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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093559
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】膜付き基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
C23C14/56 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210024
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角龍 美泉
(72)【発明者】
【氏名】高野 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛志
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA05
4K029BA12
4K029BA17
4K029CA01
4K029CA05
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA07
(57)【要約】
【課題】基板上に形成したレジストマスクのリフトオフを容易にする。
【解決手段】 基板1上に膜4を備えた膜付き基板20の製造方法であって、基板1上に第1のマスク2を付着させる第1のマスク付着工程と、第1のマスク2の膜4に対応する位置に開口部2aを形成し、基板1を露出させるパターニング工程と、開口部2aから露出した基板1及び第1のマスク2の少なくとも一部が露出するよう第1のマスク2上に第2のマスク3を載置する第2のマスク載置工程と、第1のマスク2及び第2のマスク3をマスクとして、基板1上に膜4を形成する膜形成工程と、第1のマスク2及び第2のマスク3を基板1から除去するマスク除去工程と、を備えること膜付き基板の製造方法とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に膜を備えた膜付き基板の製造方法であって、
前記基板上に第1のマスクを付着させる第1のマスク付着工程と、
前記第1のマスクの前記膜に対応する位置に開口部を形成し、前記基板を露出させるパターニング工程と、
前記開口部から露出した前記基板及び前記第1のマスクの少なくとも一部が露出するよう前記第1のマスク上に第2のマスクを載置する第2のマスク載置工程と、
前記第1のマスク及び前記第2のマスクをマスクとして、前記基板上に前記膜を形成する膜形成工程と、
前記第1のマスク及び前記第2のマスクを前記基板から除去するマスク除去工程と、
を備えることを特徴とする膜付き基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2のマスク載置工程は、前記第1のマスクの前記開口部の周縁の少なくとも一部が露出するよう前記第2のマスクが第1のマスク上に載置する工程である、ことを特徴とする請求項1に記載の膜付き基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のマスクはレジスト膜であり、前記第2のマスクはステンシルマスクであることを特徴とする請求項1に記載の膜付き基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2のマスクは少なくとも一つの開口部を備え、当該開口部は、前記第2のマスクに形成された前記開口部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の膜付き基板の製造方法。
【請求項5】
前記基板から前記第1のマスクを除去することにより前記第1のマスク上に形成された前記膜が前記基板上より除去されることを特徴とする請求項1に記載の膜付き基板の製造方法。
【請求項6】
前記基板は貫通孔を備え、
前記第1のマスク付着工程において、前記第1のマスクは前記貫通孔を架橋して前記基板上に付着させ、
前記パターニング工程において、前記第2のマスク載置工程より前に前記貫通孔に架橋した前記第1のマスクを除去し、
前記第2のマスク載置工程において、前記貫通孔を覆うように前記第1のマスク上に前記第2のマスクを載置することを特徴とする請求項1に記載の膜付き基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面に膜が形成された基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術を用いて基板上に金属膜を形成する方法として、開口部を備えるレジストマスクを基板の表面に形成し、レジストマスクの開口部に露出した基板の表面及びレジストマスクの表面に金属膜を形成した後、レジストマスクを基板から剥離して、基板表面の所定領域に金属膜を形成する、リフトオフ法を用いた膜付き基板の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-129220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レジストマスクの基板からの剥離は、レジストマスクを溶解する溶剤(剥離液)やガスにレジストマスクを曝すことによって行われる。リフトオフ法によって基板表面に膜形成をする場合、レジストマスク上に膜が形成された状態でレジストマスクを基板から剥離することとなるが、レジストマスク上に形成された膜の存在によって剥離液やガスに曝されるレジストマスクの面積が小さく、レジストマスクが適切に除去されずに基板表面にレジスト残渣が発生することがある。このレジスト残渣は、基板から剥離するレジストマスクの面積が大きいほど顕著に発生する。
【0005】
本発明は、上記課題を解決しようとするもので、レジスト残渣の発生を抑制した膜付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板上に膜を備えた膜付き基板の製造方法であって、前記基板上に第1のマスクを付着させる第1のマスク付着工程と、前記第1のマスクの前記膜に対応する位置に開口部を形成し、前記基板を露出させるパターニング工程と、前記開口部から露出した前記基板及び前記第1のマスクの少なくとも一部が露出するよう前記第1のマスク上に第2のマスクを載置する第2のマスク載置工程と、前記第1のマスク及び前記第2のマスクをマスクとして、前記基板上に前記膜を形成する膜形成工程と、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを前記基板から除去するマスク除去工程と、を備えることを特徴とする膜付き基板の製造方法とする。
前記第2のマスク載置工程は、前記第1のマスクの前記開口部の周縁の少なくとも一部が露出するよう前記第2のマスクが第1のマスク上に載置する工程としてもよい。
また、前記第1のマスクはレジスト膜であり、前記第2のマスクはステンシルマスクとしてもよい。
また、前記第2のマスクは少なくとも一つの開口部を備え、当該開口部は、前記第2のマスクに形成された前記開口部よりも大きくしてもよい。
また、前記マスク除去工程において、前記基板から前記第1のマスクを除去することにより前記第1のマスク上に形成された前記膜が前記基板上より除去されてもよい。
また、前記基板は貫通孔を備え、前記第1のマスク付着工程において、前記第1のマスクは前記貫通孔を架橋して前記基板上に付着させ、前記パターニング工程において、前記第2のマスク載置工程より前に前記貫通孔に架橋した前記第1のマスクを除去し、前記第2のマスク載置工程において、前記貫通孔を覆うように前記第1のマスク上に前記第2のマスクを載置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の膜付き基板の製造方法によれば、レジスト残渣の発生を抑制し膜付き基板を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る膜付き基板の製造方法を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る膜付き基板の断面図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る膜付き基板の製造方法を示す模式図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る膜付き基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の膜付き基板の製造方法について図面を用いて説明する。図面においては各構成をわかりやすくするために実際の形状や実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
図2は本発明の一実施形態に係る膜付き基板を示す図であり、(a)は平面図、(b)はA-A断面における正面断面図である。膜付き基板(以後、配線基板20とする)は、配線基板20の基材である基板1と、基板1の一方の表面に形成された金属膜4とからなる。基板1は外形約2インチ×4インチの長方形であり、厚み2.0mmのセラミック基板である。金属膜4は、下地金属膜と、下地金属膜上に形成された接合用金属膜とを備える。なお、便宜上、下地金属膜と接合用金属膜とを図示していない。下地金属膜は、基板1の表面側より順に、基板1と密着性がよい密着膜としてのTi膜またはTiW膜、密着膜及び接合用金属膜と密着性がよい中間膜としてのCu膜が積層された積層金属膜である。下地金属膜の厚みは0.4μm、上面視したときの外形は一辺0.3mmの矩形状であり、基板1の中央部に配置されている。また、接合用金属膜は下地金属膜上に形成され、基板1の表面側より順にNi膜とAu膜とが積層された積層金属膜である。接合用金属膜の厚みは3μmである。
【0011】
次に、本発明の配線基板の製造方法を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る配線基板20の製造方法を示す模式図である。配線基板20は以下の方法により製造される。
【0012】
[第1のマスク付着工程:図1(a)]
まず、配線基板20の基材となる基板1を準備して、この基板1の一方の面に第1のマスク2を付着させる。本実施形態では、第1のマスク2は厚み約0.035mmのドライフィルムレジストであり、ドライフィルムレジストの一方の面に設けられた粘着層を基板1に付着することで基板1上に第1のマスク2を付着する。
【0013】
[第1のマスクパターニング工程:図1(b)]
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて第1のマスク2をパターニングし、配線基板20における金属膜4の形成部位に対応する箇所に開口部2aを形成する。具体的には、本実施形態ではネガ型のドライフィルムレジストからなる第1のマスク2上に、金属膜4の形成部位に対応する箇所以外に開口を備えたフォトマスク(不図示)を配置して第1のマスク2を露光し、その後、第1のレジスト2を現像することで第1のマスク2の露光部分以外を除去して第1のマスク2に開口部2aを形成する。開口部2aの開口幅は金属膜4と同じ一辺0.3mmの矩形状である。この第1のマスクパターニング工程後は、第1のマスク2に形成された開口部2aから基板1の表面が外部に露出する。
【0014】
なお、第1のマスク2はドライフィルムに限らず、液状レジストを用いてもよく、レジストの種類もネガ型に限定されずポジ型でもよい。また、基板1に後工程で形成する金属膜4とは異なる金属膜をパターン形成してこの金属膜を第1のマスク2としてもよい。
【0015】
[第2のマスク載置工程:図1(c)]
次に、第1のマスク2上に第2のマスク3を載置する。本実施形態では、第2のマスク3は、厚み約0.1mmの金属板からなるステンシルマスクであり、開口部3aを備える。開口部3aは、第1のマスク2の開口部2aよりひと回り大きい一辺0.35mmの矩形状である。第2のマスク3の第1のマスク2上への載置は、第2のマスク3の開口部3aが第1のマスク2の開口部2aを包囲するように配置され、第1のマスク2における開口部2aの周縁が第2のマスク3の開口部3aを通して外部に露出している。また、第2のマスク3の載置においては、図示していない基板ホルダに基板1を収容し、例えば、第2のマスク3を基板ホルダにネジ等により締結することで基板1と第2のマスク3の位置決め、固定が行われる。また、ネジによる固定の代わり、磁石を備えた基板ホルダを採用し、第2のマスク3を磁力によって基板ホルダに固定してもよい。ここで、第2のマスク3は第1のマスク2に接して載置されるが接着等の手段によって付着はしておらず、基板1上より容易に取外し可能な構成としている。
【0016】
なお、第2のマスク3は金属製のステンシルマスクに限定されずセラミック等の材料を用いても構わない。
【0017】
[膜形成工程:図1(d)]
次に、基板1上に配線基板20における金属膜4を形成する。金属膜4の形成は、第1のマスク2及び第2のマスク3が基板1上に配置された状態で、下地金属膜及び接合用金属膜の各膜を蒸着法やスパッタリング法によって順次形成することで行う。この結果、第2のマスク3の表面、第2のマスク3の開口部3aの側面、第2のマスク3の開口部3aから露出した第1のマスク2の表面、第1のマスク2の開口部2aの側面、及び第1のマスク2の開口部2aから露出した基板1の表面に金属膜4が形成される。
【0018】
[第2のマスク除去工程:図1(e)]
次に、第2のマスク3を基板1上から除去する。第2のマスク3を除去することで第2のマスク3の表面及び開口部3aの側面に形成された金属膜4も同時に除去される。第2のマスク3を除去することで、第2のマスク3で覆われていた第1のマスク2の表面が露出する。
【0019】
[第1のマスク除去工程:図1(f)]
次に、第1のマスク2を基板1から除去する。第1のマスク2の除去は、図示しない剥離液に基板1を浸漬することで行う。剥離液は、例えば、アルカリ水溶液や有機アミン系・ケトン系などの有機溶剤系の薬液であり、剥離液に曝された第1のマスク2は剥離液に溶解され基板1から除去される。また、金属膜4に覆われた第1のマスク2においては、剥離液に曝された金属膜4に覆われていない第1のマスク2の部位より剥離液が侵入し、それによって第1のマスク2の表面に形成された金属膜4とともに基板1から第1のマスク2が除去される。最後に、第1のマスク2が除去され、所定の位置に金属膜4が形成された基板1を洗浄し、配線基板20が完成する。
【0020】
本実施形態における膜付き基板の製造方法では、基板1に付着させた第1のマスク2上に第2のマスク3を載置し、金属膜4の形成を行っている。このような構成とすることで、第1のマスク2上より第2のマスク3より除去した際に第2のマスク上に形成された金属膜4も除去され、第2のマスク3によって覆われていた部位の第1のマスク2が外部に露出する。第1のマスク2上に第2のマスク3を載置しないで金属膜4の形成を行った場合は、第1のマスク2の表面全体に金属膜4が形成されており、第1のマスク2上に形成された金属膜4が第1のマスク2の除去の障害となるが、本実施形態のような構成とすることで第1のマスク2における金属膜4が形成される部位の面積を小さくすることができ、第1のマスク2が剥離液に曝される面積が増大し、第1のマスク2の除去を確実に行うことができる。
【0021】
次に本発明の別の実施形態について図面を用いて説明する。図3は本発明の別の実施形態に係る配線基板30の製造方法を示す模式図である。図4は本発明の別の実施形態に係る配線基板30である。
【0022】
図4は本発明の別の実施形態に係る膜付き基板を示す図であり、(a)は平面図、(b)はA-A断面における正面断面図である。本実施形態の膜付き基板(以後、配線基板30とする)は、基材である基板31と、基板31の一方の表面に形成された金属膜34とからなる。基板31は外形2インチ×4インチ、厚み2.0mmのセラミック基板であり、その四隅には、基板31の一方の面から他方の面を挿通し、配線基板30の位置決めに利用される貫通孔35を備える。貫通孔35の外形は、配線基板30を上面からみたとき一辺5.0mmの矩形状である。また、基板31の一方の面に形成された金属膜34は、外径が0.15mmの円形状金属膜であり、本実施形態においては基板31上に8つ設けられている。金属膜34は、先の実施形態と同様に、下地金属膜と、下地金属膜上に形成された接合用金属膜とを備え、下地金属膜と接合用金属膜の構成についても先の実施形態と同様である。よって、ここでは詳細な説明を省略する。
【0023】
次に、配線基板30の製造方法について説明する。
[第1のマスク付着工程:図3(a)]
まず、貫通孔35が形成された基板31を準備する。そして、基板31の一方の面に第1のマスク32を付着させる。第1のマスク32としては、例えばドライフィルムレジストや液状レジストを利用することができる。本実施形態では、第1のマスク32は厚み約0.035mmのドライフィルムレジストであり、ドライフィルムレジストの一方の面に設けられた粘着層を基板31に付着することで基板31上に第1のマスク32を付着する。なお、基板31上に付着した第1のマスク32は、基板31の貫通孔35に対応する箇所において貫通孔35の開口に架橋し、貫通孔35を塞いだ状態である。
【0024】
[第1のマスクパターニング工程:図3(b)]
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて第1のマスク32をパターニングし、配線基板30における金属膜34の形成部位に対応する箇所に開口部32aを、貫通孔35に対応する箇所に開口部32bを形成する。具体的には、本実施形態ではネガ型のドライフィルムレジストからなる第1のマスク32上に、開口部32a、32bに対応した箇所以外に開口を備えたフォトマスク(不図示)を配置して第1のマスク32を露光し、その後、第1のレジスト32を現像することで第1のマスク32の露光部分以外を除去して第1のマスク32に開口部32a、32bを形成する。金属膜34の形成部位に対応する箇所の開口部32aは、金属膜34の外径と同じ0.15mmの円形状の開口であり、貫通孔35に対応する箇所の開口部32bは、貫通孔35より外形が大きな1辺5.2mmの開口である。この第1のマスクパターニング工程後は、第1のマスク32に形成された開口部32a、32bから基板31の表面が外部に露出する。
【0025】
[第2のマスク載置工程:図3(c)]
次に、第1のマスク32上に第2のマスク33を載置する。本実施形態では、第2のマスク33は、厚み約0.1mmの金属板からなるステンシルマスクであり、開口部33aを備える。開口部33aは、第1のマスク32上に第2のマスク33を載置したときに第1のマスク32の開口部32aに対応する箇所すべてに設けられ、その外形は第1のマスク32の開口部32aよりひと回り大きい一辺0.2mmの円形状である。第2のマスク33の第1のマスク32上への載置は、第2のマスク33の開口部33aが第1のマスク32の開口部32aを包囲するように配置され、第1のマスク32における開口部32aの周縁が第2のマスク33の開口部33aを通して外部に露出している。なお、第1のマスク32の開口部32bは第2のマスク33により覆われている。また、第2のマスク33の載置においては、図示していない基板ホルダに基板31を収容し、例えば、第2のマスク33を基板ホルダにネジ等により締結することで基板31と第2のマスク33の位置決め、固定が行われる。また、ネジによる固定の代わり、磁石を備えた基板ホルダを採用し、第2のマスク33を磁力によって基板ホルダに固定してもよい。ここで、第2のマスク33は第1のマスク32に接して載置されるが接着等の手段によって付着はしておらず、基板31上より容易に取外し可能な構成としている。
【0026】
[膜形成工程:図3(d)]
次に、基板31上に配線基板30における金属膜34を形成する。金属膜34の形成は、第1のマスク32及び第2のマスク33が基板31上に配置された状態で、下地金属膜及び接合用金属膜の各膜を蒸着法やスパッタリング法によって順次形成することで行う。この結果、第2のマスク33の表面、第2のマスク33の開口部33aの側面、第2のマスク33の開口部33aから露出した第1のマスク32の表面、第1のマスク32の開口部32aの側面、及び第1のマスク32の開口部32aから露出した基板31の表面に金属膜34が形成される。
【0027】
[第2のマスク除去工程:図3(e)]
次に、第2のマスク33を基板31上から除去する。第2のマスク33を除去することで第2のマスク33の表面及び開口部33aの側面に形成された金属膜34も同時に除去される。第2のマスク33を除去することで、第2のマスク33で覆われていた第1のマスク32の表面、及び第2のマスク33で覆われ第1のマスク32に覆われていない基板31の貫通孔35とその周縁部が外部に露出する。
【0028】
[第1のマスク除去工程:図3(f)]
次に、第1のマスク32を基板31から除去する。第1のマスク32の除去は、図示しない剥離液に基板31を浸漬することで行う。剥離液は、例えば、アルカリ水溶液や有機アミン系・ケトン系などの有機溶剤系の薬液であり、剥離液に曝された第1のマスク32は剥離液に溶解され基板31から除去される。また、金属膜34に覆われた第1のマスク32においては、剥離液に曝された金属膜34に覆われていない第1のマスク32の部位より剥離液が侵入し、それによって第1のマスク32の表面に形成された金属膜34とともに基板31から第1のマスク32が除去される。最後に、第1のマスク32が除去され、所定の位置に金属膜34が形成された基板31を洗浄し、配線基板30が完成する。
【0029】
本実施形態における膜付き基板の製造方法では、先の実施形態と同様に、基板31に付着させた第1のマスク32上に第2のマスク33を載置して金属膜34の形成を行うことで、第1のマスク32の除去を確実に行うことができる。また、第1のマスク32の開口部32aの周縁は第2のマスク33によって覆われない構成であり、一般的にドライフィルムレジストからなる第1のマスク32は金属板からなるステンシルマスクの第2のマスク33より形状精度が高いため、高い形状精度で金属膜34を形成することができる。
【0030】
また、本実施形態では、開口部32a、32bを形成する前(パターニング前)における第1のマスク32は、貫通孔35に対応する箇所において貫通孔35に架橋している。このように貫通孔35に架橋した第1のマスク32は、その架橋部で破損を生じ易く、この第1のマスク32の破損は貫通孔35の開口面積が大きくなるほど生じ易い。架橋部において破損した第1のマスク32は、第1のマスク除去工程において、基板31から第1のマスク32を取り除く際に基板31に付着して、基板31上に残存してしまうことが多い。そこで本実施形態では、第1のマスク32における貫通孔35に対応する箇所に開口部32bを設けることで、仮に第1のマスクに破損が生じた場合であっても、その破損した第1のマスク32を第1のマスク除去工程の前に基板31上から取り除き、破損した第1のマスク32の基板31への付着を防止している。なお、第1のマスク32の開口部32bには、第2のマスク載置工程において、開口部32bを覆い第2のマスク33が第1のマスク32上に載置されるため、貫通孔35に金属膜34が形成されない。ここで、第1のマスク32をドライフィルムレジストではなく、液状レジストとすることで第1のマスク32が貫通孔35に架橋しない構成とすることができるが、例えばスピンコートで液状レジストを基板31上へ付着させる場合には、貫通孔35の内部に液状レジストが流れ込んでしまい基板31上へ第1のマスク32を適切な厚みで形成することが難しい。したがって、第1のマスク32はドライフィルムレジストやスプレーコート法により形成する液状レジストを採用し、基板31に付着させることが好ましい。なお、貫通孔35に金属膜34を形成したい場合は、第2のマスク33の貫通孔35に対応する箇所に開口部を設け貫通孔35が外部に露出した状態で金属膜34を形成すればよい。
【0031】
以上、本発明の膜付き基板の製造方法について、実施形態に基づき説明してきたが、本発明の範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。例えば、基板の基材はセラミックとしたが、セラミックに限定されず窒化アルミニウム等の他の材料を用いても構わない。基板は矩形基板に限定されず円形基板でも構わない。
【0032】
また、本実施形態ではセラミックからなる基板1、31上に第1のマスク2、32を付着させたが、基板1、31上に金属膜や絶縁膜などの膜を形成し、その上に第1のマスク2、32を付着させても構わない。
【0033】
また、本実施形態の第2のマスク3、33の表面に撥水性を有する有機シラン単分子膜を形成してもよい。この場合、膜形成工程において第1のマスク2、32と第2のマスク3、33とが加熱されても第1のマスク2、32が第2のマスク3、33へ溶着することを抑えることができる。
【0034】
また、実施形態では金属膜4、34を下地金属膜と接合用金属膜からなる膜としたがこれに限定されず、下地金属膜、接合用金属膜の各構成やその材質も本実施形態に限定されるものではなく、配線基板20、30に求められる用途に応じてその構成や材質は適宜選定可能である。また、金属膜4、34の形状や形成位置についても同様である。さらに、基板1、31上に形成する膜は金属膜4、34に限定されず絶縁膜などでもよい。
【符号の説明】
【0035】
1、31 基板
2、32 第1のマスク
2a、32a、32b 開口部
3、33 第2のマスク
3a、33a 開口部
4、34 金属膜
35 貫通孔
20、30 配線基板

図1
図2
図3
図4