(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093766
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01H 13/02 20060101AFI20240702BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01H13/02 B
H01H13/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210335
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 武志
(72)【発明者】
【氏名】都倉 雄三
(72)【発明者】
【氏名】篭島 和樹
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS45H
5G206AS45J
5G206AS46H
5G206AS46J
5G206DS02H
5G206DS02J
5G206DS02N
5G206DS02Z
5G206DS11H
5G206DS11Z
5G206FS32K
5G206FU03
5G206KS37
5G206NS04
5G206NS05
5G206QS02
(57)【要約】
【課題】 プッシュ式スイッチのように繰り返し押下動作を伴うような電子部品であっても、電子部品に印字された部品情報を長い期間に亘って正確に読み取れるような電子部品を提供する。
【解決手段】 表面に印字部を有するスイッチ1であって、部品本体の表面を被覆する透光性のカバーシート8と、部品本体とカバーシート8との間に配置される接着シート11とを備え、前記接着シート11には前記カバーシート8を通して部品情報が印字される印字部15が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に印字部を有する電子部品であって、部品本体の表面を被覆する透光性のカバーシートと、部品本体とカバーシートとの間に配置される下地部材とを備え、
前記下地部材には前記カバーシートを通して部品情報が印字される印字部が形成される電子部品。
【請求項2】
前記印字部は、前記カバーシートを通してレーザ光により下地部材に印字される請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記下地材は硬質材からなる請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記部品本体は、基板と、基板上に配置されるベース枠体と、ベース枠体の開口部内に配置された固定接点と、固定接点の上方に配置される可動接点と、を備え、
前記可動接点の上には可動接点を反転動作させて固定接点に接触させる押し子が配置されるスイッチにおいて、
前記下地部材は、前記可動接点および前記押し子を被覆する前記カバーシートをベース枠体の表面に固定する接着シートからなる請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の表面に印字部を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子部品の中には、顧客からの要求に応えるためその表面に製造等に関する部品情報を印字したものが知られている。しかしながら、部品の表面に直接印字したものは、電子部品を取り扱う際にその部分に触れたりすることで、印字が読みにくくなるといった問題があった。そこで、特許文献1に記載されているように、印刷したバーコードラベルをプリプレグの間に挟み込み、これらを一体に熱プレス成型することで、バーコードラベルを外装で保護したものが知られている。その応用として、電子部品の表面に直接印字することなく、部品情報を印刷したラベルを、電子部品の表面を被覆する透明のカバーシートの内側に配置し、表面をカバーシートで保護することで、前記外装保護されたバーコードラベルのように、直接ラベルに触れないようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プッシュ式スイッチのように繰り返し押下動作を伴うような電子部品の場合、部品情報を印刷した黒色パターン層の段差が透明のカバーシートとの間に隙間を生じさせ、スイッチを繰り返し押下動作することで透明のカバーシートにしわが生じて部品情報が読み取れなくなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、プッシュ式スイッチのように繰り返し押下動作を伴うような電子部品であっても、電子部品に印字された部品情報を長い期間に亘って正確に読み取れるような電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品は、表面に印字部を有する電子部品であって、部品本体の表面を被覆する透光性のカバーシートと、部品本体とカバーシートとの間に配置される下地部材とを備え、前記下地部材には前記カバーシートを通して部品情報が印字される印字部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子部品によれば、電子部品の部品本体の表面を被覆する透光性のカバーシートと、部品本体と透光性のカバーシートとの間に配置される下地部材に、透光性のカバーシートを通して部品情報の印字部が形成されるので、カバーシートにしわが生ずるといったこともなく印字部に悪影響を与えることもないので、カバーシートを通して部品情報を長い期間に亘って正確に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスイッチの斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子部品の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の図面は、電子部品の一形態としてプッシュツ式スイッチを模式的に表している。スイッチの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略させることがあり、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0010】
図1及び
図2には、本発明の一実施形態に係るスイッチが示されている。スイッチ1は、基板2と、基板2のほぼ中心に配置される第1固定接点3a及びその周囲に配置される第2固定接点3bと、第1固定接点3aおよび第2固定接点3bの上方に配置される可動接点4と、可動接点4の周囲に配置されるベース枠体5と、可動接点4およびベース枠体5を覆う封止シート6と、封止シート6の上面に配置された押し子7の上から全体を覆う透光性のカバーシート8と、を備えている。
【0011】
基板2は、絶縁性樹脂材料により形成される平面矩形状の平板部材からなり、表面のほぼ中央部に第1固定接点3aが、第1固定接点3aの周囲に第2固定接点3bがそれぞれ配置されている。基板2の裏面には第1固定接点3aおよび第2固定接点3bのそれぞれが電気的に接続される一対の電極9a,9bが配置されている。
【0012】
基板2の表面のほぼ中央部に配置される第1固定接点3aは、可動接点4の頂部4aの下方に配置される。第2固定接点3bは、第1固定接点3aの周囲に配置される導体であり、基板2の表面に第1固定接点3aを囲むようにして配置される。
【0013】
可動接点4は、平面略矩形状のバネ性を備えた薄板状部材からなる。可動接点4は全体がドーム状をしており、頂部4aが第1固定接点3aの上方に位置し、外周の端部4bが第2固定接点3bに接触している。可動接点4は、頂部4aを上から押されることで反転動作して第1固定接点3aに接触し、第1固定接点3aと第2固定接点3bとを導通させる。固定接点3a,3b同士の導通によりスイッチ1がオン状態となる。一方、可動接点4が反転動作を復帰させて第1固定接点3aから離れると、第1固定接点3aと第2固定接点3bとの間の電気的接続が遮断されるため、スイッチ1はオフ状態となる。
【0014】
ベース枠体5は樹脂材料からなる。ベース枠体5は、その外周形状が基板2の外周形状と同一であり、ベース枠体5の裏面が液状接着剤や接着シート等の接着部材によって基板2の表面に接着される。ベース枠体5には前記可動接点4を収容する平面略矩形状の開口部10が設けられている。開口部10の形状は可動接点4の外形形状に対応したものとなっている。
【0015】
前記可動接点4の頂部4aの上方には円柱状の押し子7が配置されている。押し子7は、可動接点4に押圧力を確実に伝えるため硬質の樹脂材料によって形成されることが望ましい。押し子7を配置することで可動接点4の反転動作が円滑になる。
【0016】
前記可動接点4を上から覆う封止シート6は、その外周部がベース枠5の上面に接着されている。また、可動接点4を押し子7の上から覆うカバーシート8は、その外周部が接着シート11を介して封止シート6に接着されている。封止シート6及びカバーシート8は、いずれも可撓性を有する樹脂材料によって形成されたシートであり、特にカバーシート8は透光性のシートからなる。したがって、無色透明シートだけでなく、有色透明シートや半透明シートなども含まれる。また、カバーシート8は防水性を備えることが望ましい。前記封止シート6は透光性を備える必要はない。また、本実施形態では封止シート6を備えているが、封止シート6を省略して可動接点4の上に直接押し子7を配置することもできる。この場合は、カバーシート8は、ベース枠体5に接着シート11を介して接着されることになる。
【0017】
この実施形態に係るスイッチ1は、ベース枠体5の上に設けた接着シート11に印字部15を有している。この印字部15は前記カバーシート8を通して接着シート11に部品情報が印字されたものである。この部品情報は、例えばスイッチ1の製造ロット番号をデータマトリックス(以下、DMと言う。)などの二次元コードや、白と黒の光の反射の差によって読み取りを行うQRコード(登録商標)などで表示したものである。なお、部品情報として、DMやQRコード以外に、文字や数字のほか記号などでも印字することもできる。
【0018】
この実施形態において印字部15は、ベース枠体5の対向する一対の短手辺5a,5bのうち、一方の短手辺5bの中央部に設けられているが、この場所に限られないことは勿論である。印字部15に印字された部品情報は、透光性のカバーシート8を接着する接着シート11に設けられている。この接着シート11は熱硬化型のシート状の接着剤で、封止シート6とカバーシート8との間に挟み込んだのち、カバーシート8の上から熱を加えて硬化することで両者を接着固定する。カバーシート8の上から硬化した接着シート11にレーザ光を照射し、接着シート11の表面を適宜の深さ及び幅に削ることで所定の二次元コードを接着シート11に印字することができる。
【0019】
図3に示されるように、この印字部15は硬化した接着シート11の表面をレーザ光によってわずかに削るだけで形成することができる。その際、カバーシート8はレーザ光による影響を何ら受けないので、カバーシート8と接着シート11との間に段差や隙間を生ずることがない。そのため、スイッチ1の繰り返し押下動作によっても、印字部15の付近においてカバーシート8にしわができるといったことがなく、印字部15にも影響を与えないので、カバーシート8を通しての視認性を低下させることがない。なお、この実施形態ではレーザ光による切削深さが接着シート11の中ほどまでとなっているが、切削深さは特に限定されるものではなく、接着シート11を貫通する深さであっても問題はない。
【0020】
カバーシート8が透光性であることから、レーザ光はカバーシート8を透過してその下に配置された接着シート11の表面を削れるため、接着シート11上に所望の印字が可能となる。接着シート11には、例えば肌色又は乳白色などで着色されたシートを使用することができる。そうすることで、レーザ光を照射して接着シート11を削った箇所は白っぽい色となり、レーザ光を照射せずに接着シート11が削られない箇所は接着シート11の地の色がそのまま残る。その結果、両者の色の差を利用して様々なタイプの情報を印字することが可能となる。
【0021】
なお、上記実施形態のスイッチ1では、基板2、第1固定接点3a、第2固定接点3b、可動接点5、ベース枠体5などで構成される部品本体と透光性のカバーシート8との間に配置される下地部材としての接着シート11に印字部15を形成しているが、接着シート11以外の下地部材に印字部15を形成することもできる。例えば、接着シート11の代わりに封止シート6の上面に液状又は固体状の接着剤を塗布し、この接着剤を固化させて下地部材としたのちに上記と同様の手段で印字部15を形成することができる。また、カバーシート8、接着シート11、封止シート6のいずれにも透光性部材を利用した場合には、その下のベース枠体5を下地部材として、その表面に印字部15を形成することもできる。さらに、押し子7を下地部材としてその上面にカバーシート8を透過するレーザ光によって印字することが可能である。
【0022】
上記実施形態のスイッチ1によれば、スイッチ1に固有の製造ロット番号などの部品情報がスイッチ1の上方から見やすい部分に印字されているので、スイッチ1を取り扱う際にはその情報が読み取り易くて利便性が良い。また、部品情報がスイッチ1の表面を被覆する透光性のカバーシート8の内側に印字されているので、例えばスイッチ製造時の取扱いの際や、マザーボードへのスイッチ搭載時にマウンターノズルがスイッチに触れたとしても、印字部15には傷が付きにくくなる。
【0023】
さらに、本発明の印字部15は、接着シート11に透光性のカバーシート8を接着した後、カバーシート8を通して接着シート11に形成されるので、印字部15にしわや浮きが発生しにくい。また、カバーシート8がベース枠体5にしっかり接着されているので、実装する際のリフローによる加熱やスイッチの押下でもカバーシート8が剥がれにくく、その結果、印字部15の部品情報が読みにくくなるといったこともない。
【0024】
上記実施形態では電子部品としてプッシュ式のスイッチについて説明したが、本発明は前記スイッチ1以外に、感圧センサや光学センサなど幅広い電子部品に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 スイッチ
2 基板
3a 第1固定接点
3b 第2固定接点
4 可動接点
4a 頂部
4b 外周の端部
5 ベース枠体
5a,5b 短手辺
6 封止シート
7 押し子
8 カバーシート
9a,9b 電極
10 開口部
11 接着シート
15 印字部