫用トイレ容器11の横幅(平面図における長径)を45~60cm、縦幅(平面図における短径)が35~60cmとすることもできる。
底部11aは、排泄物処理材13を載置可能な形状であれば特に限定されない。
【0015】
外壁部11bは、底部11aの外周全体を取り囲むように設けられる。外壁部11bは、
図1に示すように若干外側方向に傾いていてもよく、垂直であってもよい。また、上方ほど外側に湾曲するような形状であってもよく、上方ほど内側に湾曲するような形状であってもよい。猫は排泄時に排泄物処理材13をかく習性があるため、外壁部11bは、排泄物処理材13の猫用トイレ容器11外部への拡散を防止できる程度の高さを有することが好ましい。また、排泄物処理材13を十分な高さまで載置できるように外壁部11bの高さを設定することが好ましい。具体的には、外壁部11bの高さは15~45cmであることが好ましい。
【0016】
猫用トイレ容器11は、猫用トイレ容器11の内側に仕切り部12を設置する観点から、上方向に開口した上側開口部11cを有するオープン型やハーフカバー型のトイレ容器であることが好ましい。前記上側開口部11cの形状は特に限定されないが、上側開口部11cから仕切り部12を出し入れできるように適宜設計することができる。
また、猫用トイレ容器11がドーム型のトイレ容器である場合には、容器上部が取り外し可能な形状であることが好ましい。
【0017】
猫用トイレ容器11は、猫が猫用トイレ容器11に侵入しやすいように、外壁部11bの少なくとも一部に出入り部を有することが好ましい。
出入り部の形状は特に制限されず、猫が出入りしやすいような形状であればよい。例えば、出入り部の中央に向かって低くなるように弧を描いていてもよく、湾曲した凹型の形状であってもよい。出入り部の高さは、猫が侵入できる高さであることが好ましく、具体的には出入り部の最も低い点(通常は中央部)の高さを10~20cmとすることが好ましい。また出入り部の横幅は、15~30cmであることが好ましい。出入り部は、猫が侵入する際に足を掛けることができるよう、外周側にせり出した形状であることも好ましい。
なお、猫用トイレ容器11が、猫が出入りするための出入り部を有している場合、前記外壁部11bの高さとは、出入り部を除いた外壁部11bの高さである。
【0018】
猫用トイレ容器11の素材は特に限定されず、猫用トイレ容器11に通常用いられる素材を適用することができる。例えば、ステンレスや樹脂等が挙げられる。
【0019】
(仕切り部)
仕切り部12は、前記排泄物処理材13と接する下側開口部12aと、下側開口部12aの外周全体を取り囲む内壁部12bとを有する。
【0020】
仕切り部12の形状は特に限定されず、仕切り部12が猫用トイレ容器11の内側に設置可能なように適宜決定される。例えば、平面視したときの形状が、略直方体型、略楕円柱型、円柱型などの形状とすることもでき、また平面視したときの形状を猫用トイレ容器11と同様の形状(底部11aを除く、外壁部11bと同様の形状)とすることもできる。
仕切り部12は、下側開口部12aとさらに上方向にも上側開口部12cを有し、下側開口部12aと上側開口部12cが内壁部12bで連結する筒状の形状であってもよい。この場合、上側開口部12cから排泄物の除去が可能となる。あるいは、仕切り部12は、上方向には上側開口部を有しないドーム状の形状であってもよい。この場合、上部が取り外し可能な形状とすることで、排泄物の除去が可能となる。
【0021】
本発明ないし本明細書において、「排泄物処理材13と接する下側開口部12a」とは、少なくとも下側開口部12a(内壁部12bの下側端部)が排泄物処理材13と接していればよい。また排泄物処理材13の表面と下側開口部12aが接する形態に限定されず、例えば
図1で示すように下側開口部12aが排泄物処理材13に埋め込まれているような形態も、排泄物処理材13と下側開口部12aが接しているとする。
仕切り部12が排泄物処理材13にどの程度埋め込まれているかを外部から確認できるように、仕切り部12の内壁部12bは、目盛り線12dを有することも好ましい。例えば、目盛り線12dは下側開口部12aから高さ0.5cm、0.8cm、1cm、及び/又は2cmの位置に設けることもできる。
【0022】
猫用トイレ容器11及び仕切り部12の各形状は、仕切り部12が猫用トイレ容器11の内側に設置可能なように適宜設定することができ、例えば猫用トイレ容器11の外壁部11bと仕切り部12の内壁部12bとが接する(外壁部11bに沿って、内壁部12bが設けられる)ような形状とすることもでき、また外壁部11bと内壁部12bとが一定距離を置いて配置できるような形状とすることもできる。好ましくは、猫用トイレ容器11及び仕切り部12の各形状は、排泄物処理材13が猫用トイレ容器11の底部11aに載置され、排泄物処理材13と仕切り部12の下側開口部12aが接するよう仕切り部12が配されたときの排泄物処理材表面13aにおいて、猫用トイレ容器11の外壁部11bの内側表面と排泄物処理材13との接地点から、仕切り部12の内壁部12bの外側表面と排泄物処理材13との接地点までの最小距離(D)が、1cm以上となる形状であり、2cm以上となる形状である。また当該最小距離の上限値は特に限定されないが、デッドスペースを小さくする観点から、例えば最小距離(D)を5cm以下とすることができる。なお最小距離(D)とは、排泄物処理材表面13aにおいて、外壁部11bの内側表面と排泄物処理材13との接地面上のいずれの点から、内壁部12bの外側表面と排泄物処理材13との接地面上のいずれの点までの距離のうち、最小となる距離を意味する。
また、通常排泄物処理材13は猫用トイレ容器11の底部11aから5cm程度の高さまで載置されるため、例えば底部11aから内寸5cmの高さの位置における外壁部11bから、当該位置に仕切り部12の下側開口部12aを配したときの内壁部12bの下側端部(下側開口部12a)までの最小距離(D)が、1cm以上となる形状とすることもでき、2cm以上となる形状とすることもでき、かつ5cm以下となる形状とすることもできる。
前記最小距離(D)を上記の好ましい範囲とすることにより、尿が排泄物処理材13中を拡散して仕切り部12の内壁部12bよりも外側に浸出した場合であっても、猫用トイレ容器11の外壁部11bの汚染を確実に防ぐことができる。
【0023】
また猫用トイレ容器11と仕切り部12の各形状は、仕切り部12の下側開口部12aと排泄物処理材13の接する態様(想定される猫用トイレの組み立て形態において、仕切り部12の下側開口部12aを排泄物処理材に埋め込む位置)によっても決定することもできる。例えば、下側開口部12aの位置を排泄物処理材表面13a(0cm)から下方向に1cm未満までの位置(距離)となるように配して組み立てられる場合、上記最小距離(D)を好ましくは1cm以上、より好ましくは2cm以上となるように、猫用トイレ容器11と仕切り部12の各形状を決定することができる。一方で、例えば下側開口部12aの位置を排泄物処理材表面13a(0cm)から下方向に1cm以上の位置となるように配して組み立てられる場合には、上記最小距離(D)を有しない(例えば排泄物処理材表面13aにおいて、外壁部11bと内壁部12bが接する)ような形状とすることもできる。
【0024】
内壁部12bは、下側開口部12aに対して傾斜角度(α)が90°以上120°以下の側面(垂直面、又は傾斜面)を有する。当該傾斜角度は、下側開口部12aと、内壁部12bの下側端部を含む内側表面により形成される角度である。内壁部12bが当該側面を有することにより、排泄物処理材13を、当該側面に沿って配することができる。例えば
図1には、排泄物処理材13が、内壁部12bの傾斜面に沿って配されている様子が示されている。
排泄物処理材13を上記のように側面に沿って配することにより、尿が内壁部12bに付着した場合に、尿が内壁部12bの横方向に広がりながら排泄物処理材13に吸着されることを防ぐことができ、汚染部の面積を小さくすることができる。
内壁部12bに付着した尿が内側表面を伝うように流れ落ちて排泄物処理材13に吸着させる観点から、傾斜角度(α)は100°以上120°以下が好ましい。
【0025】
内壁部12bの高さは特に限定されず、猫のサイズに応じて適宜設定することができる。尿が仕切り部12の外側に飛散することを確実に防ぐ観点から、内壁部12bの高さは15~45cmであることが好ましい。また、内壁部12bの高さを、外壁部11bの高さと同じ高さとすることもでき、外壁部11bの高さより3~5cm低い高さとすることもできる。
【0026】
仕切り部12は、猫が仕切り部12の内側に侵入しやすいように、内壁部12bの少なくとも一部に出入り部を有することが好ましい。出入り部の形状は、上記外壁部11bにおける出入り部の形状と同一とすることができる。
【0027】
仕切り部12の素材は特に限定されず、上記猫用トイレ容器11と同様の素材を適用することができ、また猫用トイレ容器11の素材と同一の素材であってもよく、猫用トイレ容器11とは異なる素材であってもよい。また、例えば仕切り部12の内壁部12bの表面に撥水加工等の表面処理が施されていることも好ましい。仕切り部12の内壁部12bの表面が撥水性を有することにより、内側表面に付着した尿が表面に留まることなく、下側方向に流れやすくなり、載置された排泄物処理材13に吸着させることができる。また、尿を吸着した排泄物処理材13が内壁部12bの表面に固着することを防ぐことができ、容易に洗浄を行うことができる。
【0028】
(排泄物処理材)
本発明の猫用トイレセット1が含み得る排泄物処理材13(猫砂)に特に制限はなく、鉱物系排泄物処理材、紙系排泄物処理材、木系排泄物処理材、おから系排泄物処理材、シリカゲル系排泄物処理材など、通常の排泄物処理材を使用できる。このうち、尿を吸着して団塊を形成するベントナイトを主原料とする排泄物処理材であることがより好ましく、RAGDOLLプレミアムサンド(商品名、クニミネマーケティング社製、以下単に「プレミアムサンド」とも称する。)であることがさらに好ましい。
前記プレミアムサンドは、処理材の粒径を適切な細かい粒径に制御することにより、尿が下方向に通過しにくく、尿を吸着して薄く小さく固まるという性質を有する。そのため、前記猫用トイレ容器11の底部11aから一定以上の高さまで前記プレミアムサンドを載置することにより、尿が猫用トイレ容器11の底部11aまで到達する前に、全てプレミアムサンドに吸着させることができ、猫用トイレ容器11の底部11aの汚染を防ぐことができる。また、尿が前記プレミアムサンドの下方向に通過しにくいため、例えば仕切り部12をプレミアムサンドの表面から下方向に埋め込むように配置することにより、プレミアムサンド中を拡散することによる内壁部12bより外側へ浸出する尿の量を減少させることができ、猫用トイレ容器11の外壁部11bの汚染をより確実に防ぐことができる。
【0029】
(猫用トイレの組み立て方法)
本発明の猫用トイレの組み立て方法(以下、「本発明の組み立て方法」とも称す。)は、猫用トイレ容器11と、仕切り部12と、排泄物処理材13とを含む本発明の猫用トイレセットを用いる猫用トイレの組み立て方法である。猫用トイレ容器11、仕切り部12、及び排泄物処理材13の形状等は、上記本発明の猫用トイレセット1において説明した内容を採用することができる。
本発明の組み立て方法は、猫用トイレ容器11の底部11aに排泄物処理材13を載置し、仕切り部12を、猫用トイレ容器11の内側に配し、かつ仕切り部12の下側開口部12aを、排泄物処理材13の表面に接するように配するか、当該表面よりも下位置に埋め込むように接するように配する。
【0030】
猫用トイレ容器11の底部11aに載置する排泄物処理材13は、底部11aから少なくとも5cmの高さ(内寸)まで載置することが好ましい。特に、前記排泄物処理材13がプレミアムサンドである場合、底部11aから少なくとも5cmの高さ(内寸)までプレミアムサンドを載置することにより、尿が底部11aまで到達する前にプレミアムサンドに吸着させることができ、底部11aの尿汚染を防ぐことができる。
【0031】
仕切り部12は、排泄物処理材表面13aにおいて、猫用トイレ容器11の外壁部11bの内側表面と排泄物処理材13の接地点から、仕切り部12の内壁部12bの外側表面と排泄物処理材13の接地点までの最小距離(D)が1cm以上となるように配することが好ましく、2cm以上となるように配することがより好ましい。
【0032】
また仕切り部12は、仕切り部12の下側開口部12aの位置を、排泄物処理材表面13a(0cm)に対して、少なくとも下方向に0cm以上2cm以下の位置(距離)となるように配することが好ましく、下方向に0.5cm以上の位置となるように配することがより好ましく、下方向に0.8cm以上の位置となるように配することがさらに好ましく、下方向に1cm以上の位置となるように配することがさらに好ましく、下方向に2cm以上の位置となるように配することがさらに好ましい。下側開口部12aの前記位置の上限値は特に制限されず、例えば下側開口部12aが猫用トイレ容器11の底部11aと接するまで排泄物処理材に埋め込むこともできる。
また排泄物処理材13を、仕切り部12の内側部12bの側面に沿って配することが好ましい。
【0033】
猫用トイレ容器11の外壁部11bと、仕切り部12の内壁部12bが共に出入り部を有するときは、外壁部11bの出入り部と内壁部12bの出入り部の向きが揃うように、仕切り部12を配することが好ましい。
【実施例0034】
本発明を以下の実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(拡散試験)
本試験の模式図を
図6に示す。なお、
図6において、排泄物処理材13の一部を省略し、排泄物処理材表面13aのみを示している。また、
図6では、仕切り部12の下側開口部12a(下側端部)が排泄物処理材13に埋め込まれている様子を示している。仕切り部12の下側開口部12aを排泄物処理材13に接するように配置して、仕切り部12の内壁部12bの内側表面に水をかけたときの、仕切り部12の内側に広がる水、及び仕切り部12の外側に浸出する水の拡散の程度を、水を吸着して変色した排泄物処理材13を観察することにより計測した。
排泄物処理材13は、クニミネマーケティング社製のRAGDOLLプレミアムサンド(商品名)を用いた。仕切り部12の内壁部12bの傾斜角度は、下側開口部12aに対して120°であった。また、仕切り部12を、仕切り部12の下側開口部12aの位置が、排泄物処理材表面13a(0cm)に接するように配置するか、排泄物処理材表面13aから下方向に1cm、又は2cm下の位置となるように埋め込んで配置した。水は、仕切り部12の内壁部12bの内側表面に対して、排泄物処理材表面13aから4cmの高さの位置に、20~50ml分かけた。排泄物処理材表面13aにおいて、内壁部12bの内側に広がり、又は外側に浸出する水について、内壁部12bのカーブに接する線から垂直方向の最大距離(拡散距離)を計測した。結果を
図7に示す。
【0036】
図7に示すように、仕切り部12の下側開口部12aを排泄物処理材表面13a(0cm)に接するように配置したときには、20~50mlの水を内壁部12bの内側表面にかけたときに、排泄物処理材表面13aにおいて、水が内壁部12bの内側に多く広がり、また内壁部12bの外側に浸出する水はわずかであって拡散距離が1cm未満であることが観察された。
また、仕切り部12の下側開口部12aを、排泄物処理材表面13aから下方向に1cm、及び2cmの位置まで埋めるように仕切り部12を配置したときには、20~50mlの水を内壁部12bの内側表面にかけたときに、排泄物処理材表面13aにおいて、内壁部12bの内側に広がる水の拡散距離が短くなり、また内壁部12bの外側への水の浸出は観察されなかった。
【0037】
すなわち、仕切り部12の下側開口部12aを、少なくとも排泄物処理材13の表面に接するように配置することにより、仕切り部12の内壁部12bの外側に浸出する尿の量を減少させることができ、さらに仕切り部12を排泄物処理材13に埋め込むように配置することにより、尿が仕切り部12の内壁部12bの外側に浸出することをより確実に防ぐことができることが示された。