(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093647
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H05K5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210161
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋祐
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360AB23
4E360AC02
4E360EA13
4E360EA24
4E360EC04
4E360EC13
4E360ED02
4E360ED13
4E360ED30
4E360GA06
4E360GA11
4E360GB99
(57)【要約】
【課題】内側筐体に対してパネルを移動できる余裕を持たせつつ、パネルを引き出した際に生ずる不具合を解消することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】係止機構60は、内側筐体40からパネル20へ延びると共に、延びた先が前方と交差する方向に屈曲する屈曲部61Cに開口61C1を有するフック61と、貫通孔63Cを有し、フック61の屈曲部61Cの厚みより長く、開口61C1に挿通される筒部63Aと、筒部63Aの外径より大きい外径を有し、屈曲部61Cの後面61C2と接触可能な柄部63Bと、を有するブッシュ63と、屈曲部61Cの前面61C3に配置され、筒部63Aの外径より大きい内径を有し、筒部63Aの一部が挿通するワッシャ65と、ブッシュ63の貫通孔63Cを通る軸部67Aを有し、貫通孔63Cより大きい外径を有する頭部67Bと、パネル20と固定されるネジ部67Cを有するネジ67と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に開口を有する外側筐体と、
前記外側筐体の内部に、前記外側筐体から前記開口を介して引き出し可能に収納される内側筐体と、
前記開口を封止可能な形状を有し、前記内側筐体の引出し方向の前面に配置され、前記内側筐体と共に引き出し可能なパネルと、
前記引き出し方向と交差する方向において、前記パネルと前記内側筐体との相対的な位置を調整可能に、前記パネルを前記内側筐体に係止する係止機構と、
を備え、
前記係止機構は、
前記内側筐体から前記パネルへ延びると共に、延びた先が前記引き出し方向と交差する方向に屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部に開口を有するフックと、
貫通孔を有し、前記フックの前記屈曲部の厚みより長く、前記開口に挿通される筒部と、前記筒部に連続して設けられ、前記筒部の外径より大きい外径を有し、前記屈曲部の一方の面と接触可能な柄部と、を有するブッシュと、
前記屈曲部の一方の面と反対側の面に配置され、前記筒部の外径より大きい内径を有し、前記筒部の一部が挿通するワッシャと、
前記ブッシュの前記貫通孔を通る軸部を有し、前記軸部の一端に前記貫通孔より大きい外径を有する頭部と、前記軸部の他端に前記パネルと固定される固定部を有するピン部材と、
を有する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記フックは、前記屈曲部に複数の前記開口を有し、
前記ブッシュ、前記ワッシャ及び前記ピン部材はそれぞれ、前記複数の開口に応じた複数のブッシュ、複数のワッシャ及び複数のピン部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ピン部材は、ネジである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記フックの前記開口は、前記筒部の外径より0.5~3.0mm大きい、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記屈曲部の厚みをd、前記筒部の長さをL、前記ワッシャの厚みをMとすると、
0<L-M-d<0.25mm
である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記パネルは、スイッチ及びインジケータが備えられた操作パネルである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記パネル は、外部機器と接続するための端子を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記外部機器は、レーザ発振器を備えたレーザ光出力装置である、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記パネルは、回路基板と前記回路基板を支持するブラケットを有し、
前記回路基板及び前記ブラケットは、前記パネルと前記内側筐体との相対的な位置の調整に連動して、前記パネルと一体に位置が変更される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外部機器を制御する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固定する表装パネルが移動できる余裕を水平(X)方向と垂直(Y)方向に持たせつつ、高さ(Z)方向に移動できないように制限して固定可能な表装パネルの位置調整治具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部機器を制御する制御装置において、外側筐体と内側筐体を有し、外側筐体に対して内側筐体を引き出し可能に構成されるものが知られている。例えば、内側筐体にはパネルが接続され、内側筐体が外側筐体に収容されている時にはパネルが外側筐体の開口を覆う構成を取る。外側筐体の開口とパネルの位置がぴったり合致することが意匠的にも防塵・防水などの封止構造的にも求められるが、組み付け精度やがたつき、歪み等の要因によりズレが生じることがある。生じたズレに応じて調整できる構成を持つことが好ましい。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の表装パネルの位置調整治具は、表装パネルの位置を調整するものであって、パネルを引き出すことで、パネルに連結された内側筐体も一緒に外側筐体から引き出される構造のものについてのものではないので、かかる構造特有の問題に対処することはできない。具体的には、内側筐体に対してパネルを移動できる余裕を持たせると、パネルを引き出した際に、パネルが内側筐体との連結部分で内側筐体に近づく方向に傾いたり、逆に内側筐体から離れる方向に傾いたりすることがあるが、特許文献1に記載の表装パネルの位置調整治具では、この問題に対処することができない。
【0006】
本願は、内側筐体に対してパネルを移動できる余裕を持たせつつ、パネルを引き出した際に生ずる不具合を解消することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の制御装置は、一側面に開口を有する外側筐体と、外側筐体の内部に、外側筐体から開口を介して引き出し可能に収納される内側筐体と、開口を封止可能な形状を有し、内側筐体の引出し方向の前面に配置され、内側筐体と共に引き出し可能なパネルと、引き出し方向と交差する方向において、パネルと内側筐体との相対的な位置を調整可能に、パネルを内側筐体に係止する係止機構と、を備え、係止機構は、内側筐体からパネルへ延びると共に、延びた先が引き出し方向と交差する方向に屈曲する屈曲部を有し、屈曲部に開口を有するフックと、貫通孔を有し、フックの屈曲部の厚みより長く、開口に挿通される筒部と、筒部に連続して設けられ、筒部の外径より大きい外径を有し、屈曲部の一方の面と接触可能な柄部と、を有するブッシュと、屈曲部の一方の面と反対側の面に配置され、筒部の外径より大きい内径を有し、筒部の一部が挿通するワッシャと、ブッシュの貫通孔を通る軸部を有し、軸部の一端に貫通孔より大きい外径を有する頭部と、軸部の他端にパネルと固定される固定部を有するピン部材と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願によれば、内側筐体に対してパネルを移動できる余裕を持たせつつ、パネルを引き出した際に生ずる不具合を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の一実施形態に係る制御装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の制御装置の内側筐体を引き出した状態を示す図である。
【
図3】
図1の制御装置の係止機構周辺の拡大部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。各図において、前後方向D1、上下方向D2、及び左右方向D3は、各図に記載された通りである。
【0011】
図1は、本願の一実施形態に係る制御装置10の外観を示している。制御装置10は、外部機器を制御するものであり、本実施形態では、外部機器として、レーザ発振器を備えたレーザヘッド(図示せず)を接続し、レーザヘッドを制御することにより、加工対象物の加工面上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うようにしている。レーザヘッドは、「レーザ光出力装置」の一例である。
【0012】
制御装置10は、
図1に示すように、前面に開口30A(
図2参照)を有する箱状の外側筐体30と、その開口30Aを封止するパネル20と、を備えている。そして、パネル20と外側筐体30とは、複数のネジ100によりネジ止めされている。パネル20上には、電源スイッチ21、各種コネクタ22、複数のLEDからなるインジケータ23、レーザヘッドと制御装置10とを接続するケーブル(図示せず)を接続する端子25、商用電源(例えば、100V)を供給するための電源ケーブル(図示せず)を接続する端子26、LANケーブル(図示せず)を接続するための端子27、及びUSBケーブル(図示せず)を接続するための端子28等が設けられている。つまり、パネル20は、操作パネルとしての機能を備えている。なお、外側筐体30の底面の、例えば四隅には、設置面と接触する脚部39が設けられている。
【0013】
パネル20は、ネジ100によるネジ止めを外すと、
図2に示すように、前方に引き出すことができるように構成されている。パネル20の裏側には、内側筐体40が連結され、内側筐体40は、左右一対のレール50(ただし、
図2には右側のレールは図示されていない)上に設置されている。したがって、パネル20を前方に引き出すと、レール50を介して内側筐体40が外側筐体30内から引き出される。
【0014】
また、パネル20の裏側には、各種電子部品が搭載された回路基板90を支持するブラケット70も取り付けられている。パネル20は、
図3及び
図4を用いて後述するように、内側筐体40に対して相対的にD2-D3平面に沿って移動可能に構成されている。ブラケット70は、パネル20に固定され、回路基板90は、ブラケット70に固定されているので、パネル20が内側筐体40に対して相対的に移動するに従い、回路基板90及びブラケット70も、内側筐体40に対して相対的に移動する。さらに、内側筐体40上にも、各種電子部品が設置されている。
【0015】
パネル20と内側筐体40とは、一対の係止機構60,60により連結されている。各係止機構60,60は、同様に構成されているので、以下、いずれか一方の係止機構60、例えば、左側の係止機構60を代表させて、その構造及び作用を説明する。
【0016】
図3は、係止機構60周辺を示している。
図3に示すように、係止機構60は、フック61、ブッシュ63、ワッシャ65(
図4参照)及びネジ67により構成されている。そして、ブッシュ63、ワッシャ65及びネジ67はそれぞれ、2つずつ設けられている。
【0017】
フック61は、係止部61Aと、連結部61Bと、屈曲部61Cとを有する。係止部61Aは、連結部61Bの後端部から前後方向D1に交差する上下方向D2の、例えば下方向に屈曲した、2本の棒状の部材により構成されている。係止部61Aは、この棒状の部材を内側筐体40に形成された2つの開口40Aに挿入することで、フック61を内側筐体40に係止する。屈曲部61Cは、連結部61Bの前端部から、係止部61Aと同様の下方向に屈曲した板状の部材により構成されている。連結部61Bは、D1-D3平面に沿った板状の部材により構成され、係止部61Aと屈曲部61Cとを連結する。さらに、連結部61Bには、ネジ孔61B1(
図4参照)が形成され、内側筐体40に形成されたネジ孔40Bとネジ孔61B1にネジ41を螺着させることで、フック61を内側筐体40に係止した状態で固定している。
【0018】
図4に示すように、屈曲部61Cには、2つの開口61C1,61C1が上下に並んで形成されている。各開口61C1,61C1は、同じ長さの径を有する円形状に形成されている。各開口61C1,61C1には、1つのブッシュ63が挿入され、さらにD2-D3平面に沿ってそのブッシュ63を移動可能にするために、各開口61C1,61C1の径は、ブッシュ63の筒部63Aの外径より、所定の余裕分だけ大きくなるようにしている。所定の余裕分は、例えば、ブッシュ63の筒部63Aの外径より0.5~3.0mm大きい値である。
【0019】
ブッシュ63は、筒部63Aと、筒部63Aに連続して設けられた柄部63Bとを備えている。柄部63Bの外径は、筒部63Aの外径より大きく、かつ開口61C1の径より大きい。筒部63Aには、ネジ67の軸部67Aが貫通する貫通孔63Cが形成されている。ただし、貫通孔63Cの径は、ネジ67の頭部67Bの外径より小さいものとなっている。逆に言うと、ネジ67の頭部67Bの外径は、貫通孔63Cの径より大きい。これは、ネジ67の頭部67Bとボス部20Aとの間でブッシュ63を狭着させるためである。
【0020】
また、ブッシュ63としては、筒部63Aの長さが、屈曲部61Cの厚みとワッシャ65の厚みとを加算した厚みより長いものが用いられている。
【0021】
ワッシャ65は、その内径がブッシュ63の筒部63Aの外径より大きく、かつ、その外径が開口61C1の径より大きいものが用いられている。
【0022】
ネジ67は、軸部67Aと、軸部67Aの一端に設けられた頭部67Bと、軸部67Aの他端に設けられたネジ部67Cとにより構成されている。軸部67A及びネジ部67Cの各外径は、ブッシュ63の筒部63Aの貫通孔63Cより小さい。
【0023】
パネル20の裏側の左右両端部それぞれの近傍には、2つのボス部20A,20Aが上下に並んで設けられている(
図2参照。ただし、
図2には、右端部の下側のボス部20Aは記載されていない。)。各ボス部20A,20Aは、パネル20の裏側から後方に延設されている。そして、各ボス部20A,20Aには、ネジ孔20A1,20A1が前後方向D1に形成されている。
【0024】
屈曲部61Cの各開口61C1,61C1には、ブッシュ63の筒部63Aが挿入され、屈曲部61Cの前面61C3から前方に突き出た筒部63Aの一部には、ワッシャ65が挿入される。そして、ネジ67の軸部67Aとネジ部67Cを、ブッシュ63の貫通孔63Cを貫通させて、ネジ部67Cをボス部20Aのネジ孔20A1に到達させ、螺着させることで、屈曲部61Cをパネル20に固定させる。これにより、フック61がパネル20に固定されるので、フック61を介してパネル20を内側筐体40に係止することができる。
【0025】
各ネジ67,67を各ボス部20A,20Aに螺着させると、ブッシュ63の柄部63Bの下面63B1とフック61の屈曲部61Cの後面61C2との間には、隙間S1が生ずる。これは、上述のように、ブッシュ63の筒部63Aの長さが、屈曲部61Cの厚みとワッシャ65の厚みとを加算した厚みより長いものが用いられているからである。なお、この隙間S1の前後方向D1における長さをL1とすると、0<L1<0.25mmであることが好ましい。
【0026】
また、ブッシュ63の筒部63Aと屈曲部61Cの開口61C1との間にも、隙間S2が生ずる。これは、上述のように、各開口61C1,61C1の径は、ブッシュ63の筒部63Aの外径より、所定の余裕分だけ大きくなるようにしているからである。なお、この隙間S2の上下方向D2における長さをL2とすると、所定の余裕分が、上述のように、ブッシュ63の筒部63Aの外径より0.5~3.0mm大きい値であるので、0.5≦L2≦3.0mmとなる。
【0027】
このように隙間S2が生ずるようにしたのは、外側筐体30から引き出したパネル20を押し込んで外側筐体30にネジ止めする際に、パネル20をD2-D3平面に沿って移動できる余裕を持たせて、ネジ止めをし易くするためである。そして、隙間S1が生ずるようにしたのは、パネル20をD2-D3平面に沿って移動させる際に生ずる摩擦を可及的に減少させるためである。
【0028】
しかし、パネル20を引き出したときに、パネル20が内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向に傾斜しないようにする必要がある。パネル20が内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向に傾斜すると、パネル20にブラケット70を介して固定された回路基板90に負荷がかかる虞が生じるからである。これに対処するために、隙間S1の前後方向D1における長さの上限値を、上述のように0.25mmと短くするとともに、屈曲部61Cの開口61C1とボス部20Aとの間に開口61C1の径よりも大きい外径のワッシャ65を挿入している。ワッシャ65は、パネル20をD2-D3平面に沿って移動させたときに、開口61C1内にボス部20Aが嵌まり込まないようにする機能と、フック61の屈曲部61Cの前面61C3とボス部20Aとの間の隙間を減らす機能とを果たしている。また、各屈曲部61Cに上下に並んで開口61C1を形成して、夫々でネジ止めされているため、パネル20が上下方向により傾斜し難くなっている。さらに、フック61、61が左右方向に並んで設けられているため、よりパネル20が左右方向に傾斜し難くなっている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の制御装置10は、前面に開口30Aを有する外側筐体30と、外側筐体30の内部に、外側筐体30から開口30Aを介して引き出し可能に収納される内側筐体40と、開口30Aを封止可能な形状を有し、内側筐体40の前方の前面に配置され、内側筐体40と共に引き出し可能なパネル20と、前方と交差する方向において、パネル20と内側筐体40との相対的な位置を調整可能に、パネル20を内側筐体40に係止する係止機構60と、を備えている。
【0030】
そして、係止機構60は、内側筐体40からパネル20へ延びると共に、延びた先が前方と交差する方向に屈曲する屈曲部61Cを有し、屈曲部61Cに開口61C1を有するフック61と、貫通孔63Cを有し、フック61の屈曲部61Cの厚みより長く、開口61C1に挿通される筒部63Aと、筒部63Aに連続して設けられ、筒部63Aの外径より大きい外径を有し、屈曲部61Cの後面61C2と接触可能な柄部63Bと、を有するブッシュ63と、屈曲部61Cの後面61C2と反対側の前面61C3に配置され、筒部63Aの外径より大きい内径を有し、筒部63Aの一部が挿通するワッシャ65と、ブッシュ63の貫通孔63Cを通る軸部67Aを有し、軸部67Aの一端に貫通孔63Cより大きい外径を有する頭部67Bと、軸部67Aの他端にパネル20と固定されるネジ部67Cを有するネジ67と、を有する、ことを特徴とする。
【0031】
このように、本実施形態の制御装置10は、係止機構60を、内側筐体40からパネル20へ延びると共に、延びた先が前方と交差する方向に屈曲する屈曲部61Cを有し、屈曲部61Cに開口61C1を有するフック61と、貫通孔63Cを有し、フック61の屈曲部61Cの厚みより長く、開口61C1に挿通される筒部63Aと、筒部63Aに連続して設けられ、筒部63Aの外径より大きい外径を有し、屈曲部61Cの後面61C2と接触可能な柄部63Bと、を有するブッシュ63と、屈曲部61Cの後面61C2と反対側の前面61C3に配置され、筒部63Aの外径より大きい内径を有し、筒部63Aの一部が挿通するワッシャ65と、ブッシュ63の貫通孔63Cを通る軸部67Aを有し、軸部67Aの一端に貫通孔63Cより大きい外径を有する頭部67Bと、軸部67Aの他端にパネル20と固定されるネジ部67Cを有するネジ67と、により構成した。これにより、内側筐体40に対してパネル20を移動できる余裕を持たせることが可能となる。さらに、ワッシャ65により、パネルを引き出した際に生ずる不具合、具体的には、パネル20が内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向に傾斜することを解消することが可能となる。
【0032】
ちなみに、本実施形態において、前面は、「一側面」の一例である。前方は、「引出し方向」の一例である。上下方向D2と左右方向D3は、「交差する方向」の一例である。後面61C2は、「一方の面」の一例である。前面61C3は、「反対側の面」の一例である。ネジ部67Cは、「固定部」の一例である。「ピン部材」の一例である。
【0033】
また、フック61は、屈曲部61Cに複数の開口61C1を有し、ブッシュ63、ワッシャ65及びネジ67はそれぞれ、複数の開口61C1に応じた複数のブッシュ63、複数のワッシャ65及び複数のネジ67を有する、ことを特徴とする。
【0034】
これにより、パネル20を内側筐体40に、より確実に係止することが可能となる。
【0035】
また、フック61の前記開口は、筒部63Aの外径より0.5~3.0mm大きい、ことを特徴とする。
【0036】
これにより、内側筐体40に対してパネル20を移動できる適正な余裕を持たせることが可能となる。
【0037】
また、屈曲部61Cの厚みをd、筒部63Aの長さをL、ワッシャ65の厚みをMとすると、0<L-M-d<0.25mmである、ことを特徴とする。
【0038】
これにより、パネル20が内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向に傾斜することを確実に解消することが可能となる。
【0039】
また、パネル20は、回路基板90と回路基板90を支持するブラケット70を有し、回路基板90及びブラケット70は、パネル20と内側筐体40との相対的な位置の調整に連動して、パネル20と一体に位置が変更される、ことを特徴とする。
【0040】
上述のように、パネル20を引き出した際に生じ得る、パネル20の内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向への傾斜は解消されるので、ブラケット70を介してパネル20に固定される回路基板90も、内側筐体40に近づく方向あるいは離れる方向に傾斜しなくなる。これにより、回路基板90に負荷かがかかる虞を解消することが可能となる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0042】
(1)上記実施形態では、上記実施形態では、被制御対象の外部機器として、レーザヘッドを採用したが、これに限らない。
【0043】
(2)上記実施形態では、上記実施形態では、インジケータ23として、LEDを採用したが、これに限らず、例えばLEDディスプレイを採用し、LEDディスプレイ上に文字や図形を表示するようにしてもよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、パネル20は、スイッチ類やインジケータ、各種接続端子が設けられていたが、何れかが欠けていてもよいし、何れも備えないものであってもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、係止機構60を2つ設けるようにしたが、その個数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、フック61の屈曲部61Cに開口61C1を2つ設けるようにしたが、その個数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。その個数に応じて、ブッシュ63、ワッシャ65及びネジ67の各個数も変える必要があることは、言うまでもない。
【0047】
(6)上記実施形態では、開口61C1の形状を円形状としたが、これに限らず、楕円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。
【0048】
(7)上記実施形態では、パネル20及び内側筐体40は、外側筐体30に対して前面に引き出す構造であったが、後方に引き出す構造でも、左方や、右方に引き出す構造であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…制御装置、20…パネル、20A…ボス部、20A1…ネジ孔、30…外側筐体、30A…開口、40…内側筐体、60…係止機構、61…フック、61A…係止部、61B…連結部、61C…屈曲部、61C1…開口、61C2…後面、61C3…前面、63…ブッシュ、63A…筒部、63B…柄部、63C…貫通孔、65…ワッシャ、67…ネジ、67A…軸部、67B…頭部、67C…ネジ部、70…ブラケット、90…回路基板、S1,S2…隙間。