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  • 特開-噴霧ノズルユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093563
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】噴霧ノズルユニット
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/16 20060101AFI20240702BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20240702BHJP
【FI】
B05B1/16
B05B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210035
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【テーマコード(参考)】
4D073
4F033
【Fターム(参考)】
4D073AA04
4D073AA05
4D073BB03
4D073CA20
4D073CB02
4D073CB07
4D073CB15
4F033BA03
4F033BA04
4F033CA13
4F033DA03
4F033EA06
4F033LA10
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】回転ヘッドを回転させて噴霧状態を切り替えるタイプの噴霧ノズルユニットにおいて、その回転ヘッドの製作を容易にするとともに、十分なシール性を確保できるようにする。
【解決手段】回転ヘッド3の径方向内側に配される内筒2の外周に、内筒2の流出孔2bの出口が形成された底面と、底面の周方向端から内筒2の外周面まで延びる周方向端壁2gとを有する凹部2dを設け、その凹部2dに、凹部2dの周方向端壁2gに沿う形状の周方向端部を有し、流出孔2bと回転ヘッド3の流入ポート3bを連通させるバルブ体8を嵌め込んで、そのバルブ体8で回転ヘッド3の内周面との間をシールするようにした。これにより、回転ヘッド3が従来の内周面加工を必要とせず容易に製作できるとともに、回転ヘッド3を回転させたときもバルブ体8が変形しにくく、高いシール性を安定して確保することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す液体導入路を有する取付部材と、前記取付部材に一端部を接続され、前記液体導入路に連続する液体通路を有する内筒と、前記内筒の他端側の径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッドと、前記回転ヘッドの外周から突出するノズル取付口に取り付けられるノズルとを備え、
前記内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する流出孔を有し、前記回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面からノズル取付口の内側へ貫通する流入ポートを有し、前記回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと前記内筒の流出孔の周方向位置関係を変更することにより、前記液体供給源から液体導入路を通って液体通路に流れ込んだ液体の噴出状態が切り替わるようになっている噴霧ノズルユニットにおいて、
前記内筒の外周に、前記流出孔の出口が形成された底面を有する凹部が設けられ、前記内筒の凹部に、前記回転ヘッドの内周面と摺接する外側面を有し、前記流出孔と連通して外側面に貫通するバルブ孔が形成されたバルブ体が嵌め込まれており、
前記内筒の凹部は前記底面の周方向端から内筒の外周面まで延びる周方向端壁を有し、前記バルブ体の周方向端部は、前記内筒の凹部の周方向端壁に沿う形状に形成されていることを特徴とする噴霧ノズルユニット。
【請求項2】
前記内筒の凹部の底面が内筒の中心軸周りの円弧面に形成され、前記バルブ体は、前記内筒の凹部の底面に沿う円弧面からなる内側面を有し、前記外側面が前記内側面と同心の円弧面に形成されており、
前記内筒の凹部の底面に、前記流出孔の出口を中心とする環状溝が設けられ、前記環状溝に前記バルブ体を前記回転ヘッドの内周面に向けて径方向に押圧する弾性部材が組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の噴霧ノズルユニット。
【請求項3】
前記内筒の凹部の周方向端壁は、前記内筒の径方向断面において、前記凹部の開口の周方向端から内筒の径方向に延びる仮想直線よりも周方向外側に延びる壁面と、前記凹部の底面の周方向端から内筒の径方向に延びる仮想直線よりも周方向外側に延びる壁面とを有していることを特徴とする請求項2に記載の噴霧ノズルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液や水等の液体を散布するのに用いられる噴霧ノズルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や水等の散布を行う液体散布装置には、液体供給源に取り付けられる噴霧ノズルユニットが複数のノズルを備え、液体を噴射するノズルを切り替えられるようになっているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている噴霧ノズルユニットは、液体供給源としての噴管に取り付けられ、噴管から供給される液体を通す液体導入路を有する取付部材と、取付部材に一端部を接続され、液体導入路に連続する液体通路を有する内筒と、内筒の他端側の径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッドと、回転ヘッドの外周から突出する2つのノズル取付口にそれぞれ取り付けられるノズルとを備えている。その2つのノズルは噴霧パターンが互いに異なるものが用いられている。
【0004】
また、内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する1つの流出孔を有し、回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面から各ノズル取付口の内側へそれぞれ貫通する流入ポートを有している。したがって、回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと内筒の流出孔の周方向位置関係を変更すると、液体供給源から液体導入路を通って液体通路に流れ込んだ液体を噴射するノズルを切り替えることができる。すなわち、回転ヘッドの2つの流入ポートの周方向位置を選択的に内筒の流出孔に合わせることにより、液体の噴出状態(噴霧状態)を切り替えられるようになっている。
【0005】
ところで、このように噴霧状態を切り替えられるようにした噴霧ノズルユニットでは、通常、回転ヘッドとして樹脂成型品が用いられており、その製作の際には成型後の内周面を真円とする加工が必須となっている。これは、成型したままの回転ヘッドでは、内周面が楕円等、多少なりとも真円から変形した形状となっており、内筒の外周面との間のシール性を確保できないからである。しかし、回転ヘッドの内周面を真円とする加工は、精度よく行うことが難しく、時間もかかるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献2に記載されている噴霧ノズルユニットでは、内筒の外周に流出孔の出口が形成された底面を有する凹部を設け、その内筒の凹部に、回転ヘッドの内周面と摺接する外側面を有し、流出孔と連通して外側面に貫通するバルブ孔が形成されたバルブ体を嵌め込んで、回転ヘッドが周方向の所定位置あるときに回転ヘッドの流入ポートと内筒の流出孔とがバルブ体のバルブ孔を介して連通するようにしている。そして、そのバルブ体は、軟質の樹脂で形成されて、内筒との間に配されたOリングで回転ヘッドの内周面に押し付けられており、バルブ体と回転ヘッドとの間で確実なシール性が得られるとされている。したがって、この構成によれば、回転ヘッドの内周面に面倒な加工を行う必要がなく、回転ヘッドを容易に製作できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6383392号公報
【特許文献2】特許第4801636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2の噴霧ノズルユニットでは、バルブ体が内筒の軸方向から見て(径方向断面において)弓形に形成されており、その両端に近づくほど肉厚が薄くなっているため、回転ヘッドを回転させることによりバルブ体に回転方向の摩擦力が作用したときに、バルブ体の回転方向前側の端部が内筒の底面に押し付けられて変形してしまい、十分なシール性が確保できなくなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、回転ヘッドを回転させて噴霧状態を切り替えるタイプの噴霧ノズルユニットにおいて、その回転ヘッドの製作を容易にするとともに、十分なシール性を確保できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、液体供給源に取り付けられ、液体供給源から供給される液体を通す液体導入路を有する取付部材と、前記取付部材に一端部を接続され、前記液体導入路に連続する液体通路を有する内筒と、前記内筒の他端側の径方向外側に配され、内筒に対して回転可能な状態で抜け止めされる筒状の回転ヘッドと、前記回転ヘッドの外周から突出するノズル取付口に取り付けられるノズルとを備え、前記内筒は他端側の筒壁を径方向に貫通する流出孔を有し、前記回転ヘッドは内筒の流出孔と同じ軸方向位置の付近の内周面からノズル取付口の内側へ貫通する流入ポートを有し、前記回転ヘッドを回転させて回転ヘッドの流入ポートと前記内筒の流出孔の周方向位置関係を変更することにより、前記液体供給源から液体導入路を通って液体通路に流れ込んだ液体の噴出状態が切り替わるようになっている噴霧ノズルユニットにおいて、前記内筒の外周に、前記流出孔の出口が形成された底面を有する凹部が設けられ、前記内筒の凹部に、前記回転ヘッドの内周面と摺接する外側面を有し、前記流出孔と連通して外側面に貫通するバルブ孔が形成されたバルブ体が嵌め込まれており、前記内筒の凹部は前記底面の周方向端から内筒の外周面まで延びる周方向端壁を有し、前記バルブ体の周方向端部は、前記内筒の凹部の周方向端壁に沿う形状に形成されている構成(構成1)を採用した。
【0011】
上記構成1の噴霧ノズルユニットでは、内筒の外周に設けた凹部に、内筒の流出孔と回転ヘッドの流入ポートとを連通させるバルブ孔を有し、内筒と回転ヘッドとの間をシールするバルブ体を嵌め込んでいるため、回転ヘッドが従来の内周面加工を必要とせず容易に製作できる。そして、そのバルブ体の周方向端部は、内筒の凹部の周方向端壁に沿う形状に形成され、回転ヘッドの回転に伴ってバルブ体に摩擦力が作用したときも変形しにくいものとなっているので、シール性も十分に確保することができる。
【0012】
上記構成1においては、前記内筒の凹部の底面が内筒の中心軸周りの円弧面に形成され、前記バルブ体は、前記内筒の凹部の底面に沿う円弧面からなる内側面を有し、前記外側面が前記内側面と同心の円弧面に形成されており、前記内筒の凹部の底面に、前記流出孔の出口を中心とする環状溝が設けられ、前記環状溝に前記バルブ体を前記回転ヘッドの内周面に向けて径方向に押圧する弾性部材が組み込まれている構成(構成2)を採用することができる。この構成2を採用すれば、バルブ体の肉厚が均一になり、バルブ体が全体にわたって均等に回転ヘッドの内周面に押し付けられるようになるので、バルブ体と回転ヘッドとの間のシール性をより安定して確保することができる。
【0013】
また、上記構成2において、前記内筒の凹部の周方向端壁は、前記内筒の径方向断面において、前記凹部の開口の周方向端から内筒の径方向に延びる仮想直線よりも周方向外側に延びる壁面と、前記凹部の底面の周方向端から内筒の径方向に延びる仮想直線よりも周方向外側に延びる壁面とを有している構成(構成3)とすれば、回転ヘッドを回転させたときのバルブ体の周方向端部の変形が一層生じにくくなり、シール性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の噴霧ノズルユニットは、上述したように、内筒の外周に設けた凹部に、その凹部の周方向端壁に沿う形状の周方向端部を有し、内筒と回転ヘッドとの間をシールするバルブ体を嵌め込んだものであるから、回転ヘッドが従来の内周面加工を必要とせず容易に製作できるとともに、回転ヘッドを回転させたときもバルブ体が変形しにくく、十分なシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の噴霧ノズルユニットの外観斜視図
図2図1の噴霧ノズルユニットの縦断正面図
図3図2のIII-III線に沿った断面図
図4図2の要部を拡大して示す縦断正面図
図5図4の内筒の流出孔を横に向けた状態の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この噴霧ノズルユニットは、図1乃至図3に示すように、噴管等の液体供給源(図示省略)に取り付けられ、その液体供給源から供給される液体を通す液体導入路1aを有する取付部材1と、取付部材1に一端のエルボ部21を接続され、液体導入路1aと連続する液体通路2aを有する内筒2と、内筒2の他端側の径方向外側に配される筒状の回転ヘッド3と、回転ヘッド3に取り付けられる3つのノズル4、5、6とを備えている。
【0017】
取付部材1は、内筒2のエルボ部21の入口側内周に先端側部分を圧入され、液体導入路1aを形成する筒状のジョイント11と、ジョイント11の後端面と当接するパッキン12と、ジョイント11の後端部と係合する状態でパッキン12を内蔵するユニオンナット13とを備え、そのユニオンナット13が前記液体供給源の接続口(図示省略)とねじ結合するようになっている。
【0018】
内筒2は、エルボ部21の出口側に連続する本体部22の他端側に、筒壁を径方向に貫通し、液体通路2aに流れ込んだ液体をノズル4、5、6へ送り出すための流出孔2bがあけられており、その流出孔2bよりも他端側の内周に液体通路2aを塞ぐ蓋23が嵌め込まれている。また、本体部22の長手方向中央部の外周には、後述するように回転ヘッド3を抜け止めするための周溝2cが設けられている。
【0019】
回転ヘッド3は、一端が開口し他端が閉塞された筒状部材であり、内筒2の本体部22の周溝2cと対応する軸方向位置に、U字状の抜け止め部材7の一対のアーム7aがそれぞれ挿入される横孔3aが設けられている。その抜け止め部材7は、各アーム7aの中央部が内筒2の周溝2cに入り込み、各アーム7aの先端が回転ヘッド3の横孔3aの挿入側と反対側の周縁に係合することにより、回転ヘッド3を内筒2に対して回転可能な状態で抜け止めしている。なお、図示は省略するが、抜け止め部材7のアーム7aどうしを繋いでいるアーム連結部は、回転ヘッド3の2つの横孔3aのアーム挿入側の開口どうしの間に設けられた周方向溝に嵌まり込むようになっている。
【0020】
また、回転ヘッド3の他端側には、内筒2の流出孔2bと同じ軸方向位置付近に、外周から突出する3つの筒状のノズル取付口31と、内周面から各ノズル取付口31の内側へ貫通する流入ポート3bが設けられている。
【0021】
そして、図4および図5にも示すように、内筒2の本体部22の他端側の外周には、流出孔2bの出口が形成された底面を有する凹部2dが設けられ、その凹部2dにポリエチレン等の樹脂で形成されたバルブ体8が嵌め込まれている。バルブ体8には内筒2の流出孔2bと連通して外側面に貫通するバルブ孔8aが形成され、回転ヘッド3が周方向の所定位置あるときに、回転ヘッド3の3つの流入ポート3bのいずれかと内筒2の流出孔2bとがバルブ体8のバルブ孔8aを介して連通するようになっている。
【0022】
また、内筒2の凹部2dの底面には、流出孔2bの出口を中心とする環状溝2eが設けられ、その環状溝2eにバルブ体8を回転ヘッド3の内周面に向けて径方向に押圧する弾性部材としてのOリング9が組み込まれている。なお、内筒2の外周には、バルブ体8が嵌め込まれる凹部2dと同じ軸方向位置に別の2つの凹部2fを設けて、回転ヘッド3が回転時に内筒2から受ける摺動抵抗が低減されるようにしている。
【0023】
回転ヘッド3の各ノズル取付口31に取り付けられるノズル4、5、6は、噴霧パターンが互いに異なる周知のものが用いられる。その一つのノズル4は、ノズル取付口31の内周に嵌め込まれる三つ切りパッキン41、フィルタ42およびパッキン43と、ノズル取付口31の外周に形成されたおねじとねじ結合するユニオンナット44および緩み止めナット45と、ユニオンナット44によってノズル取付口31に接続されるホルダ46と、ホルダ46内に組み込まれるオリフィス板(図示省略)と、ホルダ46の先端側に固定される噴板47等で構成されている。他の2つのノズル5、6も同様の構成であるが、噴板51、61の噴孔形状等の違いにより噴霧パターンが互いに異なるものとなっている。
【0024】
そして、いずれのノズル4、5、6も、内筒2の液体通路2aからバルブ体8のバルブ孔8aおよび回転ヘッド3の流入ポート3bを介して流れ込んだ液体を噴板47、51、61から噴出するようになっている。
【0025】
なお、この噴霧ノズルユニットでは、前述の内筒2とバルブ体8との間のOリング9のほかにも、液密シールの必要な箇所にそれぞれOリングが組み込まれている。
【0026】
また、図4および図5に示すように、内筒2の凹部2dは、底面が内筒2の中心軸周りの円弧面に形成され、その底面の周方向両端のそれぞれから内筒2の外周面まで延びる周方向端壁2gを有している。その周方向端壁2gは、内筒2の径方向断面において、凹部2dの開口の周方向端から内筒2の径方向に延びる仮想直線L1よりも周方向外側に延びる壁面2g1と、凹部2の底面の周方向端から内筒2の径方向に延びる仮想直線L2よりも周方向外側に延びる壁面2g2とを有している。
【0027】
一方、バルブ体8は、内筒2の凹部2dの底面に沿う円弧面からなる内側面を有し、外側面が内側面と同心の円弧面に形成され、周方向端部が内筒2の凹部2dの周方向端壁2gに沿う形状に形成されており、内筒2の凹部2dに隙間なく嵌まり込んでいる。すなわち、バルブ体8は、周方向端面が外側面と内側面の両方と鈍角をなすように形成され、外側面全体で回転ヘッド3の内周面に摺接している。
【0028】
この噴霧ノズルユニットは、上記の構成であり、回転ヘッド3を回転させて回転ヘッド3の流入ポート3bと内筒2の流出孔2b(およびバルブ体8のバルブ孔8a)の周方向位置関係を変更することにより、液体供給源から液体導入路1aを通って液体通路2aに流れ込んだ液体を、3つのノズル4、5、6のいずれか一つから噴射する状態と液体の噴射を止める状態を容易に切り替えることができる。
【0029】
そして、内筒2の外周に設けた凹部2dに、内筒2の流出孔2bと回転ヘッド3の流入ポート3bとを連通させるバルブ孔8aを有し、内筒2と回転ヘッド3との間をシールするバルブ体8を嵌め込んでいるため、回転ヘッド3は従来のシール性確保のための内周面加工を必要とせず、容易に製作できる。
【0030】
しかも、そのバルブ体8は、外側面と内側面が同心の円弧面に形成されて均一な肉厚となっており、全体にわたってOリング9で均等に回転ヘッド3の内周面に押し付けられるうえ、周方向端面が外側面と内側面の両方と鈍角をなすように形成されて、内筒2の凹部2dに隙間なく嵌まり込み、回転ヘッド3の回転に伴って摩擦力が作用したときも変形しにくいものとなっているので、内筒2との間で高いシール性を安定して確保することができる。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
例えば、バルブ体およびバルブ体が嵌め込まれる内筒の凹部の形状は、実施形態で説明したものに限らず、内筒の凹部が底面の周方向端から内筒の外周面まで延びる周方向端壁を有し、バルブ体の周方向端部が内筒の凹部の周方向端壁に沿う形状に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 取付部材
1a 液体導入路
2 内筒
2a 液体通路
2b 流出孔
2d 凹部
2e 環状溝
2g 周方向端壁
2g1、2g2 壁面
3 回転ヘッド
3b 流入ポート
4、5、6 ノズル
7 抜け止め部材
8 バルブ体
8a バルブ孔
9 Oリング(弾性部材)
31 ノズル取付口
L1、L2 仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5