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  • 特開-ゴム組成物及びホース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093686
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びホース
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20240702BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240702BHJP
   C08K 3/20 20060101ALI20240702BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08L23/16
C08K3/04
C08K3/20
F16L11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210214
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩
(72)【発明者】
【氏名】吉川 篤志
(72)【発明者】
【氏名】高山 馨
(72)【発明者】
【氏名】小野 明
【テーマコード(参考)】
3H111
4J002
【Fターム(参考)】
3H111BA12
3H111BA13
3H111BA32
3H111CB04
4J002BB151
4J002DA037
4J002DA048
4J002DE076
4J002DE100
4J002EK008
4J002EV270
4J002EV320
4J002FD010
4J002FD017
4J002FD020
4J002FD030
4J002FD070
4J002FD148
4J002FD150
4J002FD206
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】本発明は、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性が優れるゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を80質量%以上含むゴム成分と、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有する、ゴム組成物、及び、これを用いて形成されたホース。
3.5≧EE/(EP×ENB×Mn)×10≧0.7 (I)
式(I)中、EEはエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体のエチレン-エチレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、EPはエチレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、ENBはエチリデンノルボルネンの含有量(質量%)であり、Mnは数平均分子量である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を80質量%以上含むゴム成分と、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有する、ゴム組成物。
3.5≧EE/(EP×ENB×Mn)×10≧0.7 (I)
式(I)中、
EEは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-エチレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
EPは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
ENBは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチリデンノルボルネンの含有量(質量%)であり、
Mnは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体の数平均分子量である。
【請求項2】
前記式(I)におけるEE/(EP×ENB×Mn)×10が、1.0以上3.5以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記酸化マグネシウムの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上10質量部未満である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分の全てが、前記エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記酸化マグネシウムのBET法比表面積が、100m/g以上である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記酸化マグネシウムのBET法比表面積が、100m/g未満である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項7】
ホース用である、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて形成されたホース。
【請求項9】
前記ゴム組成物を用いて形成された最外層を有する、請求項8に記載のホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エチレン-プロピレン-非共役ジエン系共重合体等を含有するゴム組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴムを50~100質量%含有するゴム成分と、酸化マグネシウムブレンド体とを混合して得られるゴム組成物であって、酸化マグネシウムブレンド体が、BET法により測定した比表面積が130m/g以上である酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの混合物であり、酸化マグネシウムブレンド体における、酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの含有割合が、それぞれ、50~90質量%、5~40質量%および5~40質量%であり、酸化マグネシウムの含有量が、ゴム成分100質量部に対して2~20質量部であるゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-46636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エチレン-プロピレン-非共役ジエン系共重合体等を含有するゴム組成物を、例えば、ホースの製造に使用する場合、押出加工性、補強材との接着性、耐候性等が優れることが要求される。
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にしてゴム組成物を調製しこれを評価したところ、上記ゴム組成物は、補強材との接着力が、昨今要求されているレベルよりも低い場合があることが分かった。
【0005】
そこで、本発明は、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性が優れるゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明はホースを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム組成物が、特定のエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を所定の量で含むゴム成分と、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有することによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0007】
[1] 後述する式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を80質量%以上含むゴム成分と、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有する、ゴム組成物。
[2] 後述する式(I)におけるEE/(EP×ENB×Mn)×10が、1.0以上3.5以下である、[1]に記載のゴム組成物。
[3] 上記酸化マグネシウムの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上10質量部未満である、[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4] 上記ゴム成分の全てが、上記エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体である、[1]~[3]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[5] 上記酸化マグネシウムのBET法比表面積が、100m/g以上である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[6] 上記酸化マグネシウムのBET法比表面積が、100m/g未満である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[7] ホース用である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のゴム組成物。
[8] [1]~[6]のいずれか1つに記載のゴム組成物を用いて形成されたホース。
[9] 上記ゴム組成物を用いて形成された最外層を有する、[8]に記載のホース。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゴム組成物は、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性が優れる。
本発明はホースを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のホースの一例について、各層を切り欠いて表した、模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について以下詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本発明に使用される各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
本明細書において、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性のうちの少なくとも1つがより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ということがある。
【0011】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、
下記式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を80質量%以上含むゴム成分と、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有する、ゴム組成物である。
3.5≧EE/(EP×ENB×Mn)×10≧0.7 (I)
式(I)中、
EEは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-エチレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
EPは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
ENBは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチリデンノルボルネンの含有量(質量%)であり、
Mnは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体の数平均分子量である。
【0012】
本明細書では、式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体を「特定EPDM」と称する場合がある。
また、特定EPDM、及び、特定EPDM以外のエチレン-プロピレン-非共役ジエン系共重合体を合わせて、「EPDM」とも称する場合がある。
EPDMは、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、及び、非共役ジエンに由来する構成単位を含む共重合体である。
【0013】
本発明のゴム組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
すなわち、本発明において、式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体(特定EPDM)が、ゴム組成物中における配合剤の分散性、特に酸化マグネシウムの分散を向上させ、このことによって、本発明のゴム組成物は、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性が優れると推察される。
以下、本発明のゴム組成物に含有される各成分について詳述する。
【0014】
[ゴム成分]
本発明のゴム組成物において、ゴム成分は、上記式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体(特定EPDM)を80質量%以上含む。
本発明のゴム組成物は、特定EPDMを所定の量で含有することによって、本発明の効果が優れる。
【0015】
[式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体]
本発明のゴム組成物において、特定EPDMは、上記式(I)を満たすエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体である。
特定EPDMは、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、及び、非共役ジエン(第三成分)としてのエチリデンノルボルネンに由来する構成単位を含む共重合体である。
特定EPDMは、エチレン、プロピレン、及び、エチリデンノルボルネンの三元共重合体であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
特定EPDMを構成するエチレン及びプロピレンは特に制限されない。
特定EPDMを構成するエチリデンノルボルネンとしては、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネンが挙げられる。
【0016】
[式(I)]
本発明のゴム組成物において、特定EPDMは、下記式(I)を満たす。
3.5≧EE/(EP×ENB×Mn)×10≧0.7 (I)
式(I)中、
EEは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-エチレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
EPは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)であり、
ENBは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチリデンノルボルネンの含有量(質量%)であり、
Mnは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体の数平均分子量である。
【0017】
一般的に、ポリマーにおいて、連続した2つのモノマーのユニットをダイアッドという。
EPDMが有し得るダイアッドとして、例えば、エチレン-エチレン連鎖構造、エチレン-プロピレン連鎖構造、プロピレン-プロピレン連鎖構造が挙げられる。
特定EPDMは、エチレン-エチレン連鎖構造、及び、エチレン-プロピレン連鎖構造を少なくとも有する。
エチレン-エチレン連鎖構造は、EPDMにおいて、エチレンによる繰り返し単位2個が連続した構造(ユニット)である。
エチレン-プロピレン連鎖構造は、EPDMにおいて、エチレンによる繰り返し単位1個とプロピレンによる繰り返し単位1個が連続した構造(ユニット)を意味する。
【0018】
上記式(I)におけるEE/(EP×ENB×Mn)×10は、本発明の効果がより優れるという観点から、1.0以上3.5以下であることが好ましく、1.0以上2.0以下であることがより好ましく、1.3~1.8が更に好ましい。
【0019】
[EE]
式(I)中、EEは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-エチレン連鎖構造の含有量(モル%)である。式(I)におけるEEは、後述する「(特定EPDMのEE量等の算出)」で算出された「EE量」と同じ値である。本明細書では式(I)におけるEEを「EE量」と称する場合がある。
【0020】
[EP]
式(I)中、EPは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)である。式(I)におけるEPは、後述する「(特定EPDMのEE量等の算出)」で算出された「EP量**」と同じ値である。本明細書では式(I)におけるEPを「EP量」と称する場合がある。
【0021】
(プロピレン-プロピレン連鎖構造)
特定EPDMは、更にプロピレン-プロピレン連鎖構造を有することができる。
プロピレン-プロピレン連鎖構造は、EPDMにおいて、プロピレンによる繰り返し単位2個が連続した構造(ユニット)を意味する。
本明細書において、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるプロピレン-プロピレン連鎖構造の含有量(モル%)を「PP」ともいう。
特定EPDMが有しうる上記PPは、後述する「(特定EPDMのEE量等の算出)」で算出された「PP量***」と同じ値である。本明細書では上記PPを「PP量」と称する場合がある。
【0022】
特定EPDMのEEは、特定EPDMが式(I)を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れるという観点から、30.0~55.0モル%が好ましく、35.0~45.0モル%がより好ましい。
特定EPDMのEPは、特定EPDMが式(I)を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れるという観点から、40.0~65.0モル%が好ましく、50.0~60.0モル%がより好ましい。
特定EPDMのPPは、本発明の効果がより優れるという観点から、5.0~30.0モル%が好ましく、5.0~15.0モル%がより好ましい。
【0023】
(式(I)におけるEE、EP、及び、上記PPの合計)
式(I)におけるEE、式(I)におけるEP、及び、上記PPの合計(つまりEE量、EP量**、及び、PP量***の合計)は100モル%である。
【0024】
[ENB]
式(I)中、ENBは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチリデンノルボルネンの含有量(質量%)である。
本発明において、式(I)中のENBは、特定EPDMにおけるエチリデンノルボルネンに由来する構成単位の含有量を意味する。本明細書において、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体におけるエチリデンノルボルネンに由来する構成単位の含有量を「ENB量」ともいう。
特定EPDMのENB量は、特定EPDMが式(I)を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れるという観点から、特定EPDM中の6.0~12.0質量%であることが好ましく、7.0~9.5質量%がより好ましい。
【0025】
[Mn]
式(I)中、Mnは、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体の数平均分子量である。
特定EPDMの重量平均分子量(Mn)は、特定EPDMが式(I)を満たせば特に制限されないが、本発明の効果がより優れるという観点から、1万~20万が好ましく、3万~10万がより好ましく、4万~7万が更に好ましい。
【0026】
(特定EPDMのENB量、EE量等の算出)
本発明において、特定EPDMのENB量、EE量、EP量及びPP量は、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C-NMR法)によって以下の方法で測定し、定量し、算出できる。
【0027】
13C-NMRによる分析)
13C-NMRは、積算回数2048回(2時間)の条件下で、インバースゲイトデカップリング法で測定した。
13C-NMR測定用のサンプルとして、EPDM(加硫前)に重クロロホルムを加えて膨潤させたサンプルを用いた。
化学シフトは、重クロロホルムの13Cシグナルを77ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
【0028】
(特定EPDMのENB量の算出)
13C-NMRの積分範囲51ppm~19ppmの全てのピークの積分値の合計(質量比基準)、及び、13C-NMRの積分範囲42.00ppm~40.60ppmのピークの積分値(質量比基準)から、EPDM中のENB量(ジエン量)を以下の式で算出した。
ENB量(質量%)=A/B×100
A:積分範囲42.00ppm~40.60ppmのピークの積分値(質量比基準)
B:積分範囲51ppm~19ppmの全てのピークの積分値の合計(質量比基準)
上記のとおり得られたENB量を、式(I)における「ENB」に代入することができる。
【0029】
(特定EPDMのEE量等の算出)
13C-NMRにおいて、以下の各積分範囲(ppm)でピーク面積の積分を行い、得られた各積分値を用いて以下の式でEE量、EP**量及びPP***量を求めた。なお、EE量等の算出において用いられた各積分値は、19~51ppmの領域に含まれるすべての化学シフトの総積分値(ただし上記総積分値から、共役ジエン由来の構造(例えばENB由来)に帰属されるピークの積分値を除く)に対するモル比基準である。
EE量(モル%)=(9)×0.5+0.25×(8)+(11)×0.5
上記(9)は積分範囲30.68~30.00ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
上記(8)は積分範囲31.00~30.68ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
上記(11)は積分範囲27.80~27.43ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
【0030】
EP量**(モル%)=(2)
上記(2)は積分範囲39.80~35.60ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
【0031】
PP量***(モル%)=(1)+(E1)-4×(E2)
上記(1)は積分範囲49.00~42.00ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
上記(E1)は積分範囲51.00~49.00ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
上記(E2)は積分範囲42.00~40.60ppmにおけるピーク面積の積分値(モル比基準)を表す。
【0032】
各積分範囲におけるピーク面積の積分値を表す記号である(E1)から(11)と、各積分範囲における帰属と、各積分範囲(ppm)を以下にまとめて示す。
記号 : 帰属 :積分範囲(ppm)
(E1):ENB(C1E):51.00~49.00ppm
(1) :Sαα+ENB(C5+C6+C1Z):49.00~42.00ppm
(E2):ENB(C4) :42.00~40.60ppm
(2) :Sαγ+Sαδ :39.80~35.60ppm
(8) :Sγδ :31.00~30.68ppm
(9) :Sδδ :30.68~30.00ppm
(11):Sβγ :27.80~27.43ppm
上記(E1)、(E2)のENBは、5-エチリデン-2-ノルボルネンである。
【0033】
なお、上記帰属について、Sはメチレンを意味する。ギリシア文字は、EPDMにおいて、主鎖上の、メチル基が結合している、最短の、2つの炭素原子間にあるメチレン炭素原子の位置を示し、メチル基が結合している炭素原子の隣の炭素原子をαとする。炭素の表記の例を以下に示す。
【化1】
【0034】
EPDMの帰属、モノマー比、ダイアッド比等の算出について、例えば以下の文献を参照することができる。
1.エチレン―プロピレン系エラストマー(EPDM)のモノマー組成および配列構造解析(NMR) 東ソー 技術レポート:No.T1913 / 2019.12.4
2.Determination of Monomer Sequence Distribution in EPDM by 13C-NMR: Third Monomer Effects[Journal of Applied Polymer Science, Vol. 71, 523-530 (1999)]
3.US 9,543,596 B2
【0035】
(特定EPDMの数平均分子量の測定方法)
本明細書において、EPDM(特定EPDM)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
特定EPDMの数平均分子量の測定条件は以下のとおりである。
・測定器:HLC-8020(東ソー社製)
・カラム:GMH-HR-H(東ソー社製)2本を直列に連結した
・検出器:示差屈折計RI-8020(東ソー社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
EPDM(特定EPDM)の数平均分子量を、式(I)における「Mn」に代入することができる。
【0036】
[特定EPDMの含有量]
本発明のゴム組成物において、特定EPDMの含有量は、ゴム成分中の80質量%以上である。
特定EPDMの含有量がゴム成分中の80質量%以上であることによって、本発明の効果(特に耐候性)が優れる。
【0037】
ゴム成分は、本発明の効果がより優れるという観点から、特定EPDMをゴム成分中の90~100質量%の量で含むことが好ましく、ゴム成分の全てが特定EPDMであることがより好ましい。
【0038】
(その他のゴム成分)
ゴム成分が、特定EPDM以外のゴム成分(その他のゴム成分)を更に含む場合、その他のゴム成分は特に制限されない。例えば、ジエン系ゴムが挙げられ、より具体的には例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;スチレンブタジエンゴムのような芳香族ビニル-ジエン系共重合体が挙げられる。
ゴム成分がその他のゴム成分を更に含む場合、その他のゴム成分は、本発明の効果(特に耐オゾン性)がより優れるという観点から、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含むことが好ましい。
その他のゴム成分の含有量は、本発明の効果がより優れるという観点から、ゴム成分中の0~20質量%であることが好ましく、0~10質量%がより好ましく、0質量%が更に好ましい。
【0039】
[酸化マグネシウム]
本発明のゴム組成物は、酸化マグネシウムを含有する。
【0040】
本発明のゴム組成物に含有される酸化マグネシウムは、本発明の効果(特に補強材との接着性。なかでも繊維補強材との接着性)がより優れるという観点から、酸化マグネシウムのBET法比表面積が100m/g以上であることが好ましく、酸化マグネシウムのBET法比表面積が120~200m/gであることがより好ましい。
本発明のゴム組成物に含有される酸化マグネシウムは、本発明の効果(特に押出加工性)がより優れるという観点から、酸化マグネシウムのBET法比表面積が100m/g未満であることが好ましく、酸化マグネシウムのBET法比表面積が10~50m/gであることがより好ましい。
本発明において、BET法比表面積は、粉体粒子の表面上に占有面積の分かった分子(通常、Nガス)を吸着させ、その吸着量から求められた、試料粉体の比表面積である。
【0041】
(酸化マグネシウムの含有量)
酸化マグネシウムの含有量は、本発明の効果がより優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上10質量部未満であることが好ましく、3質量部以上8質量部以下がより好ましい。
【0042】
[カーボンブラック]
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
【0043】
(よう素吸着量)
本発明のゴム組成物に含有されるカーボンブラックのよう素吸着量は、本発明の効果がより優れるという観点から、20~50mg/gであることが好ましく、20~40mg/gであることがより好ましい。
カーボンブラックのよう素吸着量は、JIS K6217-1:2008に準じて測定できる。
【0044】
(窒素吸着比表面積)
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、本発明の効果がより優れるという観点から、5~50m/gであることが好ましく、20~40m/gであることがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2008に準じて測定できる。
【0045】
(ジブチルフタレート吸油量)
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、本発明の効果がより優れるという観点から、30~130ml/100gであることが好ましく、50~100mg/gであることがより好ましい。
カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K6217-4:2008に準じて、測定できる。
【0046】
(カーボンブラックの種類)
カーボンブラックは、本発明の効果がより優れるという観点から、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT及びMTカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、FEF、GPF、SRF、FT及びMTカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことがより好ましく、FEF及び/又はSRFカーボンブラックを含むことが更に好ましい。
【0047】
(カーボンブラックの含有量)
カーボンブラックの含有量は、本発明の効果がより優れるという観点から、ゴム成分100質量部に対して、70質量部以上であることが好ましく、70~150質量部がより好ましい。
【0048】
[加硫剤]
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含有する。加硫剤としては、例えば、硫黄、又は、過酸化物が挙げられる。
本発明のゴム組成物に含有される加硫剤は、硫黄を含むことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
硫黄は、ゴムの加硫に使用できるものであれば特に制限されない。例えば、従来公知の硫黄が挙げられる。
硫黄の形態は特に制限されない。例えば、油処理されたもの、粉末状のものが挙げられる。
【0049】
(加硫剤の含有量)
加硫剤の含有量(加硫剤が硫黄を含む場合、硫黄の含有量は正味の硫黄の含有量を指す)は、本発明の効果がより優れるという観点から、ゴム成分100質量部に対して、0.65質量部以上であることが好ましく、0.70~3.0質量部がより好ましい。
【0050】
(添加剤)
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、パラフィンオイルのような軟化剤;タルク、シリカ;加硫促進助剤(例えば、ステアリン酸)、酸化亜鉛、加硫遅延剤、加硫促進剤、老化防止剤などが挙げられる。
本発明のゴム組成物が更にタルクを含有する場合、タルクは特に制限されない。例えば従来公知のタルクが挙げられる。
本発明のゴム組成物が更にタルクを含有する場合、タルクの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば10~100質量部とできる。
【0051】
本発明のゴム組成物は、エチレン・プロピレン共重合体(エチレンとプロピレンとの2元共重合体)を含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。なお、エチレン・プロピレン共重合体はEPDMに該当しない。
【0052】
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、上記必須成分と、必要に応じて使用することができる任意成分とを100~180℃の条件下で混合することによって本発明のゴム組成物を製造することができる。
【0053】
(ゴム組成物の加硫)
本発明のゴム組成物を加硫(硫黄加硫又は過酸化物加硫)する方法は特に制限されない。本発明のゴム組成物を、例えば、140~190℃の条件下において加硫することができる。加硫する方法としては具体的には例えば、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)又は温水加硫が挙げられる。本発明のゴム組成物を加硫することによって、硬化物(加硫ゴム)を得ることができる。
【0054】
(用途)
本発明のゴム組成物は、例えば、ホースに適用することができる。
上記ホースとしては、例えば、エアコンのホースが挙げられる。より具体的には例えば、カーエアコンのホースが挙げられる。
本発明のゴム組成物をホースの最外層に適用することが好ましい。
【0055】
[ホース]
本発明のホースは、本発明のホース用ゴム組成物を用いて形成されたホースである。
本発明のホースは、本発明のゴム組成物を用いて形成されること以外は特に制限されない。本発明のホースに使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。本発明のホースのいずれの部材を本発明のゴム組成物で形成するかは特に制限されない。
【0056】
(最外層)
本発明のホースは、本発明のゴム組成物で形成された最外層を有することが好ましい。
最外層の厚みは例えば0.2~4mmとすることができる。
【0057】
本発明のホースは最外層以外に、更に、補強層、最内層及び中間ゴム層からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することができる。最外層は1層又は複数の層であってもよい。最内層、補強層及び中間ゴム層も同様である。
本発明のホースは、例えば、最内層、補強層及び最外層をこの順番で有することができる。
【0058】
(最内層)
本発明のホースが有することができる最内層は特に制限されない。例えば、従来公知の最内層が挙げられる。最内層を形成するために使用される組成物は、例えば、ゴム組成物及び樹脂組成物のいずれであってもよい。
最内層の厚みは例えば0.2~4mmとすることができる。
【0059】
(補強層)
本発明のホースが有することができる補強層は特に限定されない。例えば、従来公知の補強層が挙げられる。
補強層を構成する補強材としては、例えば、金属製の補強材、繊維補強材が挙げられる。
補強材は、本発明の効果がより優れるという観点から、繊維補強材であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。繊維補強材としては、例えばポリアミド、ポリエステル等の化学繊維の補強材が挙げられる。補強層は例えばレゾルシンホルムアルデヒドラテックス(RFL)で表面処理されたものであってもよい。
補強層の形態としては、例えば、スパイラル構造及び/又はブレード構造に編組されたものが挙げられる。
【0060】
本発明のホースの例について添付の図面を参照して説明する。本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明のホースの一例について、各層を切り欠いて表した、模式的な斜視図である。
図1において、ホース1は、最内層2を有し、最内層2の上に補強層3を有し、補強層3の上に最外層4を有する。最外層4を本発明のゴム組成物で形成することが好ましい態様の1つとして挙げられる。補強層3を構成する補強材は繊維補強材であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0061】
本発明のホースはその製造方法について特に制限されない。例えば、マンドレル上に、最内層を形成するための組成物、補強層を形成するための繊維補強材、及び最外層を形成するためのゴム組成物(例えば本発明のゴム組成物)をこの順に積層させて積層体とし、上記積層体をナイロン布などで覆い、上記ナイロン布などで覆われた積層体を140~190℃、30~180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)又は温水加硫することにより加硫して各層を接着させて本発明のホースを製造することができる。
【0062】
本発明のホースの用途としては、例えば、エアコン用ホースが挙げられる。より具体的には例えば、カーエアコンのホースが挙げられる。
【実施例0063】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0064】
<ゴム組成物の製造>
下記表1の各成分及び表3の共通配合に示す成分を各表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、各ゴム組成物を製造した。
具体的には、まず、下記各表に示す成分のうち油処理硫黄及び加硫促進剤を除く成分をバンバリーミキサー(1.5リットル)で5分間混合し、140℃に達したときに放出し、マスターバッチを得た。
次に、上記のとおり得られた各マスターバッチに油処理硫黄及び加硫促進剤を加え、これらをオープンロールで混合し、ゴム組成物を製造した。
【0065】
(押出加工性の評価)
上記のとおり製造された各ゴム組成物を用いて押出加工性の評価を行った。結果を表1(表1-1、1-2。以下同様)に示す。
押出加工性は、ASTM D2230-96に準じ、レオメックス(登録商標)104型ラボ用混合押出試験機(HAAKE社製)により、ASTM A法、即ち、いわゆるガーベイダイを用い、シリンダー温度80℃、ダイ温度80℃、ヘッド温度80℃、スクリュー回転数60rpmに設定して押出成形を行い、上記で得られた各ゴム組成物の押出し物の外観を評価することにより行った。
押出し物の外観は、採点法Bにより評価した。採点法Bは、押出し物の「30°エッジの鋭さと連続性」に関してランク10~1で評価するものである。
本発明において、押出し物の「30°エッジの鋭さと連続性」のランクが7以上であった場合、ゴム組成物の押出加工性が優れると評価した。上記ランクが7より大きい程、押出加工性がより優れる。
一方、上記ランクが7未満であった場合、押出加工性が悪いと評価した。
【0066】
<ホースの製造>
上記のとおり製造された各ゴム組成物を用いて形成されたゴム層(最外層)と、補強材としてのポリエステル繊維A(1100dtexの3本撚り)をRFL処理液でディップ処理して得た補強層とを有するホース状試験片を以下のとおり作製した。
まず、外径34mmのマンドレル上に、上記ポリエステル繊維Aをブレード状に巻き付け、補強層を形成した。
次に、補強層の上に、上記のとおり製造された各ゴム組成物のシート(厚さ2.5mm、未加硫)を貼り合わせて、160℃の条件下で100分間加硫し、ホース状試験片を作製した。
得られた各ホース状試験片について、以下に示す方法により、ゴム層と補強材との接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0067】
<補強材との接着性>
得られた各ホース状試験片から剥離スピード50mm/minでゴム層を剥離したときの剥離力(剥離に必要であった力。単位N/mm)を測定した。
本発明において、上記剥離力が3.4N/mm以上であった場合、ゴム層と補強材との接着性が優れると評価した。上記剥離力が3.4N/mmよりも大きい程、ゴム層と補強材との接着性がより優れる。
一方、上記剥離力が3.4N/mm未満であった場合、ゴム層と補強材との接着性が悪いと評価した。
【0068】
<耐候性>
まず、上記のとおり製造された各ゴム組成物を153℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製し、上記各加硫シートからJIS K6251:2017に準拠したJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。
次に、上記各試験片を20%伸長させ、オゾン濃度100pphm、50℃の条件下で168時間オゾン劣化させた後、試験片の表面における亀裂(オゾンクラック)の有無を目視で評価した。
本発明において、オゾン劣化させた後の試験片の表面に亀裂がなかった場合、耐候性が優れると評価して、これを「〇」と表示した。
一方、オゾン劣化させた後の試験片の表面に亀裂があった場合、耐候性が悪いと評価して、これを「×」と表示した。
耐候性の結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
(EPDM)
・KEP650(商品名):KUMHO社製
・EP65(商品名):ENEOSマテリアル社製
・EPT4070(商品名):三井化学社製
・NORDEL6565XFC(商品名):DOW社製
・Keltan 6950C(CHINA)(商品名):ARLANXEO社製
・エスプレン505(商品名):住友化学社製。
上記のEPDMは、いずれも、エチレン-プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体である。
下記表2に、式(1)中に代入するための、各EPDMのENB、EP、EE及びMn、並びに、EE/(EP×ENB×Mn)×10の値を示す。
【0072】
【表3】

上記表2に示すとおり、KEP650、EP65及びEPT4070は、上記式(I)を満たす。
一方、NORDEL6565XFC、Keltan 6950C(CHINA)及びエスプレン505は、上記式(I)を満たさない。
【0073】
(SBR)
・NIPOL1502(商品名):スチレンブタジエンゴム。日本ゼオン社製
【0074】
・SRFカーボンブラック:商品名アサヒ50、旭カーボン社製。
【0075】
・タルク:商品名MISTRON VAPOR、イメリス社製
【0076】
(酸化マグネシウム)
・MgO30:(商品名)キョーワマグ30、協和化学工業社製。BET法比表面積30m/g。
・MgO150:(商品名)キョーワマグ150、協和化学工業社製。BET法比表面積150m/g
【0077】
・油処理硫黄:細井化学工業社製。油処理硫黄は硫黄を含む。油処理硫黄中の硫黄の濃度は95質量%である。
【0078】
(共通配合)
【表4】
【0079】
表3に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・パラフィンオイル:商品名SUNPAR2280。日本サン石油社製。
・酸化亜鉛(ZnO):酸化亜鉛3種、正同化学工業社製
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸、日本油脂社製
【0080】
・加硫促進剤CM:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド。スルフェンアミド系。サンセラーCM、三新化学工業社製
・加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド。チアゾール系。サンセラーDM、三新化学工業社製
【0081】
表1に示す結果から、酸化マグネシウムを含有しない比較例1は、補強材との接着性が悪かった。
式(I)を満たさないEPDMを含有する比較例2~4、11、12は、少なくとも押出加工性が悪かった。
式(I)を満たさないEPDMをゴム成分の60質量%含有する比較例5は、耐候性が悪かった。
式(I)を満たさないEPDMを含有し、酸化マグネシウムを含有しない比較例6~7、9は、補強材との接着性が悪かった。
式(I)を満たさないEPDMを含有する比較例8は、補強材との接着性が悪かった。
式(I)を満たすEPDMをゴム成分の60質量%含有する比較例10は、耐候性が悪かった。
【0082】
これに対して、本発明のゴム組成物は、押出加工性、補強材との接着性、及び耐候性が優れた。
【符号の説明】
【0083】
1:ホース
2:最内層
3:補強層(補強材)
4:最外層
図1