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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093730
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】減速装置及びブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
E06B9/322
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210286
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB02
2E043BC02
2E043BD02
2E043BE15
2E043DA01
2E043DA03
2E043DA06
(57)【要約】
【課題】制動力を容易にかつ低コストで調整することができる減速装置を提供する。
【解決手段】減速装置は、中空状のケーシング17と、ケーシング17内に回転可能に支持されるローター18と、ローター18とともに回転してケーシング17の内周面64に摺接することで制動力を発生する複数のウエイト19と、ローター18に一体回転可能、且つ、ローター18に対して所定の角度範囲内で相対回転可能に支持される回転操作可能な回転部43と、回転部43から突出する突出部44とを有し、回転部43の相対回転に伴って、複数のウエイト19のうちの所定のウエイト19と内周面64との間を突出部44が回転部43の周方向に移動することにより、所定のウエイト19が内周面64に摺接可能な第1状態と、所定のウエイト19が内周面64に摺接不能な第2状態とを切替可能な切替部20と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状のケーシングと、
軸部と、前記軸部の周方向に間隔をあけて配置される複数の支持部とを有し、前記ケーシング内に前記軸部の軸線まわりに回転可能に支持されるローターと、
前記支持部に揺動可能に軸支され、前記ローターとともに回転して前記ケーシングの内周面に摺接することで制動力を発生する複数のウエイトと、
前記ローターに一体回転可能、且つ、前記ローターに対して所定の角度範囲内で前記軸線まわりに相対回転可能に支持される回転操作可能な回転部と、前記回転部から前記軸部の軸方向に突出する突出部とを有し、前記回転部の前記相対回転に伴って、前記複数のウエイトのうちの所定のウエイトと前記内周面との間を前記突出部が前記回転部の周方向に移動することにより、前記所定のウエイトが前記内周面に摺接可能な第1状態と、前記所定のウエイトが前記内周面に摺接不能な第2状態とを切替可能な切替部と、を備える減速装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記突出部が前記所定のウエイトの揺動を許容する前記周方向の位置まで移動することによって前記第1状態に切り替えることができ、前記突出部が前記所定のウエイトの揺動を規制する前記周方向の位置まで移動することによって前記第2状態に切り替えることができる、請求項1に記載の減速装置。
【請求項3】
前記切替部は、複数の前記所定のウエイトのうちの1又は一部の複数のウエイトである第1ウエイトに対して前記第1状態と前記第2状態とに切替可能な第1切替部材と、複数の前記所定のウエイトのうちの残りのウエイトである第2ウエイトに対して前記第1状態と前記第2状態とに切替可能な第2切替部材とを有しており、
前記第1切替部材及び前記第2切替部材は、前記回転部と前記突出部とを有し、前記所定の角度範囲内で互いに相対回転可能に配置されており、
前記第1切替部材の前記突出部は、前記第1切替部材の前記回転部の回転に伴って、前記第1ウエイトと前記内周面との間を前記周方向に移動可能とされており、前記第2切替部材の前記突出部は、前記第2切替部材の前記回転部の回転に伴って、前記第2ウエイトと前記内周面との間を前記周方向に移動可能とされている、請求項2に記載の減速装置。
【請求項4】
前記切替部は、前記第1状態と前記第2状態とに位置決めする位置決め部を有している、請求項1に記載の減速装置。
【請求項5】
前記ローター及び前記回転部を回転可能に軸支する駆動軸からの回転が伝達される入力軸を更に備え、
前記第1切替部材は、前記入力軸と前記第1切替部材の前記回転部との間の互いの周方向位置を固定可能な第1固定部を有し、
前記第2切替部材は、前記ローターと前記第2切替部材の前記回転部との間の互いの周方向位置を固定可能な第2固定部を有している、請求項3に記載の減速装置。
【請求項6】
前記第1切替部材及び前記第2切替部材は、自身の前記回転部を周方向に回転操作可能であるとともに、自身の前記回転部とともに回転して自身の前記回転部の周方向に移動可能な操作部を有している、請求項5に記載の減速装置。
【請求項7】
前記第1切替部材の前記操作部及び前記第2切替部材の前記操作部の位置に応じて、前記制動力を識別可能な識別部を更に備える、請求項6に記載の減速装置。
【請求項8】
遮蔽材を昇降させる駆動軸と、
前記駆動軸の回転速度を減速する、請求項1から7のいずれかに記載の減速装置と、を備えるブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置及びブラインドに関する。特に、横型ブラインドの遮蔽材の降下速度を減速させる減速装置、及びその減速装置を備えるブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラインド用減速装置として、下記特許文献1に開示されるものが提案されている。このブラインド用減速装置は、ケーシングと、ケーシング内において回転可能に支持されるローターと、ローターとともに回転してケーシング内周面に接触して制動力を発生する複数のウエイトとを備えている。ローターには、円筒形状の軸部と、軸部の周面から周方向に等間隔で径方向に突出する複数のウエイト支持部とが形成されている。ウエイト支持部には、ウエイトの一端部が揺動可能に軸支されている。ウエイト支持部は、ウエイトの軸方向全長に亘って延びている。
【0003】
このようなブラインド用減速装置によれば、ウエイト支持部がウエイトの軸方向全長に亘って延びているため、ウエイト支持部の強度が確保されて、ウエイトをウエイト支持部に安定して軸支することができる。また、ブラインド用減速装置によれば、ウエイト支持部が軸部から径方向に突出しているため、軸部の径を大きくすることなく、多数のウエイトをローターに支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-150856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラインド用減速装置には、次のような要求がある。すなわち、ブラインドが備える遮蔽材の重量などに応じて、減速装置の制動力を調整する必要がある。従来の減速装置では、ウエイト数を変更することで、制動力を調整することができる。しかしながら、従来の減速装置の構成では、ウエイト数を変更しようとするたびに、減速装置を分解しなければならず、改善の余地がある。また、減速装置の制動力を調整できるように、ブラインドの仕様に応じたウエイト数を有する減速装置を予め複数用意しておくことが考えられる。この場合、減速装置にかかるコストの点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、制動力を容易にかつ低コストで調整することができる減速装置及びブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ケーシングの内面に接触するウエイトの数を調整できる構成とすることで、上記の課題を解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たな減速装置及びブラインドを発明するに至った。
【0008】
本発明による減速装置は、中空状のケーシングと、軸部と、前記軸部の周方向に間隔をあけて配置される複数の支持部とを有し、前記ケーシング内に前記軸部の軸線まわりに回転可能に支持されるローターと、前記支持部に揺動可能に軸支され、前記ローターとともに回転して前記ケーシングの内周面に摺接することで制動力を発生する複数のウエイトと、前記ローターに一体回転可能、且つ、前記ローターに対して所定の角度範囲内で前記軸線まわりに相対回転可能に支持される回転操作可能な回転部と、前記回転部から前記軸部の軸方向に突出する突出部とを有し、前記回転部の前記相対回転に伴って、前記複数のウエイトのうちの所定のウエイトと前記内周面との間を前記突出部が前記回転部の周方向に移動することにより、前記所定のウエイトが前記内周面に摺接可能な第1状態と、前記所定のウエイトが前記内周面に摺接不能な第2状態とを切替可能な切替部と、を備える。
【0009】
前記切替部は、前記突出部が前記所定のウエイトの揺動を許容する前記周方向の位置まで移動することによって前記第1状態に切り替えることができ、前記突出部が前記所定のウエイトの揺動を規制する前記周方向の位置まで移動することによって前記第2状態に切り替えることができるのが好ましい。
【0010】
前記切替部は、複数の前記所定のウエイトのうちの1又は一部の複数のウエイトである第1ウエイトに対して前記第1状態と前記第2状態とに切替可能な第1切替部材と、複数の前記所定のウエイトのうちの残りのウエイトである第2ウエイトに対して前記第1状態と前記第2状態とに切替可能な第2切替部材とを有しており、前記第1切替部材及び前記第2切替部材は、前記回転部と前記突出部とを有し、前記所定の角度範囲内で互いに相対回転可能に配置されており、前記第1切替部材の前記突出部は、前記第1切替部材の前記回転部の回転に伴って、前記第1ウエイトと前記内周面との間を前記周方向に移動可能とされており、前記第2切替部材の前記突出部は、前記第2切替部材の前記回転部の回転に伴って、前記第2ウエイトと前記内周面との間を前記周方向に移動可能とされているのが好ましい。
【0011】
前記切替部は、前記第1状態と前記第2状態とに位置決めする位置決め部を有しているのが好ましい。
【0012】
前記ローター及び前記回転部を回転可能に軸支する駆動軸からの回転が伝達される入力軸を更に備え、前記第1切替部材は、前記入力軸と前記第1切替部材の前記回転部との間の互いの周方向位置を固定可能な第1固定部を有し、前記第2切替部材は、前記ローターと前記第2切替部材の前記回転部との間の互いの周方向位置を固定可能な第2固定部を有しているのが好ましい。
【0013】
前記第1切替部材及び前記第2切替部材は、自身の前記回転部を周方向に回転操作可能であるとともに、自身の前記回転部とともに回転して自身の前記回転部の周方向に移動可能な操作部を有しているのが好ましい。
【0014】
前記第1切替部材の前記操作部及び前記第2切替部材の前記操作部の位置に応じて、前記制動力を識別可能な識別部を更に備えるのが好ましい。
【0015】
本発明によるブラインドは、遮蔽材を昇降させる駆動軸と、前記駆動軸の回転速度を減速する、上記のいずれかに記載の減速装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明による減速装置は、ケーシングの内面に接触するウエイトの数を調整できる構成である。従って、制動力を容易にかつ低コストで調整することができる減速装置及びブラインドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による減速装置が適用されるブラインドの一例を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態による減速装置を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による減速装置を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態による減速装置を示す分解斜視図である。
図5図3のA-A断面図である。
図6図3のB-B断面図である。
図7図3のC-C断面図である。
図8】本発明の一実施形態による減速装置の使用状態を示す説明図であり、(a)は第1状態を示しており、(b)は第2状態を示している。
図9】本発明の一実施形態による減速装置の操作部を示す平面図であり、8つのウエイトが摺接可能な場合を示している。
図10】本発明の一実施形態による減速装置の使用状態を示す説明図であり、操作部が図9の場合を示している。
図11】本発明の一実施形態による減速装置の操作部を示す平面図であり、4つのウエイトが摺接可能な場合を示している。
図12】本発明の一実施形態による減速装置の使用状態を示す説明図であり、操作部が図11の場合を示している。
図13】本発明の一実施形態による減速装置の操作部を示す平面図であり、2つのウエイトが摺接可能な場合を示している。
図14】本発明の一実施形態による減速装置の使用状態を示す説明図であり、操作部が図13の場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の減速装置1は、例えば、建物の窓枠などの開口部の内部に設置されるブラインド2に適用される。ブラインド2は、建物の室外に対して、窓ガラスなどで仕切られた室内に設置される。ブラインド2は、遮蔽材を昇降させる駆動軸4と、本実施形態の減速装置1とを備える。
本明細書において、ブラインド2が設置された状態において、駆動軸4の軸線方向を左右方向、上下方向及び左右方向に直交する方向を前後方向とする。また、前後方向について、室内の側を前方、室外の側を後方とする。
【0020】
ブラインド2は、C形チャンネル状のヘッドボックス5を上部に備える。ヘッドボックス5には、複数のラダーコード6を介して、遮蔽材である複数のスラット3が吊り下げられる。ブラインド2は、ヘッドボックス5がブラケット7を介して窓枠の上面又は天井に固定されることで、窓の内側に配置される。
【0021】
ヘッドボックス5内には、複数の回転ドラム8及び複数の巻取ドラム9が回転自在に設けられる。各回転ドラム8及び各巻取ドラム9は、ヘッドボックス5内に設けられるドラム受け10に回転自在に支持される。回転ドラム8及び巻取ドラム9は、ドラム受け10に支持された状態において、同軸上に配置されている。
【0022】
回転ドラム8には、ラダーコード6の一端部が係留される。ラダーコード6には、複数のスラット3が取り付けられる。具体的には、スラット3は、長手方向が左右方向に沿うようにして、ラダーコード6に取り付けられる。複数のスラット3がラダーコード6に取り付けられた状態において、複数のスラット3は、上下方向に間隔をあけて配置されている。このようにして、複数のスラット3は、ヘッドボックス5に吊り下げられる。
【0023】
巻取ドラム9には、昇降コード11の一端部が係留される。昇降コード11は、ラダーコード6とは別のコードであって、ヘッドボックス5にボトムレール12を吊下支持するものである。ボトムレール12は、昇降コード11の他端部に設けられる。このようにして、ボトムレール12は、ヘッドボックス5に吊り下げられる。ヘッドボックス5に吊り下げられたボトムレール12は、最も下側に配置されたスラット3よりも下方に位置している。
【0024】
図1に示すように、ヘッドボックス5内には、駆動軸4が回転自在に設けられる。駆動軸4がヘッドボックス5内に設けられた状態において、駆動軸4の軸線方向は、ヘッドボックス5の長手方向に沿っている。駆動軸4は、ヘッドボックス5内に設けられた状態において、自身の軸線まわりに回転可能である。駆動軸4には、巻取ドラム9が一体回転可能に設けられる。巻取ドラム9は、駆動軸4が巻取ドラム9の軸線方向に貫通した状態で、駆動軸4に回転不能に固定される。
【0025】
駆動軸4の軸方向一端部は、ヘッドボックス5内に配置される駆動装置13に連結される。駆動装置13には、駆動軸4の一端部が連結される側とは逆側に、プーリ14が回転可能に設けられる。プーリ14には、ループ状の操作コード15が巻回される。駆動装置13は、操作コード15の操作によるプーリ14の回転を駆動軸4に伝達できる。従って、ブラインド2は、操作コード15を操作することで、駆動軸4を自身の軸線まわりに回転させることができる。これにより、駆動軸4に固定された巻取ドラム9を回転させることができる。
【0026】
図1に示すように、ヘッドボックス5内には、回転軸16が回転自在に設けられる。回転軸16がヘッドボックス5内に設けられた状態において、回転軸16の軸線方向は、ヘッドボックス5の長手方向に沿っている。回転軸16は、ヘッドボックス5内に設けられた状態において、自身の軸線まわりに回転可能である。回転軸16の軸方向一端部は、駆動装置13に連結される。駆動装置13は、操作コード15によるプーリ14の回転を回転軸16に伝達できる。従って、ブラインド2は、操作コード15を操作することで回転軸16を回転させて、回転軸16の回転を回転ドラム8に伝達できる。このように、ブラインド2は、操作コード15を操作することで、回転ドラム8を回転させることができる。
【0027】
このような構成であるので、ブラインド2は、スラット3が略水平に配置された状態から、操作コード15を操作することにより、回転ドラム8を回転させて、複数のスラット3を同時に傾動させることができる。ブラインド2は、複数のスラット3が傾斜した状態から、操作コード15を操作することにより、回転ドラム8を先ほどとは逆に回転させて、複数のスラット3を同時に略水平に配置、又は逆方向に傾動された状態にすることができる。従って、ブラインド2は、操作コード15を操作することで、複数のスラット3の傾斜角度を同時に調整することができる。
【0028】
また、このような構成であるので、ブラインド2は、操作コード15を操作することで、駆動装置13に内蔵された図示しないクラッチユニットが締結されるまでプーリ14を一方の方向に回転させると、駆動軸4を回転させることができる。駆動軸4が回転すると、駆動軸4に固定された巻取ドラム9が回転するので、複数のスラット3を上昇させることができる。複数のスラット3を上昇させることで、ブラインド2を開くことができる。ブラインド2は、複数のスラット3が上部に位置した状態から、操作コード15を操作することにより、前記クラッチユニットの締結が解除されるまでプーリ14を他方の方向に回転させると、駆動軸4が自由回転可能な状態となる。従って、ボトムレール12の自重によって、複数のスラット3を下降させることができる。複数のスラット3を下降させることで、ブラインド2を閉じることができる。
【0029】
減速装置1は、ボトムレール12の自重によって複数のスラット3が下降する際の駆動軸4の回転速度を減速する装置であって、上述した構成のブラインド2に適用される。減速装置1が適用されるブラインド2は、上述した構成に限定されない。図2から図8に示すように、減速装置1は、ケーシング17、ローター18、ウエイト19、切替部20、入力軸21、図示しない遊星歯車機構、及び図示しない一方向クラッチ機構を備える。
【0030】
ケーシング17は、中空状で、例えば、硬質樹脂材料から構成される。図示例では、ケーシング17は、軸方向一端部が開口した円筒状である。具体的には、ケーシング17は、段付き円筒状で、軸方向一端側に位置する大径部22と、軸方向他端側に位置する小径部23とを有している。大径部22は、軸方向一端側に開口する切欠き24を複数有している。大径部22は、軸方向一端部に、ケーシング17を後述するホルダ25に取り付けるための取付部26を複数有している。各取付部26は、大径部22から径方向外方に延出している。大径部22の軸方向一端部は、開口している。小径部23の軸方向他端側は、円板状の壁部27によって閉じられている。壁部27は、小径部23の軸方向に貫通する貫通孔28を有している。貫通孔28は、壁部27の中央部に位置している。
【0031】
ローター18は、軸部29、複数の支持部30及びフランジ33を有している。軸部29は、円筒状の第1軸部31と、四角筒状の第2軸部32とを有している。フランジ33は、第1軸部31の軸方向一端部に配置される。フランジ33は、第1軸部31から第1軸部31の径方向外方に延出している。フランジ33は、外縁部に、複数の切欠き34を有している。複数の切欠き34はそれぞれ、フランジ33の径方向外方に開口している。
第2軸部32は、第1軸部31内に配置される。第2軸部32が第1軸部31内に配置された状態において、第2軸部32は、第1軸部31と同軸上に配置される。第2軸部32が第1軸部31内に配置された状態において、第2軸部32は、第1軸部31の内面に固定されている。これにより、第1軸部31と第2軸部32とは一体回転可能である。第1軸部31の軸線方向及び第2軸部32の軸線方向は、ブラインド2の駆動軸4の軸線方向に沿っている。
複数の支持部30は、軸部29に設けられる。複数の支持部30は、軸部29から軸部29の径方向外方に突出している。複数の支持部30は、軸部29の周方向に間隔をあけて配置される。典型的には、複数の支持部30は、軸部29の周方向に等間隔で配置される。本実施形態では、複数の支持部30は、第1軸部31に設けられる。
具体的には、複数の支持部30は、第1軸部31から第1軸部31の径方向外方に突出するとともに、第1軸部31の周方向に間隔をあけて配置される。図示例では、ローター18は、8つの支持部30を有している。8つの支持部30は、第1軸部31の周方向に等間隔で配置される。複数の支持部30はそれぞれ、第1軸部31から第1軸部31の径方向外方に突出する首部35と、首部35の先端部に設けられる頭部36とを有している。首部35は、略矩形の板状で、第1軸部31の軸線方向に沿って配置される。頭部36は、円柱状で、第1軸部31の軸線方向に沿って配置される。頭部36の直径は、首部35の厚みよりも大きい。
【0032】
複数のウエイト19はそれぞれ、本体部37と、本体部37に設けられるウエイトチップ38とを有している。本体部37は、略ブロック状で、軸部29の径方向外方に膨出するように円弧状に湾曲している。本体部37は、周方向一端側の内周面に、支持部30が差し込まれる溝部39を有している。溝部39は、軸部29の軸線方向に沿うようにして配置される。溝部39は、頭部36が差し込まれる第1溝部40と、首部35の先端部が差し込まれる第2溝部41とを有している。第1溝部40は、側面視円形状である。第2溝部41は、側面視四角形状である。第2溝部41の幅は、首部35の厚みよりも大きい。本体部37は、外周面に、外方に開口した溝状のチップ取付溝42を有している。チップ取付溝42は、軸部29の軸線方向に沿うようにして配置される。ウエイトチップ38は、柱状で、例えば、熱可塑性エラストマーや合成ゴムなどのような弾性材から構成される。ウエイトチップ38は、本体部37のチップ取付溝42に差し込まれた状態で固定される。ウエイトチップ38が本体部37に固定された状態において、ウエイトチップ38の一部は、本体部37の外周面から外方に突出している。
【0033】
このような構成の複数のウエイト19はそれぞれ、各支持部30に設けられる。ウエイト19は、ローター18に対して軸部29の軸線方向にスライドさせることで、溝部39に支持部30の先端部が差し込まれて、支持部30に取り付けられる。溝部39に支持部30が差し込まれる際、頭部36は、第1溝部40に差し込まれ、首部35の先端部は、第2溝部41に差し込まれる。前述したように第2溝部41の幅が首部35の厚みよりも大きいので、ウエイト19は、頭部36の軸線まわりに揺動可能に、支持部30に軸支される。従って、支持部30に軸支されたウエイト19は、ローター18が軸部29の軸線まわりに回転することで、頭部36の軸線まわりに回転することができる。
【0034】
切替部20は、回転部43及び突出部44を有している。回転部43は、円板状である。回転部43の軸線方向は、軸部29の軸線方向に沿っている。回転部43は、中央部に、軸線方向に貫通する貫通孔45を有している。回転部43は、内縁部に、一対の切欠き46,46を有している。一対の切欠き46,46は、回転部43の径方向に対向した位置に配置される。一対の切欠き46,46はそれぞれ、回転部43の径方向内方に開口している。一対の切欠き46,46はそれぞれ、回転部43の周方向に沿った円弧状である。回転部43の軸線方向は、ブラインド2の駆動軸4の軸線方向に沿っている。突出部44は、棒状である。突出部44は、回転部43から軸部29の軸方向に突出している。突出部44は、回転部43の外縁部に配置される。
【0035】
本実施形態では、切替部20は、第1切替部材47及び第2切替部材48を有している。第1切替部材47は、前記回転部43及び前記突出部44を有している。第1切替部材47は、複数の突出部44を有している。複数の突出部44は、回転部43の周方向に間隔をあけて配置される。図示例では、第1切替部材47は、4つの突出部44を有している。4つの突出部44は、回転部43の周方向に等間隔で配置される。
第2切替部材48は、前記回転部43及び前記突出部44を有している。第2切替部材48の回転部43は、外縁部に、複数の切欠き49を有している。複数の切欠き49はそれぞれ、回転部43の径方向外方に開口している。第2切替部材48は、複数の突出部44を有している。複数の突出部44は、回転部43の周方向に間隔をあけて配置される。図示例では、第2切替部材48は、2つの突出部44を有している。2つの突出部44は、回転部43の周方向に等間隔で配置される。
【0036】
入力軸21は、ブラインド2の駆動軸4からの回転が伝達される軸である。入力軸21は、軸本体部50及び軸支持部51を有している。軸本体部50は、円筒状である。軸本体部50の軸線方向は、ブラインド2の駆動軸4の軸線方向に沿っている。軸本体部50の外周面には、複数の保持部52が設けられる。複数の保持部52はそれぞれ、軸本体部50から軸本体部50の径方向外方に突出している。複数の保持部52はそれぞれ、軸本体部50の軸線方向に沿っている。複数の保持部52は、軸本体部50の周方向に間隔をあけて配置される。図示例では、軸本体部50には、4つの保持部52が設けられる。
軸支持部51は、軸方向一端部が開口した短円筒状である。軸支持部51の軸方向他端側は、板状の壁部53によって閉じられている。壁部53は、軸支持部51の軸方向に貫通する図示しない貫通孔を有している。この貫通孔は、壁部53の中央部に位置している。壁部53の軸方向他端側の面には、第1切替部材47及び第2切替部材48の回転を規制する規制部54が設けられる。規制部54は、側面視略扇形状で、壁部53の軸方向他端側の面から軸本体部50の軸方向に突出している。規制部54は、軸本体部50の径方向に対向した位置に配置される。壁部53の軸方向一端側の面には、後述する遊星歯車機構の構成要素の1つであるサンギヤ55が設けられる。サンギヤ55は、中央部に、サンギヤ55の軸方向に貫通する図示しない貫通孔を有している。
【0037】
軸本体部50は軸支持部51の中央部に設けられる。軸本体部50は、軸支持部51の軸方向他端側の面から軸支持部51の軸方向に突出している。軸本体部50が軸支持部51に設けられた状態において、軸本体部50の内孔56と壁部53の貫通孔とは互いに連通しており、壁部53の貫通孔とサンギヤ55の貫通孔とは互いに連通している。これにより、入力軸21は、軸本体部50の内孔56、壁部53の貫通孔及びサンギヤ55の貫通孔によって構成される挿通孔57を有している。
【0038】
遊星歯車機構及び一方向クラッチ機構は、特開2008-150856号公報に記載された構成と同様の構成であるため、説明を省略する。なお、遊星歯車機構及び一方向クラッチ機構の構成は、前記公報に記載された構成に限定されない。
【0039】
複数のウエイト19が設けられたローター18、切替部20、及び入力軸21は、ケーシング17内に配置される。ケーシング17内では、ローター18と入力軸21との間に切替部20が配置される。ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、ローター18に設けられた複数のウエイト19は、ケーシング17の小径部23内に配置され、入力軸21の軸支持部51は、大径部22内に配置される。ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、ローター18の軸部29、切替部20の回転部43、及び入力軸21の軸本体部50は、同軸上に配置されている。
【0040】
ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、入力軸21の軸本体部50は、ローター18の第2軸部32内に差し込まれている。軸本体部50が第2軸部32内に差し込まれた状態において、ローター18と入力軸21とは同軸上に配置される。この際、軸本体部50の4つの保持部52は、第2軸部32の四隅に配置される。従って、ローター18と入力軸21とは、軸本体部50の軸線まわりに一体回転可能である。ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、切替部20の回転部43の貫通孔45には、入力軸21の軸本体部50が貫通している。また、入力軸21の規制部54は、回転部43の切欠き46内に配置されている。ここで、規制部54の周方向の大きさは、回転部43の切欠き46の周方向の大きさよりも小さい。従って、回転部43は、規制部54の周方向一端部が切欠き46の周方向一端部に接触した状態と規制部54の周方向他端部が切欠き46の周方向他端部に接触した状態との間で、入力軸21に対して軸本体部50の軸線まわりに回転可能である。ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、切替部20の突出部44は、ローター18のフランジ33の切欠き34を通って、小径部23内に配置されている。この際、切替部20の突出部44は、軸部29に円筒状に配列された複数のウエイト19の外側に配置されている。
【0041】
前述したように、切替部20は、第1切替部材47及び第2切替部材48を有している。ローター18、切替部20及び入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、第1切替部材47は、入力軸21に近い側に位置し、第2切替部材48は、ローター18に近い側に位置している。第1切替部材47の突出部44は、第2切替部材48の回転部43の切欠き49及びローター18のフランジ33の切欠き34を順次に通って、小径部23内に配置されている。第2切替部材48の突出部44は、ローター18のフランジ33の切欠き34を通って、小径部23内に配置されている。
【0042】
本実施形態では、切替部20は、ローター18に対して位置決めする位置決め部58を有している。具体的には、第1切替部材47は、第1固定部59を有し、第2切替部材48は、第2固定部60を有している。図示例では、第1固定部59は、第1切替部材47の回転部43に設けられる。第1固定部59は、第1切替部材47の回転部43から第1切替部材47の軸方向に突出する凸形状である。第1固定部59は、第1切替部材47の回転部43の両板面のうちの入力軸21の壁部53と対面する板面に設けられる。入力軸21の壁部53は、軸方向他端側の面に、第1固定部59が係合される第1被係合部61を有している。第1被係合部61の数は、1つの第1固定部59に対して2つである。2つの第1被係合部61は、入力軸21の壁部53の周方向に隣接している。各第1被係合部61は、凸形状の第1固定部59がはめ込まれる凹形状である。図示例では、第1切替部材47は、複数の第1固定部59を有している。そのため、入力軸21は、各第1固定部59が係合される2つの第1被係合部61のセットを複数有している。図示例では、第2固定部60は、第2切替部材48の回転部43に設けられる。第2固定部60は、第2切替部材48の回転部43から第2切替部材48の軸方向に突出する凸形状である。第2固定部60は、第2切替部材48の回転部43の両板面のうちのローター18のフランジ33と対面する板面に設けられる。ローター18のフランジ33は、第2固定部60が係合される第2被係合部62を有している。第2被係合部62の数は、1つの第2固定部60に対して2つである。2つの第2被係合部62は、ローター18のフランジ33の周方向に隣接している。各第2被係合部62は、凸形状の第2固定部60がはめ込まれる凹形状である。図示例では、第2切替部材48は、複数の第2固定部60を有している。そのため、ローター18は、各第2固定部60が係合される2つの第2被係合部62のセットを複数有している。
【0043】
このような構成であるので、第1固定部59は、2つの第1被係合部61の一方に係合された状態と、その状態から入力軸21に対して第1切替部材47を回転させて、2つの第1被係合部61の他方に係合された状態とにおいて、入力軸21と第1切替部材47の回転部43との間の互いの周方向位置を固定可能である。前述したように入力軸21とローター18とは一体回転可能であるので、第1切替部材47は、第1固定部59によって、ローター18と第1切替部材47の回転部43との間の互いの周方向位置を固定可能であるといえる。第2固定部60は、2つの第2被係合部62の一方に係合された状態と、その状態からローター18に対して第2切替部材48を回転させて、2つの第2被係合部62の他方に係合された状態とにおいて、ローター18と第2切替部材48の回転部43との間の互いの周方向位置を固定可能である。これらのことから、第1固定部59及び第2固定部60は、切替部20が有する位置決め部58である。
【0044】
第1切替部材47の第1固定部59は、ローター18と一体回転可能な入力軸21の第1被係合部61に係合可能である。第2切替部材48の第2固定部60は、ローター18の第2被係合部62に係合可能である。従って、切替部20の回転部43は、ローター18に一体回転可能に支持される。第1切替部材47は、入力軸21の軸本体部50が貫通した状態で入力軸21に対して回転させることで、2つの第1被係合部61の一方に第1固定部59が係合された第1係合状態から、2つの第1被係合部61の他方に第1固定部59が係合された第2係合状態、又は第2係合状態から第1係合状態にすることができる。この際、規制部54の周方向の大きさが第1切替部材47の切欠き46の周方向の大きさよりも小さいので、規制部54は、入力軸21に対して第1切替部材47が回転するのを邪魔することがない。その上、規制部54の端部が切欠き46の端部に接触することで、入力軸21に対して第1切替部材47が必要以上に回転するのを防止できる。第2切替部材48は、入力軸21の軸本体部50が貫通した状態でローター18に対して回転させることで、2つの第2被係合部62の一方に第2固定部60が係合された第3係合状態から、2つの第2被係合部62の他方に第2固定部60が係合された第4係合状態、又は第4係合状態から第3係合状態にすることができる。この際、規制部54の周方向の大きさが第2切替部材48の切欠き46の周方向の大きさよりも小さいので、規制部54は、ローター18に対して第2切替部材48が回転するのを邪魔することがない。その上、規制部54の端部が切欠き46の端部に接触することで、ローター18に対して第2切替部材48が必要以上に回転するのを防止できる。従って、回転操作可能な回転部43は、ローター18に対して所定の角度範囲内で、軸部29の軸線まわりに相対回転可能にローター18に支持される。なお、本実施形態では、所定の角度は、9°である。
【0045】
複数のウエイト19が支持されたローター18、切替部20、及び入力軸21がケーシング17内に収容された状態で、ケーシング17は、ホルダ25に取り付けられる。ケーシング17をホルダ25に取り付けるには、ケーシング17の取付部26を介して、ホルダ25のネジ孔にネジ63をねじこめばよい。図1に示すように、減速装置1は、ホルダ25を介して、ヘッドボックス5内に設けられる。ヘッドボックス5内に設けられた減速装置1には、駆動軸4が貫通している。具体的には、駆動軸4は、入力軸21の挿通孔57及びケーシング17の貫通孔28を貫通している。この際、入力軸21は、駆動軸4と一体回転可能である。駆動軸4は、ローター18及び回転部43を回転可能に軸支する。従って、ローター18は、軸部29の軸線まわりに回転可能に、ケーシング17内に支持される。
【0046】
駆動軸4が回転することで入力軸21が回転すると、ローター18は、入力軸21とともに回転する。ローター18が回転することで、ウエイト19は、頭部36の軸線まわりに回転することができる。従って、ウエイト19は、ローター18とともに回転してケーシング17の内周面64に摺接することで、制動力を発生することができる。本実施形態の減速装置1は、ローター18に支持される複数のウエイト19のうちの所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態と、前記所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態とに切り替えることができる。具体的には、以下のとおりである。
【0047】
第1切替部材47は、複数の前記所定のウエイト19のうちの1又は一部の複数のウエイト19である第1ウエイトに対して、前記第1状態と前記第2状態とに切替可能である。第2切替部材48は、複数の前記所定のウエイト19のうちの残りのウエイト19である第2ウエイトに対して、前記第1状態と前記第2状態とに切替可能である。前述したように、第1切替部材47及び第2切替部材48は、所定の角度範囲内で互いに相対回転可能に配置されている。
【0048】
第1切替部材47の回転部43は、ローター18に対して相対回転可能である。第1切替部材47の回転部43の前記相対回転に伴って、第1切替部材47の突出部44は、前記第1ウエイトとケーシング17の内周面64との間を回転部43の周方向に移動可能とされている。この際、図8(a)に示すように、第1切替部材47の突出部44がウエイト19のウエイトチップ38から離れた位置にある場合、ウエイト19は、頭部36の軸線まわりに回転可能である。この場合、ウエイト19のウエイトチップ38は、ケーシング17の内周面64に摺接可能である。すなわち、第1状態にある。第1状態では、第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうちの一方に係合されている。図8(b)に示すように、第1切替部材47の突出部44がウエイト19のウエイトチップ38に近い位置にある場合、ウエイト19の本体部37が突出部44に接触することで、ウエイト19のウエイトチップ38は、ケーシング17の内周面64に摺接不能である。すなわち、第2状態にある。第2状態では、第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうちの他方に係合されている。
【0049】
第2切替部材48の回転部43は、ローター18に対して相対回転可能である。第2切替部材48の回転部43の前記相対回転に伴って、第2切替部材48の突出部44は、前記第2ウエイトとケーシング17の内周面64との間を回転部43の周方向に移動可能とされている。この際、第1切替部材47の場合と同様に、第2切替部材48の突出部44がウエイト19のウエイトチップ38から離れた位置にある場合、ウエイト19は、頭部36の軸線まわりに回転可能である。この場合、ウエイト19のウエイトチップ38は、ケーシング17の内周面64に摺接可能である。すなわち、第1状態にある。第1状態では、第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうちの一方に係合されている。一方、第2切替部材48の突出部44がウエイト19のウエイトチップ38に近い位置にある場合、ウエイト19の本体部37が突出部44に接触することで、ウエイト19のウエイトチップ38は、ケーシング17の内周面64に摺接不能である。すなわち、第2状態にある。第2状態では、第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうちの他方に係合されている。
【0050】
このように、切替部20は、突出部44が前記所定のウエイト19の揺動を許容する位置まで移動することによって前記第1状態に切り替えることができ、突出部44が前記所定のウエイト19の揺動を規制する位置まで移動することによって前記第2状態に切り替えることができる。第1状態では、第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうちの一方に係合されており、第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうちの一方に係合されている。第2状態では、第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうちの他方に係合されており、第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうちの他方に係合されている。従って、切替部20の位置決め部58は、切替部20を第1状態と第2状態とに位置決めすることができる。
【0051】
以上のことから、切替部20は、回転部43の相対回転に伴って、複数のウエイト19のうちの所定のウエイト19とケーシング17の内周面64との間を突出部44が回転部43の周方向に移動することにより、前記所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態と、前記所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態とに切替可能である。図示例では、図9から図14に示すように、8つのウエイト19のうちの全てのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態、8つのウエイト19のうちの4つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態、又は8つのウエイト19のうちの2つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態にすることができる。
【0052】
図4に示すように、第1切替部材47は、自身の回転部43を周方向に回転操作可能な板状の操作部65を有している。操作部65は、第1切替部材47の回転部43の外縁に固定される。従って、操作部65は、第1切替部材47の回転部43とともに回転可能である。これにより、操作部65は、第1切替部材47の回転部43の周方向に移動可能である。第1切替部材47の操作部65は、使用者が触って操作する部分である接触部66と、第1切替部材47によってウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能か否かを示す表示部67とを有している。接触部66は、表面に凹凸が形成されることで、使用者が触った際に滑りにくくなっている。表示部67は、表面に複数の溝68を有している。第2切替部材48は、自身の回転部43を周方向に回転操作可能な板状の操作部69を有している。操作部69は、第2切替部材48の回転部43の外縁に固定される。従って、操作部69は、第2切替部材48の回転部43とともに回転可能である。これにより、操作部69は、第2切替部材48の回転部43の周方向に移動可能である。第2切替部材48の操作部69は、使用者が触って操作する部分である接触部70と、第2切替部材48によってウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能か否かを示す表示部71とを有している。接触部70は、表面に凹凸が形成されることで、使用者が触った際に滑りにくくなっている。表示部71は、表面に複数の溝72を有している。操作部65,69は、入力軸21がケーシング17内に配置された状態において、大径部22の切欠き24を介して外部に露出している。
【0053】
図4に示すように、本実施形態の減速装置1は、制動力を識別可能な識別部73を有している。識別部73は、第1切替部材47の操作部65の位置及び第2切替部材48の操作部69の位置に応じて、制動力を識別可能である。識別部73は、ケーシング17の内周面64に摺接可能なウエイト19の数を示している。識別部73は、入力軸21の軸支持部51の外周面に設けられる。図3に示すように、識別部73は、入力軸21がケーシング17内に収容された状態において、大径部22の切欠き24を介して外部に露出している。
【0054】
図9及び図10は、8つのウエイト19全てがケーシング17の内周面64に摺接可能な状態を示している。8つのウエイト19全てがケーシング17の内周面64に摺接可能な状態とするには、操作部65によって第1切替部材47を回転させるとともに、操作部69によって第2切替部材48を回転させて、図9に示す状態とする。具体的には、識別部73の数字の8に対応する溝と識別部73の数字の4に対応する溝に、第1切替部材47の操作部65の溝68と第2切替部材48の操作部69の溝72とを対応させる。この状態では、図10に示すように、第1切替部材47の突出部44及び第2切替部材48の突出部44は、ウエイト19の揺動を許容する位置に配置されている。なお、本実施形態では、ローター18が時計方向に回転した際に、ウエイト19をケーシング17の内周面64に摺接させることができる。
【0055】
図10に示すように、第1切替部材47の4つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38から離れた位置に配置される。すなわち、第1切替部材47の突出部44に対応する4つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態にある。この場合、第1切替部材47の第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうち、ローター18の回転方向である時計方向後方側に位置する第1被係合部61に係合されている。また、第2切替部材48の2つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38から離れた位置に配置される。すなわち、第2切替部材48の突出部44に対応する2つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態にある。この場合、第2切替部材48の第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうち、ローター18の回転方向である時計方向後方側に位置する第2被係合部62に係合されている。なお、本実施形態の減速装置1は、8つのウエイト19のうちの2つのウエイト19には、第1切替部材47の突出部44及び第2切替部材48の突出部44が作用しない。従って、8つのウエイト19のうちの2つのウエイト19は、常に第1状態である。
【0056】
従って、8つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態にある。この状態において、駆動軸4を時計方向に回転させてローター18を回転させると、8つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に接触しつつ、ローター18とともに回転する。
【0057】
図11及び図12は、8つのウエイト19のうちの4つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態を示している。8つのウエイト19のうちの4つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態とするには、操作部65によって第1切替部材47を回転させるとともに、操作部69によって第2切替部材48を回転させて、図11に示す状態とする。具体的には、識別部73の数字の4に対応する溝に、第1切替部材47の操作部65の溝68と第2切替部材48の操作部69の溝72を対応させる。この状態では、図12に示すように、第1切替部材47の突出部44は、ウエイト19の揺動を規制する位置に配置され、第2切替部材48の突出部44は、ウエイト19の揺動を許容する位置に配置されている。
【0058】
図12に示すように、第1切替部材47の4つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38に近い位置に配置される。すなわち、第1切替部材47の突出部44に対応する4つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態にある。この場合、第1切替部材47の第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうち、ローター18の回転方向である時計方向前方側に位置する第1被係合部61に係合されている。また、第2切替部材48の2つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38から離れた位置に配置される。すなわち、第2切替部材48の突出部44に対応する2つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態にある。この場合、第2切替部材48の第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうち、ローター18の回転方向である時計方向後方側に位置する第2被係合部62に係合されている。
【0059】
従って、第2切替部材48の突出部44に対応する2つのウエイト19と、第1切替部材47の突出部44及び第2切替部材48の突出部44が作用しない2つのウエイト19とは、ケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態にある。この状態において、駆動軸4を時計方向に回転させてローター18を回転させると、4つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に接触しつつ、ローター18とともに回転する。
【0060】
図13及び図14は、8つのウエイト19のうちの2つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態を示している。8つのウエイト19のうちの2つのウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な状態とするには、操作部65によって第1切替部材47を回転させるとともに、操作部69によって第2切替部材48を回転させて、図13に示す状態とする。具体的には、識別部73の数字の4に対応する溝及び識別部73の数字の2に対応する溝に、第1切替部材47の操作部65の溝68と第2切替部材48の操作部69の溝72を対応させる。この状態では、図14に示すように、第1切替部材47の突出部44及び第2切替部材48の突出部44は、ウエイト19の揺動を規制する位置に配置されている。
【0061】
図14に示すように、第1切替部材47の4つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38に近い位置に配置される。すなわち、第1切替部材47の突出部44に対応する4つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態にある。この場合、第1切替部材47の第1固定部59は、2つの第1被係合部61のうち、ローター18の回転方向である時計方向前方側に位置する第1被係合部61に係合されている。また、第2切替部材48の2つの突出部44は、対応するウエイト19のウエイトチップ38に近い位置に配置される。すなわち、第2切替部材48の突出部44に対応する2つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態にある。この場合、第2切替部材48の第2固定部60は、2つの第2被係合部62のうち、ローター18の回転方向である時計方向前方側に位置する第2被係合部62に係合されている。
【0062】
従って、第1切替部材47の突出部44及び第2切替部材48の突出部44が作用しない2つのウエイト19のみが第1状態にある。この状態において、駆動軸4を時計方向に回転させてローター18を回転させると、2つのウエイト19は、ケーシング17の内周面64に接触しつつ、ローター18とともに回転する。
【0063】
本実施形態の減速装置1の場合、切替部20は、複数のウエイト19のうちの所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接可能な第1状態と、前記所定のウエイト19がケーシング17の内周面64に摺接不能な第2状態とに切り替えることができる。従って、本実施形態の減速装置1によれば、切替部20の回転操作により制動力を容易に調整できる。結果として、ブラインド2の仕様にかかわらず、減速装置1を共通化できるので、減速装置1の低コスト化を図ることができる。また、ローター18に対するウエイト19の配置は、従来の減速装置と変わらないため、装置サイズが大きくなることを回避しながらも上記の効果を得ることができる。
【0064】
本実施形態の減速装置1の場合、切替部20の突出部44によって、ケーシング17の内周面64に接触するウエイト19の数を調整することができる。従って、本実施形態の減速装置1によれば、ウエイト19の揺動を許容、及びウエイト19の揺動を規制することで、制動力を調整できる。
【0065】
本実施形態の減速装置1の場合、切替部20は、第1切替部材47及び第2切替部材48を有している。従って、本実施形態の減速装置1によれば、制動力を多段階で調整することができるため、ブラインド2の仕様に応じた柔軟な制動力の調整が可能となる。
【0066】
本実施形態の減速装置1の場合、切替部20は、切替部20を位置決めできる位置決め部58を有している。従って、本実施形態の減速装置1によれば、第1状態及び第2状態をより確実に維持することができる。本実施形態の減速装置1の場合、切替部20の位置決め部58は、第1固定部59及び第2固定部60を有している。従って、本実施形態の減速装置1によれば、簡易な構成で、制動力を調整した状態を安定的に保持できる。
【0067】
本実施形態の減速装置1の場合、第1切替部材47及び第2切替部材48は、操作部65,69を有している。従って、本実施形態の減速装置1によれば、制動力を調整する際の回転操作がより容易となる。
【0068】
本実施形態の減速装置1の場合、減速装置1は、制動力を識別可能な識別部73を有している。識別部73は、第1切替部材47の操作部65及び第2切替部材48の操作部69の位置に応じて、制動力を識別可能である。従って、本実施形態の減速装置1によれば、調整した制動力を識別することができるため、利便性が向上する。
【0069】
本実施形態のブラインド2の場合、減速装置1の効果を奏するブラインド2を実現できる。また、例えば、上方が開口されたヘッドボックス5内に減速装置1を配置すれば、ブラインド2を分解せずとも容易に制動力を調整することが可能となる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施形態では、減速装置1は、横型ブラインドであるブラインド2に適用されたが、これに限定されない。減速装置1は、例えば、ロールスクリーン、プリーツスクリーン、ローマンシェイドなどのブラインドに適用することができる。
【0072】
前記実施形態では、第1切替部材47の突出部44の数は、4つとされたが、これに限定されない。前記実施形態では、第2切替部材48の突出部44の数は、2つとされたが、これに限定されない。前記実施形態では、ローター18に支持されるウエイト19の数は、8つとされたが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0073】
1 減速装置
2 ブラインド
3 スラット(遮蔽材)
4 駆動軸
17 ケーシング
18 ローター
19 ウエイト
20 切替部
21 入力軸
29 軸部
30 支持部
43 回転部
44 突出部
47 第1切替部材
48 第2切替部材
58 位置決め部
59 第1固定部
60 第2固定部
64 内周面
65 操作部
69 操作部
73 識別部
図1
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