(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093567
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65G1/00 511H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210045
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】粟屋 太一
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM52
3F022PP06
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】ラックに格納された荷物の荷ズレを検出し、荷物とシャトル台車との接触による破損を防止することができるシャトル式の自動倉庫を提供する。
【解決手段】本発明のシャトル式の自動倉庫1は、上下方向に複数の棚段8を有するラック2と、複数の棚段8の平棚6に沿ってそれぞれ走行可能に配置された複数のシャトル台車4と、コントローラ22(50)と、を備え、複数の台車4は、それぞれ、光軸(検出軸)が上下方向に設定され、平棚6から台車4側(走行路10側)への荷物A、Bのはみ出しを検出可能な荷物はみ出し検出センサ58を備える。荷物はみ出し検出センサ58は、距離を検出可能なレーザセンサ58であり、自動倉庫1は、荷物のはみ出しが検出された棚段8と平棚6の位置を表示する表示装置23を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数の棚段を有するラックと、上記複数の棚段を構成し荷物が格納される各平棚に沿ってそれぞれ走行可能に配置された複数のシャトル台車と、コントローラと、を備えるシャトル式の自動倉庫であって、
上記複数のシャトル台車は、それぞれ、検出軸が上下方向に設定された非接触式センサ、または、接触式センサで構成され、上記平棚に格納された荷物の上記シャトル台車側へのはみ出しを検出可能な荷物はみ出し検出センサを備える、ことを特徴とするシャトル式の自動倉庫。
【請求項2】
上記コントローラは、上記複数のシャトル台車に対して、上記自動倉庫の原点側から反原点側まで、上記ラックの複数の棚段の全段のシャトル台車を並行して移動させて上記荷物のはみ出しを検出する全棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項3】
上記全棚荷物はみ出し検出モードの実行時、上記シャトル台車の走行速度は上記自動倉庫の通常稼働時における走行速度より低速である、請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項4】
上記コントローラは、上記シャトル台車が上記平棚へ荷おろしするために走行している間、または、上記シャトル台車が上記平棚から荷物を荷つみした後に走行している間、その走行中のシャトル台車に対して、その走行経路に沿った平棚に格納されている荷物のはみ出しを検出させるよう構成されている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項5】
上記コントローラは、上記ラックの複数の棚段のうち荷物を搬送していない棚段のシャトル台車に対して、原点側から反原点側まで移動させて上記荷物のはみ出しを検出する一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項6】
さらに、荷物のはみ出しが検出された棚段と平棚の位置を表示する表示装置を備える、請求項1または請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項7】
上記荷物はみ出し検出センサは、距離を検出可能な距離センサであり、上記距離センサにより検出される距離と、予め設定された上記複数の棚段に格納される荷物の高さ範囲とに基づいて荷物のはみ出しの有無を検出可能なセンサである、請求項1または請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に係わり、特に、上下方向に複数の棚段を有するラックと、複数の棚段の平棚に沿ってそれぞれ走行可能に配置された複数のシャトル台車と、コントローラと、を備えるシャトル式の自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラックの各棚における荷物の位置を検出する検出器をスタッカクレーンの昇降台に設けて、スタッカクレーンの走行位置と、その昇降台の高さ位置とからラックの全ての荷物の位置を検出可能とし、所定の記憶部に記憶された載置位置の情報と比較することにより、各荷物の位置ズレを検出することが可能なスタッカクレーン式の自動倉庫が知られている(たとえば、特許文献1)。
一方、シャトル式の自動倉庫においては、従来、ラックの各平棚に保管してある荷物が所定の位置からずれていないかを所定の場合に作業者が目視で確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シャトル式の自動倉庫(シャトルシステム)は、一般的に、荷物の保管数が多いため、荷ずれの起こしやすい軽い荷物を取り扱う場合や、長期保管の後や、地震発生後などにおいて、シャトルシステムを稼働させる前に、平棚に保管してある荷物が所定の位置からずれていないかを目視確認することが推奨されている。特に、シャトル台車側への荷物のはみ出しは、シャトル台車との衝突による荷物やシャトル台車の破損につながるため、確実な点検が望まれる。しかしながら、シャトルシステムの規模に比例して、確認すべき箇所は多くなるため、多大な労力が必要になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、ラックに格納された荷物の荷ズレを検出し、荷物とシャトル台車との接触による荷物やシャトル台車の破損を防止することができるシャトル式の自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、上下方向に複数の棚段を有するラックと、複数の棚段を構成し荷物が格納される各平棚に沿ってそれぞれ走行可能に配置された複数のシャトル台車と、コントローラと、を備えるシャトル式の自動倉庫であって、複数のシャトル台車は、それぞれ、検出軸が上下方向に設定された非接触式センサ、または、接触式センサで構成され、平棚に格納された荷物の上記シャトル台車側へのはみ出しを検出可能な荷物はみ出し検出センサを備える、ことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、複数のシャトル台車に、検出軸が上下方向に設定された非接触式センサで構成される荷物はみ出し検出センサ、または、接触式センサで構成される荷物はみ出し検出センサを設けてシャトル台車側への荷物のはみ出し(荷ズレ)を検出することで、荷物とシャトル台車との接触による荷物やシャトル台車の破損を防ぐことができる。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、複数のシャトル台車に対して、自動倉庫の原点側から反原点側まで、ラックの複数の棚段の全段のシャトル台車を並行して移動させて荷物のはみ出しを検出する全棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、全棚荷物はみ出し検出モードを実行させることにより、全ての荷物について一度にはみ出しの発生の有無を確認することができる。この検出モードの実行により荷物のはみ出しが検出されれば、たとえば作業者がそのはみ出した荷物の荷ズレを修正して、荷物のはみ出しが無い状態を確保することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、全棚荷物はみ出し検出モードの実行時、シャトル台車の走行速度は自動倉庫の通常稼働時における走行速度より低速であるので、より確実に、荷物のはみ出しを検出することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、シャトル台車が平棚へ荷おろしするために走行している間、または、シャトル台車が平棚から荷物を荷つみした後に走行している間、その走行中のシャトル台車に対して、その走行経路に沿った平棚に格納されている荷物のはみ出しを検出させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、ラックへの荷おろしや荷つみなどの自動倉庫の通常稼働を行いながら荷物のはみ出しを検出することで、常に、荷物とシャトル台車の接触による破損を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、ラックの複数の棚段のうち荷物を搬送していない棚段のシャトル台車に対して、原点側から反原点側まで移動させて荷物のはみ出しを検出する一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、荷物を搬送していないシャトル台車に対して一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させることで、自動倉庫を稼働しながら、一部の棚段における荷物のはみ出しの発生の有無を確認することができる。そして、その一部の棚段での荷物のはみ出しが無い状態を確保した後、さらに順序を追って、他の棚段の荷物の荷ズレを検出し、荷物のはみ出しが無い状態を確保することで、全ての棚段での荷物のはみ出しが無い状態を確保することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、荷物のはみ出しが検出された棚段と平棚の位置を表示する表示装置を備えるので、作業者による修正作業を迅速に行わせることができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、荷物はみ出し検出センサは、距離を検出可能な距離センサであり、距離センサにより検出される距離と、予め設定された複数の棚段に格納される荷物の高さ範囲とに基づいて荷物のはみ出しの有無を検出可能なセンサであるので、より効果的に、荷物のはみ出しを検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラックに格納された荷物の荷ズレを検出し、荷物とシャトル台車との接触による荷物やシャトル台車の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態によるシャトル式の自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図である。
【
図6】本実施形態による距離センサの配置を説明するための入出庫台車の平面図である。
【
図7】本実施形態による入出庫台車の距離センサと荷物との位置関係を説明するための自動倉庫を部分的に示す側面図である。
【
図8】
図7のVIIIで示す部分をレーザ光と共に示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫を説明する。
【0017】
まず、
図1および
図2により、本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫の概略構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫の概略構成を示す正面図であり、
図2は、本発明の実施形態によるシャトル式の自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
図1および
図2に示すように、符号1は、本実施形態のシャトル式の自動倉庫(以下、「自動倉庫」という)を示し、この自動倉庫1は、ラック2と、複数のシャトル台車(入出庫台車)(以下、「台車」という)4とを備える。ラック2は、左右方向(図に示すX方向であって、原点側と反原点側とを結ぶ方向)に並べられた一連の棚(平棚)6を有する棚段8を上下方向(図に示すZ方向)に複数備えている。なお、複数の棚6のそれぞれは別体であってもよく、一体に形成されていてもよい。複数の棚段8は、複数のラック支柱5(
図7参照)により上下方向に連結されている。
【0018】
次に、
図2に示すように、複数の台車4は、それぞれ、一対の走行レール11(
図7参照)を有する走行路10に沿って左右方向に互いに独立して移動し、後述する移載装置12により、ラック2に対する荷物の受け渡し、すなわち、ラック2への荷おろし(移載)および台車4へのラック2からの荷つみを行う。複数の台車4は、複数の棚段8に1台ずつ配置されている。
【0019】
図2に示すように、ラック2は、台車4の走行路10を挟んで対向する一対のラック2を有し、一対のラック2は、原点側から見て左側列のラック2aと右側列のラック2bとで構成される。台車4は、ラック2a側およびラック2b側にそれぞれ設けられた走行レール11上を走行し、これにより、走行路10が構成される。
ここで、
図1および
図2に示すように、自動倉庫1は、コントローラ22で制御される台車4の走行の基準位置やラック2の各棚6の座標位置などを定めるための原点の側(原点側)と、その反対側の反原点側とが規定されている。
【0020】
なお、本実施形態の自動倉庫1の変形例として、たとえば3段の棚段8毎にリフタ付きの入出庫台車を1台配置して、その1台の台車で3段の棚段8にそれぞれ荷物を格納することができるような自動倉庫1であってもよい。
【0021】
次に、
図1および
図2に示すように、自動倉庫1は、その両側に、ラック2に収納されるべき荷物を受け取り、かつ、ラック2から取り出された荷物を受け取るための第1および第2のステーション14、16を備える。本実施形態では、第1ステーション14は、最下段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されており、第2ステーション16は、最上段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されている。
【0022】
また、自動倉庫1は、荷物を昇降させる第1および第2の昇降装置18、20を備える。第1および第2の昇降装置18、20は、それぞれ、第1および第2のステーション14、16と台車4との間の荷物の受け渡しを仲介する。
【0023】
自動倉庫1は、これら台車4等の動作を制御するコントローラ22を備えている。台車4等は無線通信または有線通信によりコントローラ22から送信される制御信号に従って動作する。
【0024】
ここで、コントローラ22による自動倉庫1の基本的な荷物の入出庫動作を説明する。
まず、荷物の入庫作業として、第1ステーション14の入庫用コンベア24により搬送されてきた荷物は、第1昇降装置18により、入庫する棚段8に対応する高さ位置の入庫用載置領域26に載置される。この入庫用載置領域26に載置された荷物は、該当する棚段8の台車4に引き取られ、その棚段8のいずれかの棚6に移載(荷おろし)される。
次に、荷物の出庫作業として、入庫する棚段8のいずれかの棚6に載置されている荷物は、該当する棚段8の台車4に荷つみされ、その棚段8に対応する高さ位置の出庫用載置領域28まで搬送される。この出庫用載置領域28まで搬送された荷物は、第1昇降装置18を介して出庫用コンベア30まで移動され、さらに出庫用コンベア30に接続された搬送先まで搬送される。
【0025】
第2ステーション16も、第1ステーション14と同様であり、入庫用コンベア25、入庫用載置領域27、出庫用載置領域29および出庫用コンベア31を備え、上述した入出庫動作が行われる。また、第1ステーション14および第2ステーション16の一方を介した入庫作業および出庫作業は、他方を介した入庫作業および出庫作業とは独立して実行することができる。
【0026】
次に、
図3および
図4により、本実施形態の自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を説明する。
図3は、本実施形態による自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図であり、
図4は、本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
まず、
図3に示すように、台車4は、移載装置12を備える。移載装置12は、一対のサイドアーム32を備え、これらのサイドアーム32が前後方向(
図1、
図2に示すY方向)に伸縮することにより、荷物の取り込み(荷つみ)および送り出し(荷おろし)を行う。
一対のサイドアーム32は、それぞれ、ベースアーム34と、このベースアーム34に連結されたミドルアーム36と、このミドルアーム36に連結されたトップアーム38とを有する。なお、一対のサイドアーム32の各アーム34、36、38の構成は、左右で互いに同じであるので、以下では、片方のアームについて説明する。
【0027】
ベースアーム34は、台車4に固定されている。ベースアーム34の中央部には、スプラインシャフト40が左右方向(
図1、2に示すX方向)に貫通して延びており、このスプラインシャフト40は、台車4に内蔵されたモータ(
図4に示すアーム出退モータ52)で回転駆動されるようになっている。
このスプラインシャフト40の前後には、それぞれ、4つずつ並べられたピニオンギア42が互いに噛み合うよう配置されると共に、これらのピニオンギア42にミドルアーム36のラックギア44が噛み合うように配置される。
また、ミドルアーム36の前後方向の両端部、および、トップアーム38の前後方向の両端部には、それぞれ、プーリ(図示せず)が設けられ、これらのプーリにベルト(図示)がたすき掛けされている。
【0028】
本実施形態では、主にこれらの構成により、スプラインシャフト40を所定の方向に回転させると、従動する各ピニオンギア42が回転し、その回転を受けたラックギア44が前後方向のいずれか一方に移動し、これにより、ミドルアーム36がベースアーム34に対して伸縮する。さらに、ミドルアーム36が伸縮することにより、プーリにたすき掛けされたベルトの作用により、トップアーム38が、ミドルアーム36の倍量、伸縮するようになっている。このように、ミドルアーム36の伸縮に連動して、トップアーム38が伸縮するようになっている。
なお、本実施形態では、3枚板のアーム34、36、38でサイドアーム32を構成しているが、たとえばダブルリーチアームなど、4枚板のアームでサイドアーム(32)を構成するようにしてもよい。
【0029】
このようにサイドアーム32(ミドルアーム36およびトップアーム38)は、上述した駆動機構(40、42、44など)により、台車4の走行路10の両側に配置されたラック2(棚6)に進出可能であり、かつ、その先端が、ラック2の奥行き方向において一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出するようになっている。たとえば、後述する
図5および
図6において、トップアーム38の先端は、ラック2の奥行き方向において、一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出可能である(たとえば、
図6(B)参照)。そして、このような後端位置にあるトップアーム38は、開状態にある先端の端部フック46が荷物B1の後方端部に係合して、その荷物B1を台車4に取り込むこと(荷つみ)が可能となっている。
【0030】
次に、トップアーム38は、その前後端部にそれぞれ端部フック46を備える。これらの端部フック46は、トップアーム38内に収容されるような閉位置(
図3に示す位置)と、この閉位置から約90°回転して、一対のトップアーム38の間に突出する開位置との間で回動可能に構成されている。これらの端部フック46は、開状態において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0031】
また、トップアーム38は、その前後方向の中間位置に中央フック48を備える。この中央フック48も、上述した端部フック46と同様に、トップアーム38内に収容されるような閉位置(
図3に示す位置)と、一対のトップアーム38の間に突出する開位置との間で回動可能に構成され、その開状態において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0032】
中央フック48は、端部フック46と同様の形状に形成された2本の棒状部材48aを1つの板状部材48bで連結して、一体的なフックとして形成されている。
図3から明らかなように、このように形成された中央フック48の前後方向の厚さ(後述する、ラック2の奥行き方向の幅)は、端部フック46の前後方向の厚さ(ラック2の奥行き方向の幅)より十分大きい。
【0033】
次に、台車4内には、一対のサイドアーム32全体の互いの間隔を狭めまたは拡げるように、ベースアーム34を左右方向に移動させるモータ(図示せず)が組み込まれている。すなわち、所定の荷幅の荷物を移載する場合には、まず、このモータにより、各トップアーム38間の間隔を、フック46、48のいずれかが荷物の前後端に係合可能となるような距離まで狭める。この場合、トップアーム38は、荷物との間に所定の小さいクリアランスを保つ位置まで近づけられるか、あるいは、荷物に過大な圧力がかからない程度にクランプする。
また、トップアーム38は、端部フック46および中央フック48を回動させるフック開閉モータ54(
図3参照)を備える。
【0034】
なお、
図3に示すように、台車4には、後述する2つのレーザセンサ58が設けられている。
【0035】
次に、
図4に示すように、台車4は、上述した移載装置12のアーム34、36、38やフック46、48の動作を制御するためのコントローラ50を有している。このコントローラ50は、上述したスプラインシャフト40を回転させてサイドアーム32を伸縮させるアーム出退モータ52を制御する。また、コントローラ50は、各端部フック46の開閉および中央フック48の開閉を行わせるフック開閉モータ54を制御する。また、サイドアーム32の互いの間隔を調整するためのアーム開閉モータ56を制御する。
【0036】
また、コントローラ50には、後述する、レーザセンサ58(
図6乃至
図8参照)が接続されている。
【0037】
次に、本実施形態の自動倉庫1の基本的動作の例を説明する。
ここで、顧客によって、ラック2に1種類の荷幅(台車走行方向の幅)の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合と、ラック2に2種類以上の荷幅の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合がある。なお、荷物の「荷幅」とは、左右方向(X方向)の荷物の幅であって、台車4の走行方向の荷物の幅を意味し、荷物の「奥行き方向の幅」(奥行き幅)とは、前後方向(Y方向)の荷物の幅であって、ラック2の奥行き方向の荷物の幅を意味する。
【0038】
また、本実施形態の自動倉庫1は、各ラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を格納可能する場合と、各ラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を格納可能な場合とを想定して設計されている。以下、前者の場合の荷物を「小荷物」と言い、後者の場合の荷物を「大荷物」と言う。なお、以下では図示を省略するが、上述した大荷物より大きい極大荷物をラック2に1個格納することもできる。
【0039】
次に、
図5により、本実施形態の移載装置12による荷物のラック2への主な移載パターンを説明する。
図5は、本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図である。なお、
図5では、簡略化のために、片方のサイドアーム32のみを図示している。
【0040】
ここでは、
図5により、片側のラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を移載可能な「大荷物」の場合の一例のみ説明する。「小荷物」の場合も、その説明は省略するが、移載装置12により、片側のラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を移載可能である。
図5(A)に示すように、台車4(図示を省略する)上に荷おろし前の大荷物A1が載せられている。この位置にある大荷物A1を、ラック2の手前側の載置位置に移載するパターンを
図5(B)に示す。
図5(B)は、上述した荷幅が2種類以上の荷物を自動倉庫1に格納する場合の例であり、中央フック48を用いて大荷物A1を移載する。この例の場合、荷幅が2種類以上であるので、たとえば奥側に格納されている大荷物A2の荷幅が、手前側に移載しようとする大荷物A1の荷幅より大きい場合に、サイドアーム32が奥側まで伸びて大荷物A2に当接/干渉しないようにしている。
【0041】
次に、
図4、
図6乃至
図8により、本実施形態による、ラックに格納した荷物の台車側(走行路側)へのはみ出しを検出するための距離センサ、および、はみ出した荷物の検出方法について説明する。
図6は、本実施形態による距離センサの配置を説明するための入出庫台車の平面図であり、
図7は、本実施形態による入出庫台車の距離センサと荷物との位置関係を説明するための自動倉庫を部分的に示す側面図であり、
図8は、
図7のVIIIで示す部分をレーザ光と共に示す部分拡大図である。なお、
図7は、
図1および
図2において、自動倉庫1を反原点側の側面から見た図である。
【0042】
まず、
図6および
図7に示すように、台車(シャトル台車)4には、2つのレーザセンサ58が設けられている。これらのレーザセンサ58は、いずれも物体からのレーザの反射光に基づいて距離を測定可能な距離センサである。本実施形態では、これらのレーザセンサ58により検出される距離に基づいて、荷物A、Bの走行路10側へのはみ出しの有無が検出される。
【0043】
ここで、上述した
図4に示すように、コントローラ50には、これらのレーザセンサ58が接続され、荷物の検出信号が入力される。この入力された検出信号は、コントローラ50から、自動倉庫1の稼働を総合的に制御するコントローラ22(
図1参照)に無線通信または有線通信により送信される。コントローラ22は、荷物の「はみ出し」を判定し、その検出結果を、
図1に示す表示装置(本実施形態ではタブレット端末である)23に表示させる。
一方、後述する、作業者による、タブレット端末23の操作による、荷物はみ出し検出モードの選択や実行などの入力信号は、コントローラ22から無線通信または有線通信によってコントローラ50に送信され、台車4の動作が制御される。
【0044】
次に、再び、
図6および
図7に示すように、2つのレーザセンサ58は、台車4の前方側の両端部に設けられている。より詳細には、2つのレーザセンサ58は、いずれも、台車4の走行方向に対する左右両側(ラック2a側およびラック2b側)にそれぞれ設けられている。ここで、本実施形態の自動倉庫1では、台車4が、初期位置である原点から反原点へ向けて走行する方向が、台車4の前方側となる。
なお、変形例として、レーザセンサ58は、台車4の四隅、すなわち、台車の前方側および後方側にそれぞれ2つずつ設けるようにしてもよい。この変形例によれば、たとえば、地震などで、台車4が初期位置以外の場所で停止し、その後の運転再開時に台車4を原点に戻す途中にも、後述する荷物のはみ出し検出を行わせることができる。
【0045】
また、
図7および
図8から理解可能なように、レーザセンサ58は、いずれも、平面視で(自動倉庫1を上方からみたとき)、台車4が走行路10を走行するときに、ラック2a、2bの複数の平棚6の端縁に隣接して移動するような位置に設けられている。また、レーザセンサ58は、側面視で、上下の走行レール11の間に位置している。
本実施形態では、このような位置にレーザセンサ58を配置することで、レーザセンサ58が、走行路10側へのはみ出した荷物A、Bの有無を検出することができる。より詳細には、レーザセンサ58は、荷物A、Bの走行路10側へのはみ出し量が、走行している台車4と荷物A、Bとが衝突してしまうような量であるとき、そのような荷物A、Bの有無を検出することができるような位置に配置されている。
【0046】
また、
図7および
図8に示すように、本実施形態では、レーザセンサ58は、台車4の走行時、格納が想定される荷物A、Bの上端縁より高い位置に設けられる。すなわち、レーザセンサ58は、荷物A、Bの上方側を移動するような位置で、台車4に設けられている。たとえば、
図7、
図8において、ラック2aに格納された荷物A、Bのうち、台車4の側方に位置する荷物A、Bがズレており、レーザセンサ58は、その上方から荷物A、Bの有無を検出する。
【0047】
さらに、
図7および
図8に示すように、本実施形態では、レーザセンサ58から鉛直方向下方に向けてレーザ光L1が照射されるように、レーザセンサ58の光軸(検出軸)が設定されている。
図8では、荷物A、Bが存在しないと仮定した場合のレーザ光を符号L1で示し、荷物A、Bが台車4と衝突するような量で走行路10側にはみ出している場合のレーザ光を符号L2で示す。
【0048】
次に、レーザセンサ58による荷物の検出判定手法について説明する。
まず、本実施形態では、レーザセンサ58は、走行路10側にはみ出した荷物A、Bが存在しない場合には、レーザ光L1が台車走行レール11で反射されるような位置に設けられている。したがって、レーザセンサ58で検出される距離が、コントローラ22(の記憶部)に記憶された予め設定された第1所定距離(レーザセンサ58と走行レール11との鉛直方向の距離)と等しい、あるいは、近い数値である場合には、コントローラ22は、走行路10側にはみ出した荷物A、Bが存在しないと判定する。
【0049】
一方、レーザセンサ58で検出される距離が、第2所定距離(しきい値)より小さいと判定される場合は、コントローラ22は、走行路10側にはみ出した荷物A、Bが存在すると判定する。
この第2所定距離は、自動倉庫1に格納される荷物A、Bの想定される最小高さ等に基づいて予め設定されると共に、コントローラ22に記憶されている。
【0050】
以上、レーザセンサ58の光軸が鉛直方向に延びている場合について説明したが、変形例として、はみ出した荷物A、Bの有無を検出できるような角度であれば、レーザセンサ58の光軸が、鉛直方向に対して斜めの角度成分を有するような上下方向(たとえば、鉛直方向に対して0°~45°あるいはそれ以上の角度も含む)に延びていてもよい。
そのような変形例として、たとえば、レーザセンサ58の光軸を、自動倉庫1の側面(
図7)から見て鉛直方向、かつ、自動倉庫1の正面(
図1)から見て斜め方向に延びるように設定してもよい。
【0051】
また、たとえば、レーザセンサ58の光軸を、はみ出した荷物A、Bの有無を検出できるような角度範囲で、自動倉庫1の側面から斜め方向に延び、かつ、自動倉庫1の正面から見て鉛直方向または斜め方向に延びるように設定してもよい。
【0052】
なお、レーザセンサ58の光軸を斜め方向に設定した場合は、その光軸の水平面に対する角度(たとえば、鉛直方向から10°ずれている場合は80°)と、レーザ光L1により検出される距離とに基づいて、レーザセンサ58から鉛直方向下方の荷物A、Bまでの距離を算出することができる。
【0053】
次に、コントローラ22による、上述したレーザセンサ58を利用した複数の荷物はみ出し検出モードを説明する。
まず、第1の検出モードとして、コントローラ22は、全ての台車4に対して、ラック2の全ての棚段8の台車4を並行して原点側から反原点側まで移動させて荷物のはみ出しの有無を検出させる全棚荷物はみ出し検出モードを実行させる。
【0054】
この第1の検出モードは、たとえば、地震発生後や長期保管の後など荷ズレが生じている可能性がある程度高い場合に実行され、その際の台車4の走行速度は、通常の自動倉庫1の稼働時(荷物の搬送時)よりも低速である。また、この第1の検出モードは、夜間など入出庫作業が行われない時に実行するようにしてもよい。
【0055】
次に、第2の検出モードとして、コントローラ22は、ラック2に荷物A、Bを入庫するために走行している(平棚6へ荷おろしするために走行している)か、あるいは、ラック2から荷物A、Bを出庫するために走行している(平棚6から荷物を荷つみした後に走行している)台車4に対して、その走行途中に通過する平棚6に格納されている荷物のはみ出しを検出させる走行時荷物検出モードを実行させる。
【0056】
この第2の検出モードにおいては、たとえば、地震発生後や長期保管の後など荷ズレが生じている可能性がある程度高い場合には、台車4の走行速度を通常より低速とし、一方、荷ズレが生じている可能性が低い場合には、台車4の走行速度を通常の自動倉庫1の稼働時と同等とする。
【0057】
次に、第3の検出モードとして、コントローラ22は、ラック2の複数の棚段8のうち荷物を搬送していない棚段8の台車4に対して、原点側から反原点側まで移動させる一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させる。ここで、上述した「荷物を搬送していない棚段8」とは、たとえば、その棚段での入出庫を予定している荷物がない棚段8、または、その棚段での入出庫をあえて外しているためにその棚段で荷物を搬送していない棚段8などをいう。
【0058】
この第3の検出モードにおいては、たとえば、自動倉庫1の上半分の棚段8について一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させた後、他方の下半分の棚段8について一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させることができる。この第3の検出モードにおける台車4の走行速度は、通常よりも低速とし、一方、それを実行させていない他の棚段の台車4は、通常の自動倉庫1の稼働時の走行速度とすることができる。
また、この第3の検出モードは、いわゆる閑散期など入出庫に関する仕事量が少ない時に実行するようにしてもよい。
【0059】
次に、コントローラ22には、無線通信で接続される表示装置23(
図1参照)が接続されている。表示装置23は、本実施形態では、作業者が手元で操作可能なタブレット端末(リモコン端末)23であるが、固定式のタッチパネルのような装置でもよい。これにより、作業者は、手元のタブレット端末23の所定の操作により、上述した第1~第3の検出モードを設定すると共にそれぞれの検出モードを実行させることができる。なお、第1~第3の検出モードは、たとえば、定期的に、あるいは、地震発生などのトリガイベント発生後に、自動で実行するようにしてもよい。
【0060】
また、コントローラ22は、表示装置23に、「はみ出し(荷ズレ)」が検出された荷物に関する情報として、その棚段8(たとえばナンバリングされている棚段番号)と平棚6の位置(たとえば平棚の座標位置やナンバー)を表示させる。
作業者は、たとえば、手元のタブレット端末23の表示を見ながら、「はみ出し」が検出された荷物の棚段8と棚6の位置へと移動し、はみ出している荷物を基準位置に戻すよう修正作業を行うことができる。
【0061】
ここで、表示装置23に表示させる情報と自動倉庫1の稼働との関係を説明する。
まず、コントローラ22は、上述した第1の検出モードの実行中あるいは実行が終了した後、表示装置23に、全ての棚段8のうち、「はみ出し」が検出された荷物の棚段8と棚6の位置を表示させる。この第1の検出モードの実行中、コントローラ22は、はみ出している荷物を検出した時点で、台車4の走行を停止させ、これにより、荷物A、Bと台車4との衝突を防止するようにしている。このような台車4の停止時、作業者は、荷物と台車4とが衝突しないことを目視などで確認するか、あるいは、はみ出した荷物を修正した後に、タブレット端末23の所定の操作により、残りの荷物の「はみ出し」の検出を再開させる。
【0062】
このように、作業者は、表示装置23に表示された検出結果に基づいて、全てのはみ出している荷物のずれを修正した後、自動倉庫1の稼働を開始させることができる。作業者は、特に、手元のタブレット端末23の表示を見ながら荷ズレの修正作業を効率的に行うことができる。特に、複数の棚段8で荷物のはみ出しが検出された場合は、表示装置23に、それらの複数のはみ出し個所を全て表示させることで、作業者は、荷物の修正作業をまとめて(次々と連続的に)行うことができる。
【0063】
また、コントローラ22は、上述した第2の検出モードの場合も、上述した第1の検出モードと同様に、はみ出している荷物を検出した時点で、台車4の走行を停止させる。また、コントローラ22は、はみ出している荷物を検出すると、表示装置23に、その「はみ出し」が検出された荷物の棚段8と棚6の位置を表示させる。そして、作業者は、該当する棚6の荷物ズレを修正した後、手元のタブレット端末23の操作により、台車4の走行動作を再開させることができる。一方、第2の検出モードにおいて、はみ出している荷物が検出されなかった場合は、そのまま入出庫作業が継続される。
【0064】
また、コントローラ22は、上述した第3の検出モードの実行中あるいは実行が終了した後、表示装置23に、検出モードを実行している一部の棚段8に対して、「はみ出し」が検出された荷物の棚段8と棚6の位置を表示させる。なお、この第3の検出モードの実行中も、上述した第1および第2のモードと同様に、はみ出している荷物を検出した時点で、台車4の走行を停止させる。
そして、作業者は、その表示された検出結果に基づいて、検出対象の棚段8の全てのはみ出している荷物のずれを修正した後、その棚段8における自動倉庫1の稼働を開始させる。作業者は、さらに、順序を追って、他の棚段8についても、第3の検出モードを実行させ、同様に、検出結果に基づいて、荷物ズレを修正することができる。
【0065】
なお、上述した例では、はみ出している荷物を検出した時点で台車4の走行を停止させるようにしているが、変形例として、台車4に、衝突防止センサなど別途のセンサを設け、その検出結果に基づいて、台車4の停止、あるいは、非停止を判定するようにしてもよい。すなわち、たとえば、衝突防止センサなどの検出結果に基づいて、コントローラ22が、荷物A、Bと台車4とが衝突しないことを判定した場合、(もし荷物のはみ出しが検出されていたとしても)、台車4を停止させずに、荷物の「はみ出し」の検出を継続させることができる。
【0066】
次に、センサの変形例を説明する。
本実施形態では、上述したようにレーザセンサ58(非接触式センサ)を用いていたが、変形例として、検出軸を上述したレーザセンサ58と同様に設定した、その他のセンサを用いてもよい。
たとえば、LED光を利用したセンサ、超音波を利用したセンサ(「検出軸」となる超音波の主照射方向を上下方向とする)などの非接触式センサを設けて、荷物A、Bの有無を検出するようにしてもよい。
また、たとえば、投光器と受光器が一体となった光電センサであって、反射板(たとえば、走行レール11)による反射光の有無に基づいて物体の有無を検出する光電センサを設けてもよい。または、特定の距離範囲で反応するような光電センサとして、検出距離範囲が予め設定されている投光器と受光器が一体となった光電センサを設けてもよい。
また、たとえば、上述したレーザセンサ58は、そのレーザ出力を変更して、特定の距離範囲で反応するようにしてもよい。レーザセンサ58の出力の変更は、その出力の調整、あるいは、出力が異なる市販のレーザセンサの型式を選択することなどにより行う。
また、センサの変形例として、リミットスイッチ、レバー式のスイッチセンサ、タッチセンサなどの接触式センサを設けて、荷物A、Bの有無を検出するようにしてもよい。
【0067】
なお、レーザセンサ58や上述した変形例による各センサは、荷物A、Bの上方側に設けられるが、その設置高さは、想定される荷物高さに応じて適宜調整すればよい。たとえば、レーザセンサ58は、予め設定された最大高さおよび最小高さの荷物範囲を検出可能な高さに設置されるように、上方に延びるブラケット等を介して設けられてもよい。
【0068】
なお、上述したレーザセンサ58の距離の判定は、本実施形態では、自動倉庫1の全体を制御するコントローラ22(
図1参照)によって実行されるが、変形例として、台車4にそれぞれ搭載されているコントローラ50(
図6参照)で実行してもよく、あるいは、レーザセンサ58自体に搭載される制御基板(コントローラ)で実行するようにしてもよい。
【0069】
次に、本発明の実施形態による自動倉庫の作用効果を説明する。
まず、本実施形態および変形例によるシャトル式の自動倉庫1は、上下方向に複数の棚段8を有するラック2と、複数の棚段8を構成し荷物A、Bが格納される各平棚6に沿ってそれぞれ走行可能に配置された複数のシャトル台車4と、コントローラ22(50)と、を備え、複数の台車4は、それぞれ、検出軸が上下方向に設定された非接触式センサ(本実施形態ではレーザセンサ58、変形例では光電センサや超音波センサなど)、または、接触式センサ(変形例としてのリミットスイッチなど)で構成され、平棚6から台車4側(走行路10側)への荷物A、Bのはみ出しを検出可能な荷物はみ出し検出センサ58を備える。
このように構成された本実施形態によれば、複数のシャトル台車4に、検出軸が上下方向(自動倉庫の上下方向であり、鉛直方向および斜め上下方向も含む)に設定された非接触式センサ、または、接触式センサで構成された荷物はみ出し検出センサ58を設けて台車4側への荷物A、Bのはみ出しを検出することで、荷物と台車4との接触による荷物やシャトル台車の破損を防ぐことができる。
また、シャトル台車4側へはみ出した荷物を検出するので、たとえば、作業者は、荷ずれが発生している荷物のみ、その位置修正をすれば良く、全ての棚段8を目視で確認をしなくてよくなるので、従来よりも大幅に労力を削減できる。また、荷物の保管数が多い場合、従来は、ヒューマンエラーで荷はみ出しを見落とす可能性があったが、これを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態では、コントローラ22は、複数の台車4に対して、自動倉庫1の原点側から反原点側まで、ラック2の複数の棚段8の全段の台車4を並行して移動させて荷物A、Bのはみ出しを検出する全棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、全棚荷物はみ出し検出モードを実行させることにより、全ての荷物について一度にはみ出しの発生の有無を確認することができる。この検出モードの実行により荷物のはみ出しが検出されれば、たとえば作業者がそのはみ出した荷物の荷ズレを修正して、荷物のはみ出しが無い状態を確保することができる。また、自動倉庫1の稼働前に荷物のはみ出しが無い状態を確保することで、シャトル台車4の走行速度を抑えるなどの対応が不要となる。
【0071】
また、本実施形態では、全棚荷物はみ出し検出モードの実行時、台車4の走行速度を自動倉庫1の通常稼働時における走行速度より低速とするので、より確実に、荷物A、Bのはみ出しを検出することができる。
【0072】
また、本実施形態では、コントローラ22は、台車4が平棚6へ荷おろしするために走行している間、または、台車4が平棚6から荷物を荷つみした後に走行している間、その走行中の台車4に対して、その走行経路に沿った平棚6に格納されている荷物のはみ出しを検出させるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、ラック2への荷おろしや荷つみなどの自動倉庫1の通常稼働を行いながら荷物のはみ出しを検出することで、常に、荷物と台車4の接触による破損を防ぐことができる。
【0073】
また、本実施形態では、コントローラ22は、ラック2の複数の棚段8のうち荷物を搬送していない棚段8の台車4に対して、原点側から反原点側まで移動させて荷物のはみ出しを検出する一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、荷物を搬送していない台車4に対して一部棚荷物はみ出し検出モードを実行させることで、自動倉庫1を稼働しながら、一部の棚段8における荷物のはみ出しの発生の有無を確認することができる。そして、その一部の棚段8での荷物のはみ出しが無い状態を確保した後、さらに順序を追って、他の棚段の荷物の荷ズレを検出し、荷物のはみ出しが無い状態を確保することで、全ての棚段8での荷物のはみ出しが無い状態を確保することができる。
【0074】
また、本実施形態では、荷物のはみ出しが検出された棚段8と平棚6の位置(「はみ出し」の検出情報)を表示する表示装置23を備えるので、作業者による修正作業を迅速に行わせることができる。特に、このような表示装置23として、作業者の手元に所持可能なタブレット端末23に「はみ出し」の検出情報を表示することで、作業者は、荷ずれが発生している荷物を確実かつ迅速に特定することが出来、その荷物のみ位置修正をすれば良く、従来の目視よりも大幅に労力を削減できる。
【0075】
また、本実施形態では、荷物はみ出し検出センサ58は、距離を検出可能な距離センサであるレーザセンサ58であるので、より効果的に、荷物のはみ出しを検出することができる。そして、このような距離センサを用いた場合、コントローラ22は、複数の棚段8に格納される、予め設定された荷物の高さ範囲と、レーザセンサ58により検出される距離とに基づいて荷物のはみ出しの有無を判定すればよい。
【符号の説明】
【0076】
A1、A2 大荷物
B1、B2 小荷物
L1、L2 レーザセンサのレーザ光
1 自動倉庫
2 ラック
4 入出庫台車
6 棚
8 棚段
10 走行路
12 移載装置
14、16 ステーション
22 コントローラ
32 サイドアーム
34 ベースアーム
36 ミドルアーム
38 トップアーム
46 端部フック
48 中央フック
50 コントローラ
58 レーザセンサ(荷物はみ出し検出センサ)