(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093573
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
E04H6/18 601F
E04H6/18 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210058
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
(72)【発明者】
【氏名】大下 誠人
(57)【要約】
【課題】安全性の高いパレット式の機械式駐車場を提供する。
【解決手段】機械式駐車場10は、乗降室12と、乗降室12とは異なる階に設けられた駐車室と、乗降室12および駐車室と連通する昇降路96と、車両が積載されるパレット32と、パレット32が搭載されるリフトフレーム88と、リフトフレーム88を昇降路96内で昇降させる昇降装置94と、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きを矯正する傾き矯正機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室と、
前記乗降室とは異なる階に設けられた駐車室と、
前記乗降室および前記駐車室と連通する昇降路と、
車両が積載されるパレットと、
前記パレットが搭載されるリフトフレームと、
前記リフトフレームを前記昇降路内で昇降させる昇降装置と、
前記リフトフレームに対する前記パレットの傾きを矯正する傾き矯正機構と、
を備える機械式駐車場。
【請求項2】
前記リフトフレームに設けられた、前記パレットを移動させる移載装置をさらに備え、
前記傾き矯正機構は、前記リフトフレームに設けられたパレットストッパを含み、
前記移載装置によって前記パレットを移動させ、前記パレットを前記パレットストッパに当て止めすることにより、前記リフトフレームに対する前記パレットの傾きが矯正される、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記移載装置は、前記パレットを移動させるための第1車輪および第2車輪を備え、
前記第1車輪および第2車輪は、前記移載装置によって前記パレットを移動させる方向を見て離隔して並置され、
前記パレットストッパは、第1パレットストッパおよび第2パレットストッパを含み、
前記移載装置によって前記パレットを移動させる方向を見て、前記第1パレットストッパは、前記第1車輪と重複する位置または前記第1車輪よりも外側にオフセットした位置に配置され、前記第2パレットストッパは、前記第2車輪と重複する位置または前記第2車輪よりも外側にオフセットした位置に配置される、請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
前記傾き矯正機構は、前記リフトフレームの長手方向に並置され、
前記第1パレットストッパおよび前記第2パレットストッパは、前記リフトフレームの長手辺に配置される、請求項3に記載の機械式駐車場。
【請求項5】
前記パレットは、パレット板と、前記パレット板の下面に突設された構造体と、を含み、
前記傾き矯正機構は、前記構造体と係合して前記パレットを所定の位置に誘導するパレットガイド機構を備える、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項6】
前記パレットガイド機構は、前記構造体に下方から係合可能な係合部と、前記係合部を昇降させる昇降部と、を含む、請求項5に記載の機械式駐車場。
【請求項7】
前記構造体は、前記パレット板の下面に設けられたレールである、請求項5または6に記載の機械式駐車場。
【請求項8】
前記傾き矯正機構は、前記リフトフレームの中心を挟んで対角方向の位置に2個の前記パレットガイド機構を含む、請求項5または6に記載の機械式駐車場。
【請求項9】
前記リフトフレームに設けられた、前記パレットを移動させる移載装置をさらに備え、
前記パレットは、パレット板と、前記パレット板の下面に突設された構造体と、を含み、
前記傾き矯正機構は、前記リフトフレームに設けられたパレットストッパと、前記構造体と係合して前記パレットを所定の位置に誘導するパレットガイド機構と、を含み、
前記移載装置によって前記パレットを移動させ、前記パレットを前記パレットストッパに当て止めするとともに、前記パレットガイド機構により前記パレットを誘導することにより、前記リフトフレームに対する前記パレットの傾きが矯正される、請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項10】
前記傾き矯正機構は、1個の前記パレットストッパと、1個の前記パレットガイド機構とを含む、請求項9に記載の機械式駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に車両を載置し、このパレットを縦横にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト(昇降機構)及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような機械式駐車場においては、パレットが搭載されるリフトフレームを昇降路内で昇降させることにより、車両が駐車層から乗降室に運搬される。しかしながら、リフトフレームに対してパレットが傾いて搭載されている場合、車両が昇降路から乗降室に入る際に周囲と干渉し、車両の一部が破損する虞がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性の高いパレット式の機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機械式駐車場は、乗降室と、乗降室とは異なる階に設けられた駐車室と、乗降室および駐車室と連通する昇降路と、車両が積載されるパレットと、パレットが搭載されるリフトフレームと、リフトフレームを昇降路内で昇降させる昇降装置と、リフトフレームに対するパレットの傾きを矯正する傾き矯正機構と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全性の高いパレット式の機械式駐車場を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る機械式駐車場の断面図である。
【
図3】パレットに搭載された車両が昇降路を通って乗降室に運搬される様子を示す図である。
【
図4】パレットがリフトフレームに対して傾斜している状態を説明するための概略図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレットの傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレットの傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【
図7】
図7(a)および
図7(b)は、パレットガイド機構の動作を説明するための概略側面図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレットの傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の断面図である。
図2は、
図1のB1F駐車室14の平面図である。なお、B2F駐車室16およびB3F駐車室18は、B1F駐車室14と同様に構成される。
【0012】
機械式駐車場10は、地上に設けられた建物104の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。なお、機械式駐車場10は、地上の建物のなかに設けられた地上式の機械式駐車場であってもよい。
【0013】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F駐車室14と、地下2階の駐車室であるB2F駐車室16と、地下3階の駐車室であるB3F駐車室18と、複数のパレット32と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、を備える。なお、マスト90は、昇降路96の2隅に2本備えられてもよい。
【0014】
パレット32は平板状の部材であり、車両が搭載される上面すなわち車両搭載面32aは略矩形である。機械式駐車場10は、パレット32を用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて車両20が搭載された状態のパレット32を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用して縦横方向に2次元的に移動させたりすることにより、駐車室に車両20を駐車させる構成とされている。
【0015】
B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18は、それぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に縦方向(図のx方向)に5行、縦方向と実質的に直交する横方向(図のy方向)に2列のマトリクス状に配列される。各駐車スペースは平面視で略矩形を有し、パレット32を収容可能に構成される。駐車スペースはパレット32と共に車両20が駐車されうる駐車室内の1駐車領域(駐車の1単位)である。
【0016】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物104内に設けられている。乗降室12は、駐車室と異なる階に設けられる。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には、乗降室12と昇降路96とを連通する平面視で略矩形状のパレット開口100が設けられている。
【0017】
昇降路96は、鉛直方向(z方向)に沿って設けられている。昇降路96は、B1F駐車室14、B2F駐車室16、B3F駐車室18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には、リフトフレーム88を昇降させる昇降装置94が設置される。昇降路96の四隅には、4本のマスト90が設けられる。
【0018】
リフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持され、昇降装置94により昇降路96に沿って昇降する。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が設けられる。なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009-197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0019】
第1移載装置56の上部にはパレット32が搭載される。第1移載装置56は、面内の1方向(図のx方向)にパレット32を移動可能に構成される。第2移載装置58は各駐車スペースに設けられており、駐車スペースをまたいでパレット32をx方向およびy方向に移動させる。y方向はx方向およびz方向の両方に直交する方向である。第1移載装置56および第2移載装置58には、本出願人が先に出願した特公平7-29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。
図2に示すように、駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいでパレット32が移動する際にそれを支持する転倒防止ローラ38が設置される。
【0020】
図3は、パレット32に搭載された車両20が昇降路96を通って乗降室12に運搬される様子を示す。パレット32はリフトフレーム88に搭載されている。
図3に示すように、パレット開口100の周縁部100aの四隅には、ガイド部材101が設けられている。このガイド部材101は、樹脂材料(例えばMCナイロン(登録商標))で形成されてよい。ガイド部材101はテーパ面を有しており、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している場合に、パレット32の傾きを矯正して、パレット32がパレット開口100内に収まるようにする機能を有する。
【0021】
乗降室12は人が車両20から乗り降りする場所であるので、安全のため、パレット開口100の大きさは、パレット32を周縁部100aと干渉することなく収めることができ、且つ、パレット32と周縁部100aとの隙間ができるだけ小さくなるような大きさとされる。一方、パレット開口100より下方の昇降路96の大きさは、パレット32が昇降路96の構成要素と干渉することなく通過できるように、パレット32の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。
【0022】
図4は、パレット32がリフトフレームに対して傾斜している状態を説明するための概略図である。パレット32が上昇してパレット開口100内に収まるときに、パレット32に車両が搭載されていない場合は、上述したようにパレット32の傾斜はガイド部材101によって矯正される。しかしながら、パレット32に車両20が搭載されている場合、車両20の方がパレット32よりも先にパレット開口100を通過することとなるため、パレット32の傾きは矯正されない。その結果、車両20の一部とパレット開口100の周縁部100aとが干渉して、車両20の一部が破損する虞がある。そこで、以下においては、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きを矯正するための実施の形態について説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図5は、第1の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレット32の傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【0024】
図5に示すように、リフトフレーム88上には第1移載装置56として、第1駆動車輪148と、第2駆動車輪150と、第1従動車輪152と、第2従動車輪154と、第1駆動モータ164と、第2駆動モータ166と、が設けられている。第1駆動車輪148、第2駆動車輪150、第1従動車輪152および第2従動車輪154は、不図示の軸受機構により、回転自在に支持されている。第1駆動モータ164は第1駆動車輪148を回転させる。第2駆動モータ166は第2駆動車輪150を回転させる。第1移載装置56の四隅のうち対角に位置する2隅に、第1駆動車輪148および第2駆動車輪150が配設され、残りの対角に位置する二隅に第1従動車輪152および第2従動車輪154が配設される。言い換えると、第1駆動車輪148および第1従動車輪152の組と、第2駆動車輪150および第2従動車輪154の組とは、第1移載装置56によってパレット32を移動させる方向を見て、リフトフレーム88の長手方向に離隔して並置される。
【0025】
パレット32は、パレット板33と、パレット板33の下面に井桁状に設けられたレール170と、を備える。レール170は、第1横レール172と、第2横レール174と、第1縦レール176と、第2縦レール178と、を含む。第1横レール172および第2横レール174はそれぞれ、横方向に伸びる断面が略「H」の字状の金属製レールである。それらはパレット板33の下面に縦方向に離間して固定される。第1縦レール176および第2縦レール178はそれぞれ、縦方向に伸びる断面が略「H」の字状の金属製レールである。それらはパレット板33の下面に横方向に離間して固定される。
【0026】
第1駆動車輪148および第1従動車輪152により、パレット32の第1縦レール176が支持される。第2駆動車輪150および第2従動車輪154により、パレット32の第1縦レール176が支持される。第1駆動モータ164および第2駆動モータ166により第1駆動車輪148および第2駆動車輪150を回転することにより、第1縦レール176および第2縦レール178を介してパレット32を縦方向(x方向)に移動させることができる。
【0027】
図5は、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している状態を示す。第1の実施の形態に係る機械式駐車場は、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きを矯正する傾き矯正機構として、リフトフレーム88に設けられたパレットストッパを備える。パレットストッパは、パレット32を当て止め可能な大きさおよび形状とされている。
【0028】
図5に示す第1の実施の形態では、リフトフレーム88の一方の長手辺に、2つのパレットストッパ(第1パレットストッパ50および第2パレットストッパ52)が離隔して配置されている。第1移載装置56によってパレット32を移動させる方向を見て、第1パレットストッパ50は、第1駆動車輪148および第1従動車輪152の組よりも外側(左側)にオフセットした位置に配置され、第2パレットストッパ52は、第2駆動車輪150および第2従動車輪154の組よりも外側(右側)にオフセットした位置に配置される。一方の駆動車輪および従動車輪の組から見て、他方の駆動車輪および従動車輪の組が位置する方向が「内側」であり、その反対の方向が「外側」である。
【0029】
別の実施の形態では、第1移載装置56によってパレット32を移動させる方向を見て、第1パレットストッパ50は、第1駆動車輪148および第1従動車輪152の組と重複する位置(
図5で符号「50a」で示す位置)に配置され、第2パレットストッパ52は、第2駆動車輪150および第2従動車輪154の組と重複する位置(
図5で符号「52a」で示す位置)に配置されてもよい。
【0030】
なお、駆動車輪および従動車輪の組が3組以上設けられる場合は、第1移載装置56によってパレット32を移動させる方向を見て、最も外側の車輪の組と重複する位置または最も外側の車輪の組よりも外側にオフセットした位置にパレットストッパが配置される。
【0031】
パレットストッパが、駆動車輪および従動車輪の組と重複する位置または駆動車輪および従動車輪の組よりも外側に配置されることで、傾き矯正の精度を向上できる。また、2つのパレットストッパをリフトフレーム88の一方の長手辺に配置することにより、短手辺に配置した場合と比較して傾き矯正の精度を向上できる。
【0032】
パレットストッパは2個より多く配置されてもよい。また、パレットストッパ同士は別体である必要はなく、つながっていてもよい。つながっているパレットストッパの両端は、傾き矯正の精度を向上するために、第1移載装置56によってパレットを移動させる方向を見て、駆動車輪および従動車輪の組と重複する位置または駆動車輪および従動車輪の組よりも外側に配置されることが望ましい。
【0033】
第1の実施の形態では、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している場合、第1駆動モータ164および第2駆動モータ166を用いて第1駆動車輪148および第2駆動車輪150を回転させてパレット32を動かし、パレット32を第1パレットストッパ50および第2パレットストッパ52に当て止めする。例えば
図5に示すようにパレット32が傾斜している場合、第1駆動車輪148および第2駆動車輪150を回転させてパレット32を動かすと、まず第2パレットストッパ52にパレット32の一部が突き当たる。この状態で第1駆動車輪148および第2駆動車輪150をさらに回転させると、第2パレットストッパ52を支点としてパレット32が回転移動し、パレット32の一部が第1パレットストッパ50に当て止めされる。これにより、リフトフレーム88に対するパレット32に傾きを矯正することができる。第1の実施形態によれば、車両20がパレット開口100を通過する前にパレット32の傾きを矯正できるので、車両20の破損を防ぐことのできる安全性の高い機械式駐車場を提供できる。
【0034】
この第1の実施の形態は、従来の機械式駐車場の構成にパレットストッパを追加するだけでよいため、コスト面で有利である。また、第1の実施の形態においては、パレットストッパによるパレット32の当て止めを行っているので、パレット32の停止精度の面で有利である。
【0035】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレット32の傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【0036】
図6は、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している状態を示す。第2の実施の形態に係る機械式駐車場は、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きを矯正する傾き矯正機構として、パレット32の下面に突設されたレールと係合して、パレット32を所定の位置に誘導するパレットガイド機構60を備える。所定の位置とは、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きが生じない位置である。この第2の実施の形態においては、リフトフレーム88の中心を挟んで対角方向の位置に2個のパレットガイド機構60が配置されている。言い換えると、リフトフレーム88の四隅のうち、対角に位置する二つの隅にパレットガイド機構60が配置されている。
【0037】
図7(a)および
図7(b)は、パレットガイド機構の動作を説明するための概略側面図である。
図7(a)は、リフトフレーム88に対してパレット32が傾いている状態を示す。
図7(a)に示すように、リフトフレーム88上にパレットガイド機構60が設けられている。パレットガイド機構60は、第1横レール172の下方の、第1横レール172と係合可能な位置に配置されている。
【0038】
パレットガイド機構60は、第1横レール172に下方から係合可能な係合部62と、係合部62を昇降させる昇降部68と、を備える。係合部は、2個のローラ64と、ローラ64を回転可能に支持する支持体66とを備える。2個のローラ64は、支持体66上に、所定の距離を隔てて配置されている。昇降部68は、係合部62を垂直方向に上下動させるための機構を備える。この機構は特に限定されないが、モータなどの動力源および動力源からの動力を伝達するギヤ機構などを備えてよい。
【0039】
図7(a)においては、係合部62は下降した状態にある。ここで、昇降部68により係合部62を上昇させると、一方のローラ64が第1横レール172と当接し、
図7(b)に示すように、当該ローラ64の回転により第1横レール172が左方向に誘導される。すなわち、パレット32が左方向に動く。第1横レール172は、2つのローラ64の間で係止され、所定の位置で止まる。その後、昇降部68により係合部62が下降され、第1横レール172と係合部62との係合が解かれる。
【0040】
図7(a)および
図7(b)では、一方のパレットガイド機構60の動作を説明したが、他方のパレットガイド機構60においても同様の動作がなされる。これにより、リフトフレーム88に対するパレット32に傾きを矯正することができる。第2の実施形態によっても、車両20がパレット開口100を通過する前にパレット32の傾きを矯正できるので、車両20の破損を防ぐことのできる安全性の高い機械式駐車場を提供できる。
【0041】
パレットストッパにパレット32を当て止めする場合、パレット32をある程度速い速度で移動させる必要があり、パレットストッパとパレット32が衝突したときの音が大きくなりがちである。この第2の実施の形態においては、衝突音が生じないので、騒音低減の面で有利である。
【0042】
本第2の実施の形態では、パレット32の下面のレールを利用してパレット32の傾きを矯正したが、レールとは別にパレットの下面に構造体を突設し、この構造体をパレットガイド機構60で誘導することにより、パレット32の傾きを矯正してもよい。
【0043】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る機械式駐車場におけるパレット32の傾き矯正を説明するための概略平面図である。
【0044】
図8は、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している状態を示す。第2の実施の形態に係る機械式駐車場は、リフトフレーム88に対するパレット32の傾きを矯正する傾き矯正機構として、リフトフレーム88に設けられたパレットストッパと、パレット32の下面に突設されたレールと係合して、パレット32を所定の位置に誘導するパレットガイド機構60と、を備える。
【0045】
図8に示す第3の実施の形態では、リフトフレーム88の一方の長手辺の略中央に1つのパレットストッパ80が配置されている。1つのパレットストッパは、リフトフレーム88の長手方向において、駆動車輪および従動車輪よりも内側に配置される。すなわち、リフトフレーム88の長手方向において、パレットストッパ80は第1駆動車輪148および第1従動車輪152よりも右側且つ第2駆動車輪150および第2従動車輪154よりも左側に配置される。パレットストッパ80は、パレット32を当て止め可能な大きさおよび形状とされている。
【0046】
また、
図8に示す第3の実施の形態では、リフトフレーム88の四隅のうち一つの隅にパレットガイド機構60が配置されている。パレットガイド機構60の構成は、
図7(a)および
図7(b)で説明したものと同様である。
【0047】
第3の実施の形態では、パレット32がリフトフレーム88に対して傾斜している場合、第1駆動モータ164および第2駆動モータ166を用いて第1駆動車輪148および第2駆動車輪150を回転させてパレット32を動かし、パレット32をパレットストッパ80に当て止めする。
図8は、パレット32がパレットストッパ80に当て止めされた状態を示す。その後、
図7(a)および
図7(b)で説明したようにパレットガイド機構60を駆動させ、パレット32を所定の位置に誘導する。これにより、リフトフレーム88に対するパレット32に傾きを矯正することができる。第3の実施形態によっても、車両20がパレット開口100を通過する前にパレット32の傾きを矯正できるので、車両20の破損を防ぐことのできる安全性の高い機械式駐車場を提供できる。
【0048】
この第3の実施の形態は、第1および第2の実施の形態を組み合わせたものといえる。第3の実施の形態では、パレット32のパレットストッパ80への当て止めは一度だけであり、また、第1の実施の形態のように、一方のパレットストッパを支点としてパレット32を回転させるときほどの移動速度は必要ない。従って、本第3の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、騒音低減の面で有利である。また、速い速度で当て止めする必要がなくなるので、パレットストッパ80に求められる強度を小さくできるので、コスト面で有利である。
【0049】
また、第3の実施の形態においては、パレットストッパ80によるパレット32の当て止めを行っているので、パレット32の当て止めを行っていない第2の実施の形態と比較して、パレット32の停止精度の面で有利である。
【0050】
また、第3の実施の形態においては、パレットガイド機構60が一つであるので、二つのパレットガイド機構60を用いている第2の実施の形態と比較してコスト面で有利である。さらに、パレットガイド機構60が占有するスペースを減らすことができるとともに、リフトフレーム88の軽量化を図ることができる。
【0051】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0052】
10 機械式駐車場、 12 乗降室、 32 パレット、 50 第1パレットストッパ、 52 第2パレットストッパ、 56 第1移載装置、 58 第2移載装置、 60 パレットガイド機構、 62 係合部、 64 ローラ、 66 支持体、 68 昇降部、 80 パレットストッパ、 88 リフトフレーム、 94 昇降装置、 96 昇降路、 100 パレット開口、 101 ガイド部材、104 建物、 148 第1駆動車輪、 150 第2駆動車輪、 152 第1従動車輪、 154 第2従動車輪、 164 第1駆動モータ、 166 第2駆動モータ、 170 レール、 172 第1横レール、 174 第2横レール、 176 第1縦レール、 178 第2縦レール。