(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093557
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】鋼管杭用ビット
(51)【国際特許分類】
E02D 5/72 20060101AFI20240702BHJP
E02D 5/56 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E02D5/72
E02D5/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210019
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】504125964
【氏名又は名称】菅野 雅浩
(71)【出願人】
【識別番号】519111246
【氏名又は名称】株式会社未来考行
(71)【出願人】
【識別番号】521068301
【氏名又は名称】合同会社エムパワー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅浩
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA11
2D041BA35
2D041CA05
2D041CB01
2D041CB06
2D041DB02
2D041DB14
(57)【要約】
【課題】地盤に埋設された鋼管杭による支持力を大きくすることができる鋼管杭用ビットを得る。
【解決手段】鋼管杭用ビットにおいて、ビット本体1の筒状部4には、筒状部4の外周面から筒状部4の内周面に達する貫通孔41が形成されている。補強プレート3は、貫通孔41に配置されている。筒状部4の内部に鋼管杭10が挿入された状態では、筒状部4の第1端部4aと鋼管杭10との間に溶接ビード20が設けられるとともに、補強プレート3と筒状部4との間に溶接ビード30が設けられている。溶接ビード20は、第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合し、溶接ビード30は、補強プレート3、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット本体と、
前記ビット本体に設けられている先端部材と、
前記ビット本体とは別部材となっている補強部材と
を備え、
前記ビット本体は、前記ビット本体の軸線と同軸に配置された筒状部と、前記筒状部の外周部に設けられた螺旋羽根部とを有しており、
前記筒状部の一端部は、第1端部となっており、
前記筒状部の他端部は、第2端部となっており、
前記筒状部には、前記筒状部の外周面から前記筒状部の内周面に達する貫通空間部が形成されており、
前記補強部材は、前記貫通空間部に配置されており、
前記先端部材は、前記第2端部に設けられており、
前記筒状部の内部に鋼管杭が挿入された状態では、前記第1端部と前記鋼管杭との間に第1溶接部が設けられるとともに、前記補強部材と前記筒状部との間に補強溶接部が設けられ、
前記第1溶接部は、前記第1端部及び前記鋼管杭を互いに接合し、
前記補強溶接部は、前記補強部材、前記筒状部及び前記鋼管杭を互いに接合する鋼管杭用ビット。
【請求項2】
前記貫通空間部は、前記第2端部に形成されているとともに、前記軸線に沿った方向における前記筒状部の外側へ開放されており、
前記先端部材は、前記ビット本体とは別部材となっており、
前記補強部材は、前記先端部材に固定されており、
前記筒状部の内部に前記鋼管杭が挿入された状態では、前記第2端部と前記先端部材との間に第2溶接部が設けられ、
前記第2溶接部は、前記第2端部及び前記先端部材を互いに接合する請求項1に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項3】
前記第2溶接部は、前記第2端部、前記先端部材及び前記鋼管杭を互いに接合する請求項2に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項4】
前記貫通空間部は、前記第1端部と前記第2端部との間の位置で、かつ前記第1端部よりも前記第2端部に近い位置で前記筒状部に形成されている請求項1に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項5】
ビット本体と、
前記ビット本体とは別部材となっている補強部材と
を備え、
前記ビット本体は、前記ビット本体の軸線と同軸に配置された筒状部と、前記筒状部の外周部に設けられた螺旋羽根部とを有しており、
前記筒状部の一端部は、第1端部となっており、
前記筒状部の他端部は、第2端部となっており、
前記筒状部には、前記筒状部の外周面から前記筒状部の内周面に達する貫通空間部が形成されており、
前記補強部材は、前記貫通空間部に配置されており、
前記筒状部の内部に鋼管杭が挿入された状態では、前記第1端部と前記鋼管杭との間に第1溶接部が設けられ、前記第2端部と前記鋼管杭との間に第2溶接部が設けられ、前記補強部材と前記筒状部との間に補強溶接部が設けられ、
前記第1溶接部は、前記第1端部及び前記鋼管杭を互いに接合し、
前記第2溶接部は、前記第2端部及び前記鋼管杭を互いに接合し、
前記補強溶接部は、前記補強部材、前記筒状部及び前記鋼管杭を互いに接合する鋼管杭用ビット。
【請求項6】
前記貫通空間部は、前記第2端部に形成されているとともに、前記軸線に沿った方向における前記筒状部の外側へ開放されている請求項5に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項7】
前記貫通空間部は、前記第1端部に形成されているとともに、前記軸線に沿った方向における前記筒状部の外側へ開放されている請求項1又は請求項5に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項8】
前記貫通空間部は、前記第1端部と前記第2端部との間の位置で前記筒状部に形成されている請求項1又は請求項5に記載の鋼管杭用ビット。
【請求項9】
前記ビット本体は、複数のビット部材が前記軸線に沿った方向へ並んで組み合わされることによって構成されており、
前記複数のビット部材のそれぞれは、単位筒状部材と、前記単位筒状部材の外周部に設けられた単位羽根部材とを有しており、
前記ビット本体では、複数の前記単位筒状部材が前記軸線に沿った方向へ並ぶことにより前記筒状部が形成されているとともに、複数の前記単位羽根部材が螺旋状に並ぶことにより前記螺旋羽根部が形成されている請求項1又は請求項5に記載の鋼管杭用ビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鋼管杭に接合される鋼管杭用ビットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎杭として地盤に埋設される鋼管杭を地盤中に貫入するために、螺旋羽根を持つ端部材を鋼管杭の先端に接合することが知られている。鋼管杭と端部材との接合は、鋼管杭と端部材との境界を全周溶接することにより行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されている従来の鋼管杭の端部材では、溶接部の長さを鋼管杭の全周の長さよりも長くすることができず、鋼管杭に対する端部材の接合強度を高めることができない。これにより、地盤に埋設された鋼管杭による支持力を大きくすることができない。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、地盤に埋設された鋼管杭による支持力を大きくすることができる鋼管杭用ビットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の鋼管杭用ビットは、ビット本体と、ビット本体に設けられている先端部材と、ビット本体とは別部材となっている補強部材とを備え、ビット本体は、ビット本体の軸線と同軸に配置された筒状部と、筒状部の外周部に設けられた螺旋羽根部とを有しており、筒状部の一端部は、第1端部となっており、筒状部の他端部は、第2端部となっており、筒状部には、筒状部の外周面から筒状部の内周面に達する貫通空間部が形成されており、補強部材は、貫通空間部に配置されており、先端部材は、第2端部に設けられており、筒状部の内部に鋼管杭が挿入された状態では、第1端部と鋼管杭との間に第1溶接部が設けられるとともに、補強部材と筒状部との間に補強溶接部が設けられ、第1溶接部は、第1端部及び鋼管杭を互いに接合し、補強溶接部は、補強部材、筒状部及び鋼管杭を互いに接合する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の鋼管杭用ビットによれば、地盤に埋設された鋼管杭による支持力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図2】
図1の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】実施の形態2による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図6】
図5の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図7】実施の形態3による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す縦断面図である。
【
図8】実施の形態4による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図9】
図8の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図10】
図8の複数の嵌合部を示す分解斜視図である。
【
図11】実施の形態5による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図12】
図11の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図13】実施の形態6による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す縦断面図である。
【
図15】実施の形態7による鋼管杭用ビットにおいて杭内固定部材が窪み部に挿入されている状態を示す断面図である。
【
図16】実施の形態8による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図17】
図16の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図18】実施の形態9による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図19】
図18の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
【
図20】実施の形態10による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【
図21】実施の形態11による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図2は、
図1の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。図において、鋼管杭10に接合される鋼管杭用ビットは、ビット本体1と、先端部材2と、補強プレート3と、複数の杭内固定部材101とを有している。
【0010】
ビット本体1は、筒状部4と、螺旋羽根部5とを有している。
【0011】
筒状部4の形状は、円筒状である。筒状部4は、ビット本体1の軸線Aと同軸に配置されている。筒状部4の一端部は第1端部4aとなっており、筒状部4の他端部は第2端部4bとなっている。
【0012】
螺旋羽根部5は、筒状部4の外周面に設けられている。また、螺旋羽根部5は、筒状部4を螺旋状に巻くように配置されている。螺旋羽根部5は、筒状部4の外周面から筒状部4の径方向外側へ突出している。
【0013】
螺旋羽根部5の肉厚は、筒状部4から離れるほど連続的に薄くなっている。また、
図2に示すように、軸線Aに沿って見たときの螺旋羽根部5の外径をD1とし、筒状部4の外径をD2とする。この場合、螺旋羽根部5の外径D1は、筒状部4の外径D2の3倍である。本実施の形態では、筒状部4の外径D2がφ132mm~φ760mmの範囲内の値となっており、螺旋羽根部5の外径D1がφ396mm~φ2280mmの範囲内の値となっている。
【0014】
先端部材2は、筒状部4の第2端部4bに設けられている。先端部材2は、第2端部4bに形成された円形状の開口部を塞いでいる。先端部材2の形状は、筒状部4から軸線Aに沿った方向の外側へ盛り上がるドーム状である。本実施の形態では、先端部材2が筒状部4と一体に形成されている。
【0015】
先端部材2には、複数の掘削刃6が設けられている。各掘削刃6は、先端部材2の露出面に設けられている。本実施の形態では、4つの掘削刃6が先端部材2に設けられている。
【0016】
第1端部4aには、鋼管杭10が通される円形状の開口部が形成されている。第1端部4aの形状は、開口部を囲む環状である。
【0017】
筒状部4には、貫通空間部としての貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、筒状部4の外周面から筒状部4の内周面に達している。これにより、貫通孔41は、筒状部4の径方向に沿って筒状部4の壁を貫通している。貫通孔41は、第1端部4aと第2端部4bとの間の位置で筒状部4に形成されている。本実施の形態では、第1端部4aよりも第2端部4bに近い位置で貫通孔41が筒状部4に形成されている。また、本実施の形態では、貫通孔41の形状が矩形状となっている。
【0018】
筒状部4の壁のうち、貫通孔41の周囲に沿った部分は、貫通周縁部4cとなっている。従って、貫通周縁部4cの形状は、貫通孔41を囲む枠状となっている。また、第1端部4aのうち、軸線Aに沿った方向の外側に面する環状部を第1端部4aの縁部分とする。この場合、第1端部4aの縁部分及び貫通周縁部4cのそれぞれの肉厚は、筒状部4の他の部分の肉厚である基準肉厚tよりも大きくなっている。これにより、第1端部4aの縁部分は、筒状部4の他の部分の内周面である基準内周面よりも筒状部4の全周にわたって筒状部4の径方向内側へ張り出している。また、貫通周縁部4cも、貫通孔41の全周にわたって筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。筒状部4の内径は、第1端部4aの縁部分の位置で最小である。本実施の形態では、筒状部4の基準肉厚tが15mm~35mmの範囲内の値となっている。
【0019】
鋼管杭10は、第1端部4aから先端部材2に向けて筒状部4の内部に挿入されている。鋼管杭10の外径は、筒状部4の最小の内径よりも小さくなっている。本実施の形態では、鋼管杭10の外径がφ101.6mm~φ609.6mmの範囲内の値となっている。
【0020】
鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入されている状態では、筒状部4の内周面と鋼管杭10の外周面との間に隙間が生じている。筒状部4の基準内周面と鋼管杭10の外周面との間に生じる隙間は、最大隙間dとなっている。本実施の形態では、最大隙間dが15mm~25mmの範囲内の値となっている。筒状部4の基準肉厚tに対する最大隙間dの比は、0.5~3.0の範囲内の値となっている。即ち、基準肉厚t:最大隙間d=1:(0.5~3.0の範囲内の値)の関係が成立している。
【0021】
第1端部4aの縁部分には、
図2に示すように、第1開先用斜面42が第1端部4aの全周にわたって形成されている。第1開先用斜面42は、軸線Aに対して傾斜している。また、第1開先用斜面42は、筒状部4の内部から軸線Aに沿って第1端部4aの外側に向かって軸線Aから離れる方向へ傾斜している。従って、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入されている状態では、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間に溶接用の開先が形成されている。本実施の形態では、第1開先用斜面42の形状が、軸線Aを中心とする円錐台の外周面の形状となっている。
【0022】
貫通周縁部4cには、貫通開先用斜面43が貫通周縁部4cの全周にわたって形成されている。貫通開先用斜面43は、貫通孔41の内側に露出している。また、貫通開先用斜面43は、筒状部4の内周面から筒状部4の外周面に向かって貫通孔41の大きさが拡大する方向へ筒状部4の内周面に対して傾斜している。
【0023】
ビット本体1は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、鋼管杭10に接合されている。鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間の開先には、開先を埋める溶接ビード20が第1溶接部として第1端部4aの全周にわたって設けられている。溶接ビード20は、第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合している。即ち、鋼管杭10と第1端部4aとの間には、第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード20が第1溶接部として設けられている。
【0024】
補強プレート3は、ビット本体1を補強する補強部材である。補強プレート3は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、貫通孔41に配置されている。補強プレート3の形状は、貫通孔41の形状に合わせて決められている。従って、本実施の形態では、補強プレート3の形状が矩形状となっている。
【0025】
ここで、
図4は、
図2の補強プレート3を示す斜視図である。補強プレート3は、補強板部3aと、補強縁部3bとを有している。補強板部3aは、筒状部4の外形に合わせて湾曲している。補強縁部3bは、補強板部3aの外周部に補強板部3aの全周にわたって設けられている。補強縁部3bは、補強板部3aの外周部から筒状部4の内部に向かって張り出している。
【0026】
補強縁部3bには、補強開先用斜面31が補強プレート3の全周にわたって形成されている。補強開先用斜面31は、補強プレート3の外周面に形成されている。補強開先用斜面31は、補強板部3aに対して傾斜している。補強開先用斜面31によって囲まれるスペースは、補強板部3aから補強縁部3bが張り出す方向へ連続的に拡大している。
【0027】
補強プレート3は、
図2及び
図3に示すように、補強開先用斜面31を貫通開先用斜面43に対向させた状態で貫通孔41に配置されている。これにより、補強縁部3bの補強開先用斜面31と貫通周縁部4cの貫通開先用斜面43との間には、溶接用の開先が形成されている。
【0028】
補強開先用斜面31と貫通開先用斜面43との間の開先には、開先を埋める溶接ビード30が補強溶接部として設けられている。溶接ビード30は、補強プレート3の全周にわたって設けられている。また、溶接ビード30は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、補強プレート3及び筒状部4だけでなく鋼管杭10も互いに接合している。即ち、補強プレート3と筒状部4との間には、補強プレート3、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード30が補強溶接部として設けられている。
【0029】
先端部材2には、
図2及び
図3に示すように、突出部21が設けられている。突出部21は、先端部材2から筒状部4の内部へ突出している。突出部21には、鋼管杭10の端部の内周部を受ける受け面22が形成されている。
【0030】
受け面22は、軸線Aに対して傾斜している。また、受け面22は、先端部材2から筒状部4の内部に向かって軸線Aに近づく方向へ傾斜している。本実施の形態では、受け面22の形状が、軸線Aを中心とする円錐台の外周面の形状となっている。これにより、内径が異なる複数の鋼管杭10のいずれに対しても、鋼管杭10の端部の内周部を受け面22によって受けることができる。
【0031】
ビット本体1、先端部材2、突出部21及び複数の掘削刃6は、一体の単一部品として形成されている。補強プレート3は、ビット本体1及び先端部材2とは別部材となっている。
【0032】
複数の杭内固定部材101は、鋼管杭10の内周面に固定されている。各杭内固定部材101は、鋼管杭10の内周面から鋼管杭10の径方向内側へ突出している。また、複数の杭内固定部材101は、鋼管杭10の周方向へ互いに離して配置されている。本実施の形態では、2つの杭内固定部材101が鋼管杭10の周方向へ等間隔に配置されている。即ち、本実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、2つの杭内固定部材101が鋼管杭10の中心線に関して対称位置に配置されている。
【0033】
各杭内固定部材101は、鋼管杭10の中心線に沿って配置されている。各杭内固定部材101は、鋼管杭10の端部に達している。本実施の形態では、各杭内固定部材101の形状が直方体となっている。
【0034】
突出部21には、杭内固定部材101が挿入される複数の窪み部23が形成されている。突出部21に形成されている窪み部23の数は、鋼管杭10に固定されている杭内固定部材101の数と同じである。複数の窪み部23は、筒状部4の周方向へ互いに離して配置されている。突出部21における複数の窪み部23の周方向位置は、鋼管杭10における複数の杭内固定部材101の周方向位置と一致している。
【0035】
各窪み部23の深さ方向は、軸線Aに沿った方向と一致している。また、筒状部4の周方向における各窪み部23の寸法は、鋼管杭10の周方向における各杭内固定部材101の寸法に合わせた寸法となっている。これにより、各杭内固定部材101が各窪み部23に挿入された状態では、鋼管杭10に対する先端部材2の回転が阻止される。
【0036】
鋼管杭10が第1端部4aから先端部材2に向けて筒状部4の内部に挿入されると、各杭内固定部材101が各窪み部23に軸線Aに沿った方向へ挿入されながら、鋼管杭10の端部の内周部が突出部21の受け面22に接触する。各杭内固定部材101が各窪み部23に挿入されると、鋼管杭10に対する先端部材2の回転が阻止される。
【0037】
次に、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合するときの手順について説明する。鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合するときには、まず筒状部4の内部に鋼管杭10を挿入する。このとき、筒状部4の第1端部4aから先端部材2に向けて鋼管杭10の端部を筒状部4の内部に挿入する。
【0038】
この後、各杭内固定部材101を各窪み部23に挿入しながら、鋼管杭10の端部の内周部を突出部21の受け面22に接触させる。これにより、鋼管杭10は、筒状部4の内部においてビット本体1の軸線Aに対して傾きにくくなる。また、各杭内固定部材101が各窪み部23に嵌ることにより、鋼管杭10に対する先端部材2の回転が阻止される。このとき、筒状部4の第1端部4aでは、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間に溶接用の開先が形成される。また、このとき、鋼管杭10の外周面の一部が筒状部4の内部から貫通孔41を通して筒状部4の外部に露出する。
【0039】
この後、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの全周にわたって溶接を行う。これにより、第1端部4aが鋼管杭10に接合される。
【0040】
この後、補強縁部3bを筒状部4の内部に向けて補強プレート3を貫通孔41に配置する。このとき、筒状部4の内部に挿入されている鋼管杭10の外周面に補強縁部3bを接触させる。これにより、補強プレート3の補強開先用斜面31と貫通周縁部4cの貫通開先用斜面43との間に溶接用の開先が形成される。
【0041】
この後、補強開先用斜面31と貫通開先用斜面43との間の開先に溶接ビード30を設けながら、補強プレート3の全周にわたって溶接を行う。これにより、貫通周縁部4c、補強プレート3及び鋼管杭10が互いに接合される。このようにして、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合する。
【0042】
鋼管杭10を地盤に貫入するときには、先端部材2を下方に向けて鋼管杭用ビットを地盤に押し込みながら、鋼管杭用ビットとともに鋼管杭10を回転させる。これにより、鋼管杭10は、地盤に貫入されて埋設される。
【0043】
このような鋼管杭用ビットでは、筒状部4に形成された貫通孔41に補強プレート3が配置されている。また、筒状部4の第1端部4aと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード20が第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合し、補強プレート3と筒状部4との間に設けられた溶接ビード30が補強プレート3、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。このため、第1溶接部としての溶接ビード20だけでなく、補強溶接部としての溶接ビード30によっても、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。これにより、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、補強プレート3によって筒状部4が補強されるため、筒状部4を変形しにくくすることができる。従って、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。
【0044】
また、貫通孔41は、第1端部4aと第2端部4bとの間の位置で筒状部4に形成されている。このため、貫通孔41の全周を囲むように貫通周縁部4cを形成することができる。これにより、補強プレート3が貫通孔41に配置された状態で、溶接ビード30を補強プレート3の全周にわたって設けることができる。従って、溶接ビード30の長さをさらに長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0045】
また、貫通孔41は、第1端部4aよりも第2端部4bに近い位置で筒状部4に形成されている。このため、第1溶接部としての溶接ビード20と、補強溶接部としての溶接ビード30との間の距離を大きくすることができる。これにより、鋼管杭10に対して鋼管杭用ビットを傾きにくくすることができる。
【0046】
また、鋼管杭10の外周部に溶接によって螺旋羽根を直接固定することも考えられるが、鋼管杭10に対する螺旋羽根の固定に要する手間が大きくなってしまう。これに対して、本実施の形態では、ビット本体1を用いることにより、鋼管杭10に対する螺旋羽根部5の形成を容易にすることができる。
【0047】
さらに、鋼管杭10の外径よりも大きい外径を持つ筒状部4に螺旋羽根部5を設けることができる。これにより、筒状部4の外径を基準にして螺旋羽根部5の外径の上限値を決定することができ、鋼管杭10の外周部に螺旋羽根を直接固定する場合よりも螺旋羽根部5の外径を大きくすることができる。従って、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。また、筒状部4の基準肉厚tに対する最大隙間dの比は、0.5~3.0の範囲内の値となっている。これにより、鋼管杭10の外径に対して十分に大きい筒状部4の外径をより確実に確保することができ、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに確実に大きくすることができる。
【0048】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図6は、
図5の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。筒状部4には、第1切欠き部44及び第2切欠き部45が形成されている。第1切欠き部44及び第2切欠き部45のそれぞれは、筒状部4の外周面から筒状部4の内周面に達する貫通空間部である。従って、第1切欠き部44及び第2切欠き部45のそれぞれは、筒状部4の径方向に沿って筒状部4の壁を貫通している。
【0049】
第1切欠き部44は、筒状部4の第1端部4aに形成されている。また、第1切欠き部44は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側へ開放されている。第2切欠き部45は、筒状部4の第2端部4bに形成されている。また、第2切欠き部45は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側へ開放されている。従って、第1切欠き部44及び第2切欠き部45は、軸線Aに沿った方向において互いに反対側へ開放されている。本実施の形態では、第1切欠き部44及び第2切欠き部45のそれぞれの形状が矩形状となっている。
【0050】
筒状部4の壁のうち、第1切欠き部44の周囲に沿った部分は、第1貫通周縁部4dとなっている。第1貫通周縁部4dの肉厚は、筒状部4の基準肉厚tよりも大きくなっている。これにより、第1貫通周縁部4dは、筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。
【0051】
第1貫通周縁部4dには、第1切欠き開先用斜面46が第1切欠き部44の周囲に沿って形成されている。第1切欠き開先用斜面46は、第1切欠き部44の内側に露出している。また、第1切欠き開先用斜面46は、筒状部4の内周面から筒状部4の外周面に向かって第1切欠き部44の大きさが拡大する方向へ筒状部4の内周面に対して傾斜している。
【0052】
筒状部4の壁のうち、第2切欠き部45の周囲に沿った部分は、第2貫通周縁部4eとなっている。第2貫通周縁部4eの肉厚は、筒状部4の基準肉厚よりも大きくなっている。これにより、第2貫通周縁部4eは、筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。
【0053】
第2貫通周縁部4eには、第2切欠き開先用斜面47が第2切欠き部45の周囲に沿って形成されている。第2切欠き開先用斜面47は、第2切欠き部45の内側に露出している。また、第2切欠き開先用斜面47は、筒状部4の内周面から筒状部4の外周面に向かって第2切欠き部45の大きさが拡大する方向へ筒状部4の内周面に対して傾斜している。
【0054】
鋼管杭用ビットは、第1補強プレート32及び第2補強プレート33を有している。第1補強プレート32及び第2補強プレート33のそれぞれは、ビット本体1を補強する補強部材である。第1補強プレート32及び第2補強プレート33のそれぞれは、ビット本体1とは別部材となっている。
【0055】
第1補強プレート32は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、第1切欠き部44に配置されている。第1補強プレート32の形状は、第1切欠き部44の形状に合わせて決められている。従って、本実施の形態では、第1補強プレート32の形状が矩形状となっている。
【0056】
第1補強プレート32は、補強板部32aと、補強縁部32bとを有している。補強板部32aは、筒状部4の外形に合わせて湾曲している。補強縁部32bは、補強板部32aの外周部から筒状部4の内部に向かって張り出している。
【0057】
補強縁部32bには、本体側開先用斜面34と、開放側開先用斜面35とが形成されている。本体側開先用斜面34及び開放側開先用斜面35は、第1補強プレート32の外周面に形成されている。本実施の形態では、矩形状の第1補強プレート32の4辺のうち、3辺に本体側開先用斜面34が形成されており、1辺に開放側開先用斜面35が形成されている。
【0058】
本体側開先用斜面34は、補強板部32aに対して傾斜している。また、本体側開先用斜面34は、第1切欠き開先用斜面46に対向している。これにより、本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間には、溶接用の開先が形成されている。本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間の開先の幅は、筒状部4の内側から筒状部4の外周面に向かって連続的に拡大している。
【0059】
本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間の開先には、開先を埋める溶接ビード40が補強溶接部として設けられている。溶接ビード40は、第1補強プレート32の周囲において第1貫通周縁部4dに沿って設けられている。また、溶接ビード40は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、第1補強プレート32及び筒状部4だけでなく鋼管杭10も互いに接合している。即ち、第1補強プレート32と筒状部4との間には、第1補強プレート32、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード40が補強溶接部として設けられている。
【0060】
開放側開先用斜面35は、軸線Aに沿った方向において筒状部4の外側に向いている。第1補強プレート32は、開放側開先用斜面35が筒状部4の周方向に沿って配置されるように、第1切欠き部44に配置されている。第1補強プレート32が第1切欠き部44に配置された状態では、開放側開先用斜面35と鋼管杭10の外周面との間に溶接用の開先が形成されている。開放側開先用斜面35が鋼管杭10の外周面に対して傾斜している。これにより、開放側開先用斜面35と鋼管杭10の外周面との間の開先の幅は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側に向かって連続的に拡大している。
【0061】
開放側開先用斜面35及び第1開先用斜面42は、筒状部4の周方向に沿った同一の円上に位置している。第1開先用斜面42と鋼管杭10の外周面との間の開先を埋める溶接ビード20は、開放側開先用斜面35と鋼管杭10の外周面との間の開先にも連続して設けられている。これにより、溶接ビード20は、鋼管杭10の全周にわたって設けられている。鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態では、溶接ビード20が第1端部4a、鋼管杭10及び第1補強プレート32を互いに接合している。
【0062】
先端部材2は、筒状部4と同軸に配置されている。先端部材2は、突出部21を筒状部4の内部に向けた状態で第2端部4bの開口部を塞いでいる。先端部材2の外周部には、先端開先用斜面24が形成されている。先端開先用斜面24は、先端部材2の軸線に対して傾斜している。
【0063】
先端開先用斜面24は、第2端部4bに形成された環状の端面に対向している。第2端部4bの端面と先端開先用斜面24との間には、溶接用の開先が形成されている。第2端部4bの端面と先端開先用斜面24との間の開先の幅は、筒状部4の径方向外側に向かって連続的に広がっている。
【0064】
第2端部4bの端面と先端開先用斜面24との間の開先には、開先を埋める溶接ビード50が第2溶接部として設けられている。溶接ビード50は、筒状部4の周方向に沿って設けられている。溶接ビード50は、第2端部4b及び先端部材2を互いに接合している。即ち、先端部材2と第2端部4bとの間には、先端部材2及び第2端部4bを互いに接合する溶接ビード50が第2溶接部として設けられている。
【0065】
第2補強プレート33は、先端部材2に固定されている。本実施の形態では、第2補強プレート33が先端部材2の外周部の一部に固定されている。また、本実施の形態では、第2補強プレート33、先端部材2、突出部21及び複数の掘削刃6が一体の単一部品として形成されている。
【0066】
第2補強プレート33は、先端部材2から筒状部4に向けて突出している。第2補強プレート33は、第2切欠き部45に配置されている。
【0067】
第2補強プレート33の形状は、第2切欠き部45の形状に合わせて決められている。従って、本実施の形態では、第2補強プレート33の形状が矩形状となっている。
【0068】
第2補強プレート33は、補強板部33aと、補強縁部33bとを有している。補強板部33aは、筒状部4の外形に合わせて湾曲している。補強板部33aの外周部の一部は、先端部材2に固定されている。補強縁部33bは、補強板部33aの外周部のうち、先端部材2に固定された部分を除く外周部から筒状部4の内部に向かって張り出している。
【0069】
補強縁部33bには、本体側開先用斜面36が形成されている。本体側開先用斜面36は、第2補強プレート33の外周面に形成されている。本実施の形態では、矩形状の第2補強プレート33の4辺のうち、1辺が先端部材2に固定されており、3辺に本体側開先用斜面36が形成されている。
【0070】
本体側開先用斜面36は、補強板部33aに対して傾斜している。また、本体側開先用斜面36は、第2切欠き開先用斜面47に対向している。これにより、本体側開先用斜面36と第2切欠き開先用斜面47との間には、溶接用の開先が形成されている。本体側開先用斜面36と第2切欠き開先用斜面47との間の開先の幅は、筒状部4の内側から筒状部4の外周面に向かって連続的に拡大している。
【0071】
本体側開先用斜面36と第2切欠き開先用斜面47との間の開先には、開先を埋める溶接ビード60が補強溶接部として設けられている。溶接ビード60は、第2補強プレート33の周囲において第2貫通周縁部4eに沿って設けられている。また、溶接ビード60は、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、第2補強プレート33及び筒状部4だけでなく鋼管杭10も互いに接合している。即ち、第2補強プレート33と筒状部4との間には、第2補強プレート33、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード60が補強溶接部として設けられている。本実施の形態では、溶接ビード50及び溶接ビード60が互いに繋がっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
次に、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合するときの手順について説明する。まず筒状部4の第2端部4bの開口部を塞ぐ位置に先端部材2を配置する。このとき、第2補強プレート33を第2切欠き部45に配置する。これにより、先端部材2の先端開先用斜面24と第2端部4bの端面との間に溶接用の開先が形成され、第2補強プレート33の本体側開先用斜面36と第2貫通周縁部4eの第2切欠き開先用斜面47との間にも溶接用の開先が形成される。
【0073】
この後、筒状部4の内部に鋼管杭10を挿入する。このとき、筒状部4の第1端部4aから先端部材2に向けて鋼管杭10を筒状部4の内部に挿入する。これにより、鋼管杭10の端部の内周部が突出部21の受け面22に接触し、各杭内固定部材101が各窪み部23に挿入された状態になる。
【0074】
この後、先端部材2の先端開先用斜面24と第2端部4bの端面との間の開先に溶接ビード50を設けながら、第2端部4bの周方向に沿って溶接を行う。これにより、先端部材2及び第2端部4bが互いに接合される。また、第2補強プレート33の本体側開先用斜面36と第2貫通周縁部4eの第2切欠き開先用斜面47との間の開先に溶接ビード60を設けながら、第2貫通周縁部4eに沿って溶接を行う。これにより、筒状部4、第2補強プレート33及び鋼管杭10が互いに接合される。
【0075】
この後、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの周方向に沿って溶接を行う。これにより、第1端部4a及び鋼管杭10が互いに接合される。
【0076】
この後、補強縁部32bを筒状部4の内部に向けて第1補強プレート32を第1切欠き部44に配置する。このとき、本体側開先用斜面34を第1切欠き開先用斜面46に対向させ、かつ、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側に開放側開先用斜面35を向けて、第1補強プレート32を配置する。これにより、本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間に溶接用の開先が形成されるとともに、開放側開先用斜面35と鋼管杭10の外周面との間にも溶接用の開先が形成される。
【0077】
この後、鋼管杭10の外周面と開放側開先用斜面35との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの周方向に沿って溶接を行う。また、本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間の開先にも溶接ビード40を設けながら、第1貫通周縁部4dに沿って溶接を行う。これにより、筒状部4、第1補強プレート32及び鋼管杭10が互いに接合される。このようにして、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合する。鋼管杭10を地盤に貫入するときの手順は、実施の形態1と同様である。
【0078】
このような鋼管杭用ビットでは、筒状部4の第1端部4aに形成された第1切欠き部44に第1補強プレート32が配置されている。また、筒状部4の第1端部4aと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード20が第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合し、第1補強プレート32と筒状部4との間に設けられた溶接ビード40が第1補強プレート32、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。このため、溶接ビード20だけでなく、溶接ビード40によっても、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。これにより、第1補強プレート32を迂回するように溶接ビード40を設けることができ、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができる。従って、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、第1補強プレート32によって筒状部4が補強されるため、筒状部4を変形しにくくすることができる。従って、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。
【0079】
さらに、第1切欠き部44は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側に開放されている。これにより、筒状部4に第1切欠き部44を容易に形成することもできる。
【0080】
また、ビット本体1と別部材となっている先端部材2には、第2補強プレート33が固定されている。第2補強プレート33は、筒状部4の第2端部4bに形成された第2切欠き部45に配置されている。第2補強プレート33と筒状部4との間に設けられた溶接ビード60は、第2補強プレート33、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。このため、溶接ビード20及び溶接ビード40だけでなく、溶接ビード60によっても、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。これにより、第2補強プレート33を迂回するように溶接ビード60を設けることができ、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができる。従って、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、第2補強プレート33によって筒状部4が補強されるため、筒状部4を変形しにくくすることができる。従って、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。
【0081】
さらに、第2切欠き部45は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側に開放されている。これにより、筒状部4に第2切欠き部45を容易に形成することもできる。また、第2補強プレート33が先端部材2に固定された状態で第2補強プレート33を第2切欠き部45に容易に配置することもでき、鋼管杭10に対して鋼管杭用ビットを接合する作業を容易にすることができる。
【0082】
実施の形態3.
実施の形態2では、第2端部4b及び先端部材2が溶接ビード50によって鋼管杭10に接合されていない。しかし、溶接ビード50が第2端部4b、先端部材2及び鋼管杭10を互いに接合していてもよい。
【0083】
即ち、
図7は、実施の形態3による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す縦断面図である。
図7は、実施の形態2における
図6に対応する図である。第2端部4bのうち、軸線Aに沿った方向の外側に面する環状部を第2端部4bの縁部分とする。第2端部4bの縁部分の肉厚は、筒状部4の基準肉厚tよりも大きくなっている。これにより、第2端部4bの縁部分は、筒状部4の全周にわたって筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。
【0084】
第2端部4bの縁部分には、先端部材側開先用斜面49が第2端部4bの全周にわたって形成されている。先端部材側開先用斜面49は、軸線Aに対して傾斜している。また、先端部材側開先用斜面49は、筒状部4の外周面から軸線Aに沿って第2端部4bの外側に向かって軸線Aに近づく方向へ傾斜している。
【0085】
先端部材2が第2端部4bの開口部を塞いでいる状態では、先端部材側開先用斜面49が先端部材2の先端開先用斜面24に対向している。先端部材側開先用斜面49と先端開先用斜面24との間には、溶接用の開先が形成されている。先端部材側開先用斜面49と先端開先用斜面24との間の開先の幅は、筒状部4の径方向外側に向かって連続的に広がっている。
【0086】
第2溶接部としての溶接ビード50は、先端部材側開先用斜面49と先端開先用斜面24との間の開先に設けられている。溶接ビード50は、筒状部4の周方向に沿って設けられている。溶接ビード50は、第2端部4b、先端部材2及び鋼管杭10を互いに接合している。即ち、先端部材2と第2端部4bとの間には、先端部材2、第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード50が第2溶接部として設けられている。他の構成は、実施の形態2と同様である。また、ビット本体1及び先端部材2を鋼管杭10に接合するときの手順は、実施の形態2と同様である。
【0087】
このような鋼管杭用ビットでは、筒状部4の第2端部4bとの間に設けられた溶接ビード50が先端部材2、第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合している。このため、溶接ビード20、溶接ビード40及び溶接ビード60だけでなく、溶接ビード50によっても、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。これにより、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0088】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図9は、
図8の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。ビット本体1は、複数のビット部材としての第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされることによって構成されている。第1ビット部材11及び第2ビット部材12は、軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされている。第1ビット部材11は、第2ビット部材12とは別部材である。
【0089】
第1ビット部材11は、単位筒状部材111と、単位羽根部材112とを有している。単位筒状部材111の形状は、円筒状である。単位筒状部材111は、軸線Aと同軸に配置されている。単位羽根部材112は、単位筒状部材111を螺旋状に巻くように配置されている。単位羽根部材112は、単位筒状部材111の外周部から単位筒状部材111の径方向外側へ突出している。
【0090】
第2ビット部材12は、単位筒状部材121と、単位羽根部材122とを有している。単位筒状部材121の形状は、円筒状である。単位筒状部材121は、軸線Aと同軸に配置されている。単位羽根部材122は、単位筒状部材121を螺旋状に巻くように配置されている。単位羽根部材122は、単位筒状部材121の外周部から単位筒状部材121の径方向外側へ突出している。
【0091】
各単位筒状部材111,121の外径は、すべて同じである。ビット本体1では、単位筒状部材111及び単位筒状部材121が複数の単位筒状部材として軸線Aに沿った方向へ並ぶことにより筒状部4が形成されている。また、ビット本体1では、単位羽根部材112及び単位羽根部材122が複数の単位羽根部材として螺旋状に並ぶことにより螺旋羽根部5が形成されている。螺旋羽根部5では、単位羽根部材112及び単位羽根部材122が段差を形成することなく滑らかに連続している。
【0092】
貫通孔41は、第1端部4aと第2端部4bとの間の位置で第2ビット部材12に形成されている。また、貫通孔41は、第1端部4aよりも第2端部4bに近い位置で第2ビット部材12に形成されている。補強プレート3は、貫通孔41に配置されている。補強プレート3と筒状部4との間には、補強プレート3、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード30が補強溶接部として設けられている。貫通孔41、補強プレート3及び溶接ビード30のそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。
【0093】
軸線Aを含む平面におけるビット本体1の断面では、
図9に示すように、螺旋羽根部5が複数の羽根断面部5aとして表れている。ここで、軸線Aに沿った方向において互いに隣り合う2つの羽根断面部5aの端部間の距離を、軸線Aに沿った方向における螺旋羽根部5の螺旋ピッチとする。この場合、軸線Aに沿った方向における螺旋羽根部5の螺旋ピッチは、螺旋羽根部5において第1端部4aに近い箇所ほど大きくなっている。
【0094】
具体的には、
図9において、互いに隣り合う2つの羽根断面部5aの間の螺旋ピッチを、第1端部4aから第2端部4bに向かって順に第1螺旋ピッチP1及び第2螺旋ピッチP2とする。この場合、ビット本体1では、第1螺旋ピッチP1が第2螺旋ピッチP2よりも大きくなっている。即ち、P1>P2の関係が成立している。
【0095】
第1ビット部材11と第2ビット部材12との境界では、第1ビット部材11に形成された第1対向面113と、第2ビット部材12に形成された第2対向面123とが互いに対向している。
【0096】
本実施の形態では、単位筒状部材111及び単位羽根部材112に連続して形成された単一の平面が第1対向面113となっている。また、本実施の形態では、単位筒状部材121及び単位羽根部材122に連続して形成された単一の平面が第2対向面123となっている。第1対向面113及び第2対向面123のそれぞれは、軸線Aに直交する平面である。
【0097】
第1ビット部材11では、単位筒状部材111の両端部のうち、一端部が第1端部4aとなっており、他端部が境界側端部111aとなっている。第1対向面113は、境界側端部111aに形成されている。第1端部4a及び境界側端部111aのそれぞれの肉厚は、単位筒状部材111における他の部分の肉厚、即ち基準肉厚よりも大きくなっている。従って、第1端部4a及び境界側端部111aのそれぞれの内周部は、単位筒状部材111における他の部分の内周面、即ち基準内周面よりも単位筒状部材111の径方向内側へ張り出している。
【0098】
第2ビット部材12では、単位筒状部材121の両端部のうち、一端部が第2端部4bとなっており、他端部が境界側端部121aとなっている。先端部材2は、第2端部4bに設けられている。第2対向面123は、境界側端部121aに形成されている。
【0099】
第2端部4b及び境界側端部121aのそれぞれの肉厚は、単位筒状部材121における基準肉厚よりも大きくなっている。従って、第2端部4b及び境界側端部121aのそれぞれの内周部は、単位筒状部材121における基準内周面よりも単位筒状部材121の径方向内側へ張り出している。
【0100】
互いに隣り合う2つのビット部材である第1ビット部材11及び第2ビット部材12の間には、
図8に示すように、複数の嵌合部13が設けられている。各嵌合部13は、凸部131と、凹部132とを有している。凸部131は、第2ビット部材12から突出している。凹部132は、第1ビット部材11に形成されている。各嵌合部13では、凸部131が凹部132に嵌っている。
【0101】
図10は、
図8の複数の嵌合部13を示す分解斜視図である。なお、
図10では、螺旋羽根部5の図示を省略している。複数の嵌合部13のそれぞれの位置は、筒状部4の周方向へ互いに離れた位置である。本実施の形態では、2つの嵌合部13が筒状部4の周方向へ等間隔に設けられている。
【0102】
各嵌合部13では、凸部131が第2対向面123から軸線Aに沿った方向へ突出している。各凸部131の形状は、単位筒状部材111の外周面に合わせて湾曲した矩形状となっている。
【0103】
また、各嵌合部13では、凹部132が第1対向面113に形成されている。各凹部132の位置は、筒状部4の周方向において、各凸部131の位置と一致している。各凹部132の形状は、各凸部131の形状に合わせた矩形状となっている。
【0104】
ビット本体1では、各嵌合部13において凸部131が凹部132に嵌ることにより、第1ビット部材11が第2ビット部材12に対して回転することが阻止される。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0105】
次に、鋼管杭用ビットを鋼管杭10に接合するときの手順について説明する。まず、第1ビット部材11及び第2ビット部材12を組み合わせてビット本体1を予め作製しておく。この後、ビット本体1を鋼管杭10に接合する。ビット本体1を鋼管杭10に接合するときの手順は、実施の形態1と同様である。
【0106】
このような鋼管杭用ビットでは、第1ビット部材11及び第2ビット部材12が軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされることによってビット本体1が構成されている。このため、軸線Aに沿った方向におけるビット本体1の範囲を鋼管杭10に対して拡大することができる。これにより、ビット本体1が接合された鋼管杭10を地盤に埋設した場合、螺旋羽根部5の範囲の拡大によって鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。
【0107】
また、第1ビット部材11及び第2ビット部材12の各ビット部材の長さを調整することにより、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力の大きさを容易に調整することもできる。
【0108】
また、第1ビット部材11と第2ビット部材12との間には、嵌合部13が設けられている。このため、第1ビット部材11に対する第2ビット部材12の回転を嵌合部13によって阻止することができる。これにより、ビット本体1を一体として回転させることができ、地盤中に鋼管杭10をより確実に貫入させることができる。
【0109】
また、軸線Aに沿った方向における螺旋羽根部5の螺旋ピッチは、螺旋羽根部5において第1端部4aに近い箇所ほど大きくなっている。このため、螺旋羽根部5に沿って形成された螺旋状の空間を第1端部4aに近づくほど拡大させることができる。これにより、鋼管杭10がビット本体1と一体に回転しながら地盤中に貫入するときに、螺旋羽根部5における螺旋状の空間に入っている土が第1端部4a側、即ち上側へ送られて排出されやすくすることができる。従って、ビット本体1が地盤から受ける抵抗力を小さくすることができ、鋼管杭10を地盤に貫入させやすくすることができる。
【0110】
また、境界側端部111a及び境界側端部121aのそれぞれの内周部は、単位筒状部材111及び単位筒状部材121のそれぞれの基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。このため、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態で、境界側端部111a及び境界側端部121aのそれぞれと、鋼管杭10の外周面との間の隙間を小さくすることができる。これにより、第1ビット部材11及び第2ビット部材12のそれぞれを筒状部4の軸線Aに対して傾きにくくすることができる。従って、ビット本体1が地盤から受ける抵抗力をさらに小さくすることができ、鋼管杭10を地盤に貫入させやすくすることができる。
【0111】
また、第1ビット部材11と第2ビット部材12との境界において互いに対向する第1対向面113及び第2対向面123のそれぞれは、軸線Aに直交する平面となっている。このため、第1対向面113及び第2対向面123のそれぞれを容易に形成することができ、第1ビット部材11及び第2ビット部材12のそれぞれを容易に作製することができる。また、第1ビット部材11及び第2ビット部材12を組み合わせる作業も容易にすることができる。
【0112】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図12は、
図11の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。本実施の形態における鋼管杭用ビットの構成は、ビット本体1が第1ビット部材11及び第2ビット部材12に分割されていることを除いて、実施の形態2と同様である。
【0113】
ビット本体1の構成は、実施の形態4と同様である。これにより、ビット本体1は、複数のビット部材としての第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされることによって構成されている。第1ビット部材11及び第2ビット部材12は、軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされている。第1切欠き部44は、第1ビット部材11に設けられている。第2切欠き部45は、第2ビット部材12に設けられている。
【0114】
次に、鋼管杭用ビットを鋼管杭10に接合するときの手順について説明する。まず、第1ビット部材11及び第2ビット部材12を組み合わせてビット本体1を予め作製するとともに、ビット本体1に先端部材2を予め組み合わせておく。この後、ビット本体1及び先端部材2を鋼管杭10に接合する。ビット本体1及び先端部材2を鋼管杭10に接合するときの手順は、実施の形態2と同様である。
【0115】
このように、実施の形態5によるビット本体1において第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされた構成となっている。このため、実施の形態2による効果に加えて、実施の形態4による効果を得ることができる。即ち、実施の形態2と同様に、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、実施の形態4と同様に、軸線Aに沿った方向におけるビット本体1の範囲を鋼管杭10に対して拡大することができる。これにより、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。
【0116】
実施の形態6.
図13は、実施の形態6による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す縦断面図である。
図14は、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。鋼管杭10の内周面に固定されている杭内固定部材101の数は、1つである。杭内固定部材101は、鋼管杭10の端部に配置されている。杭内固定部材101は、複数の固定端部101aと、連結部101bとを有している。本実施の形態では、杭内固定部材101における固定端部101aの数が2つとなっている。
【0117】
2つの固定端部101aは、鋼管杭10の周方向における互いに異なる位置で鋼管杭10の内周面に固定されている。本実施の形態では、
図14に示すように、鋼管杭10の中心線に関して対称位置に2つの固定端部101aが位置している。また、本実施の形態では、各固定端部101aが溶接によって鋼管杭10の内周面に固定されている。
【0118】
連結部101bは、2つの固定端部101aに繋がっている。連結部101bは、2つの固定端部101aと一体になっている。連結部101bは、2つの固定端部101aの一方から他方へ延びている。また、連結部101bは、2つの固定端部101a同士を結ぶ直線上に配置されている。本実施の形態では、鋼管杭10の中心線に直交して配置された直線状の棒状部材が杭内固定部材101として鋼管杭10の内周面に固定されている。杭内固定部材101としては、断面四角形の角棒、断面円形の丸棒などが用いられている。
【0119】
突出部21には、杭内固定部材101が挿入される窪み部23が形成されている。窪み部23の深さ方向は、軸線Aに沿った方向と一致している。窪み部23の形状は、杭内固定部材101の形状に合わせた形状となっている。また、窪み部23の寸法は、杭内固定部材101の寸法に合わせた寸法となっている。これにより、本実施の形態では、窪み部23が軸線Aに直交する溝となっている。杭内固定部材101が窪み部23に挿入された状態では、鋼管杭10に対するビット本体1の回転が阻止される。
【0120】
鋼管杭10が第1端部4aから先端部材2に向けて筒状部4の内部に挿入されると、杭内固定部材101が窪み部23に軸線Aに沿った方向へ挿入されながら、鋼管杭10の端部の内周部が突出部21の受け面22に接触する。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0121】
このような鋼管杭用ビットでは、複数の固定端部101aが鋼管杭10の周方向における互いに異なる位置で鋼管杭10の内周面に固定されており、連結部101bが複数の固定端部101aに繋がっている。このため、鋼管杭10の内周面に対する杭内固定部材101の固定状態を安定させることができるとともに、杭内固定部材101が窪み部23に挿入される範囲を拡大することができる。これにより、鋼管杭10に対するビット本体1の回転をさらに確実に阻止することができる。従って、鋼管杭10をさらに確実に変形しにくくすることができるとともに、筒状部4の内部において鋼管杭10をさらに確実に傾きにくくすることができる。また、杭内固定部材101の形状が直線状の棒状部材であり、窪み部23が直線状の溝である。このため、杭内固定部材101の製造、及び突出部21に対する窪み部23の形成を容易にすることができる。
【0122】
実施の形態7.
図15は、実施の形態7による鋼管杭用ビットにおいて杭内固定部材が窪み部に挿入されている状態を示す断面図である。なお、
図15は、実施の形態6における
図14に対応する図である。本実施の形態では、杭内固定部材101における固定端部101aの数が4つとなっている。4つの固定端部101aは、鋼管杭10の周方向における互いに異なる位置で鋼管杭10の内周面に固定されている。本実施の形態では、4つの固定端部101aが鋼管杭10の周方向へ等間隔に配置されている。また、本実施の形態では、各固定端部101aが溶接によって鋼管杭10の内周面に固定されている。
【0123】
連結部101bは、4つの固定端部101aに繋がっている。これにより、連結部101bは、4つの固定端部101aと一体になっている。杭内固定部材101は、2本の棒状部が交差して組み合わされたX形状の部材である。杭内固定部材101を構成する2本の棒状部としては、断面四角形の角棒、断面円形の丸棒などが挙げられる。4つの固定端部101aは、連結部101bのX形状における4つの端部に個別に繋がっている。
【0124】
突出部21には、杭内固定部材101が挿入される窪み部23が形成されている。窪み部23の深さ方向は、軸線Aに沿った方向と一致している。窪み部23は、軸線Aに沿って見たとき、杭内固定部材101の形状に合わせたX形状の溝となっている。また、窪み部23の寸法は、杭内固定部材101の寸法に合わせた寸法となっている。杭内固定部材101が窪み部23に挿入された状態では、鋼管杭10に対するビット本体1の回転が阻止される。本実施の形態における他の構成は、実施の形態6と同様である。
【0125】
このような鋼管杭用ビットでは、杭内固定部材101の形状がX形状であり、窪み部23がX形状の溝である。このため、鋼管杭10の内周面に対する杭内固定部材101の固定状態をさらに安定させることができるとともに、杭内固定部材101が窪み部23に挿入される範囲をさらに拡大することができる。これにより、鋼管杭10に対するビット本体1の回転をさらに確実に阻止することができる。
【0126】
実施の形態8.
図16は、実施の形態8による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図17は、
図16の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。鋼管杭用ビットは、ビット本体1と、補強プレート3とを有している。本実施の形態では、先端部材2及び杭内固定部材101が鋼管杭用ビットに含まれていない。
【0127】
鋼管杭10は、ビット本体1の筒状部4の内部に挿入されている。筒状部4の内部には、鋼管杭10の中間部が挿入されている。これにより、鋼管杭10は、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれから筒状部4の両側へ出た状態で筒状部4の内部に挿入されている。鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入されている状態では、鋼管杭10が軸線Aに沿って配置されている。
【0128】
ビット本体1の構成は、第2端部4bの構成を除いて、実施の形態1と同様である。ここで、第2端部4bのうち、軸線Aに沿った方向の外側に面する環状部を第2端部4bの縁部分とする。この場合、第1端部4aの縁部分、第2端部4bの縁部分及び貫通周縁部4cのそれぞれの肉厚は、
図17に示すように、筒状部4の基準肉厚tよりも大きくなっている。これにより、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれの縁部分は、筒状部4の全周にわたって筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。また、貫通周縁部4cも、貫通孔41の全周にわたって筒状部4の基準内周面よりも筒状部4の径方向内側へ張り出している。従って、筒状部4の内径は、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれの縁部分の位置で最小である。
【0129】
第2端部4bの縁部分には、
図17に示すように、第2開先用斜面48が第2端部4bの全周にわたって形成されている。第2開先用斜面48は、軸線Aに対して傾斜している。また、第2開先用斜面48は、筒状部4の内部から軸線Aに沿って第2端部4bの外側に向かって軸線Aから離れる方向へ傾斜している。従って、鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入されている状態では、鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間に溶接用の開先が形成されている。本実施の形態では、第2開先用斜面48の形状が、軸線Aを中心とする円錐台の外周面の形状となっている。
【0130】
鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間の開先には、開先を埋める溶接ビード70が第2溶接部として第2端部4bの全周にわたって設けられている。溶接ビード70は、第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合している。即ち、鋼管杭10と第2端部4bとの間には、第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード70が第2溶接部として設けられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0131】
次に、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合するときの手順について説明する。本実施の形態では、鋼管杭10の中間部に鋼管杭用ビットを接合する。鋼管杭10の中間部に鋼管杭用ビットを接合するときには、まず筒状部4の内部に鋼管杭10の中間部を挿入する。このとき、鋼管杭10を筒状部4の内部に挿入した状態で、筒状部4の位置を鋼管杭10の中間部の位置に移動させる。これにより、筒状部4の第1端部4aでは、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間に溶接用の開先が形成される。また、筒状部4の第2端部4bでは、鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間に溶接用の開先が形成される。
【0132】
この後、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの全周にわたって溶接を行う。また、鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間の開先に溶接ビード70を設けながら、第2端部4bの全周にわたって溶接を行う。これにより、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれが鋼管杭10に接合される。
【0133】
この後、実施の形態1と同様にして補強プレート3を貫通孔41に配置する。この後の手順は、実施の形態1と同様である。このようにして、鋼管杭10の中間部に鋼管杭用ビットを接合する。
【0134】
鋼管杭10を地盤に貫入する場合、先端部材2がビット本体1に設けられた実施の形態1による鋼管杭用ビットを鋼管杭10の端部に予め接合しておく。また、鋼管杭10の中間部には、本実施の形態による鋼管杭用ビットを予め接合しておく。
【0135】
鋼管杭10を地盤に貫入するときには、先端部材2を下方に向けて実施の形態1による鋼管杭用ビットを地盤に押し込みながら、鋼管杭10を回転させる。これにより、鋼管杭10は、地盤に貫入される。
【0136】
この後、鋼管杭10をさらに回転させることにより、地盤に貫入される鋼管杭10の深さが深くなり、鋼管杭10の中間部に接合された本実施の形態による鋼管杭用ビットが地盤に埋設される。地盤に埋設された本実施の形態による鋼管杭用ビットは、鋼管杭10の埋設深さの調整によって、地盤における硬い支持層に配置される。
【0137】
このような鋼管杭用ビットでは、筒状部4の第1端部4aと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード20が第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合し、筒状部4の第2端部4bと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード70が第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合する。また、補強プレート3と筒状部4との間に設けられた溶接ビード30が補強プレート3、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。このため、第1溶接部としての溶接ビード20、補強溶接部としての溶接ビード30、及び第2溶接部としての溶接ビード70のそれぞれによって、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。これにより、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、補強プレート3によって筒状部4が補強されるため、筒状部4を変形しにくくすることができる。従って、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。さらに、鋼管杭10の中間部に鋼管杭用ビットを接合することができる。これにより、地盤における硬い層に鋼管杭用ビットの位置を調整することができる。従って、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。
【0138】
なお、複数の鋼管杭を継ぎ足しながら杭を延長させる場合には、地盤に埋設された鋼管杭に継ぎ足す追加の鋼管杭10の中間部に本実施の形態による鋼管杭用ビットを接合してもよい。
【0139】
実施の形態9.
図18は、実施の形態9による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。
図19は、
図18の鋼管杭用ビット及び鋼管杭を示す縦断面図である。鋼管杭用ビットは、ビット本体1と、第1補強プレート32と、第2補強プレート33とを有している。本実施の形態では、先端部材2及び杭内固定部材101が鋼管杭用ビットに含まれていない。
【0140】
鋼管杭10は、ビット本体1の筒状部4の内部に挿入されている。筒状部4の内部には、実施の形態8と同様に、鋼管杭10の中間部が挿入されている。これにより、鋼管杭10は、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれから筒状部4の両側へ出た状態で筒状部4の内部に挿入されている。鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入されている状態では、鋼管杭10が軸線Aに沿って配置されている。
【0141】
ビット本体1の構成は、第2端部4bの構成を除いて、実施の形態2と同様である。また、第2端部4bの構成は、実施の形態8と同様である。
【0142】
第2端部4bの縁部分には、
図19に示すように、第2開先用斜面48が第2端部4bの周方向に沿って形成されている。第2開先用斜面48の構成も、実施の形態8と同様である。
【0143】
第1補強プレート32は、第1切欠き部44に配置されている。第1補強プレート32の構成は、実施の形態2と同様である。
【0144】
第2補強プレート33は、第2切欠き部45に配置されている。第2補強プレート33は、補強板部33aと、補強縁部33bとを有している。補強板部33aは、筒状部4の外形に合わせて湾曲している。補強縁部33bは、補強板部33aの外周部から筒状部4の内部に向かって張り出している。
【0145】
補強縁部33bには、本体側開先用斜面36と、開放側開先用斜面37とが形成されている。本体側開先用斜面36及び開放側開先用斜面37は、第2補強プレート33の外周面に形成されている。本実施の形態では、矩形状の第2補強プレート33の4辺のうち、3辺に本体側開先用斜面36が形成されており、1辺に開放側開先用斜面37が形成されている。本体側開先用斜面36の構成は、実施の形態2と同様である。
【0146】
本体側開先用斜面36と第2切欠き開先用斜面47との間の開先には、開先を埋める溶接ビード60が補強溶接部として設けられている。溶接ビード60の構成は、実施の形態2と同様である。従って、第2補強プレート33と筒状部4との間には、第2補強プレート33、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する溶接ビード60が補強溶接部として設けられている。
【0147】
開放側開先用斜面37は、軸線Aに沿った方向において筒状部4の外側に向いている。第2補強プレート33は、開放側開先用斜面37が筒状部4の周方向に沿って配置されるように、第2切欠き部45に配置されている。第2補強プレート33が第2切欠き部45に配置された状態では、開放側開先用斜面37と鋼管杭10の外周面との間に溶接用の開先が形成されている。開放側開先用斜面37が鋼管杭10の外周面に対して傾斜している。これにより、開放側開先用斜面37と鋼管杭10の外周面との間の開先の幅は、軸線Aに沿った方向における筒状部4の外側に向かって連続的に拡大している。
【0148】
開放側開先用斜面37及び第2開先用斜面48は、筒状部4の周方向に沿った同一の円上に位置している。第2開先用斜面48と鋼管杭10の外周面との間の開先を埋める第2溶接部としての溶接ビード70は、開放側開先用斜面37と鋼管杭10の外周面との間の開先にも連続して設けられている。これにより、溶接ビード70は、鋼管杭10の全周にわたって設けられている。鋼管杭10が筒状部4の内部に挿入された状態では、溶接ビード70が第2端部4b、鋼管杭10及び第2補強プレート33を互いに接合している。本実施の形態では、溶接ビード70及び溶接ビード60が互いに繋がっている。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0149】
次に、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合するときの手順について説明する。本実施の形態では、鋼管杭10の中間部にビット本体1を接合する。鋼管杭10の中間部にビット本体1を接合するときには、実施の形態8と同様にして、筒状部4の内部に鋼管杭10の中間部を挿入する。これにより、筒状部4の第1端部4aでは、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間に溶接用の開先が形成される。また、筒状部4の第2端部4bでは、鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間に溶接用の開先が形成される。
【0150】
この後、実施の形態8と同様にして、鋼管杭10の外周面と第1開先用斜面42との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの周方向に沿って溶接を行う。また、鋼管杭10の外周面と第2開先用斜面48との間の開先に溶接ビード70を設けながら、第2端部4bの周方向に沿って溶接を行う。これにより、第1端部4a及び第2端部4bのそれぞれが鋼管杭10に接合される。
【0151】
この後、実施の形態2と同様にして、第1補強プレート32を第1切欠き部44に配置する。これにより、本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間に溶接用の開先が形成されるとともに、開放側開先用斜面35と鋼管杭10の外周面との間にも溶接用の開先が形成される。
【0152】
この後、実施の形態2と同様にして、鋼管杭10の外周面と開放側開先用斜面35との間の開先に溶接ビード20を設けながら、第1端部4aの周方向に沿って溶接を行う。また、本体側開先用斜面34と第1切欠き開先用斜面46との間の開先にも溶接ビード40を設けながら、第1貫通周縁部4dに沿って溶接を行う。これにより、筒状部4、第1補強プレート32及び鋼管杭10が互いに接合される。
【0153】
また、鋼管杭10の外周面と開放側開先用斜面37との間の開先に溶接ビード70を設けながら、第2端部4bの周方向に沿って溶接を行う。さらに、本体側開先用斜面36と第2切欠き開先用斜面47との間の開先にも溶接ビード60を設けながら、第2貫通周縁部4eに沿って溶接を行う。これにより、筒状部4、第2補強プレート33及び鋼管杭10が互いに接合される。このようにして、鋼管杭10に鋼管杭用ビットを接合する。鋼管杭10を地盤に貫入するときの手順は、実施の形態8と同様である。
【0154】
このような鋼管杭用ビットでは、筒状部4の第1端部4aと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード20が第1端部4a及び鋼管杭10を互いに接合し、筒状部4の第2端部4bと鋼管杭10との間に設けられた溶接ビード70が第2端部4b及び鋼管杭10を互いに接合する。また、第1補強プレート32と筒状部4との間に設けられた溶接ビード40と、第2補強プレート33と筒状部4との間に設けられた溶接ビード60とが、筒状部4及び鋼管杭10を互いに接合する。このため、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。これにより、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力を大きくすることができる。
【0155】
実施の形態10.
図20は、実施の形態10による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。本実施の形態における鋼管杭用ビットの構成は、ビット本体1が第1ビット部材11及び第2ビット部材12に分割されていることを除いて、実施の形態8と同様である。
【0156】
ビット本体1の構成は、第2端部4bの構成を除いて、実施の形態4と同様である。これにより、ビット本体1は、複数のビット部材としての第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされることによって構成されている。第1ビット部材11及び第2ビット部材12は、軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされている。貫通孔41は、第2ビット部材12に設けられている。第2端部4bの構成は、実施の形態8と同様である。
【0157】
次に、鋼管杭用ビットを鋼管杭10に接合するときの手順について説明する。第1ビット部材11及び第2ビット部材12を組み合わせてビット本体1を予め作製しておく。この後、ビット本体1を鋼管杭10の中間部に接合する。この後の手順は、実施の形態8と同様である。鋼管杭10を地盤に貫入するときの手順も、実施の形態8と同様である。
【0158】
このように、実施の形態10による鋼管杭用ビットでは、実施の形態8によるビット本体1において第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされた構成となっている。このため、実施の形態8による効果に加えて、実施の形態4による効果を得ることができる。即ち、実施の形態8と同様に、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、実施の形態4と同様に、軸線Aに沿った方向におけるビット本体1の範囲を鋼管杭10に対して拡大することができる。これにより、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。
【0159】
実施の形態11.
図21は、実施の形態11による鋼管杭用ビットが鋼管杭に接合されている状態を示す側面図である。本実施の形態における鋼管杭用ビットの構成は、ビット本体1が第1ビット部材11及び第2ビット部材12に分割されていることを除いて、実施の形態9と同様である。
【0160】
ビット本体1の構成は、第2端部4bの構成を除いて、実施の形態4と同様である。これにより、ビット本体1は、複数のビット部材としての第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされることによって構成されている。第1ビット部材11及び第2ビット部材12は、軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされている。第1切欠き部44は、第1ビット部材11に設けられている。第2切欠き部45は、第2ビット部材12に設けられている。第2端部4bの構成は、実施の形態9と同様である。
【0161】
次に、鋼管杭用ビットを鋼管杭10に接合するときの手順について説明する。第1ビット部材11及び第2ビット部材12を組み合わせてビット本体1を予め作製しておく。この後、ビット本体1を鋼管杭10の中間部に接合する。この後の手順は、実施の形態8と同様である。鋼管杭10を地盤に貫入するときの手順も、実施の形態9と同様である。
【0162】
このように、実施の形態11による鋼管杭用ビットでは、実施の形態9によるビット本体1において第1ビット部材11及び第2ビット部材12が組み合わされた構成となっている。このため、実施の形態9による効果に加えて、実施の形態4による効果を得ることができる。即ち、実施の形態9と同様に、ビット本体1を鋼管杭10に接合する溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、実施の形態4と同様に、軸線Aに沿った方向におけるビット本体1の範囲を鋼管杭10に対して拡大することができる。これにより、鋼管杭用ビットを接合した鋼管杭10を地盤に埋設した場合、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。
【0163】
なお、実施の形態2、3及び5では、第2補強プレート33及び先端部材2が一体の単一部品となっている。しかし、第2補強プレート33を先端部材2とは別部材とし、第2補強プレート33を先端部材2に溶接などによって固定してもよい。
【0164】
また、実施の形態4では、第2端部4bと先端部材2との間に設けられた溶接ビード50が第2端部4b及び先端部材2を鋼管杭10に接合していない。しかし、溶接ビード50は、実施の形態3と同様に、第2端部4b、先端部材2及び鋼管杭10を互いに接合するようにしてもよい。このようにすれば、溶接ビード20、溶接ビード40及び溶接ビード60だけでなく、溶接ビード50によっても、ビット本体1を鋼管杭10に接合することができる。従って、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0165】
また、実施の形態6では、棒状の杭内固定部材101が窪み部23に挿入される構成が実施の形態1に適用されている。しかし、棒状の杭内固定部材101が窪み部23に挿入される構成を実施の形態2~5、8~11のそれぞれに適用してもよい。
【0166】
また、実施の形態7では、X形状の杭内固定部材101が窪み部23に挿入される構成が実施の形態1に適用されている。しかし、X形状の杭内固定部材101が窪み部23に挿入される構成を実施の形態2~5、8~11のそれぞれに適用してもよい。
【0167】
また、実施の形態1、4、6、7、8及び10では、第1端部4aよりも第2端部4bに近い位置で貫通孔41が筒状部4に形成されている。しかし、第2端部4bよりも第1端部4aに近い位置で貫通孔41が筒状部4に形成されていてもよいし、第1端部4aまでの距離と第2端部4bまでの距離とが等しい位置で貫通孔41が筒状部4に形成されていてもよい。このようにしても、溶接ビード30を補強プレート3の全周にわたって設けることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0168】
また、実施の形態1、4、6、7、8及び10では、貫通孔41の形状が矩形状となっている。しかし、貫通孔41の形状は、これに限定されず、どのような形状であってもよい。例えば、貫通孔41の形状を円形状としてもよい。この場合、補強プレート3の形状は、貫通孔41の形状に合わせて決められる。
【0169】
また、実施の形態1、4、6、7、8及び10では、筒状部4に形成された貫通孔41の数が1つとなっている。しかし、貫通孔41の数は、複数であってもよい。この場合、複数の貫通孔41のそれぞれに補強プレート3が配置される。このようにすれば、溶接ビード30の長さをさらに長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0170】
また、実施の形態2、3、5、9及び11では、第1切欠き部44の形状が矩形状となっている。しかし、第1切欠き部44の形状は、これに限定されない。例えば、第1切欠き部44の形状を半円状としてもよい。この場合、第1補強プレート32の形状は、第1切欠き部44の形状に合わせて決められる。
【0171】
また、実施の形態2、3、5、9及び11では、第2切欠き部45の形状が矩形状となっている。しかし、第2切欠き部45の形状は、これに限定されない。例えば、第2切欠き部45の形状を半円状としてもよい。この場合、第2補強プレート33の形状は、第2切欠き部45の形状に合わせて決められる。
【0172】
また、実施の形態2、3、5、9及び11では、筒状部4に形成された第1切欠き部44の数が1つとなっている。しかし、第1切欠き部44の数は、複数であってもよい。この場合、複数の第1切欠き部44のそれぞれに第1補強プレート32が配置される。このようにすれば、溶接ビード40の長さをさらに長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0173】
また、実施の形態2、3、5、9及び11において、第1切欠き部44、第1補強プレート32及び溶接ビード40はなくてもよい。このようにしても、溶接ビード60によって溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、第2補強プレート33によって筒状部4を補強することもできる。
【0174】
また、実施の形態2、3、5、9及び11では、筒状部4に形成された第2切欠き部45の数が1つとなっている。しかし、第2切欠き部45の数は、複数であってもよい。この場合、複数の第2切欠き部45のそれぞれに第2補強プレート33が配置される。このようにすれば、溶接ビード60の長さをさらに長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度をさらに高めることができる。
【0175】
また、実施の形態2、3、5、9及び11において、第2切欠き部45、第2補強プレート33及び溶接ビード60はなくてもよい。このようにしても、溶接ビード40によって溶接部の長さを長くすることができ、鋼管杭10に対するビット本体1の接合強度を高めることができる。また、第1補強プレート32によって筒状部4を補強することもできる。
【0176】
また、実施の形態4、5、10及び11において、嵌合部13の数を、1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。
【0177】
また、実施の形態4、5、10及び11では、単位筒状部材111と単位筒状部材121との間に嵌合部13が設けられている。しかし、単位羽根部材112と単位羽根部材122との間に嵌合部13を設けてもよい。
【0178】
また、実施の形態4、5、10及び11では、凸部131が第2ビット部材12から突出し、凹部132が第1ビット部材11に形成されている。しかし、凸部131が第1ビット部材11から突出し、凹部132が第2ビット部材12に形成されていてもよい。
【0179】
また、実施の形態4、5、10及び11において、凸部131及び凹部132のそれぞれの形状は、矩形状に限定されず、例えば半円状であってもよい。
【0180】
また、実施の形態4、5、10及び11では、ビット本体1におけるビット部材の数が第1ビット部材11及び第2ビット部材12の2つとなっている。しかし、ビット本体1におけるビット部材の数を3つ以上としてもよい。この場合、ビット本体1では、3つ以上のビット部材が軸線Aに沿った方向へ並んで組み合わされる。このようにすれば、ビット本体1におけるビット部材の数を増加させることができ、地盤に埋設された鋼管杭10による支持力をさらに大きくすることができる。
【0181】
また、実施の形態4、5、10及び11において、第1ビット部材11と第2ビット部材12との境界に溶接部を形成することにより、第2ビット部材12を第1ビット部材11に固定してもよい。この場合、第1ビット部材11と第2ビット部材12との境界に形成する溶接部は、点溶接による溶接部としてもよい。
【0182】
また、実施の形態4、5、10及び11において、第1ビット部材11と第2ビット部材12との境界に溶接部を形成するのであれば、嵌合部13はなくてもよい。
【0183】
また、実施の形態4、5、10及び11において、第1対向面113及び第2対向面123のそれぞれを軸線Aに対して傾斜する平面としてもよい。
【0184】
また、実施の形態1~7では、杭内固定部材101及び窪み部23はなくてもよい。杭内固定部材101及び複数の窪み部23がなくても、鋼管杭10に対するビット本体1の回転を溶接部によって阻止することができる。
【符号の説明】
【0185】
1 ビット本体、2 先端部材、3 補強プレート(補強部材)、4 筒状部、4a 第1端部、4b 第2端部、5 螺旋羽根部、10 鋼管杭、11 第1ビット部材(ビット部材)、12 第2ビット部材(ビット部材)、20 溶接ビード(第1溶接部)、30 溶接ビード(補強溶接部)、32 第1補強プレート(補強部材)、33 第2補強プレート(補強部材)、40 溶接ビード(補強溶接部)、41 貫通孔(貫通空間部)、44 第1切欠き部(貫通空間部)、45 第2切欠き部(貫通空間部)、50 溶接ビード(第2溶接部)、60 溶接ビード(補強溶接部)、70 溶接ビード(第2溶接部)、111,121 単位筒状部材、112,122 単位羽根部材。