(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093790
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
B23D 29/00 20060101AFI20240702BHJP
B26B 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B23D29/00 A
B26B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210372
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和信
(72)【発明者】
【氏名】佐野 翔麻
【テーマコード(参考)】
3C039
3C065
【Fターム(参考)】
3C039FA03
3C065BA21
3C065EA02
3C065EA08
3C065EA11
3C065FA06
3C065FA07
3C065GA12
(57)【要約】
【課題】切断刃の交換頻度を下げることのできる切断装置を提供する。
【解決手段】切断装置10は、被切断物を挟み込んで切断する一対の切断刃111と、切断刃111の動作に必要な駆動力を発生させる電動モーター400と、一対の切断刃111で被切断物を切断する際に当該被切断物を収容しておくための凹部710、が形成されたガイドプレート700と、を備える。ガイドプレート700は、凹部710の開放端側から奥側に行くに従って、凹部710の幅が狭くなるように形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式の切断装置であって、
被切断物を挟み込んで切断する一対の切断刃と、
前記切断刃の動作に必要な駆動力を発生させる電動モーターと、
一対の前記切断刃で前記被切断物を切断する際に当該被切断物を収容しておくための凹部、が形成されたガイドプレートと、を備え、
前記ガイドプレートは、
前記凹部の開放端側から奥側に行くに従って、前記凹部の幅が狭くなるように形成されている、切断装置。
【請求項2】
それぞれの前記切断刃が回動することによって開状態と閉状態との間が切り替わるように構成されており、
前記切断刃の回転中心軸に沿って見た場合において、
前記開状態となっているときには、
それぞれの前記切断刃は、前記凹部を間に挟んだ両側となる位置であって、前記凹部とは重ならない位置に配置されている、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記凹部の縁には、互いに対向しており且つそれぞれが直線状となっている第1直線部及び第2直線部が含まれる、請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記開状態となっているときには、
前記第1直線部を挟んで前記凹部よりも外側に配置されている方の前記切断刃の先端の稜線は、前記第1直線部と平行であり、
前記第2直線部を挟んで前記凹部よりも外側に配置されている方の前記切断刃の先端の稜線は、前記第2直線部と平行である、請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記凹部のうち最も奥側の部分では、前記第1直線部と前記第2直線部との間が円弧状に繋がっている、請求項3に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動式の切断装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているようなものが知られている。電動式の切断装置においては、使用者の把持力に替えて、電動モーターの駆動力によって切断刃を動作させ、一対の切断刃で挟み込むことによって被切断物を切断する。下記特許文献1に記載されている切断装置には、切断刃を外側から挟み込むように、一対のガイドプレートが設けられている。ガイドプレートには、切断時において予め被切断物を受け入れて、所定位置まで案内するための凹部が形成されている。当該所定位置に被切断物を配置した状態で、切断刃を閉じるように動作させることで、被切断物を切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の切断装置では、凹部の縁は、互いに対向する部分のそれぞれが直線状となっており、且つ互いに平行となっている。このような構成においては、凹部のうち最も奥側の部分が、被切断物を配置すべき上記の「所定位置」として常に設定される。このため、被切断物を切断する際には、切断刃のうち常に同じ部分が被切断物に当たることとなる。その結果、比較的短期間のうちに切断刃が局所的に摩耗してしまい、切断刃の交換が必要となる可能性が有る。
【0005】
本発明は、切断刃の交換頻度を下げることのできる切断装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る切断装置は、電動式の切断装置であって、被切断物を挟み込んで切断する一対の切断刃と、切断刃の動作に必要な駆動力を発生させる電動モーターと、一対の切断刃で被切断物を切断する際に当該被切断物を収容しておくための凹部、が形成されたガイドプレートと、を備える。ガイドプレートは、凹部の開放端側から奥側に行くに従って、凹部の幅が狭くなるように形成されている。
【0007】
上記構成の切断装置では、ガイドプレートに設けられた凹部の幅が一様とはなっておらず、凹部の開放端側から奥側に行くに従って、凹部の幅が狭くなるように形成されている。このような構成においては、被切断物を凹部の内側に案内する際に、被切断物が到達する上記の「所定位置」は、被切断物の形状によって異なる位置となる。例えば、直径の小さな被切断物は、凹部のうち最も奥側となる位置まで到達する一方、直径の大きな被切断物は、その途中の位置、すなわち、凹部の奥側よりも開放端側となる位置までしか到達しない。従って、切断刃のうち被切断物に対し当たる部分の位置は、当該被切断物の形状に応じて変化する。その結果、切断刃の局所的な摩耗が防止されるので、切断刃を交換することなく長期間に亘って使用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切断刃の交換頻度を下げることのできる切断装置、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る切断装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る切断装置が備えるガイドプレートの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る切断装置が備えるガイドプレートの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る切断装置10は、電動式の切断装置であって、建設現場等において鉄筋を切断するための装置として構成されている。
図1を主に参照しながら、切断装置10の構成について説明する。切断装置10は、ハウジング11と、トリガスイッチ12と、切断機構100と、ボール螺子200と、減速機300と、電動モーター400と、制御基板500と、蓄電池600と、を備えている。
【0012】
ハウジング11は、切断装置10の外形を区画する容器であって、例えば樹脂により形成されている。ハウジング11の内部には、後述のボール螺子200や減速機300等が収容されている。
図1においては、ハウジング11のうち紙面手前側の部分が除去されており、切断装置10の内部構成が断面図として示されている。
【0013】
トリガスイッチ12は、使用者の指によって操作されるスイッチである。使用者は、トリガスイッチ12に指をかけて手前側に引き込む操作を行うことにより、トリガスイッチ12をオン状態にすることができる。使用者が指の力を緩めると、トリガスイッチ12はばねの力によって元の位置に戻り、オフ状態となる。トリガスイッチ12がオン状態とオフ状態との間で切り替えられると、それに対応する信号が後述の制御基板500に送信される。使用者がトリガスイッチ12をオン状態に切り替える操作を行うと、鉄筋の切断が開始される。
【0014】
切断機構100は、被切断物である鉄筋を切断する部分である。切断機構100は、一対の刃部材110と、一対のリンク部材120と、を有している。
【0015】
それぞれの刃部材110には、被切断物を挟み込んで切断する切断刃111が形成されている。刃部材110は、ハウジング11に対し固定された軸101の回りにおいて、回動自在な状態で保持されている。本実施形態では、切断刃111の刃先の稜線が、概ね同一の平面を通る軌道で動作するように、それぞれの刃部材110が対向配置されている。これにより、それぞれの切断刃111が互いに離間した開状態と、それぞれの切断刃111が互いに当接(又は近接)した閉状態と、を切り換えることが可能となっている。
図1の例では、一対の切断刃111が閉状態となっている。
【0016】
リンク部材120は棒状の部材であって、一端が軸102を介して刃部材110に接続されており、他端が軸231を介して後述の連結部材230に接続されている。リンク部材120及び刃部材110は、軸102の周りにおいて互いに回動自在な状態で接続されている。同様に、リンク部材120及び連結部材230は、軸231の周りにおいて互いに回動自在な状態で接続されている。後に説明するように、連結部材230は、電動モーター400の駆動力によって、
図1の左右方向に移動する。
【0017】
図1の状態から、連結部材230が左方向に移動すると、
図1の上側にある刃部材110は反時計回り方向に回転し、
図1の下側にある刃部材110は時計回り方向に回転する。これにより、一対の切断刃111は閉状態から開状態になる。一方、一対の切断刃111が開状態となっているときに、連結部材230が
図1の右方向に移動すると、
図1の上側にある刃部材110は時計回り方向に回転し、
図1の下側にある刃部材110は反時計回り方向に回転する。これにより、一対の切断刃111は閉状態に戻る。このように、一対の刃部材110、一対のリンク部材120、及び連結部材230の全体は、所謂「トグルリンク機構」を構成している。
【0018】
刃部材110の近傍には、一対のガイドプレート700が設けられている。ガイドプレート700は、金属により形成された板状の部材であって、
図1における紙面手前側及び奥側の両方から刃部材110を挟み込むように配置されている。一対のガイドプレート700の形状は互いに同一である。
図2に示されるように、それぞれのガイドプレート700には凹部710が形成されている。
【0019】
説明の便宜上、
図1における右側のことを以下では「先端側」とも称し、同図における左側のことを以下では「後端側」とも称する。凹部710は、ガイドプレート700の先端側から後端側に向かって後退するように形成されている。
図1のように切断装置10を側面側から見た場合においては、それぞれの凹部710は、閉じた状態における切断刃111を含む位置に形成されている。
図2のように、切断刃111が全開となっている待機状態においては、それぞれの切断刃111は凹部710の外側に退避した状態となり、ガイドプレート700によって刃部材110の全体が隠れた状態となる。
【0020】
ガイドプレート700は、待機状態の切断刃111を覆い保護する機能と、被切断物である鉄筋を、凹部710に沿って一対の切断刃111の間へと導く機能と、の両方を有している。ガイドプレート700は更に、凹部710において鉄筋を挟み込むことで、切断前後における切断装置10の姿勢を安定させる機能をも有している。ガイドプレート700の具体的な構成については後に説明する。
【0021】
ボール螺子200は、電動モーター400の回転運動を、連結部材230の直線運動に変換し、これにより切断機構100を動作させるための装置である。ボール螺子200は、螺子軸210と、ナット220と、連結部材230と、を有している。
【0022】
螺子軸210は、後端側から先端側に向かって直線状に伸びる棒状の部材である。螺子軸210の外周面には雄螺子が形成されている。電動モーター400が駆動されると、螺子軸210はその中心軸回りにおいて回転する。
【0023】
ナット220は、螺子軸210を外周側から囲むように配置された略円筒形状の部材である。ナット220の内周面には雌螺子が形成されており、螺子軸210の外周面に形成された雄螺子に対し螺合している。ナット220は、螺子軸210の長手方向に沿った移動は許容されている一方で、螺子軸210の中心軸回りにおける回転は規制されている。このため、螺子軸210がその中心軸回りにおいて回転すると、ナット220は、当該中心軸に沿って
図1の左右方向に移動する。
【0024】
連結部材230は、ナット220に対し取り付けられた部材であって、ナット220と共に螺子軸210に沿って移動する部材である。連結部材230は、ナット220から先端側に向けて突出するように取り付けられている。連結部材230のうち先端側の端部近傍となる部分には、先に述べた軸231を介して一対のリンク部材120が接続されている。
【0025】
連結部材230の外周面には磁石241が取り付けられている。また、連結部材230の近傍となる位置には、ホールセンサ242がハウジング11に対して取り付けられている。ホールセンサ242が取り付けられている位置は、
図1の状態からナット220が後端に移動して切断刃111が全開となったときに、連結部材230の磁石241と対向する位置となっている。切断刃111が全開になると、磁石241と対向することによってホールセンサ242から信号が発信され、当該信号が制御基板500に入力される。
【0026】
減速機300は、電動モーター400の出力軸410の回転を、減速した上でボール螺子200の螺子軸210に伝達する装置である。
【0027】
電動モーター400は、切断刃111の動作に必要な駆動力を発生させるための回転電機であって、例えばブラシレスDCモーターである。電動モーター400は出力軸410を有している。出力軸410は略円柱形状の部材であって、その中心軸は螺子軸210の中心軸と一致している。出力軸410の一部は減速機300に向けて突出しており、減速機300に接続されている。
【0028】
電動モーター400のコイルに電流が供給されると、出力軸410がその中心軸周りに回転する。出力軸410の回転は減速機300を介して螺子軸210に伝達され、ナット220を先端側もしくは後端側に向けて移動させる。これにより、先に述べたように切断機構100の切断刃111を開閉動作させる。
【0029】
電動モーター400の内部には、回転センサ420が設けられている。回転センサ420は、出力軸410が所定角度だけ回転する毎にパルス信号を発信するセンサであって、電動モーター400が有するの基板430の上に設けられている。回転センサ420からのパルス信号は制御基板500に送信される。制御基板500は、パルス信号の数をカウントすることにより、特定のタイミング以降における出力軸410の回転角度を把握することができる。また、制御基板500は、単位時間あたりに入力されるパルス信号の数に基づいて、出力軸410の回転速度をも把握することができる。回転センサ420は、出力軸410の回転角度及び回転速度を測定できるものであれば、本実施形態とは異なる種類のセンサであってもよく、電動モーター400とは異なる位置に別途設けられたセンサであってもよい。
【0030】
制御基板500は、電動モーター400を含む切断装置10の全体の動作を制御するために設けられた回路基板である。制御基板500は、電動モーター400に供給される電流を調整するためのインバーター回路や、インバーター回路におけるスイッチング動作等を制御するためのマイコン等を含む。
【0031】
蓄電池600は、電動モーター400や制御基板500の動作に必要な電力を蓄えておくものであり、例えばリチウムイオンバッテリーである。切断装置10のうち蓄電池600が内蔵されている部分は、バッテリーパックとしてハウジング11から着脱することが可能となっており、外部の充電器に接続して充電を行うことができる。このような態様に換えて、蓄電池600がハウジング11に取り付けられている状態のまま、蓄電池600の充電を行うことが可能な構成としてもよい。
【0032】
使用者がトリガスイッチ12をオン状態に切り替える操作を行うと、制御基板500はこれを検知し、切断刃111を閉方向に動作させて鉄筋を切断させる。このような制御を行うために、制御基板500は、連結部材230の現在位置を取得しながら、電動モーター400の動作を制御する。
【0033】
本実施形態では、磁石241とホールセンサ242が対向したときを基準とした、回転センサ420から入力されるパルス信号のカウント値が、連結部材230の「現在位置」として制御基板500により算出され取得される。
【0034】
連結部材230の現在位置の取得を可能とするために、切断装置10が起動された際等においてリセット動作を行うこととすればよい。リセット動作では、例えば、一対の切断刃111が閉状態から開状態になる方向に電動モーター400を駆動させ、ホールセンサ242からの検知信号が入力された時点で電動モーター400を停止させればよい。この時点からパルス信号のカウントを開始すれば、以降における連結部材230の現在位置を正確に取得することができる。
【0035】
制御基板500は、電動モーター400に供給される電流の大きさを例えばPWM制御により調整することで、切断刃111の開閉動作を制御する。また、制御基板500は、電動モーター400が備える複数のコイルの一部を周期的に又は連続的に短絡させる、所謂「ショートブレーキ」を行うことで、切断刃111の制動動作をも制御する。
【0036】
尚、以上のような制御はあくまで一例である。制御基板500による制御は、トリガスイッチ12の状態に応じて切断刃111を動作させるものであればよく、公知となっている種々の制御を採用することができる。
【0037】
ガイドプレート700の具体的な構成について、
図2を参照しながら説明する。先に述べたように、ガイドプレート700には凹部710が形成されている。凹部710は、切断刃111により鉄筋を切断する際に、予め当該鉄筋を収容しておくためのものである。本実施形態の凹部710は、螺子軸210の中心軸に沿って、先端側(凹部710の開放端側)から後端側(凹部710の奥側)に向かって伸びるように形成されている。ただし、凹部710の幅は一定とはなっておらず、凹部710の開放端側から奥側に行くに従って次第に狭くなっている。尚、凹部710の「幅」とは、一対の切断刃111が互いに対向する方向であり、且つ、螺子軸210の中心軸に対し垂直な方向に沿った、凹部710の寸法のことである。つまり、
図2における上下方向の寸法のことである。
【0038】
凹部710の縁には、互いに対向している直線状の部分である一対の直線部711と、その間にある円弧状の円弧部713と、が含まれる。それぞれ直線部711は、凹部710のうち概ね開放端となる位置から、円弧部713まで伸びている。これにより、凹部710のうち最も奥側の部分では、2つの直線部711の間が、円弧部713によって円弧状に繋がっている。
【0039】
説明の便宜上、一対の直線部711のうち
図2の上方側にある直線部711のことを、以下では「第1直線部711A」とも称する。また、
図2の下方側にある直線部711のことを、以下では「第2直線部711B」とも称する。同様に、
図2の上方側にある切断刃111のことを、以下では「第1切断刃111A」とも称する。また、
図2の下方側にある切断刃111のことを、以下では「第2切断刃111B」とも称する。
【0040】
本実施形態の切断刃111は、それぞれの刃部材110が軸101の回りに回動することにより、
図1の閉状態と、
図2の開状態との間でその位置を変化させる。鉄筋の切断が行われる前の待機状態においては、それぞれの切断刃111は
図2の開状態となっている。
【0041】
図2のように、切断刃111の回転中心軸(つまり、軸101の中心軸)に沿って見た場合において、開状態となっているときには、第1切断刃111Aは第1直線部711Aよりも上方側(凹部710とは反対側)にあり、第2切断刃111Bは第2直線部711Bよりも下方側(凹部710とは反対側)にある。換言すれば、それぞれの切断刃111は、凹部710を間に挟んだ両側となる位置であって、凹部710とは重ならない位置に配置されている。それぞれの切断刃111がガイドプレート700に隠れた状態となっているので、待機状態の切断刃111をガイドプレート700により保護することができる。
【0042】
鉄筋を切断する際には、
図2のように切断刃111を開状態とした上で、凹部710に鉄筋が予め挿入される。鉄筋は、凹部710の開口側から、可能な限り奥側となる位置に到達するまで挿入される。
【0043】
従来のように、凹部710の幅が位置により変化せず概ね一定であった場合には、凹部710に挿入された鉄筋は、その形状によることなく、凹部710のうち最も奥側となる位置まで常に到達し、その後に切断される。このとき、切断刃111のうち常に同じ部分が被切断物に当たることとなるので、比較的短期間のうちに切断刃111が局所的に摩耗してしまい、切断刃111の交換が必要となるという問題が生じ得る。
【0044】
また、凹部710のうち最も奥側となる位置まで常に鉄筋が到達する従来構成においては、鉄筋の直径が凹部710の幅と概ね等しい場合には、切断刃111が動作し始めてから鉄筋に当たるまでの空走時間が比較的短い。一方、鉄筋の直径が凹部710の幅よりも小さい場合には、切断刃111が動作し始めてから鉄筋に当たるまでの空走時間が長くなり、その分だけ作業時間が長くなってしまう、という問題も生じ得る。
【0045】
そこで、本実施形態では、凹部710の幅を位置により異ならせることにより、以上のような各種問題を解決することとしている。
【0046】
図2に示される「RB1」は、比較的径の小さな鉄筋が到達する位置であり、「RB2」は、比較的径の大きな鉄筋が到達する位置である。このように、凹部710に挿入された鉄筋が切断前に到達する位置は、鉄筋の形状によって変化する。従って、切断刃111のうち鉄筋に対し当たる部分の位置も、当該鉄筋の形状に応じて変化する。その結果、切断刃111の局所的な摩耗が抑制されるので、切断刃111を交換することなく、切断装置10を長期間に亘って使用することができる。
【0047】
図2の状態においては、第1直線部711Aを挟んで凹部710よりも外側に配置されている方の切断刃111、つまり第1切断刃111Aの先端の稜線は、第1直線部711Aと平行となっている。同様に、第2直線部711Bを挟んで凹部710よりも外側に配置されている方の切断刃111、つまり第2切断刃111Bの先端の稜線は、第2直線部711Bと平行となっている。
【0048】
このような構成においては、鉄筋の位置が
図2のRB1、RB2のいずれであっても、切断刃111が閉方向に動作し始めてから鉄筋に当たるまでの空走時間は、概ね同じとなる。鉄筋の形状によって空走時間が増加しないので、作業時間が長くなるという上記問題も生じない。
【0049】
第2実施形態について、
図3を参照しながら説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、凹部710の形状において
図2の第1実施形態と異なっている。
図3に示される「712A」は、凹部710の縁のうち、第1実施形態における第1直線部711Aに対応する縁である。また、「712B」は、凹部710の縁のうち、第1実施形態における第2直線部711Bに対応する縁である。本実施形態でも第1実施形態と同様に、凹部710の開放端側から奥側に行くに従って、凹部の幅が狭くなるように形成されている。ただし、本実施形態では、712A及び712Bの縁のそれぞれが、直線状ではなく階段状に形成されている。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0052】
10:切断装置
111:切断刃
400:電動モーター
700:ガイドプレート
710:凹部
711A:第1直線部
711B:第2直線部
713:円弧部