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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093610
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】駆動伝達機構及び給紙装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/10 20060101AFI20240702BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240702BHJP
   F16D 1/02 20060101ALI20240702BHJP
   F16D 1/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16D3/10
B65H5/06 J
F16D1/02 120
F16D1/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210117
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】桧垣 明治
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲史
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049DA12
3F049EA00
3F049LA01
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成でありながら、回転軸と一体となった回転力伝達部材を軸方向に対して揺動可能とすることで、一対のカップリング同士が傾斜して結合された場合であっても、双方のカップリング同士を平行状態に近づけることのできる駆動伝達機構を提供することである。
【解決手段】 第1回転軸D1に取り付けられた第1カップリングCP1と、第2回転軸D2に取り付けられ、前記第1カップリングCP1に結合される第2カップリングCP2と、前記第2回転軸D2と前記第2カップリングCP2を係合する第2回転伝達ピンRP2と、を備え、前記第2カップリングCP2は、前記第2回転伝達ピンRP2が係合すると共に前記第2カップリングCP2を前記第2回転軸D2に対して揺動可能とする係合部337を備えた。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸に取り付けられた第1のカップリングと、
第2の回転軸に取り付けられ、前記第1のカップリングに結合される第2のカップリングと、
前記第1の回転軸と前記第1のカップリングを係合する回転伝達部材と、を備え、
前記第1のカップリングは、前記回転伝達部材が係合すると共に前記第1のカップリングを前記第1の回転軸に対して揺動可能とする係合部を有している駆動伝達機構。
【請求項2】
前記第1の回転軸は、前記回転伝達部材が挿通される挿通孔を有し、
前記第1のカップリングは、前記第1の回転軸が貫通される貫通孔を有し、
前記係合部は、前記回転伝達部材が係合する長溝部と、前記長溝部内で前記回転伝達部材の回転軸側に形成され、前記回転伝達部材が当接する当接部と、前記長溝部内の前記回転伝達部材の端部側に形成され、前記貫通孔の貫通方向に前記当接部よりも窪んだ凹部と、を備える請求項1に記載の駆動伝達機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動伝達機構と、
前記第1の回転軸と前記第1のカップリングを有し、シートを給紙する給紙ユニットと、
前記第2の回転軸と前記第2のカップリングを有し、前記給紙ユニットが引き出し可能に取り付けられた本体ユニットと、を備えた給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源から分離可能なユニットに対して駆動力を伝達するための駆動伝達機構及びこれを備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源を備えた装置本体に対して分離可能な給紙ユニットを有する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置にあっては、給紙ユニットが装置本体に連結した際に給紙ユニット側へ駆動を伝達するために、駆動軸と被駆動軸とが対向する面に着脱可能な一対のカップリングを有する駆動伝達機構が用いられている。
【0003】
特許文献1には、駆動軸及び被駆動軸に直角な平面上において少なくとも異なる二方向に駆動軸及び被駆動軸を移動可能に支持する支持手段と、駆動軸と被駆動軸の軸心を一致させる調心手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、駆動軸が挿入される一方のカップリングに軸孔が軸線方向に貫通して設けられており、その軸孔の直径が駆動軸の直径よりも大きく、軸孔の内壁と駆動軸の周面との間に隙間が形成された駆動伝達機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-5240号公報
【特許文献2】特開2016-151607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成においては、駆動軸及び被駆動軸に直交する面上において少なくとも異なる二方向に駆動軸及び被駆動軸を移動可能に支持する支持手段と調心手段を備える必要がある。このため、軸方向と直交する方向に広いスペースを設けなければならず、装置が大型化すると共に、部品点数も多くなるといった問題があった。
【0007】
一方、特許文献2にあっては、カップリングと駆動軸との間に隙間を設けただけの構成となっているので、カップリングの駆動軸に対するスラスト方向と回転方向を規制しているピン状の回転力伝達部材の一端が回転の障害となる場合がある。回転力伝達部材の回転方向の位相によってはカップリングが十分に傾くことができずカップリング同士の相対角度が変わってしまう(カップリング同士の向きが平行にならない)場合があった。これにより、著しい摩耗の発生やカップリング同士のかみ合いが浅くなるため歯飛びといった現象が生じ、駆動軸の回転を被駆動軸に正確に伝達できないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でありながら、回転軸と一体となった回転力伝達部材を軸方向に対して揺動可能とすることで、一対のカップリング同士が傾斜して結合された場合であっても、双方のカップリング同士を平行状態に近づけることのできる駆動伝達機構及びこれを備えた給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る駆動伝達機構は、第1の回転軸に取り付けられた第1のカップリングと、第2の回転軸に取り付けられ、前記第1のカップリングに結合される第2のカップリングと、前記第1の回転軸と前記第1のカップリングを係合する回転伝達部材と、を備え、前記第1のカップリングは、前記回転伝達部材が係合すると共に前記第1のカップリングを前記回転伝達部材の長手方向に対して揺動させる係合部を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の駆動伝達機構によれば、第1及び第2のカップリング同士の結合状態を回転軸と一体となった回転力伝達部材の揺動作用によって補正させることができ、第1及び第2のカップリングの結合を平行状態に近づけることができる。これによって、第1及び第2の回転軸が部品公差や設計公差等の範囲で傾いた状態であっても双方のカップリングを介して一方から他方に駆動を正確に伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】給紙装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す断面図である。
図2】本体ユニットから給紙ユニットを引き出した状態を示す平面図である。
図3】給紙機構及び搬送機構を示す概略断面図である。
図4】搬送ローラを駆動する駆動伝達機構の側面図である。
図5】出力側の伝達機構を示す斜視図である。
図6】入力側の伝達機構を示す斜視図である。
図7】駆動伝達機構のカップリング状態を示す断面図である。
図8】第2カップリングの構成を示す分解斜視図である。
図9】結合時(a)及び結合後(b)におけるカップリングの断面図である。
図10】結合時(a)及び結合後(b)におけるカップリングの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は画像形成装置101と、この画像形成装置101に連結可能な本発明の給紙装置200と、を備えた画像形成システム100の全体構成を示したものである。以下の説明では、画像形成装置101の一例として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステムについて説明する。なお、画像形成装置101は、プリンタ以外に複写機、ファクシミリ、複合機などであってもよく、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式であってもよい。
【0013】
給紙装置200には、複数枚のシートが収納可能な給紙ユニット210が備えられており、この給紙ユニット210から画像形成装置101に向けてシートを連続して給紙することができる。なお、シートの種類としては、普通紙、薄紙、厚紙などの他、プラスチックシート等が使用できる。
【0014】
図1に示したように、画像形成装置101は、内部に備わる給紙部120(複数の給紙カセット121)や給紙装置200内の給紙ユニット210から給紙される各種のシートを1枚ずつ分離した状態で画像形成部110に搬送する。そして、前記画像形成部110においてシートに画像形成した後、排出トレイ129に排出する。
【0015】
画像形成装置101には、シートの搬送及び画像形成処理を実行制御する制御部(図示せず)を備えており、画像形成部110に給紙するシートを前記給紙部120、給紙装置200から選択し、印刷方法や印刷部数等を指定する。
【0016】
画像形成装置101に備わる画像読取装置102は、プラテン103上に載置された原稿に走査光学系光源による光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取る。また、画像読取装置102には、自動原稿送り装置(ADF)104を接続することができ、トレイ105上にセットされた原稿を自動的に画像読取装置102の読取部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、外部の端末機器等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0017】
給紙部120は、各種のシートを収納する複数の給紙カセット121と、送出ローラ122と、搬送ローラ対125等を備えている。前記給紙カセット121内に収納されているシートは、所定のタイミングで昇降動作して回転する前記送出ローラ122と搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離される。
【0018】
画像形成搬送経路150は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。搬送ローラ対131からレジストローラ対133によって導かれたシートは、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。また、前記給紙装置200から給紙されるシートは、搬送ローラ対237及び接続路151を介して前記画像形成搬送経路150に合流して画像形成装置101内に搬送される。
【0019】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写器115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が回転駆動し、最初に帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0020】
次に、図2及び図3に基づいて給紙装置200の詳細について説明する。図2に示したように、給紙装置200内には、シートを収納する給紙ユニット210が収容されており、例えば、給紙ユニット210の前面に設けられている操作部(引出ボタン)205を押すことによって、本体ユニット204から引き出し可能となっている。前記引出ボタン205を押すと、給紙装置200内に設けられている引出ソレノイド(図示せず)が作動する。この引出ソレノイドの作動によって、給紙ユニット210を保持しているロック機構が解除され、バネ部材等の付勢力によって本体ユニット204から押し出される。これによって、給紙ユニット210の上部が開放され、シートの補充が可能な状態となる。
【0021】
図3に示したように、給紙ユニット210は、シート収納部220と、シート収納部220から画像形成装置101に向けてシートを給送するシート給送部230とを有する。シート収納部220は、シートが積載される積載トレイ221を有する。積載トレイ221は、昇降機構226によって上下方向に移動する。
【0022】
前記昇降機構226は、昇降モータM3、駆動プーリ228a、ガイドプーリ228b、ワイヤ228c、レール229を有する。ワイヤ228cは、ガイドプーリ228bを介して、積載トレイ221と駆動プーリ228aとに連結されている。積載トレイ221は、レール229に沿って上下方向に移動可能に支持されている。昇降モータM3によって駆動プーリ228aが回転することで、ワイヤ228cの巻取り、引き出し動作が行われ、このワイヤ228cの動作がガイドプーリ228bを介して積載トレイ221に伝達される。このようにして、積載トレイ221は、レール229に沿って昇降する。
【0023】
前記積載トレイ221は、シートを積載する際に、所定の積載位置まで下降し、給紙ユニット210が本体ユニット204から引き出されてシートを積載していく間に徐々に下降する。そして、引き出された給紙ユニット210を本体ユニット204内に装着し、積載トレイ221上に積載されたシートSが給送されると、積載トレイ221は徐々に上昇していく。
【0024】
給紙装置200は、シート給送部230を構成している各ローラの交換などのメンテナンス性の向上と共に、ジャムしたシートの排除や積載トレイ221へのシートの補充を容易にすべく、図2に示したように、シート給送部230が給紙ユニット210と共に本体ユニット204から引き出される構造となっている。シート給送部230は、積載トレイ221の上方に設けられており、図3に示したように、シートSを送り出す送出ローラ231、給送ローラ対234及び搬送ローラ対237が上流側から下流側に向けて配置されている。前記給送ローラ対234は、前記送出ローラ231によって送り出されたシートSを給送する給紙ローラ232と、この給紙ローラ232と共にシートSをニップした状態で1枚に分離する分離ローラ233とによって構成されている。また、搬送ローラ対237は、搬送ローラ235と、この搬送ローラ235に従動する従動ローラ236とで構成されている。
【0025】
送出ローラ231は、積載トレイ221に積載されているシートの先端上面と対向する位置に設けられ、積載トレイ221に積載された最上位のシートSの上面に適宜の押圧力によって当接される。
【0026】
給送ローラ対234は、送出ローラ231から2枚以上のシートが重なって給送された場合に1枚に分離して搬送する。給紙ローラ232は、給送モータM1の駆動によってシートの給紙方向に向けて回転し、送出ローラ231から給送されたシートを搬送する。一方、分離ローラ233は、給紙ローラ232とは逆方向に回転して、送出ローラ231から2枚以上のシートが送られた場合に、最上位シート以外のシートを積載トレイ221側に押し戻す。なお、分離ローラ233にはトルクリミッタ(図示せず)が内蔵されており、給送ローラ対234に送られたシートが1枚のみの場合には、給紙ローラ232により搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0027】
給送ローラ対234によって給紙されたシートは、搬送モータM2によるシートの搬送方向に向けた搬送ローラ235の回転によって、画像形成装置101に向けて搬送される。
【0028】
図4は上記シート給送部230のうち、給紙ローラ232の下流側に位置している搬送ローラ235を駆動する駆動伝達機構(搬送伝達部)332の構成を示したものである。
【0029】
給送モータM1及び搬送モータM2は、例えば、パルスモータであり、給紙装置200の本体ユニット204(図2参照)に設けられている。このため、搬送伝達部332においては、給紙ユニット210を本体ユニット204から引き出した際、搬送モータM2から搬送ローラ235までの駆動伝達経路を離脱可能とするため、出力側の回転軸(第1回転軸)D1と入力側の回転軸(第2回転軸)D2とが搬送用のカップリング(カップリング)304を介して結合されている。また、給送伝達部331においても、給送モータM1から給紙ローラ232までの駆動伝達経路を離脱可能とするため、給送用のカップリング(図示せず)を介して接続されている。以下、搬送伝達部332の構成について説明するが、給送伝達部331も同様な構成となっているので、給送伝達部331については説明を省略する。
【0030】
搬送伝達部332は、搬送モータM2からカップリング304までのモータ駆動部312と、カップリング304から搬送ローラ235までの搬送ローラ駆動部322とによって構成されている。カップリング304は、給紙ユニット210を本体ユニット204に挿入した状態で搬送モータM2と搬送ローラ235との間を駆動伝達可能に接続し、給紙ユニット210が引き出される際に搬送モータM2と搬送ローラ235との間の駆動接続を解除する。以下の説明では、出力側の構成を第1とし、入力側の構成を第2としているが、出力側を第2とし、入力側を第1としてもよく、作用効果は同様である。
【0031】
搬送伝達部332における搬送モータM2の回転駆動は、図5に示すように、プーリP1からプーリP2にタイミングベルトTを介して伝達され、プーリP2の駆動によって出力側の第1カップリングCP1を回転させる。第1カップリングCP1の先端部には、凹状の第1結合部334が外周に沿って4か所に設けられている。図6に示すように、第1カップリングCP1に係合される入力側の第2カップリングCP2は、ギヤG1から搬送ローラ235のローラ回転軸235aに取り付けられたギヤG2に伝達されて、搬送ローラ235がシートを搬送する方向に回転する。ギヤG2の内部にはワンウェイクラッチ(図示せず)が配置されており、ジャム処理時において搬送ローラ対237にニップされているシートを引き抜く際に、搬送ローラ235が空転させることができる。第2カップリングCP2の先端には、前記第1結合部334に対応した凸状の第2結合部335が4か所に設けられている。前記第1結合部334と第2結合部335とは、部品公差や設計公差等を考慮して正確に位置決めせずとも係合しやすくするために、回転方向に対して一定の間隔を有して結合可能となっている。
【0032】
図7は、カップリング304を中心とした搬送伝達部332の主要構成を示したものである。図7(a)に示すように、第1カップリングCP1は、搬送モータM2からプーリP2を介して回転する第1回転軸D1に挿通され、圧縮バネ等の付勢部材333の付勢力を介して第1回転軸D1と平行方向にスライド可能に配置されている。第1回転軸D1には、軸心AX1方向と直交する方向に突出するピン状部材からなる第1の回転力伝達部材(第1回転伝達ピン)RP1が第1回転軸D1と一体に設けられ、この第1回転伝達ピンRP1の回転に伴って第1カップリングCP1が第1回転軸D1に同期して回転する。第1カップリングCP1と対向する第2カップリングCP2は、ギヤG1及びギヤG2を介してローラ回転軸235aを回転させる第2回転軸D2に挿通され、この第2回転軸D2の軸心AX2方向と直交する方向に一体に設けられている第2の回転力伝達部材(第2回転伝達ピン)RP2によって回転する。
【0033】
図7(b)に示すように、搬送ローラ駆動部322がモータ駆動部312側に向けてスライド移動して、第1カップリングCP1の第1結合部334に第2カップリングCP2の第2結合部335がかみ合うことで、第1回転軸D1の軸心AX1と第2回転軸D2の軸心AX2とが一致する。そして、図7(c)に示すように、搬送ローラ駆動部322がモータ駆動部312側に押し込まれることによって、付勢部材333の付勢力が働き、第1カップリングCP1と第2カップリングCP2とが結合されて搬送モータM2の回転駆動を搬送ローラ235に伝達することができる。
【0034】
図8は第2カップリングCP2を搬送ローラ235側から見たものである。第2回転軸D2と第2カップリングCP2とは、第2回転軸D2の回転方向で互いに係合して両者を一体に回転させる係合部337を有している。この係合部337は、第2回転軸D2の軸(軸心AX2)方向と直交する方向に第2回転軸D2に設けられ、第2カップリングCP2に回転力を伝達する回転力伝達部材(第2回転伝達ピン)RP2と、第2カップリングCP2に設けられ、第2回転伝達ピンRP2を収容すると共に第2回転軸D2を揺動可能とする係合部337とを備えている。前記第2回転伝達ピンRP2は、第2回転軸D2の先端部から軸心AX2とは直交する方向に対向して延びるピン状部材からなっている。前記係合部337には第2回転伝達ピンRP2が当接する当接部337aと、この当接部337aを起点として第2回転伝達ピンRP2の係合部337内での長手方向の揺動を可能とする揺動空間部(凹部)338とが設けられている。
【0035】
前記第2回転伝達ピンRP2は、第2回転軸D2の軸心AX2に対して直交する方向に貫通して設けられる挿通孔339に挿通される平行ピンによって形成することができる。第2カップリングCP2は、第2回転軸D2が貫通する貫通孔336と、この貫通孔336と直交する方向に設けられ、前記第2回転伝達ピンRP2が係合される係合部337が形成されている。係合部337は、第2回転伝達ピンRP2が収容される長溝部337bと、この長溝部337b内に設けられ第2回転伝達ピンRP2を頂点で支える突起状の当接部337aと、この当接部337aより外側に位置する凹部338とを備えている。凹部338は、第2回転軸D2が貫通する貫通孔336の貫通方向に対して、前記当接部337aよりも窪んだ長溝部337bの底部337c側に設けられている。この凹部338は、第2回転伝達ピンRP2の少なくとも先端部RP2aと対向する底部337cを凹ませて形成してもよく、また、前記長溝部337bを当接部337aから外周部に向けてテーパ状あるいは階段状に次第に傾斜して形成してもよい。これによって、図9及び図10に示すように、第1カップリングCP1と第2カップリングCP2とが結合した際に、第2カップリングCP1側が前記当接部337aを起点として軸方向に揺動可能となる。第1カップリングCP1は、第2カップリングCP2に結合していない状態では、付勢部材333の付勢力と第1EリングER1に当接されて規制されている。一方、第2カップリングCP2は、第2回転伝達ピンRP2と第2EリングER2に挟まれた状態で軸方向の移動が規制されている。
【0036】
なお、前記凹部338を設ける他の手段としては、第2回転伝達ピンRP2の厚みを先端部に向けてテーパ状に薄く形成するようにしてもよい。
【0037】
図9は、第2カップリングCP2が第1カップリングCP1に対して傾いた状態で結合された際の補正動作を示したものである。図9(a)は第2カップリングCP2が第1カップリングCP1に向けて傾いた状態で当接した状態を示している。この状態から図9(a)に示したように、第2カップリングCP2がさらに第1カップリングCP1側に押し込まれると、図9(b)に示したように、第2カップリングCP2を付勢している付勢部材333の付勢力が第2カップリングCP2側に働く。これによって、傾いた側の第2回転伝達ピンRP2は、第2回転伝達ピンRP2の先端部RP2aとの間に凹部338を有しているため、第2回転軸D2が傾いた状態のままで第2カップリングCP2を第1カップリングCP1と平行となるように傾きを補正することができる。
【0038】
図10(a),(b)は、図9(a),(b)に示したように、第2カップリングCP2の結合時と結合後における傾斜補正角度を比較したものである。係合部337内に第2回転伝達ピンRP2が長手方向に揺動可能な凹部338を有することによって、結合時(a)に対して結合後(b)では、角度α分、第1カップリングCP1と平行状態に近づけることができる。
【0039】
前記係合部337に設けられる凹部338は、その深さによって第2カップリングCP2の傾斜の許容度が設定されるが、深すぎると第2カップリングCP2の傾斜が補正されたとしても、それに対する第2回転軸D2の傾きが大きいままとなり回転に支障をきたす。このため、前記凹部338の深さは、第1回転軸D1の軸心AX1に対する第2回転軸D2の軸心AX2の傾斜角度が部品公差及び設計公差等の範囲内である例えば3.5度程度以内となるように設定するのが好ましい。
【0040】
図1及び図2に示したように、シート給送部230が給紙ユニット210と共に本体ユニット204から引き出される構造にあっては、図5に示した出力側(駆動側)と図6に示した入力側(被駆動側)との部品公差や設計公差等のバラツキが生じるが、上記構成による駆動伝達機構を用いることによって、回転ムラや歯飛び等を生じさせることなく、搬送ローラ等の被駆動側を駆動させることができる。
【0041】
本実施形態では、入力側の第2カップリングCP2について説明したが、出力側の第1カップリングCP1についても第2カップリングCP2と同様な構成とすることができ、少なくともいずれか一方に採用することによって、上述したような作用効果を得ることができる。本発明の駆動伝達機構は、出力側の回転軸と出力側のカップリングを有するユニットと、入力側の回転軸と入力側のカップリングを有するユニットと、を備える全て装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
100 画像形成システム
101 画像形成装置
102 画像読取装置
110 画像形成部
120 給紙部
121 給紙カセット
122 送出ローラ
125 搬送ローラ対
129 排出トレイ
131 搬送ローラ対
133 レジストローラ対
150 画像形成搬送経路
151 接続路
200 給紙装置
204 本体ユニット
205 引出ボタン
210 給紙ユニット
220 シート収納部
221 積載トレイ
226 昇降機構
229 レール
230 シート給送部
231 送出ローラ
232 給紙ローラ
233 分離ローラ
234 給送ローラ対
235 搬送ローラ
235a ローラ回転軸
236 従動ローラ
237 搬送ローラ対
304 カップリング
312 モータ駆動部
322 搬送ローラ駆動部
331 給送伝達部
332 搬送伝達部(駆動伝達機構)
333 付勢部材
334 第1結合部
335 第2結合部
336 貫通孔
337 係合部
337a 当接部
337b 長溝部
337c 底部
338 凹部
339 挿通孔
AX1、AX2 軸心
CP1 第1カップリング
CP2 第2カップリング
D1 第1回転軸
D2 第2回転軸
ER1 第1Eリング
ER2 第2Eリング
G1、G2 ギヤ
P1、P2 プーリ
T タイミングベルト
RP1 第1回転伝達ピン(回転力伝達部材)
RP2 第2回転伝達ピン(回転力伝達部材)
S シート
M1 給送モータ
M2 搬送モータ
M3 昇降モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10