IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明システム 図1
  • 特開-照明システム 図2
  • 特開-照明システム 図3
  • 特開-照明システム 図4
  • 特開-照明システム 図5
  • 特開-照明システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093519
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/115 20200101AFI20240702BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209952
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亜矢子
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA21
3K273RA01
3K273SA11
3K273SA18
3K273SA23
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA04
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA54
3K273UA22
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】省エネルギー化された建物の照明システムを提供する。
【解決手段】本発明の照明システム(1)は、複数の区画に分割された空間を有する建物(2)と、各区画を個別に照射する照射手段(3)と、各区画内にいる作業者から発せられる位置情報を受信するように各区画内に設けられた受信手段(4)と、受信手段からの信号に基づいて、照射手段の照度を各区画毎に調整する制御手段(5)とを備える。制御手段は、作業者のいる滞在区画を特定する滞在区画特定手段(51)と、滞在区画から移動した後の移動区画を特定する移動区画特定手段(52)と、移動区画、および移動方向の前方に位置する前方区画を重点照射エリアと特定する重点照射エリア特定手段(55)と、重点照射エリアを第1の照度で照射し、重点照射エリア以外の区画を第1の照度よりも低い第2の照度となるように照射手段を制御する照度調節手段(57)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画に分割された空間を有する建物と、
前記各区画を個別に照射する照射手段と、
前記各区画内にいる作業者から発せられる位置情報を受信するように各区画内に設けられた受信手段と、
前記受信手段からの信号に基づいて、前記照射手段の照度を前記各区画毎に調整する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記受信手段からの信号に基づいて、作業者のいる滞在区画を特定する滞在区画特定手段と、
前記受信手段からの信号に基づいて、前記滞在区画から移動した後の移動区画を特定する移動区画特定手段と、
前記滞在区画から前記移動区画への移動方向に基づいて、前記移動区画、および前記移動区画を起点として前記移動方向の前方に位置する前方区画を重点照射エリアと特定する重点照射エリア特定手段と、
前記重点照射エリアを第1の照度で照射し、前記重点照射エリア以外の区画を前記第1の照度よりも低い第2の照度となるように前記照射手段を制御する照度調節手段とを備える、照明システム。
【請求項2】
前記重点照射エリア特定手段は、前記移動方向を中心として前記移動区画および前記前方区画の左右に隣接する区画を重点照射エリアとして特定する、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記滞在区画での受信時から前記移動区画での受信時までの時間を計測する時間計測手段をさらに備え、
前記重点照射エリア特定手段は、前記時間計測手段によって計測された時間が所定の閾値以下である場合に前記前方区画を特定する、請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記建物内の空間は、建物の壁と隣接する壁際領域と、壁と隣接しない内側領域とを備え、
前記壁際領域および前記内側領域は、それぞれ前記複数の区画を有し、
前記照度調節手段は、前記壁際領域のうち、前記重点照射エリアに隣接する区画を前記第1の照度よりも低い第3の照度となるように前記照射手段を制御し、前記壁際領域のうち、前記重点照射エリアに隣接しない区画の少なくとも一部を前記第3の照度よりも低い第4の照度となるように前記照射手段を制御する、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
前記照度調節手段は、前記壁際領域のうち、壁に設けられた開口に近接する区画を第5の照度となるように前記照度調節手段を制御する、請求項4に記載の照明システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の照明システムに関し、特に、倉庫内の照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第5297259号公報(特許文献1)には、人が滞在するエリアを第1の照明レベルで照らし、滞在エリアと隣接するエリアを第1の照明レベルよりも低い照度の第2の照明レベルで照らす照明方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5297259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような照明方法では、人の行動で照明条件を区別しておらず、照明が不要な領域に対しても過剰に照射していた。そのため、照明システムのさらなる向上が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、省エネルギー化された建物の照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う照明システムは、複数の区画に分割された空間を有する建物と、各区画を個別に照射する照射手段と、各区画内にいる作業者から発せられる位置情報を受信するように各区画内に設けられた受信手段と、受信手段からの信号に基づいて、照射手段の照度を各区画毎に調整する制御手段とを備える。制御手段は、受信手段からの信号に基づいて、作業者のいる滞在区画を特定する滞在区画特定手段と、受信手段からの信号に基づいて、滞在区画から移動した後の移動区画を特定する移動区画特定手段と、滞在区画から移動区画への移動方向に基づいて、移動区画、および移動区画を起点として移動方向の前方に位置する前方区画を重点照射エリアと特定する重点照射エリア特定手段と、重点照射エリアを第1の照度で照射し、重点照射エリア以外の区画を第1の照度よりも低い第2の照度となるように照射手段を制御する照度調節手段とを備える。
【0007】
好ましくは、重点照射エリア特定手段は、移動方向を中心として移動区画および前方区画の左右に隣接する区画を重点照射エリアとして特定する。
【0008】
好ましくは、制御手段は、滞在区画での受信時から移動区画での受信時までの時間を計測する時間計測手段をさらに備える。重点照射エリア特定手段は、時間計測手段によって計測された時間が所定の閾値以下である場合に前方区画を特定する。
【0009】
好ましくは、建物内の空間は、建物の壁と隣接する壁際領域と、壁と隣接しない内側領域とを備える。壁際領域および内側領域は、それぞれ複数の区画を有し、照度調節手段は、壁際領域のうち、重点照射エリアに隣接する区画を第1の照度よりも低い第3の照度となるように照射手段を制御し、壁際領域のうち、重点照射エリアに隣接しない区画の少なくとも一部を第3の照度よりも低い第4の照度となるように照射手段を制御する。
【0010】
好ましくは、照度調節手段は、壁際領域のうち、壁に設けられた開口に近接する区画を第5の照度となるように照度調節手段を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、省エネルギー化された倉庫の照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る照明システムを示すブロック図である。
図2】本実施の他の形態に係る照明システムを示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る照明システムを示すフローチャートである。
図4】本実施の他の形態に係る照明システムを示すフローチャートである。
図5】(a)~(d)は、本実施の形態に係る照明システムの説明図である。
図6】本実施の他の形態に係る照明システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態に係る倉庫の照明システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0014】
〈実施の形態1〉
(構成について)
はじめに、図1、5を参照して、本実施の形態に係る照明システム1の構成について説明する。
【0015】
本実施の形態に係る照明システム1は、複数の区画(E,C)に分割された空間を有する建物2と、各区画を個別に照射する照射手段3と、各区画内にいる作業者から発せられる位置情報を受信するように各区画内に設けられた受信手段4と、受信手段4からの信号に基づいて、照射手段3の照度を各区画毎に調整する制御手段5とを備える。なお、本実施の形態では、建物2は倉庫2であるとして説明する。
【0016】
倉庫2は、図5に示すように、複数の区画(E1,E2・・・E22、C1,C2・・・C20)に分割された空間を有している。区画の大きさは、受信手段4の検知範囲を考慮して決定することができ、たとえば一辺10mの四角形状である。
【0017】
照射手段3は、1つの区画につき1つまたは複数設けることができる。照射手段3は、LED、蛍光灯など種々の光源を採用することができる。照射手段3の照度調節は、複数の照射手段のオンオフ切替で調節してもよいし、照度調節可能なLEDを用いることで調節してもよい。照射手段3は、設けられた区画に対応する受信手段4と対応づけられている。本実施の形態では、1つの区画につき照度調節可能な照射手段3が1つ設けられた場合について説明する。
【0018】
受信手段4は、各区画に対して1つ設けられ、区画内の作業者が所有する発信手段からの位置情報を取得する。各区画に設けられる受信手段4の各々は、識別可能にラベリングされていることが好ましい。これにより、制御手段5は、各受信手段4を識別することで作業者のいる区画を認識する。
【0019】
発信手段(図示せず)は、たとえばビーコン、屋内測位システムなどの短距離無線通信手段である。本実施の形態のシステム1は、各区画にたとえば赤外線センサなどを設けるのではなく、作業者自身がビーコンなどを身に着けて位置情報を発信する。これにより、区画内に荷物が積み上げられた場合であっても、作業者の位置情報を正しく検知することができる。
【0020】
制御手段5は、滞在区画特定手段51と、移動区画特定手段52と、重点照射エリア特定手段55と、照度調節手段57とを備える。なお、制御手段5は、プロセッサおよびメモリを含む情報処理装置であり、本システム1は、典型的にはプロセッサがソフトウェアを実行することにより実現される。
【0021】
滞在区画特定手段51は、作業者の所有する発信手段からの信号を受信した受信手段4からの信号に基づいて、作業者のいる滞在区画を特定する。滞在区画は、作業者がたとえば荷物の積み下ろし作業などを行う区画である。図5(b)において、「滞在区画」は区画E8,C14である。
【0022】
移動区画特定手段52は、受信手段4からの信号に基づいて、滞在区画から移動した後の移動区画を特定する。したがって、図5(c)に示すように、滞在区画と隣接する区画が移動検知エリアとして機能し、検知エリアの受信手段からの信号に基づいて移動区画を特定する。移動区画は、目的の区画まで作業者が移動する際に通過する区画であり、一時的な「滞在区画」と見做すこともできる。移動区画は、同一区画内における作業者の移動の有無や、滞在時間によって特定してもよいし、連続する区画間における移動の有無を検知することで特定してもよい。
【0023】
本実施の形態の重点照射エリア特定手段55は、滞在区画から移動区画への移動方向に基づいて、「移動区画」および移動区画を起点として移動方向の前方に位置する「前方区画」を重点照射エリアと特定する。同様に、重点照射エリア特定手段55は、「滞在区画」も重点照射エリアと特定する。すなわち、重点照射エリアは「滞在区画」および「移動区画」に相当するエリアである。図5(d)において、「滞在区画」はE8であり、「移動区画」はC9、C4である。
【0024】
他の実施の形態として、重点照射エリア特定手段55は、移動方向を中心として「移動区画および前方区画の左右に隣接する区画(「左右隣接区画」ともいう)」を重点照射エリアとしてさらに特定することもできる。図5(d)において、「左右隣接区画」は太枠で図示した区画であり、C3,C8,C5,C10である。これにより、作業者の進行方向前方を広く照らすことができ、作業時の安全性を向上することができる。
【0025】
本実施の形態の「左右隣接区画」は、移動区画および前方区画の左右に隣接する区画であるとした。しかしながら、他の実施形態として、前方区画の前方に隣接する区画を隣接区画としてもよい(図5(d)のE5)。また、移動区画の後方に隣接する区画を隣接区画としてもよい(図5(d)のC13~15)。すなわち重点照射エリア特定手段55は、移動方向を中心として左右に隣接する区画だけでなく、移動方向のさらに前方に隣接する区画、移動方向の後方に隣接する区画を重点照射エリアとしてさらに特定することもできる。
【0026】
照度調節手段57は、重点照射エリアを第1の照度で照射し、重点照射エリア以外の区画(「非重点照射エリア」ともいう)を第1の照度よりも低い第2の照度となるように、照射手段3を制御する。すなわち、重点照射エリア(作業者のいるエリア)の照度は大きく、非重点照射エリア(作業者のいないエリア)の照度は低くなるよう制御される。一般に、倉庫2は、広い屋内面積に比して人が少ない。したがって、倉庫2内にいる作業者の位置情報に基づいて重点照射エリアに十分な光を照射することで、省エネ効果を見込むことができる。特に、非重点照射エリアにおける照射手段3の過照射を抑制することができる。
【0027】
別の実施形態として、制御手段5は、滞在区画での受信時から移動区画での受信時までの時間を計測する時間計測手段53をさらに備えることとしてもよい。この場合、重点照射エリア特定手段55は、時間計測手段53によって計測された時間が所定の閾値未満である場合に「前方区画」を重点照射エリアとして特定する。なお、「滞在区画での受信時から移動区画での受信時までの時間」は、滞在区画を歩行する作業者が一区画を通過するのに要する時間であり、たとえば15秒程度である。
【0028】
なお、本実施の形態の照明システム1は、図示しない主電源をさらに備える。主電源は、複数の区画毎にまとめて設けてもよいし、倉庫2内の全区画を一括制御することとしてもよく、典型的には制御手段5と接続している。
【0029】
本実施の形態に係る倉庫の照明システム1は、受信手段4によって倉庫2内における作業者の位置情報を把握し、必要なエリアにのみ照射手段3の光を照射することができる。これにより、従来の倉庫のように、倉庫内の全ての照射手段が一様に光を全照射することで生じていたエネルギーロスの課題を解決することができる。また、照明システム1は、作業者のいる区画だけでなく、隣接する区画にまで照射する。これにより、倉庫内空間が暗くなってしまい不安感に繋がってしまうことを防止できる。
【0030】
(動作について)
図3、5を参照して、本実施の形態の照明システム1の動作について説明する。図3は、本実施の形態に係る照明システム1の動作を示すフローチャートである。図5は、本実施の形態に係る照明システム1の説明図である。
【0031】
本処理の開始時、倉庫内の照明システムの主電源をオンにする。照明システムをオンにすると、照射手段は、はじめに最も明るい光(第1の照度)を全区画へ照射する。本実施の形態では、第1の照度の明るさを基準(100%)とする。この状態で、受信手段は作業者の位置情報を受信し、制御手段に位置情報を送信する(ステップS10)。
【0032】
制御手段の移動区画特定手段は、受信した作業者の位置情報に基づいて、作業者の移動を検知する(ステップS11)。作業者の移動が検知されない場合(ステップS11にてNO)、システムは作業者の移動を検知するまでステップS10を繰り返す。一方、作業者の移動が検知された場合(ステップS11にてYES)、移動区画特定手段は移動区画を特定する。また、重点照射エリア特定手段は、特定された移動区画に基づいて、「移動区画」およびその「前方区画」を重点照射エリアと特定する(ステップS12)。なお、滞在区画特定手段も同様のステップで、受信した作業者の位置情報に基づいて「滞在区画」を重点照射エリアと特定する。
【0033】
次に、倉庫内の各区画について、重点照射エリアである場合(ステップS13にてYES)、第1の照度で照射し、非重点照射エリアである場合(ステップS13にてNO)、第1の照度よりも低い第2の照度で照射する。本実施の形態の照度は、たとえば第1の照度が100%であり、第2の照度が第1の照度のよりも暗い照度であればよく、たとえば20%である。
【0034】
なお、非重点照射エリア(第2の照度)が20%とは、エリア全体の照度を指す。したがって、非重点エリアの全区画が20%の照度であってもよいし、80%の照度の区画と消灯された区画とを交互に配置することで全体として20%の照度としてもよい。
【0035】
〈他の実施形態について〉
(構成について)
図2、6を参照して、他の実施の形態に係る倉庫の照明システム1Aについて説明する。他の実施の形態の照明システム1Aは、基本的には照明システム1と同様の構成を備えているが、主に制御手段5Aの各構成について異なる。
【0036】
本実施の形態の倉庫2内の空間は、倉庫2Aの壁と隣接する壁際領域(E1,E2・・・E22)と、壁と隣接しない内側領域(C1,C2・・・C20)とを備える。壁際領域Eおよび内側領域Cは、それぞれ複数の区画を有している。本実施の形態のシステム1Aは、壁際領域Eと内側領域Cとで異なる照射条件であり、特に壁際領域Eにおける照射条件に特徴を有している。
【0037】
本実施の形態の制御手段5Aは、実施の形態1に記載のシステムによって特定された重点照射エリア情報に基づいて、重点照射エリアと隣接する区画のうち壁際領域Eに位置する区画を特定する重点照射隣接区画特定手段56Aと、重点照射エリア特定手段55Aおよび重点照射隣接区画特定手段56Aの情報に基づいて各区画の照度を調節する照度調節手段57Aとを備える。
【0038】
重点照射隣接区画特定手段56Aは、重点照射エリアと隣接する区画(本実施の形態において「隣接区画」ともいう)のうち、壁際領域Eに位置する区画を特定する。ここでいう「隣接区画」は、重点照射エリアと接する区画を指す。図6を参照して、重点照射エリアE8と隣接し、かつ壁際領域Eに位置する区画はE1,E2,E10である。重点照射エリアC3~C5,C8~C10,C13~C15と隣接し、かつ壁際領域Eに位置する区画はE3~E15である。これにより、倉庫2内の各区画は、第1の照度が照射される「重点照射エリア」、第3の照度が照射される「壁際領域Eの隣接区画」、第4の照度が照射される「壁際領域Eの非隣接区画」および「内側領域Cの非重点照射エリア」に区画分けされる。
【0039】
ここで、倉庫2は、元々200~300lx程度の低照度空間であることや、開口が少ないなどの理由で、内部が暗くなってしまうことがある。本実施の形態のシステム1Aは、当該課題を解決するため、壁際領域Eのうち、隣接区画以外の区画(非隣接区画)についても照射手段3Aの少なくとも一部を点灯させることとした。図6を参照して、壁際領域Eのうち、非隣接区画はE12、E14、E16~E22である。壁際領域Eの照射手段3Aを点灯させることで、倉庫2の壁からの反射光を利用することができ、省エネでありながら倉庫2内全体の照度を明るく保つことができる。
【0040】
照度調節手段57Aは、重点照射エリア特定手段55Aおよび重点照射隣接区画特定手段56Aからの区画情報(重点照射エリア、壁際領域Eの隣接区画、壁際領域Eの非隣接区画、内側領域Cの非重点照射エリア)に基づいて、倉庫内の各区画に設けられた照射手段3Aを制御する。
【0041】
照度調節手段57Aは、壁際領域Eのうち、隣接区画を第1の照度よりも低い第3の照度となるように照射手段3Aを制御し、壁際領域Eのうち、非隣接区画の少なくとも一部を第3の照度よりも低い第4の照度となるように照射手段3Aを制御する。本実施の形態では、壁際領域Eの非隣接区画は第3の照度と第4の照度とが一区画毎に照射されるように設定した。すなわち非隣接区画の照度は、全体として隣接区画全体の照度よりも低くなるように設定されればよい。
【0042】
他の実施の形態では、照度調節手段57Aは、壁際領域のうち、壁に設けられた開口に近接する区画を第5の照度となるように照度調節手段を制御することができる。ここでいう「近接する区画」とは、開口と接する区画(開口区画)および開口区画と接する区画である。第5の照度は、他の照度と同じであってもよいし、開口からの光量を考慮して消灯されてもよい。これにより、すでに外からの自然光のために明るい場合は開口付近における過照射を防ぐことができ、省エネでありながら倉庫内の照度を保つことのできるシステム1Aを提供することができる。また、たとえば自然光を利用することのできない夜間などにおいては最大100%としてもよい。すなわち開口に近接する区画は、他の区画と区別して照明制御をおこなうことができる。
【0043】
(動作について)
図4を参照して、他の実施の形態に係る照明システム1Aの動作について説明する。
【0044】
本処理の開始時、倉庫内の照明システム1Aの主電源をオンにする。照明システムをオンにすると、照射手段は、はじめに最も明るい光(第1の照度)を全区画へ照射する。本実施の形態では、第1の照度の明るさを基準(100%)とする。この状態で、受信手段は作業者の位置情報を受信し、制御手段に位置情報を送信する(ステップS20)。
【0045】
制御手段の移動区画特定手段は、受信した作業者の位置情報に基づいて、作業者の移動を検知する(ステップS21)。作業者の移動が検知されない場合(ステップS21にてNO)、システムは作業者の移動を検知するまでステップS20を繰り返す。一方、作業者の移動が検知された場合(ステップS21にてYES)、移動区画特定手段は移動区画を特定する。なお、滞在区画特定手段も同様のステップで滞在区画を特定する。
【0046】
重点照射エリア特定手段は、特定された移動区画に基づいて、「移動区画」および「移動区画と隣接する区画」を重点照射エリアと特定する(ステップS22)。重点照射エリア情報に基づいて、重点照射隣接区画特定手段は、壁際領域Eのうち、重点照射エリアと隣接する区画を特定する(ステップS23)。
【0047】
倉庫内の各区画について、重点照射エリアである場合(ステップS24にてYES)、第1の照度で照射する(ステップS27)。非重点照射エリアである場合(ステップS24にてNO)、壁際領域Eの隣接区画であるか否かを判断する(ステップS25)。壁際領域Eの隣接区画である場合(ステップS25でYES)、第3の照度で照射する(ステップS28)。壁際領域Eの隣接区画でない場合(ステップS26でNO)、倉庫の開口に近接する区画であるか否かを判断する(ステップS26)。倉庫の開口に近接する区画である場合(ステップS26にてYES)、第5の照度で照射する(ステップS30)。倉庫の開口に近接しない区画である場合(ステップS26にてNO)、第3の照度よりも低い照度である第4の照度で照射する(ステップS29)。本実施の形態の照射手段3Aの照度は、たとえば第1の照度が100%であり、第3の照度が第1の照度よりも暗い照度であればよく、たとえば50%であり、第4の照度が第3の照度よりも暗い照度であればよく、たとえば40%であり、第5の照度はたとえば開口からの自然光を利用できる場合、たとえば0%(消灯)である。
【0048】
なお、壁際領域Eの非隣接区画(第4の照度)が40%とは、エリア全体の照度を指す。したがって、非隣接区画の全区画の照度が40%であってもよいし、照度が60%の区画と20%の区画とを交互に配置することで、全体として40%の照度となるように照射してもよい。
【0049】
また、本実施の形態の照射手段3は、1つの区画につき1つまたは複数設けることができるとしたが、複数の区画につき1つ設けることとしてもよい。この場合、1つの照射手段3は、複数の区画に向けて光を照射することができる。
【0050】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 照明システム、2 倉庫、3 照射手段、4 受信手段、5制御手段、51 滞在区画特定手段、52 移動区画特定手段、53時間計測手段、55 重点照射エリア特定手段、57 照度調節手段。

図1
図2
図3
図4
図5
図6