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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093747
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】脱臭装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61L9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210313
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉川 宗利
(72)【発明者】
【氏名】松元 雪男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】神蔵 雄生
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB14
4C180CC02
4C180CC13
4C180CC16
4C180EA04X
4C180EA05X
4C180EA33X
4C180EA35X
4C180EA39X
4C180EA45X
4C180HH05
4C180JJ02
4C180KK01
4C180KK10
(57)【要約】
【課題】
適切なタイミングで脱臭フィルタの再生を行ないながら、ランニングコストを抑えつつ悪臭成分の処理を連続して効率よく行うことを可能とする脱臭装置を提供するものである。
【解決手段】
排気を通気する排気経路202は脱臭経路と再生経路からなる経路により構成されており、前記脱臭経路および前記再生経路の両方には脱臭触媒(206、211)を備え、前記排気経路は所定条件となったときに前記脱臭経路と前記再生経路を交互に切り替える機構215を有することを特徴とする。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を通気する排気経路は脱臭経路と再生経路からなる経路により構成されており、前記脱臭経路および前記再生経路の両方には脱臭触媒を備え、前記排気経路は所定条件となったときに前記脱臭経路と前記再生経路を交互に切り替える機構を有することを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記排気経路に臭気ガスを検知する検知手段と、を備え、
前記所定条件は前記検知手段により事前に測定した臭気指数であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記所定条件は予め測定した脱臭能力が低下するまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記脱臭触媒は常温で活性化して臭気物質を分解除去する常温触媒であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の脱臭装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に生ごみ等から発生する臭気を脱臭処理するための脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみ等の有機物を処理する有機物処理装置は、廃棄物処理過程で臭気成分が発生するため、臭気成分の脱臭処理を行ない外気に排気するようになっている。
【0003】
脱臭処理の方法として、従来においては、例えば特許文献1のように、臭気を含んだガスを、セラミックを含む吸着剤を充填した吸着塔を通過させて装置外へ排出する方法、また、特許文献2のように排気ガスを排出する前に脱臭触媒を用いた加熱脱臭装置を通過させて装置外へ排出する方法を採用した装置等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-29736号公報
【特許文献2】特開2001-205234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような脱臭装置では臭気を含んだ排気ガスを排出する経路は基本的に1つの経路により構成されている。ここで脱臭処理を継続するに伴い吸着剤、あるいは脱臭触媒が飽和状態となった場合、これらの脱臭部材を再生する必要がある。その際、脱臭装置の運転を一時中断して吸着剤あるいは脱臭触媒の再生処理を別途行なう必要があった。その為、これらの脱臭部材を再生している間、有機物処理装置の稼動を一時的に停止して、生ごみ等の処理を控えるしかなく、装置として必ずしも使い勝手が良好とは言えなかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで脱臭フィルタの再生を行ないながら、ランニングコストを抑えつつ悪臭成分の処理を連続して効率よく行うことを可能とする脱臭装置を提供するものである。"
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、排気を通気する排気経路は脱臭経路と再生経路からなる経路により構成されており、前記脱臭経路および前記再生経路の両方には脱臭触媒を備え、前記排気経路は所定条件となったときに前記脱臭経路と前記再生経路を交互に切り替える機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱臭装置によれば、脱臭装置の再生を行なう際、脱臭装置の運転を一時中断して脱臭触媒の再生処理を行なうことなく、脱臭装置を連続的に稼働させた状態で適切な制御により脱臭フィルタの再生を行ないながら、併行して悪臭成分の脱臭処理を連続して効率よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1及び2において使用する生ごみ処理装置の外観図である。
図2】本発明の実施形態1及び2において使用する生ごみ処理装置の内部構成図である。
図3】本発明の実施形態1を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
図4】発明の実施形態2を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
図5】発明の実施形態2を説明する臭気測定装置の側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明の脱臭装置は、排気を通気する排気経路は脱臭経路と再生経路からなる経路により構成されており、前記脱臭経路および前記再生経路の両方には脱臭触媒を備え、前記排気経路は所定条件を満たしたときに前記脱臭経路と前記再生経路を交互に切り替える機構を有することを特徴としている。本発明に係わる好適な一実施形態として生ごみ処理機用脱臭装置を例示し、図1から3に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態1に係る生ごみ処理装置(以下、処理装置A)の外観図、図2は処理装置Aの内部構造の説明図である。図中、矢印Zは鉛直方向(処理装置Aの高さ方向)を示し、矢印X及びYは互いに直交する水平方向(X方向は処理装置Aの幅方向、Y方向は処理装置Aの奥行き方向)を示す。処理装置Aは生ごみ等の廃棄物を処理対象物とし、その減量処理する生ごみ物処理装置である。なお、本実施形態では処理装置を生ごみ等の廃棄物を減量処理する生ごみ処理装置に適用した場合を想定するが、本発明はこれに限定されず、各種の有機廃棄物の処理装置に適用可能である。 図1に示すように、処理装置Aの上面には、生ごみを投入する投入口1aを開閉するドア1が回動自在に設けられている。ドア1を閉鎖した状態では、処理装置A内が気密に保たれるようにドア1の周囲には不図示のシール部材が設けられる。
【0012】
処理装置Aの正面には、操作部3が設けられている。操作部3には処理装置Aの処理開始、停止等をユーザが指示するためのスイッチ等が設けられる。また、減量処理済の処理対象物を排出するための排出口2、及び、この排出口2を開閉するためのドア2aが回動自在に設けられている。
【0013】
図2を参照して、処理装置Aは底板4を備え、その下面にはキャスタ5が取り付けられており、処理装置Aの移動を容易なものとしている。底板4上にはX方向に互いに離間した仕切壁6乃至8がZ方向に立設されている。仕切壁6乃至8は底板4に固定され、処理装置A内を区画する隔壁である。底板4の外面には処理槽を加熱する加熱手段として面状ヒータが設けられている。処理装置A内では、処理対象物として、例えば、生ごみ等の廃棄物を処理する。
【0014】
仕切壁6と仕切壁7との間の空間は第1処理槽10を、仕切壁7と仕切壁8との間の空間は第2処理槽11を、それぞれ形成し、X方向に連続して配設されたこれらの第1処理槽10及び第2処理槽11が生ごみを減量処理する処理槽を構成している。なお、本実施形態では、処理槽を大別して2槽構成としているが、本発明は、例えば、1槽又は3槽以上の処理槽に適用してもよく、本実施形態の処理槽の構成に限定されるものではない。
【0015】
第2処理槽11のX方向の側方には、仕切壁8で仕切られた貯留槽12が形成されている。貯留槽12は減量処理された処理対象物が第2処理槽11から導入される。貯留槽12は排出口2と連通しており、ドア2aを開放することで貯留槽12から減量処理済の処理対象物を取り出すことができる。
【0016】
処理装置Aは、駆動ユニット20を備える。駆動ユニット20は、第1処理槽10及び第2処理槽11を横断する駆動軸21を備える。駆動軸21はX方向に延設され、仕切壁6乃至8にそれぞれ設けた軸受け22により回転自在に支持されている。駆動ユニット20は、また、駆動軸21の一方端部に固定されたスプロケット23と、モータ24とを備える。スプロケット23と、モータ24の出力軸に固定したスプロケット23とにはチェーンが巻き回されてベルト伝動機構が構成されている。そして、モータ24の駆動により駆動軸21が回転するようにしている。
【0017】
第1処理槽10内において、駆動軸21にはその径方向に延びる攪拌棒25が複数取り付けられている。駆動軸21の回転により、攪拌棒25によって第1処理槽10、第2処理槽11内の処理対象物が攪拌される。仕切壁7の下部には、第1処理槽10と第2処理槽11とを連通させる連通孔71が形成されており、攪拌棒25による攪拌により、第1処理槽10から第2処理槽11へ処理対象物が移動可能となっている。
【0018】
第2処理槽11内の処理対象物は、その堆積量の増加により仕切壁8を超えて貯留槽12へ落下し、貯留槽12内に堆積する。なお、本実施形態では、仕切壁8を超えて第2処理槽11から貯留槽12へ処理対象物が移動可能としたが他の方法も採用可能である。例えば、仕切壁8の下部に連通孔(連通部)を設けて第2処理槽11から貯留槽12へ処理対象物がアンダーフローすることにより、処理対象物を移動可能としてもよい。
【0019】
本実施形態の処理対象となる臭気は生ごみ等有機物から発生する臭気成分を指している。上記の臭気成分は主に第1処理槽10と第2処理槽11および貯留槽12に堆積している処理物から発生し、上記の第1処理槽10と第2処理槽11および貯留槽12の空間全体に存在している。
【0020】
以下、処理槽から発生した臭気成分を臭気ガス処理装置100に導く処理経路について説明する。
【0021】
第1処理槽10には、送風機35が設けられている。送風機35は第1処理槽10内の空気を図2の矢印で示す方向に吸引・送風し、第1処理槽10内の空気を循環させる。貯留槽12及び第2処理槽11の上方空間には、ケース部材104に収容された臭気ガス処理装置100が配設されている。ケース部材104は箱状をなし、送風機31からの空気が内部に導入される。導入された空気は、ケース部材104内に配置された臭気ガス処理装置100により脱臭される。
【0022】
送風機31は仕切壁7を通過するダクト31aを介して処理槽10内の空気を吸引してケース部材104内へ送風する。ケース部材104内へ送風された空気は導入口104cから脱臭装置200内へ導入される。これにより処理槽10内の空気は脱臭装置200に供給されることになる。臭気ガス処理装置100により脱臭処理された空気は、配管を通じて排気口37から外部に排出される。ここで、本実施形態の処理装置Aでは、上述した通り、第1処理槽10内の空気を排気する前に、脱臭装置200で脱臭処理が行われる。以下、この脱臭装置200について詳細に説明する。
【0023】
図3に示すように脱臭装置200は、ガス導入口201と、ガス排出口202と、第1の脱臭経路203と、第2の脱臭経路204とを備える。第1の脱臭経路203には臭気ガスを脱臭するための第1の脱臭部205が設けられ、第1の脱臭部205は臭気を脱臭する第1の触媒206と、第1の触媒を格納する第1の触媒ケース207と、第1の触媒ケースの外周に第1の触媒を加熱するための第1の加熱手段208と、第1の加熱手段により加熱された第1の脱臭部内を断熱するための第1の断熱手段209を備える。また第2の脱臭経路204には臭気ガスを脱臭するための第2の脱臭部210が設けられ、第2の脱臭部は臭気を脱臭する第2の触媒211と、第2の触媒を格納する第2の触媒ケース212と、第2の触媒ケースの外周に第2の触媒を加熱する第2の加熱手段213と、第2の加熱手段により加熱された第2の脱臭部内を断熱するための第2の断熱手段214を備える。第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の切り替え弁としてガス導入口側とガス排出口側のそれぞれにフラッパー215を備える。また、ガス排出口202に臭気ガス検知手段として臭気センサ217を備える。本実施形態では図3に示すように、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204は並列した状態で配置されている。
【0024】
ガス導入口201は、図2においてケース部材104内に送風された処理槽10内の空気を、第1の脱臭部205あるいは第2の脱臭部210に導入するための筒状の通路となっている。ガス排出口202は、臭気ガス処理装置内の第1の脱臭部205あるいは第2の脱臭部210で脱臭処理により浄化された空気を、外部に排出するための筒状の通路となっている。
【0025】
第1の脱臭部205は、臭気ガス処理装置内の臭気経路を構成しており、ガス導入口201とガス排出口202の間に配置されている。第1の脱臭部205は、第1の触媒206と触媒を格納する第1の触媒ケース207と、触媒を加熱する第1の加熱手段208と脱臭部内の放熱を防止する第1の断熱手段209から構成されている。第2の脱臭部210は、第2の触媒211と第2の触媒を格納する第2の触媒ケース212と、触媒を加熱する第2の加熱手段213と脱臭部内の放熱を防止する第2の断熱手段214から構成されている。
【0026】
脱臭部には触媒が配置され、生ごみ処理装置からのガスに含まれる臭気成分を分解し取り除く。即ち、脱臭部を生ごみ処理からのガスが通過する前に脱臭部に配置された触媒が臭気成分を分解する。
【0027】
本実施形態における第1の触媒206及び第2の触媒211は、活性化させるために要するエネルギーを極力抑える観点から、常温で活性化する触媒を用いることが好ましい。具体的には、例えば酸化マンガン及び酸化銅等の金属酸化物を含む酸化触媒を使用することができる。他の常温で活性を示す触媒として、酸素欠損を含む酸化物に貴金属を担持したものを使用することもできる。一例としてセリウム酸化物とジルコニウム酸化物を含みセリウム酸化物の一部が酸素欠損の状態で存在する酸化物に、Pt,Pd、Ir等の貴金属が担持されたものを挙げることができる。なお、酸素欠損とは酸化物を形成している酸素の一部が脱離した活性の高い状態であり、酸化物として結合している酸素のモル数が規定値より少ない状態のことを指す。セリウム酸化物は酸素欠損状態を生成しやすい材料として好適である。第1の触媒206及び第2の触媒211の形状は特に制限されないが、ガス流通時に発生する差圧が小さく、ガスの接触面積が大きい形状が好ましい。具体的な形状としては、例えばハニカム、メッシュ、フィルタ等が挙げられる。
【0028】
第1触媒ケース207および第2の触媒ケース212は、それぞれ第1および第2の脱臭部における触媒を格納するためのケースとなっており、脱臭経路としてガス導入口201およびガス排出口202と連通する部分は開放されている。また、第1の脱臭ケース207および第2の脱臭ケース212の外周には加熱手段を配置してもよく、第1の脱臭ケース207および第2の脱臭ケース212を介して必要に応じ、脱臭ケース内部に格納された触媒を加熱できるようになっている。
【0029】
第1の面状ヒータ208は、第1の脱臭部205における第1の脱臭ケース207の外周に設置される加熱手段である。第1の面状ヒータ208は第1の脱臭部205を加熱し、第1の脱臭ケース207に格納された第1の触媒206を加熱する。第1の脱臭部205に格納された第1の触媒206は、第1の面状ヒータ208によって加熱されると第1の触媒表面に吸着した臭気成分を含むガスを脱離する。
【0030】
第2の面状ヒータは、第2の脱臭部における第2の脱臭ケースの外周に設置される加熱手段である。第2の面状ヒータ213は第2の脱臭部210を加熱し、第2の脱臭ケース212に格納された第2の触媒211を加熱する。第2の脱臭部210に格納された第2の触媒211は、第2の面状ヒータ213によって加熱されると第2の触媒表面に吸着した臭気成分を含むガスを脱離する。
【0031】
これら第1の面状ヒータ208および第2の面状ヒータ213は、図示しない制御部からの信号出力により、それぞれ独立に制御され、第1の面状ヒータ208は第1の脱臭部205を、第2の面状ヒータ213は第2の脱臭部210を加熱する。なお、面状ヒータは加熱手段の一例である。
【0032】
第1の断熱手段209および第2の断熱手段214は、第1および第2の脱臭部における第1および第2の脱臭ケースの外周にそれぞれ設置される断熱材である。第1および第2の断熱材は、第1および第2の脱臭部に格納された触媒を再生処理する場合に面状ヒータにより加熱する際、触媒に与える熱を効率的に利用し、外部に熱が拡散することを防止するための断熱手段となっている。断熱材の種類としては特に制限されるものではなく、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の公知の断熱材を使用することが可能である。
【0033】
本実施形態における脱臭ガス処理装置では、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の切り替え弁は、フラッパー215とフラッパー回転軸216により構成される。フラッパー215は図示しない駆動モータによってフラッパー回転軸216を回転させることで図3に示す矢印の方向に回転駆動される。これらのフラッパーは、図示しない制御部からの信号出力により、それぞれ第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の開閉ができるようになっている。脱臭経路と再生経路を交互に切り替える機構の一例として、回転軸216を中心に回動するフラッパーを示したが、切り替える機構としては、どのような機構であってもよい。
【0034】
本実施例におけるフラッパーは、脱臭部入口側におけるフラッパー215と脱臭部出口側におけるフラッパー215がそれぞれ設けられ、これら2つのフラッパーは同期しており、作動の時間が一致している。
【0035】
脱臭部入口側および出口側のフラッパー215は第1の脱臭経路203および第2の脱臭経路204の入口側および出口側を交互に開閉可能であって、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の間に回転可能に支持されている。
【0036】
入口側フラッパーは、第1の脱臭経路203を開いたときに第2の脱臭経路204を閉じて密閉するようになっている。この時に出口側のフラッパーも同期して第1の脱臭経路203を開き、第2の脱臭経路204を閉じて密閉するように作動する。これにより第1の脱臭経路203は入口と出口が開いた状態となり、ガス導入口201から流入したガスが流れ第1の脱臭部205を介して脱臭処理が行われ、浄化されたガスがガス排出口202に導かれる。一方、第2の脱臭経路204は、入口と出口が閉じた状態となり、第2の脱臭部210は入口側および出口側のフラッパー215により密閉された状態となる。
【0037】
またフラッパーを回転駆動させて入口側のフラッパー215が第2の脱臭経路204を開いたときには第1の脱臭経路203を閉じて密閉するようになっている。この時に出口側のフラッパーも同期して第2の脱臭経路204を開き、第1の脱臭経路203を閉じて密閉するように作動する。これにより第2の脱臭経路は入口と出口が開いた状態となり、ガス導入口201から流入したガスが流れ第2の脱臭部210を介して脱臭処理が行われ、浄化されたガスがガス排出口202に導かれる。一方、第1の脱臭経路203は入口と出口が閉じた状態となり、第1の脱臭部203は入口側および出口側のフラッパー215により密閉された状態となる。
【0038】
上記のようにフラッパー215により臭気ガスの脱臭処理を行なう脱臭経路を選択してどちらか一方にすることができる。即ち、第1の脱臭経路203を開いたときに、ガス導入口から流入する臭気ガスが第1の脱臭部205を流れ、第2の脱臭経路204を開いたときに、ガス導入口201から流入する臭気ガスが第2の脱臭部210を通過することができるようにすることができる。
【0039】
臭気センサ217は、ガス排出口202を介して接続される。第1および第2の脱臭部を通過したガスは臭気センサ217を通過して、ガス排出口202から排出される。臭気センサにおける臭気を検知する検知部は、脱臭部を通過したガスの流れの中に晒されている。臭気センサは第1および第2の脱臭部を通過したガスの臭気の程度を測定する。臭気センサの種類としては、公知の臭気センサを使用することが可能であるが、例えば酸化インジウム等の半導体表面へ臭気ガス分子が吸着することで起こる表面反応によって、半導体の抵抗値が変化することを利用して臭気の程度を検知する酸化物半導体方式の臭気センサ等が挙げられる。なお臭気センサは臭気ガス検知手段の一例である。
【0040】
本実施形態の場合、臭気ガス処理装置で処理された空気は、図2の吸引ポンプ36により吸引され、ダクト103c、排気口37を介して処理装置Aの外部に排出される。
【0041】
(動作例)
次に本実施形態の生ごみ処理装置に使用される脱臭装置の動作例について説明する。脱臭装置200は、主に第1あるいは第2いずれか一方の脱臭経路において行なわれる通常運転である脱臭運転と、脱臭運転が行われない他方の脱臭経路において、臭気センサが所定の閾値以上の臭気を検出した場合に触媒再生運転とを行なう。次にそれぞれの運転について説明する。
【0042】
(1)脱臭運転
生ごみ処理装置内の脱臭装置が脱臭運転を行なう際、図2の送風機31を動作させ、制御部(図示せず)により脱臭装置200に配置された入口側および出口側のフラッパー215は第2の脱臭部側に向けられた状態となっている。このとき、第1の脱臭部205はガス導入口201およびガス排出口202と連通した状態となり、第1の脱臭経路203を形成している。なお、この段階では各脱臭部の面状ヒータは動作しない。一方、第2の脱臭部210はフラッパー215により密閉された状態となる。また、制御部は、臭気センサ217により第1の脱臭部205を通過したガスに対する臭気の程度を監視する。
【0043】
生ごみ脱臭装置の処理槽において、微生物が生ごみを分解することによって臭気成分を含むガスが発生する。臭気を含んだガスは、送風機31によって、処理槽の空間からケース部材104を通って脱臭装置200に導かれる。
【0044】
また、脱臭装置200内に導かれたガスは、ガス導入口201を通って第1の脱臭部205に達する。
【0045】
第1の脱臭部205では、第1の触媒ケース207に設けられた第1の触媒206である常温触媒により、臭気成分を含むガスが触媒表面に接触し、臭気を含んだガスは酸化されて分解される。
【0046】
第1の脱臭部205において臭気成分が分解されて浄化されたガスは、ガス排出口202を通過して外部に排出される。これにより処理装置Aの外部には、臭気成分が分解されて浄化されたガスが排出されることになる。このように脱臭部において生ごみ処理槽から発生したガスに対して脱臭運転を行なうと、時間の経過とともに常温触媒の表面に対してガスに含まれる成分が徐々に残存し、臭気成分を分解するための触媒表面の活性が低下し始める。
【0047】
制御部(図示せず)は、臭気センサ217により第1の脱臭部205を通過したガスに対する臭気の程度を継続的に監視しており、臭気センサ217が所定の閾値(例えば臭気指数10)以上の臭気を検出した場合には、制御部は、フラッパー215を第2の脱臭部210側から第1の脱臭部205側に切り替え、第2の脱臭経路204を形成し、第2の脱臭部210において脱臭運転を連続的に行なう。第2の脱臭部210において脱臭運転を実施している際に、第1の脱臭部205では第1の触媒206について触媒再生運転を行なう。
【0048】
制御部は、引き続き臭気センサ217により第2の脱臭部210を通過したガスに対する臭気の程度を継続して監視する。
【0049】
(2)触媒再生運転
一方、第1の脱臭部205では第1の触媒206における脱臭能力の回復を図るため、第1の触媒206について触媒再生運転を行なう。
【0050】
本実施形態の脱臭装置200において第1の触媒206の再生運転を行なう際、制御部は、入口側および出口側フラッパー215を作動させ、入口側のフラッパーおよび出口側のフラッパーを第1の脱臭部側に切り替える。このとき、第1の脱臭部はフラッパーにより密閉された状態となる。また制御部は、第1の脱臭部205に設けられた第1の面状ヒータ208を動作させる。
【0051】
第1の脱臭部205におけるガス入口側と出口側は、それぞれフラッパー215により閉じた状態となっており、第1の脱臭部内の空間は密閉されている。第1の脱臭部205に設けられた第1の面状ヒータ208は第1の触媒206を所定の温度となるように所定の時間加熱する。所定の温度としては、例えば60℃以上80℃以下とすることが好ましい。本実施形態で使用される常温触媒は高温において加熱すると触媒としての活性を失ってしまう恐れがあることが想定されること、また、本実施形態の生ごみ処理装置は、装置としての安全性を確保する必要があること、さらには消費電力を極力抑え運転する必要があることから前記温度範囲とすることが好適である。このとき、面状ヒータで加熱された触媒から、触媒表面に吸着したガスが脱離すると共に、密閉された第1の脱臭部の空間で脱離したガスが拡散する。さらに脱離したガス分子が触媒表面に再び接触することでガス分子の酸化反応が進行し、分解される。
【0052】
このように触媒を加熱して触媒表面に残存したガス分子を脱離するとともに、密閉された脱臭部の空間内で脱離したガス分子は触媒に再び接触することで徐々に分解される。これらの作用によりガス分子で覆われていた触媒表面の活性部位が再び露出し、活性が回復することにより触媒が再生される。
【0053】
触媒再生運転の所定時間は、使用する触媒の種類や触媒の使用状態にもよるが、所定時間における触媒再生時間を事前に測定し、その結果に基づき触媒加熱時間を設定することが好ましい。例えば、本実施形態のように、脱臭部に常温触媒を用いた場合、再生運転における触媒の所定温度を70℃とした際、再生運転の所定時間として6~8時間とすることができる。
【0054】
触媒再生運転が所定時間の経過により終了すると、第1の脱臭部205は脱臭運転に使用することが可能となる。触媒再生運転が終了すると、制御部は第1の脱臭部205に設けられた第1の面状ヒータ208の動作を停止する。これにより、第1の脱臭部205に配置された第1の触媒206は再生され、再度、臭気ガスを分解する触媒として使用することができるようになる。
【0055】
以下同様に、ガス排出口において検知したガスの臭気の程度が所定の閾値以上の臭気を検出した場合、フラッパー215を第1の脱臭部側から第2の脱臭部側に切り替え、再生処理が終了した第1の触媒206を用いることにより第1の脱臭経路203において脱臭運転を連続的に行なう。その際、同様に第2の脱臭部210では第2の触媒211における脱臭能力の回復を図るため、第2の触媒211について触媒再生運転を行なう。このように、脱臭処理装置においてガス排出口に設けられた臭気センサが所定の閾値(例えば臭気指数10)以上の臭気を検出した場合に、ガス入口側および出口側のフラッパーを作動させて、第1の脱臭部側と第2の脱臭部側を交互に切り替えることで一方の脱臭部側において臭気を含むガスの脱臭処理を行ない、他方の脱臭部側で触媒再生運転が行なわれることになる。これらの動作を通じて生ごみ処理装置において発生する臭気を含んだガスの脱臭運転を、簡便な構成で一時的に停止することなく連続して実施することが可能となる。
【0056】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る臭気ガス処理装置の構成を図4に示す。上述した実施形態1の臭気ガス処理装置ではガス排出口に設けられた臭気センサが所定の閾値以上の臭気を検知した場合に、ガス入口側及び出口側のフラッパーを作動させて第1の脱臭部側と第2の脱臭部側の脱臭経路を交互に切り替える構成としていたが、本実施形態の臭気ガス処理装置では、ガス排出口に設けられた臭気センサは設けず、脱臭経路の切り替え手段として、臭気成分を分解するために必要な活性状態が持続する時間を予め測定しておき、その結果に基づいて制御部が第1の脱臭部側と第2の脱臭部側の脱臭経路をガス入口側とガス出口側のフラッパーを作動させて交互に切り替える構成としている。ここでは主として上述の実施形態1との相違点について説明する。それ以外は、実施形態1と同じ構成であるため、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0057】
ここで、実施形態2に係る臭気ガス処理装置の第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204を切り替える方法としては、事前に本実施形態の脱臭装置200で使用する常温触媒について、図5に示すような臭気測定装置220を用いて臭気成分を分解する脱臭効率を予め測定し、所定の脱臭効率が持続できる時間を把握する方法が挙げられる。
【0058】
図5において、ガス導入口221から臭気成分を含むガスを導入すると、臭気成分を含むガスは触媒223を通過して分解され浄化される。浄化されたガスは、ガス排出口222から排出される。このとき、ガス導入口とガス排出口にそれぞれ臭気センサ224を設け、臭気の程度(例えば臭気指数等)の継時的な変化を測定する。各時間におけるガス導入口の臭気の程度とガス排出口の臭気の程度について測定した結果を用いて、下記の式から脱臭効率を算出することができる。
【0059】
これらの結果から、脱臭開始から各時間における触媒の脱臭効率について継時的な変化を把握することができ、触媒が所定の脱臭効率を維持することが可能な時間を見積もることが可能となる。上記の測定方法に基づき、本実施形態の臭気ガス処理装置における第1の脱臭経路と第2の脱臭経路を切り替える時間を制御部において設定し制御すればよい。
【0060】
(動作例)
(1)脱臭運転
次に実施形態2の臭気ガス処理装置の動作例について説明する。生ごみ処理装置内の脱臭処理装置が脱臭運転を行なう際、送風機31を動作させ、制御部は脱臭装置200に配置された入口側および出口側のフラッパー215は第2の脱臭部側に向けられた状態となっている。このとき、第1の脱臭部205はガス導入口201およびガス排出口202と連通した状態となり、第1の脱臭経路203を形成している。なお、この段階では各脱臭部の面状ヒータは動作しない。一方、第2の脱臭部210はフラッパー215により密閉された状態となる。
【0061】
生ごみ処理装置の処理槽において、微生物が生ごみを分解することによって臭気成分を含むガスが発生する。臭気を含んだガスは、送風機31によって、処理槽の空間からケース部材104を通って脱臭装置200に導かれる。また、脱臭処理装置内に導かれたガスは、ガス導入口201を通って第1の脱臭部205に達する。第1の脱臭部205では、第1の触媒ケース207に設けられた第1の触媒206である常温触媒により、臭気物質を含むガスが触媒表面に接触し、臭気を含んだガスは酸化されて分解除去される。
【0062】
第1の脱臭部205において臭気成分が分解されて浄化されたガスは、ガス排出口202を通過して外部に排出される。これにより処理装置Aの外部には、臭気成分が分解されて浄化されたガスが排出されることになる。このように脱臭部において生ごみ処理槽から発生したガスに対して脱臭運転を行なうと、時間の経過とともに常温触媒の表面に対してガスに含まれる成分が徐々に吸着し、臭気成分を分解するための触媒表面の活性が低下し始める。
【0063】
制御部(図示せず)は、上述した方法に基づいて予め設定された時間になった時点でフラッパー215を第2の脱臭部210側から第1の脱臭部205側に切り替え、第2の脱臭部210において脱臭運転を継続して行う。第2の脱臭部210において脱臭運転を実施している際に、第1の脱臭部205では実施形態1と同様に第1の触媒206について触媒再生運転を行なう。制御部は、これらの動作を交互に繰り返すことで脱臭運転と触媒再生運転を交互に行ない、臭気を含むガスの脱臭処理を連続して行なう。なお、触媒再生運転の動作については、実施形態1と同様であるため重複する説明を省略する。
【0064】
上記の生ごみ処理用脱臭装置は主に生ごみ処理装置に適用されるが、空気清浄機等でも利用することができ、様々な用途に応用し幅広い分野で使用することが可能である。"
【符号の説明】
【0065】
100:臭気ガス処理装置
104:ケース部材
200:脱臭装置
201:ガス導入口
202:ガス排出口
203:第1の脱臭経路
204:第2の脱臭経路
205:第1の脱臭部
206:第1の触媒
207:第1の触媒ケース
208:第1の加熱手段
209:第1の断熱手段
210:第2の脱臭部
211:第2の触媒
212:第2の触媒ケース
213:第2の加熱手段
214:第2の断熱手段
215:フラッパー
216:フラッパー回転軸
217:臭気センサ
220:臭気測定装置
221:ガス導入口
222:ガス排出口
223:触媒
224:臭気センサ

図1
図2
図3
図4
図5