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特開2024-93785広告管理プログラム、広告管理方法、および情報処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093785
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】広告管理プログラム、広告管理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20240702BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06Q30/0241
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210365
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岡 達也
(72)【発明者】
【氏名】山田 広明
(72)【発明者】
【氏名】金澤 裕治
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲朗
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告出力による販売促進効果を向上させる。
【解決手段】情報処理装置10は、出力装置6,7で所定範囲9に向けて出力した複数の広告それぞれについて、第1の観測情報と第2の観測情報とに基づいて、客が第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価する。第1の観測情報は、広告出力前の第1の観測期間における所定範囲9内の第1の客1a,1b,1cの行動の観測結果を示す。第2の観測情報は、広告出力後の評価期間における所定範囲9内の第2の客2a,2b,2cの行動の観測結果を示す。情報処理装置10は、複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果11aに基づいて、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における所定範囲9内の第3の客3a,3b,3cの行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定し、出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力装置で所定範囲に向けて出力した複数の広告それぞれについて、広告出力前の第1の観測期間における前記所定範囲内の第1の客の行動の観測結果を示す第1の観測情報と、広告出力後の評価期間における前記所定範囲内の第2の客の行動の観測結果を示す第2の観測情報とに基づいて、客が前記第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価し、
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果に基づいて、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における前記所定範囲内の第3の客の行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定し、
決定した前記出力広告を前記出力装置から出力する、
処理をコンピュータに実行させる広告管理プログラム。
【請求項2】
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果を評価する処理では、広告出力前の前記第1の観測期間における前記所定範囲内の前記第1の客の属性ごとの行動の観測結果を前記第1の観測情報に含め、
前記出力広告を決定する処理では、前記第2の観測期間における前記所定範囲内の前記第3の客の属性ごとの行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定する、
請求項1記載の広告管理プログラム。
【請求項3】
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果を評価する処理では、前記第1の観測期間における前記所定範囲内の前記第1の客の属性ごとの所定の行動の観測結果を前記第1の観測情報に含め、前記複数の広告それぞれについて、前記第2の観測情報において所定の評価基準を満たしたときの前記第1の観測情報に基づいて、前記第1の客の属性ごとの前記所定の行動の発生頻度に応じた値を要素とする広告素性ベクトルを生成し、
前記出力広告を決定する処理では、前記第2の観測期間における前記所定範囲内の前記第3の客の属性ごとの前記所定の行動の発生頻度に応じた値を要素とする環境素性ベクトルと、前記複数の広告それぞれの前記広告素性ベクトルとの類似度に基づいて、出力する前記出力広告を決定する、
請求項1記載の広告管理プログラム。
【請求項4】
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果を評価する処理では、出力された第1の広告と、前記第1の広告の出力前の前記第1の観測情報とに基づいて、前記第1の広告の出力後の前記第2の観測情報を予測する効果予測器を生成し、
前記出力広告を決定する処理では、前記複数の広告それぞれを予測対象として、予測対象の第2の広告と、前記第2の観測期間における前記所定範囲内の前記第3の客の行動の観測結果を示す第3の観測情報に基づいて、前記効果予測器によって、前記第2の広告を出力した場合の効果を予測し、前記複数の広告それぞれの予測結果に基づいて出力する前記出力広告を決定する、
請求項1記載の広告管理プログラム。
【請求項5】
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果を評価する処理では、第1の広告を出力した後の前記評価期間における前記所定範囲内の前記第2の客の複数の行動それぞれの発生頻度に、対応する行動の重みを示す係数を乗算した結果の合計を、前記第1の広告の広告出力の効果を示す評価値とし、前記評価値と前記複数の広告で宣伝する商品の所定期間内の売上とが一致する値に、前記係数を修正する、
請求項1記載の広告管理プログラム。
【請求項6】
前記複数の広告は、共通の商品に関する互いに異なる訴求ポイントを宣伝する広告である、
請求項1記載の広告管理プログラム。
【請求項7】
出力装置で所定範囲に向けて出力した複数の広告それぞれについて、広告出力前の第1の観測期間における前記所定範囲内の第1の客の行動の観測結果を示す第1の観測情報と、広告出力後の評価期間における前記所定範囲内の第2の客の行動の観測結果を示す第2の観測情報とに基づいて、客が前記第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価し、
前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果に基づいて、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における前記所定範囲内の第3の客の行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定し、
決定した前記出力広告を前記出力装置から出力する、
処理をコンピュータが実行する広告管理方法。
【請求項8】
出力装置で所定範囲に向けて出力した複数の広告それぞれについて、広告出力前の第1の観測期間における前記所定範囲内の第1の客の行動の観測結果を示す第1の観測情報と、広告出力後の評価期間における前記所定範囲内の第2の客の行動の観測結果を示す第2の観測情報とに基づいて、客が前記第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価し、前記複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果に基づいて、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における前記所定範囲内の第3の客の行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定し、決定した前記出力広告を前記出力装置から出力する処理部、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告管理プログラム、広告管理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を販売する店舗では、客の購入を促すため、スピーカやサイネージを用いた店内広告が行われることがある。
広告などの情報の提示に関する技術としては、例えば検出した検出人物及び出力デバイスが置かれている環境に応じて、適切な情報コンテンツを提供する情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-201651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗における広告出力では、広告出力の効果として、スピーカからの広告音声が届く範囲、またはサイネージの広告を見ることができる範囲にいる来店客の集合に対して、売上げを最大化させることが望まれる。しかし既存の技術では、特定の人物に視聴させる広告として適切な広告を選択することを目的としており、実店舗における複数の客を対象とした広告出力の最適化は困難である。
【0005】
1つの側面では、本件は、広告出力による販売促進効果を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの案では、以下の処理をコンピュータに実行させる広告管理プログラムが提供される。
コンピュータは、出力装置で所定範囲に向けて出力した複数の広告それぞれについて、広告出力前の第1の観測期間における所定範囲内の第1の客の行動の観測結果を示す第1の観測情報と、広告出力後の評価期間における所定範囲内の第2の客の行動の観測結果を示す第2の観測情報とに基づいて、客が第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価する。コンピュータは、複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果に基づいて、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における所定範囲内の第3の客の行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定する。そしてコンピュータは、決定した出力広告を出力装置から出力する。
【発明の効果】
【0007】
1態様によれば、広告出力による販売促進効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る広告管理方法の一例を示す図である。
図2】広告管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図3】管理コンピュータのハードウェアの一例を示す図である。
図4】環境に応じた購買傾向の一例を示す図である。
図5】環境に応じた広告出力の一例を示す図である。
図6】広告出力のための管理コンピュータの機能の一例を示すブロック図である。
図7】POSデータの一例を示す図である。
図8】気象データの一例を示す図である。
図9】広告素性データの一例を示す図である。
図10】評価ログの一例を示す図である。
図11】出力広告最適化処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12】購買傾向スコア計算方法の一例を示す図である。
図13】購買傾向スコア計算処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14】購買傾向スコアに応じた広告選択方法の一例を示す図である。
図15】広告選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図16】評価値の計算方法の一例を示す図である。
図17】評価結果の保存方法の一例を示す図である。
図18】評価値計算処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図19】広告素性ベクトルの更新方法の一例を示す図である。
図20】広告素性ベクトル更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図21】効果予測器の学習方法の一例を示す図である。
図22】効果予測器を用いた広告選択方法の一例を示す図である。
図23】係数最適化方法の一例を示す図である。
図24】係数最適化処理の一例を示す図である。
図25】広告の一部分を出力する広告管理方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
複数の客が存在する環境において、客同士のインタラクション(ほかの客が立ち止まっている、などの購買兆候行動)が購買に繋がると考えられる。例えばウェブや店舗における広告の出力の最適化の分野を対象とする。広告出力の最適化では、例えばある環境における広告出力の効果を測定したり、予測したりすることで、最も効果が高いと思われる広告の探索が可能である。また、広告範囲内の来店客属性やそれぞれの行動の組合せには無数のバリエーションがあり、すべてのバリエーションに対して個別に最適化を行うには大量のデータを収集することが求められ、学習に長い年月を要する。そこで第1の実施の形態では、実店舗において買い物をする客の行動に応じて、他の客の購買を促進するような広告を適切に出力する広告管理方法を提案する。
【0010】
図1は、第1の実施の形態に係る広告管理方法の一例を示す図である。図1には、広告管理方法を実現する情報処理装置10を示している。情報処理装置10は、例えば広告管理プログラムを実行することにより、広告管理方法を実施することができる。
【0011】
情報処理装置10は、記憶部11と処理部12とを有する。記憶部11は、例えばメモリまたはストレージ装置である。処理部12は、例えばプロセッサまたは演算回路である。
【0012】
記憶部11は、商品棚8に置かれた商品の複数の広告についての、その広告出力時の環境に応じた販売促進効果の評価結果11aを記憶する。評価結果11aは、例えば環境を示す情報と広告との組に対応付けて、評価結果が登録されている。
【0013】
処理部12は、学習段階において、環境に応じた広告の評価を行う。例えば処理部12は、店舗内に設置された出力装置6,7(例えばモニタまたはスピーカ)で、所定範囲9に向けて複数の広告を出力する。
【0014】
広告を出力する際、処理部12は、広告出力の前後の期間において、例えばカメラ5で撮影した映像に基づいて、客の行動を観測する。例えば処理部12は、出力した複数の広告それぞれについて、広告出力前の第1の観測期間における所定範囲9内の第1の客1a,1b,1cの行動の観測結果を示す第1の観測情報を取得する。また処理部12は、広告出力後の評価期間における所定範囲9内の第2の客2a,2b,2cの行動の観測結果を示す第2の観測情報を取得する。
【0015】
そして処理部12は、第1の観測情報と第2の観測情報とに基づいて、複数の広告それぞれについて、客が第1の観測情報に示される行動を取っている環境における広告出力の効果を評価する。処理部12は、評価結果11aを記憶部11に格納する。評価結果11aを記憶部11に格納するまでが学習段階の処理である。
【0016】
処理部12は、運用段階において、広告出力予定時刻前に、広告出力予定時刻までの第2の観測期間における所定範囲9内の第3の客3a,3b,3cの行動を観測する。そして処理部12は、観測された第3の客3a,3b,3cの行動に応じて出力する出力広告を、複数の広告それぞれについての広告出力の効果の評価結果11aに基づいて決定する。例えば処理部12は、観測された第3の客3a,3b,3cの行動と類似する環境における評価が高い広告を、出力広告に決定する。
【0017】
そして処理部12は、決定した出力広告を出力装置6,7から出力する。これにより、観測された第3の客3a,3b,3cの行動を含む商品棚8の周囲の環境において、他の客4a,4b,4cによる商品の購買を促進させる広告が出力される。その結果、商品の売上げが向上する。
【0018】
例えば観測された第3の客3a,3b,3cの行動と類似する環境が「環境X」の場合を想定する。評価結果11aでは、「環境X」における「広告1」の評価は「高」(販売促進効果が高い)であるが、「広告2」の評価は「低」(販売促進効果が低い)である。この場合、例えば「広告1」が出力広告に決定され、出力される。
【0019】
また観測された第3の客3a,3b,3cの行動と類似する環境が「環境Y」の場合を想定する。評価結果11aでは、「環境Y」における「広告1」の評価は「低」であるが、「広告2」の評価は「高」である。この場合、例えば「広告2」が出力広告に決定され、出力される。
【0020】
このように、情報処理装置10による広告管理方法によって、広告出力前の客の行動が広告出力後の客の行動に与える影響(インタラクション)に基づいて、適切な広告が出力される。その結果、複数の客を対象とした広告出力による販売促進効果が向上する。
【0021】
また処理部12は、客を属性で分類し、属性ごとの行動に応じて適切な広告を決定することもできる。属性は、例えば性別、年齢などである。例えば処理部12は、広告出力前の第1の観測期間における所定範囲9内の第1の客1a,1b,1cの属性ごとの行動の観測結果を第1の観測情報に含める。そして処理部12は、第2の観測期間における所定範囲9内の第3の客3a,3b,3cの属性ごとの行動の観測結果に応じて出力する出力広告を決定する。
【0022】
処理部12が客を属性で分類し、属性ごとの行動の観測結果を利用して出力広告を決定することで、客の属性ごとの他の客に与える影響の違いを考慮にいれて出力広告が決定される。その結果、客同士のインタラクションをより正確に反映させた広告決定が可能となる。
【0023】
なお、客を属性で分類した場合、広告出力前の環境を示す客の行動の発生頻度を示す数値が多数となる。その場合、処理部12は、広告出力前の環境をベクトルで表して、ベクトル間の類似度を計算することで、環境の類似性を判断することができる。
【0024】
例えば処理部12は、学習段階において、第1の観測期間における所定範囲9内の第1の客1a,1b,1cの属性ごとの所定の行動の観測結果を第1の観測情報に含める。さらに処理部12は、複数の広告それぞれについて、第2の観測情報において所定の評価基準を満たしたときの第1の観測情報に基づいて、第1の客1a,1b,1cの属性ごとの所定の行動の発生頻度に応じた値を要素とする広告素性ベクトルを生成する。この広告素性ベクトルは、対応する広告が効果を発揮できる環境を表している。
【0025】
処理部12は、運用段階において、第2の観測期間における所定範囲9内の第3の客3a,3b,3cの属性ごとの所定の行動の発生頻度に応じた値を要素とする環境素性ベクトルを生成する。そして処理部12は、生成した環境素性ベクトルと、複数の広告それぞれの広告素性ベクトルとの類似度に基づいて、出力する出力広告を決定する。例えば処理部12は、環境素性ベクトルとの類似度が最も高い広告素性ベクトルに対応する広告を、出力広告に決定する。
【0026】
このように処理部12が、属性ごとの客の行動の発生頻度に応じた値を要素として、それらを1つのベクトルで表すことで、環境間の類似度の比較が容易となる。
また処理部12は、環境に応じた広告の効果を予測する効果予測器を機械学習によって学習し、その効果予測器を用いて出力広告を決定することもできる。例えば処理部12は、学習段階において、出力された第1の広告と、第1の広告の出力前の第1の観測情報とに基づいて、第1の広告の出力後の第2の観測情報を予測する効果予測器を生成する。さらに処理部12は、運用段階において、第2の観測期間における所定範囲9内の第3の客3a,3b,3cの行動の観測結果を示す第3の観測情報を生成する。処理部12は、複数の広告それぞれを予測対象とし、予測対象の第2の広告と、生成した第3の観測情報とに基づいて、効果予測器によって、第2の広告を出力した場合の効果を予測する。そして処理部12は、複数の広告それぞれの予測結果に基づいて出力する出力広告を決定する。
【0027】
このように、処理部12が、効果予測器を用いた予測結果に基づく出力広告の決定を行うことで、広告の効果を高精度に予測し、適切な広告を出力することができる。
また観測する客の行動としては、立ち止まり、手伸ばし、購買などがある。これらの行動は、購買に至る前の購買兆候行動と言えるが、どの程度購買と関連があるのかは、定かではない。そのため、広告の最適化において、実際の購買行動に対してどの程度の割合で、購買兆候行動を評価するのかが明らかではない。そこで処理部12は、客の複数の行動の発生頻度を観測する場合、客の行動に重みを設定し、一定期間内の売上を用いてそれらの重みを最適化する。
【0028】
例えば処理部12は、第1の広告を出力した後の評価期間における所定範囲9内の第2の客2a,2b,2cの複数の行動それぞれの発生頻度に、対応する行動の重みを示す係数を乗算した結果を合計する。処理部12は、合計した値を、第1の広告の広告出力の効果を示す評価値とする。そして処理部12は、評価値と広告で宣伝する商品の所定期間内の売上とが一致する値に、係数を修正する。
【0029】
このように処理部12は、客の行動の種別ごとの重みを最適化することで、広告の出力の効果を正確に判断することができ、環境に応じた適切な広告を出力することができる。
なお出力対象の複数の広告は、例えば共通の商品に関する互いに異なる訴求ポイントを宣伝する広告である。この場合、処理部12は、再生時間の長い広告の一部を訴求ポイントごとに抽出した複数の部分広告を、出力対象の複数の広告としてもよい。また処理部12は、異なる複数の商品それぞれの広告を、出力対象の広告とすることもできる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、商品を販売する店舗の客の集合に対して売り上げを最適化させるための広告管理システムである。
【0031】
図2は、広告管理システムのシステム構成の一例を示す図である。店舗30には、商品棚31に特定の商品「A」が並べられている。店舗30内の天井には、カメラ32が設置されている。カメラ32は、商品棚31の周囲にいる客41~43を撮影する。商品棚31の近くに広告表示用のモニタ33と、広告音声出力用のスピーカ34とが設置されている。また店舗30には、POS(Point Of Sale)端末35が設置されている。カメラ32、モニタ33、スピーカ34、およびPOS端末35は、LAN(Local Area Network)29経由で管理コンピュータ100に接続されている。
【0032】
管理コンピュータ100は、商品「A」についての広告出力を制御するコンピュータである。管理コンピュータ100は、ネットワーク20を介して気象情報サーバ200に接続されている。気象情報サーバ200は、天気、気温などの気象情報を出力するコンピュータである。
【0033】
管理コンピュータ100は、カメラ32が撮影した映像、POS端末35が管理する商品「A」の売上情報、気象情報サーバ200が出力する気象情報などに基づいて、出力する広告を決定する。そして管理コンピュータ100は、決定した広告を、モニタ33またはスピーカ34を介して出力する。
【0034】
図3は、管理コンピュータのハードウェアの一例を示す図である。管理コンピュータ100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現してもよい。
【0035】
メモリ102は、管理コンピュータ100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0036】
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108a,108bがある。
【0037】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、管理コンピュータ100の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0038】
GPU104は画像処理を行う演算装置であり、グラフィックコントローラとも呼ばれる。GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0039】
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0040】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取り、または光ディスク24へのデータの書き込みを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0041】
機器接続インタフェース107は、管理コンピュータ100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0042】
ネットワークインタフェース108aは、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース108aは、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース108aは、例えばスイッチやルータなどの有線通信装置にケーブルで接続される有線通信インタフェースである。またネットワークインタフェース108aは、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に電波によって通信接続される無線通信インタフェースであってもよい。
【0043】
ネットワークインタフェース108bは、LAN29に接続されている。ネットワークインタフェース108bは、LAN29を介して、カメラ32、モニタ33、およびスピーカ34との間でデータの送受信を行う。
【0044】
管理コンピュータ100は、以上のようなハードウェアによって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した情報処理装置10も、図3に示した管理コンピュータ100と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0045】
管理コンピュータ100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。管理コンピュータ100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、管理コンピュータ100に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。また管理コンピュータ100に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27などの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0046】
このようなシステムによって、店舗30内の客41~43に向けた広告出力が行われる。このような店舗30における広告出力では、スピーカ34からの広告音声が届くか、またはモニタ33によるサイネージの広告を見ることができる範囲(視聴可能範囲)にいる客41~43の集合に対して、売上げを最大化させる最適化が望まれる。
【0047】
ここで、広告の視聴可能範囲内での客41~43の行動(手伸ばし、立ち止まり、購買、素通り)は、別の客の行動に影響を与えるもので、広告出力の最適化における重要な要素となる。そこで、客41~43の行動に基づいて出力する広告を選択することが考えられる。例えば数人の客が商品を手に取っている状況であれば、それらの客がどのような商品を手に取っているのかを紹介する広告を出力することで、周囲の客の興味を引きつけることができる。また客が商品棚の前を素通りしている状況であれば、客に呼びかけるような広告を出力することで、客の注意を商品に向けさせることができる。
【0048】
しかしながら、ある客の行動が他の客に対してどの程度影響を与えるのかは、双方の客の属性(年齢、性別など)に依存する。例えば30代女性の行動は、同年代を含む広い年代の女性に大きな影響を与えたとしても、男性にはあまり影響を与えない可能性がある。このような広告の視聴可能範囲内の複数の客それぞれの属性やそれぞれの行動の組合せには無数のバリエーションがある。そのため出力する広告の最適化をすべてのバリエーションに対して行おうとすると膨大な数のデータを用意することが求められ、すべてのバリエーションについて適切な広告を個別に求めるのは困難である。
【0049】
そこで管理コンピュータ100は、広告の視聴可能範囲内の複数の客それぞれの属性および行動を、商品購買に関する環境として捉え、環境ごとに、出力する広告の最適化を行う。例えば管理コンピュータ100は、同一属性(性別、年代)に対して同一の出力広告に対する応答が類似していると仮定し、環境ごとに、各広告による訴求効果の高い属性を特定する。
【0050】
図4は、環境に応じた購買傾向の一例を示す図である。環境に応じた購買傾向は、例えば環境ごとの購買行動の評価値で表される。例えば管理コンピュータ100は、複数の広告それぞれについて、広告出力前の所定期間(例えば1分)の環境を、客41~43の属性ごとの購買傾向スコアで表す。管理コンピュータ100は、例えば購買傾向スコアを、カメラ32で撮影された客41~43の行動に基づいて、客の属性ごとに計算する。購買傾向スコアは、例えば「購買傾向スコアS=a×直前1分間の立ち止まり数+b×直前1分間の手伸ばし数+c×直前1分間の購入数」である。a,b,cは、予め設定された実数である。
【0051】
管理コンピュータ100は、様々な環境において各広告を出力する。そして管理コンピュータ100は、広告出力後の所定期間(例えば1分)に広告の視聴可能範囲にいる客44~46の属性ごとに評価値を計算する。評価値は、例えば「評価値E=α×直後1分間の立ち止まり数+β×直後1分間の手伸ばし数+γ×直後1分間の購入数」である。α,β,γは、予め設定された実数である。
【0052】
図4の例では、「環境1」では、様々な属性の客に対して概ね高い購買傾向スコアとなっている。「環境1」の異なる時間帯で複数の広告それぞれを出力したとき、「広告1」が、各属性に対する評価値が概ね高くなっている。すなわち「環境1」であれば「広告1」を出力することで、最も高い販売促進効果を得ることができる。
【0053】
「環境2」では、様々な属性の客に対して概ね低い購買傾向スコアとなっている。「環境2」の異なる時間帯で複数の広告それぞれを出力したとき、「広告2」が、各属性に対する評価値が概ね高くなっている。すなわち「環境2」であれば「広告2」を出力することで、最も高い販売促進効果を得ることができる。
【0054】
図5は、環境に応じた広告出力の一例を示す図である。例えば管理コンピュータ100は、広告出力前の一定期間に商品棚31の周囲にいる客51~53の購買傾向スコアを属性ごとに計算する。
【0055】
環境スコアの計算結果が図4に示す「環境1」と同様になった場合、管理コンピュータ100は、「広告1」を出力する。例えば「広告1」は、客51~53が商品「A」に興味を示している場合に、その光景を見た他の客54~56に対して購買意欲を促進させる内容の広告である。図5の例では、商品「A」の特徴を説明する音声が出力されている。
【0056】
環境スコアの計算結果が図4に示す「環境2」と同様になった場合、管理コンピュータ100は、「広告2」を出力する。例えば「広告2」は、客51~53が商品「A」に興味を示していない場合に、その光景を見た他の客54~56の注意を商品「A」に引きつける内容の広告である。図5の例では、商品「A」が新製品であることを説明し、手に取ることを進める内容の音声が出力されている。
【0057】
このように、管理コンピュータ100は、広告の視聴可能範囲内の客(売上げに影響を与える周辺客)それぞれの属性を考慮して、それらの客の行動に基づく環境を定義し、その環境に応じて出力する広告の最適化を行う。なお、このような最適化は、同一属性(性別、年代)に対して同一の出力広告に対する応答が類似していることを前提としている。このような広告の最適化により、管理コンピュータ100は、客同士のインタラクションに着目して、購買兆候行動を引き起こす広告を出力することが可能となる。
【0058】
図6は、広告出力のための管理コンピュータの機能の一例を示すブロック図である。管理コンピュータ100は、記憶部110、映像取得部120、POSデータ取得部130、気象データ取得部140、客検出部150、購買傾向スコア計算部160、広告出力部170、および評価部180を有する。
【0059】
記憶部110は、広告出力に利用する各種データを記憶する。例えば記憶部110は、映像データ111、POSデータ112、気象データ113、広告データ114、広告素性データ115、および評価ログ116を記憶する。映像データ111は、カメラ32で撮影された映像(動画)のデータである。POSデータ112は、POS端末35から取得した商品の販売状況に関するデータである。気象データ113は、気象情報サーバ200から取得した天気、気温などの気象に関するデータである。広告データ114は、複数の広告のデータ(動画データ、音声データ、テキストデータなど)である。広告素性データ115は、各広告が客の購買行動を引き起こすことができる環境を示すデータである。評価ログ116は、各広告によって引き起こされた客の購買行動の評価結果を示すデータである。
【0060】
映像取得部120は、カメラ32から映像データ111を取得し、取得した映像データ111を記憶部110に格納する。POSデータ取得部130は、POS端末35からPOSデータ112を取得し、取得したPOSデータ112を記憶部110に格納する。気象データ取得部140は、気象情報サーバ200から気象データ113を取得し、取得した気象データ113を記憶部110に格納する。
【0061】
客検出部150は、映像データ111から、所定期間内にその映像に映っている客を検出する。例えば客検出部150は、AI(Artificial Intelligence)のセグメンテーション技術を用いて画像を解析し、所定期間内の画像における客(人の姿)の映っている領域を特定する。
【0062】
購買傾向スコア計算部160は、広告出力までの所定期間の客の行動に基づいて購買傾向スコアを計算する。例えば購買傾向スコア計算部160は、客の属性ごとに計算した購買傾向スコアを要素として含む環境素性ベクトルを生成する。環境素性ベクトルは、所定期間の客の購買行動に影響する環境に関するベクトルデータである。環境素性ベクトルには、所定期間における気象に関するデータも含まれる。
【0063】
広告出力部170は、購買傾向スコア計算部160が計算した購買傾向スコアに基づいて、出力する広告を決定する。例えば広告出力部170は、購買傾向スコア計算部160が生成した環境素性ベクトルと最も類似する広告素性ベクトルに対応する広告を、出力対象に決定する。広告出力部170は、広告データ114から出力対象の広告に関するデータを取得し、そのデータの内容をモニタ33またはスピーカ34で再生する。
【0064】
評価部180は、出力した広告が客の購買行動に与えた影響の度合いを示す評価値を計算する。例えば評価部180は、広告を出力した後の所定期間における顧客の行動に基づいて評価値を計算する。評価部180は、計算した評価値を、評価ログ116として記憶部110に格納する。また評価部180は、計算した評価値に基づいて、出力した広告の広告素性データ115を生成する。そして評価部180は、生成した広告素性データ115を記憶部110に格納する。
【0065】
なお、図6に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。また、図6に示した各要素の機能は、例えば、その要素に対応するプログラムモジュールをコンピュータに実行させることで実現することができる。
【0066】
次に、記憶部110に格納されるデータのうち、POSデータ112、気象データ113、広告素性データ115、および評価ログ116について、図7図10を参照して説明する。
【0067】
図7は、POSデータの一例を示す図である。POSデータ112には、販売した商品ごとのレコードが登録されている。各レコードには、「客属性」、「商品」、「販売数」、「金額」、「日時」などのデータが含まれる。「客属性」のデータは、商品を購入した客の属性を示すデータである。「商品」のデータは、販売した商品の名称である。「販売数」のデータは、販売した数量である。「金額」のデータは、販売した商品の値段である。「日時」のデータは、販売した日時である。
【0068】
図8は、気象データの一例を示す図である。気象データ113には、定期的に取得した気象情報を示すレコードが登録されている。各レコードには、「日時」、「天気」、「気温」などのデータが含まれる。「日時」のデータは、何時の気象なのかを示すデータである。「天気」のデータは、該当日時における店舗30周囲の天気を示すデータである。「気温」のデータは、該当日時における店舗30周囲の気温を示すデータである。
【0069】
図9は、広告素性データの一例を示す図である。広告素性データ115には、広告ごとの広告素性ベクトル115a,115b,・・・が含まれている。広告素性ベクトル115a,115b,・・・には、広告が客の購買行動を引き起こすことができる環境を示す複数の数値が、要素(ベクトルの成分)として含まれている。広告素性ベクトル115a,115b,・・・内の要素としては、例えば客の属性ごとの購買傾向スコアに対応する値、1日の時間帯の区分(午前・午後)それぞれに対応する値、天気の種別それぞれに対応する値などがある。
【0070】
図10は、評価ログの一例を示す図である。評価ログ116には、出力した広告の評価値計算ごとの計算結果を示すレコードが登録されている。各レコードには、「出力広告」、「環境素性ベクトル」、および「評価結果」のデータが含まれる。「出力広告」のデータは、評価対象の広告を示すデータである。「環境素性ベクトル」のデータは、広告の出力前の所定期間における環境を表すベクトルデータである。「評価結果」のデータは、客の属性ごとの評価値を示すデータである。
【0071】
管理コンピュータ100は、以上のようなデータを利用して最適な広告を選択し、選択した広告を出力する。以下、出力する広告の最適化処理を具体的に説明する。
図11は、出力広告最適化処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0072】
[ステップS101]客検出部150は、映像データ111から、直近の過去n分間(nは正の実数)の映像を取得する。
[ステップS102]客検出部150は、映像から客を検出する。例えば客検出部150は、映像に人の姿が映っている場合、映っている場所に客がいると判断する。
【0073】
[ステップS103]客検出部150は、検出した客の人数が「1」以上か否かを判断する。客検出部150は、1人以上の客が検出できた場合、処理をステップS104に進める。また客検出部150は、客をまったく検出できなかった場合、出力広告最適化処理を終了する。
【0074】
[ステップS104]購買傾向スコア計算部160は、検出した客の属性ごとに購買傾向スコアを計算する。購買傾向スコア計算処理の詳細は後述する(図13参照)。
[ステップS105]広告出力部170は、購買傾向スコア計算部160が計算した購買傾向スコア、時刻、天気などの情報を含む環境素性ベクトルを生成する。そして広告出力部170は、環境素性ベクトルと各広告の広告素性ベクトルとに基づいて、出力する広告を選択する。広告選択処理の詳細は後述する(図15参照)。
【0075】
[ステップS106]広告出力部170は、選択した広告を再生し、モニタ33またはスピーカ34に出力する。
[ステップS107]評価部180は、映像データ111から、広告出力の直後からn分間(nは正の実数)の映像を取得する。
【0076】
[ステップS108]評価部180は、取得した映像に基づいて、出力した広告の評価値を計算する。評価部180は、計算した評価値を含む評価ログのレコードを記憶部110に格納する。評価値計算処理の詳細は後述する(図18参照)。
【0077】
[ステップS109]評価部180は、新たに計算した評価値を含む評価ログに広告素性ベクトルを更新する。広告素性ベクトル更新処理の詳細は後述する(図20参照)。
このようにして、管理コンピュータ100は、商品棚31周囲の客の行動を含む周囲の環境に応じた最適な広告を選択して出力することができる。
【0078】
次に、購買傾向スコア計算処理について詳細に説明する。
図12は、購買傾向スコア計算方法の一例を示す図である。購買傾向スコア計算部160は、映像データ111から広告出力直前のn分間の映像を取得し、客の動作を解析する。解析により、購買傾向スコア計算部160は、AIのセグメンテーション技術などで特定した客の行動が、立ち止まりに該当するか、手伸ばしに該当するかを判断する。例えば購買傾向スコア計算部160は、客として特定した画像内の領域が所定の期間だけ移動していなければ、行動「立ち止まり」を検出する。また購買傾向スコア計算部160は、例えば客として特定した画像内の領域が商品棚31に隣接する位置に移動し、その後、客の領域に隣接して商品の領域が検出できた場合、行動「手伸ばし」を検出する。購買傾向スコア計算部160は、例えば客の属性ごとに、行動「立ち止まり」の検出人数と、行動「手伸ばし」の検出人数とを計数する。
【0079】
また購買傾向スコア計算部160は、POSデータ112から、客の属性ごとに、直近n分間に客が商品「A」を購買した数を取得する。そして購買傾向スコア計算部160は、立ち止まり数、手伸ばし数、および購買数に基づいて、客の属性ごとの購買傾向スコアを計算する。例えば購買傾向スコア計算部160は、立ち止まり数のa倍(aは正の実数)と手伸ばし数のb倍(bは正の実数)と購買数のc倍(cは正の実数)の合計を、購買傾向スコアとする。
【0080】
図13は、購買傾向スコア計算処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS201]購買傾向スコア計算部160は、客の属性についての区分のうちの1つを選択する。
【0081】
[ステップS202]購買傾向スコア計算部160は、広告出力直前のn分間内の映像に選択した区分の属性の客が映っているか否かを判断する。購買傾向スコア計算部160は、該当属性の客が映像に映っていない場合、処理をステップS203に進める。また購買傾向スコア計算部160は、該当属性の客が映像に映っている場合、処理をステップS204に進める。
【0082】
[ステップS203]購買傾向スコア計算部160は、選択した区分の属性についての購買傾向スコアを「0」に設定し、処理をステップS208に進める。
[ステップS204]購買傾向スコア計算部160は、広告出力直前のn分間内の映像に映っている該当属性の客のうち、立ち止まった客の人数(立ち止まり数)を検出する。
【0083】
[ステップS205]購買傾向スコア計算部160は、広告出力直前のn分間内の映像に映っている該当属性の客のうち、商品に手を伸ばした人数(手伸ばし数)を検出する。
[ステップS206]購買傾向スコア計算部160は、広告出力直前のn分間内に商品「A」を購入した該当属性の客の人数(購買数)を検出する。
【0084】
[ステップS207]購買傾向スコア計算部160は、購買傾向スコア「立ち止まり数×a+手伸ばし数×b+購買数×c」を計算する。購買傾向スコア計算部160は、計算結果を、選択した区分の属性についての購買傾向スコアに設定する。
【0085】
[ステップS208]購買傾向スコア計算部160は、未処理の区分があるか否かを判断する。購買傾向スコア計算部160は、未処理の区分があれば、処理をステップS201に進める。また購買傾向スコア計算部160は、すべての区分について処理済みであれば、購買傾向スコア計算処理を終了する。
【0086】
このようにして客の属性ごとの購買傾向スコアが計算される。購買傾向スコア計算部160は、計算した客の属性ごとの購買傾向スコアを広告出力部170に送信する。広告出力部170は、取得した購買傾向スコアに基づいて、出力する広告を選択する。
【0087】
図14は、購買傾向スコアに応じた広告選択方法の一例を示す図である。例えば広告出力部170は、購買傾向スコアに加えて、広告を出力する時刻、そのときの気象情報などの店舗環境の情報に基づいて、出力する広告を決定する。図14の例では、広告出力部170は、購買傾向スコアと時刻情報と気象情報とに基づいて、環境素性ベクトル61を生成する。
【0088】
環境素性ベクトル61には、客の属性ごとの購買傾向スコアが要素として含まれる。また環境素性ベクトル61には、広告を出力する時刻を示す情報が要素として含まれる。例えば広告を出力する時刻が午前中であれば、午前に対応する要素に「1」が設定される。また広告を出力する時刻が午後であれば、午後に対応する要素に「1」が設定される。
【0089】
環境素性ベクトル61には、さらに広告を出力する時刻における店舗周囲の気象を示す要素が含まれる。例えば、広告を出力するときの店舗周囲の天気が晴れていれば、晴れに対応する要素に「1」が設定される。また広告を出力するときの店舗周囲の天気が雨であれば、雨に対応する要素に「1」が設定される。
【0090】
広告出力部170は、広告素性データ115から、広告ごとの広告素性ベクトル62,63,・・・を取得する。広告出力部170は、環境素性ベクトル61と広告素性ベクトル62,63,・・・それぞれとの類似度を計算する。類似度としては、例えばコサイン類似度を用いることができる。例えば環境素性ベクトルを「ベクトルa」とし、広告素性ベクトルを「ベクトルb」とする。このときコサイン類似度cos(a,b)は、以下の式で表される。
cos(a,b)=(a・b)/(||a||||a||)
広告出力部170は、環境素性ベクトルに対する類似度が最大の広告を、出力する広告に決定する。
【0091】
図15は、広告選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS301]広告出力部170は、購買傾向スコア計算部160から購買傾向スコアの計算結果を取得する。
【0092】
[ステップS302]広告出力部170は、現在の時刻を取得する。
[ステップS303]広告出力部170は、現在の店舗30周囲の気象情報を取得する。
【0093】
[ステップS304]広告出力部170は、購買傾向スコア、時刻、および気象情報に基づいて、環境素性ベクトルを生成する。
[ステップS305]広告出力部170は、広告データ114に含まれる複数の広告の中から広告候補を選択する。
【0094】
[ステップS306]広告出力部170は、選択した広告候補の広告素性ベクトルを取得する。
[ステップS307]広告出力部170は、環境素性ベクトルと広告素性ベクトルとの類似度を計算する。
【0095】
[ステップS308]広告出力部170は、計算した類似度が、選択済みの広告の類似度の最大値となるか否かを判断する。広告出力部170は、最大値であれば、処理をステップS309に進める。また広告出力部170は、最大値でなければ、処理をステップS310に進める。
【0096】
[ステップS309]広告出力部170は、選択した広告の名称と、その広告の類似度とを記憶する。
[ステップS310]広告出力部170は、すべての広告を処理したか否かを判断する。広告出力部170は、すべての広告について処理が完了していれば、処理をステップS311に進める。また広告出力部170は、未処理の広告があれば、処理をステップS305に進める。
【0097】
[ステップS311]広告出力部170は、類似度が最大となる広告を、出力する広告に決定す。
このようにして、環境に応じて、適切な広告が出力される。広告出力後は、広告の評価値が計算される。
【0098】
図16は、評価値の計算方法の一例を示す図である。評価部180は、映像データ111から広告出力直後のn分間の映像を取得し、客の動作を解析する。解析により、評価部180は、AIのセグメンテーション技術などで特定した客の行動が、立ち止まりに該当するか、手伸ばしに該当するかを判断する。例えば評価部180は、客として特定した画像内の領域が所定の期間だけ移動していなければ、行動「立ち止まり」を検出する。また評価部180は、例えば客として特定した画像内の領域が商品棚31に隣接する位置に移動し、その後、客の領域に隣接して商品の領域が検出できた場合、行動「手伸ばし」を検出する。評価部180は、例えば客の属性ごとに、行動「立ち止まり」の検出人数と、行動「手伸ばし」の検出人数とを計数する。
【0099】
また評価部180は、POSデータ112から、客の属性ごとに、広告出力後のn分間に客が商品「A」を購買した数を取得する。そして評価部180は、立ち止まり数、手伸ばし数、および購買数に基づいて、客の属性ごとの評価値を計算する。例えば評価部180は、立ち止まり数のα倍(αは正の実数)と手伸ばし数のβ倍(βは正の実数)と購買数のγ倍(γは正の実数)の合計を、評価値とする。
【0100】
評価部180は、属性ごとの評価値の集合を、出力した広告の評価結果181とする。評価結果181は、評価ログ116に保存される。
図17は、評価結果の保存方法の一例を示す図である。例えば評価部180は、得られた評価結果181を、出力した広告、および環境素性ベクトル61に関連付けて評価ログ116に登録する。
【0101】
図18は、評価値計算処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図18に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS401]評価部180は、客の属性についての区分のうちの1つを選択する。
【0102】
[ステップS402]評価部180は、広告出力直後のn分間内の映像に選択した区分の属性の客が映っているか否かを判断する。評価部180は、該当属性の客が映像に映っていない場合、処理をステップS403に進める。また評価部180は、該当属性の客が映像に映っている場合、処理をステップS404に進める。
【0103】
[ステップS403]評価部180は、選択した区分の属性についての評価値を「0」に設定し、処理をステップS408に進める。
[ステップS404]評価部180は、広告出力直後のn分間内の映像に映っている該当属性の客のうち、立ち止まった客の人数(立ち止まり数)を検出する。
【0104】
[ステップS405]評価部180は、広告出力直後のn分間内の映像に映っている該当属性の客のうち、商品に手を伸ばした人数(手伸ばし数)を検出する。
[ステップS406]評価部180は、広告出力直後のn分間内に商品「A」を購入した該当属性の客の人数(購買数)を検出する。
【0105】
[ステップS407]評価部180は、評価値「立ち止まり数×α+手伸ばし数×β+購買数×γ」を計算する。評価部180は、計算結果を、選択した区分の属性についての評価値に設定する。
【0106】
[ステップS408]評価部180は、未処理の属性の区分があるか否かを判断する。評価部180は、未処理の区分があれば、処理をステップS401に進める。また評価部180は、すべての区分について処理済みであれば、購買傾向スコア計算処理を終了する。
【0107】
[ステップS409]評価部180は、各属性の評価値を含む評価結果を、商品名と環境素性ベクトルとに関連付けて、評価ログ116のレコードとして保存する。
このようにして客の属性ごとに評価値が計算され、評価結果が評価ログ116に保存される。その後、評価部180は、評価ログ116に基づいて、各広告の広告素性ベクトルを更新する。
【0108】
図19は、広告素性ベクトルの更新方法の一例を示す図である。評価部180は、評価ログ116から、広告ごとに評価結果のレコードを抽出する。評価部180は、抽出したレコードのうち、評価結果に含まれる属性ごとの評価値の代表値(代表評価値)が閾値以上のレコードから、環境素性ベクトルを取得する。代表評価値は、例えば、属性ごとの評価値の最大値または平均値である。代表評価値が閾値以上であるという条件は、第1の実施の形態に示す評価基準の一例である。
【0109】
評価部180は、取得した環境素性ベクトルの要素ごとの値の平均値を計算し、平均値を要素に含む広告素性ベクトル182を生成する。そして評価部180は、生成した広告素性ベクトル182で、広告素性データ115内の対応する広告の広告素性ベクトルを更新する。
【0110】
図20は、広告素性ベクトル更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図20に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS501]評価部180は、未処理の広告のうちの1つを選択する。
【0111】
[ステップS502]評価部180は、選択した広告の評価結果を示すレコードを評価ログ116から抽出する。
[ステップS503]評価部180は、選択した広告の評価結果のうちの1つを選択する。
【0112】
[ステップS504]評価部180は、選択した評価結果に含まれる客の属性ごとの評価値の代表評価値(最大値、平均値など)が、所定の閾値以上か否かを判断する。評価部180は、代表評価値が閾値以上であれば、処理をステップS505に進める。また評価部180は、代表評価値が閾値未満であれば、処理をステップS507に進める。
【0113】
[ステップS505]評価部180は、選択した評価結果に対応する環境素性ベクトルを、選択した広告が有効な環境を示す環境素性ベクトルとして保存する。
[ステップS506]評価部180は、ステップS502で抽出した評価結果のうち、未処理の評価結果があるか否かを判断する。評価部180は、未処理の評価結果があれば、処理をステップS503に進める。また評価部180は、すべての評価結果が処理済みであれば、処理をステップS507に進める。
【0114】
[ステップS507]評価部180は、保存した環境素性ベクトルに基づいて、選択した広告の広告素性ベクトルを計算する。例えば評価部180は、保存した環境素性ベクトルの要素ごとの平均値を計算し、計算した平均値を広告素性ベクトルの要素の値とする。
【0115】
[ステップS508]評価部180は、未処理の広告があるか否かを判断する。評価部180は、未処理の広告があれば、処理をステップS501に進める。また評価部180は、すべての広告について処理が完了していれば、広告素性ベクトル更新処理を終了する。
【0116】
このようにして、各広告について、高い評価値が得られたときの環境素性ベクトルに基づいて、その広告の広告素性ベクトルが生成される。この広告素性ベクトルは、対応する広告が顧客誘引効果を発揮できる周辺環境を表している。広告出力部170は、このようにして生成された広告素性ベクトルに基づいて、環境ごとに適切な広告を選択して出力する。これにより、周囲の客の行動を含めた環境に合った広告が出力され、広告による販売促進効果を向上させることができる。
【0117】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、機械学習によって学習させた効果予測器を用いて、出力する広告を決定するものである。例えば管理コンピュータ100は、環境に応じて、その環境で広告を出力したときの効果を予測する効果予測器を、機械学習によって生成する。管理コンピュータ100は、広告を出力する際には、そのときの環境において最も売上を得ることができる広告を、効果予測器を用いて特定する。そして管理コンピュータ100は、特定した広告を出力する。
【0118】
図21は、効果予測器の学習方法の一例を示す図である。例えば管理コンピュータ100の評価部180は、広告データ114に含まれる複数の広告それぞれについて、その広告によって再生される音声またはテキストによる文をベクトル化する。ベクトル化は、例えばBag-of-Wordsなどの技術を用いることができる。また評価部180は、広告が画像であればResNet、長文であればGPT2などを用いてベクトル化することができる。
【0119】
また評価部180は、映像データ111、POSデータ112、気象データ113などから、広告出力前の所定期間の周囲の客のインタラクション(立ち止まり数、手伸ばし数、購買数)、気象情報などに基づく環境素性ベクトルを取得する。そして評価部180は、広告をベクトル化したベクトルデータと環境素性ベクトルとを効果予測器71に入力し、広告を出力した場合の立ち止まり数、手伸ばし数、および購買数を予測する。
【0120】
また評価部180は、広告が出力された後に、カメラ32で撮影された映像データ111、POS端末35から取得したPOSデータ112に基づいて、立ち止まり数、手伸ばし数、および購買数を検出する。評価部180は、検出した値をそれらの実測値とし、予測値と実測値との差が減少するように、効果予測器71を修正する。例えば評価部180は、線形回帰によって学習済みの効果予測器71を生成する。
【0121】
評価部180は、生成した効果予測器71を、例えば記憶部110に格納する。そして広告を出力するタイミングになったとき、広告出力部170は、記憶部110から効果予測器71を取得し、効果予測器71に基づいて出力する広告を選択する。
【0122】
図22は、効果予測器を用いた広告選択方法の一例を示す図である。広告出力部170は、広告を出力する直前の所定期間の環境を示す環境素性ベクトル61を、購買傾向スコア計算部160から取得する。また広告出力部170は、広告データ114に含まれる各広告のベクトル72,73,・・・を生成する。そして広告出力部170は、ベクトル72,73,・・・それぞれと環境素性ベクトル61との組を生成し、組ごとに効果予測器71に入力する。これにより広告ごとに、立ち止まり数と手伸ばし数と購買数との予測値が得られる。
【0123】
広告出力部170は、広告ごとに、効果予測値を計算する。効果予測値は、例えば「立ち止まり数×α+手伸ばし数×β+購買数×γ」である。広告出力部170は、例えば効果予測値が最も高い広告を、出力する広告に決定する。
【0124】
なお周辺の客の購買予兆行動(立ち止まり、手伸ばし、購買)のうち、どのような購買行動が他の客に大きく影響を与えるのかは自明ではない。そこで管理コンピュータ100は、購買兆候行動の種別ごとに、広告の選択に考慮する度合いを、売上に応じて調整することもできる。
【0125】
例えば評価部180は、効果予測器71の生成に加え、売上の異なる複数の期間において、適切に売上の違いを説明可能な値に、係数α、β、γを最適化する。
図23は、係数最適化方法の一例を示す図である。期間別売上表81には、複数の期間それぞれについて、広告出力後1分間の客の購買予兆行動と、該当期間内の商品Aの売上とを示している。期間は、例えば午前、午後(6時まで効果)、午後(6時以降)などの期間である。
【0126】
例えば「期間1」では、広告出力後の1分間に立ち止まった人数が「10」人、商品に手を伸ばした人数が「30」人、商品を購入した人数が「50」人である。この期間の商品の売上げは少ない(売上「低」)。「期間2」では、広告出力後の1分間に立ち止まった人数が「10」人、商品に手を伸ばした人数が「50」人、商品を購入した人数が「30」人である。この期間の商品の売上げは多い(売上「高」)。「期間3」では、広告出力後の1分間に立ち止まった人数が「20」人、商品に手を伸ばした人数が「20」人、商品を購入した人数が「10」人である。この期間の商品の売上げは中程度である(売上「中」)。
【0127】
評価部180は、各期間における効果予測値「立ち止まり数×α+手伸ばし数×β+購買数×γ」を計算したとき、期間2の効果予測値が最も高く、期間3の効果予測値が次に高く、期間1の効果予測値が最も低くなるように、係数「α,β,γ」を最適化する。なお評価部180は、α+β+γ=1としてもよい。
【0128】
図24は、係数最適化処理の一例を示す図である。評価部180は、広告データ114に含まれる広告の文をベクトル化する。また評価部180は、映像データ111、POSデータ112、および気象データ113に基づいて、環境素性ベクトルを生成する。評価部180は、広告をベクトル化した文ベクトルと環境素性ベクトルとを効果予測器71に入力し、立ち止まり数、手伸ばし数、および購買数の予測値を計算する。
【0129】
また評価部180は、POSデータ112に基づいて、一定期間の商品「A」の購買数の実績値を係数する。そして評価部180は、「立ち止まり数×α」と「手伸ばし数×β」と「購買数×γ」との合計値と、購買数実測値とが一致するように、係数「α,β,γ」を最適化する。例えば評価部180は、期間を分けて、期間ごとに異なるα、β、γへの最適化を行うこともできる。評価部180は、各期間の中で売り上げを最大化する係数の組み合わせを特定することで、期間ごとの適切な係数を用いた効果予測値の計算が可能となる。
【0130】
評価部180は、最適化した係数を広告出力部170に送信する。広告出力部170は、最適化された係数を用いて効果予測値を計算する。これにより、効果予測値の計算精度が向上する。
【0131】
なお環境素性ベクトルに含まれる購買傾向スコアの計算には、係数「a,b,c」が用いられている。評価部180は、「立ち止まり数×α」と「手伸ばし数×β」と「購買数×γ」との合計値と、購買数実測値とが一致するように、係数「a,b,c」を最適化することもできる。また同様の係数の最適化処理を、第2の実施の形態に適用することも可能である。
【0132】
〔その他の実施の形態〕
広告の再生時間が長い場合、商品棚31の前を通り過ぎようとする客に対して、広告の全体を視聴させることができない。その場合、例えば管理コンピュータ100は、広告の出力部分を訴求ポイントごとに分割し、広告の一部分を出力することで、高い販売促進効果を得ることができる。
【0133】
図25は、広告の一部分を出力する広告管理方法の一例を示す図である。例えば商品棚31の周囲にいる客91,92のうち、客91は、商品棚31の前を移動し、通りすぎようとしているものとする。また商品「A」の広告90は再生時間が長く、客91が広告90を視聴可能な範囲内にいる時間では、広告90全体を再生しきれないものとする。この場合、広告90を最初から再生しても、客91には、広告90の先頭部分しか視聴させることができない。
【0134】
他方、店舗30において移動中の客91向けに広告90を出力する場合は、広告90の内容の視聴可能範囲にいる間に訴求力のある内容を伝えきることが望まれる。また客の属性や視聴可能範囲に客がいる時間の長さごとに広告を用意することはコストの観点から現実的ではない。
【0135】
そこで、広告90を複数に分割して、適切な部分のみを再生することが考えられる。しかし、どの客の属性にどの内容が効果的であるかは、自明ではない。そこで管理コンピュータ100は、客の属性ごとに広告出力に用いる訴求ポイントを最適化する。
【0136】
多くの場合、広告90には複数の訴求ポイントが含まれる。管理コンピュータ100は、広告90を訴求ポイントごとに分割して管理する。そして管理コンピュータ100は、環境に応じて適切な訴求ポイントを決定し、広告90内の決定した訴求ポイントの部分を自動生成して出力する。さらに管理コンピュータ100は、第2・第3の実施の形態と同様に、決定した訴求ポイントに対応する広告の評価値を計算することで、環境に応じた訴求ポイントを最適化することができる。
【0137】
また第2の実施の形態では、商品棚31には「商品A」が並べられているものとしたが、商品棚31に異なる種類の商品を並べておき、管理コンピュータ100は、商品ごとの広告のうち、環境に合った適切な広告を出力することもできる。
【0138】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0139】
1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c,4a,4b,4c 客
5 カメラ
6,7 出力装置
8 商品棚
9 所定範囲
10 情報処理装置
11 記憶部
11a 評価結果
12 処理部
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