IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SOMPOケア株式会社の特許一覧

特開2024-9366自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム
<>
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図1
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図2
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図3
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図4
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図5
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図6
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図7
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図8
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図9
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図10
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図11
  • 特開-自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009366
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/70 20180101AFI20240112BHJP
【FI】
G16H50/70
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204085
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2022032939の分割
【原出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】519441774
【氏名又は名称】SOMPOケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】平沼 直樹
(72)【発明者】
【氏名】河畑 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】増山 緑
(72)【発明者】
【氏名】麻植 有希子
(57)【要約】
【課題】自立支援に関する技術を改善する。
【解決手段】情報処理装置が実行する自立支援方法であって、対象者のヘルスケアスコアを決定することと、前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、又は、前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することとを含み、前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する自立支援方法であって、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を含み、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる、自立支援方法。
【請求項2】
情報処理装置が実行する自立支援方法であって、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を含み、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる、自立支援方法。
【請求項3】
請求項2に記載の自立支援方法であって、
前記グループは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態の各スコアにより定められる、自立支援方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自立支援方法であって、
前記第1所定期間後の健康状態は、前記第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目を含む、自立支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載の自立支援方法であって、
前記第1所定期間後の健康状態は、前記機能項目の悪化確率を含む、自立支援方法。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の自立支援方法であって、さらに
前記グループの健康状態の遷移実績に基づき定まる、前記対象者の健康状態の悪化を抑制する少なくとも1つの介入提案を提示することを含む、自立支援方法。
【請求項7】
請求項2、3又は6のいずれかに記載の自立支援方法であって、さらに
前記グループの健康状態の遷移実績に基づき定まる、健康状態の悪化を抑制した少なくとも1つの過去事例を提示することを含む、自立支援方法。
【請求項8】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象者のヘルスケアスコアを決定し、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測し、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示し、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる情報処理装置。
【請求項9】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象者のヘルスケアスコアを決定し、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測し、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示し、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の情報処理装置と、端末装置とを含むシステムであって、
前記情報処理装置は、前記端末装置に前記第1所定期間後の健康状態を送信し、
前記端末装置は、受信した前記第1所定期間後の健康状態を出力するシステム。
【請求項11】
コンピュータに、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を実行させるプログラムであって、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められるプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を実行させるプログラムであって、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自立支援方法、情報処理装置、システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自立支援に関する技術が知られている。例えば特許文献1には、高齢者等の対象者が自立して生活できるかどうかをより短時間で評価できるように支援する評価支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-60930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象者の健康状態の悪化を抑える観点、及び自立した生活を促進する観点では対象者の健康状態の将来予測の情報が有用である。しかしながら、特許文献1の技術は対象者が自立して生活できるかどうかの評価の効率化に着目したものであり、対象者の健康状態の将来予測等については十分に考慮されていなかった。このように自立支援に関する技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、自立支援に関する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る自立支援方法は、
情報処理装置が実行する自立支援方法であって、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を含み、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
又は、
情報処理装置が実行する自立支援方法であって、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を含み、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
【0007】
また本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象者のヘルスケアスコアを決定し、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測し、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示し、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
又は、
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象者のヘルスケアスコアを決定し、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測し、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示し、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
【0008】
また本開示の一実施形態に係るプログラムは、
コンピュータに、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアに基づき、機械学習によって作成された学習モデル、重回帰分析、又はカルマンフィルタを用いた予測処理により、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を実行させ、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
又は、
コンピュータに、
対象者のヘルスケアスコアを決定することと、
前記ヘルスケアスコアにより定まる前記対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、前記対象者の第1所定期間後の健康状態を予測することと、
予測した前記第1所定期間後の健康状態を提示することと
を実行させ、
前記ヘルスケアスコアは、前記対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態、又はADL、又は自立状態に基づき定められる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、自立支援に関する技術を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】対象者データベースの一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図6】端末装置により出力されるユーザインターフェースの一例を示す図である。
図7】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
図8】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
図9】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
図10】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
図11】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
図12】端末装置により出力されるユーザインターフェースの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る自立支援システム1について、図面を参照して説明する。
【0012】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係る自立支援システム1の概要及び構成を説明する。
【0014】
本実施形態に係る自立支援システム1は、複数の端末装置10と、情報処理装置20と、を備える。複数の端末装置10と、情報処理装置20とは、例えば移動体通信網及びインターネット等を含むネットワーク30と通信可能に接続されている。
【0015】
複数の端末装置10は、各ユーザ(例えば、介護福祉士、介護士、ケアマネージャー等)によって使用される任意の装置である。例えばスマートフォン若しくはタブレット端末等の汎用の電子機器、又は専用の電子機器が、端末装置10として採用可能である。なお図1において自立支援システム1が備える端末装置10が3台である例を示しているが、これに限られない。自立支援システム1は、3台未満の端末装置10を備えてもよく、4台以上の端末装置10を備えてもよい。
【0016】
情報処理装置20は、例えばデータセンタ等に設置されるサーバ装置である。例えば情報処理装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。情報処理装置20は、ネットワーク30を介して端末装置10と通信可能である。なお図1において自立支援システム1が備える情報処理装置20が1台である例を示しているが、これに限られない。自立支援システム1は、2台以上の情報処理装置20を備えてもよい。
【0017】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置20は、要介護者等の対象者のヘルスケアスコアを決定する。ヘルスケアスコアは、対象者の活動機能、認知状態、及び栄養状態に基づき定められる。なお本実施形態において要介護者とは、日常生活において介護又は支援を必要とする者である。また本実施形態において自立支援システム1は、対象者が入居する入居施設において利用されるものとして説明する。
【0018】
また情報処理装置20は、ヘルスケアスコアに基づき対象者の第1所定期間後の健康状態を予測する。ここで健康状態は、対象者の活動機能の状態、認知機能の状態、及び栄養状態を含む。第1所定期間は例えば3ヶ月である。また情報処理装置20は、ヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、対象者の第2所定期間後の健康状態を予測する。第2所定期間は例えば12ヶ月である。また情報処理装置20は、第1所定期間後の健康状態と第2所定期間後の健康状態とに基づく予測情報を管理者等のユーザに提示する。なお第1所定期間及び第2所定期間はそれぞれ3ヶ月及び12ヶ月に限られず、任意の期間であってよい。
【0019】
このように、本実施形態によれば、情報処理装置20が、対象者のヘルスケアスコアを決定し、ヘルスケアスコアに基づく第1所定期間後の健康状態及び対象者の第2所定期間後の健康状態を予測して、予測情報を提示する。つまり本実施形態によれば、対象者のヘルスケアスコアを用いて、複数の異なる観点からの予測情報を提示できるという点で、自立支援に関する技術が改善される。
【0020】
次に、自立支援システム1の各構成について詳細に説明する。
【0021】
(端末装置の構成)
図2に示されるように、端末装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、出力部15とを備える。
【0022】
制御部11には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは、CPU(central processing unit)若しくはGPU(graphics processing unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(field-programmable gate array)又はASIC(application specific integrated circuit)である。制御部11は、端末装置10の各部を制御しながら、端末装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0023】
記憶部12には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは、例えば、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)である。RAMは、例えば、SRAM(static random access memory)又はDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、端末装置10の動作に用いられるデータと、端末装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0024】
通信部13には、少なくとも1つの外部通信用インターフェースが含まれる。通信用インターフェースは、有線通信又は無線通信のいずれのインターフェースであってよい。有線通信の場合、通信用インターフェースは例えばLAN(Local Area Network)インターフェース、USB(Universal Serial Bus)である。無線通信の場合、通信用インターフェースは例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th generation)、若しくは5G(5th generation)などの移動通信規格に対応したインターフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインターフェースである。通信部13は端末装置10の動作に用いられるデータを受信し、また端末装置10の動作によって得られるデータを送信する。
【0025】
入力部14には、少なくとも1つの入力用インターフェースが含まれる。入力用インターフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンである。また入力用インターフェースは、例えば、音声入力を受け付けるマイクロフォン、又はジェスチャー入力を受け付けるカメラ等であってもよい。入力部14は、端末装置10の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部14は、端末装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として端末装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0026】
出力部15には、少なくとも1つの出力用インターフェースが含まれる。出力用インターフェースは、例えば、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等である。ディスプレイは、例えば、LCD(liquid crystal display)又は有機EL(electro luminescence)ディスプレイである。出力部15は、端末装置10の動作によって得られるデータを表示出力する。出力部15は、端末装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として端末装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0027】
端末装置10の機能は、本実施形態に係るプログラムを、端末装置10に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、端末装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、端末装置10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを端末装置10として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って端末装置10の動作を実行することにより端末装置10として機能する。
【0028】
本実施形態においてプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(digital versatile disc)又はCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを外部サーバのストレージに格納しておき、外部サーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0029】
端末装置10の一部又は全ての機能が、制御部11に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、端末装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0030】
(情報処理装置の構成)
【0031】
図3に示されるように、情報処理装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備える。
【0032】
制御部21には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部21は、情報処理装置20の各部を制御しながら、情報処理装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0033】
記憶部22には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、情報処理装置20の動作に用いられるデータと、情報処理装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0034】
本実施形態において記憶部22は、対象者データベース220を記憶する。図4に対象者データベース220の一例を示す。例えば対象者データベース220は、対象者ID、属性情報、活動機能情報、認知機能情報、栄養状態情報、及びヘルスケアスコアを含む。
【0035】
対象者IDは、対象者を一意に識別する情報である。例えば対象者IDは、介護施設又は高齢者施設等の入居施設の入居者に付与された番号、記号、又はこれらの組み合わせ等であってもよい。なお本実施形態において対象者は、入居施設の入居者である例について説明するが、対象者はこれに限られない。例えば対象者は、訪問介護を受ける者であってもよい。
【0036】
属性情報は、対象者の属性を示す任意の情報である。例えば属性情報は、対象者の性別、生年月日、年齢、要介護度、部屋番号等を含む。
【0037】
活動機能情報は、対象者の活動機能に係る情報である。対象者の活動機能は、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)に係る機能を含む。かかる機能は、具体的には移動自立、入浴、着替え、整容等を含む。例えば活動機能情報は、これらの各機能の状態を示すスコアにより表される。かかるスコアは例えば0~55の数値であり、数値が高いほど活動機能が高いことを示す。
【0038】
認知機能情報は、対象者の認知機能に係る情報である。対象者の認知機能は、コミュニケーション、意思決定、理解、短期記憶、長期記憶等を含む。例えば認知機能情報は、これらの各機能の状態を示すスコアにより表される。かかるスコアは例えば0~25の数値であり、数値が高いほど認知機能が高いことを示す。
【0039】
栄養状態情報は、対象者の栄養状態に係る情報である。対象者の栄養状態は、食事内容、体重、食欲、食事の満足感等を含む。例えば栄養状態情報は、これらの各項目の状態を示すスコアにより表される。かかるスコアは例えば0~20の数値であり、数値が高いほど栄養状態が良いことを示す。
【0040】
ヘルスケアスコアは、対象者の健康状態をADL等の情報を元に100段階の値で表したスコアである。本実施形態においてヘルスケアスコアは、対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態に基づき定められる。例えばヘルスケアスコアは、上述の活動機能、認知機能、及び栄養状態のスコアを合算した数値により定められてもよい。なおヘルスケアスコアは、対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態のスコアにそれぞれ重み付けをして合算した値により定められてもよい。なおヘルスケアスコアの決定方法はこれに限られない。例えばヘルスケアスコアは、対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態の他に、又はこれらの少なくとも一部に代えて、対象者の自立状態を示す指標に基づき定めてもよい。かかる指標は、例えば日常生活自立度等を含む。
【0041】
対象者データベース220のうち活動機能情報、認知状態情報、及び栄養状態情報は、複数の端末装置10又は情報処理装置20へのユーザ入力に基づき作成又は編集される。
活動機能、認知状態、及び栄養状態は、対象者の介護記録、及びアセスメント情報に基づき定められてもよい。具体的には、対象者の介護記録、及びアセスメント情報から抽出した96の項目に基づき、活動機能、認知状態、及び栄養状態が定められる。なおかかる情報のうちの少なくとも一部のデータは、対象者が保持するウェアラブルデバイス等の計測装置により自動的に作成又は編集されてもよい。例えば少なくとも一部のデータは、医療情報又は各種検出デバイス等により取得可能な情報(例えば睡眠に関する情報、動画から得られる身体的機能の情報、音声から得られる精神的機能の情報等)に基づき定められてもよい。なお睡眠に関する情報は、睡眠時の呼吸数、心拍数、睡眠状態、覚醒、起き上がり、離床動作等を含んでもよい。対象者データベース220のヘルスケアスコアは、対応するレコード(対象者の活動機能情報、認知状態情報、及び栄養状態情報)に基づいて算出される。
【0042】
通信部23には、少なくとも1つの外部通信用インターフェースが含まれる。通信用インターフェースは、有線通信又は無線通信のいずれのインターフェースであってよい。有線通信の場合、通信用インターフェースは例えばLANインターフェース、USBである。無線通信の場合、通信用インターフェースは例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインターフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインターフェースである。通信部23は、情報処理装置20の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0043】
情報処理装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、情報処理装置20の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、情報処理装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを情報処理装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って情報処理装置20の動作を実行することにより情報処理装置20として機能する。
【0044】
本実施形態においてコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから送信されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、外部サーバからプログラムを受信する度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。外部サーバからコンピュータへのプログラムの送信は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP(application service provider)型のサービスによって処理を実行してもよい。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0045】
情報処理装置20の一部又は全ての機能が、制御部21に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、情報処理装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0046】
(情報処理装置の動作)
図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の動作について説明する。図5は本実施形態に係る情報処理装置20が実行する方法の一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS100:情報処理装置20の制御部21は、対象者のヘルスケアスコアを決定する。ヘルスケアスコアは上述の通り、対象者の活動機能、認知状態、及び栄養状態に基づき決定される。例えば制御部21は対象者データベース220の対象者の活動機能情報、認知状態情報、及び栄養状態情報に基づき、ヘルスケアスコアを算出して決定する。
【0048】
ステップS200:制御部21は、ステップS100にて決定したヘルスケアスコアに基づき対象者の第1所定期間後の健康状態を予測する。かかる予測処理において、機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって作成された学習モデルを用いられてもよい。学習モデルは、例えば決定木をベースとして構築される機械学習モデルであってもよい。決定木をベースとして構築される機械学習モデルは例えば、Light GBM、XGBoost等であるが、これに限られない。あるいは学習モデルは、Convolutional Neural Network(CNN)、Recurrent Neural Network(RNN)、その他のディープラーニング等の機械学習アルゴリズムに基づき生成されるモデルであってもよい。あるいは予測処理において、重回帰分析、カルマンフィルタ等が用いられてもよい。
【0049】
ステップS300:制御部21は、ステップS100にて決定したヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、対象者の第2所定期間後の健康状態を予測する。
【0050】
対象者が属するグループは、ヘルスケアスコアに基づき定められる。具体的には対象者が属するグループは例えば対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態の各スコアに基づき定められる。より具体的には本実施形態では対象者のヘルスケアスコアを構成する活動機能、認知機能、及び栄養状態の各スコアがそれぞれA~Cの3段階で評価され、当該評価に基づき対象者が属するグループが定められる。つまり本実施形態において、対象者が属するグループは、“AAA”~“CCC”の27区分存在する。本実施形態では、各グループの名称はかかる評価A~Cを含む。具体的には例えばグループの名称は、活動機能、認知機能、及び栄養状態の評価を3つ並べた文字列で表される。例えば活動機能、認知機能、及び栄養状態がそれぞれC、A、Bと評価されるグループの名称は、“CAB”である。なお評価方法はこれに限られず、活動機能、認知機能、及び栄養状態は、2段階、又は4段階以上により評価されてもよい。またグループの区分数は27に限られず、28以上であってもよく、26未満であってもよい。なおグループの名称は、上記に限られず“活動C認知A 栄養B”等、評価項目と各評価を並べたものであってもよい。
【0051】
グループの健康状態の遷移実績とは、過去の多数の対象者の健康状態の実績データである。具体的にはグループの健康状態の遷移実績は、ある時点において各対象者が属するグループ(以下、遷移元グループともいう)と、ある時点から第2所定期間後に各対象者が遷移したグループ(以下、遷移先グループともいう)とに基づき定まる。遷移実績は、遷移元グループから遷移先グループへのグループの遷移に係る確率を含む。例えばある100名の対象者の遷移元グループが“CAA”であり、当該対象者の40名の遷移先グループが“CAC”であり、残りの60名の遷移先グループが“CAA”である(つまり同一グループのままである)場合、CABからCACへグループが遷移する確率は40%であり、CABのまま変化しない確率は60%である。制御部21は、かかる遷移実績に基づき対象者の第2所定期間後の健康状態を予測する。換言するとステップS300において、「対象者の第2所定期間後の健康状態を予測する」ことは、制御部21が、対象者のヘルスケアスコアにより定まるグループに係る遷移実績及び遷移確率を特定することを含む。
【0052】
ステップS400:制御部21は、ステップS200にて予測した第1所定期間後の健康状態とステップS300にて予測した第2所定期間後の健康状態とに基づく予測情報を提示する。
【0053】
ステップS500:制御部21は、ステップS100にて決定したヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき対象者の健康状態の悪化を抑制する少なくとも1つの介入提案を提示する。介入提案は、介助量を増やす提案と介助量を減らす提案とを含む。つまり介入提案は、介助量を増やすことにより対象者の健康状態の悪化を抑制する提案と、介助量を減らすことにより対象者の健康状態の悪化を抑制する提案とを含む。
【0054】
ステップS600:制御部21は、ステップS100にて決定したヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき対象者の健康状態の悪化を抑制した少なくとも1つの過去事例を提示する。
【0055】
なお図5に示すフローチャートでは、情報処理装置20が、予測情報、及び介入提案、及び過去事例を提示する例を示すがこれに限らない。情報処理装置20はこのうち、介入提案及び過去事例の少なくともいずれか一方を提示しなくてもよい。つまり情報処理装置20はステップS500及びステップS600のいずれか又は両方をスキップしてもよい。
【0056】
ここでステップS400、ステップS500、及びステップS600における予測情報の提示、介入提案の提示、及び過去事例の提示には、任意の手法が採用可能である。本実施形態では、ユーザインターフェースによりこれらの情報を視覚的に提示する例について説明する。かかるユーザインターフェースは、情報処理装置20又はウェブサーバに、端末装置10がブラウザソフトを介してアクセスすることにより提供されてもよい。あるいは自立支援システム1に係るアプリケーションが端末装置10にインストールされており、端末装置10が当該アプリケーションを介して、情報処理装置20又はアプリサーバと適宜通信することにより、ユーザインターフェースが提供されてもよい。なおこの場合、端末装置10と情報処理装置20、又は端末装置10とウェブサーバとにより、適宜、ユーザに係る認証処理等が行われてもよい。
【0057】
図6は、端末装置10の出力部15により表示されるユーザインターフェースの一例である。図6は、一例として入居者施設のユーザに提供される、ある対象者のユーザインターフェース400が示されている。図6に示されるようにユーザインターフェース400は、オブジェクト410~470を含む。ユーザインターフェース400は、対象者毎の上述の予測情報、介入提案、及び過去事例に係る情報を含む。
【0058】
オブジェクト410は、対象者のヘルスケアスコアに係る情報を含むオブジェクトである。かかるオブジェクトは、対象者の過去及び現在のヘルスケアスコアの推移グラフ等を含んでもよい。図6に示す例では、オブジェクト410は、横軸が年月で縦軸がヘルスケアスコアの値である推移グラフを含む。ユーザはオブジェクト410により、対象者のヘルスケアスコアの現在及び過去の値並びにこれらの推移を容易に把握することができる。
【0059】
図7にオブジェクト410の変形例を示す。図7に示すオブジェクト411は、対象者のヘルスケアスコアに係る情報を含むオブジェクトである。オブジェクト411は、横軸が年月で縦軸がヘルスケアスコアの値である推移グラフを含む。またオブジェクト411は、横軸が年月で縦軸が要介護度である対象者の要介護度の推移グラフを含む。ユーザはオブジェクト410により、対象者のヘルスケアスコアの現在及び過去の値並びにこれらの推移に加えて、対象者の要介護度の現在及び過去の値並びにこれらの推移を容易に把握することができる。
【0060】
オブジェクト420は、対象者の活動機能、認知機能、栄養状態のそれぞれのスコアに係る情報を含むオブジェクトである。かかるオブジェクトは、対象者の過去及び現在の活動機能、認知機能、栄養状態の各スコアの推移グラフ等を含んでもよい。図6に示す例では、オブジェクト420は、横軸が年月で縦軸が活動機能、認知機能、栄養状態のスコアの値である各推移グラフを含む。ユーザはオブジェクト420により、対象者の活動機能、認知機能、栄養状態の各スコアの現在及び過去の値及び推移を容易に把握することができる。
【0061】
オブジェクト430は、対象者の活動機能の各項目に係る情報を含むオブジェクトである。かかるオブジェクトは、対象者の過去及び現在の活動機能の各項目に係る棒グラフ等を含んでもよい。図6に示す例では、オブジェクト430は、活動機能の各項目について過去及び現在の評価値を並べた棒グラフを含む。ユーザはオブジェクト430により、対象者の活動機能の各項目の現在及び過去の評価値を容易に比較することができる。
【0062】
図8にオブジェクト430の変形例を示す。図8に示すオブジェクト431は、対象者の活動機能の各項目に係る情報を含むオブジェクトである。オブジェクト431は、横軸が年月で、縦軸が活動機能の各項目であるヒートマップを含む。ユーザはオブジェクト431により、対象者の活動機能の各項目の過去から現在の評価値の変化を容易に比較することができる。
【0063】
オブジェクト440は、対象者の第1所定期間後の健康状態に基づく予測情報を含むオブジェクトである。かかるオブジェクトは、「維持」又は「悪化」等の予測情報を含んでもよい。図6に示す例では、オブジェクト440は、対象者の第1所定期間後(例えば3ヶ月後)の予測情報として「悪化」を提示している。なおオブジェクト440により示される予測情報はこれに限られず、例えば3段階(例えば「改善」、「維持」、及び「悪化」)又は4段階((例えば「改善」、「維持」、「悪化可能性あり」、及び「悪化」))、又は4段階以上の段階で示される予測情報であってもよい。また係る予測情報は第1所定期間後のヘルスケアスコアの予測値等、数値情報であってもよい。あるいは予測情報は、「維持」、「悪化」等の文字情報と、ヘルスケアスコアの予測値等の数値情報との組み合わせであってもよい。ユーザはオブジェクト440により、対象者の第1所定期間後健康状態の予測を容易に把握することができる。
【0064】
図9にオブジェクト440の変形例を示す。図9に示すオブジェクト441は、対象者の第1所定期間後の健康状態に基づく予測情報を含むオブジェクトである。オブジェクト441は、対象者の情報と、対象者の第1所定期間後(例えば3ヶ月後)の予測情報として「悪化の可能性あり」とを提示している。ユーザはオブジェクト441によっても、対象者の第1所定期間後健康状態の予測を容易に把握することができる。
【0065】
オブジェクト450は対象者の第2所定期間後の健康状態に基づく予測情報を含むオブジェクトである。対象者の第2所定期間後の健康状態は、ヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績により予測される。したがって本実施形態において、オブジェクト450に含まれる情報は「グループ遷移」ともいう。図6に示すオブジェクト450は、グループ遷移として、遷移元グループ、遷移先グループ、及び遷移確率の情報を含む。具体的には図6に示す例では、遷移元グループは“CBB”である。またオブジェクト450は、遷移元グループの説明を含んでもよい。例えば“CBB”の説明は“「認知機能」はやや低下している。「日常の意思決定」に一部介助が、「居室内移動、排泄、ボタンの着脱、食事、入浴動作」全介助が必要な方”である。オブジェクト450に含まれる遷移先グループは、“CBB”と“CBC”である。オブジェクト450は遷移先グループの説明を含んでもよい。“CBB”の説明は上記同様である。“CBC”の説明は“「認知機能」はやや低下している。「日常の意思決定」に一部介助が、「居室内移動、排泄、ボタンの着脱、食事、入浴動作」全介助が必要な方。栄養状態リスクあり”である。1つ目の遷移先グループの候補(CBB)に遷移する遷移確率は44%である。他方で、2つ目の遷移先グループの候補(CBC)に遷移する遷移確率は56%である。ここでかかる遷移確率は、過去の各グループに属する者の健康状態の推移の実績に基づき決定された統計情報である。つまり遷移確率は過去の実績に基づき定まる実績値である。換言するとユーザはオブジェクト450により、対象者の将来の健康状態に関する統計情報を容易に把握することができる。
【0066】
図10にオブジェクト450の変形例を示す。図10に示すオブジェクト451は、対象者の第2所定期間後の健康状態に基づく予測情報を含むオブジェクトである。対象者の第2所定期間後の健康状態は、ヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績により予測される。オブジェクト451はグループ遷移として、遷移元グループ、遷移先グループ、及び遷移確率の情報を含む。オブジェクト451に含まれる遷移元グループの情報は“活動A認知B 栄養A”である。オブジェクト451は、遷移元グループの説明を含んでもよい。例えば“活動A 認知B 栄養A”の説明は“「認知機能」にやや低下が見られるが、「居室内移動、排泄、食事、細かな手の動作」は自立している。「入浴動作、日常の意思決定」は見守りが必要”である。オブジェクト451に含まれる遷移先グループは、“活動A認知B 栄養A”、“活動A 認知B 栄養B”、“退去”等である。オブジェクト451はこれらのグループの説明を含んでもよい。グループ遷移の遷移確率は、図10に示すように“活動A認知B 栄養A”、“活動A 認知B 栄養B”、“退去”に対してそれぞれ49.32%、22.4%、10.01%である。ユーザは当該統計情報により、対象者の健康状態の推移を容易に把握することができる。
【0067】
オブジェクト460は、対象者の第1所定期間後の健康状態に基づく予測情報を含むオブジェクトである。オブジェクト460は、かかる予測情報として対象者の第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目の情報を含む。換言すると予測情報は、第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目を含む。第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目は、対象者と同グループに属する者が、第1所定期間後に悪化した機能項目の実績に基づいて定められてもよい。つまり、第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目は、ヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき、定められてよい。なお、第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目は、ステップS100にて決定したヘルスケアスコアに基づき予測された、対象者の第1所定期間後の健康状態に基づき定められてもよい。
【0068】
オブジェクト460に含まれる上記機能項目の情報は、係る機能項目の区分(以下、項目区分という)、項目名、及び悪化確率を含む。項目区分、項目名、及び悪化確率は、例えば“活動機能”“食事摂取_食事動作”、“7%”である。図6に示すようにオブジェクト460は、悪化確率の数値と並べられた悪化確率の棒グラフを含んでもよい。また図6に示すように、かかる機能項目は、悪化確率の高い順に並べられてもよい。ユーザはオブジェクト460により、対象者の将来の健康状態のうち特に将来悪化しやすい項目を容易に把握することができる。
【0069】
図11にオブジェクト460の変形例を示す。オブジェクト461は、かかる予測情報として対象者の第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目の情報を含む。オブジェクト461に含まれる上記機能項目の情報は、活動機能、認知機能、及び栄養状態毎に分類される。オブジェクト461に含まれる上記機能項目の情報は、機能項目のカテゴリー、項目区分、項目名を含む。図11に示すように、かかる機能項目は、活動機能、認知機能、及び栄養状態毎に悪化確率の高い順に並べられてもよい。ユーザはオブジェクト461により、対象者の将来の健康状態のうち特に将来悪化しやすい項目を容易に把握することができる。
【0070】
オブジェクト470は、対象者の健康状態の悪化を抑制する少なくとも1つの介入提案の情報を含むオブジェクトである。かかる介入提案は、対象者のヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき定まる。図6に示す例では、オブジェクト470に含まれる介入提案の情報は、介入観点、介入内容、及び維持改善確率を含む。介入観点、介入内容、及び維持改善確率は、例えば、“飲水”、“水分介助の援助頻度を増やす”、及び“93.8%”である。図6に示すようにオブジェクト470は、維持改善確率の数値に相当する棒グラフを含んでもよい。ユーザはオブジェクト470により、対象者の健康状態の悪化を抑制する介入提案を容易に把握することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、情報処理装置20が対象者のヘルスケアスコアを決定し、ヘルスケアスコアに基づく第1所定期間後の健康状態、及び対象者の第2所定期間後の健康状態を予測して、予測情報を提示する。つまり本実施形態によれば、対象者のヘルスケアスコアを用いて、複数の異なる観点からの予測情報を提示できるという点で、自立支援に関する技術が改善される。また、第2所定期間後の健康状態はグループの健康状態の遷移実績に基づき予測されるため、ユーザは過去の類似の状況における実績を容易に把握することができる。
【0072】
また本実施形態によれば、情報処理装置20が提示する予測情報は、第1所定期間後に悪化する可能性のある機能項目を含む。したがってユーザは、対象者の将来の健康状態のうち将来悪化する可能性のある項目を容易に把握することができる。さらに情報処理装置20が提示する予測情報に機能項目の悪化確率を含んでもよく、この場合ユーザは、各機能項目がどの程度悪化し得るのかを定量的に把握することができる。
【0073】
また本実施形態では第1所定期間は、第2所定期間よりも短い期間である。第1所定期間及び第2所定期間は、それぞれ例えば3ヶ月及び1年であるが、これに限られない。このように第1所定期間が第2所定期間よりも短い期間とすることで、ユーザは、比較的短期及び比較的長期の各側面から、対象者の将来の健康状態を把握することができる。
【0074】
なお本実施の形態では、ユーザインターフェース400が、オブジェクト410~470を含む例を示したがこれに限られない。例えばユーザインターフェース400は、オブジェクト470の代わりに、又はオブジェクト470と併せて、健康状態の悪化を抑制した少なくとも1つの過去事例を含むオブジェクトを含んでもよい。かかる過去事例は、対象者のヘルスケアスコアにより定まる対象者が属するグループの健康状態の遷移実績に基づき定まる。図12にオブジェクト480の一例を示す。オブジェクト480は、状態区分、事例大分類、及び事例中分類によるフィルタリングオブジェクト481~483を含む。当該フィルタリングオブジェクト481~483により、過去に行った介入事例を適宜フィルタリングすることができる。オブジェクト480は、過去の介入事例のテーブル484を含む。テーブル484は、状態区分、大分類、中分類、現象(能力低下・問題がある事象の状態)、原因(能力低下・問題事象を引き起こす要因)、提案(援助すべき項目)、及び備考を含む。すなわちテーブル484は、過去の介入事例の各情報を一覧表示する。かかるオブジェクト480をユーザインターフェース400に含める場合、ユーザは対象者の健康状態の悪化を抑制した過去事例を容易に把握することができる。
【0075】
なお、介入提案及び過去事例は、保険外サービスを含んでもよい。保険外サービスは、例えば任意の指導又はトレーニング(食事指導・運動指導・認知機能トレーニング等)、又は認知機能低下を予防する任意のプログラム等を含む。
【0076】
なお本実施の形態では、対象者が属するグループは対象者の活動機能、認知機能、及び栄養状態の各スコア(つまりヘルスケアスコアを構成する個別のスコア)に基づき定められる例を示したがこれに限られない。対象者が属するグループはヘルスケアスコアから直接定められてもよい。この場合、対象者が属するグループは、例えばヘルスケアスコアの数値に基づき任意の段階に分類されてもよい。
【0077】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 自立支援システム
10 端末装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 情報処理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 ネットワーク
220 対象者データベース
400 インターフェース
410、420、430、440、450、460,470、480 オブジェクト
411,431、441、451、461 オブジェクト
481~483 フィルタリングオブジェクト
484 テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12