(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093649
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カメラの冷却装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20240702BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210164
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】592077512
【氏名又は名称】株式会社西日本メタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼下 紘一
(72)【発明者】
【氏名】高崎 雄斗
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122EA03
5C122GE01
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】溶融スラグ排滓場のように過酷な現場においても、カメラを熱や粉塵から守り、その性能の低下を防ぐとともに鮮明に撮影可能とする。
【解決手段】内部にカメラ2を収容し、カメラの後方に冷却ガス流入口32、カメラの前方に透明なパネルが嵌め込まれた撮影窓31、及びカメラの前方へ向かって外部に冷却ガスGを吹き出すように構成された冷却ガス吹出口33を有する筐体3と、冷却ガス流入口32に端部が連結されて筐体の内部に冷却ガスを送り込むとともに、カメラの配線2aを挿通可能に構成された配管4と、冷却ガス吹出口33に対向するとともに撮影窓の前方に立設する前方ガイド壁51と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にカメラを収容し、前記カメラの後方に冷却ガス流入口、該カメラの前方に透明なパネルが嵌め込まれた撮影窓、及び該カメラの前方へ向かって外部に冷却ガスを吹き出すように構成された冷却ガス吹出口を有する筐体と、
前記冷却ガス流入口に端部が連結されて前記筐体の内部に冷却ガスを送り込むとともに、前記カメラの配線を挿通可能に構成された配管と、
前記冷却ガス吹出口に対向するとともに前記撮影窓の前方に立設する前方ガイド壁と、を備えることを特徴とするカメラ冷却装置。
【請求項2】
前記撮影窓の下方に設けられる前記冷却ガス吹出口と、
前記撮影窓及び前記冷却ガス吹出口に対向し該撮影窓の全幅に亘って立設する前記前方ガイド壁と、
前記前方ガイド壁の左右両端部から前記筐体へ向かって延びる側方ガイド壁と、を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ冷却装置。
【請求項3】
前記前方ガイド壁及び前記側方ガイド壁と、前記筐体から前記前方ガイド壁及び前記側方ガイド壁の下端部へ延びる底壁とが、前記撮影窓の前方において上方に開口するポケットを形成することを特徴とする請求項2に記載のカメラ冷却装置。
【請求項4】
前記筐体は、前傾姿勢で支持体に取り付けられ、
前記筐体は前側壁の下部に前記冷却ガス吹出口を有することを特徴とする請求項3に記載のカメラ冷却装置。
【請求項5】
前記側方ガイド壁は、前記ポケットの内部と外部とを連通する連通孔を有し、該連通孔の底部は該ポケットの底壁上面と一続きに形成されることを特徴とする請求項4に記載のカメラ冷却装置。
【請求項6】
前記配管は、前記冷却ガスの流量を調整する流量調整弁と、前記冷却ガスの圧力を調整する圧力調整装置と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のカメラ冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融スラグの排滓場や溶接作業等の高温環境となる現場において、カメラを用いて撮影を行い、作業の監視や観察が行われている。このような高温環境となる現場では、放射熱によってカメラの温度が上昇することを防ぐため、撮影対象である熱の発生源からカメラを離し、望遠機能を用いて撮影することが行われていた。
【0003】
しかしながら、望遠機能を有する撮影装置は高額であることや、カメラを撮影対象から離して高所に設置した場合は、映像が俯瞰となるため高低差が分かりにくく、カメラの映像をもとに重機を遠隔操作する場合には、その操作が困難であるという問題があった。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1には、カメラ本体を収納するカメラケースを備え、カメラケースの内側に冷却ガスを流通させることによって、カメラ本体を含むカメラユニットを冷却する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のカメラ冷却装置では、例えば溶融スラグを扱う排滓場で用いられた場合、高温環境であるだけでなく粉塵が多いため、筐体に粉塵が付着してカメラの視界不良を招くおそれがある。また、筐体に複数の開口が設けられている場合、筐体内部へ粉塵が入り込み、カメラの故障の原因にもなり得る。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば溶融スラグ排滓場のように高温で粉塵の多い過酷な現場においても、カメラを熱や粉塵から守り、その性能の低下を防ぐとともに鮮明に撮影可能なカメラ冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明では、筐体から吹き出す冷却ガスをガイドする前方ガイド壁を備えるものとした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
内部にカメラを収容し、前記カメラの後方に冷却ガス流入口、該カメラの前方に透明なパネルが嵌め込まれた撮影窓、及び該カメラの前方へ向かって外部に冷却ガスを吹き出すように構成された冷却ガス吹出口を有する筐体と、
前記冷却ガス流入口に端部が連結されて前記筐体の内部に冷却ガスを送り込むとともに、前記カメラの配線を挿通可能に構成された配管と、
前記冷却ガス吹出口に対向するとともに前記撮影窓の前方に立設する前方ガイド壁と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第1の発明によると、筐体内のカメラの温度を一定に保つための冷却ガスが、筐体を通って外部へ吹き出すと、冷却ガス吹出口に対向するガイド壁に衝突して流路を曲げ、撮影窓の方向へ流れる。冷却ガスが撮影窓の周囲でエアカーテンとなって、撮影窓の外気による曇りや粉塵の付着による汚れを防ぐことが可能となり、カメラが撮影する画像を鮮明に保つことができる。また、冷却ガスを筐体内に送り込む配管の中に、カメラの配線が挿通されるため、配線の熱による損傷を防ぐことができる。筐体に配線用の挿通孔を別途設ける必要がないため、筐体内に外部の粉塵が入り難く、冷却ガスの冷却効率の低下も防ぐことができる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
前記撮影窓の下方に設けられる前記冷却ガス吹出口と、
前記撮影窓及び前記冷却ガス吹出口に対向し該撮影窓の全幅に亘って立設する前記前方ガイド壁と、
前記前方ガイド壁の左右両端部から前記筐体へ向かって延びる側方ガイド壁と、を有することを特徴とする。
【0012】
第2の発明によると、前方ガイド壁と側方ガイド壁とによって、撮影窓の前方が囲まれるため、冷却ガスが前方ガイド壁と側方ガイド壁によって流路をガイドされ、撮影窓の前方にエアカーテンを形成することが可能となる。撮影窓の全域に沿ってより効率良く流すことができるため、上記撮影窓の保護効果を高めることが可能となる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
前記前方ガイド壁及び前記側方ガイド壁と、前記筐体から前記前方ガイド壁及び前記側方ガイド壁の下端部へ延びる底壁とが、前記撮影窓の前方において上方に開口するポケットを形成することを特徴とする。
【0014】
第3の発明によると、ポケットが冷却ガスの流路を曲げ、下方から上方に流れることにより、より確実に撮影窓の全域に亘ってエアカーテンが形成される。冷却ガスをより効率良く流すことが可能となり、上記撮影窓の保護効果をさらに高めることが可能となる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
前記筐体は、前傾姿勢で支持体に取り付けられ、
前記筐体は前側壁の下部に前記冷却ガス吹出口を有することを特徴とする。
【0016】
冷却ガスに含まれる水分により筐体内部が結露し、水が溜まった場合、水は冷却ガスに押圧されながら筐体の底板に沿って前方に向かって流れ、前側壁の下部に溜まる。第4の発明によると、水が溜まる位置に冷却ガス吹出口が位置するため、水は冷却ガスによって押し出され冷却ガス吹出口から容易に排出される。これにより、水によるカメラの故障を防ぐことが可能となる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、
前記側方ガイド壁は、前記ポケットの内部と外部とを連通する連通孔を有し、該連通孔の底部は該ポケットの底壁上面と一続きに形成されることを特徴とする。
【0018】
第5の発明によると、冷却ガス吹出口から排出された水を、連通孔によってさらにポケットの外へ排出することができる。連通孔を側方ガイド壁に設けることでポケットによる冷却ガスのガイド効果を低下させることなく、水の排出が可能となり、排出された水が撮影窓へ飛散することも防ぐ。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、
前記配管は、前記冷却ガスの流量を調整する流量調整弁と、前記冷却ガスの圧力を調整する圧力調整装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
第6の発明によると、流量調整弁と圧力調整弁を用いてガスの流量及び圧力を調整することにより外気温に応じて冷却ガスを調整できるため、筐体内の温度を常に一定に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によると、例えば溶融スラグ排滓場のように、高温で粉塵の多い過酷な現場においても、カメラを熱や粉塵から守り、その性能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係るカメラ冷却装置を排滓場に取り付けた状態を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係るカメラ冷却装置の構成を示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係るカメラ冷却装置の構成を示す側面図である。
【
図5】カメラ冷却装置のエアカーテン作用を説明するための要部側面図である。
【
図7】カメラ冷却装置の水排出作用を説明するための要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
<カメラ冷却装置の構成>
カメラ冷却装置1は、例えば溶融スラグ排滓場のように、高温で粉塵の多い過酷な現場において用いられるものであり、作業箇所を監視するカメラを筐体内部に収容し、カメラの温度を一定に保つとともに粉塵や埃から守るためのものである。
【0025】
図1は、本実施形態に係るカメラ冷却装置を排滓場に取り付けた状態を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係るカメラ冷却装置1は、高温の溶融スラグXから離れた位置において支持体Yに取り付けられる。カメラ冷却装置1は、作業者Hよりも溶融スラグXに近い位置に設置することができる。
【0026】
図2及び
図3は、本実施形態に係るカメラ冷却装置の構成を示す側面図である。
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係るカメラ冷却装置1は、カメラ2を収容する筐体3と、筐体3内部に冷却ガスGを送り込む配管4と、冷却ガスGをガイドするポケット5と、冷却ガスGを調整する流量調整弁6及び圧力調整装置7とを備える。
【0027】
図4は、筐体3及びポケット5の斜視図である。
図4に示すように、筐体3は、内部にカメラ2を収容する空間を有する略直方体である。筐体3は、回動部材10を介して支持体Yに取り付けられる。回動部材10は、支持体Yに対して回動可能に筐体3を支持する。そのため、筐体3は支持体Yに対して前傾姿勢で取り付けられることで、下方にある対象を撮影可能である。筐体3の上部には屋根体8が取り付けられるが、
図4では屋根体8を省略して示す。
【0028】
筐体3は、カメラ2の前方に立設する前側壁30に、透明なパネルが嵌め込まれた撮影窓31を有する。撮影窓31は、カメラ2が外部の様子を撮影可能なほどの十分な大きさであり、カメラ2のレンズの正面に立設する。筐体3は、カメラ2の後方に冷却ガス流入口32と、カメラ2の前方に冷却ガス吹出口33を有する。筐体3は、冷却ガス流入口32及び冷却ガス吹出口33の他に筐体3内部と外部とを連通する開口部を有しない。
【0029】
冷却ガス流入口32は、カメラ2の後方に設けられる。冷却ガス流入口32は、本実施形態では筐体3の底板34に設けられるが、筐体3の左右の側壁や後側の壁に設けられてもよい。冷却ガス流入口32は、カメラ2の配線2aや他の配線類を挿通可能な大きさの開口であり、円形状に形成されている。なお、配線2aには、カメラ2の電源配線や通信用の配線が含まれる。冷却ガス吹出口33は、カメラ2の前方へ向かって外部に冷却ガスGを吹き出すように構成される。本実施形態では、冷却ガス吹出口33は前側壁30を前後方向に貫通する孔であり、撮影窓31の下方の略中央部に設けられている。冷却ガス吹出口33は、前側壁30の下部に設けられる。より具体的には、冷却ガス吹出口33は、前側壁30の下端に設けられ冷却ガス吹出口33の底部は、筐体3の底板34上面と一続きに形成される。
【0030】
配管4は、筐体3内部に冷却ガスGを送り込むとともに、カメラ2用の配線2aを挿通可能な太さの円筒状である。配管4は、筐体3に設けられた冷却ガス流入口32に一方の端部が連結される。配管4及び筐体3は、冷却ガス流入口32において隙間なく連結される。配管4は、
図3に示すように、冷却ガスの流量を調整する流量調整弁6と、冷却ガスの圧力を調整する圧力調整装置7を有する。
【0031】
流量調整弁6は、配管4に取り付けられ、配管4内を通る冷却ガスを所望の流量へ調整可能である。流量調整弁6は、冷却ガスの流路に対して回動可能に設けられた操作ロッド6aを用いて手動で調整できるような構成としてもよいが、筐体3内の温度や圧力に応じて、自動制御されるように構成してもよい。例えば、筐体3内の温度の上昇がセンサによって検知されると、流量調整弁6が冷却ガスの流量を増加させることにより筐体内の温度を低下させ、温度の低下が検知されると、流量調整弁6が冷却ガスの流量を減少させることにより筐体内の温度を上昇させるように自動制御してもよい。
【0032】
圧力調整装置7は、配管内を通る冷却ガスを所望の圧力へ調整可能である。圧力調整装置7は手動で調整できるような構成としてもよいが、筐体3内の温度や圧力に応じて、自動制御されるように構成してもよい。
【0033】
図2では、冷却ガスの流れる方向において、流量調整弁6が圧力調整装置7の下流側に設置されているが、圧力調整装置7の上流側に設置されてもよい。
【0034】
配管4の他方の端部は、
図4に示すように、カメラ2の制御盤9の内部へと連結されている。筐体3内に収容されたカメラ2の配線2aは、冷却ガス流入口32を介して配管4内に挿通され、その端部は制御盤9に接続される。配管4の他方の端部は、制御盤9と圧力調整装置7又は流量調整弁6との間に、T字状の継手が取り付けられ、その継手がガス流入部4aとなっている。
【0035】
ガス流入部4aは、図示しない冷却ガス供給装置に連結されており、冷却ガスを配管4へ供給する。配管4へ供給される冷却ガスとして、例えば、窒素ガスや圧縮空気を用いることができる。冷却ガス供給装置として、例えば、ガスボンベやコンプレッサを用いることができる。コンプレッサとして、例えば、回転型空気圧縮機や揺動型空気圧縮器を用いることができる。ガス流入部4aを高温環境に設置された筐体3から離れた位置に設けることで、熱や粉塵の影響を受けることなく冷却ガスを導入することが可能となる。これにより、冷却効率を高めるだけでなく、筐体3内部への粉塵等の流入を防ぐことが可能である。
【0036】
筐体3の前部には、ポケット5が設けられる。ポケット5は、筐体3の前側壁30の前面から前方に向かって突出する。筐体3の上部に設けられた屋根体8は、ポケット5の上部まで延出することが望ましい。ポケット5は、前方ガイド壁51及び側方ガイド壁52と、筐体3から前方ガイド壁51及び側方ガイド壁52の下端部へ延びる底壁53によって形成される、上方に開口するポケット形状である。
【0037】
冷却ガス吹出口33からポケット内へ冷却ガスG及び水が排出されるように、底壁53は、少なくとも冷却ガス吹出口33より下方において前側壁30から前方へ延びる。本実施形態においては、底壁53は、冷却ガス吹出口33の底部及び筐体3の底板34上面と一続きに形成されている。
【0038】
前方ガイド壁51は、筐体3の前側壁30から前方に間隔をあけて立設する。より具体的には、前方ガイド壁51は、少なくとも冷却ガス吹出口33に対向し、撮影窓31の前方に立設する。本実施形態において、前方ガイド壁51は、撮影窓31及び冷却ガス吹出口33に対向して立設する。前方ガイド壁51の上端部は、カメラ2のレンズ2bよりも低く、撮影窓31の下部までの高さである。前方ガイド壁51の左右の幅は、少なくとも撮影窓31の全幅に亘って延びる。
【0039】
側方ガイド壁52は、前方ガイド壁51の左右両端部から筐体3の前側壁30へ向かって延びる。平面視すると、前方ガイド壁51と左右の側方ガイド壁52は、筐体3側が開口するコ字形状である。側方ガイド壁52は、下端にポケット5の内部と外部とを連通する連通孔54を有する。連通孔54の底部は、ポケット5の底壁53上面と一続きに形成される。連通孔54の大きさは、冷却ガス吹出口33よりも小さい。連通孔54は、ポケット5に溜まった水を冷却ガスGにより押し出し可能なほどの大きさがあればよい。
【0040】
<カメラ冷却装置のエアカーテン作用>
上記のように構成したカメラ冷却装置1は、撮影窓31の汚染、水滴の付着や曇りを防ぐためのエアカーテン作用を有する。エアカーテン作用について、
図5及び6に基づいて説明する。
図5は、カメラ冷却装置のエアカーテン作用を説明するための要部側面図であり、
図6は、
図5のA-A線矢視図である。
図5及び6において、太線矢印で冷却ガスGの流路を示す。
【0041】
筐体3内には、カメラ2の温度を一定に保つための冷却ガスGが、冷却ガス流入口32から冷却ガス吹出口33へ向かって後方から前方へ流れる。冷却ガスGは、冷却ガス吹出口33から外部へ吹き出されると、冷却ガス吹出口33に対向する前方ガイド壁51及び側方ガイド壁52に衝突して流路を曲げる。前方ガイド壁51、側方ガイド壁52及び底壁53は、上方に開口するポケット形状であるため、冷却ガスGはポケット5にガイドされて上方に向かって流れる。また、冷却ガスGはその一部が側方ガイド壁52に設けられた連通孔54を通ってポケット5の外へ流れる。
【0042】
ポケット5によって上方にガイドされた冷却ガスGは、撮影窓31の方向へ流れる。冷却ガスGが撮影窓31の周囲でエアカーテンとなって下方から上方に流れることで、撮影窓31の外気による曇りや水滴の付着、粉塵の付着による汚染等を防ぐことが可能となり、カメラ2が撮影する画像を鮮明に保つことができる。
【0043】
また、冷却ガスGを筐体3内に送り込む配管4の中に、カメラ2用の配線2aが挿通されるため、配線2aの熱による損傷を防ぐことができる。筐体3に配線2a用の挿通孔を別途設ける必要がなく、筐体3は、配管4と隙間なく連結された冷却ガス流入口32と冷却ガス吹出口33以外に開口を有さないため、筐体3内に外部の粉塵が入り難く、冷却ガスGの冷却効率の低下も防ぐことができる。
【0044】
<カメラ冷却装置の水排出作用>
また、カメラ冷却装置1は、筐体3内に水が溜まるのを防ぐ水排出作用を有する。水排出作用について、
図7及び
図8に基づいて説明する。
図7は、カメラ冷却装置の水排出作用を説明するための要部側面図であり、
図8は、
図7のB-B線矢視図である。
【0045】
冷却ガスGに含まれる水分により筐体3内部が結露し、水Wが溜まった場合、水Wは冷却ガスGに押圧されながら筐体3の底板34に沿って前方に向かって流れる。筐体3を前傾姿勢で取り付ければ、水Wはより容易に前方へ向かって流れる。筐体3内において、水Wは、底板34と前側壁30との角部に溜まる。冷却ガス吹出口33は、前側壁30の下部に設けられ、水が溜まる位置に冷却ガス吹出口33が位置する。筐体3の前部に溜まった水Wが、冷却ガスGによって押し出されるように、冷却ガス吹出口33から容易に排出される。冷却ガス吹出口33を前側壁30の下端に設け、冷却ガス吹出口33の底部を筐体3の底板34上面と一続きに形成すれば、水はより容易に筐体3外部へ排出される。
【0046】
また、冷却ガス吹出口33から筐体3外部のポケット5内に排出された水を、連通孔54によってポケット5の外へさらに排出することができる。連通孔54を側方ガイド壁52に設けることでポケット5による冷却ガスGのエアカーテン効果を低下させることなく、水の排出が可能となり、排出された水が撮影窓31へ飛散することも防ぐことが可能である。
【0047】
従来、溶融スラグに対して作業を行う重機等を操作する際のモニタや溶融スラグの監視に用いられるカメラは、溶融スラグXから十分に離れた位置、例えば
図1のZの位置に設置された。本実施形態では、カメラ2はカメラ冷却装置1によって上記のように熱及び粉塵から守られるため、作業者Hよりも溶融スラグXに近い位置に設けることが可能である。従来よりも溶融スラグXに近い位置から画像を撮影することが可能となるため、その画像をもとに重機を操作する場合、高低の感覚が掴みやすく操作しやすい。また、本実施形態のカメラ冷却装置1は、通常50℃まで温度上昇するような外部環境において、筐体3の温度を約30℃、筐体3内部の温度を約23℃まで冷却することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 カメラ冷却装置
2 カメラ
2a 配線
2b レンズ
3 筐体
4 配管
4a ガス流入部
5 ポケット
6 流量調整弁
7 圧力調整装置
8 屋根体
9 制御盤
10 回動部材
30 前側壁
31 撮影窓
32 冷却ガス流入口
33 冷却ガス吹出口
34 底板
51 前方ガイド壁
52 側方ガイド壁
53 底壁
54 連通孔
G 冷却ガス
H 作業者
W 水
X 溶融スラグ
Y 支持体