(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093666
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】複合容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240702BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D25/20 R
B65F1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210190
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】長井 美憲
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明王
【テーマコード(参考)】
3E023
3E062
【Fターム(参考)】
3E023AA04
3E062AA01
3E062AB20
(57)【要約】
【課題】収容可能なごみの量が多く、かつ形状、サイズおよび重量が異なるごみが投入された場合でも、収容したごみが崩れて容器の外部に落下してしまうことを防止することができる複合容器を提供する。
【解決手段】矩形状に形成された底面部21と、底面部21の4辺にそれぞれ接続される4つの側面部22とを有するコンテナ2と、コンテナ2の4つの側面部22から上方に突出するU型フレーム23a、23b、23cと、折り畳み可能であり、展開した状態においてコンテナ2の内部からU型フレーム23a、23b、23cを越えて外部に亘り展開する折り畳み容器3と、を備えることを特徴とする複合容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状に形成された底面部と、当該底面部の4辺にそれぞれ接続される4つの側面部とを有するコンテナと、
前記コンテナの4つの前記側面部から上方に突出するU型フレームと、
折り畳み可能であり、展開した状態において前記コンテナの内部から前記U型フレームを越えて外部に亘り展開する折り畳み容器と、
を備えることを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記U型フレームは、前記側面部の内周面側に固定された一対のガイドバーと、両端部が一対の前記ガイドバーに着脱可能に嵌合するU型フレームアッパーを有して構成され、前記ガイドバーから取り外した前記U型フレームアッパーは前記コンテナ内に収容可能である請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記側面部の外周面側にフランジ部が設けられている請求項1に記載の複合容器。
【請求項4】
前記底面部の下面側であって一辺の周縁部に摩耗防止プレートが設けられている請求項1に記載の複合容器。
【請求項5】
前記U型フレームのうち少なくとも1つに背もたれ用プレートが固定されている請求項1に記載の複合容器。
【請求項6】
前記折り畳み容器は網袋であり、上端部に開口が設けられているとともに、前記開口を閉じる紐が設けられている請求項1乃至5の何れか1項に記載の複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみの収集等に用いられる複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミの集積場所に置いてゴミを収容する用途に使用される容器として、種々の容器が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されている複合容器は、上方が開口するとともに非使用時には折り畳まれる折り畳み容器と、折り畳み容器が載せられるトレイとを備えていて、非使用時には折り畳み容器を折り畳んでトレイ内に収容することができるため、狭い場所でも保管することができる。
【0004】
また、特許文献1の複合容器では、折り畳み容器の4つの側面部がいずれも底面部に対して鈍角になるように展開されるため、収容できる容積を大きくすることができる。
【0005】
さらに、特許文献1の複合容器では、折り畳み容器の開口部に紐状の弾性体が取り付けられていて、開口部の開口を狭めることが可能になっているため、折り畳み容器の内部に収容されているごみが崩れることなく、安定して複合容器を運搬することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の複合容器では、形状、サイズおよび重量がそれぞれ異なるごみが折り畳み容器内に投入された場合、折り畳み容器内で積み重ねられたごみが崩れてしまい、特に複合容器を階段、凹凸のある平地、坂道等不安定な場所で運搬する際に、ごみが折り畳み容器の外に落下してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、収容可能なごみの量が多く、かつ形状、サイズおよび重量が異なるごみが投入された場合でも、運搬時、特に階段等の不安定な場所で運搬する際に収容したごみが崩れて容器の外部に落下してしまうことを防止することができる複合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、矩形状に形成された底面部と、当該底面部の4辺にそれぞれ接続される4つの側面部とを有するコンテナと、前記コンテナの4つの前記側面部から上方に突出するU型フレームと、折り畳み可能であり、展開した状態において前記コンテナの内部から前記U型フレームを越えて外部に亘り展開する折り畳み容器と、を備える複合容器であることを特徴とする。
【0010】
上記複合容器において、前記U型フレームは、前記側面部の内周面側に固定された一対のガイドバーと、両端部が一対の前記ガイドバーに着脱可能に嵌合するU型フレームアッパーを有して構成され、前記ガイドバーから取り外した前記U型フレームアッパーは前記コンテナ内に収容可能であることが好ましい。
【0011】
また、上記複合容器において、前記側面部の外周面側にフランジ部が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、上記複合容器において、前記底面部の下面側であって一辺の周縁部に摩耗防止プレートが設けられていることが好ましい。
【0013】
また、上記複合容器において、前記U型フレームのうち少なくとも1つに背もたれ用プレートが固定されていることが好ましい。
【0014】
また、上記複合容器において、前記折り畳み容器は網袋であり、上端部に開口が設けられているとともに、前記開口を閉じる紐が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の複合容器によれば、多くのごみを収容することができ、かつ形状、サイズおよび重量が異なるごみが投入された場合でも、運搬時、特に階段等の不安定な場所で運搬する際に収容したごみが崩れて容器の外部に落下してしまうことを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る複合容器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る複合容器のコンテナを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る複合容器のコンテナを示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る複合容器のコンテナにおいて進行方向に設けられているU型フレームを示す部分拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る複合容器のコンテナにおいて進行方向に設けられているU型フレーム以外のU型フレームを示す部分断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る複合容器の折り畳み容器を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る複合容器について折り畳み容器を折り返してU型フレームに掛けた状態で使用する様子を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る複合容器について折り畳み容器を展開した状態で使用する様子を示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る複合容器の運搬時に階段に差し掛かった様子を示す模式図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る複合容器が階段で下り方向に運搬される様子を示す模式図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る複合容器について非使用時に積み重ねて保管される様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従う複合容器の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る複合容器1を示す斜視図である。複合容器1は、ごみ収集の際にごみを収容するために用いられるものであり、
図1に示すように、コンテナ2と、コンテナ2内に収容されて使用される折り畳み容器3とを備えている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る複合容器1のコンテナ2を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る複合容器1のコンテナ2を示す断面図である。コンテナ2は、矩形状に形成された底面部21と、底面部21の4辺にそれぞれ接続されるとともに互いに連続している4つの側面部22とを有していて、コンテナ2の4つの側面部22には、上方に突出するU型フレーム23a、23b、23cが設けられている。
【0020】
底面部21の下面側には4つの車輪211が設けられている。車輪211は、底面部21の上面側に載置された第1補強用プレート212を介して、底面部21にボルト213で固定されている。本実施形態に係る複合容器1では、この車輪211の高さを適宜調節することにより、地面から使用時の持ち手になるフランジ部221までの高さを作業者が運搬しやすい高さに調節することができる。そして、この車輪211の高さの調節と、背もたれ用プレート24の利用とを合わせることにより、ごみGを収容して重量が増加した複合容器1を階段や坂道等の不安定な場所を下って運搬する際に、作業者が腰を痛めることなく安定して運搬することが可能になる。
【0021】
また、底面部21の下面側であって進行方向と反対側にある一辺(
図3における紙面右方)の周縁部には、高強度の樹脂板からなる摩耗防止プレート214が設けられている。摩耗防止プレート214は、底面部21の上面側に載置された第2補強プレート215を介して、底面部21にボルト216で固定されている。
【0022】
側面部22は、それぞれ下辺よりも上辺の方が長い逆台形状であり、各側面部22は底面部21の4辺からそれぞれ鈍角をなして立ち上がっているため、コンテナ2は底面部21から開口部Oに向かうに従い漸次内幅が拡大する形状(側面視で逆台形状)になっている。コンテナ2が側面視で逆台形状であることにより、コンテナ2内へのごみの収容量を増加することができるとともに、コンテナ2内部にごみを投入しやすくすることができる。
【0023】
側面部22の上端部分の外周面側には、側面部22を湾曲させることにより、外側に向けて突出するフランジ部221が形成されている。フランジ部221は、作業者が腰を曲げることなくこれを把持することが可能な高さに設けられていることが好ましく、例えば、地面からの高さが500mm~600mmとなる位置に設けられている。このようなフランジ部221が設けられていることにより、コンテナ2の剛性を向上することができるとともに、複合容器1の運搬時に作業者が掴む持ち手にすることができる。また、作業者がフランジ部221を把持する際に屈む必要が無くなるため、作業者が腰を痛めることを防止することができる。
【0024】
図4は、本発明の実施形態に係る複合容器1のコンテナ2において進行方向に設けられているU型フレーム23aを示す部分拡大断面図である。
図5は、本発明の実施形態に係る複合容器1のコンテナ2において進行方向に設けられているU型フレーム23a以外のU型フレーム23b、23cを示す部分断面図である。各側面部22の内周面側には、U型フレーム23a、23b、23cが設けられているが、
図4に示すU型フレーム23aは、上述したように進行方向側に設けられるものであり、
図5に示す他のU型フレーム23b、23cと比較して、階段や坂道の下り方向に複合容器1を運搬する際に下側になる部分に集中する負荷に耐えられるよう、内径および外径が大きく、剛性が高い構造を有している。また、U型フレーム23b、23cは、内径および外径は同一であるが、
図1および
図2に示すように、横幅はU型フレーム23bの方がU型フレーム23cよりも広くなっている。なお、複合容器1のうち、高強度のU型フレーム23aが配置されている側を、本明細書中では進行方向側という。
【0025】
U型フレーム23a、23b、23cは、それぞれ側面部22の内周面側に固定されたガイドバー231a、231b、231cと、接続部材233a、233b、233cと、U型フレームアッパー232a、232b、232cとを有して構成されている。
【0026】
ガイドバー231a、231b、231cは、いずれも中空の管材からなり、パイプクリップ25a、25b、25cを介してボルト26a、26b、26cにより側面部22に固定されている。ガイドバー231b、231cはパイプクリップ25b、25cを直接側面部22に当接させてボルト26b、26cによる固定が行われている。一方、階段や坂道を下る際に下側になりごみGの重量が集中して高い負荷がかかるガイドバー231aについては、側面部22の表裏にそれぞれ当接させた金属製の補強板235、236を介してボルト26aによる固定が行われている。補強板235、236を用いることで、コンテナ2の側面部22に形成されたボルト26aを挿通するための孔(不図示)に加わる力を補強板235、236により分散することができ、当該孔の近傍の応力が増加して亀裂が生じる等の破損の発生を防止することができるとともに、樹脂製の側面部22のみを用いてボルト締結をした場合と比較して、ボルト締結力を高めることができる。
【0027】
接続部材233a、233b、233cは、ガイドバー231a、231b、231cと、U型フレームアッパー232a、232b、232cとを接続する軸状の部材である。接続部材233a、233b、233cの一端部2331a、2331b、2331cと他端部2332a、2332b、2332cとの間には、拡径部2333a、2333b、2333cが形成されている。接続部材233a、233b、233cの一端部2331a、2331b、2331cは、ガイドバー231a、231b、231cの上端部2311a、2311b、2311cに挿入される。接続部材233a、233b、233cの他端部2332a、2332b、2332cは、U型フレームアッパー232a、232b、232cの端部2321a、2321b、2321cに挿入される。接続部材233aの他端部2332aは、高い負荷に耐えられるよう、接続部材233b、233cの他端部2332b、2332cよりも太くなっている。
【0028】
U型フレームアッパー232a、232b、232cは、U字状に曲げられた中空筒状の部材である。U型フレームアッパー232aは、U型フレームアッパー232b、232cと比較して内径および外径が大きくなっていて、曲げ剛性に影響する断面2次モーメントが大きい。U型フレームアッパー232aには、板状部材である背もたれ用プレート24が不図示の固定手段により固定されている(
図2および
図3参照)。U型フレームアッパー232a、232b、232cの幅やフランジ部221の上端部分からの高さは、折り畳み容器3内に収容されたごみGが複合容器1から落下しない幅および高さであることが望ましい。本実施形態では、U型フレームアッパー232a、232b、232cの幅は、コンテナ2の開口部Oの内周面における前後方向の幅(フランジ部221の内周面における前後方向の幅)の概ね半分になっているとともに、U型フレームアッパー232a、232b、232cのフランジ部221の上端部分からの高さは、当該上端部分から折り畳み容器3の上端部分までの高さの概ね半分の高さになっている。また、U型フレームアッパー232bの幅は、U型フレームアッパー232cよりも広くなっているとともに、これに対応すべく、水平方向において隣接するパイプクリップ25b、25b間の距離は、水平方向において隣接するパイプクリップ25c、25c間の距離よりも広くなっている。
【0029】
接続部材233a、233b、233cの一端部2331a、2331b、2331cは、それぞれボルト234a、234b、234cによりガイドバー231a、231b、231cの上端部2311a、2311b、2311cに固定されている。一方、接続部材233a、233b、233cの他端部2332a、2332b、2332cは、U型フレームアッパー232a、232b、232cの端部2321a、2321b、2321c内に着脱可能に挿入されているため、U型フレームアッパー232a、232b、232cは、接続部材233a、233b、233cに対して着脱可能になっている。ガイドバー231a、231b、231cから取り外したU型フレームアッパー232a、232b、232cは、コンテナ2内に収容可能になっている。
【0030】
接続部材233a、233b、233cを介するガイドバー231a、231b、231cとU型フレームアッパー232a、232b、232cとの接続は、側面部22のフランジ部221よりも下側の位置で行われている。U型フレーム23a、23b、23cにごみGの重量による負荷が加わった際に、接続部材233a、233b、233cによる接続部分に一番大きな曲げモーメントが加わることになるが、この位置で接続が行われていることにより、接続部分に側面部22が当接してサポートした状態になるため、当該接続部分の変形や破損を防止することができる。
【0031】
図6は、本発明の実施形態に係る複合容器1の折り畳み容器3を示す斜視図である。
図6に示すように、折り畳み容器3は、網状部材により構成されている折り畳み可能な網袋である。折り畳み容器3は、矩形の底面部31と、底面部31の四辺のそれぞれから連続して形成された逆台形状の側面部32を備えていて、展開した状態において底面部31から上方に向かうに従い漸次内幅が拡大する形状(側面視で逆台形状)になっている。折り畳み容器3が側面視で逆台形状であることにより、折り畳み容器3内へのごみの収容量を増加することができるとともに、折り畳み容器3内部にごみを投入しやすくすることができる。底面部31と側面部32との接続部分、また側面部32同士の接続部分は、シート状の補強材311、321により補強されている。
【0032】
折り畳み容器3の矩形の開口部33の周縁部分には、シート状部材を用いて紐通し口34が形成されていて、この紐通し口34内には、開口部33を絞るための紐35が挿通されている。紐35の端部351は、矩形の開口部33の、対向する2つの角部分にそれぞれ形成された紐通し口34の開口部分(不図示)から外部に露出しているとともに、紐35の端部351は紐ストッパー36に挿通されている。紐ストッパー36のボタン361を押すことで紐ストッパー36の内部に挿通された紐35がスライド可能な状態になるとともに、ボタン361の押圧を解除すると紐35がスライドできない状態になる。これにより、対向する位置に設けられたそれぞれの紐35を引き出して開口部33の絞り具合を任意の程度に調整することができるとともに、紐ストッパー36により開口部33から引き出された紐35の引き出し長を固定することができ、当該絞り具合を保持することができる。
【0033】
隣接する側面部32の間にある補強材321であって、進行方向側に位置する補強材321には、進行方向に突出する取手37が設けられている。ごみGを収容した折り畳み容器3をコンテナ2から取り出す際には、作業者がこの取手37を把持することで、折り畳み容器3の取り出し作業を容易にすることができる。また、複合容器1の運搬作業を行う際には、作業者がこの取手37を引っ張ることで、牽引動作を補助することができる。なお、本発明においてはこの取手37は必須の構成ではなく、適宜省略することができる。
【0034】
折り畳み容器3をコンテナ2内に収容して展開すると、側面部32がコンテナ2の内部からU型フレーム23a、23b、23cを越えて外部に亘り展開した状態になる。このように折り畳み容器3を展開した状態で、複合容器1へのごみの投入が行われる。
【0035】
図7は、本発明の実施形態に係る複合容器1について折り畳み容器3を折り返してU型フレーム23a、23b、23cに掛けた状態で使用する様子を示す側面図である。複合容器1へのごみGの投入量が少ない状態では、複合容器1は、折り畳み容器3の開口部33が最大限開かれ、側面部32が外側に折り返されてU型フレーム23a、23b、23cに掛けられて使用される。このように使用されることにより、複合容器1内へのごみの投入を容易に行うことができる。
【0036】
図8は、本発明の実施形態に係る複合容器1について折り畳み容器3を展開した状態で使用する様子を示す側面図である。複合容器1内のごみGの量が増えて、U型フレーム23a、23b、23cよりも高い位置までごみGが積み重ねられた状態になる場合には、折り曲げられていた側面部32を展開して上方に伸ばした状態にする。これにより、多くのごみGを収容することができるとともに、U型フレーム23a、23b、23cおよび側面部32によりごみGを支持することができ、様々な形状、サイズおよび重量を有するごみGが投入された場合でも、運搬時、特に階段等の不安定な場所で運搬する際に収容したごみGが崩れて複合容器1の外部に落下してしまうことを防止することができる。また、従来の複合容器では、複合容器内に収容したごみGが崩れることを防止するためにはコンテナの側面部の高さを高くすることが行われていたが、コンテナの側面部を高くすると複合容器の重量が大きく増加してしまうという問題が生じていたが、本発明に係る複合容器1では、ごみGが崩れることを、中空で軽量なU型フレーム23a、23b、23cで防止しているため、コンテナ2の側面部22の高さを低くすることができ、従来の複合容器と比較して大幅な軽量化を実現することができる。なお、このようにU型フレーム23a、23b、23cよりも高くごみGが積み重ねられた状態においては、折り畳み容器3の開口部33を絞ることにより、折り畳み容器3のごみGが崩れること、および崩れたごみGが外部に落下することを、より効果的に防止することができる。
【0037】
次に、ごみGを収容した複合容器1を、階段の上方から下方に運搬する様子について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る複合容器1の運搬時に階段Sに差し掛かった様子を示す模式図である。
図10は、本発明の実施形態に係る複合容器1が階段Sで下り方向に運搬される様子を示す模式図である。なお、
図9および
図10において複合容器1内のごみGは、便宜上図示が省略されている。
【0038】
ごみGを収容した複合容器1を階段Sの上方から下方へと運搬する際には、
図9および
図10に示すように、作業者Wは、U型フレーム23a側を進行方向に向けた状態で、後ろ手で複合容器1の進行方向にあるフランジ部221を掴み、背をU型フレーム23aおよび背もたれ用プレート24に当接させつつ、階段Sを降りていく。作業者Wがこのような姿勢で複合容器1を運搬することにより、ごみGを収容した複合容器1の重量負荷を背中全体で受け止めることができるため、複合容器1を安定して運搬することができる。
【0039】
そして、
図9に示すように、進行方向にある車輪211が地面から浮き上がり、後方の車輪211だけが階段Sの最上段部分に接地している状態から、さらに階段Sを降りると、
図10に示すように、後方の車輪211も階段Sから浮き上がった状態になる。このとき、コンテナ2の後端部分が階段Sの最上段部分に衝突することになるが、この衝突の衝撃は複合容器1の重量にごみGの重量が加わった大きなものになるため、コンテナ2の底面部21に直接加わると底面部21の破損や摩耗を生じる恐れがある。しかし、本実施形態に係る複合容器1では、底面部21の下面側の後端部分に摩耗防止プレート214が設けられていて、この摩耗防止プレート214が階段Sを降る際に加わる衝撃を受け止めることで、コンテナ2の破損や摩耗を防止することができる。なお、摩耗防止プレート214が破損や摩耗をした場合には、新しい摩耗防止プレート214に交換することが可能である。
【0040】
次に、非使用時の複合容器1の保管について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る複合容器1について非使用時に積み重ねて保管される様子を示す側面図である。
【0041】
本実施形態に係る複合容器1は、非使用時にU型フレーム23a、23b、23cのU型フレームアッパー232a、232b、232cを取り外すことができ、取り外したU型フレームアッパー232a、232b、232cを、折り畳んだ折り畳み容器3とともにコンテナ2内に収容することができる。そして、U型フレームアッパー232a、232b、232cと折り畳み容器3を収容したコンテナ2は、
図11に示すように、同じくU型フレームアッパー232a、232b、232cと折り畳み容器3を収容した他のコンテナ2に積み重ねることができる。これにより、複合容器1の非使用時には、複合容器1の容積を減らした状態にすることができるとともに、複合容器1同士を積み重ねて保管することができるため、保管に要するスペースを削減することができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に係る複合容器1の態様に限定されず、種々の変形を採用することができる。
【0043】
例えば、上述した実施形態においては、コンテナ2の下部に車輪211を設けたが、本発明においてはこれに限らず、車輪211に代わって板状のそりを配置してもよい。
【0044】
また、上述した実施形態においては、折り畳み容器3として網袋を用いていたが、本発明においてはこれに限らず、樹脂シートでできた袋を用いてもよい。ごみG内に水分が含まれている場合には、ごみGから水分が漏れ出すことがあるが、折り畳み容器3が網袋である場合には、折り畳み容器3内から水分が漏れ出し、折り畳み容器3とコンテナ2が汚れてしまい、複合容器1の使用後にはこれらに水をかけて洗浄する必要があった。しかし、折り畳み容器3が樹脂シートでできた袋である場合には、折り畳み容器3内に漏れ出した水分を折り畳み容器3内に留めておくことができるとともに、使用後には折り畳み容器3を逆さにして開口部33から水分を容易に排出することができる。これにより複合容器1の使用後にコンテナ2と折り畳み容器3を洗浄する手間を省くことができる。ただし、樹脂シートでできた袋と比較して、網袋の方が通気性に優れていて、ごみGの臭いが折り畳み容器3内にこもることを防止することができる。
【0045】
さらに、上述した実施形態においては、U型フレーム23a、23b、23cの接続部材233a、233b、233cはガイドバー231a、231b、231cに固定されていたが、本発明においてはこれに限らず、U型フレームアッパー232a、232b、232cに固定されている態様としてもよい。
【0046】
また、複合容器1の運搬をより容易に行えるようにするため、コンテナ2の進行方向に牽引用の紐を取り付けてもよい。紐を設けることにより、複合容器1の運搬時に折り畳み容器3の取手37を持って運搬の補助とする必要が無くなり、取手37を省略することができる。これにより、例えば複合容器1内のごみGの総重量が極めて大きな状態で、複合容器1の運搬を補助するべく取手37を引っ張ることで、折り畳み容器3の網に大きな負荷が加わり網が切れてしまうといった問題の発生を防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1:複合容器
2:コンテナ
3:折り畳み容器
21:底面部
22:側面部
23a、23b、23c:U型フレーム
24:背もたれ用プレート
31:底面部
32:側面部
221:フランジ部
231a、231b、231c:ガイドバー
232a、232b、232c:U型フレームアッパー
233a、233b、233c:接続部材
214:摩耗防止プレート
G:ごみ
W:作業者