(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093773
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】モータ、およびモータシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 33/12 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H02K33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210349
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹栗 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹本 満厚
(72)【発明者】
【氏名】山田 真弘
(72)【発明者】
【氏名】深見 健司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 侑己
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB03
5H633BB15
5H633GG02
5H633GG04
5H633GG06
5H633GG15
5H633GG16
5H633GG18
5H633GG21
5H633HH03
5H633HH04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低消費電力でロータを振動させることが可能であり、かつ高寿命化を図ることができるモータを提供する。
【解決手段】モータ10は、ロータ4の初期位置に対してロータに回転軸周りの正負方向の変位を与えた場合にロータに回転軸周りの復元力を発生させる復元力生成部を備える。復元力生成部は、ロータとステータ3の一方に設けられる第1磁極部43と、ロータとステータの他方に設けられる第2磁極部34であって、ロータが初期位置の状態において第1磁極部と径方向に対向しつつ、第1磁極部と対向する部分が、第1磁極部における第2磁極部と対向する部分の磁極と反対の磁極を有する第2磁極部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転軸周りに回転可能に構成されるロータと、を備えたモータであって、
前記ステータは、
回転軸が延びる軸方向に視て、前記回転軸を挟んで対向して配置される第1ティース部および第2ティース部と、
前記第1ティース部および前記第2ティース部における各ティースに巻き回されたコイルと、
を備え、
前記ロータは、
軸方向に延び、回転可能に構成されるシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記コイルに流れる電流の向きが切り替わることにより前記ティースにおいて交互に発生する磁極に引き寄せられるロータ側永久磁石と、
を備え、
当該モータは、前記ロータの初期位置に対して前記ロータに前記回転軸周りの正負方向の変位を与えた場合に前記ロータに前記回転軸周りの復元力を発生させる復元力生成部を更に備え、
前記復元力生成部は、
前記ロータと前記ステータの一方に設けられる第1磁極部と、
前記ロータと前記ステータの他方に設けられる第2磁極部であって、前記ロータが前記初期位置の状態において前記第1磁極部と径方向に対向しつつ、前記第1磁極部と対向する部分が、該第1磁極部における前記第2磁極部と対向する部分の磁極と反対の磁極を有する前記第2磁極部と、
を備える、モータ。
【請求項2】
前記第1磁極部と前記第2磁極部は、それぞれ永久磁石から構成され、前記ロータの初期位置において向かい合った部分が反対の磁極となるように配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記復元力生成部は、前記第2磁極部を径方向に直交する方向に両側から挟み込み、径方向に沿う方向の内側部分が、前記ロータが前記初期位置の状態において前記第1磁極部における前記第2磁極部と対向する部分の磁極と同じ磁極を有する第3磁極部をさらに備える、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1磁極部は、永久磁石から構成され、
前記ステータは、軸方向に積層された電磁鋼板を有するステータコアを備え、
前記ステータコアは、前記第1ティース部と、前記第2ティース部と、前記第2磁極部と、を備える、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1磁極部における径方向と直交する方向の幅と、前記第2磁極部における径方向と直交する方向の幅は、等しい、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記復元力生成部は、少なくとも前記第1磁極部および前記第2磁極部を含む磁力部による磁力のみを用いて復元力を生成する、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1ティース部および前記第2ティース部は、それぞれ2本の前記ティースを含む、請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記ロータは、前記ステータの径方向内方に配置され、
前記第1磁極部は、前記シャフトに固定される、請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記ロータは、前記シャフト、前記ロータ側永久磁石、および前記第1磁極部を径方向外側から覆う熱収縮チューブをさらに備える、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記ステータは、前記ティースと前記コイルとの間に配置された絶縁性を有するインシュレータをさらに備え、
前記熱収縮チューブは、前記インシュレータに前記回転軸周りに接触することが可能である、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記シャフトは、軸方向に視て前記ロータ側永久磁石と前記第1磁極部との間に切欠き部を備える、請求項8に記載のモータ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のモータと、前記モータを駆動するモータ駆動回路と、を備えるモータシステムであって、
前記モータ駆動回路は、
高電位側に配置される第1上側スイッチング素子と、低電位側に配置される第1下側スイッチング素子と、を有し、前記第1上側スイッチング素子と前記第1下側スイッチング素子とが接続される第1ノードが前記モータの第1端子に接続される第1ハーフブリッジと、
高電位側に配置される第2上側スイッチング素子と、低電位側に配置される第2下側スイッチング素子と、を有し、前記第2上側スイッチング素子と前記第2下側スイッチング素子とが接続される第2ノードが前記モータの第2端子に接続される第2ハーフブリッジと、
を備え、
前記第1上側スイッチング素子および前記第2下側スイッチング素子をオン状態、かつ前記第1下側スイッチング素子および前記第2上側スイッチング素子をオフ状態とする第1状態と、前記第2上側スイッチング素子および前記第1下側スイッチング素子をオン状態、かつ前記第2下側スイッチング素子および前記第1上側スイッチング素子をオフ状態とする第2状態と、を切り替えることにより前記コイルに流れる電流の向きを切り替える、モータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の回転角度範囲でロータが振動可能なモータが知られている(例えば特許文献1)。このようなモータでは、ステータに巻き回されたコイルに電流を流すことでロータにトルクを発生させ、ロータを回転振動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなモータでは、ロータを振動させるための消費電力が課題である。
【0005】
本開示は、低消費電力でロータを振動させることが可能であり、かつ高寿命化を図ることができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なモータは、ステータと、前記ステータに対して回転軸周りに回転可能に構成されるロータと、を備えたモータである。前記ステータは、回転軸が延びる軸方向に視て、前記回転軸を挟んで対向して配置される第1ティース部および第2ティース部と、前記第1ティース部および前記第2ティース部における各ティースに巻き回されたコイルと、を備える。前記ロータは、軸方向に延び、回転可能に構成されるシャフトと、前記シャフトに固定され、前記コイルに流れる電流の向きが切り替わることにより前記ティースにおいて交互に発生する磁極に引き寄せられるロータ側永久磁石と、を備える。当該モータは、前記ロータの初期位置に対して前記ロータに前記回転軸周りの正負方向の変位を与えた場合に前記ロータに前記回転軸周りの復元力を発生させる復元力生成部を更に備える。前記復元力生成部は、前記ロータと前記ステータの一方に設けられる第1磁極部と、前記ロータと前記ステータの他方に設けられる第2磁極部であって、前記ロータが前記初期位置の状態において前記第1磁極部と径方向に対向しつつ、前記第1磁極部と対向する部分が、該第1磁極部における前記第2磁極部と対向する部分の磁極と反対の磁極を有する前記第2磁極部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的なモータによれば、低消費電力でロータを振動させることが可能であり、かつ高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係るモータの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るモータの平面断面図である。
【
図3】
図3は、ハウジング内部の構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示のモータを備えるモータシステムを示す図である。
【
図5】
図5は、順方向通電状態におけるモータの状態を示す平面断面(図の上方)およびモータ駆動回路(図の下方)を示す図である。
【
図6】
図6は、逆方向通電状態におけるモータの状態を示す平面断面(図の上方)およびモータ駆動回路(図の下方)を示す図である。
【
図7】
図7は、復元力生成部における復元トルクTqとロータの回転軸周りの角度θとの関係の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第1実施形態の一変形例に係る一部構成を示す平面断面図である。
【
図9】
図9は、モータ駆動回路による通電制御の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、モータの起動時の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、熱収縮チューブを備えるモータの実施形態を示す図である。
【
図12】
図12は、ロータとステータとの干渉の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2実施形態に係るモータの平面断面図である。
【
図14】
図14は、本開示の第3実施形態に係るモータの平面断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の第4実施形態に係るモータの平面断面図である。
【
図16】
図16は、本開示の第5実施形態に係るモータの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0010】
なお、本明細書では、回転軸Jと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。図面において、軸方向のうち、軸方向一方側をX1で示し、軸方向他方側をX2として示す。また、回転軸Jに対して直交する方向を「径方向」と呼び、回転軸J周りの方向を「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、回転軸Jへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、回転軸Jから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1-1.モータの構成>
図1は、本開示の第1実施形態に係るモータ10の斜視図である。
図1に示すように、モータ10は、ハウジング1Aと、第1ブラケット1Bと、第2ブラケット1Cと、を備える。ハウジング1Aは、軸方向に延びる円筒状に構成される。第1ブラケット1Bは、ハウジング1Aの軸方向一方側に配置され、ハウジング1Aの軸方向一方側の開口を塞ぐ。第2ブラケット1Cは、ハウジング1Aの軸方向他方側に配置され、ハウジング1Aの軸方向他方側の開口を塞ぐ。第1ブラケット1Bには、第1軸受2が保持される。第2ブラケット1Cには、図示しない第2軸受が保持される。
【0012】
図2は、軸方向に対して直交する断面で切断した状態のモータ10の平面断面図である。
図3は、ハウジング1A内部の構造を示す斜視図である。
【0013】
モータ10は、ステータ3と、ステータ3に対して回転軸J周りに回転可能に構成されるロータ4と、を備える。ステータ3およびロータ4は、ハウジング1A内部に収容される。ロータ4は、ステータ3の径方向内方に配置される。すなわち、モータ10は、いわゆるインナーロータ型のモータである。
【0014】
ステータ3は、ステータコア31と、インシュレータ32と、コイル33と、を備える。ステータコア31は、軸方向に積層された電磁鋼板を有する。ステータコア31は、コアバック311と、ティース312と、を備える。コアバック311は、回転軸J周りに環状に形成され、ハウジング1Aの内面に沿って配置される。ティース312は、コアバック311から径方向内方へ突出する。周方向に隣接する2つのティース312から第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bがそれぞれ構成される。すなわち、ステータコア31は、第1ティース部3120Aと第2ティース部3120Bを備える。第1ティース部3120Aにおける一方のティース312と、第2ティース部3120Bにおける一方のティース312は、回転軸Jを挟んで径方向に対向する。第1ティース部3120Aにおける他方のティース312と、第2ティース部3120Bにおける他方のティース312は、回転軸Jを挟んで径方向に対向する。すなわち、ステータ3は、回転軸が延びる軸方向に視て、前記回転軸を挟んで対向して配置される第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bを備える。
【0015】
インシュレータ32は、絶縁性の樹脂成型品であり、軸方向一方側の第1インシュレータと軸方向他方側の第2インシュレータとに分割される。インシュレータ32は、第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bそれぞれのティース312に対応して2つ設けられる。それぞれのインシュレータ32は、周方向に円弧状に形成される基部321と、基部321から径方向内方へ突出する突出部322と、を備える。突出部322は、1組のティース312に対応して2つ設けられる。それぞれの突出部322は、それぞれのティース312を覆う。第1インシュレータと第2インシュレータによりティース312を軸方向に挟み込むようにして、インシュレータ32がステータコア31に固定される。基部321は、コアバック311の内面に沿って配置される。
【0016】
それぞれの突出部322の周りにコイル33が巻き回される。すなわち、ステータ3は、第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bにおける各ティース312に巻き回されたコイル33を備える。さらに換言すると、ステータ3は、ティース312とコイル33との間に配置された絶縁性を有するインシュレータ32を備える。
【0017】
ロータ4は、シャフト41と、ロータ側永久磁石42と、第1磁極部43と、を備える。
【0018】
シャフト41は、磁石保持部411と、軸部412と、を備える。磁石保持部411は、軸方向に延びて形成される。軸部412は、磁石保持部411から軸方向一方側および他方側にそれぞれ延びて形成され、第1軸受2および第2軸受(不図示)にそれぞれ回転可能に支持される。すなわち、シャフト41は、軸方向に延び、回転可能に構成される。
【0019】
磁石保持部411は、ロータ側永久磁石42を保持する。ロータ側永久磁石42は、径方向に沿って2つ設けられる。それぞれのロータ側永久磁石42は、径方向外方がS極、径方向内方がN極に着磁される。すなわち、ロータ側永久磁石42は、シャフト41に固定される。一方のロータ側永久磁石42は、一方の1組のティース312と径方向に対向して配置される。他方のロータ側永久磁石42は、他方の1組のティース312と径方向に対向して配置される。本実施形態では、第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bは、それぞれ2本のティース312を含む。これにより、1組のティース312に対してロータ側永久磁石42は1個用いれば済む。すなわち、ロータ4においてロータ側永久磁石42は2個設ければよい。
【0020】
磁石保持部411は、第1磁極部43を保持する。第1磁極部43は、永久磁石から構成され、径方向に沿って2つ設けられる。それぞれの第1磁極部43は、周方向において2つのロータ側永久磁石42の間に配置される。それぞれの第1磁極部43は、径方向外方がN極、径方向内方がS極に着磁される。すなわち、第1磁極部43は、シャフト41に固定される。
【0021】
ステータ3は、第2磁極部34と、第3磁極部35と、を備える。第2磁極部34は、永久磁石から構成され、径方向に沿って2つ設けられる。それぞれの第2磁極部34は、ロータ4を介して径方向に対向し、コアバック311の内面に固定される。それぞれの第2磁極部34は、径方向外方がN極、径方向内方がS極に着磁される。
【0022】
第3磁極部35は、第2磁極部34を径方向に直交する方向に両側から挟み込む。第3磁極部35は、それぞれの第2磁極部34に対して設けられる。それぞれの第3磁極部35は、コアバック311の内面に固定され、径方向に沿って外方がS極、径方向に沿って内方がN極に着磁される。
【0023】
<1-2.モータ駆動回路>
図4は、本開示のモータ10を備えるモータシステム30を示す図である。モータシステム30は、モータ10と、モータ10を駆動するモータ駆動回路20と、を備える。
【0024】
モータ駆動回路20は、第1ハーフブリッジ201と、第2ハーフブリッジ202と、を備える。第1ハーフブリッジ201は、高電位側に配置される第1上側スイッチング素子HQ1と、低電位側に配置される第1下側スイッチング素子LQ1と、を有する。第1上側スイッチング素子HQ1と第1下側スイッチング素子LQ1とが接続される第1ノードN1がモータ10の第1端子101に接続される。第2ハーフブリッジ202は、高電位側に配置される第2上側スイッチング素子HQ2と、低電位側に配置される第2下側スイッチング素子LQ2と、を有する。第2上側スイッチング素子HQ2と第2下側スイッチング素子LQ2とが接続される第2ノードN2がモータ10の第2端子102に接続される。
【0025】
図4の構成では、各スイッチング素子HQ1,LQ1,HQ2,LQ2は、バイポーラトランジスタにより構成しているが、これに限らず、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)により構成してもよい。
【0026】
<1-3.モータの動作>
次に、上記のような構成のモータ10の動作について説明する。
図5は、順方向通電状態におけるモータ10の状態を示す平面断面(図の上方)およびモータ駆動回路20(図の下方)を示す。
図5の下方に示すように、第1上側スイッチング素子HQ1および第2下側スイッチング素子LQ2をオン状態、かつ第1下側スイッチング素子LQ1および第2上側スイッチング素子HQ2をオフ状態とすることで、電流Imが第1上側スイッチング素子HQ1、第1端子101、第2端子102、および第2下側スイッチング素子LQ2の順に流れ、モータシステム30が順方向通電状態となる。このとき、第1端子101と第2端子102の間には、順方向電圧+Vmが印加される。順方向電圧+Vmは、正の電圧である。
【0027】
順方向通電状態において、モータ10内部ではコイル33に順方向に電流Imが流れる。コイル33は、1組のティース312における各ティース312で巻き方向が異なる。これにより、コイル33に電流Imが流れたときに各ティース312で発生する磁極は反対となる。順方向通電状態では、
図5の上方に示すように、第1ティース部3120Aにおける一方のティース312AにS極が発生し、他方のティース312BにN極が発生する。このとき、第2ティース部3120Bにおける一方のティース312CにS極が発生し、他方のティース312DにN極が発生する。ティース312Aと312C、ティース312Bと312Dとがそれぞれ径方向に対向する。すなわち、径方向に対向するティース同士で同じ磁極が発生する。
【0028】
このような順方向通電状態でのティース312の磁極とロータ側永久磁石42との作用により、ロータ側永久磁石42のS極がティース312B,312DのN極に引き寄せられ、ロータ4に矢印CWで示す時計回りのトルクが発生する。
【0029】
図6は、逆方向通電状態におけるモータ10の状態を示す平面断面(図の上方)およびモータ駆動回路20(図の下方)を示す。
図6の下方に示すように、第1上側スイッチング素子HQ1および第2下側スイッチング素子LQ2をオフ状態、かつ第1下側スイッチング素子LQ1および第2上側スイッチング素子HQ2をオン状態とすることで、電流Imが第2上側スイッチング素子HQ2、第2端子102、第1端子101、および第1下側スイッチング素子LQ1の順に流れ、モータシステム30が逆方向通電状態となる。このとき、第1端子101と第2端子102の間には、逆方向電圧-Vmが印加される。逆方向電圧-Vmは、負の電圧である。
【0030】
逆方向通電状態において、モータ10内部ではコイル33に逆方向に電流Imが流れる。逆方向は、順方向の逆である。逆方向通電状態では、
図6の上方に示すように、ティース312AにN極が発生し、ティース312BにS極が発生する。このとき、ティース312CにN極が発生し、ティース312DにS極が発生する。すなわち、径方向に対向するティース同士で同じ磁極が発生する。
【0031】
このような逆方向通電状態でのティース312の磁極とロータ側永久磁石42との作用により、ロータ側永久磁石42のS極がティース312A,312CのN極に引き寄せられ、ロータ4に矢印CCWで示す反時計回りのトルクが発生する。
【0032】
このように、モータシステム30においては、第1上側スイッチング素子HQ1および第2下側スイッチング素子LQ2をオン状態、かつ第1下側スイッチング素子LQ1および第2上側スイッチング素子HQ2をオフ状態とする第1状態と、第2上側スイッチング素子HQ2および第1下側スイッチング素子LQ1をオン状態、かつ第2下側スイッチング素子LQ2および第1上側スイッチング素子HQ1をオフ状態とする第2状態と、を切り替えることによりコイル33に流れる電流Imの向きを切り替える。そして、ロータ側永久磁石42は、コイル33に流れる電流Imの向きが切り替わることによりティース312において交互に発生する磁極に引き寄せられる。
【0033】
一方、
図2に示すように、モータ10は、復元力生成部5を備える。復元力生成部5は、第1磁極部43と、第2磁極部34と、第3磁極部35と、を備える。コイル33に通電しない非稼働状態では、第1磁極部43のN極と第2磁極部34のS極との引き合いにより、ロータ4は
図2に示すような初期位置に位置する。第2磁極部34は、ロータ4が初期位置の状態において第1磁極部43と径方向に対向しつつ、第1磁極部43と対向する部分が、第1磁極部43における第2磁極部34と対向する部分の磁極と反対の磁極を有する。
【0034】
初期位置のロータ4に対して回転軸J周りに正方向(時計回り)の変位を与えた場合、第1磁極部43のN極と第2磁極部34のS極との引き合い、および第1磁極部43のN極と第3磁極部35のN極との反発により、ロータ4には回転軸J周りに負方向(反時計回り)に変位させようとする復元力が発生する。同様に、初期位置のロータ4に対して回転軸J周りに負方向の変位を与えた場合、ロータ4には回転軸J周りに正方向に変位させようとする復元力が発生する。すなわち、復元力生成部5は、ロータ4の初期位置に対してロータ4に回転軸J周りの正負方向の変位を与えた場合にロータ4に回転軸J周りの復元力を発生させる。
【0035】
図7は、復元力生成部5における復元トルクTqとロータ4の回転軸J周りの角度θとの関係の一例を示すグラフである。このように角度θの絶対値が大きくなるほど復元トルクTqの絶対値が大きくなる。角度θの範囲Dでは復元トルクTqは角度θに対してリニアに変化するが、範囲Dの外側では復元トルクTqは角度θに対して非線形に変化する。
【0036】
復元力を発生させる構成として例えば引っ張りばねを利用した場合、引っ張りバネの直線運動をロータの回転運動に変換する必要があり、変換による誤差が生じる。これに対し、本実施形態では、復元力生成部5を磁極部による磁力を用いて復元力を発生させる構成としているため、上記のような誤差が生じることがなくなる。なお、本開示では、磁力を用いて復元力を発生させる構成に、引っ張りばねなどの機械ばねによる構成を補助的に加えて復元力生成部5を構成してもよい。
【0037】
また、本実施形態のように、磁極部による磁力を用いて復元力を発生させる構成の復元力生成部5は、理論上寿命は無限大とすることができる。また、復元力生成部5は、シャフト41とステータコア31との間のスペースに設けることが可能であり、モータ10の軸方向長さが長くなることを抑制できる。
【0038】
また、復元力生成部5を設けることにより、ばね共振を利用して、効率良くロータ4の大きな回転振動を発生させることができる。共振周波数fは、次のように表される。
f=√(k/J)/(2π)
ただし、k:ばね定数、J:イナーシャ
なお、上記の「ばね」とは、機械ばねに限らず、復元力生成部5のような等価モデルでばねとみなせるものも含む。
【0039】
このように、本実施形態では、コイル33に流す電流の向きを切り替えることでティース312において交互に発生する磁極にロータ側永久磁石42が引き寄せられることで、ロータ4を正負方向に回転させるトルクを発生させる。また、コイル33に通電していない状態では、第1磁極部43と第2磁極部34とが反対の磁極を有することによる第1磁極部43と第2磁極部34との引き合いにより、ロータ4が初期位置で停止する。ロータ4が初期位置から正方向又は負方向の一方に変位させられると、第1磁極部43と第2磁極部34の磁極の作用によりロータ4に正方向又は負方向の他方に向かう復元力が発生する。このような復元力生成部5における共振を利用するようにコイル33の通電制御を行うことで、低消費電力でロータ4の回転軸J周りの所望振幅での振動を得ることができる。
【0040】
本実施形態では、復元力生成部5は、少なくとも第1磁極部43および第2磁極部34を含む磁力部による磁力のみを用いて復元力を生成する。この場合、復元力生成部5の寿命は理論上無限となり、寿命が大幅に延びる。また、復元力生成部5が磁力を用いる構成に加えて機械ばねから構成される場合、磁力による構成が理論的には寿命が無限のため、復元力生成部5の寿命は機械ばねの寿命となる。機械ばねは補助として用いられるため、機械ばねに要求される復元力は小さく、機械ばねを設ける個数を低減でき、機械ばねのみで復元力生成部を構成する場合よりも寿命を延ばすことができる。
【0041】
また、第1磁極部43と第2磁極部34は、それぞれ永久磁石から構成され、ロータ4の初期位置において向かい合った部分が反対の磁極となるように配置される。これにより、復元力生成部5の復元力を向上させることができる。
【0042】
また、復元力生成部5は、第2磁極部34を径方向に直交する方向に両側から挟み込み、径方向に沿う方向の内側部分が、ロータ4が初期位置の状態において第1磁極部43における第2磁極部34と対向する部分の磁極と同じ磁極を有する第3磁極部35を備える。第1磁極部43と第3磁極部35の磁極の反発により、復元力をより向上させることができる。
【0043】
なお、
図8に示すように、第1磁極部43における径方向と直交する方向の幅W1と、第2磁極部34における径方向と直交する方向の幅W2を等しくしてもよい。これにより、初期位置を中心として復元力が発生しないロータ4の変位領域をなるべく小さくすることができる。すなわち、初期位置から少しでもロータ4が変位したら復元力を発生させることができる。
【0044】
また、
図2に示すように、磁石保持部411、すなわちシャフト41は、軸方向に視てロータ側永久磁石42と第1磁極部43との間に切欠き部C1を備える。これにより、シャフト41とティース312の磁極とが引き合うことにより発生する、復元力と逆方向のリラクタンストルクを抑制できる。
【0045】
<1-4.通電制御>
図9は、モータ駆動回路20による通電制御の一例を示すタイミングチャートである。
図9は、モータ10における第1端子101と第2端子102の間に印加させる電圧の波形例を示している。
図9に示すように、第1端子101と第2端子102の間には、パルス状の正電圧+Vmと負電圧-Vmが交互に印加される。正電圧+Vmを印加する時間をオン時間Ton、印加しない時間をオフ時間Toffとして、T=Ton+Toffが正電圧+Vmの印加周期となる。負電圧-Vmを印加するタイミングは、正電圧+Vmの印加周期Tの中間のタイミングである。負電圧-Vmも正電圧+Vmと同様にオン時間とオフ時間を有する。負電圧-Vmの印加周期は、正電圧+Vmの印加周期と等しい。負電圧-Vmのオン時間は、正電圧+Vmのオン時間と等しい。
【0046】
先述したように、印加させる電圧が正電圧+Vmか負電圧-Vmによって、ロータ4に発生させるトルクの方向を決定する。また、正電圧+Vmおよび負電圧-Vmのオンデューティを調整することでトルクの大きさを調整できる。また、正電圧+Vmおよび負電圧-Vmの印加周期による周波数を先述した共振周波数fと一致させることで、ロータ4の共振を発生させることができる。
【0047】
図10は、モータ10の起動時の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10では、ロータ4の角度θ、ロータ4に発生するトルクTrq、電力W、および印加電圧Vの各波形例を示す。印加電圧Vとして先述したように正電圧+Vmおよび負電圧-Vmを印加することでモータ10を起動させている。このとき、角度θおよびトルクTrqの各ピークが正負に振れながら絶対値が徐々に大きくなり、定常値となって安定化されている。本願発明者により、所望の振動角度によるロータ4の回転振動を低消費電力で実現できることが確認された。
【0048】
<1-5.熱収縮チューブ>
なお、本実施形態では、
図11に示すように熱収縮チューブ44をロータ4に設けることが望ましい。熱収縮チューブ44は、磁石保持部411、ロータ側永久磁石42、および第1磁極部43を径方向外方から覆う。すなわち、ロータ4は、シャフト41、ロータ側永久磁石42、および第1磁極部43を径方向外方から覆う熱収縮チューブ44を備える。これにより、ロータ側永久磁石42および第1磁極部43が遠心力によってシャフト41から外れることを抑制できる。
【0049】
また、
図12に示すように、ロータ4の回転位置によっては、熱収縮チューブ44がインシュレータ32の突出部322と干渉する(
図12の領域Aで干渉)。すなわち、熱収縮チューブ44は、インシュレータ32に回転軸J周りに接触することが可能である。これにより、外力を加えてもロータ4が1回転することがない。また、柔らかい熱収縮チューブ44がインシュレータ32に接触することで、インシュレータ32への悪影響を抑制できる。
【0050】
<2.第2実施形態>
図13は、本開示の第2実施形態に係るモータ10の平面断面図を示す。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第2磁極部34を挟み込む第3磁極部35を設けていない。このような実施形態によれば、第1実施形態よりも復元力生成部5による復元力は低下するが、部品点数を削減できる。
【0051】
<3.第3実施形態>
図14は、本開示の第3実施形態に係るモータ10の平面断面図を示す。本実施形態では、第1実施形態と異なり、ステータコア31は、コアバック311とティース312に加えて、第2磁極部313を備える。第2磁極部313は、コアバック311から径方向内方へ突出する。すなわち、第2磁極部313をステータコア31の一部として構成している。これにより、ロータ4の初期位置の状態において、
図14に示すように第1磁極部43と径方向に対向する第2磁極部313において、第1磁極部43のN極と反対のS極が発生する。従って、ロータ4が初期位置から変位すると第1磁極部43と第2磁極部313との引き合いにより、ロータ4に復元力が発生する。本実施形態では、第2磁極部に永久磁石を用いるよりもコストを低減できる。
【0052】
<4.第4実施形態>
図15は、本開示の第4実施形態に係るモータ10の平面断面図を示す。本実施形態では、第1実施形態と異なり、ステータコア31に設けるティース312は2つとしている。すなわち、第1ティース部3120Aおよび第2ティース部3120Bは、それぞれ1つのティース312を含む。一方のティース312と他方のティース312は、径方向に対向する。
【0053】
本実施形態では、上記のようなティース312に対応して、ロータ4には、ロータ側永久磁石421,422を設けている。ロータ側永久磁石421と422は、径方向と直交する方向に隣接して配置される。ロータ側永久磁石421は、径方向内方にS極、径方向外方にN極が着磁されている。ロータ側永久磁石422は、径方向内方にN極、径方向外方にS極が着磁されている。すなわち、ロータ側永久磁石421と422で、径方向外方の磁極が反対である。これにより、コイル33に流れる電流の方向の切替えによってティース312に交互に発生する磁極にロータ側永久磁石421,422が引き寄せられることで、ロータ4にトルクが発生する。
【0054】
<5.第5実施形態>
図16は、本開示の第5実施形態に係るモータ100の平面断面図を示す。モータ100においては、ロータ7は、ステータ6の径方向外方に配置される。すなわち、モータ100は、いわゆるアウタ―ロータ型である。ロータ7は、回転軸J周りに回転可能である。
【0055】
ステータ6は、ステータコア61と、コイル62と、を備える。ステータコア61は、ティース611を備える。コイル62は、図示しないインシュレータを介してティース611周りに巻き回される。
【0056】
ステータコア61は、磁石保持部612を備える。磁石保持部612は、第1磁極部63を保持する。すなわち、本実施形態では、第1磁極部63は、ステータ6に設けられる。
【0057】
ロータ7は、シャフト71と、ロータ側永久磁石72と、を備える。シャフト71は、軸方向に延びて形成され、径方向内方にステータ6を収容する。ロータ側永久磁石72は、シャフト71の内面に固定される。ロータ側永久磁石72は、径方向内方がS極に着磁されている。コイル62に流れる電流の方向が切り替えられることにより、周方向に並ぶ2つのティース611の磁極が交互に発生する。ロータ側永久磁石72がティース611の磁極に引き寄せられることで、ロータ7にトルクが発生する。なお、上記2つのティース611に巻き回されるコイル62の巻き方向は逆である。
【0058】
第2磁極部73および第3磁極部74は、シャフト71の内面に固定される。すなわち、本実施形態では、第2磁極部73は、ロータ7に設けられる。すなわち、本開示では、第1磁極部は、ロータとステータの一方に設けられ、第2磁極部は、ロータとステータの他方に設ければよい。
【0059】
第1磁極部63は、径方向外方がN極に着磁されている。第2磁極部73は、径方向内方がS極に着磁されている。第3磁極部74は、径方向に沿う内方がN極に着磁されている。これにより、ロータ7の初期位置の状態は
図16に示すようになり、第2磁極部73と第1磁極部63が径方向に対向する。
【0060】
モータ100では、復元力生成部8は、第1磁極部63と、第2磁極部73と、第3磁極部74と、を備える。ロータ7が初期位置から回転軸J周りに変位すると、第2磁極部73と第1磁極部63との引き合い、および第3磁極部74と第1磁極部63との反発によってロータ7に復元力が発生する。
【0061】
このようなアウタ―ロータ型のモータ100においても復元力生成部8による共振を利用することでロータ7の所望の振動を低消費電力で実現でき、かつ高寿命化を図ることができる。
【0062】
<6.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0063】
<7.付記>
以上のように、本開示の一態様に係るモータは、
ステータと、
前記ステータに対して回転軸周りに回転可能に構成されるロータと、を備えたモータであって、
前記ステータは、
回転軸が延びる軸方向に視て、前記回転軸を挟んで対向して配置される第1ティース部および第2ティース部と、
前記第1ティース部および前記第2ティース部における各ティースに巻き回されたコイルと、
を備え、
前記ロータは、
軸方向に延び、回転可能に構成されるシャフトと、
前記シャフトに固定され、前記コイルに流れる電流の向きが切り替わることにより前記ティースにおいて交互に発生する磁極に引き寄せられるロータ側永久磁石と、
を備え、
当該モータは、前記ロータの初期位置に対して前記ロータに前記回転軸周りの正負方向の変位を与えた場合に前記ロータに前記回転軸周りの復元力を発生させる復元力生成部を更に備え、
前記復元力生成部は、
前記ロータと前記ステータの一方に設けられる第1磁極部と、
前記ロータと前記ステータの他方に設けられる第2磁極部であって、前記ロータが前記初期位置の状態において前記第1磁極部と径方向に対向しつつ、前記第1磁極部と対向する部分が、該第1磁極部における前記第2磁極部と対向する部分の磁極と反対の磁極を有する前記第2磁極部と、
を備える構成としている(第1の構成)。
【0064】
また、上記第1の構成において、前記第1磁極部と前記第2磁極部は、それぞれ永久磁石から構成され、前記ロータの初期位置において向かい合った部分が反対の磁極となるように配置される構成としてもよい(第2の構成)。
【0065】
また、上記第1または第2の構成において、前記復元力生成部は、前記第2磁極部を径方向に直交する方向に両側から挟み込み、径方向に沿う方向の内側部分が、前記ロータが前記初期位置の状態において前記第1磁極部における前記第2磁極部と対向する部分の磁極と同じ磁極を有する第3磁極部をさらに備える構成としてもよい(第3の構成)。
【0066】
また、上記第1の構成において、前記第1磁極部は、永久磁石から構成され、
前記ステータは、軸方向に積層された電磁鋼板を有するステータコアを備え、
前記ステータコアは、前記第1ティース部と、前記第2ティース部と、前記第2磁極部と、を備える構成としてもよい(第4の構成)。
【0067】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記第1磁極部における径方向と直交する方向の幅と、前記第2磁極部における径方向と直交する方向の幅は、等しい構成としてもよい(第5の構成)。
【0068】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、前記復元力生成部は、少なくとも前記第1磁極部および前記第2磁極部を含む磁力部による磁力のみを用いて復元力を生成する構成としてもよい(第6の構成)。
【0069】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記第1ティース部および前記第2ティース部は、それぞれ2本の前記ティースを含む構成としてもよい(第7の構成)。
【0070】
また、上記第1から第7のいずれかの構成において、前記ロータは、前記ステータの径方向内方に配置され、
前記第1磁極部は、前記シャフトに固定される構成としてもよい(第8の構成)。
【0071】
また、上記第8の構成において、前記ロータは、前記シャフト、前記ロータ側永久磁石、および前記第1磁極部を径方向外側から覆う熱収縮チューブをさらに備える構成としてもよい(第9の構成)。
【0072】
また、上記第9の構成において、前記ステータは、前記ティースと前記コイルとの間に配置された絶縁性を有するインシュレータをさらに備え、
前記熱収縮チューブは、前記インシュレータに前記回転軸周りに接触することが可能である構成としてもよい(第10の構成)。
【0073】
また、上記第8から第10のいずれかの構成において、前記シャフトは、軸方向に視て前記ロータ側永久磁石と前記第1磁極部との間に切欠き部を備える構成としてもよい(第11の構成)。
【0074】
また、本開示の一態様に係るモータシステムは、上記第1から第11のいずれかの構成としたモータと、前記モータを駆動するモータ駆動回路と、を備えるモータシステムであって、
前記モータ駆動回路は、
高電位側に配置される第1上側スイッチング素子と、低電位側に配置される第1下側スイッチング素子と、を有し、前記第1上側スイッチング素子と前記第1下側スイッチング素子とが接続される第1ノードが前記モータの第1端子に接続される第1ハーフブリッジと、
高電位側に配置される第2上側スイッチング素子と、低電位側に配置される第2下側スイッチング素子と、を有し、前記第2上側スイッチング素子と前記第2下側スイッチング素子とが接続される第2ノードが前記モータの第2端子に接続される第2ハーフブリッジと、
を備え、
前記第1上側スイッチング素子および前記第2下側スイッチング素子をオン状態、かつ前記第1下側スイッチング素子および前記第2上側スイッチング素子をオフ状態とする第1状態と、前記第2上側スイッチング素子および前記第1下側スイッチング素子をオン状態、かつ前記第2下側スイッチング素子および前記第1上側スイッチング素子をオフ状態とする第2状態と、を切り替えることにより前記コイルに流れる電流の向きを切り替える構成としている(第12の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示の技術は、振動を利用する各種アプリケーションに利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1A ハウジング
1B 第1ブラケット
1C 第2ブラケット
2 第1軸受
3 ステータ
4 ロータ
5 復元力生成部
6 ステータ
7 ロータ
8 復元力生成部
10 モータ
20 モータ駆動回路
30 モータシステム
31 ステータコア
32 インシュレータ
33 コイル
34 第2磁極部
35 第3磁極部
41 シャフト
42 ロータ側永久磁石
43 第1磁極部
44 熱収縮チューブ
61 ティース
62 コイル
63 第1磁極部
71 シャフト
72 ロータ側永久磁石
73 第2磁極部
74 第3磁極部
100 モータ
101 第1端子
102 第2端子
201 第1ハーフブリッジ
202 第2ハーフブリッジ
311 コアバック
312 ティース
312A~312D ティース
313 第2磁極部
321 基部
322 突出部
411 磁石保持部
412 軸部
421,422 ロータ側永久磁石
611 ティース
612 磁石保持部
3120A 第1ティース部
3120B 第2ティース部
C1 切欠き部
HQ1 第1上側スイッチング素子
HQ2 第2上側スイッチング素子
LQ1 第1下側スイッチング素子
LQ2 第2下側スイッチング素子
N1 第1ノード
N2 第2ノード
J 回転軸