(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093740
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/04 20180101AFI20240702BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F25C1/04 302Z
F25D29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210304
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 勇太
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045BA03
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】製氷装置の組立性および安全性を向上させる。
【解決手段】製氷皿を備える製氷装置であって、装置の外形を構成するケース体である外殻ケースと、回路基板を収容する基板ケースと、を有し、前記基板ケースは、前記外殻ケース内に配置される製氷装置によりこれを解決する。回路基板を基板ケースに収容し、基板ケースを単位としてこれを外殻ケース内に組み付けることにより、回路基板の取り回しが容易になる。また、回路基板の絶縁性や防爆性を基板ケースにより確保することもでき、装置の安全性を柔軟に確保することが可能になる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿を備える製氷装置であって、
装置の外形を構成するケース体である外殻ケースと、
回路基板を収容する基板ケースと、を有し、
前記基板ケースは、前記外殻ケース内に配置される、
製氷装置。
【請求項2】
前記回路基板は、該回路基板を他の部品に電気的に接続させる端子を有し、
前記基板ケースには、前記端子を外部に露出させる開口である端子口が設けられ、
前記端子は、前記他の部品の接続部に抜き差し可能なオス端子またはメス端子であり、
前記外殻ケースの内部には、前記基板ケースが取り付けられるケース配置部が設けられ、
前記基板ケースが前記ケース配置部に取り付けられることで、前記回路基板の前記端子が前記他の部品の前記接続部に接続される、
請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記基板ケース及び前記ケース配置部にはスライド嵌合部が設けられ、
前記スライド嵌合部は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで嵌合し、前記基板ケースが前記端子の抜き差し方向以外に移動することを制限する、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記ケース配置部にはストッパー部が設けられ、
前記ストッパー部は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせたときに前記基板ケースが突き当たることで、該基板ケースの同方向への移動限界を定める、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記基板ケース及び前記ケース配置部はスナップフィット構造を備え、
前記スナップフィット構造は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで嵌合する、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記外殻ケースは着脱可能な蓋部を有し、
前記蓋部は、その内面が前記基板ケースの外面である対向面に接し、
前記蓋部の内面には、
該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の形状と同形状の凹部、又は、
該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の周縁が嵌まるリブが形成されている、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記蓋部の内面、及び前記基板ケースの対向面には、対になる形状の凹凸が設けられ、
前記蓋部が装着されることで前記凹凸が嵌合する、
請求項6に記載の製氷装置。
【請求項8】
前記ケース配置部には、前記端子が差し込まれる開口である挿入口が設けられ、
前記他の部品の接続部は、前記挿入口の奥に配置されており、
前記接続部は、前記端子の差込方向以外からは視認不能である、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項9】
前記基板ケースは、前記端子を筒状に取り囲む端子ハウジングを有する、
請求項8に記載の製氷装置。
【請求項10】
交流を直流に変換する変換器を有する前記回路基板である第1基板と、
直流で動作する部品が接続される前記他の部品である第2基板と、を有し、
前記第2基板は、装置の動作を制御する制御部を有し、
前記第1基板の前記端子は、前記接続部である基板間コネクタを介して前記第2基板と接続される、
請求項2に記載の製氷装置。
【請求項11】
前記基板間コネクタは、前記第1基板と前記第2基板とを互いに垂直に接続する、
請求項10に記載の製氷装置。
【請求項12】
前記第1基板と前記第2基板との接続にはリード線が用いられていない、
請求項10に記載の製氷装置。
【請求項13】
前記第1基板は、前記製氷皿に水を供給する給水バルブを開閉するリレーを有する、
請求項10に記載の製氷装置。
【請求項14】
前記第1基板はバリスタを有する、
請求項10に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製氷装置に関し、より具体的には、制御部を備える自動製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、AC/DCコンバータを有する第1回路基板、及び制御用の第2回路基板を備える自動製氷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一連の製氷動作を自動的に行う製氷装置は、電力や信号を制御するための回路基板を備えている。回路基板を作業者がはんだ付けにより組み付ける場合、はんだ付け作業の巧拙により回路基板の接続品質にバラツキが生じるおそれがある。また、動力としての電気を扱う回路(強電回路)には、絶縁性や防爆性等の安全性が求められ、当然、その組み付けや接続の品質についても良好であることが求められる。
【0005】
このような問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、製氷装置の組立性および安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の製氷装置は、製氷皿を備え、装置の外形を構成するケース体である外殻ケースと、回路基板を収容する基板ケースと、を有し、前記基板ケースは、前記外殻ケース内に配置されることを要旨とする。回路基板を基板ケースに収容し、基板ケースを単位としてこれを外殻ケース内に組み付けることにより、回路基板の取り回しが容易になる。また、回路基板の絶縁性や防爆性を基板ケースにより確保することもでき、装置の安全性を柔軟に確保することが可能になる。
【0007】
このとき、前記回路基板は、該回路基板を他の部品に電気的に接続させる端子を有し、前記基板ケースには、前記端子を外部に露出させる開口である端子口が設けられ、前記端子は、前記他の部品の接続部に抜き差し可能なオス端子またはメス端子であり、前記外殻ケースの内部には、前記基板ケースが取り付けられるケース配置部が設けられ、前記基板ケースが前記ケース配置部に取り付けられることで、前記回路基板の前記端子が前記他の部品の前記接続部に接続されることが好ましい。回路基板の端子を、はんだ付けでなく、抜き差し可能な構成(つまりコネクタ接続)で他の部品に接続することにより、回路基板の組み付けが容易になるだけでなく、はんだ付け作業の巧拙によらず一定の接続品質を保つことができる。
【0008】
また、本発明の製氷装置は、前記基板ケース及び前記ケース配置部にスライド嵌合部が設けられ、前記スライド嵌合部は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで嵌合し、前記基板ケースが前記端子の抜き差し方向以外に移動することを同スライド嵌合部が制限する構成としてもよい。端子の差込と基板ケースの固定とを基板ケースのスライドのみで同時に完成させることで、製氷装置の組立性が向上する。
【0009】
また、本発明の製氷装置は、前記ケース配置部にストッパー部が設けられ、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせたときに前記基板ケースが前記ストッパー部に突き当たることで、該基板ケースの同方向への移動限界を定める構成としてもよい。スライドさせた基板ケースの最終位置がストッパー部で定められることにより、端子の差込具合が均一化され、回路基板の接続品質が安定する。
【0010】
また、本発明の製氷装置は、前記基板ケース及び前記ケース配置部がスナップフィット構造を備え、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで前記スナップフィット構造が嵌合する構成としてもよい。端子の差込と基板ケースの固定とを基板ケースのスライドのみで同時に完成させることで、製氷装置の組立性が向上する。さらに、端子が規定量差し込まれたことがスナップフィットの嵌合音やその感触によって作業者に伝えられることで、端子の差込具合が均一化され、回路基板の接続品質が安定する。
【0011】
また、本発明の製氷装置は、前記外殻ケースが着脱可能な蓋部を有し、前記蓋部は、その内面が前記基板ケースの外面である対向面に接し、前記蓋部の内面には、該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の形状と同形状の凹部、又は、該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の周縁が嵌まるリブが形成される構成としてもよい。ケース配置部に設置された基板ケースを蓋部で移動不能に固定することにより、基板ケース及び回路基板を所定位置に強固に固定することができる。また作業者は、蓋部の凹部やリブが基板ケースの対向面にうまく嵌まらないことで、端子の差込不足に気付くこともできる。このとき、前記蓋部の内面、及び前記基板ケースの対向面には、対になる形状の凹凸が設けられ、前記蓋部が装着されることで前記凹凸が嵌合する構成としてもよい。これにより、蓋部が基板ケースの位置を保持する効果が高められる。
【0012】
また、本発明の製氷装置は、前記ケース配置部に、前記端子が差し込まれる開口である挿入口が設けられ、前記他の部品の接続部は、前記挿入口の奥に配置されており、前記接続部は、前記端子の差込方向以外からは視認不能な構成としてもよい。他の部品の接続部を作業者から視覚的に隠すことで、結果的に作業者は、端子を本来の作業手順に従って挿入口に差し込むようになる。つまり、作業者が、そこに見えている接続部に対して直感的に・安直に端子を差し込んでしまうことが防止され、作業者は、端子を、作業手順に定められた正しい向きに、正しい手順に従って差し込むようになる。
【0013】
このとき、前記基板ケースは、前記端子を筒状に取り囲む端子ハウジングを有してもよい。端子が筒状の端子ハウジングに取り囲まれることにより、他の部品の接続部に対して端子を差し込める向きが制限され、誤った向きでの強引な接続が未然に防止される。
【0014】
また、本発明の製氷装置は、交流を直流に変換する変換器を有する前記回路基板である第1基板と、直流で動作する部品が接続される前記他の部品である第2基板と、を有し、前記第2基板は、装置の動作を制御する制御部を有し、前記第1基板の前記端子は、前記接続部である基板間コネクタを介して前記第2基板と接続されることが好ましい。第1基板(回路基板)と第2基板(他の部品)とを基板間コネクタによって嵌合接続(構造的に接続)することにより、回路基板の接続作業が容易化されるとともに、その接続品質も均一化される。また、回路基板を、そこに実装される部品の入力電流の種類や機能等に基づいて複数枚に分割することで、それぞれの回路基板を最適な位置に柔軟に配置することが可能となる。
【0015】
このとき、前記基板間コネクタは、前記第1基板と前記第2基板とを互いに垂直に接続する構成としてもよい。第1基板と第2基板とを垂直に接続することで、その接続後の3次元方向における最大寸法を、これらを同一面上で接続したときの最大寸法よりも小さくすることができる。これにより、回路基板が小型化のボトルネックになることを避けることができる。
【0016】
またこのとき、前記第1基板と前記第2基板との接続にはリード線が用いられていないことが好ましい。これによりリード線の配置スペースを省くことができ、製氷装置をさらに小型化することができる。
【0017】
またこのとき、前記第1基板は、前記製氷皿に水を供給する給水バルブを開閉するリレーを有する構成としてもよい。一般に機械的接点を有するリレーを第1基板に実装することにより、ノイズやスパークなどの課題を第1基板に集約することができる。また、第2基板は、第1基板から直流の供給を受けて電気・電子部品を制御するというその役割上、第1基板よりも装置の奥まった部分に配置されることが見込まれる。そのため、装置外の機械要素(本発明では給水バルブ)に接続されるリレーを、第2基板ではなく第1基板に配置することにより、リレーと給水バルブとのアクセスを容易にすることができる。
【0018】
またこのとき、前記第1基板はバリスタを有して良い。第1基板にサージ電流の迂回機能をもたせることにより、製氷装置の電源機能が第1基板に集約される。これにより第2基板の安全性が担保され、第2基板の構成を簡潔にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明の製氷装置によれば、製氷装置の組立性および安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る製氷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】製氷装置が行う離氷動作の流れを示す模式図である。
【
図3】駆動ユニットの動力伝達経路を示す背面図である。
【
図4】製氷装置のケース体の構造を示す斜視図である。
【
図5】駆動ユニットが備える基板の配置を示す平面透視図である。
【
図9】内ケースに対する基板ケースの取り付け方法を示す模式図である。
【
図10】蓋部による基板ケースの固定構造を示す模式断面図である。
【
図12】従動軸の構造を示す斜視図(a)及び側面図(b)である。
【
図13】スイッチレバーの構造を示す平面図(a)及び斜視図(b)である。
【
図14】製氷皿が製氷位置にあるときの駆動機構の様子を示す背面図である。
【
図15】検氷動作時の駆動機構の様子を示す背面図である。
【
図16】離氷動作の続行時/中断時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【
図17】排出動作時の駆動機構の様子を示す背面図である。
【
図18】氷排出後の駆動機構の様子を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる製氷装置の実施形態について図面を用いて説明する。以下に説明する製氷装置90は、図示しない冷蔵庫の冷凍室に設置され、冷蔵庫から水の供給を受けて自動的に氷を製造する装置である。
【0022】
以下の説明における「上下」とは、
図1に描かれた座標軸のZ軸に平行な方向を意味しており、Z1側を「上」、Z2側を「下」とする。「前後」及び「表裏」とは、同座標軸のX軸に平行な方向であり、X1側を「前」「表」、X2側を「後ろ」「裏」とする。同様に、「左右」とは、同座標軸のY軸に平行な方向であり、Y1側を「右」、Y2側を「左」とする。
【0023】
(全体構成)
図1は製氷装置90の外観を示す斜視図である。製氷装置90は製氷皿20をひねって氷を排出するいわゆるひねり式の製氷装置である。製氷装置90は、複数のセル(貯水室)を有する樹脂製の製氷皿20と、製氷皿20を回動させるモータユニットである駆動ユニット91を有している。駆動ユニット91及び製氷皿20は、冷凍庫内に据え付けられるケース体である外殻ケース10に収容・支持されている。また、駆動ユニット91は、後述する貯氷部92内の氷の量を検査する検氷部材である検氷レバー31を備えている。
【0024】
(離氷動作概要)
図2は、製氷装置90が行う離氷動作(製氷皿20から氷を排出する動作)の流れを示す模式図である。
【0025】
図2(a)は、製氷皿20が、液体の水を保持する配置角度である「製氷位置」にある状態を示す図である。製氷装置90は、製氷皿20の温度をその下面に取り付けられた温度センサであるサーミスタ24で監視しており、製氷皿20の温度が規定値に至ったことを検知すると離氷動作を開始する。
図2(b)及び
図2(c)は製氷装置90による離氷動作を示す図である。
【0026】
図2(b)は、離氷動作の一部である「検氷動作」を示す図である。「検氷動作」とは、氷が貯えられる容器である貯氷部92内の氷の嵩高を測り、離氷動作を継続するか、それとも中断(キャンセル)するかを決定する動作である。離氷動作が開始され、製氷皿20が図示CCW方向への回転を開始すると、これに連動して検氷レバー31のアーム部312が貯氷部92内に降下する。ここで、検氷レバー31が予め定められた基準面よりも下まで降下すれば、氷の量が不足しているものと判断され、離氷動作が続行される。一方、検氷レバー31が基準面に至る前に、堆積した氷によってその降下が妨げられると、貯氷部92はすでに氷で一杯と判断され、離氷動作がキャンセルされる。
【0027】
図2(c)は、離氷動作の一部である「排出動作」を示す図である。貯氷部92の氷の量が不足している場合、製氷装置90は離氷動作を続行する。製氷皿20の前端には、外殻ケース10の軸穴に支持される軸部23がその中央に形成されており、軸部23の左右には、前方に突き出した凸部である第1凸部21及び第2凸部22が形成されている。外殻ケース10には、第1凸部21及び第2凸部22の回転軌道上に、その回転を妨げる第1接触部111及び第2接触部112が設けられている。製氷皿20が図示CCW方向への回転を継続すると、製氷皿20の第1凸部21及び第2凸部22は、外殻ケース10の第1接触部111及び第2接触部112に接触する。駆動ユニット91はその状態からさらに製氷皿20をCCW方向へ数十度回転させ、製氷皿20をひねる。これにより製氷皿20の氷が貯氷部92内に排出される。
【0028】
(駆動機構概要)
図3は、駆動ユニット91の動力伝達経路を示す背面図である。製氷装置90は、これが設置された冷蔵庫から電力の供給を受け、種々の規定動作を行う。
【0029】
駆動ユニット91は、駆動源である直流モータ81(以下、単に「モータ81」という。)と、製氷皿20を回動させる出力部であるカムギヤ40と、カムギヤ40の動作に連動して検氷レバー31を昇降させる従動軸50と、を有している。
【0030】
カムギヤ40は、円形に広がったフランジ状の円板部であるギヤ部41を有している。ギヤ部41の裏面41bは平面カム機構の原動節を構成している。従動軸50はギヤ部41の従動節を構成する軸体である。ギヤ部41はその外周面に歯部が形成されており、平歯車として機能する。モータ81の回転は減速歯車列によって減速され、カムギヤ40のギヤ部41に伝達される。本形態の減速歯車列は、モータ81の出力軸に装着されたウォームギヤ811、第1歯車82、第2歯車83、及び第3歯車84により構成されている。第1~3歯車は、それぞれ、大径歯車と小径歯車とが軸線方向に重ねられ、一体化された複合歯車である。第1歯車82の大径歯車はウォームギヤ811と対になるウォームホイールとなっている。
【0031】
また、ギヤ部41の裏面41bには、他の従動節であるスイッチレバー72も接している。スイッチレバー72は、カムギヤ40の配置角度と従動軸50の配置角度(つまり検氷レバー31の降下角度)とに応じて、機械的なスイッチである検氷スイッチ71のON/OFFを切り替える。製氷装置90は、検氷スイッチ71の出力を監視し、冷凍庫内の氷量が十分(満氷)であるときは駆動ユニット91による離氷動作をキャンセルし、氷量が不足しているときは離氷動作を続行する。
【0032】
(ケース体の構造)
図4は、製氷装置90の外殻ケース10の構造を示す斜視図である。外殻ケース10は、全体として略直方体形状の筐体であり、製氷装置90の外形を構成している。外殻ケース10は、製氷皿20を回動可能に支持し、駆動ユニット91をその内部に収容する。
【0033】
外殻ケース10は、製氷皿20を保持する枠部11と、駆動ユニット91を保持する箱部12とを有している。枠部11には製氷皿20を覆う上面および底面はなく、製氷皿20はその全体が外部に露出している。駆動ユニット91は、製氷皿20との接続部を除き、そのほぼ全体が箱部12に覆われている。箱部12はフック122により着脱可能な蓋部121を有している。フック122は箱部12の底面にも設けられており、フック122を外して蓋部121を開けることで箱部12の内部にアクセスすることができる。外殻ケース10の背面(X2側端面)、つまり蓋部121には、製氷装置90を始動させるボタンであるメインスイッチ655と、メーカーやサービスエンジニアが製氷装置90の動作を確認するためのテストスイッチ656が配置されている。
【0034】
箱部12の中には、無蓋のケース半体である内ケース13が箱部12の内面にねじ固定されている。内ケース13はその上面と下面に凸状のフック132を有しており、これらを箱部12の対応する位置に設けられた穴部123に係合させることで、箱部12内における内ケース13の位置が仮固定される。内ケース13はその開口を箱部12の前方(X1側)の内面に向けて固定されている。内ケース13には、駆動ユニット91を構成する歯車等の機械部品や、後述する基板ケース14等が組み付けられている。本形態の製氷装置90は、箱部12が別部材からなる内ケース13を備えていることにより、駆動ユニット91を構成する部品を予め内ケース13に組み付けて、これを一括で箱部12に収容・固定することができる。これにより製氷装置90の組立性が高められている。
【0035】
(基板構成)
図5は、駆動ユニット91が備える基板の配置を示す平面透視図である。
図6は、同基板の機能構成を示すブロック図である。以下、
図5及び
図6を参照して製氷装置90の基板構成について説明する。
【0036】
本形態の製氷装置90は、上位装置である冷蔵庫から電力の供給を受けて、給水、製氷、排氷、そして貯氷量の管理までを自律的に行う全自動製氷装置である。そして製氷装置90は、電力の変換や、各種動作を制御するための基板を有している。
【0037】
製氷装置90の基板は、2枚のリジッド基板である第1基板61及び第2基板65により構成されている。回路基板である第1基板61は、冷蔵庫から入力された交流電力を直流に変換する変換器であるAC/DCコンバータ611を備える基板である。第2基板65には第1基板61から直流電力が供給される。他の回路基板である第2基板65には、直流で動作する電気・電子部品が接続される。また、第2基板65は、製氷装置90の動作を制御する制御部である制御装置651を備えている。制御部の具体構成は特に限定されない。本発明の制御部は、センサやスイッチ類、プログラムからの入力を受けて出力信号を任意に切替可能であればよく、例えばマイクロコントローラや、FPGA、CPLD、その他の制御回路などが考えられる。
【0038】
第1基板61は、これを他の部品に電気的に接続させる端子であるピン619を有している。第2基板65は、このピン619を抜き差し可能な接続部であるソケット659を有している。以下の説明ではこれらピン619及びソケット659を「基板間コネクタ619,659」ともいう。本形態では、2枚の基板を基板間コネクタ619,659で嵌合接続することにより、基板の接続作業が容易化されており、またその接続品質も均一化されている。そして、本形態では、基板が、そこに実装される部品の入力電流の種類や機能等に基づいておおまかに分割されていることで、それぞれの基板を最適な位置に柔軟に配置することが可能となっている。さらに、製氷装置90では、第1基板61及び第2基板65の接続にリード線が用いられておらず、リード線を遊ばせるためのスペースが不要である。このことによっても製氷装置90の構造効率が高められている。
【0039】
また、
図5に示されるように、本形態の第1基板61及び第2基板65は、基板間コネクタ619,659により垂直(互いの面方向が90°の角度で交わるように)に接続されている。第1基板61と第2基板65とが垂直に接続されていることにより、その接続後の3次元方向における最大寸法が、これらを同一面上で接続したときの最大寸法よりも小さくなっている。これにより、基板が小型化のボトルネックになることが防止されている。
【0040】
図6に示されるように、第1基板61には、上述のAC/DCコンバータ611に加え、製氷皿20に水を供給する給水バルブを開閉するメカニカルリレー613(以下、単に「リレー613」という。)が実装されている。機械的接点を有するリレー613を第1基板61に配置することにより、ノイズやスパークなどの課題が第1基板61に集約されている。また、リレー613の動作は第2基板65の制御装置651によって制御されるが、第2基板65は、第1基板61から直流の供給を受けて電気・電子部品を制御するというその役割上、第1基板61よりも装置の奥まった部分に配置される。そのため、本形態では、装置外の給水バルブに接続されるリレー613を、第2基板65ではなく第1基板61に配置することにより、リレー613と給水バルブとのアクセスを容易にしている。これに加え、第1基板61にはバリスタ612も実装されている。サージ電流の迂回機能を第1基板61にもたせることにより、製氷装置90の電源機能が第1基板61に集約されている。またこれにより第2基板65の安全性が担保され、第2基板65の構成が簡潔になっている。
【0041】
第2基板65には、モータ81と、上述のメインスイッチ655及びテストスイッチ656、サーミスタ24、及び検氷スイッチ71が接続されている。また、第2基板65にはモータ81の駆動回路であるモータドライバ652が実装されている。
【0042】
製氷装置90は、その駆動源として直流モータ81を採用している。駆動源に直流モータを採用することにより、モータの駆動制御、つまり製氷装置90の動作の制御が容易となる。これにより、製氷装置90の広範で多岐にわたる機能・動作が簡潔な構成で実現されている。その他、第2基板65にはサーミスタ24と検氷スイッチ71も接続されており(これらの具体的な機能については後述する)、これにより製氷装置90の動作制御に関わる部品が第2基板65に集約されている。
【0043】
このように、本形態の製氷装置90は、電源に関する機能を第1基板61にほぼ集約し、製氷装置90の動作制御に関する機能を第2基板65にほぼ集約することで、合理的かつ柔軟に基板を分割している。
【0044】
(基板ケース及びその取り付け構造)
図7は、基板ケース14の外観を示す斜視図である。基板ケース14は、その内部に第1基板61を収容するケース体である。本形態の第1基板61は、まず基板ケース14に収容され、この基板ケース14を単位として外殻ケース10内に組み付けられる。
【0045】
上でも述べたように、第1基板61には、AC/DCコンバータ611やリレー613等の強電部品が実装されている。製氷装置90の安全性を担保するためには、第1基板61について十分な絶縁性や防爆性を確保する必要がある。本形態の製氷装置90では、第1基板61を基板ケース14に収容することで、この基板ケース14を使って、絶縁性・防爆性の確保や、安全性の規格基準への準拠を、柔軟に、かつ効率良く実現することができる。また、基板ケース14に種々の組み付け構造(後述)を設けることにより、製氷装置90への基板ケース14の組み付けが容易化されており、その結果、基板間コネクタ619,659の接続品質が均一化され、またその接続状態が強固に維持される。
【0046】
図7に示すように、本形態の基板ケース14は略直方体形状の筐体である。基板ケース14は、X方向(
図7視上下方向)に分割される一対のケース半体を、嵌合式のロック149で接合することにより組み立てられている。本形態のロック149は、穴が設けられた舌片形状の弾性体と、その穴に嵌合され、これを係止するフックからなるロックである。
【0047】
基板ケース14のY1側の面には、ピン619を外部に露出させる開口である端子口142が設けられている。ピン619は基板ケース14から外に突き出したオス端子である。基板ケース14のY2側の面には、冷蔵庫からの電力線を通す開口である配線口143が設けられている。そして、基板ケース14のZ1側およびZ2側の面には、基板ケース14を内ケース13に取り付けるための平板状の小片であるスライドプレート141が各面に2つずつ設けられている。そして、各面のY1側のスライドプレート141には、Y1方向に延びるフック付の弾性アームであるフックアーム142が設けられている。詳しくは後述するが、スライドプレート141は、内ケース13のスライドガイド136とともにスライド嵌合部を構成し、フックアーム142は、スライドガイド136の爪掛け部136cとともにスナップフィット構造を構成している。
【0048】
図8は、内ケース13の表面構造を示す斜視図である。本形態の内ケース13は、駆動ユニット91を構成する歯車等の機械部品が組み付けられるとともに、基板ケース14が取り付けられるケース配置部でもある。
【0049】
内ケース13は、そのX2側の面(
図8視上面)に、上述の4つのスライドプレート141が装着されるスライドガイド136が設けられている。スライドガイド136は、基板ケース14のZ1側およびZ2側の面の位置、つまりスライドプレート141の形成位置に沿って2本設けられている。
【0050】
スライドガイド136は、スライドプレート141をスライドさせて差し込む鉤状の押さえ部136aと、スライドプレート141が載置される支持台136bとを有している。また、本形態の内ケース13には、スライドガイド136の支持台136bに加え、基板ケース14の底面(X1側の面)を支持するレール部137が設けられている。レール部137は、Y方向に線状に延びる壁部である。
【0051】
また、内ケース13には、第2基板65のソケット659を外部に露出させる開口である挿入口135が設けられている。本形態の製氷装置90は、基板ケース14が内ケース13に取り付けられることで、第1基板61のピン619が第2基板65のソケット659に差し込まれる。本形態の製氷装置90は、上でも述べたように、第1基板61と第2基板65とをリード線のはんだ付けではなく抜き差し可能なコネクタで接続することにより、基板間の接続作業が容易化されており、作業者による作業の巧拙によらず一定の接続品質を保つことができる。尚、本形態では第1基板61がピン619を備え、第2基板65がソケット659を備えているが、端子のオスメスは逆にしてもよい。
【0052】
また、内ケース13には、スライドガイド136よりもY1側に、基板ケース14のY1側の面、つまりピン619の差し込み方向側の面が突き当たるストッパー部138が設けられている。本形態のストッパー部138は、基板ケース14のY1側の面に対向する壁面に形成されており、X方向に線状に延びるリブがZ方向に複数並べられたものである。
【0053】
また、本形態の挿入口135は、作業者がソケット659を視認できるよう、X2側にまで開口が広がっている。これにより作業者は、ピン619とソケット659とを直接目視しながらこれらを接続することができる。尚、本形態においては、基板ケース14をスライドガイド136に沿ってスライドさせてピン619をソケット659に差し込むのが正しい組立手順である。ソケット659が作業者から見えていることで、作業者が基板ケース14を本来の手順でスライドさせずに、直接ソケット659に対して誤った向きでピン619を差し込むおそれがある場合は、ソケット659を目隠し部135aで覆い、ソケット659をピン619の差込方向以外からは見えなくすることで、つまり作業者からは見えなくすることで、そのような作業ミスを防ぐことができる。これに加え、基板ケース14が、ピン619を筒状に取り囲む端子ハウジング145(
図7参照)を備えることも考えられる。このような端子ハウジング145によっても、ピン619の差し込み方向を正しい向きに矯正することができる。
【0054】
図9は、内ケース13に対する基板ケース14の取り付け方法を示す模式図である。以下、
図9を参照して、基板ケース14及び内ケース13が備える種々の組み付け構造の機能とその効果について説明する。尚、
図9は、各部材の区別がつきやすいよう、基板ケース14をハッチングで着色している。
【0055】
基板ケース14を内ケース13に取り付ける際には、まず、
図9(a)に示すように、基板ケース14の各スライドプレート141が、それぞれの押さえ部136aのY2側に配置されるように、基板ケース14をスライドガイド136に載置する。
【0056】
そして、
図9(b)に示すように、基板ケース14をスライドガイド136に沿ってY1方向、つまりピン619の差し込み方向にスライドさせ、各スライドプレート141を押さえ部136aに差し込む。基板ケース14をY1方向に規定量スライドさせると、第1基板61のピン619がソケット659に差し込まれる。そして、スライドプレート141と押さえ部136aとが嵌合することで、基板ケース14は、ピン619の抜き差し方向以外への移動が阻止される。このように、本形態では、ピン619の差込と基板ケース14の固定とを基板ケース14のスライド操作のみで同時に完成させることにより、製氷装置90の組立性を高めている。
【0057】
またこのとき、スライドプレート141の2つのフックアーム142は、押さえ部136aを通過する際に、フック部分が押さえ部136aに接触するため、フック部分が押さえ部136aの下に潜り込むように弾性変形する。そして、フック部分が押さえ部136aを通り抜けることでフックアーム142は元の形状に戻り、その押さえ部136aのY1側の面である爪掛け部136cにフック部分が掛けられる。これにより基板ケース14のY2方向への移動、つまりピン619の引き抜き方向への移動が阻止される。また、ピン619が規定量差し込まれたことがフックアーム142の復元音やその感触によって作業者に伝えられることで、ピン619の差込具合が均一化され、第1基板61と第2基板65との接続品質が安定する。
【0058】
さらにこのとき、基板ケース14のY1側の面、つまりピン619の差し込み方向側の面は、内ケース13のストッパー部138に当接しており(又は当接する寸前であり)、基板ケース14のY1方向へのさらなる移動は、このストッパー部138により阻止される。これによりピン619の過剰挿入が防止される。
【0059】
図10(a)は、蓋部121による基板ケース14の固定構造を示す模式断面図である。
図10(b)は
図10(a)の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。本形態の蓋部121は、その内面が基板ケース14の対向面(X2側の面)に接している。そして、蓋部121の内面には、その基板ケース14の対向面の形状と同形状の凹部124が形成されている(蓋部121の外面にはこれが凸部として現れている)。基板ケース14が蓋部121に押さえられ、さらにその凹部124に基板ケース14が嵌まることにより、基板ケース14はあらゆる方向への移動が阻止され、第1基板61と第2基板65との接続が強固に維持される。さらに、本形態の蓋部121には、その内面に、基板ケース14の対向面の周縁が嵌まるリブ125も形成されている。上述の凹部124の効果はこのリブ125によっても得ることができる。本形態では、蓋部121に凹部124とリブ125の両方が設けられていることにより、蓋部121による基板ケース14の固定効果が強化されている。
【0060】
さらに、作業者は、蓋部121の凹部124やリブ125が基板ケース14にうまく嵌まらないことで、ピン619の差込不足に気付くこともできる。
【0061】
そして、本形態の蓋部121の内面と、基板ケース14の対向面には、対になる形状の凹部144及び凸部126が設けられている。蓋部121が装着されることで、これら凹部144及び凸部126が嵌合する。この凹凸の嵌合によっても、基板ケース14の固定効果が高められている。尚、これらの凹凸は、いずれかの方向または複数の方向に線状に延びる凹凸であってもよく、散点的に配置された凹凸であってもよい。
【0062】
(駆動機構詳細)
以下、
図11から
図13を参照して、駆動ユニット91の駆動機構を構成する各部品の細部について説明する。
【0063】
図11はカムギヤ40の構造を示す斜視図である。
図11(a)はカムギヤ40の表面側を示す正面斜視図、
図11(b)はカムギヤ40の裏面側を示す背面斜視図である。
図11(a)に示されるように、カムギヤ40はその表面41a側に、製氷皿20の後端部に接続される矩形状の軸部である製氷皿嵌合軸42と、外殻ケース10に設けられた図示しない軸受に支持される円形の軸部であるケース嵌合軸43と、を有している。
【0064】
図11(b)に示されるように、カムギヤ40の裏面41b側には、その中央に円筒形状の筒部44が設けられている。筒部44の外面には、後述する降下止めスリーブ49が装着される。ギヤ部41の裏面41bには、平面カム機構の原動節を構成するリブである第1カム45及び第2カム46が形成されている。第1カム45は略円環形状のリブである。従動軸50は、第1カム45の内周面の形状に沿って回動する。第1カム45には、その周方向における一部の範囲に、径方向外側に張り出したスロープである凹スロープ451が設けられている。第2カム46は、ギヤ部裏面41bの周縁に沿って形成されたリブである。スイッチレバー72は、第2カム46の内周面の形状に沿って回動する。第2カム46は、スイッチレバー72が乗上げるスロープである前半凸スロープ461及び後半凸スロープ462、これら凸スロープの間に設けられた下りスロープである中間凹スロープ463、そして後半凸スロープ462から図示時計回り方向に続く下りスロープである終端凹スロープ464を有している。
【0065】
図12は、従動軸50の構造を示す斜視図(a)及び側面図(b)である。従動軸50は、内ケース13を含む箱部12に支持される軸部である先端軸51及び中間軸58を有している。従動軸50はその円柱形状の胴部に複数の突起が設けられている。これら突起は、Y2側からY1側に向かって、順に、第1カム45に接触するカムフォロアーである摺動部52、後述する降下止めスリーブ49に当接することで従動軸50の
図12(b)視CCW方向への回転を阻止する回転止め部53、コイルばね541(
図3参照)により常に上方へ(つまり従動軸50を同CCW方向へ回転させるように)付勢されるばね受け部54、箱部12の図示しない凹部に嵌入され、従動軸50の回動範囲を制限する第1位置決め片55、スイッチレバー72に接触してスイッチレバー72の旋回角度を操作するスイッチレバー操作部56、箱部12の内面に接触して従動軸50のY1方向への移動を阻止する第2位置決め片57により構成されている。
【0066】
図13は、スイッチレバー72の構造を示す平面図(a)及び斜視図(b)である。スイッチレバー72は、その回転中心である軸部729と、軸部729を回転端とする複数の自由端とを有するアーム状部材である。スイッチレバー72はその自由端として、第2カム46に接触するカムフォロアーである摺動部721、コイルばね79によって常に検氷スイッチ71側に付勢されるスイッチ操作部722、及び、内ケースの凹部131に嵌入され、スイッチレバー72の回動範囲を制限する回動制限部723を有している。
【0067】
(離氷動作詳細)
以下
図14から
図18を参照して製氷装置90の離氷動作についてより詳細に説明する。
【0068】
図14は、製氷皿20が製氷位置にあるときの駆動機構の様子を示す背面図である。このとき、従動軸50の摺動部52は第1カム45の凹スロープ451の外にあり、これにより検氷レバー31は引き上げられている。スイッチレバー72の摺動部721はまだ前半凸スロープ461に乗り上げておらず、検氷スイッチ71はONの状態にある。
【0069】
図15は、検氷動作時の駆動機構の様子を示す背面図である。
図16は、離氷動作の続行時/キャンセル時の各部の動作を示すタイミングチャートである。離氷準備動作が完了すると、駆動ユニット91は、カムギヤ40を図示CW方向へ回転させる。これにより従動軸50の摺動部52は凹スロープ451に入り込み、検氷レバー31が降下する。検氷レバー31が降下を始めると同時に、スイッチレバー72の摺動部721が前半凸スロープ461に乗り上げ、検氷スイッチ71がOFFに切り替わる。
【0070】
検氷レバー31の降下が氷に妨げられず、そのアーム部312が30°以上回転し、昇降部313が貯氷部92内の基準面を超えて降下すると、つまり従動軸50の摺動部52が凹スロープ451の深部に至ると、従動軸50のスイッチレバー操作部56がスイッチレバー72のスイッチ操作部722に接触し、これを検氷スイッチ71から遠ざける方向へ押動する。従動軸50の摺動部52が凹スロープ451の深部にさしかかる位置までカムギヤ40が回転すると、スイッチレバー72の摺動部721は第2カム46の中間凹スロープ463の位置に至る。ここで、検氷レバー31が十分に降下しており、スイッチレバー72のスイッチ操作部722の復帰(検氷スイッチ71側への復帰)が従動軸50のスイッチ操作部722により制限されている場合、検氷スイッチ71はOFFのまま維持され、カムギヤ40はCW方向への回転を継続する。
【0071】
ここで、堆積した氷によって検氷レバー31の降下が妨げられ、従動軸50が十分に回転しなかった場合、従動軸50のスイッチ操作部722はスイッチレバー72のスイッチ操作部722に届かず、その結果、スイッチレバー72の摺動部721が中間凹スロープ463を下り、検氷スイッチ71がONに切り替えられる。冷蔵庫の制御装置は、検氷スイッチ71が所定の時間内にONに切り替わったことを検知すると、離氷動作をキャンセルし、氷を排出しないまま製氷皿20を製氷位置に復帰させる。
【0072】
図17は、氷の排出動作時の駆動機構の様子を示す背面図である。検氷スイッチ71がOFFのまま中間凹スロープ463を通り過ぎると、従動軸50の摺動部52は凹スロープ451の対岸側に上り、これにより検氷レバー31が引き上げられる。このとき、スイッチレバー72の摺動部721は後半凸スロープ462に乗り上げているため、従動軸50のスイッチレバー操作部56がスイッチレバー72のスイッチ操作部722を押さえなくても、検氷スイッチ71はOFFのまま維持される。製氷皿20が図示CW方向にひねりきられ、氷が排出されると、スイッチレバー72の摺動部721は終端凹スロープ464を下り、検氷スイッチ71がONに切り替えられる。冷蔵庫はこの検氷スイッチ71の切り替わりによって氷の排出完了を検知する。
【0073】
図18は、氷排出後の駆動機構の様子を示す背面図である。氷の排出が終わると、製氷装置90は製氷皿20を製氷位置に復帰させる。ここで、カムギヤ40の筒部44には、円筒形状の降下止めスリーブ49が装着されている。降下止めスリーブ49は、スリット492が形成された胴部と、胴部から外側に突き出した凸部493とを有している。降下止めスリーブ49は筒部44に固定されておらず、摩擦抵抗により筒部44に連れ回って回転する。凸部493の旋回範囲はケース体11によって制限されており、凸部493はカムギヤ40の回転方向に沿ってその可動範囲を往復する。氷の排出後にカムギヤ40が図示CCW方向に回転すると、従動軸50の摺動部52が再び凹スロープ451にさしかかるが、このとき、従動軸50は、その回転止め部53が降下止めスリーブ49の凸部493に当接し、回転が阻止される。そのため復帰動作中に検氷レバー31が降下することはない。
【0074】
尚、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1)
製氷皿を備える製氷装置であって、
装置の外形を構成するケース体である外殻ケースと、
回路基板を収容する基板ケースと、を有し、
前記基板ケースは、前記外殻ケース内に配置される、
製氷装置。
(2)
前記回路基板は、該回路基板を他の部品に電気的に接続させる端子を有し、
前記基板ケースには、前記端子を外部に露出させる開口である端子口が設けられ、
前記端子は、前記他の部品の接続部に抜き差し可能なオス端子またはメス端子であり、
前記外殻ケースの内部には、前記基板ケースが取り付けられるケース配置部が設けられ、
前記基板ケースが前記ケース配置部に取り付けられることで、前記回路基板の前記端子が前記他の部品の前記接続部に接続される、
(1)に記載の製氷装置。
(3)
前記基板ケース及び前記ケース配置部にはスライド嵌合部が設けられ、
前記スライド嵌合部は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで嵌合し、前記基板ケースが前記端子の抜き差し方向以外に移動することを制限する、
(2)に記載の製氷装置。
(4)
前記ケース配置部にはストッパー部が設けられ、
前記ストッパー部は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせたときに前記基板ケースが突き当たることで、該基板ケースの同方向への移動限界を定める、
(2)又は(3)に記載の製氷装置。
(5)
前記基板ケース及び前記ケース配置部はスナップフィット構造を備え、
前記スナップフィット構造は、前記ケース配置部上で前記基板ケースを前記端子の差込方向にスライドさせることで嵌合する、
(2)から(4)のいずれかに記載の製氷装置。
(6)
前記外殻ケースは着脱可能な蓋部を有し、
前記蓋部は、その内面が前記基板ケースの外面である対向面に接し、
前記蓋部の内面には、
該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の形状と同形状の凹部、又は、
該蓋部が接する前記基板ケースの対向面の周縁が嵌まるリブが形成されている、
(2)から(5)のいずれかに記載の製氷装置。
(7)
前記蓋部の内面、及び前記基板ケースの対向面には、対になる形状の凹凸が設けられ、
前記蓋部が装着されることで前記凹凸が嵌合する、
(6)に記載の製氷装置。
(8)
前記ケース配置部には、前記端子が差し込まれる開口である挿入口が設けられ、
前記他の部品の接続部は、前記挿入口の奥に配置されており、
前記接続部は、前記端子の差込方向以外からは視認不能である、
(1)に記載の製氷装置。
(9)
前記基板ケースは、前記端子を筒状に取り囲む端子ハウジングを有する、
(8)に記載の製氷装置。
(10)
交流を直流に変換する変換器を有する前記回路基板である第1基板と、
直流で動作する部品が接続される前記他の部品である第2基板と、を有し、
前記第2基板は、装置の動作を制御する制御部を有し、
前記第1基板の前記端子は、前記接続部である基板間コネクタを介して前記第2基板と接続される、
(1)から(9)のいずれかに記載の製氷装置。
(11)
前記基板間コネクタは、前記第1基板と前記第2基板とを互いに垂直に接続する、
(10)に記載の製氷装置。
(12)
前記第1基板と前記第2基板との接続にはリード線が用いられていない、
(10)又は(11)に記載の製氷装置。
(13)
前記第1基板は、前記製氷皿に水を供給する給水バルブを開閉するリレーを有する、
(10)から(12)のいずれかに記載の製氷装置。
(14)
前記第1基板はバリスタを有する、
(10)から(13)のいずれかに記載の製氷装置。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10:外殻ケース,11:枠部,111:第1接触部,112:第2接触部,12:箱部,121:蓋部,122:フック,123:穴部,124:凹部,125:リブ,126:凸部,13:内ケース(ケース配置部),131:凹部,132:フック,135:挿入口,135a:目隠し部,136:スライドガイド(スライド嵌合部),136a:押さえ部,136b:支持台,136c:爪掛け部(スナップフィット構造),137:レール,138:ストッパー部,14:基板ケース,141:スライドプレート(スライド嵌合部),142:フックアーム(スナップフィット構造),142:端子口,143:配線口,144:凹部,145:端子ハウジング,149:ロック,20:製氷皿,21:第1凸部,22:第2凸部,23:軸部,24:サーミスタ,31:検氷レバー,312:アーム部,40:カムギヤ(出力部),41:ギヤ部,41a:表面,41b:裏面,42:製氷皿嵌合軸,43:ケース嵌合軸,44:筒部,45:第1カム,451:凹スロープ,46:第2カム,461:前半凸スロープ,462:後半凸スロープ,463:中間凹スロープ,464:終端凹スロープ,49:降下止めスリーブ,492:スリット,493:凸部,50:従動軸,51:先端軸,52:摺動部,53:回転止め部,54:ばね受け部,541:コイルばね,55:第1位置決め片,56:スイッチレバー操作部,57:第2位置決め片,61:第1基板,611:AC/DCコンバータ,612:バリスタ,613:リレー,619:ピン(端子),65:第2基板,651:制御装置,655:メインスイッチ,656:テストスイッチ,659:ソケット(接続部),71:検氷スイッチ,72:スイッチレバー,721:摺動部,722:スイッチ操作部,723:回動制限部,729:軸部,79:コイルばね,81:直流モータ,811:ウォームギヤ,82:第1歯車,83:第2歯車,84:第3歯車,90:製氷装置,91:駆動ユニット,92:貯氷部