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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093656
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240702BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210175
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】日下 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】山本 広和
(72)【発明者】
【氏名】船場 悠斗
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050BB05
3D050CC02
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】保管場所のスペースを有効に利用することができるようにしたカートを提供する。
【解決手段】キャスタと複数段の分割載置部6を内側に備える左右一対のカートユニット2、2における左右の分割載置部6、6により複数段の物品載置部が構成され、左右のカートユニット2、2同士は連結部材3により前後方向に相対移動可能かつ左右に所定寸法離間するように連結され、左右の分割載置部6、6には、左右のカートユニット2、2を前方と後方とに相対移動させたとき折り畳み幅の異なる複数位置に保持可能な保持手段17、14、15が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスタと複数段の分割載置部を内側に備える左右一対のカートユニットにおける左右の前記分割載置部により複数段の物品載置部が構成され、左右の前記カートユニット同士は連結部材により前後方向に相対移動可能かつ左右に所定寸法離間するように連結され、左右の前記分割載置部には、左右の前記カートユニットを前方と後方とに相対移動させたとき折り畳み幅の異なる複数位置に保持可能な保持手段が設けられていることを特徴とするカート。
【請求項2】
前記複数位置は、左右の前記カートユニットが自立可能な折畳み幅の第1の折り畳み位置とそれよりも折畳み幅の小さな第2の折り畳み位置であることを特徴とする請求項1に記載のカート。
【請求項3】
前記保持手段は、一方の前記分割載置部の前後方向の中央部に上下方向に回動可能に設けられた係止部材と、他方の前記分割載置部の前部側と後部側とに左右方向の位置を異ならせて設けられ、前記係止部材が係止される被係止部とからなることを特徴とする請求項1に記載のカート。
【請求項4】
前記係止部材は、左右方向の一端部が回動可能に枢支されていることを特徴とする請求項3に記載のカート。
【請求項5】
前記被係止部は、前記係止部材の前後移動を規制して上方から嵌合される係合溝であることを特徴とする請求項4に記載のカート。
【請求項6】
左右の前記分割載置部の前後方向の中央部の内側面には、互いに内向きに突出する凸部が形成されるとともに、左右の前記分割載置部の前部側と後部側の内側面には、左右の前記カートユニットの相対移動時に前記凸部が進入するとともに、左右の前記カートユニットが前記第1の折畳み位置及び第2の折畳み位置に達したとき前記左右の凸部の少なくとも一部が当接可能な奥行きの異なる二つの凹部が平面視点対称的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のカート。
【請求項7】
他方の前記分割載置部の前後方向の中央部には、前記係止部材が上方から嵌合され、左右の前記カートユニットを使用状態に保持可能な係合溝が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能なカートに関する。
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においては、バックヤードに保管された商品を店内に運搬して品出しする際、例えば特許文献1に記載されているようなカートが用いられる。特許文献1のカートは折り畳みもネスティングもできないため、複数のカートを保管する保管場所のスペースが大となる。このため、都市型の小型店舗など、バックヤードを大きく確保できない場合、商品の在庫量を増やせないなど、保管場所のスペースを有効に利用することができない。
【0003】
このような問題を解決するものとして、例えば特許文献2には、平面視ほぼZ字状に形成された下部フレームと上部フレームの四隅部に取り付けられた4本の支柱に、複数段の支持棚を対向状に取り付けたネスティング可能なカートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-33581号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】実願平3-33436号(実開平6-51049号)のCD-ROM(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されているカートにおいては、複数のカートをネスティングして保管することができるので、特許文献1のカートに比して保管場所のスペースを小さくできる。しかしながら、折り畳み可能な構造になってはいないので、カート単体の左右幅はもとより、ネスティング時の左右寸法も大となり、バックヤードを大きく確保できない特に都市型の小型店舗などにおいて保管場所のスペースを有効に利用できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、保管場所のスペースを有効に利用することができるようにしたカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のカートは、
キャスタと複数段の分割載置部を内側に備える左右一対のカートユニットにおける左右の前記分割載置部により複数段の物品載置部が構成され、左右の前記カートユニット同士は連結部材により前後方向に相対移動可能かつ左右に所定寸法離間するように連結され、左右の前記分割載置部には、左右の前記カートユニットを前方と後方とに相対移動させたとき折り畳み幅の異なる複数位置に保持可能な保持手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右のカートユニットを折り畳み幅の異なる複数の形態に折り畳むことができるので、店舗等の広さに対応してカートの保管場所のスペースを有効に利用することができる。
【0008】
前記複数位置は、左右の前記カートユニットが自立可能な折畳み幅の第1の折り畳み位置とそれよりも折畳み幅の小さな第2の折り畳み位置であることを特徴としている。
この特徴によれば、複数のカートを自立可能に折り畳んで保管したり、最小限に折り畳んで保管するなど、保管場所の広さに対応して選択的に折り畳むことができる。
【0009】
前記保持手段は、一方の前記分割載置部の前後方向の中央部に上下方向に回動可能に設けられた係止部材と、他方の前記分割載置部の前部側と後部側とに左右方向の位置を異ならせて設けられ、前記係止部材が係止される被係止部とからなることを特徴としている。
この特徴によれば、左右のカートユニットを前方及び後方に相対移動させて、一方の分割載置部に設けられた係止部材を他方の分割載置部の左右方向の位置の異なる被係止部に係止させるだけで、左右のカートユニットを折り畳み幅の異なる複数の形態に容易に折り畳むことができる。
【0010】
前記係止部材は、左右方向の一端部が回動可能に枢支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、係止部材は枢支部を中心として自重により下向きに回動するようになるので、被係止部に上方から自動的に係止させることができるとともに、被係止部から簡単に離脱することもない。
【0011】
前記被係止部は、前記係止部材の前後移動を規制して上方から嵌合される係合溝であることを特徴としている。
この特徴によれば、係合溝に係止部材が嵌合されると左右のカートユニットの前後方向の相対移動も規制されるので、左右のカートユニットを折り畳み幅の異なる複数の形態において確実に保持することができる。
【0012】
左右の前記分割載置部の前後方向の中央部の内側面には、互いに内向きに突出する凸部が形成されるとともに、左右の前記分割載置部の前部側と後部側の内側面には、左右の前記カートユニットの相対移動時に前記凸部が進入するとともに、左右の前記カートユニットが前記第1の折畳み位置及び第2の折畳み位置に達したとき前記左右の凸部の少なくとも一部が当接可能な奥行きの異なる二つの凹部が平面視点対称的に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右のカートユニットを前方及び後方に相対移動させると、左右の分割載置部の凸部がそれぞれ奥行きに異なる凹部に進入することにより、左右のカートユニットを折り畳み幅の異なる第1の折畳み位置と第2の折畳み位置とに折り畳むことができる。また、凸部の一部が奥行きの異なる凹部にそれぞれ当接すると、左右の分割載置部が互いに接近する方向に移動するのが規制され、左右のカートユニット同士の間隔が保持されるので、係止部材が被係止部より離脱するのが防止され、左右のカートユニットを折り畳み幅の異なる2位置に確実に保持することができる。
【0013】
他方の前記分割載置部の前後方向の中央部には、前記係止部材が上方から嵌合され、左右の前記カートユニットを使用状態に保持可能な係合溝が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右のカートユニットを折り畳んで保持するための係止部材を利用し、これを他方の分割載置部の中央部の係合溝に上方から係止させるたけでカートユニットを容易に使用状態に保持することができる。従って、カートユニットを使用状態に保持するための部材を別途設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例におけるカートの使用状態の斜視図である。
図2】同じく拡大平面図である。
図3】カートを折り畳んだ状態を示し、(a)は自立可能な第1の折り畳み位置に折り畳んだときの拡大平面図、(b)は第1の折り畳み位置よりも折り畳み幅の小さな第2の折畳み位置に折り畳んだときの拡大平面図である。
図4】係止部材の拡大斜視図である。
図5図2のA-A線拡大縦断面図である。
図6図3(a)のB-B線拡大縦断面図である。
図7図3(b)のC-C線拡大縦断面図である。
図8】第2の折り畳み位置に折り畳んだ複数台のカートを連結具により連結した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るカートを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
実施例に係るカートにつき、図1から図8を参照して説明する。実施例に係るカート1は、左右一対のカートユニット2、2の上部と下部同士を、前後方向に相対移動可能かつ左右に所定寸法離間するように4本の連結部材3により連結して構成されている。
【0017】
左右のカートユニット2、2は、それぞれ下端にキャスタ4が取付けられた前後一対の金属製の管状支柱5、5と、前後の管状支柱5、5により支持された上下複数段(本実施例では8段)の合成樹脂製の分割載置部6とを備えている。カートユニット2、2における左右に対向する分割載置部6、6により、例えば店舗等の商品を収納して運搬するトレー部材Tを載置可能な複数段の物品載置部7が構成されている(図2参照)。
【0018】
左右の分割載置部6、6は次のように構成されている。なお、各段の左右の分割載置部6は同一形状であるので、以下においては最上段のものについてのみ説明する。図2及び図5に示すように、左右の分割載置部6、6の対向部には、前後の端部を除いて下方に凹入する段差部6a、6aが内向きに形成され、トレー部材Tは左右の段差部6a、6aに前後左右方向への移動が規制されて載置されるようになっている。
【0019】
分割載置部6、6における前後両端部の外側部には、円筒部6b、6bが一体的に形成され、この円筒部6b、6bを管状支柱5に嵌挿することにより、各段の左右の分割載置部6、6が管状支柱5に回動可能に連結されている。上下に対向する分割載置部6、6間の管状支柱5には、連結部材3の装着部を除いて合成樹脂製の間隔保持管8が遊嵌され、各段の分割載置部6、6は上下の間隔が保たれて管状支柱5に回動可能に連結されている。連結部材3、3の装着部の管状支柱5には、連結部材3の両端部に固着された金属パイプよりなる管材9、9が回転自在に嵌装されている。連結部材3と一体をなす管材9は、前後左右4本の管状支柱5の上部と下部、すなわちこの実施例では、キャスタ4と最下段の分割載置部6間の管状支柱5及び5段目と6段目の分割載置部6、6間の管状支柱5に回転自在に嵌装されている(図1参照)。これにより左右のカートユニット2、2は、4本の連結部材3により前後方向に相対移動可能かつ接近する方向に折り畳み可能に連結されている。
【0020】
左右の分割載置部6、6の最上段の円筒部6b、6bの上端部には、キャップ10が嵌合され、このキャップ10は、管状支柱5の上端部に圧嵌された雌ねじ部材に上方から螺合されるボルト(いずれも図示略)により固定されている。このキャップ10により全ての間隔保持管8と管材9及び全段の分割載置部6、6が管状支柱5から抜け外れるのが防止されている。
【0021】
図2に示すように、左右の分割載置部6、6は、平面視において点対称をなすように形成され、分割載置部6、6を左右勝手違いで使用できるようになっている。分割載置部6、6における段差部6a、6aの対向面の前部側と後部側には、奥行きの異なる二つの凹部、すなわち奥行きの小さな小凹部11と、これよりも奥行きの大きな大凹部12とが平面視において点対称をなすように形成されている。段差部6a、6aにおける小凹部11と大凹部12との間の前後方向の中央部には、カートユニット2、2を前後方向に相対移動させたとき、互いに左右の小凹部11と大凹部12とに進入可能な平面視山形状の内向きの凸部13、13が点対称的に形成されている。
【0022】
右方の分割載置部6における小凹部11の前部側と左方の分割載置部6における小凹部11の後部側とには、上下両方向と内方に開口する平面視内向きコ字状の第1係合溝14、14(保持手段)が点対称的に形成されている。右方の分割載置部6の第1係合溝14は後述する係止部材17(保持手段)が嵌合される係合溝として使用されるもので、左右のカートユニット2、2が自立可能な折畳み幅の第1の折り畳み位置まで相対移動したとき、第1係合溝14に係止部材17が嵌合されるようになっている。
【0023】
左右の分割載置部6、6における高さの高い側枠部6c、6cの後端部と前端部の外方寄りには、それぞれ下方に斜め内向きに凹入(図7参照)するとともに、上方と内方に開口する平面視内向きコ字状の第2係合溝15、15(保持手段)が、円筒部6bの外周面と連続するように点対称的に形成されている。第2係合溝15、15は、左右のカートユニット2、2の第1係合溝14、14よりも左右方向外側に形成されている。右方の分割載置部6の第2係合溝15は係止部材17が嵌合される係合溝として使用されるもので、左右のカートユニット2、2が上述した第1の折り畳み位置よりも折畳み幅の小さな第2の折り畳み位置まで相対移動したとき、第2係合溝15に係止部材17が嵌合されるようになっている。
【0024】
左右の分割載置部6、6の前後方向の中央部において凸部13、13には、上方と内方に開口する有底かつ平面視内向きコ字状の第3係合溝16、16が対向状に形成されている。左方の第3係合溝16内には、左右方向を向くとともに平面形が板状をなす係止部材17の一端部(左端部)が、凸部13と係止部材17とに形成された前後方向を向く軸孔18(図5参照)にピン19を挿入することにより上下に回動可能に枢支されている(図2参照)。なお、係止部材17は一端部が枢支されているので、上向きに回動させた係止部材17から手を離しても自重により下向きに回動することができる。
【0025】
右方の分割載置部6の第3係合溝16は、左右のカートユニット2、2を使用状態(図1図2の状態)に保持可能な係合溝として使用されるもので、使用状態において係止部材17の他端部(右端部)が上方より嵌合されるようになっている。なお、第1係合溝14、第2係合溝15及び第3係合溝16の前後方向の溝幅は、係止部材17が上方から比較的容易に嵌合されるようにその前後幅よりも僅かに大きく形成されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、係止部材17は、左右両側部に水平部17a、17aを有するとともに、中間部に両水平部17aと連続する下向きの係止部17bを有し、左右寸法は、左右の第3係合溝16、16の奥端間の離間寸法とほぼ等しい長さに形成されている。両水平部17aの厚さは、第3係合溝16、16の深さとほぼ同等に形成され、両第3係合溝16に嵌合されたとき段差部6aとほぼ同一面となるようになっている。係止部17bは、右方の第1係合溝14と第2係合溝15とに上方から嵌合されて係止されるもので、その左端面は垂直をなすとともに下面は水平をなし、右側部の下面は外方に向かって斜め上向きに傾斜する傾斜面となっている。左方の水平部17aにおける枢支部よりも外方の端部には、外端から下面に向かって円弧状になだらかに湾曲する面取部17cが形成されている。
【0027】
次に、図3図6及び図7を参照してカート1を折り畳む際の要領について説明する。まず、図2に示すカート1の使用状態において各段の係止部材17を上向きに回動し、右方の分割載置部6の第3係合溝16から離脱させて左右のカートユニット2、2を前後方向に相対的に移動できる状態とする。
【0028】
この状態で、図3(a)及び図6に示すように、左方のカートユニット2を後方に移動させ(右方のカートユニット2を前方に移動させてもよい)、左方の分割載置部6の凸部13が右方の分割載置部6の小凹部11に、右方の分割載置部6の凸部13が左方の分割載置部6の小凹部11にそれぞれ進入すると、左右の分割載置部6、6の凸部13、13が左右の段差部6a、6aの内側面に当接(または近接)するとともに、係止部材17が右方の分割載置部6の第1係合溝14の上方まで移動する。この状態で係止部材17を下向きに回動すると、係止部17bの下部の左角部が第1係合溝14に上方から嵌合して係止されるようになる。
【0029】
この際、前述したように係止部材17は一端部が枢支され、自重により下向きに回動することができるので、係止部材17を第3係合溝16から離脱させてから手を離しても、係止部17bを第1係合溝14に自動的に嵌合させることができる。すなわち、左方のカートユニット2を後方に移動させると、係止部17bの下面が小凹部11に沿って移動することにより係止部材17は上向きに回動させられ、第1係合溝14の上方に達したとき下向きに回動して自動的に嵌合されるようになる。
【0030】
係止部材17が第1係合溝14に嵌合して係止されると、左右のカートユニット2、2の前後方向への相対移動が規制され、左右のカートユニット2、2は自立可能な折畳み幅の第1の折り畳み位置に保持される。また、左右の凸部13、13と段差部6a、6aとの内側面同士が互いに当接することにより、左方のカートユニット2が右方のカートユニット2方向に移動するのが規制され、左右のカートユニット2同士の間隔が保持される。従って、係止部材17の係止部17bが第1係合溝14から離脱するのが防止され、左右のカートユニット2、2を自立可能な第1の折り畳み位置に確実に保持することができる。なお、左右の分割載置部6の凸部13、13と段差部6a、6aとの内側面同士が当接する代わりに、左右の分割載置部6の凸部13の内側面が左右の小凹部11、11の内側面にそれぞれ当接するように、凸部13または小凹部11の形状を変更してもよい。
【0031】
図3(b)及び図7に示すように、左方のカートユニット2を前方に移動させ(右のカートユニット2を後方に移動させてもよい)、左方の分割載置部6の凸部13が右方の分割載置部6の大凹部12に、右方の分割載置部6の凸部13が左方の分割載置部6の大凹部12にそれぞれ進入し、左右の分割載置部6、6の凸部13、13の内側面が大凹部12、12の内側面に当接(または近接)すると、係止部材17が右方の分割載置部6の第2係合溝15の上方まで移動するので、係止部材17の係止部17bの下端部を第2係合溝15に上方から自動的に嵌合して係止させることができる。
【0032】
この際、係止部材17の係止部17bの下面が高さの高い側枠部6cに沿って移動することにより、係止部材17は上向きに大きく回動させられ、枢支部の外方に形成された面取部17cの先端部の下面が第3係合溝16の底面を強く押圧して僅かに下方に弾性変形させる。これにより係止部材17には枢支部を中心とする下向きの反力が作用し、第2係合溝15内に強く係止されるため、係止部材17の係止部17bが第2係合溝15より離脱するのが防止される。
【0033】
左右の凸部13、13が左右の大凹部12、12にそれぞれ進入し、係止部材17が第2係合溝15に自動的に嵌合して係止されることにより、左右のカートユニット2、2の前後方向への相対移動が規制され、左右のカートユニット2、2は、上述した第1の折り畳み位置よりも折り畳み幅の小さな第2の折り畳み位置に保持され、コンパクトに折り畳むことができる。また、左右の凸部13、13が大凹部12、12の内側面に当接することにより、左右のカートユニット2、2同士が互いに接近する方向に移動するのが規制され、両カートユニット2、2同士の間隔が保持される。従って、係止部材17の係止部17bが第2係合溝15から離脱するのが防止され、左右のカートユニット2、2を第2の折り畳み位置に確実に保持することができる。なお、係止部材17及びそれが自動的に嵌合される第1及び第2係合溝14、15の前後幅は比較的大とされているので、第1及び第2の折り畳み位置での係止部材17による保持力を大きくすることができる。
【0034】
第1及び第2の折り畳み位置に保持されたカート1を使用状態に戻す場合は、係止部材17を第1及び第2係合溝14、15から離脱させ、係止部材17と第3係合溝16とが対向する位置まで左右のカートユニット2を相対移動させて、係止部材17を第3係合溝16に自動的に嵌合させればよい。
【0035】
第2の折り畳み位置に折り畳まれたカート1は、図8に示すように複数台連結することができる。すなわち、左右の分割載置部6,6の側枠部6c、6cの前部側と後部側に2個ずつの嵌合孔20、20を設け、第2の折り畳み位置に折り畳まれた複数台のカート1同士を隣接させた状態で、それらの前部側と後部側の嵌合孔20、20とに、連結具21の下面に突設された前後左右4個の連結軸(図示略)を上方より挿脱可能に嵌合する。これにより、折り畳まれた複数台のカート1同士が連結され、カート1を複数台まとめて効率よく運搬したり、個々のカート1を転倒が防止された状態で保管したりすることができる。なお、カートユニット2、2同士は前後方向にずれて折り畳まれるので、複数台のカート1をネスティングして保管することもできる。
【0036】
以上説明したように、実施例に係るカート1においては、左右のカートユニット2、2を折り畳み幅の異なる二つの形態、すなわち自立可能な第1の折り畳み位置とそれよりも折畳み幅の小さな第2の折り畳み位置とに選択的に折り畳むことができるので、店舗等の広さに対応してカートの保管場所のスペースを有効に利用することができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0038】
例えば、前記実施例では、左右の分割載置部6、6を平面視において点対称をなすものとしたが、左方の分割載置部6に形成された第1係合溝14と第2係合溝15は本実施例では使用しないので、左方の分割載置部6は第1係合溝16と第2係合溝15を省略した形状としてもよい。
【0039】
また、前記実施例では、第1係合溝14と第2係合溝15を備えて、左右のカートユニット2、2を前方と後方とに相対移動させたとき折り畳み幅の異なる2位置に保持可能な構成であるが、これに限らず、係合溝を3つ以上の複数備える構成とすることで、左右のカートユニット2、2を前方と後方とに相対移動させたとき折り畳み幅の異なる複数の形態に折り畳むことができるようにしてもよい。
【0040】
また、左右の分割載置部6、6の段差部6aには、左右の凸部13、13がそれぞれ進入して当接可能な小凹部11と大凹部12とが点対称的に形成されているが、小凹部11と大凹部12とを省略して左右の分割載置部6、6の段差部6a、6aを平面視において平行をなすように若干長めに形成してもよい。この際には、例えば自立可能な第1の折り畳み位置においては左右の段差部6a同士が所要寸法離間し、第2の折畳み位置では段差部6a同士が互いに当接するようにすればよい。また、第1の折り畳み位置において左右のカートユニット2、2同士の間隔が保持されるように、例えば係止部材17の下面に下向き凸部を設けるとともに、第1係合溝14を凸部が嵌合される嵌合孔に変更するなどして、係止部材17が左右方向に移動するのを規制するようにすればよい。
【符号の説明】
【0041】
1 カート
2 カートユニット
3 連結部材
4 キャスタ
6 分割載置部
6a 段差部
6c 側枠部
7 物品載置部
8 間隔保持管
11 小凹部
12 大凹部
13 凸部
14 第1係合溝(保持手段・係合溝)
15 第2係合溝(保持手段・係合溝)
16 第3係合溝(係合溝)
17 係止部材(保持手段)
17a 軸水平部
17b 軸係止部
17c 軸面取部
18 軸孔
19 ピン
20 嵌合孔
21 連結具
T トレー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8