(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093564
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】係合装置
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20240702BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16B5/07 F
F16B5/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210036
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸司
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA08
3J001HA09
3J001JC02
3J001JC06
3J001JC13
3J001JD16
3J001KA19
3J001KA26
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】係合が容易で、かつ、外れにくい係合装置を提供する。
【解決手段】係合装置1は、係合部5が被係合部6に対し相対的に所定の第一方向に沿って挿入されることで係合される。係合装置1は、第一方向と交差する所定の第二方向における第一高低差により係合部5と被係合部6との係合を保持する第一保持構造30と、第二方向における第一高低差と反対方向の第二高低差により係合部5と被係合部6との係合を保持する第二保持構造40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部が被係合部に対し相対的に所定の第一方向に沿って挿入されることで係合される係合装置であって、
前記第一方向と交差する所定の第二方向における第一高低差により前記係合部と前記被係合部との係合を保持する第一保持構造と、
前記第二方向における前記第一高低差と反対方向の第二高低差により前記係合部と前記被係合部との係合を保持する第二保持構造と、
を備えることを特徴とする係合装置。
【請求項2】
係合部は、第一保持構造を構成し弾性変形可能に形成され復帰変形により被係合部に係合される対をなす係止部と、第二保持構造を構成し前記係止部に設けられた突起部と、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の係合装置。
【請求項3】
被係合部は、係止部が相対的に第一方向に沿って挿入されるとともに、挿入に伴い前記係止部を弾性変形させる開口部と、第二保持構造を構成し前記係止部が前記開口部に挿入された位置で突起部が挿入される溝部と、を有する
ことを特徴とする請求項2記載の係合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係合部が被係合部に対し相対的に挿入されることで係合される係合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に適用される係合装置として、例えばフロントバンパカバーにフォグランプカバーを係合保持するものが知られている。この係合装置は、被係合部に対して係合部を相対的に所定方向に挿入して係合させるものであって、所定方向に沿って傾斜したガイド用のスロープを係合部の爪部が挿入に伴って乗り越えることで爪部が規制面に係止される構造となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-247037号公報 (第5-10頁、
図6-9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の係合装置の場合、係合部の受圧面に圧力が加わった際に係合が外れないように、別途の構成を設ける必要がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、係合が容易で、かつ、外れにくい係合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の係合装置は、係合部が被係合部に対し相対的に所定の第一方向に沿って挿入されることで係合される係合装置であって、前記第一方向と交差する所定の第二方向における第一高低差により前記係合部と前記被係合部との係合を保持する第一保持構造と、前記第二方向における前記第一高低差と反対方向の第二高低差により前記係合部と前記被係合部との係合を保持する第二保持構造と、を備えるものである。
【0007】
請求項2記載の係合装置は、請求項1記載の係合装置において、係合部は、第一保持構造を構成し弾性変形可能に形成され復帰変形により被係合部に係合される対をなす係止部と、第二保持構造を構成し前記係止部に設けられた突起部と、を有するものである。
【0008】
請求項3記載の係合装置は、請求項2記載の係合装置において、被係合部は、係止部が相対的に第一方向に沿って挿入されるとともに、挿入に伴い前記係止部を弾性変形させる開口部と、第二保持構造を構成し前記係止部が前記開口部に挿入された位置で突起部が挿入される溝部と、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の係合装置によれば、係合部が被係合部に対し相対的に所定の第一方向に沿って挿入されることで係合されるため、係合が容易であるとともに、第一保持構造の第一高低差と第二保持構造のる第二高低差との和により設定される第二方向のラップ代によって係合力を得ることができるので、係合が外れにくい。
【0010】
請求項2記載の係合装置によれば、請求項1記載の係合装置の効果に加えて、係止部の弾性変形からの復帰変形による反力を利用して、係止部と突起部とをそれぞれ容易に被係合部に係合させることができるとともに、係止部側の第一保持構造と突起部側の第二保持構造とによって係合が外れにくく、かつ、係合部と被係合部との係合を外す際には、係止部を反力に抗して弾性変形させて係合を外すことで突起部の係合も外すことができるので、係合部を被係合部から容易に取り外すことができる。
【0011】
請求項3記載の係合装置によれば、請求項2記載の係合装置の効果に加えて、係止部を開口部に挿入し開口部を超えた位置で係止部が復帰変形することで被係合部に係合される第一保持構造と、突起部が溝部に挿入係合される第二保持構造と、を容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の係合装置の係合状態を示す斜視図である。
【
図3】同上係合装置の係合部を被係合部に挿入する過程を示す斜視図である。
【
図4】同上係合装置を示す断面図であり、(a)は突起部が溝部に挿入されたときを示し、(b)は突起部が係止部の復帰変形に伴い溝部に嵌合されたときを示す。
【
図5】本発明の第2の実施の形態の係合装置の係合部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態の係合装置の突起部を拡大して示す斜視図であり、(a)はその一例を示し、(b)は他の例を示す。
【
図7】本発明の第4の実施の形態の係合装置の被係合部を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第5の実施の形態の係合装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし
図3において、1は係合装置を示す。係合装置1は、例えば自動車などの車両に用いられるものである。例えば、係合装置1は、ハイブリッド車両などに搭載されるIPU部品に用いられ、特にバッテリのエンジンカバーなどに好適に使用される。
【0015】
係合装置1は、第一部材2と第二部材3とを備える。第一部材2及び第二部材3は、例えば車両用部品である。第一部材2には係合部5が設けられ、第二部材3には係合部5が係合される被係合部6が設けられている。そして、係合装置1は、係合部5(第一部材2)が被係合部6(第二部材3)に対して相対的に所定の第一方向に沿って、第一方向の一方側に向かい挿入されることにより、係合部5と被係合部6とが係合されることで、第一部材2と第二部材3とが組み付け状態で保持されるように構成されている。なお、図中においては、第一方向を矢印D1で示し、第一方向と交差または直交する第二方向を矢印D2で示し、第一方向及び第二方向と交差または直交する第三方向を矢印D3で示す。以下、第一方向を前後方向、第二方向を上下方向、高さ方向または厚み方向、第三方向を左右方向または幅方向として説明する。例えば、第一方向の一方側を前側、その反対の他方側を後側とし、第二方向の一方側である図中の上側を上側、その反対の他方側である図中の下側を下側とする。
【0016】
係合部5は、例えば合成樹脂により成形される。係合部5は、板状の一般部10と、一般部10から前方に突出する板状の突出部11と、を有する。突出部11は、一般部10よりも幅狭の四角形状に形成されている。突出部11は、一般部10と面一または略面一に連なっている。
【0017】
突出部11には、穴部13が形成されている。穴部13は、突出部11の幅方向の中央部において、突出部11の先端部から基端部側に亘り形成された切欠部である。穴部13は、前後方向に沿って延びるスリット状である。穴部13により、突出部11が幅方向に対をなすアーム部である係止部14,14に分割されている。係止部14は、穴部13側に弾性変形可能となっている。つまり、係止部14,14は、互いに接近する方向に弾性変形可能である。
【0018】
各係止部14には、穴部13とは反対側の側部に、延出部16が形成されている。延出部16は、係止部14の前後両端間に位置する。本実施の形態では、延出部16は、係止部14の先端寄りつまり前側寄りに位置する。延出部16は、係止部14に対して幅方向に延出されている。そのため、延出部16と一般部10との間が、凹部17となっている。凹部17は、延出部16の後部と、係止部14の穴部13とは反対側の側部と、一般部10の前部と、により囲まれる、平面視で幅方向にコ字状に窪んでいる。
【0019】
本実施の形態では、凹部17において、係止部14の側部に、係止部14を補強する補強部18が形成されている。補強部18は、係止部14よりも厚みが小さい板状に形成されている。補強部18は、係止部14の側部に沿って、係止部14の基端部から延出部16に亘り前後方向に連なっている。補強部18の厚みと、穴部13の長さと、に応じて、係止部14の弾性変形の撓み具合(撓みやすさ、撓み反力、撓み量など)が調整される。補強部18は、必須の構成ではない。
【0020】
また、延出部16の前部と係止部14の先端部とに亘り、湾曲部20が形成されている。湾曲部20は、延出部16と係止部14の先端部とを滑らかに連ねる部分である。本実施の形態において、湾曲部20は、円弧状に湾曲して形成されている。
【0021】
延出部16には、突起部22が形成されている。突起部22は、延出部16の先端部から下側に突出している。突起部22は、例えばピン状(円柱状)に形成されている。本実施の形態において、突起部22の先端部22aは、基端部よりも縮径されている。すなわち、突起部22の先端部22aは、截頭円錐状(円錐台状)となっている。
【0022】
被係合部6は、例えば合成樹脂により成形される。被係合部6は、一般部25を備える。一般部25は、一主面25aが面状に形成され、この一主面25aが、係合部5の一般部10及び突出部11(係止部14)が重ねられる基準面となっている。一般部25には、係合部5を位置決めするストッパ部である第一位置決め部28が形成されている。第一位置決め部28は、係合部5の係止部14を係合する部分である。
図4(a)に示すように、第一位置決め部28は、一主面25aから上側に突出高さH1で突出している。第一位置決め部28は、左右一対設定され、互いに左右方向に離れて配置されている。
【0023】
図1及び
図2に示すように、第一位置決め部28は、左右方向に延びる壁状に形成されている。第一位置決め部28は、係止部14の延出部16が前方から係合される。第一位置決め部28は、係止部14の延出部16の先端部側の後部が当接する部分である。第一位置決め部28と係止部14とにより、第一保持構造30が構成されている。第一保持構造30は、基準面である一主面25aと第一位置決め部28の上面28aとの高低差である第一高低差(突出高さH1(
図4(a))に相当)により係合部5と被係合部6との係合を保持する構造である。この第一高低差は、少なくとも突出部11(係止部14)の厚みの1/2より大きければよく、好ましくは厚みより大きく設定されている。係止部14の後部と第一位置決め部28の前部とが係合状態で互いに当接する受圧面となっている。すなわち、第一保持構造30は、係合部5と被係合部6との前後方向の当接によって係合部5と被係合部6との係合を保持する。
【0024】
第一位置決め部28には、ガイド部33が連なって形成されている。ガイド部33は、第一位置決め部28の端部から後方に延びている。つまり、ガイド部33は、前後方向に延びる壁状に形成されている。ガイド部33,33は、一主面25a上において係合部5の突出部11(係止部14)が挿入される間口である開口部34を区画している。ガイド部33は、開口部34に挿入される係止部14の延出部16の先端部が当接することで、係合部5の突出部11(係止部14,14)を開口部34に挿入するガイドとなっており、開口部34が、突出部11(係止部14,14)が挿入される隘路となっている。
【0025】
ガイド部33は、前後方向に長手状に連なる壁状に形成されている。ガイド部33は、第一位置決め部28すなわち前側から、後側に向かって徐々に開口部34が拡開するように傾斜して形成されている。すなわち、ガイド部33,33は、後側から前側に向かい互いに徐々に接近するように配置されている。開口部34の後端部の幅である最大幅W1は、係止部14,14間の幅W2より大きく、開口部34の前端部の幅である最小幅W3は、係止部14,14間の幅W2より小さく、それぞれ設定されている。なお、ガイド部33は、前後方向に断続的に形成されていてもよいし、第一位置決め部28に対して僅かに離れていてもよい。
【0026】
本実施の形態において、ガイド部33には、導入部36が連なって形成されている。導入部36は、ガイド部33の後端部に連なっている。導入部36は、係合部5の突出部11(係止部14)の開口部34への挿入の際に突出部11(係止部14)の先端部ないし延出部16の先端部をガイド部33すなわち開口部34の幅方向の中心側へとガイドすることで係合部5を開口部34に対して幅方向に位置合わせするものである。導入部36は、後側に向かい拡開されて開口部34の外側に折り返されている。本実施の形態において、導入部36は、円弧状に湾曲して形成されている。導入部36は、必須の構成ではない。
【0027】
また、一般部25には、第一位置決め部28の後部に、係合部5を位置決めする第二位置決め部38が形成されている。
図4(a)に示すように、第二位置決め部38は、一主面25aから下側に深さH2で窪んだ溝部である。第二位置決め部38には、係合部5の突起部22が嵌合挿入される。
図1及び
図2に示すように、第二位置決め部38は、左右方向に沿って形成されている。第二位置決め部38は、第一位置決め部28の後部に隣接しており、第一位置決め部28の受圧面である後面に連なる壁面を有している。この壁面と突起部22とが係合状態で互いに当接する受圧面となっている。
【0028】
第二位置決め部38と突起部22とにより、第二保持構造40が構成されている。第二保持構造40は、係合部5と被係合部6との前後方向の当接によって係合部5と被係合部6との係合を保持する。第二保持構造40は、基準面である一主面25aと第二位置決め部38の底面38aとの高低差である第二高低差(深さH2(
図4(a))に相当)により係合部5と被係合部6との係合を保持する構造である。この第二高低差は、基準面である一般部25の一主面25aに対し、第一高低差とは反対方向である下側に生じている高低差である。この第二高低差は、延出部16の下部からの突起部22の下側への突出量に応じて設定され、少なくとも延出部16の下部からの突起部22の下側への突出量以上であればよい。
【0029】
したがって、係合装置1における係合部5と被係合部6との係合は、第二方向の高さが異なる三つの地点、つまり第一位置決め部28の上面28a、一般部25の一主面25a、及び、第二位置決め部38の底面38aによって、係合及び保持が生じる構造となっている。換言すれば、係合装置1における係合部5と被係合部6とは、第一高低差と第二高低差との和により設定される第二方向(高さ方向)のラップ代によって係合力(嵌合力)を得ている。
【0030】
本実施の形態において、第二位置決め部38は、第一位置決め部28の開口部34側の端部、つまりガイド部33と連なる位置に対して、開口部34の内側、つまり開口部34の幅方向の中央部に向かって端部が延びている。好ましくは、第二位置決め部38には、突起部22を底面38aへと導くスロープ状の傾斜面38bが形成されている。傾斜面38bは、第二位置決め部38において、開口部34側の端部からその反対側の端部側に位置する底面38aに向かって徐々に深くなるように延びている。
【0031】
さらに、一般部25には、規制部42が形成されている。規制部42は、係止部14(突出部11)の先端部が当接することで係止部14(突出部11)の前後方向の位置を規制するものである。規制部42は、一般部25の一主面25aから上側に突出し、左右方向に延びる壁状となっている。規制部42は、第一位置決め部28及び第二位置決め部38に対して前方に離れて位置する。規制部42の前部には、一般部25との間に、リブ状の支持部44が形成されている。支持部44は、規制部42に対する係止部14の先端部の当接に対し、規制部42を補強する。支持部44は、規制部42から一般部25の一主面25aに亘り連なっている。支持部44は、規制部42から離れるほど一主面25aからの高さが低くなるように、例えば側方から見て三角形状に形成されている。支持部44は、規制部42に対して交差または直交する前後方向に延びている。本実施の形態において、支持部44は、規制部42の両端部近傍の前部にそれぞれ形成されている。
【0032】
そして、係合装置1により第一部材2と第二部材3とを係合させる際には、
図2に示すように、係合部5を被係合部6に対し、開口部34に向かって第一方向の一方側へと、つまり前側へと挿入すると、被係合部6の導入部36に対して係合部5の係止部14の先端部から湾曲部20が当接し、係止部14,14を開口部34の幅方向の中央部側に導く。
【0033】
続いて、係合部5を前側に挿入するにしたがい、係止部14の延出部16の先端部が被係合部6のガイド部33に当接する。このとき、被係合部6の開口部34が前側に向かって徐々に幅狭となるように形成され、開口部34の最小幅W3が係合部5の係止部14,14間の幅W2より小さいことにより、
図3に示すように、これらの寸法差に応じて、係合部5の延出部16がガイド部33との当接を維持することに伴い係止部14,14が互いに接近するように弾性変形する。
【0034】
そして、係合部5の延出部16がガイド部33の前端部にある第一位置決め部28を前側に乗り越えた位置、本実施の形態では突起部22の先端部22aが第二位置決め部38に入った位置で、係止部14,14を弾性変形させている外力が開放されることで、係止部14,14が復帰変形し、その反力によって、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、延出部16が第一位置決め部28の後面に沿って移動するとともに、係止部14,14の前端部の規制部42との当接により第二位置決め部38に対して位置合わせされた突起部22が傾斜面38bにガイドされつつ底面38aへと移動する。
【0035】
この結果、係止部14の反力によって、
図1に示すように、係止部14の延出部16が第一位置決め部28の前部に係合される第一保持構造30と、突起部22が第二位置決め部38に係合される第二保持構造40と、が構成され、係合部5が被係合部6に対して係合した状態に保持される。
【0036】
なお、係合部5を被係合部6から取り外す際には、係止部14を反力に抗して弾性変形させることで、延出部16と第一位置決め部28との係合、及び、突起部22と第二位置決め部38との係合を外し、係合部5を開口部34から後側に引き抜くことにより、容易に取り外すことができる。
【0037】
このように、本実施の形態の係合装置1は、係合部5が被係合部6に対し相対的に所定の第一方向に沿って挿入されることで係合されるため、係合が容易であるとともに、第二方向における第一高低差により係合部5と被係合部6との係合を保持する第一保持構造30と、第二方向における第一高低差と反対方向の第二高低差により係合部5と被係合部6との係合を保持する第二保持構造40と、を備えるため、第一保持構造30の第一高低差と第二保持構造40の第二高低差との和により設定される第二方向のラップ代によって係合力を得ることができることで強固な嵌合力が得られ、規制力が高い係止構造となり、係合が外れにくい。
【0038】
係合部5が、第一保持構造30を構成し弾性変形可能に形成され復帰変形により被係合部6(第一位置決め部28)に係合される対をなす係止部14と、第二保持構造40を構成し係止部14に設けられた突起部22と、を有するので、係止部14の弾性変形からの復帰変形による反力を利用して、係止部14と突起部22とをそれぞれ容易に係合させることができるとともに、係止部14側の第一保持構造30と突起部22側の第二保持構造40とによって係合が外れにくくい。また、係合部5と被係合部6との係合を外す際には、係止部14を反力に抗して弾性変形させて被係合部6の第一位置決め部28との係合を外すことで突起部22の被係合部6の第二位置決め部38への係合も外すことができるので、係合部5を被係合部6から容易に取り外すことができる。
【0039】
また、例えば係止部14の先端部同士が連なって穴部13を囲む係合部5を、被係合部6の爪形状に係合させる従来構造の場合、係合部5の成形時に溶融樹脂が穴部13を迂回して係止部14の先端部で合流することでウェルドラインが発生しやすい構造であるため、係止部14の先端部が被係合部6の爪形状を乗り越えて穴部13に対し係合されるときに係止部14に生じる反りによって高負荷が掛かり、剛性が劣るウェルドラインから割れが生じるおそれがあるのに対し、本実施の形態では、係合部5が、係止部14同士が先端部で連なることなく分岐されており、構造的にウェルドラインが生じないので、係合時に割れが生じるなどの不具合が発生しない。
【0040】
被係合部6が、係止部14が相対的に第一方向に沿って挿入されるとともに、挿入に伴い係止部14を弾性変形させる開口部34と、第二保持構造40を構成し係止部14が開口部34に挿入された位置で突起部22が挿入される溝部である第二位置決め部38と、を有するので、係止部14を開口部34に挿入し開口部34を超えた位置で係止部14が復帰変形することで被係合部6の第一位置決め部28に係合される第一保持構造30と、突起部22が第二位置決め部38に挿入係合される第二保持構造40と、を容易に構成できる。
【0041】
また、溝部である第二位置決め部38に傾斜面38bを形成することにより、突起部22が傾斜面38bに沿って第二位置決め部38の底面38a側にガイドされるので、第二位置決め部38から予期せずに外れたり脱落したりすることを防止できる。
【0042】
なお、上記の第1の実施の形態において、
図5に示す第2の実施の形態のように、穴部13を例えば突出部11から一般部10に亘るまで前後方向に長く形成することで、係止部14の撓みや反力を設定してもよい。
【0043】
また、
図6に示す第3の実施の形態のように、突起部22の先端部22aは、係止部14の摩擦抵抗などの操作具合に応じて、球面状(
図6(a)に示す)、あるいは平面状(
図6(b)に示す)などとしてもよい。
【0044】
さらに、
図7に示す第4の実施の形態のように、第二位置決め部38は、係合部5の被係合部6への組み付け具合に応じて、二点鎖線Lに示すように、第一位置決め部28に沿って左右方向に長くしたり、ガイド部33に沿って前後方向に長くしたりしてもよいし、必要に応じて左右方向、あるいは前後方向に短くしてもよい。
【0045】
また、係合部5を被係合部6に係合させた後に取り外したり再度係合したりする必要がない場合には、第二位置決め部38に傾斜面38bを設けずに、例えば
図8に示す第5の実施の形態のように、第二位置決め部38全体の底面38aを平面状に形成してもよい。
【0046】
さらに、各実施の形態において、係合装置1は、バンパへのカバー取付など、部材間を水平方向に挿入して嵌合する内装部品、外装部品全般に適用可能である。
【0047】
また、係合装置1は、車両用のものに限らず、その他の任意の装置に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば自動車などの車両用の部品の組み付けに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0049】
1 係合装置
5 係合部
6 被係合部
14 係止部
22 突起部
30 第一保持構造
34 開口部
38 溝部である第二位置決め部
40 第二保持構造