(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093527
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】フレキシブルシートおよびタンクバッグ
(51)【国際特許分類】
B62J 9/25 20200101AFI20240702BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20240702BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20240702BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240702BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
B62J9/25
G09F3/02 M
G09F3/10 A
B32B15/08 D
B32B7/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209962
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】595126439
【氏名又は名称】タナックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181087
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 知久
(72)【発明者】
【氏名】飛田和 孝善
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AB01B
4F100AB02
4F100AK01
4F100AK01C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100DB01A
4F100DB01B
4F100DB01C
4F100GB15
4F100GB32
4F100JG06
4F100JG06A
4F100JG06B
4F100JK17
4F100JK17C
(57)【要約】
【課題】平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の平面又は凹凸面の上に柔軟に貼り付け可能なフレキシブルシート及びそれに対応するタンクバッグを提供する。
【解決手段】実施形態のフレキシブルシート1Aは、鉄板4Aの厚さよりも厚い層で鉄板全体を柔軟性のある素材で包含した鉄板包含部2Aと、鉄板包含部2Aの表面21a側で鉄板包含部2Aの厚さよりも薄く、かつ、凹構造の溝部11a、13a、15a及び17aを境界にして接続され、裏面10a側で水平面を同一にして複数のフラップ部3Aと接続されて、裏面10a側には接着層が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に貼り付け可能なフレキシブルシートであって、
1又は複数枚の強磁性体板と、
前記1又は複数枚の強磁性体板の厚さよりも厚い層で板全体を柔軟性のある合成樹脂製の素材で包含した板包含部と、
前記板包含部の厚さ方向の一方の表面側で前記板包含部の厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部を境界にして前記板包含部の前記一方の表面側で接続され、前記板包含部の厚さ方向の他方の表面側で水平面を同一にして接続されている前記合成樹脂製の素材で形成された1又は複数のフラップ部と、を備え、
前記板包含部と前記フラップ部との前記厚さ方向の前記他方の表面側には接着層が設けられている
ことを特徴とするフレキシブルシート。
【請求項2】
前記板包含部の周辺の輪郭に沿って、前記溝部の溝方向が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルシート。
【請求項3】
前記複数のフラップ部の場合、かつ、隣接する互いの前記フラップ部が前記溝部の前記溝方向が異なる場合に、前記隣接する互いの前記フラップ部が分離されたこと
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルシート。
【請求項4】
前記フラップ部内において、さらに、前記一方の表面側で前記板包含部の厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な前記凹構造で形成された1又は複数のフラップ溝部が形成された
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルシート。
【請求項5】
前記凹構造は略台形状であり、当該略台形形状の開口側の開角度は90度より大きく180度より小さい
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のフレキシブルシート。
【請求項6】
平面形状又は凹凸面の形状を有する物体は、鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分であり、当該オイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分の凹凸面の上に貼り付け可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルシート。
【請求項7】
前記鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着される鞍乗型車両用のタンクバッグであって、
複数の取付ベルトと、
請求項6に記載の複数のフレキシブルシートとを備え、
前記複数の取付ベルトの各々に磁石が装着されており、
前記鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に前記複数のフレキシブルシートが貼り付けられた場合に、前記複数のフレキシブルシートの各々に前記複数の取付ベルトに装着された磁石の各々が前記板包含部に包含された前記1又は複数の強磁性体板に付くことが可能である
ことを特徴とするタンクバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に貼り付け可能なフレキシブルシートおよびタンクバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オートバイ(自動二輪車)、自動三輪車等の鞍乗型車両のオイルタンクなどには、鉄製のタンクが多く用いられていたが、近年においては、オイルタンクを覆う合成樹脂製カバー、アルミ製タンク等の鉄製のタンク以外のものを採用する鞍乗型車両も多くなっている。
【0003】
鉄製のオイルタンク用に製造販売されていた、地図、ナビ、携帯端末、財布等の小物を収容するためのタンクバッグは、取付ベルト部に磁石を搭載しており、その磁石により鉄製のタンクに強固に磁力で貼り付けることができる構造である。これにより、着脱自在でありながら、強固にタンクに固定することができた。
【0004】
なお、磁石片吸着用粘着部材において、磁石片と併用することによってポスター等を貼ることができるようにするための磁石片吸着用粘着部材であって、鉄板片の表面側に、保護層を積層、一体化して設けるようにし、裏面側に、緩衝層、粘着剤層、剥離シートをこの順に積層、一体化して設けるようにすることが知られている(特許文献1を参照のこと)。
【0005】
また、ボードにおいて、アクリル発泡体やウレタン発泡体などの屈曲可能な基材の表面側に、屈曲可能な記入層を設け、基材及び記入層間に、記入層の表面側のマグネットを吸着可能な磁性体を介在させ、硬い磁性体を複数に分けて、互いに間隔を空けて点在させ、マグネットを吸着可能なホワイトボードをロール状に小さく丸めることができることが知られている(特許文献2を参照のこと)。
【0006】
さらに、「前々から買おうとおもって何度か南海部品仙台店に行ってみたんですが 毎度売り切れのタンクバッグサポートをヤットのことで手に入れたんで 使い勝手など書いてみますわ MBS-1011 マグバッグサポート 黒 (他にも色があるようです) 樹脂製タンク部分にタンクバッグマグネットを着くようにする金属が入ってるシール」というブログ記事に開示されている(非特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6755668号公報
【特許文献2】特開2008-1079号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ブログ記事「ハイネコZ1000のブログ」、ブログタイトル「南海部品 タンクバッグサポート」、2015年11月18日、z1000-2012.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-19bd.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、合成樹脂製カバーのタンクには、鉄製のタンク用に製造販売されていた、タンクバッグの取付ベルト部に磁石を搭載しているタンクバッグは、そのままでは合成樹脂製カバーのタンクには取り付けることができない。
【0010】
そのような場合には、例えば特許文献1に示すような例の鉄板を含む磁石片吸着用粘着部材を用いて、合成樹脂製カバーのタンクに貼り付けて使用した場合には、自動二輪車等のオイルタンクなどの平面形状ではない曲面形状を有する3次元物体の表面に貼り付けて使用するには、部材の屈曲性の問題や、耐久性の問題がある。
【0011】
また、特許文献2に示すような例のボードでは、基材には屈曲性はあるものの、磁性体には薄い板厚のものを使用するため、磁力が強力でなく、タンクバッグのような重量物を固定するには適さない。
【0012】
図20に、従来のフレキシブルシート100の一例を示す。非特許文献1に記載されているように、例えば出願人が入手した製品名「マグバッグサポート」(株式会社南海部品 型番MBS-1011)を分解してみると、
図20(a)平面図、(b)正面図、(c)Ery-Ertの分解拡大図のような構造である。具体的には、
図20に示すフレキシブルシート100は、合成樹脂のゴム製シート101内に、例えば磁化可能な球状の鉄製ボール410が複数包含されている磁化領域400が設けられている。粘着層102は、オートバイ等の自動二輪車の樹脂製カバーのタンクへ貼り付けることができる。
【0013】
しかしながら、
図20に示す例のようなフレキシブルシート100は、シートの厚さが薄いものであり、柔軟性はあるものの、小さな球状の鉄製ボール410が複数包含されている磁化領域400では、重量物を搭載したタンクバッグを強固に固定するほどの磁力は得られないことが非特許文献1から伺うことができる。
【0014】
以上説明したように、非磁化性の樹脂などの素材に、磁石を貼り付けることができない物体の平面又は凹凸面の上に貼り付け可能なフレキシブルシートが販売されているものの、いくつかの課題があった。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができるフレキシブルシート、および、当該フレキブルシートを利用できる鞍乗型車両用のタンクバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係るフレキシブルシートは、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に貼り付け可能なフレキシブルシートである。当該フレキシブルシートは、1又は複数枚の強磁性体板と、前記1又は複数枚の強磁性体板の厚さよりも厚い層で板全体を柔軟性のある合成樹脂製の素材で包含した板包含部と、前記板包含部の厚さ方向の一方の表面側で前記板包含部の厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部を境界にして前記板包含部の前記一方の表面側で接続され、前記板包含部の厚さ方向の他方の表面側で水平面を同一にして接続されている前記合成樹脂製の素材で形成された1又は複数のフラップ部と、を備え、前記板包含部と前記フラップ部との前記厚さ方向の前記他方の表面側には接着層が設けられている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るタンクバッグは、前記鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着される鞍乗型車両用のタンクバッグである。当該タンクバッグは、複数の取付ベルトと、複数の前記フレキシブルシートとを備え、前記複数の取付ベルトの各々に磁石が装着されており、前記鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に前記複数のフレキシブルシートが貼り付けられた場合に、前記複数のフレキシブルシートの各々に前記複数の取付ベルトに装着された磁石の各々が前記板包含部に包含された前記1又は複数の強磁性体板に付くことが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るフレキシブルシートによれば、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができる。また、本発明に係るタンクバッグによれば、鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着する場合に、当該フレキブルシートを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るフレキシブルシートの第1の実施形態の構造の一例を示す図である。
【
図2】
図1に続く、第1の実施形態のフレキシブルシートの構造の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態のフレキシブルシートの貼り付けの一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態のフレキシブルシートの凹凸面状における貼り付け状態を説明する図である。
【
図5】第1の実施形態のフレキシブルシートを用いて自動二輪車のタンクへタンクバッグを装着する場合の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態のフレキシブルシートの厚さ方向の形状例を説明する図である。
【
図7】第1の実施形態のフレキシブルシート及び裁断したフレキシブルシートを示す図である。
【
図8】第1の実施形態のフレキシブルシート及び裁断したフレキシブルシートを自動二輪車のオイルタンクへ貼り付けた状態を示す図である。
【
図9】第1の実施形態のフレキシブルシートの試作品の一例を示す画像である。
【
図10】第1の実施形態のフレキシブルシートの試作品の屈曲性を試している状態の説明画像である。
【
図11】第1の実施形態のフレキシブルシートの試作品を自動二輪車のオイルタンクへ貼り付けた状態を示す画像である。
【
図12】第1の実施形態のフレキシブルシートの試作品を自動二輪車のオイルタンクへ貼り付けた状態を示す続きの画像である。
【
図13】他の実施形態のフレキシブルシートの溝形状の一例を示す図である。
【
図14】他の実施形態のフレキシブルシートの溝構造を示す例の図である。
【
図15】他の実施形態のフレキシブルシートの屈曲性の度合いの概要を説明する図である。
【
図16】第3の実施形態のフレキシブルシートの構造の一例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態のフレキシブルシートと第1の実施形態のフレキシブルシートとの比較例を示す図である。
【
図18】第4の実施形態のフレキシブルシートの構造の一例を示す図である。
【
図19】第4の実施形態のフレキシブルシートと第1の実施形態のフレキシブルシートとの比較例を示す図である。
【
図20】従来のフレキシブルシートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態のフレキシブルシートおよびタンクバッグについて、図面を参照して具体的に説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。ここで説明する以降の実施形態はいずれも、主に自動二輪車、自動三輪車などの鞍乗型車両に用いられるフレキシブルシートおよびタンクバッグの一例をとりあげて説明する。なお、本発明において、鞍乗型車両に限定したものでなく、平面形状の物体又は曲面形状の物体などにも適用可能である。
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係るフレキシブルシート1Aの第1の実施形態の構成について、
図1乃至
図12を用いて説明する。なお、
図1は、本発明に係るフレキシブルシート1Aの第1の実施形態の構造の一例を示す図であり、その
図1(a)はフレキシブルシート1Aの平面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示すI-Iの矢視線方向の縦断面図である。また、
図2は、
図1に続く、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの構造の一例を示す図であり、その
図2(a)に平面図、
図2(b)に正面図、
図2(c)に底面図、および
図2(d)に右側面図を示す。また、その他の図については、適宜、後述する。
【0021】
第1の実施形態のフレキシブルシート1Aは、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に貼り付け可能である。フレキシブルシート1Aは、鉄板4Aと、鉄板包含部2Aと、複数のフラップ部3Aとにより構成されている。
【0022】
鉄板包含部2Aは、
図6に示す鉄板4Aの厚さt
irよりも厚い層(厚さt
th)で鉄板全体を柔軟性のある合成樹脂製の素材(例えばエラストマー)により、包含している。鉄板4Aは、鉄だけでなく、強磁性体の材料であればよく、例えばコバルト、ニッケルであってもよい。
【0023】
複数のフラップ部3A(各フラップ部31a、32a、33a及び34a)は、鉄板包含部2Aの貼り付けを補強するためのエラストマーなどの柔軟性を有する合成樹脂製の素材で形成された貼り付け部材である。
【0024】
鉄板包含部2Aの周辺の輪郭に沿って、溝部11a、13a、15a及び17aの溝方向を形成する。そして、鉄板包含部2Aと各々のフラップ部31a、32a、33a及び34aとは、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11a、13a、15a及び17aを境界にして、鉄板包含部2Aの一方の表面21a(以降では、単に表面21aとも称す)側で接続されている。さらに、
図6に示すように、溝部11a、13a、15a及び17aの他方の表面10a(以降では、単に裏面10aとも称す)側の厚さt
thdwは、鉄板包含部2Aの厚さ方向の一方の表面21a側で凹構造となるように、鉄板包含部2Aの厚さt
thよりも薄い厚さで形成されている。
【0025】
また、鉄板包含部2Aと各々のフラップ部31a、32a、33a及び34aとは、鉄板包含部2Aの厚さ方向の他方の表面10a側で水平面を同一にして接続されている。鉄板包含部2Aの厚さ方向の他方の表面10a側には、接着層(図示略している)が設けられている。
【0026】
複数のフラップ部3Aの場合、かつ、隣接する互いのフラップ部31a及び33a、フラップ部32a及び34aが溝部の溝方向が異なる場合に、隣接する互いのフラップ部31a及び33aが分離路19aで分離され、隣接する互いのフラップ部32a及び34aが分離路110aで分離されている。
【0027】
フラップ部31a、32a、33a及び34a内において、
図1、
図2及び
図6に示すように、さらに、一方の表面21a側で鉄板包含部2Aの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された1又は複数のフラップ溝部12a、14a、16a及び18aが形成されている。
【0028】
フラップ表面311a及び312aから裏面10aまでのシートの厚さは、鉄板包含部2Aの厚さと同じ厚さでもよいし、それよりも薄い厚さであってもよい。また、フラップ表面321a及び322aから裏面10aまで、フラップ表面331a及び332aから裏面10aまで、フラップ表面341a及び342aから裏面10aまでの厚さについても同様である。
【0029】
図1及び
図2に示すように、複数のフラップ部3Aにおいて、隣接する互いのフラップ部31aとフラップ部33aでは溝部11aと溝部15aの溝方向が異なり、また、隣接する互いのフラップ部32aとフラップ部34aでは溝部13aと溝部17aの溝方向が異なる。例えば、隣接する互いのフラップ部31aとフラップ部33aでは、分離路19aにより隣接する互いの隣接する互いのフラップ部31aとフラップ部33aが分離されている。また、隣接する互いのフラップ部32aとフラップ部34aでは、分離路110aにより隣接する互いの隣接する互いのフラップ部32aとフラップ部34aが分離されている。
【0030】
ここで、
図3は、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの貼り付けの一例を示す図である。また、
図4は、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの凹凸面状における貼り付け状態を説明する図である。
図5は、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aを用いて自動二輪車のオイルタンク9へタンクバッグ5Aを装着する場合の一例を示す図である。
図6は、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの厚さ方向の形状例を説明する図である。
【0031】
一例として、
図3及び
図5に示すフレキシブルシート1Aの試作品について、フレキシブルシート1Aは、例えば
図5に示す自動二輪車の合成樹脂製カバーのオイルタンク9に、取付ベルト51及び52に磁石を封入しているタンクバッグ5Aを取り付けられるようにするものである。フレキシブルシート1Aの試作品は、弾力性を有するエラストマーからなる。特に、3次元形状の物体の凹凸面形状に貼り付けやすくするために、以下のような特徴を有するものである。
【0032】
図3及び
図4に示すフレキシブルシート1Aは、凹凸面の形状物として、例えば自動二輪車の合成樹脂製カバーのオイルタンク9に貼り付けられた状態を示すものである。また、
図4の複数の破線は、オイルタンク9のサイド面において、上下方向の隆線形状FLudと、前後方向の隆線形状FLfrとによる凹凸面の形状物の概要を示すものである。
【0033】
フレキシブルシート1Aにおいて、鉄板包含部2Aの周辺の輪郭に沿って、溝部11a、13a、15a及び17aの溝方向が形成されていることにより、各々の溝方向を屈曲軸として、各々のフラップ部31a、32a、33a及び34aが屈曲可能となる。
【0034】
例えば、
図4に示すような凹凸面の形状物に貼り付けられたフレキシブルシート1Aの状態において、鉄板包含部2Aの部分が硬い鉄板4Aを包含しているため、フレキシブルシート1Aの裏面10a側では、鉄板包含部2Aの裏面10a側はほぼ平面状の貼り付け部分になってしまう。そのため、
図4の円破線で示す注意ポイントPtaは、鉄板包含部2Aの周辺において、凹凸面の形状物に貼り付けられた状態で、凹凸面の形状物と隙間ができやすい部分である。
【0035】
そこで、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aでは、鉄板包含部2Aの周辺に、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11a、13a、15a及び17aと、その溝部11a、13a、15a及び17aを境界にして、複数のフラップ部3Aにおいてフラップ部31a、32a、33a及び34aが形成されている。
【0036】
例えば、
図4に示す鉄板包含部2Aでは、鉄板4Aが略四角形状であるため、鉄板4Aの略四角形状の外周側に沿って、その4辺の対向側にフラップ部31a、32a、33a及び34aが接続されていることにより、隙間ができることを少なくしている。
【0037】
鉄板包含部2Aの厚さ方向の一方の表面21a側で鉄板包含部2Aの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11a、13a、15a及び17aを境界にして、鉄板包含部2Aの一方の表面21a側において、鉄板包含部2Aの厚さ方向の他方の表面(裏面10a)側で水平面を同一にして合成樹脂製の素材(例えばエラストーマ)で形成された複数のフラップ部31a、32a、33a及び34aが接続されている。
【0038】
鉄板4Aを含む鉄板包含部2Aにおける鉄板4Aの周辺形状に沿った周辺部には、鉄板4Aの周辺に沿った溝部11a、13a、15a及び17aが表面側に形成される。この溝部11a、13a、15a及び17aとフラップ部3Aとは溝に沿った境界をつくる。
【0039】
鉄板4Aの周辺形状に沿った周辺部は、好ましくは4方向に沿った溝を有する。例えば、
図4に示す1点鎖線の線方向が示す4線方向に沿った溝である。また、異なる方向の境界線では、切れ目又はフラップ部31a、32a、33a及び34aとの接続をしない部分等を設けることにより、例えば異なる凹凸面に沿って、接着面がより密接するように、多角の屈曲構造とすることができる。
【0040】
鉄板包含部2Aは鉄板4Aを含むゴムシートであるため、鉄板包含部2Aが屈曲しがたいため、鉄板包含部2Aと、フラップ部31a、32a、33a及び34aとの境に溝部11a、13a、15a及び17aを形成することにより、表面側と反対側にシートを屈曲しやすくする。
【0041】
図5(a)に示す鞍乗型車両用のタンクバッグ5Aは、通常、鞍乗型車両の鉄製オイルルタンクに装着される場合には、タンクバッグ5Aの複数の取付ベルト51及び52の各々に磁石が搭載されているため、そのまま鉄製オイルタンクに装着可能である。しかしながら、
図5(a)に示す鞍乗型車両が、合成樹脂製カバーのオイルタンク9である場合に、タンクバッグ5Aは、そのままでは合成樹脂製カバーのオイルタンク9には、装着することができない。
【0042】
そこで、
図5(a)に示すように、合成樹脂製カバーのオイルタンク9に、オイルタンク9の後方側タンク面91側よりの両側面93側における後方側面92の左右2か所と、両側面93側における前方側面94の左右2か所とに、フレキシブルシート1Aを貼り付ける。そして、
図5(b)に示すように、オイルタンク9の上部面95にタンクバッグ5Aを搭載するように、収納ケース50を載せて、複数の取付ベルト51及び52に搭載されている磁石により、複数のフレキシブルシート1Aの各々に鉄板包含部2Aに包含された鉄板4Aに貼り付けることができる。
【0043】
ここで、
図6に示す第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの厚さ方向の形状例の内容を説明する。
図6(a)は
図1(b)に示す
図1(a)に示すI-Iの矢視線方向の縦断面図の拡大図であり、
図6(b)は
図6(a)の紙面上の左端側の拡大図であり、
図6(c)は
図6(a)の鉄板4Aの包含層を拡大した拡大図である。
【0044】
図6(a)及び(b)では、フレキシブルシート1Aの厚さ方向におけるシートの厚さth、溝部13a及び15a、フラップ溝部16aの深さt
thup、同じく、それらの溝部の厚さt
thdw、溝開口幅t
w、第1溝傾斜幅t
r、溝底面幅t
c、第2溝傾斜幅t
lを示している。また、
図6(c)では、フレキシブルシート1Aの厚さ方向における鉄板4Aの厚さt
ir、鉄板包含部2Aの上層の厚さt
up、鉄板包含部2Aの下層の厚さt
dwを示している。
【0045】
図6(a)乃至(c)に示すように、溝部11a、13a、15a及び17aの底面の厚さt
thdw、フラップ溝部12a、14a、16a及び18aの底面の厚さt
thdwとは鉄板包含部2Aの厚さ方向の一方の表面21a側で鉄板包含部2Aの厚さt
thよりも薄い厚さの凹構造の溝で形成されていることがわかる。
【0046】
図6(a)に示すシート周辺端部Egは、例えばフラップ部31aの厚みが端部側で薄くなり、もしくは、端部側に下降傾斜している等の構造である。例えば、フレキシブルシート1Aがオイルタンク9などに貼り付けられた場合に、端部側でのシートの反発力を押さえるだけでなく、以下のようなメリットがある。
【0047】
例えば、オイルタンク9でのタンクバッグ等の取り付けや、運転者の乗降の際に衣服などに当たる場合に、端部をより剥がれ難くするため、端部側でのこれらの物との衝突の頻度をより低く抑えるために、フラップ部31aのフラップ溝部12a以外の板厚部分よりも厚みを薄くする。
【0048】
図7は、(a)第1の実施形態のフレキシブルシート1Aを、鎖線II及びIIIで裁断した一例の(b)裁断フレキシブルシート1Abを示す図である。
図8は、
図7(a)に示すフレキシブルシート1Aと、
図7(b)裁断フレキシブルシート1Abとを自動二輪車のオイルタンク9へ貼り付けた状態を示す図である。
【0049】
図7(a)において、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aを、フラップ溝部12a及びフラップ溝部16aに沿った鎖線IIで裁断し、かつ、フラップ溝部14a及びフラップ溝部18aに沿った鎖線IIIで裁断したものが、
図7(b)に示す裁断フレキシブルシート1Abである。裁断フレキシブルシート1Abでは、
図7(b)に示すように、元のフラップ部31a、32a、33a及び34aに対してフラップ溝部12a、14a、16a及び18aから端部まで裁断されたフラップ部31ab、32ab、33ab及び34abが残る。
【0050】
図8では、オートバイのハンドル8Aのハンドルバー81の後方側にある合成樹脂製カバーのオイルタンク9に、オイルタンク9の後方側タンク面91側よりの両側面93側における後方側面92の左右2か所に裁断フレキシブルシート1Abを貼り付け、両側面93側における前方側面94の左右2か所フレキシブルシート1Aを貼り付けた状態を示す。
【0051】
このようなフレキシブルシート1A及び裁断フレキシブルシート1Abの貼り付け状態により、オイルタンク9の上部面95のオイルキャップ96に覆いかぶせるようにタンクバッグ5Aを載せて、タンクバッグ5Aの複数の取付ベルト51及び52に搭載されている磁石により、複数のフレキシブルシート1A及び裁断フレキシブルシート1Abの各々に鉄板包含部2Aに包含された鉄板4Aに強固に貼り付けることができる。
【0052】
図9は、第1の実施形態に対応したフレキシブルシート1Aの試作品を製作したものを示す画像であり、
図10は、その試作品の屈曲性を試している状態の説明画像である。また、
図11及び
図12は、その試作品を自動二輪車の合成樹脂製カバーのオイルタンクに貼り付けた状態の一例の画像と、合成樹脂製カバーのオイルタンクにタンクバッグを装着した状態の一例を示す画像である。
【0053】
一例として、例えば
図9及び
図10に示すフレキシブルシート1Aの試作品について、フレキシブルシート1Aは、主に、例えば
図11及び
図12に示す自動二輪車の合成樹脂製カバーのオイルタンク9(
図3及び
図5に対応)に、取付ベルト51及び52に磁石を封入しているタンクバッグ5A(
図5に対応)を取り付けられるようにするための、弾力性を有するシート(裏面に粘着材、弾力性を有するシートの中に鉄板4Aを封入したシート)である。特に、3次元形状の物体の凹凸面形状に貼り付けやすくするために、以下のような特徴を有するものである。
【0054】
鉄板4Aを封入する樹脂は、鉄板包含部2Aにおいては鉄板4Aより厚い封入層で形成される。鉄板包含部2Aの封入エリアの周辺に沿って、フラップ部31a、32a、33a及び34aが設けられて、さらに、そのフラップ部31a、32a、33a及び34aには1又は複数のフラップ溝部12a、14a、16a及び18aが形成されている。
【0055】
例えば、フレキシブルシート1Aの製造方法として、インサート成型により鉄板4Aを封入し、鉄板4Aの周りをエラストマーにより包含させて、前述したような特徴的な形状に形成することにより、以下のような優れた特徴を有する。
・厚い鉄板を含んでも、屈曲性に優れたフレキシブルシート
・磁力固定が強いフレキシブルシート
【0056】
フレキシブルシート1Aにおいて、例えば
図1及び
図2等に示される平面視では略正方形状の鉄板4Aは、その上下方向(
図2(a)の平面視方向を上方向とする)及び側面の周辺方向にわたり、鉄板4Aの厚さよりも厚い層で鉄板全体を柔軟性のある合成樹脂製の素材からなる鉄板包含部2Aにより包含されて配置されている。一例であるが、
図6に示す鉄板4Aの厚さt
irは、およそ2mmの程度とすることができる。しかしながら、鉄板4Aの厚さt
irは、これに限定されるものではない。
【0057】
図11及び
図12に示す試作品画像は、主にオートバイの合成樹脂製カバーのタンクに、取付ベルトに磁石を封入しているタンクバッグを取り付けられるようにするための、ゴムシート(裏面に粘着材、ゴムシートの中に鉄板を封入した特殊形状のゴムシート)である。ゴムシートは、例えばエラストマーなどの弾力性に優れる合成樹脂等である。
【0058】
また、例えば、
図9乃至
図12に示す試作例のフレキシブルシート1Aの設計値は、
図6に示したパラメータに準じて記載すると、シートの厚さth=4mm、溝部の深さt
thup=2mm、溝部の厚さt
thdw=2mm、溝開口幅t
w=4.5mm、第1溝傾斜幅t
r=1.5mm、溝底面幅t
c=1.5mm、第2溝傾斜幅t
l=1.5mm、開角度α
w=135度である。また、鉄板4Aの厚さt
ir=2mm、鉄板包含上層の厚さt
up=1mm、鉄板包含下層の厚さt
dw=1mmである。なお、フレキシブルシート1Aの全体の寸法については、
図19(b)に示すパラメータに関するシート横寸法t
ya=112mm、シート縦寸法t
ta=47mmであり、また、鉄板4Aの寸法は、縦及び横=30mmである。
【0059】
図9乃至
図12に示す試作例のフレキシブルシート1Aにおいて、溝部の凹構造は台形形状であり、その開角度α
w=135度である。溝部およびフラップ溝部は、例えば
図10等に示すように、裏面10a側に折り曲げた際に、追従するように十分に折り曲げることが確認できた。
【0060】
本実施形態のフレキシブルシート1Aは、優れた屈曲性を有する凹構造であり、かつ、シートの厚さを厚くすることができるため、磁性体には厚い鉄板を使用することができる。これにより、フレキシブルシート1Aでの磁力を強力にすることができ、例えばタンクバッグのような重量物を固定することができる。タンクバッグは、例えば積載物なしの重量が1kg前後であり、荷物を積載すると1~5kg程度の重量になるが、樹脂製カバーのオイルタンクに貼り付けられたフレキシブルシート1Aにより、タンクバッグを強固に固定することができる。
【0061】
鉄板4Aは、本実施形態の例では1枚の平板であるが、複数の鉄板を包含したものであってもよい。例えば、長方形状の鉄板を複数枚用いて、略正方形状に配置して、その配置された略正方形状に並べられた複数枚の鉄板を鉄板包含部2Aで包含した構造としてもよい。
【0062】
オートバイの合成樹脂製カバーのオイルタンク9などの曲面形状に貼り付けた場合でも、シート全体の反発力を抑えるために、溝部による複数の凹(窪み)構造が形成されている。これにより、鉄板包含部2Aの裏面側の接着層がオイルタンク9などの曲面形状に貼り付けられた場合に、鉄板包含部2Aの裏面側の接着層周辺において、フラップ部31a、32a、33a及び34aの接着面がオイルタンク9などの曲面形状に、屈曲状態においてもより小さい反発力で接着させることができる。これにより、鉄板包含部2Aの接着層の接着面をオイルタンク9などの曲面形状から剥離することを抑制させることができる。
【0063】
本実施形態のフレキシブルシートによれば、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができる。また、本実施形態のタンクバッグによれば、鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着する場合に、当該フレキブルシートを利用することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
図13乃至
図15は、溝の形状と、溝の開角度とについての説明図である。
図13は、他の実施形態のフレキシブルシートの溝形状の一例を示す図である。また、
図14は、他の実施形態のフレキシブルシートの溝構造を示す例の図であり、
図15は、他の実施形態のフレキシブルシートの屈曲性の度合いの概要を説明する図である。
【0065】
図13において、鉄板包含部2Aの溝部11a、13a、15a及び17a、フラップ部31aのフラップ溝部12a、フラップ部32aのフラップ溝部14a、フラップ部33aのフラップ溝部16a、フラップ部34aのフラップ溝部18aなどのシート厚の縦断面における溝形状は、例えば
図13(a)に示す四角形状、
図13(b)に示す台形状、
図13(c)に示す狭角の三角形状、
図13(d)に示す広角の三角形状などが挙げられる。
【0066】
図13(a)に示す四角形状の溝形状において、開角度α
v=90度の一例であり、
図13(b)に示す台形状の溝形状において、開角度α
w=135度の一例を示す。また、
図13(c)に示す三角形状の溝形状において、開角度α
u1=60度の一例であり、
図13(c)に示す三角形状の溝形状において、開角度α
u2=90度の一例を示す。なお、
図13(c)及び(d)等に示す三角形状の溝形状を、V溝とも称す。
【0067】
例えば、
図13(c)及び(d)に示すようなV溝の溝部は、
図13(a)及び(b)のような溝の底を有する形状の溝部と比較して、曲げても元に戻る力が大きくなり、どんな角度であろうと屈曲性が劣る。
【0068】
一方、
図13(a)及び(b)のような溝の底を有する形状の溝部は、底面全体で曲げることができるので、屈曲性に優れている。さらに、底面の厚さ=ta-tfを薄くすることで、屈曲性がさらに増すことができる。ただし、底面の厚さ=ta-tfを薄くしすぎると、溝部のところでシートが切れやすくなったり、破損しやすくなったり等によりフレキシブルシートの耐久性が劣ることになる。なお。taはシート厚さであり、tfは溝の深さを示すものである。
【0069】
図14は、他の実施形態のフレキシブルシートの溝構造を示す例の図である。
図14(a)に示すフラップ部31aは、
図1等に示すフラップ部31aを示すもので、
図1等に示す溝部11a、フラップ溝部12a、フラップ面311a及び312aを示している。
図14(b)に示す溝形状(
図14(a)に示す矢視線IV方向の縦断面図)は、例えば
図13(b)に示す台形形状の溝形状に相当する。一方、
図14(d)に示すフラップ部31uにおいては、溝部11u、フラップ溝部12a、フラップ面311u及び312uを示している。
図14(e)に示す溝形状(
図14(d)に示す矢視線V方向の縦断面図)は、例えば
図13(d)に示す広角の三角形状の溝形状に相当するものである。
【0070】
図14(b)に示す台形形状の溝構造(開角度α
w)を図の矢印方向に屈曲させた状態が、
図14(c)に示す台形形状の溝構造の屈曲状態である。また、
図14(e)に示す三角形状の溝構造(開角度α
u)を図の矢印方向に屈曲させた状態が、
図14(f)に示す三角形状の溝構造の屈曲状態を示すものである。すなわち、
図14(c)に示す台形形状の溝構造の屈曲性が、
図14(f)に示す三角形状の溝部の屈曲性よりも優れていることを示すものである。
【0071】
図15は、他の実施形態のフレキシブルシートの屈曲性の度合いを説明する図である。
図15(a)に示す四角形状の溝形状は開角度αvであり、
図15(b)に示す台形形状の溝形状は開角度α
wである。
図15(a)に示す四角形状の溝形状における、開角度α
vを広げる方向のフレキシブルシートの屈曲性は、
図15(c)に示す。一方、
図15(b)に示す台形形状の溝形状における、開角度α
wを広げる方向のフレキシブルシートの屈曲性は、
図15(d)に示す。
【0072】
また、
図15(a)に示す四角形状の溝形状における、開角度α
vを狭める方向のフレキシブルシートの屈曲性は、
図15(e)に示す。一方、
図15(b)に示す台形形状の溝形状における、開角度α
wを狭める方向のフレキシブルシートの屈曲性は、
図15(f)に示す。なお、taはシート厚さであり、tfは溝の深さを示すものである。
【0073】
例えば、開角度αv=90度程度にした場合に、試作例では底面全体で曲げ折りにすることで、
図15(c)及び(d)までの変位範囲を、例えば片側の60度程度の変位で曲げることができる。
【0074】
また、例えば、開角度α
w=135度程度にした場合に、試作例では底面全体で曲げ折りにすることで、
図15(d)及び(f)までの変位範囲を、開角度α
v=90度程度にした場合よりも、より広い変位の範囲で、例えば片側の90度程度の変位で曲げることができる。なお、底の厚さ(=ta―tfに相当する厚さ)をより薄くすれば、それ以上に変位させて曲げることができる。
【0075】
好ましくは、溝部及びフラップ溝部における溝形状は、略台形形状であり、かつ、その開口側の開角度は、90度より大きく、180度より小さい。
【0076】
本実施形態のフレキシブルシートによれば、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができる。
【0077】
[第3の実施形態]
図16は、第3の実施形態のフレキシブルシート1Bの構造の一例を示す図である。ここで、
図16のフレキシブルシート1Bの構造の一例として、
図16(a)に平面図、
図16(b)に
図16(a)に示すVI-VIの矢視線方向の縦断面図、
図16(c)に
図16(a)に示すフラップ部31bの拡大図、
図16(d)に
図16(c)のフラップ部31bの斜視図を示す。
【0078】
第3の実施形態のフレキシブルシート1Bは、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に貼り付け可能である。フレキシブルシート1Bは、鉄板4Bと、鉄板包含部2Bと、複数のフラップ部3Bとにより構成されている。
【0079】
フレキシブルシート1Bでは、鉄板包含部2Bの周辺に、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11b、15b、19b及び113bと、その溝部11b、15b、19b及び113bを境界にして、複数のフラップ部3Bにおいてフラップ部31b、32b、33b及び34bが形成されている。
【0080】
鉄板包含部2Bは、鉄板4Bの厚さよりも厚い層で鉄板全体を柔軟性のある合成樹脂製(エラストマー)の素材で形成されている。複数のフラップ部31b、32b、33b及び34bは、鉄板包含部2Bの貼り付けを補強するためのエラストマーなどの柔軟性を有する合成樹脂製の素材で形成された貼り付け部材である。
【0081】
鉄板包含部2Bと各々のフラップ部31b、32b、33b及び34bとは、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11b、15b、19b及び113bを境界にして、鉄板包含部2Bの一方の表面21b側で接続されている。さらに、溝部11b、15b、19b及び113bの厚さは、鉄板包含部2Bの厚さ方向の一方の表面21b側で鉄板包含部2Bの厚さよりも薄い厚さで形成されている。
【0082】
また、鉄板包含部2Bと各々のフラップ部31b、32b、33b及び34bとは、鉄板包含部2Bの厚さ方向の他方の表面10b側で水平面を同一にして接続されている。鉄板包含部2Bの厚さ方向の他方の表面10b側には、接着層(図示略している)が設けられている。
【0083】
フラップ部31b内において、さらに、一方の表面21b側で鉄板包含部2Bの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された複数のフラップ溝部12b、13b及び14bが形成されている。
【0084】
また、フラップ部32b内において、さらに、一方の表面21b側で鉄板包含部2Bの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された複数のフラップ溝部16b、17b及び18bが形成されている。同様に、フラップ部33b内において、複数のフラップ溝部110b、111b及び112bが形成され、同様に、フラップ部34b内において、複数のフラップ溝部114b、115b及び116bが形成されている。
【0085】
フラップ表面311b乃至314bから裏面10bまでのシートの厚さは、鉄板包含部2Bの厚さと同じ厚さでもよいし、薄い厚さであってもよい。また、フラップ表面321b乃至324bから裏面10bまで、フラップ表面331b乃至334bから裏面10bまで、フラップ表面341b乃至344bから裏面10bまでの厚さについても同様である。
【0086】
中央の鉄板4Bの形状が、
図16(a)及び(b)に示すように、円形状の場合、フレキシブルシート1Bを3次元物体の曲面などに貼り付ける際に、フラップ部31b、32b、33b及び34bの溝部11b、15b、19b及び113bと鉄板包含部2Bの円形状の周辺部とにデッドスペースが必要になる。そのために、例えば
図16(c)及び(d)に示すように、折り曲げ部分には、ある程度のスペースPtbをとる必要がある。
【0087】
フレキシブルシート1Bを貼付対象物体の3次元曲面に貼り付ける場合、鉄板包含部2Bの外周部分に隙間が出来やすくなる。そのため、フラップ部31b、32b、33b及び34bにより、その隙間のできる範囲を小さくして、鉄板包含部2Bの外周部分を覆うように接着面を補強する。他方で、鉄板包含部2Bのフラップ部31b、32b、33b及び34bの接続部分以外の外周において、隙間ができやすい。
【0088】
ここで、
図17に、第3の実施形態のフレキシブルシート1Bと第1の実施形態のフレキシブルシート1Aとの比較例を示す。具体的には、
図17(a)に第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの鉄板4Aの平面図、
図17(b)に第3の実施形態のフレキシブルシート1Bの鉄板4Bの平面図、
図17(c)に鉄板4Aと鉄板4Bとの比較平面図を示す。
【0089】
例えば、
図3及び
図4等に示すような自動二輪車等のオイルタンク9のような凹凸面の形状物に貼り付ける場合には、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの方が、第3の実施形態のフレキシブルシート1Bよりも、
図4の円破線で示す注意ポイントPtaのように、オイルタンクのような凹凸面の形状物に貼り付けられた状態では、凹凸面の形状物と隙間をより少なくすることができる。すなわち、
図3及び
図4等に示すような自動二輪車等のオイルタンク9のような凹凸面の形状に貼り付ける場合には、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aの方がより好ましい形状である。
【0090】
また、例えば
図17に示す鉄板4A(縦・横幅t
iw)と鉄板4B(直径t
iw)とする、同じ外形寸法である場合に、
図5に示すようなタンクバッグ5A側の取付ベルト51及び52に封入されているマグネット(例えば円形状)に対しては、四角形状の鉄板4Aの方が有効面積の範囲を広くとれるため、取付ベルト51及び52で装着する際に、鉄板側の装着範囲が広くとれるため、磁石(マグネット)側を貼り付けしやすくなる。
【0091】
本実施形態のフレキシブルシートは、優れた屈曲性を有する凹構造であり、かつ、シートの厚さを厚くすることができるため、磁性体には厚い鉄板を使用することができる。これにより、フレキシブルシートでの磁力を強力にすることができる。
【0092】
本実施形態のフレキシブルシートによれば、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができる。また、本実施形態のタンクバッグによれば、鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着する場合に、当該フレキブルシートを利用することができる。
【0093】
[第4の実施形態]
図18は、第4の実施形態のフレキシブルシート1Cの構造の一例を示し、
図18(a)にフレキシブルシート1Cの平面図、および
図18(b)に
図18(a)に示すVII-VIIの矢視線方向の縦断面図を示す。また、
図19は、
図19(a)に第4の実施形態のフレキシブルシート1C、
図19(b)に第1の実施形態のフレキシブルシート1Aとの比較例を示す平面図である。
【0094】
第4の実施形態のフレキシブルシート1Cは、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に貼り付け可能である。フレキシブルシート1Cは、鉄板4Cと、鉄板包含部2Cと、複数のフラップ部3Cとにより構成されている。
【0095】
フレキシブルシート1Cでは、鉄板包含部2Cの周辺に、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11c、15c、19c及び113cと、その溝部11c、15c、19c及び113cを境界にして、複数のフラップ部3Cにおいてフラップ部31c、32c、33c及び34cが形成されている。
【0096】
鉄板包含部2Cは、鉄板4Cの厚さよりも厚い層で鉄板全体を柔軟性のある合成樹脂製(エラストマー)の素材で形成されている。複数のフラップ部31c、32c、33c及び34cは、鉄板包含部2Cの貼り付けを補強するためのエラストマーなどの柔軟性を有する合成樹脂製の素材で形成された貼り付け部材である。
【0097】
鉄板包含部2Cと各々のフラップ部31c、32c、33c及び34cとは、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された溝部11c、15c、19c及び113cを境界にして、鉄板包含部2Cの一方の表面21c側で接続されている。さらに、溝部11c、15c、19c及び113cの厚さは、鉄板包含部2Cの厚さ方向の一方の表面21c側で鉄板包含部2Cの厚さよりも薄い厚さで形成されている。
【0098】
また、鉄板包含部2Cと各々のフラップ部31c、32c、33c及び34cとは、鉄板包含部2Cの厚さ方向の他方の表面10c側で水平面を同一にして接続されている。鉄板包含部2Cの厚さ方向の他方の表面10c側には、接着層(図示略している)が設けられている。
【0099】
フラップ部31c内において、さらに、一方の表面側で鉄板包含部2Cの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された複数のフラップ溝部12c、13c及び14cが形成されている。
【0100】
また、フラップ部32c内において、さらに、一方の表面側で鉄板包含部2Cの厚さよりも薄い厚さで、かつ、折れ曲がり変形可能な凹構造で形成された複数のフラップ溝部16c、17c及び18cが形成されている。同様に、フラップ部33c内において、複数のフラップ溝部110c、111c及び112cが形成され、同様に、フラップ部34c内において、複数のフラップ溝部114c、115c及び116cが形成されている。
【0101】
フラップ表面311c乃至314cから裏面10cまでのシートの厚さは、鉄板包含部2Cの厚さと同じ厚さでもよいし、薄い厚さであってもよい。また、フラップ表面321c乃至324cから裏面10cまで、フラップ表面331c乃至334cから裏面10cまで、フラップ表面341c乃至344cから裏面10cまでの厚さについても同様である。
【0102】
鉄板包含部2Cの他方の表面10c側(裏面側とする)の直下の部分は、屈曲性のない平面部分であり、曲面の物体にフレキシブルシート1Cを貼る場合に、フラップ部31c、32c、33c及び34cが接着面を補完して貼り付ける必要がある。
【0103】
図18(a)に示す鉄板包含部2Cの平面形状は、四角形状であり、かつ、四角形の辺に対する垂直方向(紙面方向の上下、左右方向に相当)に沿って、フラップ部31c、32c、33c及び34cが接続されている。
【0104】
この四角形状の上下左右方向に沿ってフラップ部31c、32c、33c及び34cを設けることにより、フレキシブルシート1Cを剥がれ難いものとすることができるものの、
図19(a)に示す縦t
tcと横t
ycの幅が大きくなり(設置面積Sc)、例えば自動二輪車等のオイルタンクへの貼り付け場所が限定されてしまう。
【0105】
一方で、第1の実施形態のフレキシブルシート1Aは、
図19(b)に示すシート縦t
taとシート横t
yaの幅については(設置面積Sa)、
図2(a)に示す鉄板包含部2Aの平面形状は、四角形状であり、かつ、四角形の辺に対する斜め方向に沿って、フラップ部31a、32a、33a及び34aが接続されているため、相対的にシート縦t
taの寸法を抑えることができる。例えば自動二輪車、自動三輪車等の鞍乗型車両のオイルタンクの形状は、複雑な凹凸曲面形状であるため、細長い形状(シート横t
yaの幅に比べてシート縦t
taの幅の寸法を抑える形状)の方が、オイルタンクなどの形状には貼り付けしやすい。
【0106】
本実施形態のフレキシブルシートは、優れた屈曲性を有する凹構造であり、かつ、シートの厚さを厚くすることができるため、磁性体には厚い鉄板を使用することができる。これにより、フレキシブルシートでの磁力を強力にすることができる。
【0107】
本実施形態のフレキシブルシートによれば、平面形状又は凹凸面の形状を有する物体の当該平面又は凹凸面の上に、特に鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に、柔軟に貼り付けることができ、その貼り付けた部分に磁石を強力に引き付けることができる。また、本実施形態のタンクバッグによれば、鞍乗型車両のオイルタンク又はオイルタンクの位置に対応する車両部分に装着する場合に、当該フレキブルシートを利用することができる。
【0108】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、例えば各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、実用新案登録請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1A、1B、1C…フレキシブルシート、1Ab…裁断フレキシブルシート、2A、2B、2C…鉄板包含部、3A、3B、3C…複数のフラップ部、4A、4B、4C…鉄板、5A…タンクバッグ、8A…ハンドル、9…オイルタンク、10a、10b、10c…他方の表面(裏面)、11a、13a、15a、17a、11b、15b、19b、113b、11c、15c、19b、113c、11u…溝部、12a、14a、16a、18a、12b、13b、14b、16b、17b、18b、110b、111b、112b、114b、115b、116b、12c、13c、14c、16c、17c、18c、110c、111c、112c、114c、115c、116c、12u…フラップ溝部、19a、110a…分離路、21a、21b、21c…一方の表面、31a、32a、33a、34a、31ab、32ab、33ab、34ab、31b、32b、33b、34b、31c、32c、33c、34c、31u…フラップ部、311a、312a、321a、322a、331a、332a、341a、342a、311b、312b、313b、314b、321b、322b、323b、324b、331b、332b、333b、334b、341b、342b、343b、344b、311c、312c、313c、314c、321c、322c、323c、324c、331c、332c、333c、334c、341c、342c、343c、344c、311u、312u…フラップ表面、50…収納ケース、51、52…取付ベルト、81…ハンドルバー、91…後方側タンク面、93…両側面93、92…後方側面、93…両側面、94…前方側面94、95…上部面