(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093518
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】猫用トイレの管理システム
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209951
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】510107530
【氏名又は名称】クニミネマーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100141771
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 宏和
(72)【発明者】
【氏名】森 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】唐津 利明
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA20
2B101CA08
2B101GB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】猫を飼育するために使用する排泄物処理材の残量を的確に把握し、最低限必要な量の排泄物処理材を確保しているかを容易に認識できる、猫用トイレの管理システムを提供する。
【解決手段】猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定する重量測定手段と、測定情報を管理装置に送信する測定情報送信手段とを含み、管理装置は、測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成する重量情報生成手段と、測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録する記録手段と、記録手段に記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する情報処理手段と、比較結果情報を端末に送信するための情報処理結果情報送信手段とを含み、前記端末は、前記情報処理結果情報送信手段から送信された比較結果情報を表示する表示部を含む、猫用トイレの管理システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
猫用トイレと、管理装置と、端末を含む猫用トイレの管理システムであって、
前記猫用トイレが、排泄物処理材を底面に載置するための猫用トイレ容器と、当該猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定する重量測定手段と、当該重量測定手段により得られる測定情報を前記管理装置に送信する測定情報送信手段とを含み、
前記管理装置は、前記測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成する重量情報生成手段と、前記測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録する記録手段と、前記記録手段に記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する情報処理手段と、当該情報処理手段が出力した比較結果情報を端末に送信するための情報処理結果送信手段とを含み、
前記端末は、前記情報処理結果送信手段から送信された比較結果情報を表示する表示部を含む、
猫用トイレの管理システム。
【請求項2】
前記管理システムが排泄物処理材を保管するための排泄物処理材ストックを含み、
当該排泄物処理材ストックに含まれる排泄物処理材の残量を前記管理装置の記録手段に記録する、
請求項1に記載の猫用トイレの管理システム。
【請求項3】
前記排泄物処理材ストックが、排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の経時変化を測定する重量測定手段と、当該重量送信手段により得られる排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の情報を前記管理装置に送信する測定情報送信手段を含み、
排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の情報を前記記録手段に記録する、
請求項2に記載の猫用トイレの管理システム。
【請求項4】
前記情報処理手段において、前記重量情報生成手段により生成された排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測する、請求項1又は2に記載の猫用トイレの管理システム。
【請求項5】
前記重量情報生成手段が、猫用トイレ容器に猫が乗り降りしたときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターン、並びに/又は、猫用トイレ容器から排泄物処理材を除去及び/若しくは補充したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターンを予め学習させた、学習済みモデルを搭載しており、
当該学習済みモデルに、前記重量測定手段によって得られる測定情報を入力することにより、猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の残量の情報を生成する、
請求項1又は2に記載の猫用トイレの管理システム。
【請求項6】
飼育している猫の排尿頻度、飼育している猫の排尿1回あたりの排尿量、排泄物処理材の使用量、飼育している猫の頭数、飼育している猫の体重、猫用トイレ容器の個数、及び飼育環境からなる群より選ばれる少なくとも1つを考慮して、前記閾値を設定する、請求項1又は2に記載の猫用トイレの管理システム。
【請求項7】
前記管理装置又は端末が、排泄物処理材の残量が前記閾値を下回った場合に排泄物処理材を配送させるための配送処理を実行する配送処理手段を含む、請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項8】
排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定し、得られた測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成し、得られた測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録し、記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、排泄物処理材の残量が閾値未満である場合、排泄物処理材を補充する、猫用トイレの管理方法。
【請求項9】
猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の重量と、排泄物処理材を保管するための排泄物処理材ストックに含まれる排泄物処理材の重量の合計値を、前記の、排泄物処理材の残量とし、前記閾値と比較する、請求項8に記載の猫用トイレの管理方法。
【請求項10】
排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測する、請求項8又は9に記載の猫用トイレの管理方法。
【請求項11】
猫用トイレ容器に猫が乗り降りしたときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターン、並びに/又は、猫用トイレ容器から排泄物処理材を除去及び/若しくは補充したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターンを予め学習させた学習済みモデルに、排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定して得られる測定情報を入力することにより、猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の残量の情報を生成する、請求項8又は9に記載の猫用トイレの管理方法。
【請求項12】
飼育している猫の排尿頻度、飼育している猫の排尿1回あたりの排尿量、排泄物処理材の使用量、飼育している猫の頭数、飼育している猫の体重、猫用トイレ容器の個数、及び飼育環境からなる群より選ばれる少なくとも1つを考慮して、前記閾値を設定する、請求項8又は9に記載の猫用トイレの管理方法。
【請求項13】
請求項1に記載の猫用トイレの管理システムを用いる、請求項8に記載の猫用トイレの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫用トイレの管理システム及び猫用トイレの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
令和3年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人 ペットフード協会)によると、日本国内において飼育されている猫は894万6千頭にのぼる。日本国内での犬の飼育頭数が年々減少しているのに対し、猫の飼育頭数は大きな変動なく、ここ数年で緩やかな増加傾向を示している。また、一飼育世帯あたりの平均飼育頭数は、犬が1.26頭であるのに対し、猫は1.73頭であり、犬と比較して多頭飼いの割合が高いのも猫の飼育の特徴の1つである。
さらに、ペット産業は、多様な業種や業態を含む。動物病院、ペットホテルは年々増加し、大きな市場規模を形成している。動物病院やペットホテルにおいても、猫などの動物が多頭飼いされている。
【0003】
猫を室内飼いする場合、猫用トイレと、その底面に載置する排泄物処理材が必要となる。排泄物処理材としては、排泄物を吸収して団塊を形成し固まるタイプが主流となっており、団塊を除去することにより簡単に異臭の発生源となる排泄物を除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排泄物処理材はいわゆる消耗品であり、排泄物処理材の残量が少なくなったら排泄物処理材のストックを入手することが必要になる。しかし、市販されている排泄物処理材の中には鉱物系排泄物処理材など重い商品が多数あり、飼い主自らがこのような重い排泄物処理材を購入し、自宅に持ち帰ることは、身体的な負担が大きい。
また、一飼育区画当たりの猫の飼育頭数の増加に伴い、排泄物処理材の使用量も増加する。動物病院やペットホテルなど、猫を多頭飼いするペット産業において、排泄物処理材のストック管理の負担も大きい。
さらに、排泄物処理材を効率的に保管するには、排泄物処理材の残量を的確に把握する必要がある。しかし、底面に排泄物処理材を載置した猫用トイレの重量を測定しても、排泄物処理材の残量を推定することは困難である。
【0005】
本発明は、猫を飼育するために使用する排泄物処理材の残量を的確に把握し、最低限必要な量の排泄物処理材を確保しているかを容易に認識できる、猫用トイレの管理方法及び猫用トイレの管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定し、得られた重量変化の情報から、猫が猫用トイレに乗った際の重量変化の寄与分と、猫用トイレ容器に排泄物処理材を追加した際の重量変化の寄与分とを差引くことで、排泄物処理材の残量を的確に把握できることを見出した。そして、このようにして得られた排泄物処理材の残量と、最低限確保すべき排泄物処理材の量とを比較し、排泄物処理材の残量が最低限確保すべき量を下回った場合に新たな排泄物処理材を入手することで、排泄物処理材のストック管理の負担軽減に繋がることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0007】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
[1]
猫用トイレと、管理装置と、端末を含む猫用トイレの管理システムであって、
前記猫用トイレが、排泄物処理材を底面に載置するための猫用トイレ容器と、当該猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定する重量測定手段と、当該重量測定手段により得られる測定情報を前記管理装置に送信する測定情報送信手段とを含み、
前記管理装置は、前記測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成する重量情報生成手段と、前記測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録する記録手段と、前記記録手段に記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する情報処理手段と、当該情報処理手段が出力した比較結果情報を端末に送信するための情報処理結果送信手段とを含み、
前記端末は、前記情報処理結果送信手段から送信された比較結果情報を表示する表示部を含む、
猫用トイレの管理システム。
[2]
前記管理システムが排泄物処理材を保管するための排泄物処理材ストックを含み、
当該排泄物処理材ストックに含まれる排泄物処理材の残量を前記管理装置の記録手段に記録する、
前記[1]に記載の猫用トイレの管理システム。
[3]
前記排泄物処理材ストックが、排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の経時変化を測定する重量測定手段と、当該重量送信手段により得られる排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の情報を前記管理装置に送信する測定情報送信手段とを含み、
排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の情報を前記記録手段に記録する、
前記[2]に記載の猫用トイレの管理システム。
[4]
前記情報処理手段において、前記重量情報生成手段により生成された排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測する、前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理システム。
[5]
前記重量情報生成手段が、猫用トイレ容器に猫が乗り降りしたときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターン、並びに/又は、猫用トイレ容器から排泄物処理材を除去及び/若しくは補充したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターンを予め学習させた、学習済みモデルを搭載しており、
当該学習済みモデルに、前記重量測定手段によって得られる測定情報を入力することにより、猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の残量の情報を生成する、
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理システム。
[6]
飼育している猫の排尿頻度、飼育している猫の排尿1回あたりの排尿量、排泄物処理材の使用量、飼育している猫の頭数、飼育している猫の体重、猫用トイレ容器の個数、及び飼育環境からなる群より選ばれる少なくとも1つを考慮して、前記閾値を設定する、前記[1]~[5]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理システム。
[7]
前記管理装置又は端末が、排泄物処理材の残量が前記閾値を下回った場合に排泄物処理材を配送させるための配送処理を実行する配送処理手段を含む、前記[1]~[6]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理システム。
【0008】
[8]
排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定し、得られた測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成し、得られた測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録し、記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、排泄物処理材の残量が閾値未満である場合、排泄物処理材を補充する、猫用トイレの管理方法。
[9]
猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の重量と、排泄物処理材を保管するための排泄物処理材ストックに含まれる排泄物処理材の重量の合計値を、前記の、排泄物処理材の残量とし、前記閾値と比較する、前記[8]に記載の猫用トイレの管理方法。
[10]
排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測する、前記[8]又は[9]に記載の猫用トイレの管理方法。
[11]
猫用トイレ容器に猫が乗り降りしたときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターン、並びに/又は、猫用トイレ容器から排泄物処理材を除去及び/若しくは補充したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化のパターンを予め学習させた学習済みモデルに、排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定して得られる測定情報を入力することにより、猫用トイレ容器の底面に載置されている排泄物処理材の残量の情報を生成する、前記[8]~[10]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理方法。
[12]
飼育している猫の排尿頻度、飼育している猫の排尿1回あたりの排尿量、排泄物処理材の使用量、飼育している猫の頭数、飼育している猫の体重、猫用トイレ容器の個数、及び飼育環境からなる群より選ばれる少なくとも1つを考慮して、前記閾値を設定する、前記[8]~[11]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理方法。
[13]
前記[1]~[7]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理システムを用いる、前記[8]~[12]のいずれか1項に記載の猫用トイレの管理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の猫用トイレの管理方法によれば、猫を飼育するために使用する排泄物処理材の残量を的確に把握し、最低限必要な量の排泄物処理材を確保しているかを容易に認識することができる。また本発明の管理システムは、上記猫用トイレの管理方法に好適に用いることができる。
本発明によれば最低限必要な量の排泄物処理材を確保しているかを容易に認識できるので、排泄物処理材の入手、管理に関する負担を軽減できる。さらに、過不足なく排泄物処理材を保管できるので、排泄物処理材のストックに必要なスペースの無駄を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の管理システムにおける管理装置の部品構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【
図5】
図5(A)は、排泄物処理材ストックを含まない管理システムを用いて得られる、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化の情報を模式的に示すグラフであり、
図5(B)は、排泄物処理材ストックを含まない管理システムを用いて得られる、排泄物処理材の残量の経時変化の情報を模式的に示すグラフである。
【
図6】
図6(A)は、排泄物処理材ストックを含む管理システムを用いて得られる、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化の情報を模式的に示すグラフであり、
図6(B)は、排泄物処理材ストックを含む管理システムを用いて得られる、猫用トイレ容器に載置された排泄物処理材の重量と排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の合計値の経時変化の情報を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外はこれらの形態に限定されるものではない。
【0012】
<管理システム>
図1は、本発明の管理システム100の一実施形態(100A)を示す図であり、
図2は、本発明の管理システム100の別の実施形態(100B)を示す図である。
図1及び
図2に示す本発明の管理システム100はいずれも、猫用トイレ10と、管理装置20と、端末30とを有する。
猫用トイレ10は、猫用トイレ容器11と、重量測定手段12と、測定情報送信手段13とを有する。さらに、猫用トイレ10の底面には、排泄物処理材14が載置される。重量測定手段12によって猫用トイレ容器11全体の重量の経時変化が測定され、得られた測定情報が測定情報送信手段13によって管理装置20に送信される。
【0013】
本発明の管理システム100は、
図1及び
図2に示すように、排泄物処理材を保管するための排泄物処理材ストック40を含むことが好ましい。排泄物処理材ストック40は、未使用の排泄物処理材を保管する排泄物処理材保管容器41から構成される。
【0014】
管理装置20は少なくとも、重量情報生成手段21と、記録手段22と、情報処理手段23と、情報処理結果送信手段24とを有する。
図3は、管理装置20を構成する手段の例を示す図である。猫用トイレ10の重量測定手段12によって得られた測定情報に基づき、管理装置20の重量情報生成手段21によって排泄物処理材の残量の情報が生成され、重量測定手段12によって得られた測定情報、及び排泄物処理材の重量情報は、記録手段22に記録される。記録手段22に記録された情報に基づいて、情報処理手段23により、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する。出力された比較結果情報は、情報処理結果情報送信手段24により、端末30に送信される。
【0015】
端末30は、情報処理結果送信手段24から送信された判定情報を表示する表示部を含む。
【0016】
猫用トイレ10、管理装置20、端末30、及び排泄物処理材ストック40は、それぞれインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0017】
以下に本発明の管理システムの各構成について詳細に説明する。
【0018】
[猫用トイレ]
本発明の管理システム100において、前記猫用トイレ10は、猫用トイレ容器11と、当該猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定する重量測定手段12と、当該重量測定手段により得られる測定情報を前記管理装置に送信する測定情報送信手段13とを含む。
なお、本発明ないし本明細書において、「猫用トイレ容器全体の重量」とは、猫用トイレ容器11本体の重量、及び猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の重量の合計値である。さらに、猫が猫用トイレ容器11で排泄を行っている場合、「猫用トイレ容器11全体の重量」には当該猫の体重も含まれる。
【0019】
本発明の管理システム100において、猫用トイレ10の一飼育区画あたりの個数は特に制限はない。すなわち、本発明の管理システム100は、
図1に示すように、猫用トイレ10を1個有する管理システムであってもよく、
図2に示すように、猫用トイレ10を複数個有する管理システムであってもよい。本明細書において「複数個の猫用トイレ10」とは、猫用トイレ容器11、重量測定手段12、及び測定情報送信手段13を一組として、複数組あることを意味する。それぞれの猫用トイレ10は、各々が識別可能なように識別番号等が割り当てられることが好ましい。また、測定情報送信手段13によって管理装置20に送信される測定情報には、いずれの猫用トイレ10の測定情報であるかを判別できるように、識別情報等が含まれていることが好ましい。
図2に示すような、猫用トイレ10を複数個有する管理システムは、猫を多頭飼いする場合に好ましく用いることができる。
本明細書において、「一飼育区画」とは、一般住宅や飼育施設など、猫の飼育範囲が区切られた一の場所を意味する。前記飼育施設としては、例えば、ペットショップ、ペットホテル、トリミングサロン、動物病院、動物園、イベント得会場、猫カフェ、動物愛護センター等が挙げられる。
【0020】
(猫用トイレ容器)
猫用トイレ容器11の形状やサイズに特に制限はなく、猫用トイレ容器11として通常用いられているものを使用することができ、中でも排泄物処理材14を底面に載置して使用する猫用トイレ容器であることが好ましい。例えば、オープン型、ハーフカバー型、ドーム型等の形状の猫用トイレ容器11を用いることができる。猫用トイレ容器11全体の重量を重量測定手段12により測定する観点から、前記猫用トイレ容器11は、底面に載置される排泄物処理材14が猫用トイレ容器11の外部に飛散しにくい形状であることが好ましい。
【0021】
(重量測定手段)
重量測定手段12により、猫用トイレ容器11全体の重量の経時変化に関する情報を含む測定情報を得ることができる。本発明の管理システム100において、前記重量測定手段12は、猫用トイレ容器11の全体の重量を測定できるように配される。
【0022】
重量測定手段12は、猫用トイレ容器11と一体の構成となっていてもよく、それぞれ独立した構成となっていてもよい。例えば、
図1及び
図2に示すように、猫用トイレ容器11と重量測定手段12とをそれぞれ独立した構成とし、猫用トイレ容器11を支持する位置に重量測定手段12を配置することにより、猫用トイレ容器11全体の重量を測定することもできる。
重量測定手段12は、例えば重量計のような構造により猫用トイレ11全体の重量の経時変化を測定するものであってもよい。重量測定手段12により、猫用トイレ容器11本体(排泄物処理材14を載置する前)の重量、猫用トイレ容器11に排泄物処理材14を載置した後の重量、猫が猫用トイレ容器11に侵入しているときの猫用トイレ容器11の重量、猫が猫用トイレ容器11で排泄を行い猫用トイレ容器から出た後の猫用トイレ容器11の重量、尿を吸収させた排泄物処理材14(排泄物処理材の団塊)を除去した後の猫用トイレ容器11の重量、新たな排泄物処理材14を猫用トイレ容器11に補充した後の猫用トイレ容器11の重量等を測定することができる。
本発明において、重量測定手段12により、猫用トイレ容器11全体の重量の変化を連続的に測定してもよい。あるいは、猫用トイレ容器11全体の重量に変化がないときは連続的な測定は行わず、猫用トイレ容器11全体の重量変化を検知した場合に重量測定手段12を作動させ、猫用トイレ容器11全体の重量を測定してもよい。猫用トイレ容器11全体の重量は、猫用トイレ容器11に排泄物処理材14を載置したとき、猫が猫用トイレ容器11に侵入したとき、猫が猫用トイレ容器11から出たとき、排泄物処理材14の団塊を除去したとき、新たな排泄物処理材14を猫用トイレ容器11に補充したときなどに変化する。猫用トイレ容器11全体の重量が変化する際、猫用トイレ容器11は振動する。よって、重量測定手段12が猫用トイレ容器11の振動を検知できれば、振動が検知されないときは猫用トイレ11全体の重量の測定は行わず、振動が検知された後に猫用トイレ11全体の重量を測定することで、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定することができる。
本発明で用いる重量測定手段12は、重量測定日時を特定できることが好ましい。さらに、重量測定手段12は、排泄物処理材14の性能に影響する、飼育環境の室温や湿度等の環境パラメータを検知するセンサが備えられ、重量測定手段12によって得られる測定情報にこれらの環境パラメータを含めることが好ましい。
図2に示すような、猫用トイレ10を複数個有する管理システム100(100B)においては、重量測定手段12は、猫用トイレ容器11の識別番号を特定できることが好ましい。
なお、本発明において、重量測定手段12により測定した実測値から、猫用トイレ容器11本体の重量を差し引いてもよいし、差し引かなくてもよい。猫用トイレ容器11本体の重量を差し引かない場合、最低限確保しておくべき排泄物処理材の量と、猫用トイレ容器11本体の重量との合計値を、後述の閾値として設定すればよい。
【0023】
(排泄物処理材)
排泄物処理材14に特に制限はなく、鉱物系排泄物処理材、シリカゲル系排泄物処理材、紙系排泄物処理材、おから系排泄物処理材、木系排泄物処理材など、通常の排泄物処理材を使用できる。このうち、鉱物系排泄物処理材が好ましく、尿を吸着して団塊を形成するベントナイトを主原料とする排泄物処理材であることが好ましく、RAGDOLLプレミアムサンド(商品名、クニミネマーケティング社製、以下単に「プレミアムサンド」とも称する。)であることがより好ましい。前記プレミアムサンドは、処理材の粒径を適切な細かい粒径に制御することにより、尿が下方向に通過しにくく、尿を吸着して薄く小さく固まるという性質を有する。そのため、前記プレミアムサンドは、猫用トイレ容器11の底部に載置する排泄物処理材として好ましい。
【0024】
(測定情報送信手段)
重量測定手段12によって得られる測定情報は、測定情報送信手段13によって管理装置20に送信される。測定情報送信手段13は、重量測定手段12と一体の構成となっていてもよく、それぞれ独立していてもよく、一体の構成となっていることが好ましい。例えば、猫用トイレ容器11全体の重量を測定する重量計が、重量測定部と測定情報送信部を有していてもよい。
測定情報送信手段13は、測定情報を直接管理装置20に送信してもよく、測定情報送信手段13が測定情報を端末30に送信し、端末30を介して測定情報が管理装置20に送信されてもよい。
図1及び
図2に示す本発明の管理システム100A及び100Bでは、測定情報送信手段13から測定情報が直接管理装置20に送信される。
【0025】
[排泄物処理材ストック]
本発明の管理システム100は、排泄物処理材ストックを含有してもよい。
以下、本発明で用いることができる排泄物処理材ストックについて詳細に説明するが、本発明はこれに制限するものではない。
【0026】
本発明において、猫用トイレ容器11に載置する排泄物処理材14を保管する排泄物処理材保管容器41を好ましく用いることができる。本発明において、入手時の容器をそのまま排泄物処理材保管容器41としてもよく、入手時の容器から排泄物処理材を別の容器に入れ替え、排泄物処理材保管容器41として用いてもよい。ここで、排泄物処理材保管容器41の材質や形状に特に制限はなく、通常の排泄物処理材保管容器の材質及び形状を採用することができる。
【0027】
図1及び
図2に示す管理システム100(100A及び100B)に含まれる排泄物処理材ストック40は、排泄物処理材を保管するための排泄物処理材保管容器41と、排泄物処理材重量測定手段42と、排泄物処理材重量情報送信手段43とを有する。
排泄物処理材重量測定手段42は、排泄物処理材保管容器41に保管されている未使用の排泄物処理材(図示せず)の重量を測定する。排泄物処理材重量測定手段42は、排泄物処理材の重量を測定できるものであれば特に制限されない。
図1及び
図2に示す本発明の管理システム100A及び100Bでは、排泄物処理材保管容器41は、排泄物処理材重量測定手段42の上に置かれている。排泄物処理材重量測定手段42によって測定された排泄物処理材の重量情報は、排泄物処理材重量情報送信手段43によって管理装置20に送信される。当該送信の頻度は、リアルタイムであってもよく、一定の間隔で送信されてもよい。排泄物処理材重量情報送信手段43は、排泄物処理材重量測定手段42と一体の構成となっていてもよく、それぞれ独立していてもよく、一体の構成となっていることが好ましい。例えば、排泄物処理材の重量を測定する重量計が、排泄物処理材重量測定部と排泄物処理材重量情報送信部を有していてもよい。
図1及び
図2には、1個の排泄物処理材保管容器41が排泄物処理材重量測定手段42の上に置かれている例を示しているが、複数個の排泄物処理材保管容器41が排泄物処理材重量測定手段42の上に置かれていてもよい。
【0028】
排泄物処理材ストックを含有する本発明の別の管理システムの態様としては、前記管理システム100A又は100Bの構成に加え、排泄物処理材重量測定手段及び排泄物処理材重量情報送信手段が備えられていない排泄物処理材ストックを有する管理システムが挙げられる。この形態では、ユーザーが、排泄物処理材ストックの重量の情報を直接前記管理装置20に送信する。
【0029】
[管理装置]
本発明のシステム100に用いる管理装置20の好ましい態様を
図3に基づき説明する。しかし、本発明はこれに制限するものではない。
管理装置20は、前記測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成するための重量情報生成手段21と、得られた測定情報及び重量情報を記録する記録手段22と、記録手段22に記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する情報処理手段23と、情報処理手段23が出力した比較結果情報を端末に送信するための情報処理結果送信手段24とを含む。本発明の管理システム100において、管理装置20は排泄物処理材の残量を管理するサーバ装置である。
また、管理装置20は、CPU(central Processing Unit)、受信手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Rand Access Memory)HDD(Hard Disk Drive)、通信装置等、本発明の管理システムにおける管理装置の通常の運転を実行するために必要な手段を適宜設けていてもよい。
【0030】
(重量情報生成手段)
重量情報生成手段21は、重量測定手段12によって得られ、測定情報送信手段13から送信された測定情報に基づいて、猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の残量の情報を生成する。
前述のように、重量測定手段12によって得られる情報は、猫用トイレ容器11単体の重量、猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の重量の合計値であり、猫が猫用トイレ容器11で排泄を行っている場合は、猫用トイレ容器11単体の重量、猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の重量、及び猫の体重の合計値である。重量情報生成手段21において、重量測定手段12によって得られる「猫用トイレ容器11全体の重量」から、猫用トイレ容器11単体の重量(排泄物処理材14を載置する前の猫用トイレ容器11の重量)ないし猫の体重を差し引くことで、猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の残量の情報が生成される。
重量情報生成手段21は、AI技術を利用して排泄物処理材14の残量の情報を生成してもよい。例えば、猫用トイレ容器11に猫が乗り降りしたときの猫用トイレ容器11全体の重量の変化のパターンや、猫用トイレ容器から排泄物処理材14を除去及び/又は補充したときの猫用トイレ容器11全体の重量の変化のパターンを予め学習させた、学習済みモデルを重量情報生成手段21に搭載しておくことができる。当該学習済みモデルに、重量測定手段12によって得られる測定情報が入力されることにより、猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の残量の情報を生成することができる。
【0031】
(記録手段)
重量測定手段12によって得られた測定情報、及び排泄物処理材の重量情報は、記録手段22に記録される。
「排泄物処理材の重量情報」には、重量情報生成手段21によって得られた猫用トイレ容器11の底面に載置されている排泄物処理材14の残量の情報が含まれる。さらに、本発明の管理システム100が排泄物処理材ストックを含有する場合、「排泄物処理材の重量情報」には、排泄物処理材ストックに含まれる未使用の排泄物処理材の重量の情報も含まれる。
図1及び
図2に示すように、排泄物処理材ストック40が、排泄物処理材重量測定手段42と、排泄物処理材重量情報送信手段43とを有する場合、排泄物処理材重量測定手段42が測定し、排泄物処理材重量情報送信手段43により送信される、排泄物処理材保管容器41に保管されている未使用の排泄物処理材の重量が、記録手段22に記録される。排泄物処理材ストックに排泄物処理材重量測定手段及び排泄物処理材重量情報送信手段が備えられていない場合、ユーザーが、排泄物処理材ストックの重量の情報を直接前記管理装置20に送信し、記録手段22に記録する。
記録手段は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録媒体(記憶装置)であってもよい。
【0032】
(情報処理手段)
情報処理手段23は、記録手段22に記録され情報に基づき、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、比較結果の情報を出力する。
本発明において、排泄物処理材の残量が閾値を下回った場合、排泄物処理材の補充時期と認識される。閾値の設定は、飼育している猫の排尿頻度、飼育している猫の排尿1回あたりの排尿量、排泄物処理材の使用量、飼育している猫の頭数、飼育している猫の体重、猫用トイレ容器の個数などを考慮して設定することができる。また、排泄物処理材の性能は温度や湿度など飼育環境によって変化し得るので、飼育環境も考慮することが好ましい。
情報処理手段23において、前記重量情報生成手段21により生成された排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測することが好ましい。排泄物処理材の残量が閾値下回る時期の予測が可能となれば、排泄物処理材の入手、管理に関する負担をより軽減できる。
【0033】
(情報処理結果送信手段)
情報処理手段23が出力した比較結果情報は、情報処理結果送信手段24により端末30に送信される。比較結果情報の送信の頻度は特に限定されず、リアルタイムに比較結果情報を送信してもよいし、排泄物処理材の残量が閾値を下回った場合にのみ比較結果情報を送信してもよい。
情報処理結果送信手段24の一態様として、
図3に示す比較結果送信手段24Aが挙げられる。比較結果送信手段24Aは、情報処理手段23から出力された情報をユーザー(飼い主)の端末30に送信することができる。情報処理結果送信手段24の別の態様として、
図3に示す配送処理手段24Bが挙げられる。配送処理手段24Bは、排泄物処理材の残量が閾値を下回っているとの情報が情報処理手段23から出力された場合、排泄物処理材の配送者の端末30に、配送処理を実行するための情報を送信することができる。配送処理手段24Bによる排泄物処理材の配送処理は、予め入力された入力規則に基づいて実行される。排泄物処理材の配送処理は、排泄物処理材の残量が閾値を下回った時点で行ってもよいし、排泄物処理材の残量が閾値を下回った時点から一定期間経過後に行ってもよい。配送処理に必要な各情報については、端末によって予め配送処理手段24Bに登録しておくことができる。
【0034】
[端末]
端末30は、いわゆるユーザー端末であり、前記情報処理結果送信手段24から送信された判定情報を表示する表示部を含んでいれば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピューター等であってもよい。
端末30は、インターネット等のネットワークを介して猫用トイレ10、管理装置20、排泄物処理材ストック40等と通信可能に接続することができる。例えば、端末30を介して猫用トイレ10の識別番号を付与することもでき、排泄物処理材ストックに含まれる排泄物処理材の種類や重量を管理装置20の記録手段22に予め記録(登録)することもできる。また、端末30は、猫の情報(個体数、年齢、性別、体重等)を管理装置20の記録手段22に記録(登録)することもできる。
端末30は、排泄物処理材の配送処理を実行するための配送処理手段を含むことが好ましい。排泄物処理材の残量が閾値を下回っているとの情報が情報処理結果送信手段24から送信された場合、排泄物処理材を配送させるための配送処理を実行することにより、排泄物処理材を補充することができる。排泄物処理材の配送処理は、予め入力された入力規則に基づいて実行される。配送処理に必要な各情報については、端末に予め登録しておくことができる。
【0035】
端末に表示される情報に基づき、一飼育区画で確保されており排泄物処理材の残量を把握することができる。さらに、排泄物処理材の残量に応じて、過不足なく排泄物処理材のストック量を管理することができる。そして、飼い主の排泄物処理材のストック管理の負担を軽減することもできる。
【0036】
<管理方法>
本発明のさらに別の実施形態は、排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定し、得られた測定情報に基づいて排泄物処理材の残量の情報を生成し、得られた測定情報及び排泄物処理材の重量情報を記録し、記録された情報に基づいて、排泄物処理材の残量と、猫の飼育に最低限必要な排泄物処理材の量として予め設定した閾値とを比較し、排泄物処理材の残量が閾値未満である場合、排泄物処理材を補充する、猫用トイレの管理方法である。
本発明の猫用トイレの管理方法に用いる装置やシステムに特に制限はないが、前記の本発明の管理システム100を好適に用いることができる。
【0037】
排泄物処理材を底面に載置する猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定した結果を示すグラフを
図4に示す。
図4に示すグラフの横軸は飼育日数を示し、縦軸は猫用トイレ容器全体の重量を示す。
図4に示すグラフのプロットのうち、領域(1)及び(2)のプロットは、猫用トイレ容器本体の重量と、猫用トイレ容器の底面に載置された排泄物処理材の重量の合計値の推移である。この合計値に、猫個体の重量を加算した値が、
図4に示すグラフの領域(3)にプロットされている。さらに、猫用トイレ容器の底面に排泄物処理材を補充したときの重量変化が、
図4に示すグラフの領域(4)のプロットで示されている。
図4に示すように、猫が猫用トイレ容器に乗り降りすることにより、猫用トイレ容器全体の重量のぶれが大きくなる。さらに、排泄物処理材を補充することで、猫用トイレ容器全体の重量変化が不連続となる。そのため、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化を測定しただけでは、排泄物処理材の残量の推定は困難である。
そこで本発明の管理方法では、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化の情報から、排泄物処理材の残量の情報を生成する。排泄物処理材の残量の情報を生成するための方法について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0038】
図5は、排泄物処理材ストックを含まない管理システムを用いて得られる、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化の情報(
図5(A))と、排泄物処理材の残量の経時変化の情報(
図5(B))を模式的に示すグラフである。ここで、
図5(A)に示すグラフの時間軸(横軸)と
図5(B)に示すグラフの時間軸(横軸)とを一致させて記載している。
図6は、排泄物処理材ストックを含む管理システムを用いて得られる、猫用トイレ容器全体の重量の経時変化の情報(
図6(A))と、猫用トイレ容器に載置された排泄物処理材の重量と排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の合計値の経時変化の情報(
図6(B))を模式的に示すグラフである。ここで、
図6(A)に示すグラフの時間軸(横軸)と
図6(B)に示すグラフの時間軸(横軸)とを一致させて記載している。
【0039】
図5(A)及び
図6(A)に示すグラフの領域(1)は、猫が猫用トイレに乗り降りしたときの猫用トイレ容器全体の重量の変化を示す。猫用トイレに猫が乗った場合、他の時間帯と比較して、猫用トイレ容器全体の重量のばらつきが大きい。よって、猫用トイレ容器全体の重量のばらつきが大きい場合、猫用トイレに猫が乗っていると特定することができる。さらに、領域(1)における重量の変動幅は、猫の体重とほぼ一致する。よって、重量の変動幅を測定し、重量の変動幅が猫の体重とほぼ一致する場合、猫用トイレに猫が乗っていると特定することができる。本発明において、猫の体重は、実際に飼い猫の体重を測定して採用してもよいし、猫の種類や年齢に応じて一般的、平均的な体重を採用してもよい。
【0040】
図5(A)及び
図6(A)に示すグラフの領域(2)は、猫用トイレから排泄物処理材(尿を吸着させた排泄物処理材の団塊)を除去したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化を示し、領域(5)は、未使用の排泄物処理材を猫用トイレ容器に追加したときの猫用トイレ容器全体の重量の変化を示す。猫用トイレから排泄物処理材を除去ないし追加したとき、一瞬で猫用トイレ容器全体の重量が変化し、かつ猫用トイレ容器全体の重量のばらつきが小さい。よって、猫用トイレ容器全体の重量がばらつくことなく、一瞬で猫用トイレ容器全体の重量が減少したとき、猫用トイレから排泄物処理材を除去したと特定することができる。一方、猫用トイレ容器全体の重量がばらつくことなく、一瞬で猫用トイレ容器全体の重量が増加したとき、猫用トイレに排泄物処理材を追加したと特定することができる。
【0041】
前述の基準に基づき、猫用トイレ容器全体の重量の変化を示すグラフにおいて、重量変化の原因を特定する。
そして、猫用トイレ容器全体の重量変化の情報から、猫用トイレ容器に猫が乗ったことにより生じた重量変化の寄与分を取り除く。さらに、猫用トイレ容器に排泄物処理材を追加することで猫用トイレ容器全体の重量が増加しても、排泄物処理材の残量に変化はない。そのため、猫用トイレ容器に排泄物処理材を追加することにより生じた重量変化の寄与分も取り除く。
一方、猫用トイレからの排泄物処理材の除去に伴い、排泄物処理材の残量も減少する。さらに、排泄物処理材を新たに入手することで、排泄物処理材の残量は増加する。よって、除去した排泄物処理材の重量と、新たに入手した排泄物処理材の重量の情報を記録する。
このような工程を経ることで、
図5(B)に示す排泄物処理材の残量の経時変化の情報、ないし
図6(B)に示す、猫用トイレ容器に載置された排泄物処理材の重量と排泄物処理材ストック内の排泄物処理材の重量の合計値の経時変化の情報が得られる。
【0042】
そして、一飼育区画で最低限確保すべき排泄物処理材の重量を「閾値」として設定する。閾値は、前述の方法によりの設定することができる。そして、排泄物処理材の残量が閾値を下回った場合、猫の飼い主にアラームが通知され(
図5(B)及び
図6(B)に示すグラフの地点(3))、飼い主が自ら新たに排泄物処理材のストックを入手するか、排泄物処理材の配送処理を配送業者に指示する(
図5(B)及び
図6(B)に示すグラフの地点(4))。新たに未使用の排泄物処理材を入手した後、排泄物処理材の残量が増加したと記録する。
さらに、排泄物処理材の残量の情報から、飼育日数当たりの排泄物処理材の残量の減少速度を算出し、排泄物処理材の残量が閾値を下回る時期を予測することが好ましい。排泄物処理材の残量が閾値を下回ると予測された時期は、猫の飼い主や排泄物処理材の配送処理を行う配送業者に通知することが好ましい(
図5(B)及び
図6(B)に示すグラフの地点(3)及び(4))。猫の飼い主や配送業者への通知は、排泄物処理材の残量が閾値を下回った時点で行ってもよいし、排泄物処理材の残量が閾値を下回った時点から一定期間経過後に行ってもよい。
【0043】
上記に示す本発明の猫用トイレの管理方法により、一飼育区画で確保されている排泄物処理材の残量を把握することができる。さらに、排泄物処理材の残量に応じて、過不足なく排泄物処理材のストック量を管理することができる。さらに、飼い主の排泄物処理材のストック管理の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0044】
100(100A、100B) :猫用トイレの管理システム
10(10A、10B) :猫用トイレ
11:猫用トイレ容器
12:重量測定手段
13:測定情報送信手段
14:排泄物処理材
20 :管理装置
21:重量情報生成手段
22:記録手段
23:情報処理手段
24:情報処理結果送信手段
24A:比較結果送信手段
24B:配送処理手段
30 :端末
40 :排泄物処理材ストック
41:排泄物処理材保管容器
42:排泄物処理材重量測定手段
43:排泄物処理材重量情報送信手段