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特開2024-93828自走式電源スタンド、自走式バッテリーユニット付き電源スタンド、室内装置、什器用自走式バッテリーカー、自走式電源スタンド什器、バッテリー付き自走式移動体の走行制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093828
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自走式電源スタンド、自走式バッテリーユニット付き電源スタンド、室内装置、什器用自走式バッテリーカー、自走式電源スタンド什器、バッテリー付き自走式移動体の走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240702BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G05D1/02 H
H02J7/00 P
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210414
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】海福 恒太
(72)【発明者】
【氏名】山中 彬弘
(72)【発明者】
【氏名】岩永(岡本)洋子
(72)【発明者】
【氏名】浅岡(橋本)泉
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H301
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
5H125AA20
5H125AB01
5H125AB02
5H125AC12
5H125AC22
5H125CA04
5H125CC04
5H125DD02
5H125EE66
5H125FF14
5H301AA02
5H301AA10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
5H301HH10
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】オフィスのコードレス化を促進して電源環境を改善できる技術を開示する。
【解決手段】電源スタンドは、コンセント部4を備えたスタンド本体24と、スタンド本体24のベース体2に格納・離脱可能な自走式バッテリーユニット25とで構成されている。電力残量が所定水準に低下したら、自走式バッテリーユニット25が充電コーナー15に自走して充電され、戻ってくる。什器に設けたバッテリーに自走式バッテリーカー39で充電することも可能である。人手を使用して充電する必要はないため、バッテリーを使用したコードレスの電源環境を促進できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンド本体に、バッテリーと、プラグが挿脱自在な電源コンセントと、自走装置と、充電用端子とを設けており、
内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されている、
自走式電源スタンド。
【請求項2】
前記スタンド本体に、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている、
請求項1に記載した自走式電源スタンド。
【請求項3】
プラグを挿脱自在な電源コンセントを備えたスタンド本体と、前記スタンド本体に合体・離反自在な自走式バッテリーユニットとを有しており、
前記自走式バッテリーユニットが、内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電してから戻るように設定されている、
自走式バッテリーユニット付き電源スタンド。
【請求項4】
前記自走式バッテリーユニットに、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている、
請求項3に記載した自走式バッテリーユニット付き電源スタンド。
【請求項5】
バッテリーを備えた什器と、自走式のバッテリーカーとを有し、
前記什器には充電用端子部を外側に露出するように配置されている一方、
前記バッテリーカーには、前記什器の受電端子に接続可能な送電端子を設けている、
室内装置。
【請求項6】
自走装置を備えた車体と、前記車体に設けたバッテリーと、バッテリーを備えた什器の受電端子に給電するための送電端子とを有し、
内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、前記什器に移動して充電するように設定されている、
什器用自走式バッテリーカー。
【請求項7】
前記車体に、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている、
請求項6に記載した什器用自走式バッテリーカー。
【請求項8】
スタンド本体に、バッテリーと、電気器具と、充電用端子とを設けており、
前記スタンド本体に設けた自走装置が内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されているか、
又は、前記スタンド本体に付設した自走式バッテリーユニットが室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されている、
自走式電源スタンド什器。
【請求項9】
バッテリーを備えて床上を走行可能な自走式移動体と、前記自走式移動体に給電するために室内の一部に設けた充電コーナーと、前記自走式移動体の走行を制御する制御装置とを有し、
前記自走式移動体が前記充電コーナーに自走して自動充電できるようになっているシステムであって、
前記制御装置は、室の天井部に配置されていて什器類の配置状態を撮影可能な天井カメラと、前記自走式移動体の位置を特定する位置検知手段とを有し、前記天井カメラの画像を処理して得られた前記什器類の配置情報に基づき、前記自走式移動体が前記什器類を避けて走行するように制御される、
バッテリー付き自走式移動体の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オフィスでの電源装置に関するもので、自走式電源スタンド、自走式バッテリーユニット付き電源スタンド、室内装置、什器用バッテリーカー、自走式電源スタンド什器、バッテリー付き自走式移動体の走行制御システムを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
オフィスではパソコンやタブレット端末等の電子機器・電気機器が多用されており、従って、これらの機器に給電する電源装置が必要である。この点については、テーブルにコンセントを固定的に設けて、コンセントに電源ケーブルから給電することが行われているが、この従来態様は、電源ケーブルが床に垂れて邪魔になる問題や、テーブルを任意の位置に移動させて打合せ等を行うワーキングスタイルに対応し難いという問題がある。そこで、バッテリーを備えた持ち運び式の電源装置が提案されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-110131号公報
【特許文献2】特開2014-164255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
持ち運び式電源装置は電源ケーブルが不要であるため融通性に優れているが、バッテリー方式であるため、バッテリーの容量が低下したら充電する必要がある。この点については、商用電源のコンセントが配置されている壁などに電源装置を持ち運んで、ケーブルを介して充電することで対応せねばならないが、電源装置を人手によって移動させるのは手間であり、また、残量が低下しているのを気づかずに使用し続けてしまって電子機器・電気機器を使用できなくなってしまうことも有り得る。
【0005】
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、オフィスでの電源環境を大幅に改善する技術を開示せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は様々な構成を含んであり、典型的な構成を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は自走式電源スタンドに関するものであり、
「スタンド本体に、バッテリーと、プラグが挿脱自在な電源コンセントと、自走装置と、充電用端子とを設けており、
内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されている」
という構成になっている。
【0007】
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記スタンド本体に、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている」
という構成になっている。
【0008】
請求項3の発明は自走式バッテリーユニット付き電源スタンドに関するもので、
「プラグを挿脱自在な電源コンセントを備えたスタンド本体と、前記スタンド本体に合体・離反自在な自走式バッテリーユニットとを有しており、
前記自走式バッテリーユニットが、内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電してから戻るように設定されている」
という構成になっている。
【0009】
請求項4の発明は請求項3の展開例であり、
「前記自走式バッテリーに、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている」
という構成になっている。
【0010】
請求項5の発明は室内装置に関するもので、
「バッテリーを備えた什器と、自走式のバッテリーカーとを有し、
前記什器には充電用端子部を外側に露出するように配置されている一方、
前記バッテリーカーには、前記什器の受電端子に接続可能な送電端子を設けている」
という構成になっている。
【0011】
本願発明(及び他の発明)において、充電用端子部と給電部とは、端子が接触する方式とワイヤレス送電との両方を含んでいる。
【0012】
請求項6の発明は什器用バッテリーカーに関するもので、バッテリーカーは、
「自走装置を備えた車体と、前記車体に設けたバッテリーと、バッテリーを備えた什器の受電端子に給電するための送電端子とを有し、
内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、前記什器に移動して充電するように設定されている」
という構成になっている。
【0013】
請求項7の発明は請求項6の展開例であり、
「前記車体に、走行制御用障害物検知装置と走行制御信号受信アンテナとのうち少なくとも一方を設けている」
という構成になっている。
【0014】
請求項8の発明は自走式(自己)電源スタンド什器に関するもので、
「スタンド本体に、バッテリーと、電気器具と、充電用端子とを設けており、
前記スタンド本体に設けた自走装置が内蔵した制御装置又は外部の制御装置の指令により、室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されているか、
又は、前記スタンド本体に付設した自走式バッテリーユニットが室内に設けた充電コーナーに移動して自動充電するように設定されている」
という構成になっている。電気器具は電気装置を広く含む概念である。
【0015】
請求項9の発明はバッテリー付き自走式移動体の走行制御システムに関するものであり、
「バッテリーを備えて床上を走行可能な自走式移動体と、前記自走式移動体に給電するために室内の一部に設けた充電コーナーと、前記自走式移動体の走行を制御する制御装置とを有し、
前記自走式移動体が前記充電コーナーに自走して自動充電できるようになっているシステムであって、
前記制御装置は、室の天井部に配置されていて什器類の配置状態を撮影可能な天井カメラと、前記自走式移動体の位置を特定する位置検知手段とを有し、前記天井カメラの画像を処理して得られた前記什器類の配置情報に基づき、前記自走式移動体が前記什器類を避けて走行するように制御される」
という構成になっている。
【0016】
請求項8,9の自走式移動体は、請求項1,2に記載した自走式電源スタンド、請求項3,4に記載した自走式バッテリーユニット、請求項6,7に記載したバッテリーカーのいずれも含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、電源スタンドは自走式になっていて充電コーナーに自走して自動充電されるため、人が電源スタンドを移動させて充電する手間は不要であり、それだけ人の手間を軽減できる。この場合、電源スタンドは、終業後に充電コーナーに自走させて充電することも可能であるし、自走指示ボタンを押したりパソコン又はスマートフォンから指示したりするなどして人が任意に駆動させることも可能である。
【0018】
前者の態様では充電忘れを防止できて、後者の態様では業務中の電源切れに迅速に対応できる。両者を組み合わせると好適である。いずれにしても、本願請求項1の発明(及び他の発明)は、バッテリーによってコードレス化しつつ充電作業の手間から人を解放して、オフィスでの電源環境を大幅に改善できる。
【0019】
なお、自走式電源スタンドはテーブルに併設して使用されることが多いが、充電してから元の使用場所に戻すことも可能であるし、充電コーナーに配置したままにしておくことも可能である。充電コーナーに置いたままにしておく場合は、始業時等に人が必要に応じて使用場所に持ち運ぶことになる。就業中に自動充電する場合は、元の場所に戻すことになる。
【0020】
終業後に自動充電させる場合は、自走式電源スタンドの待機エリアを室内の一部に設けておき、充電が終了した自走式電源スタンドは待機エリアに自走させておき、始業時又は就業時に、人が必要に応じて使用場所に持ち運ぶといったことも可能である。
【0021】
自走式電源スタンドは、テーブル等の什器に衝突しないように走行を制御する必要がある。この点、請求項2では、自走式電源スタンドにカメラ等の走行制御用障害物検知装置を設けて什器をよけながら自走させたり、天井に設けたカメラによって撮影された什器の配置から走行ルートを設定して、その制御信号をアンテナで受信して走行を制御したりすることができる。
【0022】
従って、テーブルや椅子、キャビネット等の什器を避けながら安全に走行させることができる。請求項4,7も同様である。
【0023】
請求項3の発明は、非自走式の電源スタンドに自走式バッテリーユニットを設けて、自走式バッテリーユニットを充電コーナーに自走させるものであるため、電源スタンドのコンセントにプラグが接続されていたりしても、安全に使用できる。また、自走式バッテリーユニットはその機能から高さが低いため、安定して走行させることができる。
【0024】
請求項3の自走式バッテリーユニットは、自動充電したらスタンド本体のところに戻って合体することになる。自走式バッテリーユニットについても、終業後に充電コーナーに自動走行する態様と、スタンド本体に設けたボタンを押すなどして任意に自動充電させる態様とを採用できる。
【0025】
更に、請求項3のバリエーションとして、予備の自走式バッテリーユニットを用意しておいて、就業中に特定の電源スタンドにおいてバッテリー切れが発生した場合は、そのバッテリーユニットは充電スタンドに走行させて充電すると共に、充電スタンド等に待機していた予備のバッテリーユニットを走行させてスタンド本体に合体させることが可能である。
【0026】
いずれにしても、請求項3では、スタンド本体からバッテリーユニットが離脱した状態が存在するが、スタンド本体に容量が小さい予備バッテリーを搭載しておくことにより、自走式バッテリーユニットが離脱した状態でも、電子機器の使用を問題なく継続できる。
【0027】
請求項5の発明はバッテリーカーを使用するものであり、1台のバッテリーカーで多数の什器のバッテリーに給電できる。従って、オフィスのケーブルレス化(コードレス化)を大きく促進して環境を改善できる。また、請求項5では、テーブル等の什器のコンセントは天板などに固定的に設けておくことができるため、プラグの挿脱は容易で使い勝手がよい。既存のテーブルへの適用も容易である。
【0028】
請求項6は請求項5に記載したバッテリーカーを特定したものであり、この自走式バッテリーカーを使用することにより、多くの什器のバッテリーに充電して電源環境を大幅に改善できる。バッテリーカーは、特定の什器のバッテリー残量が所定水準まで低下したら走行させて充電することもできるが、終業後に各什器のバッテリーに順次充電してまわって、始業後は充電コーナー等に待機させて自己充電するのが好ましいと云える。
【0029】
請求項8の発明は電気器具を備えたスタンド什器に適用したもので、什器自体が充電スタンドに自動走行して自動充電するか、又は、分離式の自走式バッテリーユニットが自動走行して自動充電するのであり、従って、請求項1や請求項3と同様の効果を有する。コンセント部は電気器具の一種と云えるので、請求項8は請求項1,3の上位概念と云える。
【0030】
本願発明は、自走式電源スタンドや自走式バッテリーユニットのような自走式移動体を使用することを特徴にしているが、自走式移動体は充電コーナーとセットになることで機能が発揮される。
【0031】
既に述べたが、自走式電源スタンド等の自走式移動体はテーブルや椅子などの什器に衝突することなく安全に走行させる必要がある。この点、請求項9のシステムを採用すると、天井カメラによって什器類の位置を検出できるため、自走式移動体を安全に走行させることができる。テーブルの配置位置が任意に変更される場合でも、自走式移動体はテーブルや椅子、床において荷物などを避けて走行できるため、フリーアドレス化やグループワーンキングが進む現在のオフィスにマッチングしていると云える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は一部を模式化した分離図、(B)は底面図、(C)は別例の底面図である。
図2】第2実施形態を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は自走式バッテリーユニットを裏返した斜視図、(C)は自走式バッテリーユニットを装着して状態でのベース部の平断面図である。
図3】第3実施形態を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は使用状態の一例を示す斜視図である。
図4】(A)はバッテリー付き回転椅子の側面図、(B)はバッテリー付きパイプ椅子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(1).第1実施形態の構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1に示す第1実施形態を説明する。
【0034】
第1実施形態は自走式電源スタンドに係るもので、自走式電源スタンド1は、円形のベース体2とこれに立設した支柱3とから成るスタンド本体を有し、支柱3の上端に傾斜姿勢のコンセント部4を設けて、コンセント部4の両側面に、複数対ずつの端子穴5を設けている(USBポートも配置可能である。)。支柱3の中途高さ部位に、コンセント部4と反対側に突出した傾斜姿勢の枝部6を設けている。枝部6には、バッグ等の物品を掛けることができる。
【0035】
ベース体2の下面には3つの車輪7を配置している。1つの車輪7は、平面視でコンセント部4の先端部の下方に位置しており、他の2つの車輪7は、コンセント部4と反対側の部位において同軸状に配置されている。各車輪7は、ベース体2に内蔵したモータ8によって個別に駆動される。(C)に示す4輪方式も採用できる。支柱3は、円形などの他の形態も採用できる。
【0036】
ベース体2の内部にはバッテリー9を配置しており、バッテリー9とコンセント部4とは、支柱3の内部に配置したケーブルで接続されている。従って、支柱3は中空になっている。ベース体2の外周面のうちコンセント部4と反対側の部位には、バッテリー9に接続された充電用端子10が露出している。
【0037】
支柱3のうち枝部6の付け根のやや上方に、LED等の点灯表示部11を設けている。点灯表示部11は、例えば、充電量の警報手段として使用できる。すなわち、残量が例えば20%まで低下したら黄色を発光させて、更に残量5%まで低下したら赤を点滅させるなどすることができる。電気の残量を目盛りで表示することも可能である。
【0038】
支柱3の中途高さ部位に、走行制御用障害物検知装置の一例としてカメラ12を設けている。カメラ12は、枝部6が突出した面とその両側の側面とに設けているが、4面に設けてもよい。また、枝部6よりも低い位置に設けているが、枝部6よりも高い部位に設けてもよい。
【0039】
支柱3の上端には、室内に配置した天井送信アンテナ13からの信号を受信する受信アンテナ14を設けている。受信アンテナ14は、外部に露出しないように内蔵してもよい。
【0040】
室の一部に、移動してきた自走式電源スタンド1を受け入れる充電コーナー(充電エリア)15を設けている。充電コーナー15は、自走式電源スタンド1のベース体2を受け入れる下保持部16と、支柱3を受け入れる上保持部17とを有しており、下保持部16にはベース体2が嵌まり込む円弧状の充電用凹所18が形成されて、充電用凹所18の奥部に、ベース体2の充電用端子10と導通する給電用端子19を設けている。従って、本実施形態は、接触式充電システムになっている。
【0041】
上保持部17には、支柱3が入り込む位置決め凹所20が切り開き形成されている。位置決め凹所20及び充電用凹所18には、誘い込みのためのテーパ部20a,18aを設けている。自走式電源スタンド1を充電コーナー15にセットした状態に保持するための固定手段を設けるのが好ましい。固定手段としては、例えばベース体2と下保持部16とにマグネットを設けることができる。充電用端子10と給電用端子19とをマグネットで磁着させてもよい。
【0042】
室の天井部には、既述の天井アンテナ13に加えて、フロアに配置した什器を撮影できる天井カメラ21が配置されている。天井カメラ21の個数と配置位置は、フロアの面積や形状に応じて適宜選択できる。室の一部に、制御装置22を設けている。
【0043】
(2).第1実施形態のまとめ
本実施形態において、各車輪7の回転を個別に制御することにより、任意の方向に方向変換できる。従って、自走式電源スタンド1のバッテリー9の容量が限度まで低下したら、充電コーナー15に移動させて充電できる。自走式電源スタンド1を移動させて行う充電は、バッテリー9の容量が所定量まで低下した段階で任意に行うこともできるし、例えば終業後に自動的に行うこともできる。
【0044】
就業中にバッテリー切れが生じた場合の対応として、人の指令によって任意に自動充電させることも可能である。すなわち、自走式電源スタンド1に自動充電指示ボタンを設けて、これを押すことにより、充電コーナーに自走させて、自動充電が終了したら戻るように設定できる。終業後の自走自動充電を基本にしつつ、必要が生じたらボタン操作で自動充電させるシステムが好適と云える。
【0045】
就業中のバッテリー切れ対策として、予備の自走式電源スタンドをフロアの一部に待機させておいて、充電コーナー15に向けて走行するのと入れ違いに予備の自走式電源スタンドを自走させることも可能である。或いは、自動充電指示ボタンを押したら予備の自走式電源スタンドが走行するように設定して、予備の自走式電源スタンドが到着してからバッテリー切れの電源スタンドが出発するように設定することも可能である。
【0046】
いずれにおいても、コンセント部4にプラグが接続されている場合は走行できないように設定されている。プラグが接続された状態で自動充電指示ボタンが押された場合は、「プラグを抜いて下さい」という音声アナウンスが発せられる。また、終業後に自動充電される場合も、プラグの抜き忘れがないように音声アナウンス等で注意を喚起するのが好ましい。
【0047】
自走式電源スタンド1は室の任意の位置に配置されるので、充電コーナー15への走行ルートはその都度設定される。ルートの設定に当たっては、天井カメラ21に撮影された画像から什器の配置情報と自走式電源スタンド1の位置情報とを二次元データとして作成し、このデータを取り込んでから、充電コーナー15に至る最短ルートが設定される。従って、フロアは数センチ角の多数のマトリックスに区分されて、什器が配置されているマトリックス群を走行不能エリアとして潰していくことにより、自走式電源スタンド1が走行可能なルートが設定される。
【0048】
終業後に自動充電する場合は、充電コーナー15に走行して充電が終了した自走式電源スタンド1は、元の場所に戻してもよいし、充電コーナー15に配置したままにしておいてもよい。就業時間内で自動充電させる場合は、元の場所に戻すことになる。走行に際して人の注意を喚起するために、赤や黄色のランプを点滅させるのが好ましい。
【0049】
終業後に自動充電する場合は、充電が終了したら待機エリアに走行させておくことが可能である。この場合は、始業後に、ワーカーは必要に応じて自走式電源スタンド1を持ち上げて、特定のテーブルに移動させることになる。充電コーナー15での給電を非接触で行うことも可能である。
【0050】
非接触充電は高周波を利用して行われるが、床や壁の特定の区画に送電コイルを設けて、ベース2などに受電コイルを設けておいたらよい。この場合は、送電コイルが組み込まれたパネルを床や壁に配置したら足りるため、施工は簡単である。
【0051】
図示の例ではベース体2は円形で支柱3は角形になっているが、ベース体2を角形に形成したり、支柱3を円形に形成したりすることも可能である。また、支柱3をベース体2に対して着脱可能に構成する(付け替えできるように構成する)ことも可能である。更に、支柱3にマイクを設けて、打合せ内容を記録するといったことも可能である。
【0052】
車輪7及びバッテリー9を搭載したベース2は共通にして、これに、電気器具を備えた別部材を付け替えることも可能である。或いは、コンセント部4を設けずに、電気器具を備えるか支柱をベース2に固定的に設けることも可能である。更に、固定式又は着脱式の支柱3に、コンセント部4と電気器具とを併設することも可能である。第2実施形態のバッテリーカータイプについても同様である。
【0053】
電気器具としては、表示用のモニター、照明装置(灯具)、電子式案内板器、スピーカ、マイク、加湿器、除湿器、空気浄化装置、電子端末装置などの様々なものが挙げられる。コンセント部4は一種の電気器具と云える。複数の電気器具を設けることも可能である。
【0054】
(3).第2実施形態
図2では第2実施形態の電源スタンドを示している。この実施形態の電源スタンドは、非自走式のスタンド本体24と、自走式バッテリーユニット25とで構成されている。スタンド本体24は、第1実施形態と同様に円形のベース体2を備えており、ベース体2の下面に、下方及びコンセント部4と反対方向に開口した凹所26が形成されて、凹所26に自走式バッテリーユニット25を格納できるようになっている。ベース体2にも車輪7を設けているが、これは人手で移動させる場合に使用するものである。
【0055】
自走式バッテリーユニット25は平面視で馬蹄形になっており、内部にバッテリー27か格納されている。また、自走式バッテリーユニット25の下面には4つの車輪28を設けており、各車輪28はモータ29によって任意に駆動される。
【0056】
自走式バッテリーユニット25の外周のうち格納状態で内向きに向いた側面には、ベース体2に設けた受電端子30と接触する送電端子31が設けられて、格納状態で外向きに向いたか円弧面には、充電用端子32を設けている。充電コーナー15は表示していないが、自走式バッテリーユニット25が嵌まり込むように設定されている。なお、送電用端子31を充電用の端子に兼用するとも可能である。この場合は、格納状態で自走式バッテリーユニット25に端子が露出しないため好ましいといえる。
【0057】
自走式バッテリーユニット25の外周面には、走行制御用のカメラ12を設けている。また、受信アンテナ14も設けている。
【0058】
この実施形態では、自走式バッテリーユニット25はベース体2に位置決めされている必要がある。そこで、自走式バッテリーユニット25の2つの側面に係合穴33を設ける一方、ベース体2には、係合穴33に嵌脱するロックピン34を設けている。ロックピン34は例えば電磁ソレノイド(図示せず)で駆動される。
【0059】
ロックピン34が係合穴33に嵌入した状態では、受電端子30と送電端子31とは接触状態が保持されていると共に、自走式バッテリーユニット25はベース体2から落下不能に保持されている。従って、人がスタンド本体24を持ち上げても自走式バッテリーユニット25は落下せず、コンセント部4の通電状態は保持されている。
【0060】
なお、自走式バッテリーユニット25とベース体2とは、自走式バッテリーユニット25の移動方向に長い蟻溝と蟻ホゾとで嵌合させてもよい。ベース体2に係合穴33を設けて、自走式バッテリーユニット25にロックピン34を設けることも可能である。
【0061】
この実施形態では、自走式バッテリーユニット25のみが充電コーナー15に移動するため、充電コーナー15において自走式バッテリーユニット25への充電が終了したら、自走式バッテリーユニット25はスタンド本体24に戻される。この実施形態でも、自走式バッテリーユニット25への充電は終業後に行うのが好ましい。室内に人がいる状態で自走式バッテリーユニット25が走行する場合も有り得るので、自走式バッテリーユニット25に、警告ランプなどの注意喚起手段を設けるのが好ましい。走行制御は、第1実施形態と同様に天井カメラ21などを利用して行える。
【0062】
この実施形態でも、第1実施形態と同様に表示部11を支柱3の見やすい部位に設けて、バッテリー残量を表示したり、バッテリーの残量が所定水準に低下したら音声やランプ点滅で警告を発したりするのが好ましい。
【0063】
(4).第3,4実施形態
図3では第3実施形態を示している。この実施形態では、車輪38を備えた自走式バッテリーカー39を使用している。車輪38は本体に内蔵したモータ(図示せず)で個別に駆動できる。従って、任意の方向に走行できる。また、本体の内部にはバッテリー(図示せず)を内蔵している。
【0064】
自走式バッテリーカー39の外周面には、走行制御用カメラ12を設けており、また、上面には受信アンテナ14を設けている。更に、自走式バッテリーカー39の外周面のうち走行方向に向いた2つの辺のうち一方の面に送電端子31を設けて、他方の面に充電用端子32を設けている。走行の制御は、第1実施形態と同様に行われる。
【0065】
図3では、什器の一例としてのテーブル42を表示している。テーブル42は、角形の天板43のコーナー部を棒状の脚44で支持したタイプであり、天板43の下面にバッテリー45を配置し、天板43の上面や外周面などに設けたコンセント46にケーブル47を介して給電している。そして、1本又は複数本の脚44の下部に受電端子30を設けている。テーブル42の受電端子30は、自走式バッテリーカー39の送電端子31と同じ高さになっている。テーブル42においてコンセント46は天板43に設けているため、プラグの挿脱は容易であり、使い勝手がよい。
【0066】
コンセント46は、天板43の中央部に配置することも可能である。或いは、天板43の中央部に開口を設ける共に、天板43の下方にダクトを配置し、ダクトにコンセント46やバッテリー45を配置することも可能である。
【0067】
図4では、什器の例としての椅子を表示している。(A)では回転椅子49を表示しており、回転椅子49は、ガスシリンダを有する脚装置50と、座51と、背もたれ52と肘掛け装置53とを備えている。そして、背もたれ52や肘掛け装置53等にコンセント46を設けている。更に、肘掛け装置53の肘支柱にバッテリー45を設け、バッテリー45に受電端子30を設けている。
【0068】
他方、図4(B)では4本の棒脚54を有するパイプ椅子55を表示しており、座51の下面にバッテリー45を設け、バッテリー45の外側面にコンセント46と受電端子30とを設けている。
【0069】
椅子49,55の受電端子30は床からかなり高い位置にあり、また、(A)の回転椅子の場合は座51が昇降するため、受電端子30の高さも一定していない。この点については、図3(A)に一点鎖線で示すように、上下回動式で伸縮式のアーム56の先端に送電端子31を設けることで対応できる。
【0070】
この実施形態のような自走式バッテリーカー39を使用することにより、様々な什器のバッテリー45に自動充電できる。従って、各什器をバッテリー方式にしたケーブルレスの電源環境を、人手を掛けずに維持できる。なお、自走式バッテリーカー39に対する充電は、人がケーブルを接続するなどして行うことも可能であるが、充電忘れがあると什器への充電ができなくなるので、充電コーナー15において自動充電することが好ましい。受電端子30と送電端子31とはマグネットによる磁着方式が好適である。
【0071】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、自走式電源スタンド等の自走式移動体の自動走行制御方式としては、室内に複数のビーコンを配置して、ビーコンからの距離に基づいてルートを設定することも可能である。或いは、アクセスフロアの内部に配置した位置特定手段を利用して走行させることも可能である。
【0072】
また、自走装置はキャタピラ方式も採用できる。走行制御用障害物検知装置としては、超音波を利用したレーダーを使用することも可能である。制御装置にパソコンを使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明は、オフィスでの電源ケーブルレス化技術に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 自走式電源スタンド
2 ベース体
3 支柱
4 コンセント部
6 枝部
7 車輪
8 モータ
9 バッテリー
10 充電用端子
12 走行制御用障害物検知装置の一例としてカメラ
13 1御装置の一環を成す天井アンテナ
14 受信アンテナ
15 充電コーナー
16 下保持部
19 給電用端子
21 天井カメラ
22 制御装置
24 スタンド本体
25 自走式バッテリーユニット
27 バッテリー
28 車輪
29 モータ
30 受電端子
31 送電端子
32 充電用端子
38 車輪
39 自走式バッテリーカー
42 什器の一例としてのテーブル
43 天板
44 脚
45 什器のバッテリー
46 コンセント
49,55 什器の一例としての椅子
50 脚装置
51 座
53 肘掛け装置
54 棒脚
図1
図2
図3
図4