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  • 特開-気体透過性シート、および包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093713
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】気体透過性シート、および包装体
(51)【国際特許分類】
   D21H 13/14 20060101AFI20240702BHJP
   D21H 13/08 20060101ALI20240702BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240702BHJP
   D21H 17/25 20060101ALI20240702BHJP
   B32B 23/06 20060101ALI20240702BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
D21H13/14
D21H13/08
D21H27/00 E
D21H17/25
B32B23/06
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210258
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501033648
【氏名又は名称】四国トーセロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清野 和浩
(72)【発明者】
【氏名】久我 栄誉
(72)【発明者】
【氏名】中村 友哉
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直登
(72)【発明者】
【氏名】上野 智士
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB05
3E086BB51
3E086CA29
3E086DA06
4F100AJ04B
4F100AJ05C
4F100AK03A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG10A
4F100DG10B
4F100EJ82A
4F100EJ82B
4F100GB15
4F100JD04
4F100JD05
4F100JK06
4L055AF09
4L055AF15
4L055AH21
4L055AJ01
4L055EA04
4L055EA06
4L055EA07
4L055EA12
4L055EA32
4L055FA11
4L055FA13
4L055FA14
4L055GA05
(57)【要約】
【課題】通気性の低下を抑制しつつ、液体保持性を高め、かつヒートシール強度をより高めることができる気体透過性シート、およびこれを用いた包装体を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層と、天然パルプ層と、を有する合成紙と、前記合成紙と複合化された再生セルロースと、を含む、気体透過性シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層および天然パルプ層を有する合成紙と、
前記合成紙と複合化された再生セルロースと、
を含む、気体透過性シート。
【請求項2】
前記再生セルロースは、前記天然パルプ層の表面に、再生セルロース層を形成している、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項3】
前記再生セルロースは、前記天然パルプ層または前記合成パルプ層の内部に含侵されている、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項4】
前記再生セルロースは、その一部が前記天然パルプ層の表面に再生セルロース層を形成しており、他の一部が前記天然パルプ層または前記合成パルプ層の内部に含侵されている、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項5】
前記ポリオレフィン合成パルプの含有量は、前記ポリオレフィン合成パルプおよび前記天然パルプの合計質量に対して49質量%以下である、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項6】
前記気体透過性シートの透湿度は、1000g/m・day以上7000g/m・day以下である、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項7】
温度200℃、圧力0.1MPaで3秒間ヒートシールしたときのヒートシール強度が1.5N/15mm以上である、請求項1に記載の気体透過性シート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の気体透過性シートを袋状に加工してなる袋体と、
前記袋体に収容された機能性材料と、を有する、
包装体。
【請求項9】
前記機能性材料は、芳香剤、防虫剤、消臭剤、酸化防止剤、防塵剤、抗菌剤、および抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも1種の機能性物質を含む、請求項8に記載の包装体。
【請求項10】
前記袋体は、前記機能性材料を密封している、請求項8に記載の包装体。
【請求項11】
前記袋体は、前記気体透過性シートがヒートシールされて形成されている、請求項8に記載の包装体。
【請求項12】
前記機能性物質は、芳香剤である、請求項9に記載の包装体。
【請求項13】
前記機能性材料は、液体である、請求項8に記載の包装体。
【請求項14】
前記袋体は、開閉可能な開口部を有する、請求項8に記載の包装体。
【請求項15】
吊り下げ可能に構成されている、請求項8に記載の包装体。
【請求項16】
前記袋体は、前記機能性材料を収容するための複数の収容部を有し、
複数の前記機能性材料が前記複数の収容部のそれぞれに収容される、
請求項8に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体透過性シート、および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香剤、殺虫剤および吸水剤などの機能性物質を含む機能性材料を収容する袋体を有する包装体が知られている。例えば、機能性物質として芳香剤を用いるときは、芳香剤からの揮発成分が袋体の外部へ透過することで、包装体は芳香部材として機能する。また、例えば、機能性物質として吸水剤を用いるときは、外部の水分(気体)が袋体内部に透過して吸水剤に吸収されることで、包装体は吸湿部材として機能する。
【0003】
このような包装体に用いられる袋体は、通常、気体透過性を有するシートを袋状に加工して作製される。上述のような包装体の諸機能を発揮させる観点から、上記シートは高い通気性を有することが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献1では、ポリエステル不織布をヒートシールして作製した袋体に、防虫剤を収納した包装体が開示されている。特許文献1では、上記ポリエステル不織布を通気性材料として用いたことで、防虫剤の揮散性が高まり、防虫効果を良好にすることができたとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-040409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、天然パルプ紙、および天然パルプと合成パルプとを含む合成紙は、通気性が高いとされている。これらを用いた包装体では、液体の機能性材料を用いたときに、機能性材料が包装体の外部へ漏れ出てしまい、機能性材料を保持できない問題が生じた。一方で、液体保持性が高い材料(例えば、ポリプロピレン)製のシートを用いると、通気性が低下してしまった。そのため、通気性の低下を抑制しつつ、液体保持性を高めた気体透過性シートへの要望が存在する。
【0007】
さらに、上記シートはヒートシールされることで袋状に加工され得るため、上記シートのヒートシール強度を高めたいという要望も存在する。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、通気性の低下を抑制しつつ、液体保持性を高め、かつヒートシール強度をより高めることができる気体透過性シート、およびこれを用いた包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための、本発明の一態様は、[1]~[8]の気体透過性シートに関する。
[1]ポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層および天然パルプ層を有する合成紙と、前記合成紙と複合化された再生セルロースと、を含む、気体透過性シート。
[2]前記再生セルロースは、前記天然パルプ層の表面に、再生セルロース層を形成している、[1]に記載の気体透過性シート。
[3]前記再生セルロースは、前記天然パルプ層または前記合成パルプ層の内部に含侵されている、[1]に記載の気体透過性シート。
[4]前記再生セルロースは、その一部が前記天然パルプ層の表面に再生セルロース層を形成しており、他の一部が前記天然パルプ層または前記合成パルプ層の内部に含侵されている、[1]に記載の気体透過性シート。
[5]前記ポリオレフィン合成パルプの含有量は、ポリオレフィン合成パルプおよび前記天然パルプの合計質量に対して49質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の気体透過性シート。
[6]前記気体透過性シートの透湿度は、1000g/m・day以上7000g/m・day以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の気体透過性シート。
[7]温度200℃、圧力0.1MPaで3秒間ヒートシールしたときのヒートシール強度が1.5N/15mm以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の気体透過性シート。
【0010】
また、上記課題を解決するための、本発明の一態様は、[8]~[17]の包装体に関する。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の気体透過性シートを袋状に加工してなる袋体と、前記袋体に収容された機能性材料と、を有する、包装体。
[9]前記機能性材料は、芳香剤、防虫剤、消臭剤、酸化防止剤、防塵剤、抗菌剤、および抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも1種の機能性物質を含む、[8]に記載の包装体。
[10]前記袋体は、前記機能性材料を密封している、[8]または[9]に記載の包装体。
[11]前記袋体は、前記気体透過性シートがヒートシールされて形成されている、[8]~[10]のいずれかに記載の包装体。
[12]前記機能性物質は、芳香剤である、[9]~[11]のいずれかに記載の包装体。
[13]前記機能性材料は、液体である、[8]~[12]のいずれかに記載の包装体。
[14]前記袋体は、開閉可能な開口部を有する、[8]~[13]のいずれかに記載の包装体。
[15]吊り下げ可能に構成されている、[8]~[14]のいずれかに記載の包装体。
[16]前記袋体は、前記機能性材料を収容するための複数の収容部を有し、複数の前記機能性材料が前記複数の収容部のそれぞれに収容される、[8]~[15]のいずれかに記載の包装体。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、通気性の低下を抑制しつつ、液体保持性を高め、かつヒートシール強度をより高めることができる気体透過性シート、およびこれを用いた包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、合成パルプ層と天然パルプ層とが積層している状態を観察した、合成紙の断面画像である。
図2図2は、実施例における気体透過性シート1の断面画像である。
図3図3は、実施例における気体透過性シート2の断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0014】
1.気体透過性シート
本実施の形態に係る気体透過性シートは、ポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層と、天然パルプ層と、を有する合成紙と、前記合成紙と複合化された再生セルロースと、を含む。
【0015】
上述のように、通気性が高いとされる天然パルプ紙や、天然パルプと合成パルプとを含む合成紙を用いると、液体の機能性材料を保持できない問題が生じた。これらの紙は、繊維同士の間に形成される空孔が多く存在するため、気体を透過させやすい一方で、液体も透過させやすくなってしまうと考えられる。また、天然パルプは親水性であるため耐水強度も低いと考えられる。これらの理由から上記天然パルプ紙および上記合成紙は液体保持性が低いと考えられる。
【0016】
これに対し、本発明者らは、合成パルプ層と、天然パルプ層とを有する合成紙と、再生セルロースとを複合化させたシートは、通気性をより高く維持しつつも、液体保持性を高めることができることを見出した。
【0017】
再生セルロースを合成紙と複合化させることで、再生セルロースが合成パルプ層および天然パルプ層の空孔に再生セルロースが入り込み、合成紙全体としての空孔率が低下すると考えられる。これにより、合成紙と再生セルロースとを複合化させたシートに対して液体が透過しにくくなると考えられる。さらに、再生セルロースは、空孔を埋めるため、これと合成紙とを複合化してなるシートの耐水強度が高まると考えられる。これらの理由により、シートの液体保持性を高めることができると考えられる。
【0018】
そして、上記空孔に入り込むものが再生セルロースであるため、シートの通気性の低下を抑制することができると考えられる。
【0019】
さらに、本発明者らは、融点が低いポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層を含む気体透過性シートを用い、合成パルプ層を溶融させて上記気体透過性シートをヒートシールすることで、上記気体透過性シートのヒートシール強度をより高められることを見出した。
【0020】
1-1.合成紙
本実施の形態に係る気体透過性シートに含まれる合成紙は、合成パルプ層と、天然パルプ層とを含む。
【0021】
図1は、合成パルプ層と天然パルプ層とが積層している状態を観察した、合成紙の断面画像である。図1では説明のため、画像内に破線を付している。図1に示されるように、合成紙において、合成パルプ層(図1におけるX)と天然パルプ層(図1におけるY)とは、この順で積層していることが好ましい。合成パルプ層と、天然パルプ層とが積層された合成紙は、天然パルプ(後述)と、ポリオレフィン合成パルプ(後述)と、水とを混合して得られる水分散体を、2層漉き可能な抄紙機に用い、2層漉き合わせ抄紙をすることで、作製することができる。
【0022】
1-1-1.合成パルプ層
合成紙に含まれる合成パルプ層は、上述のようにポリオレフィン合成パルプ製である。
【0023】
ポリオレフィン合成パルプは、複数のポリオレフィンの微少繊維が絡まり合って分岐構造を有する繊維を形成してなる繊維集合体である。
【0024】
上記ポリオレフィンの例には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが含まれる。ポリエチレンの例には、エチレン単独共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・4-メチルペンテン-1共重合体などが含まれる。ポリプロピレンの例には、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体などが含まれる。
【0025】
上記ポリオレフィンは、オレフィンと、オレフィン以外の単量体とが重合した共重合体であってもよい。このような共重合体の例には、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが含まれる。このとき、オレフィン以外の構成単位の量は、ポリオレフィンの全構成単位にして50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。上記構成単位の量は、上記共重合体の合成時の仕込み比から算出するか、NMR法により測定することができる。
【0026】
また、上記ポリオレフィンは、(未変性の)ポリオレフィンを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性したグラフト変性物(変性ポリオレフィン)であってもよい。不飽和カルボン酸またはその誘導体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、および、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ノルボルネンカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸などの酸無水物、などが含まれる。これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンの従来公知のグラフト変性方法で調製できる。
【0027】
本実施の形態では、ポリオレフィン合成パルプとして市販品を用いてもよい。上記市販品の例には、SWP(三井化学株式会社製)などが含まれる。
【0028】
ポリオレフィン合成パルプの融点は、90℃以上170℃以下であることが好ましく、100℃以上140℃以下であることがより好ましい。120℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。140℃以下であると、気体透過性シートに対して、より低温でヒートシールを行うことができるため、省エネルギー化を実現しやすい。上記融点は示差走査型熱量計を用いて測定することができる。
【0029】
ポリオレフィン合成パルプの含有量は、ポリオレフィン合成パルプおよび天然パルプの合計質量に対して49質量%以下であることが好ましく、30質量%以上49質量%以下であることが好ましく、35質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。上記含有量が49質量%以下であると、気体透過性シートの気体透過性をより高めることができる。上記含有量が30質量%以上であると、気体透過性シートのヒートシール強度をより高めることができる。ポリオレフィン合成パルプの含有量は、仕込み比から算出することができる。
【0030】
合成パルプ層の坪量は、3g/m以上20g/m以下であることが好ましく、5g/m以上15g/m以下であることがより好ましい。上記坪量は仕込み比から算出することができる。
【0031】
合成パルプ層は、気体透過性シートの少なくとも一つの表面において、少なくとも一部が露出していることが好ましい。これにより、合成パルプ層同士の溶融接合によるヒートシール性をより高めることができる。
【0032】
なお、本実施の形態において、合成パルプ層は、上述したポリオレフィン合成パルプ以外のパルプ(例えば、後述の天然パルプ)を含んでいてもよい。ポリオレフィン合成パルプ以外のパルプの含有量は、ポリオレフィン合成パルプと、合成パルプ以外のパルプの合計質量に対して、0.1質量%以上60質量%以下とすることができ、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0033】
上述のように、合成パルプ層と、天然パルプ層とが積層された合成紙は、天然パルプ(後述)と、ポリオレフィン合成パルプと、水とを混合して得られる水分散体を、2層漉き可能な抄紙機に用い、2層漉き合わせの抄紙をすることで、作製することができる。
【0034】
このとき、用いるポリオレフィン合成パルプのカナディアン濾水度(CSF)は、500mL以上800mL以下であることが好ましく、600mL以上750mL以下であることがより好ましい。500mL以上であると、気体透過性シートを包装体に用いたとき、機能性物質の揮発成分を包装体の外部へより透過させやすくすることができる。800mL以下であると、液体の透過性をより低くして、気体透過性シートの液体保持性をより高めることができる。上記濾水度は、JIS P 8121-2:2012に準拠した方法で測定することができる。
【0035】
また、用いるポリオレフィン合成パルプの平均繊維長は、0.05mm以上50mm以下であることが好ましく、0.05mm以上10mm以下であることがより好ましく、0.10mm以上1.15mm以下であることがさらに好ましい。0.10mm以上であると、気体透過性シートの強度を高めることができるため、破れにくいシートを抄紙することができる。また、1.15mm以下であると合成パルプの繊維を均一に分布させて、地合の良いシートを得ることができる。
【0036】
用いるポリオレフィン合成パルプの平均繊維径は、例えば、0.01mm以上0.03mm以下とすることができる。
【0037】
上記平均繊維長および上記平均繊維径は、濃度が0.02質量%となるように合成パルプを水に分散させ、自動繊維測定機(Valmet FS5、バルメット株式会社製)で繊維の長さを一本ずつ測定することで、求めることができる。上記測定機では、キャピラリー中を流れる際の繊維にキセノンランプ光を照射してCCDセンサーで映像信号を採取し、画像解析する。なお上記平均繊維長は、重量平均として表わされる。
【0038】
1-1-2.天然パルプ層
本実施の形態において、天然パルプ層は天然パルプ製の層である。天然パルプの例には、木材パルプおよび非木材パルプが含まれる。
【0039】
木材パルプの例には、針葉樹パルプ、および広葉樹パルプなどが含まれる。合成紙および気体透過性シートの機械的強度を高める観点からは、木材パルプは針葉樹パルプであることが好ましく、針葉樹クラフトパルプであることがより好ましい。
【0040】
非木材パルプは、植物繊維などの、木材以外の原料をパルプ化することで得られるパルプである。上記植物繊維の例には、マニラ麻、亜麻、大麻、黄麻、楮などからなる繊維、木綿、藁などが含まれる。
【0041】
なお、天然パルプは、1種の木材パルプまたは非木材パルプを単独で含んでいてもよく、2種以上の木材パルプまたは非木材パルプを組み合わせて含んでいてもよい。
【0042】
天然パルプの含有量は、ポリオレフィン合成パルプおよび天然パルプの合計質量に対して51質量%以上であることが好ましく、51質量%以上70質量%以下であることが好ましく、60質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。上記含有量が51質量%以上であると、気体透過性シートの通気性をより高めることができる。上記含有量が70質量%以下であると、ポリオレフィン合成パルプの含有量をより増やして、気体透過性シートのヒートシール強度をより高めることができる。天然パルプの含有量は、仕込み比から算出することができる。
【0043】
天然パルプ層の坪量は、10g/m以上30g/m以下であることが好ましく、15g/m以上18g/m以下であることがより好ましい。10g/m以上であることで、気体透過性シートの機械的強度をより高めることができる。また、30g/m以下であることで、気体透過性シートの気体透過性をより高めることができる。上記坪量は仕込み比から算出することができる。
【0044】
合成紙の製造時に用いられる天然パルプの平均繊維長は、0.3mm以上12.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上4.0mm以下であることがより好ましい。天然パルプの平均繊維長は、合成パルプの平均繊維長と同様の方法で測定することができる。
【0045】
合成紙の製造時に用いられる天然パルプの平均繊維径は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。天然パルプの平均繊維径は、合成パルプの平均繊維径と同様の方法で測定することができる。
【0046】
1-2.再生セルロース
本実施の形態において、再生セルロースは、上記合成紙と複合化されている。本明細書において、再生セルロースが合成紙と「複合化されている」とは、再生セルロースが上記合成紙の表面に再生セルロース層を形成している状態、および/または、再生セルロースが上記合成紙の内部(天然パルプ層または合成パルプ層の内部)に含浸されている状態のことをいう。
【0047】
合成パルプ層と天然パルプ層とがこの順で積層した合成紙において、再生セルロースが合成紙の表面に再生セルロース層を形成しているとき、再生セルロースは天然パルプ層の表面に再生セルロース層を形成していることが好ましい。これにより、気体透過性シートの通気性の低下を抑制しつつ、液体保持性をより高めることができる。また、このような構成であることで、合成パルプ層どうしの溶融接合によるヒートシール性をより高めることができる。
【0048】
上述のように、再生セルロースは、天然パルプ層または合成パルプ層の内部に含浸されていてもよい。また、再生セルロースは、その一部が天然パルプ層の表面に再生セルロース層を形成し、他の一部が天然パルプ層または合成パルプ層の内部に含浸されていてもよい。
【0049】
再生セルロースの坪量は、20g/m以上60g/m以下であることが好ましく、30g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。上記坪量は、気体透過性シート作製時において、合成紙の坪量と、合成紙と再生セルロースとを複合化させた後の気体透過性シートの坪量との差にから算出することができる。
【0050】
本実施の形態では、例えば、以下の(1)~(3)の操作を順に行うことにより、再生セルロースと合成紙とを複合化させることができる。
【0051】
(1)上記合成紙を、セルロースを溶解させたビスコース液に浸漬させる。上記ビスコース液は、セルロースを水酸化ナトリウムで処理した後、二硫化炭素と反応させ、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液に溶解させ得ることができる。
【0052】
(2)ビスコース液から取り出した合成紙を、硫酸などの強酸液(凝固液)に浸漬させる。これにより、ビスコース液中に溶解していたセルロースが再生(固化)し、合成紙と複合化される。
【0053】
(3)最後に、得られた、再生セルロースと合成紙との複合体を湯洗/柔軟剤処理後に、乾燥させる。
【0054】
これら(1)~(3)の操作により再生セルロースは膜状で合成紙と複合化される。
【0055】
上記の方法により、合成紙と複合化された再生セルロースは、通常、その一部が天然パルプ層の表面に再生セルロース層を形成し、他の一部が天然パルプ層または合成パルプ層の内部に含浸されている。合成紙における、天然パルプの坪量および合成パルプの坪量を調整することで、天然パルプ層の表面に形成される再生セルロース層の量と、天然パルプ層または合成パルプ層の内部に含侵される再生セルロースの量とを調整することができる。
【0056】
ビスコース液に含まれるセルロースの種類は、特に限定されないが、例えば、広葉樹、針葉樹などに由来するセルロースである。
【0057】
ビスコース液におけるセルロース濃度は、ビスコース液の全質量に対して、3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、5質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
【0058】
1-3.その他
本実施の形態における気体透過性シートは、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。他の成分の例には、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、歩留まり向上剤、凝結剤、凝集剤、分散剤、離型剤、消泡剤、殺菌剤、抗菌剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、充填剤等が含まれる。
【0059】
1-4.物性
本実施の形態における気体透過性シートは、温度200℃、圧力0.1Mpaで3秒間ヒートシールしたとき(気体透過性シートの合成パルプ層どうしをヒートシールしたとき)のヒートシール強度が1.5N/15mm以上であることが好ましく、2.0N/15mm以上であることがより好ましく、3.5N/15mm以上であることがさらに好ましい。上記ヒートシール強度は、気体透過性シートのヒートシール部分を冷却した後、引張試験機にて試験速度300mm/minの条件でヒートシール部を剥離し、その際の剥離強度(N/15mm)を測定することによって求めることができる。
【0060】
気体透過性シートの透湿度は、1000g/m・day以上7000g/m・day以下であることが好ましく、2000g/m・day以上5000g/m・day以下であることがより好ましい。気体透過性シートの透湿度は、以下の(1)~(4)の操作を順に行うことで測定および算出することができる。
【0061】
(1)気体透過性シートを横方向に2等分にカットし、カットした2枚の気体透過性シートを、所定量の塩化カルシウムを挟むようにして重ねる。(2)重ねた気体透過性シートの全集をSUS板で封止した後、恒温恒湿装置に入れ、所定時間静置する。(3)静置後の塩化カルシウムの重量を測定し、静置前後の塩化カルシウムの重量変化から、塩化カルシウムが吸収した水分量を算出する。(4)算出された水分量を、カットされた気体透過性シートの面積および静置時間で除算して、気体透過性シートの透湿度(g/m・day)を算出する。
【0062】
気体透過性シートの厚みは、特に限定されないが、50μm以上200μm以下であることが好ましく、80μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0063】
1-5.用途
本実施の形態における気体透過性シートは、後述する包装体に用いることもできるし、グラビア印刷用の記録媒体としても用いることができる。気体透過性シートを上記記録媒体として用いるときは、例えば、溶剤に、バインダー樹脂(ウレタン樹脂など)、顔料、および硬化剤(イソシアネート系硬化剤など)などを加えた2液型のインクを気体透過性シートに付与してグラビア印刷することができる。
【0064】
2.包装体
本実施の形態に係る包装体は、上述の気体透過性シートを袋状に加工してなる袋体と、上記袋体に収容された機能性材料と、を有する。
【0065】
2-1.袋体
袋体は、上述の気体透過性シートが袋状に加工されたものであれば特に限定されないが、上記気体透過性シートがヒートシールされて形成されていることが好ましい。気体透過性シートをヒートシールして袋体を形成可能にする観点から、気体透過性シートの合成パルプ層は、袋体の内側に配置されることが好ましい。
【0066】
袋体は、開閉可能な開口部を有することが好ましい。開閉可能な開口部の例には、ジップファスナーを備えた開口部などが含まれる。袋体がこのような開口部を有することによって、後述する機能性材料が出し入れ可能になる。
【0067】
袋体は、機能性材料を密封していることが好ましい。これにより、機能性材料が袋体の外部に漏れ出すことを抑制することができる。機能性材料を密封する方法は、特に限定されないが、例えば、袋体の外周をヒートシールする方法である。このとき、袋体を構成する上述の気体透過性シートは、ヒートシール強度が高いため、袋体の密封度を高めることができる。
【0068】
袋体は、機能性材料を収容するための複数の収容部を有することが好ましい。このとき、複数の機能性材料は、複数の収容部のそれぞれに収容される。複数の機能性材料が収容されることにより、包装体に複数の機能を持たせることができる。
【0069】
2-2.機能性材料
機能性材料は、特に限定されないが、芳香剤、防虫剤、消臭剤、酸化防止剤、防塵剤、抗菌剤、および抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも1種の機能性物質を含むことが好ましい。例えば、上記機能性物質が芳香剤であるとき、芳香剤からの揮発成分が袋体(気体透過性シート)を透過して外部へ移動するため、包装体は芳香部材として機能する。
【0070】
機能性材料は液体であってもよい。上述のように、上記気体透過性シートは高い液体保持性を有しているため、上記シートを袋状に加工してなる袋体に液体の機能性材料を収容しても、袋体は機能性材料を外部に漏らすことなく保持することができる。
【0071】
芳香剤の例には、シトロネラ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、ユズ油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α―ピネン、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、ベンジルアセテート、などが含まれる。なお、芳香剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
防虫剤の例には、p-メンタン-3,8-ジオール、エムペントリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、メトフルトリンなどのピレスロイド系防虫剤、リナロール、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、オクタン酸アリル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、シクロへキシルプロピオン酸アリル、イソアミルオキシ酢酸アリル、シキロヘキシルオキシ酢酸アリルなどの防虫活性を有する各種香料成分、などが含まれる。なお、防虫剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
消臭剤の例には、活性炭、ゼオライト、ヒバ油、ヒノキ油、竹エキス、ヨモギエキス、キリ油、ピルビン酸エチル、ピルビン酸フェニルエチルなどが含まれる。なお、消臭剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
酸化防止剤の例には、L-アスコルビン酸などが含まれる。なお、酸化防止剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
防塵剤の例には、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、イソプロピルメチルフェノール、オルソフェニールフェノールなどが含まれる。なお、防塵剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
抗菌剤の例には、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネートなどが含まれる。なお、抗菌剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
2-3.その他
本実施の形態における包装体は、吊り下げ可能に構成されていてもよい。例えば、包装体は、吊り下げ可能な紐を通すための吊り下げ穴を有する袋体を有することで、吊り下げ可能に構成されていてもよい。あるいは、包装体は、吊り下げ可能なフックが取り付けられた袋体を有することで、吊り下げ可能に構成されていてもよい。
【実施例0078】
以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例の記載に限定されない。
【0079】
1.サンプルの作製
(実験1)
70質量部のマニラ麻パルプと、30質量部のポリオレフィン合成パルプ(SWP E790、三井化学株式会社製、繊維長:1.5mm、融点:135℃)と、水とを、混合機で混合し、マニラ麻パルプと、ポリオレフィン合成パルプとの複合体の水分散体を作製した。
【0080】
得られた水分散体を、抄紙機に用いて、2層漉きの条件でマニラ麻パルプの層とポリオレフィン合成パルプの層とが積層された合成紙を作製した。
【0081】
得られた合成紙を、セルロース濃度6質量%のビスコース液に浸漬させた後に取り出し、取り出した合成紙を、硫酸アンモニウムで凝固させた後、硫酸中に浸漬させた。これにより、合成紙と再生セルロースとの複合体1を形成した。その後、複合体1を湯洗/柔軟剤処理し、乾燥させることで、縦30cm、横20cm、厚み110μmの気体透過性シート1を作製した。
【0082】
(実験2)
60質量部のマニラ麻パルプと、40質量部のポリオレフィン合成パルプ(SWP E790、三井化学株式会社製、繊維長:1.5mm、融点:135℃)と、水とを、混合機で混合し、マニラ麻パルプと、ポリオレフィン合成パルプとの複合体の水分散体を作製した。
【0083】
得られた水分散体を、抄紙機に用いて、2層漉きの条件でマニラ麻パルプの層とポリオレフィン合成パルプの層とが積層された合成紙を作製した。
【0084】
得られた合成紙に、セルロース濃度6%のビスコース液を浸漬させた後に取り出し、取り出した合成紙を、硫酸アンモニウムで凝固させた後、硫酸中に浸漬させた。これにより、合成紙と再生セルロースとの複合体2を形成した。その後、複合体1を湯洗、柔軟処理し、乾燥させることで、縦30cm、横20cm、厚み70μmの気体透過性シート2を作製した。
【0085】
(実験3)
100質量部のマニラ麻パルプを上記抄紙機に用いて、パルプ紙を作製した。
【0086】
得られたマニラ麻パルプ紙を、セルロース濃度6%のビスコース液を浸漬させた後に取り出し、取り出したマニラ麻パルプ紙を、硫酸アンモニウムで凝固させた後、硫酸中に浸漬させた。これにより、パルプ紙と再生セルロースとの複合体3を形成した。その後、複合体2を湯洗、柔軟処理し、乾燥させることで縦30cm、横20cm、厚み90μmの気体透過性シート3を作製した。
【0087】
(実験4)
延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm)を用意し、縦30cm、横20cmに裁断した。
【0088】
2.評価
(層構成の確認)
気体透過性シート1、2の断面を形状測定レーザーマイクロスコープ(VK-X100、KEYENCE製)で撮像し、層構成を確認した。気体透過性シート1、2の断面写真を図2、3に示した。図2、3では、説明のため画像内に破線を付している。
【0089】
(透湿度の測定)
気体透過性シート1を横方向に2等分にカットした。2等分にカットされた2枚の気体透過性シート1を、塩化カルシウム15gを挟むようにして重ねた。重ねた2枚の気体透過性シート1の全周をSUS板で封止し、測定用サンプルを作製した。
【0090】
恒温恒湿装置(IG401、ヤマト科学株式会社製)に測定サンプルを入れ、40℃、90%RHの環境下で、15分静置した。静置後の塩化カルシウムの重量を測定した。静置前後の塩化カルシウムの重量変化から、塩化カルシウムが吸収した水分量を算出し、算出された水分量を、カットされた気体透過性シート1の面積および静置時間で除算して、気体透過性シート1の透湿度(g/m・day)を算出した。合成紙、パルプ紙、気体透過性シート2、および延伸ポリプロピレンフィルムについても同様にして透湿度を測定および算出した。上記方法で測定および算出された透湿度を、気体透過性シート等の通気性の指標とした。
【0091】
(液体保持性)
ガラス板上にサンプルとして気体透過性シート1を載置し、2mLの水を気体透過性シート1上に滴下した。水の滴下から10秒経過後の再生セルロース1およびガラス板の状態を目視で観察し、以下の基準に沿って液体保持性を評価した。合成紙1、パルプ紙、気体透過性シート2、および延伸ポリプロピレンフィルムについても同様にして液体保持性を評価した。
○ サンプル上に滴下した水がシート内部へ浸透せず、シート状に保持されており、ガラス板上への水の浸透が確認されなかった
× サンプル上に滴下した水がシート内部へ浸透していることが確認された
【0092】
(ヒートシール強度)
サンプルとして気体透過性シート1を用い、これを横方向に2等分にカットした。2等分にカットされた2枚の気体透過性シート1を重ね、ヒートシール装置(TP-701-Bヒートシールテスター、テスター産業株式会社製)を用いて、温度200℃、圧力0.1MPa、3秒間、ヒートシールを行った。ヒートシール部分を冷却した後、幅15mmの試験片を切り取り、引張試験機(RTC-1225A ORIENTEC)にて試験速度300mm/minの条件でヒートシール部を剥離し、その際の剥離強度(N/15mm)を測定してヒートシール強度とした。合成紙1、合成紙2、パルプ紙、気体透過性シート2、気体透過性シート3、および延伸ポリプロピレンフィルムについても同様にしてヒートシール性を評価した。
【0093】
各サンプルについて、評価結果を表1にまとめた。
【0094】
【表1】
【0095】
天然パルプ層と合成パルプ層とを含む合成紙と、再生セルロースとが複合化された気体透過性シート1、2では、透湿度(通気性)の低下を抑制しつつ、液体保持性を高めることができ、かつヒートシール性も良好であった。再生セルロースによって液体保持性を高めつつも、通気性の低下を抑制できたと考えられる。また、合成パルプ層がポリオレフィン合成パルプ製であるため、ヒートシール性が良好であったと考えられる。
【0096】
再生セルロースを含まない合成紙およびパルプ紙では、透湿度(通気性)が高かったものの、液体保持性が低かった。
【0097】
また、ポリオレフィン合成パルプ製の合成パルプ層を含まないパルプ紙および気体透過性シート3では、ヒートシールすることができなかった。
【0098】
また、延伸ポリプロピレンフィルムでは、液体保持性に優れていたものの、通気性が低かった。また、ヒートシールしようとすると、フィルムが溶融してしまい、ヒートシール強度を測定することは困難であった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係る気体透過性シートは、通気性の低下を抑制しつつ液体保持性を高め、かつヒートシール強度をより高めることができる。そのため、上記気体透過性シートを用いた袋体と、機能性材料とを用いた包装体は、例えば、芳香部材として用いることができ、香粧品分野において有用である。
【符号の説明】
【0100】
X 合成パルプ層
Y 天然パルプ層
Z 再生セルロース層
図1
図2
図3