(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093568
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】焙煎装置
(51)【国際特許分類】
A23N 12/08 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A23N12/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210046
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高野 優斗
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 紫
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA08
4B061BA09
4B061CD07
4B061CD18
(57)【要約】
【課題】ファンからの空気流をスムーズにヒータに流入させることで、信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することのできる熱風式の焙煎装置を提供すること。
【解決手段】ヒータユニット50は、熱を発生するヒータ部51と、ヒータ部51と対向する位置に形成された空気取入口521を有するヒータ取付板52と、空気取入口521に沿って設けられた壁部80と、を備える。ファン40によって発生した空気流は、壁部80によって空気取入口521に向かうように誘導されて、空気流はスムーズにヒータ部51を通過するようになるので、熱風温度の異常上昇やばらつきが抑えられて、信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流を発生させるファンと、
前記ファンの下流に設けられて空気を加熱するヒータユニットと、
加熱された空気を取り入れて被焙煎物を焙煎する焙煎釜と、を備えた焙煎装置であって、
前記ヒータユニットは、熱を発生するヒータ部と、上面に前記ヒータ部が載置されるとともに前記ヒータ部と対向する位置に形成された空気取入口を有するヒータ取付板と、前記空気取入口に沿って設けられた壁部と、を備える焙煎装置。
【請求項2】
前記ヒータ部は、円形もしくは多角形状に配置され、
前記壁部は、前記ヒータ取付板の中心側に設けられる請求項1記載の焙煎装置。
【請求項3】
前記ヒータ取付板の下面には、所定の厚さを有する補助板が重ねられており、
前記補助板の厚さによって前記壁部が形成されている請求項2記載の焙煎装置。
【請求項4】
前記ヒータ取付板と前記補助板とはともに略円形であり、かつ同心円状に配置されている請求項3記載の焙煎装置。
【請求項5】
前記ヒータユニットは、前記ヒータ部の位置を固定する仕切板を備えており、
前記仕切板は凸状の係合片を備え、
前記ヒータ取付板と前記補助板には、前記係合片が係合する係合孔が設けられている請求項4記載の焙煎装置。
【請求項6】
前記ヒータユニットには、温度を検知する検知素子が設けられており、
前記ヒータ取付板または前記補助板の少なくともいずれか一方には、前記ヒータ部および前記検知素子と電気的に接続される複数の端子部が取り付けられ、
前記係合片の少なくとも1つは、前記端子部の間に突出して配置されている請求項5記載の焙煎装置。
【請求項7】
前記補助板には、前記ヒータ取付板を露出させる切欠部が設けられ、
前記切欠部によって形成された凹みには前記端子部が配置されている請求項6記載の焙煎装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱された空気を用いてコーヒー豆等の被焙煎物を焙煎する焙煎装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒーの生豆等の被焙煎物を焙煎する装置として、加熱された空気を用いる熱風式の焙煎装置が知られている。熱風式の焙煎装置は、たとえば特許文献1に示すように、空気流を発生させるファンと、空気を加熱するヒータを備えるヒータアッセンブリと、被焙煎物を焙煎する焙煎室と、を備えて構成されている。
【0003】
上述のように構成される焙煎装置では、ファンの回転によって発生した空気流は、下流のヒータアッセンブリに流入し、ここでヒータからの熱を受けて加熱され熱風となる。熱風はさらに下流の焙煎室内に供給され、焙煎室内の被焙煎物は熱風により加熱されることで焙煎される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヒータで空気を加熱する機器においては、ヒータを流れる空気流が滞ると、ヒータ周辺の温度が上昇して想定以上の高温状態となるおそれがある。高温状態が続くことは、機器の故障を引き起こす原因となってしまうため、所定以上の温度を検知すると機器を停止するように構成されている。そのため、高温状態を検知した場合には焙煎を完了することができなくなってしまう。
【0006】
また、想定以上の高温状態とならないまでも、ヒータを通過する空気量が一定でないと熱風の温度がばらつき、焙煎度を一定に保つことができなくなる。よって、機器の信頼性や焙煎度合いを一定にするためにも、ファンからの空気流がスムーズにヒータを通過するようにすることが求められる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、ファンからの空気流をスムーズにヒータに流入させることで、信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することのできる焙煎装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気流を発生させるファンと、
前記ファンの下流に設けられて空気を加熱するヒータユニットと、
加熱された空気を取り入れて被焙煎物を焙煎する焙煎釜と、を備えた焙煎装置であって、
前記ヒータユニットは、熱を発生するヒータ部と、上面に前記ヒータ部が載置されるとともに前記ヒータ部と対向する位置に形成された空気取入口を有するヒータ取付板と、前記空気取入口に沿って設けられた壁部と、を備える焙煎装置である。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成することにより、空気流をヒータユニットに向けてスムーズに流入させることができるため、熱風温度の異常上昇やばらつきを防止して信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することのできる焙煎装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態のヒータユニットの分解構成図である。
【
図3】本実施形態のヒータ取付板にヒータ部を取り付けた状態を示す図である。
【
図4】空気取入口に流れる空気流を示す拡大断面図である。
【
図5】本実施形態のヒータユニットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、空気流を発生させるファンと、ファンの下流に設けられて空気を加熱するヒータユニットと、加熱された空気を取り入れて被焙煎物を焙煎する焙煎釜と、を備えた焙煎装置であって、ヒータユニットは、熱を発生するヒータ部と、上面にヒータ部が載置されるとともにヒータ部と対向する位置に形成された空気取入口を有するヒータ取付板と、空気取入口に沿って設けられた壁部と、を備える。ファンによって発生した空気流は、壁部によって空気取入口に向かうように誘導されるため、空気流は滞ることなくスムーズにヒータ部を通過するようになる。したがって、熱風温度の異常上昇やばらつきが抑えられて、信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することのできる焙煎装置となる。
【0013】
また、ヒータ部は円形もしくは多角形状に配置されていて、壁部はヒータ取付板の中心側に設けられる。壁部は、ヒータ取付板の中心側へ向かおうとする空気の流れをせき止めて、空気取入口に向かうように誘導するので、空気流はスムーズにヒータ部を通過することができる。
【0014】
また、ヒータ取付板の下面には所定の厚さを有する補助板が重ねられており、この補助板の厚さによって壁部が形成されている。つまり、ヒータ取付板の下面に補助板を重ねて取り付けることで壁部が形成されるため、少ない部品点数で壁部を全周に配置することが可能となる。さらには、補助板が追加されることでヒータ取付板が補強されて、ヒータユニットの強度を向上させることもできる。
【0015】
また、ヒータ取付板と補助板とはともに略円形であり、かつ同心円状に配置されている。これにより、互いの中心位置を合わせることで補助板を取り付けることができるので、より組立作業の効率に優れることとなる。
【0016】
また、ヒータユニットは、ヒータ部の位置を固定する仕切板を備えており、仕切板は凸状の係合片を備え、ヒータ取付板と補助板には、係合片が係合する係合孔が設けられている。これにより、係合片を係合孔に差し込むことで、補助板の取付位置の位置決めをすることができるので、壁部の位置ずれを防止して、空気流を空気取入口に確実に誘導することができる。
【0017】
また、ヒータユニットには、温度を検知する検知素子が設けられており、ヒータ取付板または補助板の少なくともいずれか一方には、ヒータ部および検知素子と電気的に接続される複数の端子部が取り付けられる。そして、係合片の少なくとも1つは、端子部の間に突出して配置されている。つまり、端子部間に突出した係合片は、端子部間を絶縁する役割を果たす。これにより、端子部が密集して設けられていても、端子部の間での電気的な接触を防ぐことができるので、部品配置における自由度が向上し、ヒータユニットを小型に構成することも可能となる。
【0018】
また、補助板にはヒータ取付板を露出させる切欠部が設けられ、この切欠部によって形成された凹みには端子部が配置されている。これにより、端子部の間での電気的な接触を防ぐことができるので、部品配置における自由度が向上し、ヒータユニットを小型に構成することも可能となる。
【実施例0019】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の焙煎装置の断面図である。本実施形態の焙煎装置1は、主としてコーヒー豆の焙煎に用いられる装置であって、被焙煎物であるコーヒー豆を焙煎する本体部10と、焙煎の過程で剥がれたコーヒー豆の薄皮を回収するためのチャフケース20とを備えて構成されている。チャフケース20は本体部10の上方に着脱自在に設けられている。
【0021】
本体部10は、外装を形成する略円筒状の外装ケース30内に、空気流を発生させるファン40と、ファン40を回転させるモータ41と、ファン40の回転により発生した空気流を整流するファンケース42と、ファン40の下流に設けられて空気を加熱するヒータユニット50と、ヒータユニット50を収容するヒータケース60と、ヒータユニット50で加熱された空気を取り入れて被焙煎物を焙煎する焙煎釜70と、が収容されて構成されている。
【0022】
外装ケース30の上部と底部には、本体部10内に空気を取り入れる吸気口31が設けられていて、ファン40が回転することによって吸気口31から本体部10内に空気が流入する。上部の吸気口31から取り入れられた空気は、外装ケース30に沿って下方に流れて本体部10の底部に向かう。この空気流は、ヒータユニット50から発せられる熱が外装ケース30に伝わることを抑制し、外装ケース30の表面温度が上昇することを防いでいる。そして、吸気口31から本体部10内に流入した空気は、ファンケース42によって整流されてヒータユニット50へ向かう。
【0023】
ヒータユニット50は、熱を発生するヒータ部51を備えている。そして、ヒータユニット50の底面には空気取入口521が設けられており、ファン40から送風された空気は、この空気取入口521からヒータユニット50に流入し、ヒータ部51が発する熱を受けることで加熱されて熱風となる。熱風はヒータユニット50の外周を通ってヒータケース60内に流入した後、焙煎釜70内に供給されるようになっており、焙煎釜70内のコーヒー豆は熱風で加熱されることにより焙煎される。
【0024】
焙煎釜70は、上部が開口した有底筒形の形状であって、熱伝導性の高いアルミなどの材料から構成されている。ヒータケース60の上面には、焙煎釜70の底部が挿入される挿入口61が設けられており、焙煎釜70はこの挿入口61から挿入されて、その筒状の下方部分の一部がヒータケース60内に収容されている。また、焙煎釜70の側壁の所定位置には、外周方向に張り出すフランジ71が形成されていて、このフランジ71がヒータケース60の上面と当接することで所定の位置に配置されるようになっている。フランジ部は、ヒータケース60の上面とで熱風の流路をシールするように設けられていて、これにより熱風の流路が形成される。
【0025】
焙煎釜70の側面には、ヒータユニット50で発生した熱風を取り入れる熱風流入口72が設けられている。熱風流入口72は、斜め方向に伸びるスリット形状であって、側面の周方向に一定の間隔を空けて並んで設けられる。熱風流入口72を通過した熱風は、この斜めの形状に沿って焙煎釜70内に流入し、焙煎釜70内で旋回流を発生させる。コーヒー豆はこの旋回流によって撹拌され、焙煎釜70内を回転しながら徐々に水分が蒸発していき、焙煎されたコーヒー豆となる。このように、旋回流によってコーヒー豆が撹拌されることで、煎りムラを生じさせることなく短時間で均一にコーヒー豆を焙煎することができる。
【0026】
焙煎装置1には、複数の焙煎レベルが設定されており、使用者が焙煎レベルを選択することによって好みに応じた焙煎度合いになるよう焙煎が実行される。この焙煎レベルは、ヒータユニット50で発生させる熱風の温度と、焙煎時間によって制御されており、ヒータユニット50の周辺や焙煎釜70には温度を検知するための温度検知手段(図示せず)が設けられる。
【0027】
コーヒー豆を通過した後の熱風は、焙煎釜70上部の開口から排出される。また、焙煎の過程でコーヒー豆から剥がれた薄皮(チャフ)は、この熱風とともに開口から排出されて、本体部10の上方に設けられたチャフケース20に回収される。チャフケース20には排気口21が設けられており、チャフが回収されたあとの熱風だけがこの排気口21から装置外に排出される。
【0028】
ところで、上述した熱風式の焙煎装置1では、空気をヒータ部51によって加熱して熱風を発生させている。熱風の温度は、ヒータ部51の発熱量とモータ41の回転数とによって狙った温度に制御されるが、ヒータユニット50を流れる空気流が滞ると、ヒータ部51周辺の温度が上昇して想定以上の高温状態となってしまうおそれがある。高温状態が続くことは、機器の故障を引き起こす原因となってしまうため、一般に所定以上の温度を検知すると機器を停止するように構成されている。つまり、高温状態を検知した場合には焙煎を完了することができなくなってしまうという問題がある。また、想定以上の高温状態とならないまでも、ヒータユニット50を通過する空気量が一定でないと熱風の温度がばらつき、焙煎度合いを一定にすることができなくなる。そのため、ヒータユニット50は、ファン40で発生した空気をスムーズに流入させることができるように設計されている。
【0029】
図2は、本実施形態のヒータユニットの分解構成図であり、
図3は、本実施形態のヒータ取付板にヒータ部を取り付けた状態を示す図である。ヒータユニット50は、円形の板状部材によってヒータ部51を上下方向から挟み込むようにして構成されている。具体的には、ヒータユニット50は、ヒータ部51と、ヒータ部51が載置されるヒータ取付板52と、ヒータ取付板52の下面に重ねられた補助板53と、ヒータ部51の上方に設けられたヒータ抑え板54と、ヒータ部51を保持する仕切板55と、を備えている。
【0030】
ヒータ部51は、ワット数の異なる2種のヒータを備え、略円形状に配置されたワット数の大きい主ヒータ511(例えば1200W)と、この主ヒータ511の内側に同じく略円形に配置されたワット数の小さい補助ヒータ512(例えば100W以下)を有している。主ヒータ511と補助ヒータ512は円形に限らず、多角形状に配置されていてもよい。
【0031】
ヒータ取付板52は、外周に近い位置に、円弧状に細長く延びる4つの開口を有している。これら開口は、ファン40からの空気をヒータユニット50内に取り入れるための空気取入口521であって、ヒータ部51に対向する位置に形成されている。空気取入口521から流入した空気は、ヒータ部51に接触して加熱される。なお、本実施形態においては、主ヒータ511と補助ヒータ512の出力には大きな差があるため、空気取入口521は主ヒータ511に対向する位置にのみ配置されている。
【0032】
空気取入口521は円弧状に延びているが、主ヒータ511の巻始めと巻き終わりの端子間には設けられていない。つまり、ヒータ部51と対向する位置にのみ空気取入口521を設けることで、空気の加熱ムラを抑えて熱風温度を均一にすることができる。また、ヒータ部51は端子によって固定されているが、端子部分が高温状態に晒されると緩みが生じてしまう。端子が緩むと、抵抗値が上昇して異常加熱の原因となるおそれがあるため、端子に近い部分は空気取入口521の幅を広く形成し、導入される空気量を増加させて高温状態となることを防止している。
【0033】
ヒータ取付板52の外周には、複数箇所に凸片522が形成されている。この凸片522はヒータケース60に当接して、ヒータユニット50がヒータケース60の中心から偏ってしまうことを防止する。ヒータユニット50がヒータケース60の中心に配置されることで、ヒータ部51に流れる空気量が均等となり、ヒータ部51の局所的な加熱が防止される。また、複数の凸片522を設けることで、ヒータ取付板52の外形をヒータケース60より若干小さくすることができるため、ヒータユニット50が取り付け易くなる。
【0034】
図3に示すように、ヒータユニット50には複数のリード線56が接続されていて、リード線56はヒータ取付板52の外周方向に引き出されている。凸片522を形成する位置としては、少なくともこのリード線56を挟んだ左右近傍の2箇所と、リード線56の引き出し位置の反対側に設けるのがよい。これにより、組み立ての際にリード線56を引いたり押し込んだりする力が加わったとしても、凸片522がヒータケース60に当接するので、ヒータユニット50がヒータケース60の中心から偏ってしまうことを防止することができる。なお、本実施形態では、複数のリード線56を編組チューブ56aで束ねて1箇所から引き出しているが、複数箇所から引き出すようにしても構わない。引き出し位置が複数ある場合には夫々のリード線56に対して、左右近傍の2箇所と反対側に設ければよい。また、リード線の引き出し位置の反対側に、他のリード線が引き出されている場合は、反対側の凸片522を省略してもよい。
【0035】
ヒータ取付板52の下面には、円形の板状部材からなる補助板53が取り付けられている。補助板53は、ヒータ取付板52よりも小径であって、ヒータ取付板52の中心と補助板53の中心とを合わせて重ねられている。そして、補助板53の外形は、空気取入口521の内周より大きく、かつ空気取入口521の外周より小さく形成されていて、これにより補助板53の外縁が空気取入口521に沿って配置される。補助板53は、空気取入口521の内周面と同じ大きさであってもよい。
【0036】
ヒータ抑え板54は、ヒータ取付板52とほぼ同じ大きさの外形を有し、ヒータ部51を上方から抑える。また、その上面には板ばね541が取り付けられており、焙煎釜70の下面を板ばね541に押し付けてヒータユニット50を固定している。
【0037】
仕切板55は、複数の細長い板状部材を組み合わせて構成されていて、各板状部材はヒータ取付板52の中心で交わり放射状に延びている。この仕切板55にヒータ部51を引っ掛けて固定することで、ヒータ部51の変形を抑制して所定の形状に保持している。また、板状部材には凸状の係合片551が設けられていて、係合片551は、上方向に凸となる上部係合片551aと、下方向に凸となる下部係合片551bを有している。上部係合片551aはヒータ抑え板54に設けられた係合孔542と係合し、下部係合片551bはヒータ取付板52および補助板53に設けられた係合孔523と係合する。これにより、仕切板55の位置ずれが防止されるので、ヒータ部51の形状を適切に保持することができる。また、ヒータ取付板52に補助板53を取り付ける際には、下部係合片551bによって補助板53が位置決めされる。
【0038】
図4は、空気取入口521に流れる空気流を示す拡大断面図である。ヒータユニット50に向かって流れる空気流を、実線矢印と破線矢印とに分けて図示している。ファン40の回転によって発生した空気流は、ファンケース42で整流されてヒータユニット50に向かって流れる。実線で示す矢印は、下方から上方に向かって流れる空気流であり、この空気流はそのまま空気取入口521からヒータユニット50内に流入する。一方で、一部の空気流は、破線の矢印で示すようにファンケース42の外周に沿って上方に流れ、ケースの下流端で向きを変えて中央方向に流れる。
【0039】
ヒータ取付板52の下面には、補助板53が取り付けられていて、補助板53の外縁が空気取入口521に沿って配置されている。補助板53には厚さがあるため、この厚さによって空気取入口521に沿って壁部80が形成されている。前述の中央方向に向かって流れる空気流は、この壁部80によってせき止められて向きを変え、空気取入口521の方向へ流れることとなる。つまり、空気流は、壁部80によって空気取入口521に向かうように誘導されるため、ファン40で発生した空気流は滞ることなくスムーズにヒータユニット50に流入する。これにより、ヒータ部51周辺温度の異常上昇が防止されて、機器の信頼性を向上させることができる。また、熱風温度のばらつきも抑制されるので、焙煎度合いを一定に保持することのできる焙煎装置となる。
【0040】
壁部80は、空気取入口521の内周側、つまりヒータ取付板52の中心側に設けられていて、ヒータ取付板52の中心側へ向かおうとする空気の流れをせき止める。ヒータ部51は、ヒータ取付板52上に円形に配置されているから、ヒータ取付板52の中心側へ向かおうとする空気の流れをせき止めることで、効率よく空気取入口521に空気を誘導することができる。
【0041】
上述した壁部80は、空気取入口521に沿って設けられていれば、空気流をせき止めることができるので、その形状や取り付けの方法などは特に限定しない。本実施形態では、壁部80の一例として、ヒータ取付板52の下面に補助板53を重ねて取り付けて形成する構造を示した。これにより、少ない部品点数で空気取入口521の全周に亘って壁部80を配置することが可能となる。さらには、補助板53が追加されることでヒータ取付板52が補強されて、ヒータユニット50の強度を向上させることもできる。また、ヒータ取付板52と補助板53とは同心円状に配置することができる。これにより、互いの中心位置を合わせることで補助板53を取り付けることができるので、より組立作業の効率に優れることとなる。
【0042】
図5は、ヒータユニットの底面図である。ヒータユニット50の底面側には、バイメタル91と温度ヒューズ92が取り付けられている。このバイメタル91と温度ヒューズ92は、温度を検知する検知素子の一例である。検知素子は高温状態を検知した際に作動して、ヒータ部51への電源の供給を遮断するようになっており、安全装置の役割を果たしている。バイメタル91は、第一温度(例えば120℃)を検知すると回路を一時的に遮断し、所定の高温状態が解除されると自動的に復帰する。温度ヒューズ92は、第二所定温度(例えば150℃)を検知すると溶断して回路を完全に遮断する。
【0043】
ヒータ部51および検知素子は、ヒータユニット50の底面側において端子部93a~93gと電気的に接続されている。なお、端子部93a~93gにはリード線56(
図3参照)が接続されているが、本図ではリード線を省略している。そして端子部93a~93gは、ヒータ取付板52または補助板53のいずれかに取り付けられている。本実施形態では、主ヒータ511は端子部93a、93bに接続され、補助ヒータ512は端子部93c、93dに接続されている。また、バイメタル91は端子部93a、93eに接続され、温度ヒューズ92は端子部93f、93gに接続されている。
【0044】
そして、端子部93eと端子部93fとの間には隔壁94が設けられている。この隔壁94は、仕切板55の下部係合片551bの一つであって、他の下部係合片よりも高さが高く形成されていて、ヒータ取付板52に係合させると端子部93eと端子部93fとの間に突出して配置される。端子部93eと端子部93fは近接して配置されているが、隔壁94が間に配置されていることで接触してしまうことが防止されている。つまり隔壁94は、端子部間を絶縁する役割を果たしている。
【0045】
部品配置の都合上、端子部間の距離を十分に取ることができない場合でも、このように隔壁94を設けることで端子部間の接触を防止することができるため、部品配置における自由度が向上する。また、狭い面積に多くの端子部を配置することもできるため、ヒータユニットを小型に構成することも可能となる。そして本実施形態のように、下部係合片551bを突出させて隔壁94とすれば、容易に隔壁94を設けることができる。
【0046】
また、補助板53には、所々に切欠部531が設けられていて、切欠部531が設けられた箇所ではヒータ取付板52が露出し、この部分は周囲より凹んだ凹部95となっている。そして、この凹部95には端子部93cと端子部93dが配置されている。凹部95に端子部を配置することで、端子部の間での電気的な接触を防ぐことができるため、上述の隔壁94と同様に端子部間を絶縁する役割を果たす。
【0047】
図5では、ヒータユニット50の底面側に隔壁94と凹部95の両方が設けられている例を示したが、隔壁94と凹部95はどちらか一方のみでもよい。また、その配置場所や数なども本実施形態に限らず、端子間が狭くなっていて接触するおそれがある場所に配置すればよいから、ヒータ部51や検知素子の取付位置に合わせて適宜設定することができる。
【0048】
以上に説明したように、本発明の焙煎装置1は、ヒータユニット50に向けて空気をスムーズに流入させることができるため、熱風温度の異常上昇やばらつきを防止して信頼性の向上と焙煎度合いを一定に保持することができる。なお、本実施形態では、この焙煎装置の一例としてコーヒー豆を焙煎する装置を例に説明した。しかしながら本発明は、ヒータ部51によって空気を加熱する熱風式の焙煎装置に関するものであり、被焙煎物の種類は問わないから、上記の実施形態に限定されるものではない。