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特開2024-93680スーツケースのボディの製造方法、およびスーツケースの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093680
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スーツケースのボディの製造方法、およびスーツケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20240702BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20240702BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20240702BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20240702BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20240702BHJP
   A45C 5/03 20060101ALI20240702BHJP
   A45C 5/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C70/16
B29C70/42
B29C51/10
B29C51/14
A45C5/03
A45C5/02 Q
A45C5/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210207
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰希
(72)【発明者】
【氏名】渡部 修帆
【テーマコード(参考)】
3B045
4F204
4F205
4F208
【Fターム(参考)】
3B045AA02
3B045CE02
3B045FC02
3B045FC04
3B045HA04
3B045HB04
3B045IA03
4F204AA11
4F204AC03
4F204AD05
4F204AD08
4F204AD16
4F204AH81
4F204FA01
4F204FB01
4F204FF01
4F204FG09
4F204FH20
4F204FJ10
4F204FN11
4F204FN15
4F205AA11
4F205AC03
4F205AD05
4F205AD08
4F205AD16
4F205AH81
4F205HA08
4F205HA22
4F205HA34
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HC17
4F205HF01
4F205HG06
4F205HK03
4F205HK04
4F208AC03
4F208AD05
4F208AD08
4F208AD16
4F208AH81
4F208MA01
4F208MA02
4F208MA03
4F208MB01
4F208MB11
4F208MB22
4F208MC01
4F208MG04
4F208MH06
(57)【要約】
【課題】UDシートやUD織物シートを使用してスーツケースのボディを作製する際に、簡易な方法で、成形されたボディの屈曲部またはその近傍におけるシートの位置ズレやシワの発生を抑制できる、スーツケースのボディの製造方法を提供すること。
【解決手段】平板状の正面部と、正面部から連続して形成された周面部と、を有するスーツケースのボディの製造方法であって、配列して配置された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された熱可塑性樹脂と、を含む繊維強化樹脂の薄膜を複数枚用意し、積層する工程と、前記正面部となる部位のみにおいて、前記積層された複数枚の薄膜を仮固定する工程と、前記仮固定された複数枚の薄膜を型に入れて加圧および加熱し、スーツケースのボディ形状に成形する工程と、を有する、スーツケースのボディの製造方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の正面部と、正面部から連続して形成された周面部と、を有するスーツケースのボディの製造方法であって、
配列して配置された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された熱可塑性樹脂と、を含む繊維強化樹脂の薄膜を複数枚用意し、積層する工程と、
前記正面部となる部位のみにおいて、前記積層された複数枚の薄膜を仮固定する工程と、
前記仮固定された複数枚の薄膜を型に入れて加圧および加熱し、スーツケースのボディ形状に成形する工程と、
を有する、スーツケースのボディの製造方法。
【請求項2】
前記仮固定のための処理は、前記正面部となる部位の一部のみに施す、請求項1に記載のスーツケースのボディの製造方法。
【請求項3】
前記仮固定のための処理は、前記正面部となる部位のうちの複数箇所に施す、請求項1に記載のスーツケースのボディの製造方法。
【請求項4】
前記成形される複数枚の薄膜は、周面部となる部位に、端部がシートの周縁まで達する切れ込みを有する、請求項1に記載のスーツケースのボディの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたスーツケースのボディを用意する工程と、
前記スーツケースのボディをスーツケースに組み立てる工程と、
を有する、スーツケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーツケースのボディの製造方法、およびスーツケースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーツケースのボディの材料としては、アルミニウム合金(ジュラルミン)やチタン合金などが使用されてきたが、近年では軽量化のため、ABS樹脂やポリカーボネートなどの樹脂素材を使用することも多い。
【0003】
樹脂製のボディは、通常、平板状または薄膜状の樹脂素材を加圧成形や真空成形などの方法によりボディの形状に成形して製造される(たとえば特許文献1など)。
【0004】
ところで、一方向に配向して配列された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された樹脂組成物(マトリクス樹脂)と、を含む薄膜状の繊維強化樹脂(以下、単に「Uni-Direction (UD)シート」ともいう。)が知られている。このUDシートは、強度が高いことから、各種補強材として使用されている。
【0005】
UDシートや、織物状に配置された複数の強化繊維とマトリクス樹脂とを含むUD織物シートを筺体形状に成型する際にも、加圧成形や真空成形が用いられる。特許文献2には、UD織物シートを筺体形状に成型する際に、金型中を均一に加熱および冷却したり、UD織物シートの端部をクランプして張力を付与したりすることで、成形体への折り目やシワの発生を抑制できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-203098号公報
【特許文献2】特表2014-513639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
UDシートやUD織物シートを使用することで、スーツケースのボディを軽量かつ高強度にできると期待される。しかし、UDシートやUD織物シートを加圧成形したり真空成形したりすると、一部の層のシートが部分的に位置ズレして成形体が部分的に薄くなり当該部分の強度が低下してしまったり、成形時にシワが生じてしまったりすることがあった。特許文献1には、金型の構成を工夫することで折り目やシワの発生を抑制できると記載されている。しかし、本発明らの知見によれば、特許文献1に記載の方法ではシートの位置ズレは抑制できず、シワの発生に関しても十分に抑制しきれてはいなかった。
【0008】
本発明者の知見によると、このような位置ズレやシワはスーツケースのボディの屈曲部またはその近傍に生じやすい。屈曲部の近傍は、通常キャスターが取り付けられる位置であるため、このあたりに位置ズレやシワが生じると、キャスターの取り付けが困難になる。そのため、スーツケースを作製する際には屈曲部またはその近傍に位置ズレやシワは生じないことが特に要求される。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、UDシートやUD織物シートを使用してスーツケースのボディを作製する際に、簡易な方法で、成形されたボディの屈曲部またはその近傍におけるシートの位置ズレやシワの発生を抑制できる、スーツケースのボディの製造方法およびスーツケースの製造方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[1]~[4]のスーツケースのボディの製造方法に関する。
[1]平板状の正面部と、正面部から連続して形成された周面部と、を有するスーツケースのボディの製造方法であって、
配列して配置された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された熱可塑性樹脂と、を含む繊維強化樹脂の薄膜を複数枚用意し、積層する工程と、
前記正面部となる部位のみにおいて、前記積層された複数枚の薄膜を仮固定する工程と、
前記仮固定された複数枚の薄膜を型に入れて加圧および加熱し、スーツケースのボディ形状に成形する工程と、
を有する、スーツケースのボディの製造方法。
[2]前記仮固定のための処理は、前記正面部となる部位の一部のみに施す、[1]に記載のスーツケースのボディの製造方法。
[3]前記仮固定のための処理は、前記正面部となる部位のうちの複数箇所に施す、[1]または[2]に記載のスーツケースのボディの製造方法。
[4]前記成形される複数枚の薄膜は、周面部となる部位に、端部がシートの周縁まで達する切れ込みを有する、[1]~[3]のいずれかに記載のスーツケースのボディの製造方法。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の他の態様は、下記[5]のスーツケースの製造方法に関する。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の製造方法で製造されたスーツケースのボディを用意する工程と、
前記スーツケースのボディをスーツケースに組み立てる工程と、
を有する、スーツケースの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、UDシートやUD織物シートを使用してスーツケースのボディを作製する際に、簡易な方法で、成形されたボディの屈曲部またはその近傍におけるシートの位置ズレやシワの発生を抑制できる、スーツケースのボディの製造方法およびスーツケースの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態において製造するスーツケースの模式的な外観図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に関するスーツケースの製造方法のフローチャートである。
図3図3A図3Bおよび図3Cは、積層される薄膜の形状を示す模式図であり、図3Aは長方形状の薄膜を、図3Bは張り出し部を有する薄膜を、図3Cは張り出し部および切り欠け部を有する薄膜を、それぞれ示す。
図4図4は、仮固定のための処理をされた薄膜の積層体を示す模式図である。
図5図5は、薄膜を積層して仮固定して得られた薄膜の積層体を金型の内部に配置する様子を示す模式図である。
図6図6は、成形されたスーツケースのボディを示す模式図である。
図7図7は、実施例において成形体を製造するために切断したUDシートおよびUD織物シートの形状および寸法を示す上面図である。
図8図8は、実施例において成形体1~成形体6を製造するときに仮固定のための処理を施した位置を示す上面図である。
図9図9は、実施例において成形体7~成形体10を製造するときに仮固定のための処理を施した位置を示す上面図である。
図10図10は、実施例において成形体11~成形体12を製造するときに仮固定のための処理を施した位置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態において製造するスーツケースの模式的な外観図である。スーツケース100は、一対のボディ110aを有し、これら一対のボディ110aが、フレーム120を介して対向して配置されている。一対のボディ110aはいずれも、略長方形の平板状の正面部112と、正面部112の周縁から屈曲して連続的に配置され、スーツケース100の側面を形成する周面部114と、を有する。フレーム120は、略長方形であるボディ110aの1つの長辺側に配置された一対のシャッターロック122aおよびシャッターロック122bと、他方の長辺側に配置されたヒンジ(不図示)とを有する。フレーム120は、ヒンジにより対向して配置されたボディ110aを接続し、シャッターロック122aおよびシャッターロック122bの開閉により、一対のボディ110aを開閉可能とする。
【0015】
また、フレーム120は、ボディ110aの1つの短辺側に配置されたプルドライブ式のキャリーハンドル124aおよびサイドハンドル124bと、他方の短辺側に配置された4つのキャスター126とを有する。さらに、フレームはシャッターロック122aおよびシャッターロック122bが配置された長辺側に、メインハンドル124cおよびダイヤルロック122cを有する。なお、スーツケースの構成はこれに限定されず、たとえばファスナーによりボディ110aを密閉および開放するスーツケースであってもよい。
【0016】
本実施形態において、一対のボディ110aはいずれも、配列して配置された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸されたマトリクス樹脂とを含む繊維強化樹脂製である。繊維強化樹脂を用いてボディ110aを作製すると、ボディ110aの屈曲部またはその近傍(たとえば図1に示す領域110b)において、シートの位置ズレやシワが生じやすい。これに対し、本実施形態に関する製造方法によれば、領域110bにおけるシートの位置ズレやシワを抑制することができる。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に関するスーツケースの製造方法のフローチャートである。本実施形態では、配列して配置された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された熱可塑性樹脂と、を含む繊維強化樹脂の薄膜を複数枚用意して積層し(工程S110)、スーツケースのボディの正面部となる部位のみにおいて積層された複数枚の薄膜を仮固定し(工程S120)、仮固定された複数枚の薄膜を型に入れて加圧および加熱してスーツケースのボディ形状に成形する(工程S130)。その後、成形されたボディに部品を取り付け、スーツケースを組み立てる(工程S140)。以下、各工程について詳細に説明する。
【0018】
(工程S110:繊維強化樹脂の薄膜の積層)
本工程では、配列して配置された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された熱可塑性樹脂と、を含む繊維強化樹脂の薄膜を複数枚用意して積層する。
【0019】
繊維強化樹脂の薄膜は、一方向に配向して配列された強化繊維とマトリクス樹脂とを含むUDシートであってもよいし、織物状に配置された強化繊維とマトリクス樹脂とを含むUD織物シートであってもよいし、UDシートの小片がランダムに配置されたランダムシートであってもよい。UD織物シートを用いるときの強化繊維の織り方は特に限定されず、平織、綾織、三軸織などの公知の織り方を採用できる。
【0020】
強化繊維の繊維長(平均繊維長)は、5mm以上とすることができ、20mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上がさらに好ましい。強化繊維の繊維長がより長いほど、ボディ110aの強度が高まる。なお、強化繊維の繊維長の上限は、ボディ110aの形状およびサイズに応じて適宜定めることができるが、たとえば2m以下とすることができる。
【0021】
強化繊維の平均直径は、1μm以上30μm以下であることが好ましく、4μm以上20μm以下であることがより好ましい。強化繊維の平均直径がより大きいほど、ボディ110aの強度が高まる。強化繊維の平均直径がより小さいほど、ボディ110aへの賦形性を高めることができる。
【0022】
強化繊維の種類は特に限定されず、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、および金属繊維などを、上記強化繊維として用いることができる。これらのうち、炭素繊維およびガラス繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。
【0023】
強化繊維は、サイジング剤によりサイジング処理されていてもよい。上記サイジング剤は特に限定されないが、変性ポリオレフィンが好ましく、得には、カルボン酸金属塩を含む変性ポリオレフィンであることがより好ましい。上記変性ポリオレフィンは、たとえば、未変性ポリオレフィンの重合体鎖に、カルボン酸基、カルボン酸無水物基またはカルボン酸エステル基をグラフト導入し、かつ上記官能基と金属カチオンとの間で塩を形成させたものである。
【0024】
上記未変性ポリオレフィンは、エチレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上であるエチレン系重合体、またはプロピレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上であるプロピレン系重合体であることが好ましい。上記エチレン系重合体の例には、エチレン単独重合体、およびエチレンと炭素原子数3以上10以下のα-オレフィンとの共重合体が含まれる。上記プロピレン系重合体の例には、プロピレン単独重合体、およびプロピレンとエチレンまたは炭素原子数4以上10以下のα-オレフィンとの共重合体が含まれる。上記未変性ポリオレフィンは、ホモポリプロピレン、ホモポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、またはエチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体であることが好ましい。
【0025】
強化繊維は、UDシートやUD織物シートにスリット(シートの面内のみに形成され端部がシートの周縁まで達しない切断部)を入れて意図的に切断されていてもよいが、ボディ110aの強度を高める観点からは、意図的な切断をされていないことが好ましい。なお、意図的な切断をされた強化繊維は、複数の強化繊維が同じ位置で集合的に切断される点で、UDシートやUD織物シートの製造時等に意図せず不可避的に生じた切断とは異なる。なお、ボディ110aの形状への賦形性を高める観点から、強化繊維は、たとえばボディ110aの形状の正面部112と周面部114との境界部位において、部分的に意図的に切断されていてもよい。
【0026】
マトリクス樹脂の材料は特に限定されず、いかなる熱可塑性樹脂を用いてもよい。マトリクス樹脂は、結晶性樹脂であってもよいし、非結晶性樹脂であってもよい。
【0027】
上記熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびポリ4-メチル-1-ペンテンなどを含むポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ならびにフッ素樹脂などが含まれる。
【0028】
これらのうち、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂が好ましく、より低温での成形を可能にして生産効率をより高める観点からは、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリプロピレンがさらに好ましい。
【0029】
マトリクス樹脂は、添加剤を含む樹脂組成物であってもよい。上記添加剤の例には、公知の充填材(無機充填材、有機充填材)、顔料、染料、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、酸化防止剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、および軟化剤などが含まれる。たとえば、仮固定時にレーザーの照射によってUDシートを融着させるときは、マトリクス樹脂は、照射する波長のレーザーを吸収する色素を含有する樹脂組成物であることが好ましい。上記色素は、300nm以上3000nm以下のいずれかの波長の光を吸収する色素であればよく、カーボンブラックであることが好ましい。
【0030】
また、マトリクス樹脂は、上記以外の樹脂や、強化繊維よりも短い長さの短繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
【0031】
マトリクス樹脂は、ASTM D1238に準じて230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレイト(MFR)が40g/10分以上であることが好ましく、100g/10分以上500g/10分以下であることがより好ましい。MFRがこの範囲内であると、ボディ110aの形状への賦形性を高めることができる。
【0032】
繊維強化樹脂の薄膜の全体積に対する、強化繊維の含有量(繊維体積分率(Vf))は、10体積%以上70体積%以下であることが好ましく、15体積%以上60体積%以下であることがより好ましく、20体積%以上60体積%以下であることがさらに好ましい。繊維体積分率(Vf)がより大きいほど、ボディ110aの強度を高めることができる。また、繊維体積分率(Vf)がより大きいほど、通常はシートの位置ズレおよびシワが生じやすくなるので、本発明による位置ズレおよびシワの抑制効果が顕著に奏される。繊維体積分率(Vf)がより小さいほど、ボディ110aの形状への賦形性を高めることができる。
【0033】
繊維強化樹脂の薄膜の1層ごとの厚みは、30μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましい。繊維強化樹脂の薄膜の厚みがより大きいほど、ボディ110aの強度が高まる。また、繊維強化樹脂の薄膜の厚みがより大きいほど、通常はシートの位置ズレおよびシワが生じやすくなるので、本発明による位置ズレおよびシワの抑制効果が顕著に奏される。繊維強化樹脂の薄膜の厚みがより小さいほど、ボディ110aの形状への賦形性を高めることができる。
【0034】
本工程では、複数枚の繊維強化樹脂の薄膜を用意し、これを積層する。積層される薄膜の枚数は特に限定されず、ボディ110aの厚みや要求される強度などに応じて定めればよいが、たとえば2枚以上20枚以下とすることができ、3枚以上15枚以下とすることが好ましい。
【0035】
積層される薄膜は、同種の薄膜であってもよいし、強化繊維の種類もしくは配置、またはマトリクス樹脂の種類が異なる別種の薄膜であってもよい。たとえば、積層される薄膜は、すべてがUDシートであってもよいし、すべてがUD織物シートであってもよいし、UDシートとUD織物シートとの組み合わせであってもよい。こられのうち剛性と外観を両立させる観点からは、UDシートとUD織物シートとの組み合わせが好ましい。このとき、UD織物シートがボディ110aの外側に配置されるようにUDシートとUD織物シートとを積層することで、UD織物シートによる織物状の外観を付与することができる。
【0036】
積層される薄膜が複数枚のUDシートを含むとき、これらのUDシートは、基準となる層に対して、強化繊維が配向する角度が異なる層が生じるように積層されることが好ましい。同様に、積層される薄膜が複数枚のUD織物シートを含むとき、これらのUD織物シートは、基準となる層に対して、強化繊維が配向する角度が異なる層が生じるように積層されることが好ましい。このように積層することで、応力が負荷される方向ごとのボディ110aの強度差を生じにくくすることができる。
【0037】
なお、層間の融着性を高め、かつシートの位置ズレを抑制する観点からは、積層される薄膜は、隣り合う層の間でマトリクス樹脂の種類が同一となるシートの組を有することが好ましく、すべての薄膜のマトリクス樹脂の種類が同一であることがより好ましい。
【0038】
積層される薄膜の形状は特に限定されない。本固定では、図3Aに示すような長方形状の薄膜310を用いてもよいし、図3Bに示すように周面部114に対応する張り出し部320aを有する薄膜320を用いてもよいし、図3Cに示すように張り出し部330aとともに、あるいは張り出し部330aなしに、周面部114を形成するときに折り曲げる部位に切り欠け部330bを有する薄膜330を用いてもよい。本実施形態において、積層する前、または積層した後に、周面部114となる部位324の折り曲げを容易にするための切れ込み(端部がシートの周縁まで達する切断部)をそれぞれの薄膜に形成してもよい。図3Aでは、それぞれの薄膜310の周面部114となる部位314に、四方の角部から薄膜の平面内部方向に向けて、正面部112となる部位312には到達しない長さの切れ込み316が形成されている。図3Bでは、それぞれの薄膜320の周面部114となる部位324に、張り出し部320aの根本から薄膜の平面内部方向に向けて、正面部112となる部位322には到達しない長さの切れ込み326が形成されている。図3Cでは、それぞれの薄膜330の周面部114となる部位334から面内方向に切り欠け部330bが形成され、切り欠け部330bからさらに薄膜の平面内部方向に向けて、正面部112となる部位332には到達しない長さの切れ込み336が形成されている。
【0039】
なお、積層する複数の薄膜の形状はすべて同じであってもよいし、層ごとに異なっていてもよい。たとえば、薄膜が余りがちな内側の薄膜は、切り欠け部330bの面積をより大きくしてもよいし、外側の薄膜は、切れ込みの長さをより長くしてもよい。
【0040】
薄膜の積層体をボディ110aの形状に賦形する際に、周面部114となる部位では薄膜が折れ曲がり、これによりシートの位置ズレおよびシワが生じやすくなる。これに対し、張り出し部320aや切れ込み316、切れ込み326は、賦形の際に周面部114となる部位を部分的に重ねながら変形しやすくして、シートの位置ズレおよびシワが生じにくくすることができる。
【0041】
(工程S120:薄膜の仮固定)
本工程では、ボディ110aの正面部112となる部位のみにおいて、積層された複数枚の薄膜を仮固定する。
【0042】
正面部112となる部位を仮固定することで、型に入れたときの変形時や、成形のための加熱時における薄膜の位置ズレを抑制し、成形されたボディ110aにおける薄膜の位置ズレを抑制することができる。
【0043】
仮固定の方法は、積層された薄膜同士を強固に密着はさせずに、薄膜同士の面内方向への相対移動(積層体中での位置ズレ)を規制できるものであれば特に限定されず、加熱により薄膜同士を融着させてもよいし、接着剤や粘着テープなどで薄膜同士を接着してもよい。これらのうち、薄膜同士をより強固に固定でき、かつ成形後に接着剤などの不要な物質がボディ110aの内部に残存しにくいことから、加熱による融着が好ましい。なお、仮固定のためのこれらの処理は、薄膜のうちの、正面部112となる部位の全体に施してもよいが、薄膜の積層体の剛性が高まることによる賦形時の割れの発生や、仮固定のための処理を施す際のシワの発生を抑制する観点からは、正面部112となる部位の一部のみに施すことが好ましい。
【0044】
加熱による融着は、はんだごてなどの加熱された治具を積層された薄膜の表面の融着させる部位に押し付けたり、レーザーを融着させる部位に照射したり、超音波を融着させる部位に照射したりする方法で施すことができる。なお、レーザーにより融着させる際には、レーザーを照射される表面を構成する薄膜は、上述した照射する波長のレーザーを吸収する色素を含むことが好ましい。
【0045】
正面部112となる部位の一部のみに仮固定のための処理(たとえば加熱による融着)を施すとき、これらの処理は、正面部112となる部位のうち1箇所のみに施してもよいが、薄膜の位置ズレをより効果的に抑制する観点からは、複数箇所に施すことが好ましい。複数箇所に施すとき、処理する位置は、正面部112となる部位の内部に規則的に設定してもよいし、不規則に設定してもよい。
【0046】
図4は、仮固定のための処理をされた薄膜の積層体を示す模式図である。図3Cに示す、張り出し部330a、切り欠け部330bおよび切れ込み336を有する薄膜の積層体400のうち、正面部112となる部位332に、仮固定のための処理を施された部位410が5か所、規則的に配置されている。
【0047】
たとえば、仮固定のための処理は、1か所あたりの面積が0.01cm以上10cm以下となるように施すことが好ましく、0.03cm以上5cm以下となるように施すことがより好ましい。また、仮固定のための処理は、正面部112となる部位の面積のうち0.001%以上10%以下に対して施すことが好ましく、0.002%以上1%以下に対して施すことがより好ましい。仮固定のための処理を複数箇所に対して施すときは、2箇所以上30箇所以下に対して施すことが好ましく、2箇所以上20箇所以下に対して施すことがより好ましい。
【0048】
本実施形態において、上記仮固定のための処理は、正面部112となる部位のみに施し、周面部114となる部位には施さない。本発明者の知見によると、周面部114となる部位は、薄膜を折り曲げて正面部112に対して垂直方向に立ち上げたり、ボディ110aの屈曲部またはその近傍で薄膜同士を重ね合ったりする。周面部114となる部位を仮固定すると、おそらくはこのときに生じるゆがみを解消するための薄膜の位置の微調整ができないため、かえってボディ110aにシワが発生しやすくなる。
【0049】
また、積層された薄膜の全面(正面部112となる部位および周面部114となる部位の全面)に仮固定のための処理を施すと、薄膜の積層体の剛性が高まりすぎて金型に沿って変形する柔軟性に劣り、賦形時の割れが発生してしまう。
【0050】
なお、前の工程で説明した切れ込みの形成は、本工程において仮固定のための処理を施した後に行ってもよい。また、前の工程で説明した形状への薄膜の加工を、本工程において仮固定のための処理を施した後に行ってもよい。
【0051】
(工程S130:薄膜の成形)
本工程では、仮固定された複数枚の薄膜を型に入れて加圧および加熱して、スーツケースのボディ110aの形状に成形する。
【0052】
成形方法は特に限定されず、公知の熱プレス成形を用いることができる。ボディ110aの形状への加工性が良好であることから、真空成形および圧空成形が好ましく、これらを組み合わせて行うこと(真空圧空成形)がより好ましい。
【0053】
具体的には、図4に示すような薄膜を積層して仮固定して得られた薄膜の積層体を、図5に示すように金型510の内部に配置する。このとき、金型510の形状にあわせて薄膜のうち周面部114となる部位334を折り曲げて、薄膜の積層体400をボディ110aの形状に変形させる。薄膜が張り出し部320aや切れ込み316、切れ込み326を有するときは、ボディ110aの屈曲部またはその近傍において、両側から延在する薄膜を重ね合わせるように、薄膜の積層体400を変形させる。
【0054】
このとき薄膜の積層体を内部に配置する金型は、型面に複数の真空孔を有し、真空孔に連通する真空ポンプにより、型面を真空吸引可能である。薄膜の積層体を配置した後、シリコンパック等のボディ110aの内面形状にあわせた抑え型を金型の内部側(型面とは反対側)に配置し、下型の型面を真空吸引することで、薄膜の積層型を型面に密着させ、金型の形状に変形させることができる。
【0055】
その後、上型をかぶせて型締めする。上型は、型面に圧空口を有し、圧空口に連通する圧空ポンプから、上型の内部に圧縮空気を導入可能である。上型をかぶせて型締めした後、エア漏れ防止のためのプレスをしながら、圧空口から型の内部に圧縮空気を導入する。このときの圧縮空気の圧力は、たとえば0.1MPa以上2MPa以下とすることができる。この圧縮空気の導入により、薄膜の積層体を下型の型面および抑え側の型面により隙間なく密着させることができる。
【0056】
圧縮空気を導入しながら、型の内部を加熱することで、マトリクス樹脂を溶融させ薄膜同士を融着させることができる。このときの加熱温度は、マトリクス樹脂が溶融する温度であればよく、マトリクス樹脂の融点以上、マトリクス樹脂の熱分解温度以下とすることができる。
【0057】
その後、冷却して成形体を脱型することで、図6に示すようにボディ110aを得ることができる。端部にバリなどがあるときは、バリ取りをしてもよい。上記製造方法によれば、従来は薄膜の位置ズレやシワが生じやすかった領域110bに、薄膜の位置ズレやシワが生じにくい。
【0058】
(工程S140:スーツケースの組み立て)
本工程では、成形されたボディ110aに部品を取り付け、スーツケース100を組み立てる。ヒンジにより2つのボディ110aを接続し、シャッターロック122aおよびシャッターロック122b、フレーム120を取り付ける。また、ボディ110aの内側に、内装ボディ、ハンガー、中バンドなどを取り付けてもよい。
【0059】
このようにして、スーツケース100を得ることができる。このスーツケース100は、配列して配置された複数の強化繊維を含む繊維強化樹脂(UDシート、UD織物シート)製なので、軽量でありかつ強度が高い。
【0060】
また、スーツケース100は、繊維強化樹脂の薄膜を積層し、周面部114となる部位を仮固定して成形しているため、薄膜の位置ズレやシワ、特には従来発生しやすかったボディ110aの屈曲部またはその近傍における薄膜の位置ズレやシワが生じにくい。
【実施例0061】
1.材料の用意
UDシートとして、一方向に配列した炭素繊維にポリプロピレンを含浸させたUDシート(三井化学株式会社製、TAFNEX(登録商標)、繊維体積分率(VF):50%、厚差、0.16mm)を用意した。このUDシートを、炭素繊維の配向方向とは直交する方向に切断して12.5mm幅の短冊状シートを作製し、この短冊状シートを平織り状に編み込んで、平織りのUD織物シートを作製した。
【0062】
2.スーツケースのボディの製造
2-1.成形体1の製造(実施例1)
UDシートおよびUD織物シート(平織)を、いずれも図7に示す形状(図中の数字は寸法(単位はmm)および角度を示す。)に切断して、切断されたUDシート2枚およびUD織物シート1枚を、スーツケース内側からUDシート(配向方向は0°(基準))/UDシート(配向方向は90°)/UD織物シートの順になるように積層した。その後、スーツケースの正面部となるシート中央部のうち1箇所、縦3mm×横10mmの領域をはんだごてで(白光株式会社製、FX-100)を用いて加熱して、積層されたシート同士を融着させて仮固定した。その後、仮固定された複数のシートのすべてに、四方の角部から内部方向に切れ込みを入れた。
【0063】
仮固定され、切れ込みを入れられた積層体を、スーツケースのボディ形状(ハーフシェル形状)の金型内にセットし、シリコンパックを被せて真空ポンプでシリコンパック内部のエアを抜いて、積層体を金型形状に沿うように変形させた。その後、圧空用プレートを金型上に乗せ、1MPaの圧力でプレスしながら圧縮空気(圧力0.55MPa)を送り込んで金型内部を加圧した。
【0064】
この状態で、金型加熱装置を用いて金型温度を180℃まで昇温させ、2分間保持した。その後、冷却水を用いて金型を50℃まで冷却し、圧空用プレートおよびシリコンパックを取り外した上で脱型し、スーツケースのボディ形状(ハーフシェル形状)の成形体1を得た。
【0065】
2-2.成形体2、成形体3、成形体6~成形体8、成形体11、成形体12の製造
(実施例2、実施例3、実施例6~実施例8、比較例3および比較例4)
はんだによる仮固定の位置を変更した以外は成形体1と同様にして、成形体2、成形体3、成形体6~成形体8、成形体11および成形体12を製造した。
【0066】
2-3.成形体9の製造(比較例1)
積層されたシートを仮固定しなかった以外は成形体1と同様にして、成形体9を製造した。
【0067】
2-4.成形体10の製造(比較例2)
積層されたシートの全面を加熱して仮固定した以外は成形体1と同様にして、成形体10を製造しようとしたが、積層体が折れてしまい、金型中にセットできなかったため、成形体を製造することができなかった。
【0068】
2-5.成形体4の製造(実施例4)
短冊状シートを綾織りして得た綾織りシートをUD織物シートの代わりに用いた以外は成形体1と同様にして、成形体4を製造した。
【0069】
2-6.成形体5の製造(実施例5)
UD織物シートを用いず、3枚のUDシートを、スーツケース外側から炭素繊維の配向方向が0°(基準)/90°/0°となるように積層した以外は成形体1と同様にして、成形体5を製造した。
【0070】
成形体1~成形体12を製造するときに仮固定のための処理を施した位置を、図8図10にそれぞれ示す。
【0071】
3.評価
3-1.成形性
成形体を成形できたか否か、および成形体に割れが生じていたかどうかをもとに、下記基準で成形性を判定した。
〇 成形体を問題なく成形でき、成形体に割れは生じていなかった
△ 成形体を問題なく成形でき、成形体に微細な割れが生じていたが問題はない程度だった
× 成形体を成形できなかったか、実用上問題がある程度の割れが成形体に生じていた
【0072】
3-2.位置ズレ
成形性の評価が〇または△であった成形体の周面部を目視で観察し、シートの位置ズレの有無をもとに、下記基準で成形性を評価した。
○ 位置ズレがないか、または位置ズレが1箇所のみ認められた
△ 位置ズレが2箇所~4箇所認められた
× 位置ズレが5箇所以上認められた
【0073】
3-3.シワ
成形性の評価が〇または△であった成形体の周面部を目視で観察し、シートのシワの有無をもとに、下記基準で成形性を評価した。
○ シワがないか、またはシワが1箇所のみ認められた
△ シワが2箇所~4箇所認められた
× シワが5箇所以上認められた
【0074】
成形体1~成形体12の評価結果を表1および表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1および表2に示すように、UDシートやUD織物シートを使用してスーツケースのボディを作製する際に、ボディの正面部となる部位のみにおいて積層された複数枚の薄膜を仮固定して成形することで、ボディの屈曲部またはその近傍におけるシートの位置ズレやシワの発生を抑制することができた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に関するスーツケースのボディの製造方法によれば、UDシートやUD織物シートを使用して成形されたボディの屈曲部またはその近傍におけるシートの位置ズレやシワの発生を抑制できる。そのため、本発明は、スーツケースに適用できる材料の範囲を広げ、より軽量かつ高強度なスーツケースの開発および普及に促進すると期待される。
【符号の説明】
【0079】
100 スーツケース
110a ボディ
110b 位置ズレやシワが生じやすい領域
112 正面部
114 周面部
120 フレーム
122a、122b シャッターロック
122c ダイヤルロック
124a キャリーハンドル
124b サイドハンドル
124c メインハンドル
126 キャスター
310、320、330 薄膜
312、322、332 正面部となる部位
314、324、334 周面部となる部位
320a、330a 張り出し部
316、326、336 切れ込み
330b 切り欠け部
400 積層体
410 仮固定のための処理を施された部位
510 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10