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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093688
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ポインティングデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20240702BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20240702BHJP
   G05G 1/10 20060101ALI20240702BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
H01H25/04 D
G05G1/10 B
G05G9/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210220
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 進之輔
(72)【発明者】
【氏名】西野 武志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博紀
(72)【発明者】
【氏名】竹前 安紀彦
【テーマコード(参考)】
3J070
5B087
5G031
【Fターム(参考)】
3J070AA04
3J070AA14
3J070CB12
3J070CC71
3J070DA17
3J070DA41
3J070DA61
5B087BC02
5B087BC13
5G031AS02H
5G031AS02J
5G031GS12
5G031GS16
5G031HS23
5G031HU13
(57)【要約】
【課題】複雑な構造を用いることなく、傾斜及び回転操作が可能なポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】基板と、基板に対して傾斜及び回転可能に設けられる操作部と、操作部と連結され、操作部の傾斜に伴って基板に対して傾斜可能であると共に、操作部の回転に伴って回転可能に設けられる支持部と、支持部と連結され、支持部の回転に連動して回転する回転部材と、を備えるポインティングデバイスである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に対して傾斜及び回転可能に設けられる操作部と、
前記操作部と連結され、前記操作部の傾斜に伴って前記基板に対して傾斜可能であると共に、前記操作部の回転に伴って回転可能に設けられる支持部と、
前記支持部と連結され、前記支持部の回転に連動して回転する回転部材と、
を備えるポインティングデバイス。
【請求項2】
前記回転部材は前記基板と平行な面内で回転する、請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記支持部は、前記基板側に配置される基部と、該基部の頂部から延び前記操作部に結合される軸部とを有する支持部材と、
前記支持部材の前記基部と連結されるホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記操作部の傾斜に伴って前記支持部材と一体的に傾斜可能かつ前記支持部材を回転可能に保持する、請求項1または2に記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
前記支持部を傾斜可能に保持するハウジングを備え、
前記ハウジングは前記操作部の回転に伴う前記ホルダの回転を規制する、請求項3に記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
前記基部は前記軸部の軸線を中心軸とする外周面を有し、該外周面には周方向に複数の突起が形成され、
前記回転部材には、前記複数の突起と係合する複数の溝部が形成され、
前記複数の突起と前記複数の溝部の係合により前記支持部の回転が前記回転部材に伝達される、請求項3に記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
前記回転部材と、前記支持部とを収容する円筒状のカバーを備え、
前記回転部材は、前記操作部の押下に伴って前記カバーの円筒状の内周面に沿って前記基板と垂直な方向に摺動可能に円筒状に形成されている、請求項5に記載のポインティングデバイス。
【請求項7】
前記回転部材は円筒状の外周面を有し、該外周面には前記回転部材の軸線方向に延びる凸部及び凹部が形成され、
前記カバーには、該カバーの中心軸線に対する径方向に弾性変形可能な棒状の当接部が形成され、
前記当接部の一端には前記中心軸線側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記凸部と接触し前記径方向外側に押圧される、請求項6に記載のポインティングデバイス。
【請求項8】
前記回転部材は円筒状の外周壁を有し、該外周壁の軸線方向の一端部には該一端部より前記軸線方向に延びる少なくとも一つの突起が形成されており、
前記基板上には、前記突起を検出することで前記回転部材の回転を検出する検出器が配置されている請求項2に記載のポインティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、医用機器、工作機械、ゲーム機器など各種装置において座標入力を操作するためにポインティングデバイスが広く用いられている。
【0003】
傾斜操作及び回転操作が可能なポインティングデバイスが知られている。特許文献1のポインティングデバイスでは、基板に対して傾斜及び回転可能に設けられた操作部材と、操作部材の内壁から突出した突起が入る穴部を備える回転部材とを有し、回転部材は、操作部材の回転に伴って突起が穴部の縁に接触することにより操作部材に連動して回転する。
【0004】
また、操作部材の傾倒操作、回転操作及び押込み操作が可能に構成された多方向入力装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-107178号公報
【特許文献2】実用新案登録第3173137号公報
【特許文献3】特開2015-210996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
操作部材の傾斜操作に加えて回転操作を可能とすることは一般にポインティングデバイスの構造を複雑化する。本発明は、複雑な構造を用いることなく、傾斜及び回転操作が可能なポインティングデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、基板と、基板に対して傾斜及び回転可能に設けられる操作部と、操作部と連結され、操作部の傾斜に伴って基板に対して傾斜可能であると共に、操作部の回転に伴って回転可能に設けられる支持部と、支持部と連結され、支持部の回転に連動して回転する回転部材と、を備えるポインティングデバイスである。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、複雑な構造を用いることなく傾斜及び回転操作が可能なポインティングデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るポインティングデバイスの外観を示す斜視図である。
図2】ポインティングデバイスの上面図及び側面図を示す図である。
図3】ポインティングデバイスの分解斜視図である。
図4】ポインティングデバイスの断面図である。
図5】操作部を傾斜させた状態のポインティングデバイスの断面図である。
図6】スライダを上方側から見た場合の斜視図である。
図7】スライダとスティックとの連結状態を底面側から見た斜視図である。
図8】スティックとホルダの構成を示す斜視図である。
図9】スライダの回転を検出するための機構を表す図である。
図10】カバーの断面図である。
図11】カバーの当接部が形成された部分を内面側から見た斜視図である。
図12】カバーの当接部とスライダの接触を説明するための斜視図である
図13】ポインティングユニットを用いて表したポインティングデバイスの分解斜視図である。
図14】スライダ検出機構に関する変形例を表す図である。
図15】ポインティングデバイスの変形例の分解斜視図である。
図16図15のポインティングデバイスの断面図である。
図17図15のポインティングデバイスの詳細な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面において、同様の構成部分または機能部分には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、図面に示される形態は本発明を実施するための一つの例であり、本発明は図示された形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、一実施形態に係るポインティングデバイス10の外観を示す斜視図である。図2に、ポインティングデバイス10の上面図(符号90A)及び矢印S1方向から見た側面図(符号90B)を示す。図3に、ポインティングデバイス10の分解斜視図を示す。ポインティングデバイス10は、図1に矢印Aで示すように操作部1を傾斜させる操作と、矢印Bで示すように操作部1を軸線X周りで回転させる操作と、矢印Cで示すように操作部1を押下する操作とを行うことができるように構成される。ポインティングデバイス10は、例えば、コンピュータ、医用機器、ゲーム機器などの操作入力装置として用いられる。なお、説明の便宜のため、ポインティングデバイス10を図1のように配置した場合に操作部1が配置される側を上側、ロアカバー8が配置される側を下側として上下方向を定める。
【0012】
操作部1、カバー2、カバー2内部の部材、及び基板7を含む構成部品は一体的に組立体100(図13参照)として組み上げられ、操作部1に対する押下操作により一体となってロアカバー8に対して矢印C方向(上下方向)に移動可能となっている(図1及び図2)。
【0013】
図3に示すように、ポインティングデバイス10は、操作部1と、カバー2と、スプリング3と、スライダ4と、支持部5と、ハウジング6と、基板7と、ロアカバー8とを備える。支持部5は、スティック51とホルダ52とを有する。ホルダ52の内部にマグネット53(永久磁石)が保持される。操作部1、カバー2、スライダ4、スティック51、ホルダ52、及びハウジング6は、例えば、プラスチック等の樹脂系材料により構成されるが、他の材料が用いられても良い。
【0014】
図4に、ポインティングデバイス10を、操作部1の軸部12の軸線Xに沿った面で切断した場合の断面図を示す。図5は、ポインティングデバイス10を軸線Xに沿った面で切断した場合の断面図であって、操作部1を傾斜させた状態を示す。図4及び図5に示すように、操作部1は支持部5によって支持されている。操作部1を傾斜させると操作部1と支持部5が一体となって傾斜する。支持部5は、ハウジング6上で傾斜可能なように保持されている。支持部5が傾斜するとき、カバー2内部でスライダ4がスプリング3の付勢力に抗して上昇する。したがって、操作部1を傾斜する力を解除すると、操作部1は元の鉛直な状態(図4)に戻る。以下の詳細な説明において、これらの断面図を適宜参照する。
【0015】
図1及び図2に示すように、操作部1は、半球のドーム状のドーム部11、ドーム部の頂部から上方へ伸びる軸部12、及び軸部12の先端部に設けられた摘み13を有する。
【0016】
操作者は、摘み13に手を触れて矢印Aで示されるように操作部1全体を任意の外周方向に任意の角度で傾斜させることができる。これにより、操作者は、例えば、コンピュータ画面に表示されるポインタを移動させて特定の座標を指定する操作を行うことができる。
【0017】
操作者は、指で摘み13を摘まんだまま、摘み13を矢印Bで示すように、軸部12の軸線Xを中心として回転させることで操作部1を回転させることができる。これにより、操作者は、例えばコンピュータ画面に表示されている操作メニューを選択する操作を行うことができる。なお、本実施形態では、軸部12及び摘み13は円柱形状に形成されているが、これは例示であり、例えば多角柱状の形状を有していても良い。
【0018】
図3に示すように、カバー2は、平板上の基部21と、円筒状に形成された筐体部22とを有する。カバー2は、カバー2の底面側に取り付けられる基板7との間に形成される内部空間にスプリング3、スライダ4、支持部5及びハウジング6を収容する。
【0019】
スライダ4は、スティック51の回転に連動して回転するよう構成された回転部材である。後述するようにスティック51は操作部1の回転操作に伴って回転するため、スライダ4は操作部1の回転により回転する。すなわち、スライダ4は、操作部1の回転を検出するための機構を構成する。図6は、スライダ4を上方側から見た場合の斜視図である。図6に示すように、スライダ4は、内側円筒部41aと外側円筒部41bとが連結されたような二重の円筒状の構造を有する。内側円筒部41aと外側円筒部41bとの間の溝部41には、スプリング3の一端が収容される(図4参照)。外側円筒部41bの外周面には全周にわたり凹凸4bが形成されている。また、外側円筒部41bの下端部の円筒壁部には全周にわたり下方に延びる複数の突起4dが周方向に等間隔で設けられ、突起4dの間にはそれぞれスリット4cが形成されている。内側円筒部41aの中央部には、円形の開口4aが形成されている。スティック51が、この開口4aを貫通して上方側に臨み操作部1と連結する。
【0020】
図7は、スライダ4とスティック51との連結状態を底面側から見た斜視図である。図7では、説明のため、スライダ4及びスティック51を軸線方向に平行な面で部分的に切り取った状態を示す。図6及び図7に示すように、スライダ4の内部上面43の開口4aに沿った縁部には、周方向に等間隔で複数の溝部42が形成されている。複数の溝部42は、内部上面43を上方側に凹ませた凹部として形成されている。したがって、スライダ4は、内部上面43によりスティック51を上方から押える作用も有する。複数の溝部42は、後述するスティック51の外周に形成された複数の突起51c(図8参照)と嵌合するように形状及び間隔が定められている。すなわち、スティック51の複数の突起51cとスライダ4の複数の溝部42とは、操作部1の回転を伝達するギア機構を構成している。
【0021】
図4及び図5の断面図に示すように、スプリング3の一端はスライダ4の溝部41に嵌まり込み、スプリング3の他端はカバー2の内部上面に当接している。これによりスライダ4は、カバー2の内部空間でスプリング3により下方に付勢され、支持部5(スティック51)を下方側に付勢する作用も有する。
【0022】
支持部5は、操作部1を下方より支持する。図3及び図8に示すように、支持部5は、支持部材としてのスティック51と、スティック51の下端部に嵌合するホルダ52とを有する。スティック51は、ホルダ52に対して支持部5の軸線周りに回転可能な状態で連結される。ホルダ52は、マグネット53を保持するための保持部52aを有する(図4参照)。スティック51がホルダ52に取り付けられた状態で、マグネット53は、保持部52a内で位置が固定された状態で保持される。
【0023】
スティック51は、半球状の基部51aと基部51aの頂部から上方に延びる軸状の連結部51bとを有する。基部51aの下端の周縁部には、基部51aの下端の周方向全周にわたり複数の突起51cが形成されている。連結部51bは、円柱部材の周面上に対向する二つの平面部を形成した形状を有する。連結部51bは、操作部1の内面側の頂部に形成された係合孔12a(図4参照)に挿入され固定される。
【0024】
ホルダ52は、上部側に円形の開口有する筒状に形成され、下面は半球状に形成されている(図4及び図5参照)。ホルダ52の筒状に形成された外周壁の内側底部には、マグネット53を収容可能な保持部52aが形成されている。ホルダ52の筒状の外周壁の底部寄りの位置には、周方向の全周にわたり複数の突起52cが形成されている。
【0025】
支持部5の下側にハウジング6が配置され、ハウジング6はカバー2の下面に取り付け固定される(図4及び図5参照)。図3に示すように、ハウジング6は、略円形の外周形状を有する板状の部材である。ハウジング6の上面中央部には、支持部5を乗せるための球面上に窪んだ凹部61が形成されている。凹部61の形状は、ホルダ52の半球面状の底部外周面の形状と略整合する。上記構成により、ハウジング6の凹部61に乗せられた状態の支持部5は、操作部1の傾斜操作に伴って傾斜することができる(図4及び図5参照)。
【0026】
凹部61の周囲には、周方向に沿って複数の突起62が形成されている。複数の突起62の各々は、凹部61に乗せられた状態のホルダ52の複数の突起52cと干渉する高さに形成されている。この構成により、支持部5が凹部61に乗せられた状態において、ホルダ52が回転しようとすると、ホルダ52の複数の突起52cが、ハウジング6の複数の突起62と当接してホルダ52の回転を防ぐ。
【0027】
操作部1の回転操作によりスティック51は回転する。このとき、ホルダ52の突起52cが、ハウジング6の凹部61の周囲に形成された突起62に当たるためホルダ52は回転せず、スティック51のみが回転する(図3及び図8)。したがって、操作部1が回転操作される場合においてもマグネット53が回転しないように、マグネット53を保持部52a内に安定して保持することができる。
【0028】
操作部1に対する傾斜操作の検出機構を説明する。上述したように、支持部5は、ハウジング6上で傾斜可能に保持される。ハウジング6の下面側には基板7が固定される。したがって、支持部5は、操作部1に対する傾斜操作にしたがって基板7に対して傾斜する(図5)。基板7上の支持部5の直下の箇所には複数の磁電変換素子181が配置されている(図3図5参照)。支持部5の傾斜によるマグネット53と磁電変換素子181との位置関係の変化に応じて磁電変換素子181の位置における磁界は変化するため、マグネット53の磁界の変化を磁電変換素子181で検出することにより支持部5の傾斜角度、すなわち、操作部1の傾斜角度が検出される。上述したように、操作部1を回転操作した場合、スティック51はそれに連動して回転する一方で、ホルダ52は回転しない。したがって、操作部1を傾斜させた状態で回転操作してもマグネット53は回転しないようにホルダ52内で保持されるため、操作部1の傾斜状態を精確に検出できる。
【0029】
図4及び図5の断面図に示すように、スライダ4は、筒状の筐体部22の内壁面に対して上下方向に摺動可能なように筐体部22内に配置されている。スライダ4は、筐体部22内部において、スプリング3の付勢力により支持部5を下方に付勢している。図5に示すように操作部1を傾斜させると支持部5も操作部1と一体となって傾斜する。このとき、スティック51の複数の突起51cは、図5における横方向の一方の側が上方に上がる。スライダ4は、上方に上がる突起51cに押されて筐体部22の内壁面を摺動して上方に移動する。このとき、スプリング3の付勢力により、突起51cの上方に上がった部分とスライダ4の溝部42との連結は安定して維持される。したがって、支持部5が傾斜した状態においても、操作部1の回転は、スライダ4に確実に伝達される。
【0030】
このように、スティック51の傾斜状態によらず、スライダ4は常に基板7と平行な面内で回転するように、筐体部22内に保持される。スライダ4の外周面の凹凸4bは、カバー2の筐体部22の内壁面との接触面積を低減し、内壁面に対する摺動を円滑にする作用も備える。
【0031】
操作部1の回転操作の検出機構について説明する。操作部1を回転操作すると、操作部1の回転はスティック51とスライダ4間のギア機構により伝達されスライダ4は回転する。図9は、筐体部22の内部空間において基板7上に搭載された状態のスライダ4及び支持部5の斜視図を示す。図9中の右側には、光検出器171近辺の部分拡大図を示す。図9中に矢印で示すように、スティック51の回転に連動してスライダ4は回転する。基板7上には、スライダ4の回転を検出するための光検出器171が配置されている。光検出器171は、例えば、発光部と受光部とを有し、発光部と受光部間の検出領域171aにおける物体の有無を検出可能なフォトインタラプタである。光検出器171は、回転するスライダ4のスリット4cが形成された円筒部が、検出領域171aに位置するように基板7上に配置されている。これにより、操作部1の操作に連動して回転するスライダ4の回転量が、光検出器171からのパルス信号として検出される。
【0032】
操作者が操作部1を回転操作するときに操作者に操作感を与えるための構成について説明する。図10は、カバー2をその中心軸線C1及び当接部22aを含む平面で切断した場合の断面図である。図11は、カバー2の当接部22aが形成された部分を内面側から見た斜視図であって、カバー2の図中手前側の部分を切断して内部構造を表す図である。図12は、カバー2の当接部22aとスライダ4の接触を説明するための斜視図であって図中手前側の構成部分を切断して内部の状態を表した図である。
【0033】
図10から図12に示すように、筐体部22の周壁の矩形状に切り欠かれた部分には、基部21から上方に向かって延びる弾性変形可能な棒状の当接部22aが形成されている。当接部22aは、一端が基部21と一体に形成され、他端は自由端である。当接部22aは、筐体部22の中心軸C1を基準とする径方向に弾性変形して撓み得る。当接部22aは、先端部分において中心軸線C1側に突き出た突出部22bを有している。
【0034】
図12に示すように、カバー2の内部空間において、当接部22aの突出部22bは、スライダ4の外周の凹凸4bの凸部と干渉する位置に位置付けられている。これにより、スライダ4の回転に伴って、突出部22bは凹凸4bの凸部との接触を繰り返して、中心軸線C1に対する径方向に振動する動作を示す。これにより、摘み13を回転操作する操作者に、荷重変動による操作感を与えることができる。
【0035】
操作部1を押下する図1中の矢印C方向の操作を検出するための機構について説明する。図3に示すように、カバー2の内部空間にスプリング3と、スライダ4と、支持部5とを収容し、下方からハウジング6をカバー2の下面に取り付け固定することで、ポインティングユニット200が構成される。ポインティングユニット200の上方から突き出る連結部51bに操作部1が取り付け固定される。基板7は、カバー2の基部21の底面に対して位置決めされた状態で取り付け固定される。操作部1と、ポインティングユニット200と、基板7とにより、ロアカバー8に対して上下方向に移動可能な組立体100が形成される。
【0036】
ロアカバー8の四隅の位置には4つのねじ191を貫通させるための貫通孔81が設けられている(図4)。カバー2の基部21の底面側の四隅の位置には、ねじ191をねじ込むためのねじ穴24が形成されている(図13)。図4の断面図に示されているように、ねじ191をロアカバー8の底面側から貫通孔81に貫通させてカバー2のねじ穴24にねじ込む。このとき、ねじ穴24を形成する円筒状の周壁25の外側に、周壁25と同軸となるようにスプリング192を配置する。スプリング192は、ロアカバー8の貫通孔81周囲の上面と、カバー2の基部21における周壁25の周囲の下面との間で圧縮されて弾性変形した状態となっている。したがって、一体化されている上部の組立体100は、スプリング192によってロアカバー8の底壁84から浮いた状態で、ロアカバー8に連結される。
【0037】
図4に示すように、基板7の裏面の、操作部1の軸線Xに対応する位置には、タクトスイッチ195が実装されている。操作部1からの押圧力が作用しない状態で、タクトスイッチ195は、ロアカバー8の底面の中央部に形成された凸部85とは接触しない位置にある。操作部1を押し下げ操作することで、組立体100が降下し、タクトスイッチ195が凸部85と接触する。これにより、操作部1の押下操作が検出される。操作部1の押下を解除すると、スプリング192の上方への付勢力により組立体100が上昇し、操作部1は上方の位置に戻る。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、支持部材としてのスティック51を操作部1の回転操作に連動して回転可能な構成とした。その上で、スライダ4にスティック51の回転に連動して回転し操作部1の回転操作を検出する機能を持たせる構成とした。この構成により、部品の増加や構成の複雑化を招くことなく、操作部1の回転操作を検出することができる。
【0039】
すなわち、本実施形態によれば、複雑な構造を用いることなく傾斜及び回転操作が可能なポインティングデバイスを実現することができる。また、本実施形態によるポインティングデバイスによれば省スペース化及び低コスト化を実現することができる。
【0040】
また、スティック51とスライダ4は複数の突起51cと複数の溝部42とからなるギア機構により連結する構成としている。この構成によれば、操作部1の回転を、ガタツキ等を招くことなく精確に伝達することができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態によれば、複雑な構造を用いることなく押下、傾斜及び回転操作が可能であると共に、精確な操作入力を行うことのできるポインティングデバイスが実現される。
【0042】
以上、典型的な実施形態を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなしに、上述の各実施形態に変更及び種々の他の変更、省略、追加を行うことができるのを理解できるであろう。
【0043】
図14は、回転操作の検出方式に関する変形例を説明するための図である。本変形例は、光検出器171でスライダ4の回転を検出する構成に替えて、静電容量式でスライダの回転を検出する方式とする。本例では、スライダ40Aの外周面の軸方向一端部に下方に延びる単一の突起4dを設ける構成としている。基板7Aには、静電容量式に突起4dの移動を検出するための複数のパッド76を形成する。複数のパッド76は、スライダ40Aの回転に伴って突起4dが回転する円状の軌跡に沿った位置に配置する。複数のパッド76の各々は、静電容量の変化を検出する検出回路に接続される。これにより、スライダ40Aの回転が、突起4dの回転に伴う複数のパッド76における静電容量の変化として検出される。複数のパッド76及び静電容量の変化を検出する検出回路はスライダ40Aの回転を検出する検出器として機能する。
【0044】
以下、操作部の押下を検出可能とするための構成の変形例としてのポインティングデバイス10Bについて図15から図17を参照し説明する。図15は、ポインティングデバイス10Bの分解斜視図であってポインティングユニット200Bを構成部品として用いて表した図である。図16は、操作部1の軸線を含む平面で切断したポインティングデバイス10Bの断面図である。図17は、ポインティングデバイス10Bの分解斜視図である。
【0045】
図15に示すように、本例では、操作部1、ベース202、及びポインティングユニット200Bからなる組立体100Bを基板207に対して板ばね部材201により浮き上がらせた状態で連結する構成とする。
【0046】
図17に示すように板ばね部材201は、略矩形状に形成され、中央部に矩形状の開口201aを有する。板ばね部材201の4つの辺のうちの一つの辺は、基板207上の光検出器171と干渉しないように切り欠かれた形状となっている。板ばね部材201の四隅には、ねじ291を通すための孔201bが形成されている。
【0047】
基板207は上面視矩形の形状を有し、四隅の位置にはねじ291を通すための孔207aが形成されている。基板207上には、上述の実施形態と同様にスライダ4の回転を検出するための光検出器171が実装されている。基板207の上面中央部には、タクトスイッチ271が実装されている。タクトスイッチ271は、操作部1の押下操作によりポインティングユニット200Bが下降した際にポインティングユニット200Bに押されることで、ポインティングユニット200Bの降下を検出する(図16参照)。
【0048】
図17では、上述の実施形態におけるポインティングデバイス10と同一の部材には同一の符号を示し説明は省略乃至は簡略化する。図17に示すように、ポインティングデバイス10Bは、操作部1、ベース202、カバー220、スプリング3、スライダ4、支持部5、ハウジング206、板ばね部材201、及び基板207を備える。
【0049】
ベース202及びカバー220は、上述の実施形態におけるカバー2と実質的に同一の構成及び機能を有する。スティック51、ホルダ52及びマグネット53を含む支持部5は、上述の実施形態と同一である。ハウジング206は、上述の実施形態におけるハウジング6と同様の作用を持つ凹部61と複数の突起62とを有する。ハウジング206は、外周部の4箇所に、ねじ292(一部のみ図示する)によりカバー220に固定するための孔206aを有している。カバー220、スプリング3、スライダ4、支持部5及びハウジング206により図16のポインティングユニット200Bが構成される。
【0050】
板ばね部材201、ポインティングユニット200B及びベース202を基板207上に搭載し、ねじ291を基板207の下方より、基板207の孔207a及び板ばね部材201の孔201bを通してベース202にねじ止めする。ねじ291はベース202を固定する一方で、ポインティングユニット200Bは固定しない。したがって、ポインティングユニット200B(図15参照)は、板ばね部材201により基板207に対して浮いた状態で連結される。板ばね部材201による上方への付勢力に抗して操作部1を押下すると、ポインティングユニット200Bの降下がタクトスイッチ271により検出される。
【0051】
なお、ポインティングデバイス10Bにおける操作部1の傾斜操作、及び回転操作の検出に関する構成は上述の実施形態におけるポインティングデバイス10の構成と同様である。
【0052】
ポインティングデバイス10Bにおいても上述の実施形態におけるポインティングデバイス10と同等の機能及び効果が提供される。
【符号の説明】
【0053】
1 操作部、2 カバー、3 スプリング、4、40A スライダ、4a 開口、4b 凹凸、4c スリット、4d 突起、5 支持部、6 ハウジング、7、7A 基板、8 ロアカバー、10、10B ポインティングデバイス、11 ドーム部、12 軸部、13 摘み、21 基部、22 筐体部、22a 当接部、22b 突出部、41a 内側円筒部、41b 外側円筒部、42 溝部、43 内部上面、51 スティック、51a 基部、51b 連結部、51c 突起、52 ホルダ、52c 突起、53 マグネット、61 凹部、76 パッド、85 凸部、100、100B 組立体、171 光検出器、171a 検出領域、192 スプリング、200、200B ポインティングユニット、201 板ばね部材、202 ベース、206 ハウジング、207 基板、220 カバー、291 ねじ
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