(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093542
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カメラレンズアクチュエータ、カメラレンズ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20240702BHJP
G03B 17/04 20210101ALI20240702BHJP
G03B 17/08 20210101ALI20240702BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B7/08 B
G03B17/04
G03B17/08
G02B7/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209994
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】石黒 克之
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
【Fターム(参考)】
2H044AD02
2H044AD03
2H044DB04
2H044DD09
2H044DD19
2H101BB07
2H101CC54
(57)【要約】
【課題】本願は、カメラレンズアクチュエータ、カメラレンズ及び電子機器を提供する。
【解決手段】このカメラレンズアクチュエータは、カメラレンズのレンズカバーアセンブリに駆動力を与えるモーターと、前記モーターに接続された減速ギアと、噛み合うピニオンギアとラックギアを含む。ここで、前記ピニオンギアは、回転軸が前記減速ギアに接続され、前記ラックギアは、前記レンズカバーアセンブリに接続されている。本願は、前記ピニオンギアと前記ラックギアの組み合わせにより、前記減速ギアから出力されるトルクを、前記カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換して前記レンズカバーアセンブリを前記光軸方向に移動駆動する。よって、レンズカバーアセンブリでカメラレンズの光学的伸縮部分を保護することを実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズアクチュエータであって、
カメラレンズのレンズカバーアセンブリに駆動力を与えるモーター(11)と、
前記モーター(11)に接続された減速ギア(10)と、
噛み合うピニオンギア(8)とラックギア(3)を含み、
ここで、前記ピニオンギア(8)は、回転軸が前記減速ギア(10)に接続され、前記ラックギア(3)は、前記レンズカバーアセンブリに接続され、
前記ピニオンギア(8)と前記ラックギア(3)の組み合わせにより、前記減速ギア(10)から出力されるトルクを、前記カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換して前記レンズカバーアセンブリを前記光軸方向に移動駆動することを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラレンズアクチュエータであって、
前記ピニオンギア(8)と前記減速ギア(10)の間に設けられたクラッチ(9)を更に含み、
ここで、前記モーター(11)の回転が前記減速ギア(10)に入力され、前記減速ギア(10)により回転数を落として増幅トルクを取得し、前記クラッチ(9)により前記増幅トルクを前記ピニオンギア(8)に伝達することを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラレンズアクチュエータであって、
前記クラッチ(9)は、
前記回転軸にはめ込まれた弾性体部材(91)と、
組み合わせる2つのクラッチ板(92)を含み、
2つの前記クラッチ板(92)の相対面には、噛み合う突起と溝が設けられ、
一方の前記クラッチ板(92)は、前記弾性体部材(91)の一端に当接して前記回転軸に接続し、他方の前記クラッチ板(92)は、前記減速ギア(10)に接続されていることを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラレンズアクチュエータであって、
前記クラッチ(9)は、
内部に前記弾性体部材(91)及び2つの前記クラッチ板(92)が設けられたクラッチケース(90)を更に含むことを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項5】
カメラレンズであって、
請求項1~4のいずれか一項に記載のカメラレンズアクチュエータを含み、
更に、
鏡筒(12)を含むレンズアセンブリと、
前記鏡筒(12)を前記カメラレンズの光軸方向に移動駆動するための鏡筒駆動アセンブリと、
前記鏡筒(12)の外部に設けられたレンズカバーアセンブリとを含み、
ここで、前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータに接続され、
前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータの駆動により前記光軸方向に移動することを特徴とするカメラレンズ。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラレンズであって、
前記レンズカバーアセンブリは、
組み合わせるカバーガラス(1)とレンズカバー筐体(2)とを含み、
ここで、前記カメラレンズアクチュエータのラックギア(3)は、前記レンズカバー筐体(2)の外側面に設けられていることを特徴とするカメラレンズ。
【請求項7】
請求項5に記載のカメラレンズであって、
前記レンズカバーアセンブリと組み合わせて前記レンズアセンブリを収容し、内側面にシール溝が設けられたレンズフレーム(6)と、
前記シール溝内に位置するシールリング(5)とを更に含むことを特徴とするカメラレンズ。
【請求項8】
請求項5に記載のカメラレンズであって、
前記鏡筒駆動アセンブリは、
ピエゾモーター(14)及びピエゾモーター軸(16)を含み、
前記ピエゾモーター(14)と前記ピエゾモーター軸(16)の組み合わせにより、前記鏡筒(12)を前記光軸方向に移動駆動することを特徴とするカメラレンズ。
【請求項9】
請求項5に記載のカメラレンズであって、
前記レンズアセンブリは、
前記鏡筒(12)の両側にそれぞれ設けられたイメージセンサ(19)とOISアクチュエータ(13)を更に含むことを特徴とするカメラレンズ。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学素子の技術分野に係り、特にカメラレンズアクチュエータ、カメラレンズ及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯機器に搭載されるカメラモジュールにおいて、イメージセンサは、画像品質の要求が高くなることにより、外形サイズが大きいことが多く、イメージセンサに対応する光学系は、光学的長さ及び直径が長くなることが多い。カメラ未使用の時には、光学系の鏡筒は、光軸に沿ってイメージセンサ側に距離を縮め、携帯機器本体内部に格納される。カメラ使用時には、通常、鏡筒は、携帯機器の本体から突出する。このとき、携帯機器の落下などにより、突出状態の部分が破損する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施例の目的は、携帯式電子機器の落下時にカメラレンズの突出部分が破損するという問題を解決するために、カメラレンズアクチュエータ、カメラレンズ及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した技術課題を解決するために、本発明は、下記のように実現される。
【0005】
第1の態様として、本願の実施例は、カメラレンズアクチュエータを提供し、カメラレンズのレンズカバーアセンブリに駆動力を与えるモーターと、前記モーターに接続された減速ギアと、噛み合うピニオンギアとラックギアを含み、ここで、前記ピニオンギアは、回転軸が前記減速ギアに接続され、前記ラックギアは、前記レンズカバーアセンブリに接続されている。前記ピニオンギアと前記ラックギアの組み合わせにより、前記減速ギアから出力されるトルクを、前記カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換して前記レンズカバーアセンブリを前記光軸方向に移動駆動する。
【0006】
第2の態様として、本願の実施例は、カメラレンズを提供し、第1の態様に記載したカメラレンズアクチュエータを含み、更に、鏡筒を含むレンズアセンブリと、前記鏡筒を前記カメラレンズの光軸方向に移動駆動するための鏡筒駆動アセンブリと、前記鏡筒の外部に設けられたレンズカバーアセンブリとを含み、ここで、前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータに接続されている。前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータの駆動により前記光軸方向に移動する。
【0007】
第3の態様として、本願の実施例は、第2の態様に記載したカメラレンズを含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
従来技術と比べ、カメラレンズの光学系の伸縮時に、本願の実施例のカメラレンズアクチュエータにおけるモーターがレンズカバーアセンブリに駆動力を与え、減速ギアによりモーターの回転数を落としてトルクを大きくし、ピニオンギアと前記ラックギアの組み合わせにより、減速ギアから出力されるトルクを、カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換してレンズカバーアセンブリを光軸方向に移動駆動することにより、光学系の伸縮可能な部分の保護を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の実施例によるカメラレンズアクチュエータの構成の分解図である。
【
図2】本願の実施例によるカメラレンズアクチュエータにおけるクラッチの動作を示す図その1である。
【
図3】本願の実施例に係るカメラレンズアクチュエータにおけるクラッチの動作を示す図その2である。
【
図4】本願の実施例に係るカメラレンズの構成の分解図である。
【
図5】本願の実施例に係るカメラレンズの光学系の突出状態を示す図である。
【
図6】本願の実施例に係るカメラレンズの光学系の収納状態を示す図である。
【
図7】本願の実施例に係るカメラレンズの電子機器からの突出を示す図である。
【
図8】本願の実施例に係るカメラレンズの電子機器への収納を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例における添付図面を参照して、本願の実施例における技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載される実施例は、本願の実施例の一部であり、全てではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をしなくても為しえる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0011】
本願の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、類似した対象を区別するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するためのものではない。このように使用されたデータは、本願の実施例がここでの図示又は説明以外の順序でも実施できるように、適宜入れ替えてもよいと理解すべきであり、なおかつ、用語「第1」、「第2」などにより区別される対象は、通常同種なものであり、対象の数を限定しない。例えば、第1の対象は、1つでもよく、複数でもよい。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続対象の少なくとも1つを表す。文字「/」は、一般に、前後の関連対象が「又は」の関係となることを示す。
【0012】
図1~
図3に示すように、本願の実施例は、カメラレンズのレンズカバーアセンブリに駆動力を与えるためのモーター11と、モーター11に接続されて回転数を落とすと同時に大きなトルクを出力するための減速ギア10と、噛み合うピニオンギア8とラックギア3を含むカメラレンズアクチュエータを提供する。ここで、このレンズカバーアセンブリは、カメラレンズの光学系の伸縮可能な部分を保護するための構成部品を指す。そのため、この光学系は、このレンズカバーアセンブリによって形成される収容空間に位置する。このピニオンギア8は、円筒歯車であり、このラックギア3は、円筒歯車の直径が無限大となった板状又は棒状の歯車である。ピニオンギア8とラックギア3の組み合わせにより、ピニオンギア8の回転運動をラックギア3の直線運動に変換したり、ラックギア3の直線運動をピニオンギア8の回転運動に変換することが可能である。ここで、このピニオンギア8は、回転軸が減速ギア10に接続され、ラックギア3は、レンズカバーアセンブリに接続されている。ピニオンギア8とラックギア3の組み合わせにより、減速ギア10から出力されるトルクを、カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換してレンズカバーアセンブリを光軸方向に移動駆動する。
【0013】
本願の実施例のカメラレンズアクチュエータの具体的な動作過程は、以下である。カメラレンズの動作状態において、光学系の伸縮可能な部分は、カメラレンズの光軸方向に沿って移動し、電子機器の本体から突出する。それと同時に、モーター11から駆動力を出力し、減速ギア10により、モーター11の高速だが低トルクの回転を、低速だが大きなトルクの回転に変換し、ピニオンギア8とラックギア3の組み合わせにより、この低速だが大きなトルクの回転を、光軸方向に沿った線運動に変換する。それにより、ラックギア3に接続されたレンズカバーアセンブリのこの光軸方向に沿った移動を実現し、光学系の伸縮可能な部分及びレンズカバーアセンブリが同時に光軸方向に沿って移動することを実現することで、レンズカバーアセンブリによりこの光学系の伸縮可能な部分を保護し、落下などによる光学系の伸縮可能な部分の破損を避ける。
【0014】
なお、一般の光学機器では、回転運動を線運動に変換するときは、“ヘリコイド”と呼称される構造が多用されている。この機構は、回転する円筒面に斜めにカム状の溝が切ってあり、そこに直進される側のガイドピンが溝断面のカム面と当接し、カム面に沿ってスライド可能となっている。更に直進部側には、光軸方向と同じ方向にのみ移動可能なスライドガイドが設けられており、円筒が回転すると、ガイドピンが回転する溝にガイドされながら光軸方向に直進運動が可能となる。ここで、落下等により直進部に直進方向から強い力が作用すると、駆動機構内部では、ガイドピンとカム面の接触部に力が作用することになる。一般に回転入力を直進に変換するカムの場合は、カム面の勾配は、45度以下に設定される場合が多く、ガイドピン部にはカム面に対し回転力に変換されるよりも光軸方向に剪断力として作用し、ピン自体又はガイド面が破損しやすかった。
【0015】
そこで、本願の実施例において、ラックギア3とピニオンギア8を使用してこの回転運動を線運動に変換することにより、直進方向に強い力が掛かっても、ギアの線運動は、容易に回転運動に変換可能であり、ピニオンギア8自体が回転するのにほとんどトルクは必要とはしない。よって、ラックギア3とピニオンギア8を用いた構成で直進機構部の破損を防止することができる。
【0016】
先に述べたように、カメラレンズの動作状態において、レンズカバーアセンブリと光学系の伸縮可能な部分(特に光学系の鏡筒部分)が電子機器の本体から突出するために、レンズカバーアセンブリ又は鏡筒部分に落下等により強い力が掛かる場合、駆動ユニット全体について考えるのであれば、この強い力によりピニオンギア8が回転すると、トルクが直接減速ギア10に伝わるのであれば、減速ギア10が破損する恐れがある。
【0017】
そこで、光学系の伸縮可能な部分及びそのレンズカバーアセンブリを駆動する駆動ユニットの破損を防止するために、本願の実施例のカメラレンズアクチュエータは、ピニオンギア8と減速ギア10との間に設けられたクラッチ9を更に含む。具体的に、落下などにより、ピニオンギア8と減速ギア10との間に一定のトルク以上が伝達されると、このクラッチ9の空転によりこのトルクの伝達を遮断することができ、減速ギア10の破損を避ける。
【0018】
また、カメラレンズアクチュエータの正常動作時に、モーター11の回転が減速ギア10に入力され、減速ギア10により、回転数を落として増幅トルクを取得し、クラッチ9により増幅トルクをピニオンギア8に伝達し、更に、ピニオンギア8とラックギア3の組み合わせにより、この増幅トルクを光軸方向に沿ったトルクに変換し、レンズカバーアセンブリを光軸方向に移動駆動する。
【0019】
ここで、落下等により、レンズカバーアセンブリを光軸方向に押し込む力がピニオンギア8にかかった時に、ラックギア3を介して大きな回転力が発生する。この時減速ギア10の出力側より大きなトルクが入力されると、ギアが回転できずにギアの歯が破壊される恐れがある。よって、入力されるトルクが一定のトルクを上回ると、クラッチ9の空転によりトルクの伝達を遮断し、減速ギア10の破壊を防止する。
【0020】
具体的に、
図1に示すように、このクラッチ9は、回転軸にはめ込まれた弾性体部材91と、組み合わせる2つのクラッチ板92を含む。2つのクラッチ板92の相対面には、噛み合う突起と溝が設けられている。一方のクラッチ板92は、弾性体部材91の一端に当接し、回転軸に接続され、他方のクラッチ板92は、減速ギア10に接続されている。具体的に、弾性体部材91と回転軸の接続方式としては、一方のクラッチ板92の中心の取付穴に回転軸が貫通する。
【0021】
ここで、
図1~
図3に示すように、この弾性体部材91は、例えば渦巻ばねである。この弾性体部材91は、ピニオンギア8の回転軸にはめ込まれている。クラッチ9とピニオンギア8の組み立てが完了すると、弾性体部材91は、一端が一方のクラッチ板92に当接し、他端がピニオンギア8の回転部分の端面に当接することにより、クラッチ板92を回転軸の一方から他方へ駆動する。
【0022】
更に、
図1~
図3に示すように、クラッチ9は、クラッチケース90を更に含む。弾性体部材91と2つのクラッチ板92は、前記クラッチケース90内に設けられている。
【0023】
ここで、クラッチ9の動作原理を説明する。
図1に示すように、クラッチケース90に弾性体部材91と2つのクラッチ板92の凹凸面が向かい合わせに付勢されており、2つのクラッチ板92の凹凸面は、斜面同士の面が向い合せになり、動力が伝達される。クラッチ9に入力されるトルクが上がるにつれて、クラッチ板92の斜面において回転軸方向にも力が発生する。弾性体部材91による付勢力が斜面に発生する回転軸方向の力より大きければ、トルクは伝達される。一方、通常のレンズカバーアセンブリの上下に必要なトルクよりも大きく、かつ、ギアが破損するトルクよりも小さく弾性体の付勢力を設定しておけば、レンズカバーアセンブリが大きな力で押し込まれても駆動アセンブリの保護が可能である。
【0024】
カメラレンズアクチュエータの正常動作時において、2つのクラッチ板92が噛み合って、減速ギア10から出力される低速だが大きなトルクの回転をピニオンギア8に伝達し、ピニオンギア8とラックギア3の噛み合いにより、回転運動を直線運動に変換し、レンズカバーアセンブリを光軸方向に移動駆動する。しかし、これらの部品に過大な回転トルクが加わると、
図2及び
図3に示すように、2つのクラッチ板92が一定の角度で噛み合って(
図2)、弾性体部材91によって噛み合いが浮き上がり、更にトルクが加わると、2つのクラッチ板92の凹凸面が完全に乗り上げる(
図3)まで、噛み合いが引き続き上昇する。その後、2つのクラッチ板92の噛み合いが外れてトルクの伝達が遮断される。ここで、レンズカバーアセンブリの伸縮に必要なトルクより付勢力が高くなる時に、トルクの伝達を遮断するように設定する。よって、一定レベルを超えたトルクがピニオンギア8に加えると、クラッチ9が快速に駆動力を遮断することができ、レンズカバーアセンブリに過大な力がかかったときに、減速ギア10をその力から保護する。
【0025】
更に、
図4、
図5、
図6に示すように、カメラレンズアクチュエータは、カメラレンズアクチュエータの各部分を収容し、レンズアセンブリと組み合わせて取り付けられる箱体7を更に含む。
【0026】
図4に示すように、本願の実施例は、カメラレンズを更に提供し、上述したカメラレンズアクチュエータを含み、鏡筒12を含むレンズアセンブリと、鏡筒12をカメラレンズの光軸方向に移動駆動するための鏡筒駆動アセンブリと、鏡筒12の外部に設けられたレンズカバーアセンブリとを更に含む。ここで、レンズカバーアセンブリは、カメラレンズアクチュエータに接続され、カメラレンズアクチュエータの駆動を受けて光軸方向に移動する。
【0027】
カメラレンズの動作状態において、鏡筒駆動アセンブリは、鏡筒12を光軸方向に伸縮駆動し、それと同時に、カメラレンズアクチュエータは、レンズカバーアセンブリを光軸方向に伸縮駆動する。このようにして、鏡筒12とレンズカバーアセンブリが同時に光軸方向に伸縮することを実現し、レンズカバーアセンブリが終始に鏡筒12の外部にカバーするようにし、透明開口と鏡筒12などの部材を含むレンズアセンブリを保護する。落下などによるレンズアセンブリの破損を避けるとともに、レンズアセンブリの汚染を防止してレンズアセンブリの清潔を確保する。
【0028】
選択可能に、
図4に示すように、レンズカバーアセンブリは、組み合わせるカバーガラス1とレンズカバー筐体2を含む。ここで、カバーガラス1は、レンズアセンブリの透明開口に対応して設けられ、カメラレンズアクチュエータのラックギア3は、レンズカバー筐体2の外側面に設けられている。このようにして、ピニオンギア8とラックギア3の組み合わせにより、レンズカバー筐体2を光軸方向に移動駆動することを実現する。
【0029】
ここで、光軸方向のみのレンズカバーアセンブリの移動を実現するために、
図4に示すように、レンズカバー筐体2には、突出するスライドガイド構造4が更に設けられている。具体的に、このスライドガイド構造4は、光軸方向に沿って、レンズカバー筐体2の両外側面に対称的に設けられている。
【0030】
カメラレンズを電子機器に組み立てるとき、レンズカバーアセンブリが電子機器の本体に対して突出/格納する(
図7、
図8)場合、レンズカバー筐体2と電子機器の本体との間に隙間があると、カメラレンズへの水滴やごみなどの不純物の侵入する恐れがあるため、それらの侵入を防ぐ防塵、防滴機構が必用である。これに基づいて、
図4に示すように、本願の実施例のカメラレンズは、レンズカバーアセンブリと組み合わせてレンズアセンブリを収容し、内側面にシール溝が設けられたレンズフレーム6と、このシール溝に位置するシールリング5を更に含む。
【0031】
ここで、このシールリング5は、Oリングであり、断面がアルファベットOの形をした環状の機械部品である。このシールリング5は、弾性を持った物質で作られ、使用時には押しつぶして他の部品と密着するようにして使用する。運動を伴う場合でも、静止した場合でも、液体、気体もしくは微細な粒子等を密閉し、又はOリングを挟んだ反対側の空間にはそれらが存在しないように侵入を防止する。
【0032】
また、カメラレンズを組み立てるとき、レンズフレーム6は、カメラレンズアクチュエータの箱体7と組み合わせて接続される。具体的に、
図1に示すように、箱体7の上面に開口が設けられ、レンズフレーム6がこの開口に重ね合わして設けられ、レンズフレーム6の側壁と箱体7の側壁上のネジ穴に穿設されたネジを介して接続される。
【0033】
本願の実施例の鏡筒駆動アセンブリは、ピエゾモーター14とピエゾモーター軸16を含む。ピエゾモーター14と前記ピエゾモーター軸16の組み合わせにより、鏡筒12を光軸方向に移動駆動する。具体的に、ピエゾモーター14は、ピエゾモーターユニットの振動及びピエゾ軸とピエゾモーター間の摩擦力により、鏡筒12を光軸方向に移動駆動する。
【0034】
上述したように、カメラレンズの動作時に、レンズカバーアセンブリが突出し、不使用時にレンズカバーアセンブリが収納される。鏡筒12も同様にレンズカバーアセンブリの内部で突出又は収納する。レンズカバーアセンブリが前記のように大きな力で押し倒れられたときに、鏡筒12もレンズカバーアセンブリに接触して押し倒れられることになるが、ピエゾモーター14が鏡筒12を駆動する場合、外力が加わって鏡筒12が押し倒れられたとしても鏡筒12が破損せず、鏡筒が外力により押し倒れられても、鏡筒駆動アセンブリが破損しない。
【0035】
また、鏡筒駆動アセンブリは、鏡筒駆動部ベース17と内側カバー15を更に含む。この鏡筒駆動部ベース17は、ピエゾモーター14、ピエゾモーター軸16及び内側カバー15を載置する。
【0036】
また、カメラレンズは、カメラレンズの前述した各部品を載置するためのレンズユニットベース18を更に含む。
【0037】
更に、
図4に示すように、レンズアセンブリは、鏡筒12の両側にそれぞれ設けられたイメージセンサ19とOIS(Optical Image Stabilizer)アクチュエータ13を更に含む。
【0038】
上述したカメラレンズに基づいて、本願の実施例は、更に、上述したカメラレンズを含む電子機器を提供する。電子機器が倒れても、カメラレンズの突出部分及び対応する駆動部分は破損しない。この電子機器は、具体的にスマートフォーン等の携帯式電子機器である。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて記載したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。上記の具体的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではない。本発明の示唆を受け、当業者が本発明の趣旨及び特許請求の範囲から逸脱することなくなしえる多くの形態は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズアクチュエータであって、
カメラレンズのレンズカバーアセンブリに駆動力を与えるモーター(11)と、
前記モーター(11)に接続された減速ギア(10)と、
噛み合うピニオンギア(8)とラックギア(3)を含み、
ここで、前記ピニオンギア(8)は、回転軸が前記減速ギア(10)に接続され、前記ラックギア(3)は、前記レンズカバーアセンブリに接続され、
前記ピニオンギア(8)と前記ラックギア(3)の組み合わせにより、前記減速ギア(10)から出力されるトルクを、前記カメラレンズの光軸方向に沿ったトルクに変換して前記レンズカバーアセンブリを前記光軸方向に移動駆動し、
回転軸が前記減速ギア(10)に接続された前記ピニオンギア(8)と、前記減速ギア(10)との間に設けられたクラッチ(9)を更に含み、
ここで、前記モーター(11)の回転が前記減速ギア(10)に入力され、前記減速ギア(10)により回転数を落として増幅トルクを取得し、前記クラッチ(9)により前記増幅トルクを前記ピニオンギア(8)に伝達することを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラレンズアクチュエータであって、
前記クラッチ(9)は、
前記回転軸にはめ込まれた弾性体部材(91)と、
組み合わせる2つのクラッチ板(92)を含み、
2つの前記クラッチ板(92)の相対面には、噛み合う突起と溝が設けられ、
一方の前記クラッチ板(92)は、前記弾性体部材(91)の一端に当接して前記回転軸に接続し、他方の前記クラッチ板(92)は、前記減速ギア(10)に接続されていることを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラレンズアクチュエータであって、
前記クラッチ(9)は、
内部に前記弾性体部材(91)及び2つの前記クラッチ板(92)が設けられたクラッチケース(90)を更に含むことを特徴とするカメラレンズアクチュエータ。
【請求項4】
カメラレンズであって、
請求項1~3のいずれか一項に記載のカメラレンズアクチュエータを含み、
更に、
鏡筒(12)を含むレンズアセンブリと、
前記鏡筒(12)を前記カメラレンズの光軸方向に移動駆動するための鏡筒駆動アセンブリと、
前記鏡筒(12)の外部に設けられたレンズカバーアセンブリとを含み、
ここで、前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータに接続され、
前記レンズカバーアセンブリは、前記カメラレンズアクチュエータの駆動により前記光軸方向に移動することを特徴とするカメラレンズ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラレンズであって、
前記レンズカバーアセンブリは、
組み合わせるカバーガラス(1)とレンズカバー筐体(2)とを含み、
ここで、前記カメラレンズアクチュエータのラックギア(3)は、前記レンズカバー筐体(2)の外側面に設けられていることを特徴とするカメラレンズ。
【請求項6】
請求項4に記載のカメラレンズであって、
前記レンズカバーアセンブリと組み合わせて前記レンズアセンブリを収容し、内側面にシール溝が設けられたレンズフレーム(6)と、
前記シール溝内に位置するシールリング(5)とを更に含むことを特徴とするカメラレンズ。
【請求項7】
請求項4に記載のカメラレンズであって、
前記鏡筒駆動アセンブリは、
ピエゾモーター(14)及びピエゾモーター軸(16)を含み、
前記ピエゾモーター(14)と前記ピエゾモーター軸(16)の組み合わせにより、前記鏡筒(12)を前記光軸方向に移動駆動することを特徴とするカメラレンズ。
【請求項8】
請求項4に記載のカメラレンズであって、
前記レンズアセンブリは、
前記鏡筒(12)の両側にそれぞれ設けられたイメージセンサ(19)とOISアクチュエータ(13)を更に含むことを特徴とするカメラレンズ。
【請求項9】
請求項4に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項5に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項6に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項7に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項8に記載のカメラレンズを含むことを特徴とする電子機器。