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特開2024-93830移動式衝立及びこれを使用した家具装置。
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  • 特開-移動式衝立及びこれを使用した家具装置。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093830
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】移動式衝立及びこれを使用した家具装置。
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240702BHJP
   A47B 83/04 20060101ALI20240702BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E04B2/74 561L
A47B83/04
A47G5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210416
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】小西 喜久
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260AB01
3B260AB07
3B260AD01
(57)【要約】
【課題】グループワークやグループ学習の騒音環境を改善できる衝立を提供する。
【解決手段】上端に庇7を備えた移動式の衝立1によってテーブル13が配置されたエリアを仕切る。背中合わせにした一対の衝立1を1つの衝立ユニットとして、例えば4つの衝立ユニット14~17を十字状に配置することにより、フロアを4つのエリアに分けて、各エリアにテーブル13を配置する。隣り合ったエリアに声(音)が衝立1の上方から回り込むことを庇7によって抑制できる。従って、各エリアの個室状化を助長して、騒音が抑制された状態で多数のテーブル13を使用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に自立させるための脚装置と、前記脚装置で支持される壁体と、前記壁体の上方に配置した庇と、を備えている、
移動式衝立。
【請求項2】
前記庇は、前記壁体から離れるに従って高くなるように傾斜している、
請求項1に記載した移動式衝立。
【請求項3】
前記壁体は、複数本の中空支柱を備えており、前記庇は、前記支柱に上から昇降自在に挿通された可動フレームに取り付けられている、
請求項1又は2に記載した移動式衝立。
【請求項4】
前記壁体は、左右の縦長フレームと上下の水平フレームから成る壁枠体と、前記壁枠体の内部に配置した壁板とを有している一方、
前記脚装置は、前記壁枠体の下面よりも低い位置において前記壁体と平面視で直交した方向に延びる脚アームと、前記脚アームの両端部に配置されたキャスタとを備えている、
請求項1又は2に記載した移動式衝立。
【請求項5】
前記庇の一端部又は両端部は、コーナーを斜めカットした状態に折り曲げ又は押し縮め可能になっている、
請求項1又は2に記載した移動式衝立。
【請求項6】
前記庇は、前記壁体の表面側と裏面側とに一対配置されている、
請求項1又は2に記載した移動式衝立。
【請求項7】
庇が壁体の片側のみに突出するように配置されている請求項1記載の移動式衝立と、2つのテーブルとの組合せであって、
前記テーブルの間に、一方のテーブルに向けて庇を突出させた移動式衝立と他方のテーブルに向けて庇を突出させた移動式衝立とが背中合わせ状に配置されて、前記テーブルと移動式衝立との間に、人が椅子に腰掛けて前記テーブルを使用できる間隔が空いている、
移動式衝立とテーブルとから成る家具装置。
【請求項8】
背中合わせ状に配置された一対ずつの移動式衝立を1つのユニットとして、4つのユニットが平面視で十字状に配置されており、2つのユニットで囲われたエリアにそれぞれテーブルを配置している、
請求項7に記載した移動式衝立とテーブルとから成る家具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、移動式の衝立とこれを使用した家具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業や店舗では、打合せや商談などでテーブルが多用されている。特に、近年のオフィスでは、ワーカーが自席を持たないフリーアドレス方式が広がって、必要に応じてグループが任意のテーブルを使用するワーキングスタイルが広がっている。また、例えば大学のような教育機関でも、一方的な講義形式からグループの討議や議論を通じて理解を深めるグループ学習が広がっている。
【0003】
このように、オフィスにしても学校にしても、フロアに多数のテーブルを配置してそれぞれを複数人が使用する態様が広がっているが、フロアはオープンであるため、隣のグループの声が耳に入って集中力が欠けたり、グループ員の発言内容を聞き取りにくくなったりする問題がある。
【0004】
他方、フロアを仕切る家具として従来から移動式衝立(例えは特許文献1)が使用されており、この移動式衝立を使用して隣り合ったテーブルのエリアを仕切ることが考えられる。また、吸音性に優れたパネルも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1160004号公報
【特許文献2】特開2007-100393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、テーブルが配置されている個々のエリアを移動式衝立で仕切ることは遮音や視線遮蔽の点である程度の効果はあるが、音は上方に拡散するため、遮音の効果は限定的である。この点、特許文献2の構造を壁体に適用すると遮音性は高まるが、コストは高くならざるを得ない。そこで、できるだけ簡単な構造・低コストで遮音性を高める工夫が要請される。
【0007】
本願発明は、このような要請に応えようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は移動式衝立に係るもので、
「床に自立させるための脚装置と、前記脚装置で支持される壁体と、前記壁体の上方に配置した庇と、を備えている」
という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は請求項1を具体化したものであり、
「前記庇は、前記壁体から離れるに従って高くなるように傾斜している」
という構成になっている。
【0010】
請求項3の発明は請求項1又は2を具体化したもので、
「前記壁体は、複数本の中空支柱を備えており、前記庇は、前記支柱に上から昇降自在に挿通された可動フレームに取り付けられている」
という構成になっている。
【0011】
請求項4の発明は請求項1又は2を具体化したもので、
「前記壁体は、左右の縦長フレームと上下の水平フレームから成る壁枠体と、前記壁枠体の内部に配置した壁板とを有している一方、
前記脚装置は、前記壁枠体の下面よりも低い位置において前記壁体と平面視で直交した方向に延びる脚アームと、前記脚アームの両端部に配置されたキャスタとを備えている」という構成になっている。
【0012】
請求項5の発明は請求項1又は2を具体化したもので、
「前記庇の一端部又は両端部は、コーナーを斜めカットした状態に折り曲げ又は押し縮め可能になっている」
という構成になっている。
【0013】
請求項6の発明も請求項1又は2を具体化したもので、
「前記庇は、前記壁体の表面側と裏面側とに一対配置されている」
という構成になっている。
【0014】
請求項7の発明は家具装置に関するものである。すなわち、「庇が壁体の片側のみに突出するように配置されている請求項1記載の移動式衝立と、2つのテーブルとの組合せ」に係るもので、
「前記テーブルの間に、一方のテーブルに向けて庇を突出させた移動式衝立と他方のテーブルに向けて庇を突出させた移動式衝立とが背中合わせ状に配置されて、前記テーブルと移動式衝立との間に、人が椅子に腰掛けて前記テーブルを使用できる間隔が空いている」
という構成になっている。
【0015】
請求項8の発明は請求項7の展開例であり、
「背中合わせ状に配置された一対ずつの移動式衝立を1つのユニットとして、4つのユニットが平面視で十字状に配置されており、2つのユニットで囲われたエリアにそれぞれテーブルを配置している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の移動式衝立は壁体の上方に庇を設けているため、衝立で遮られたエリアから話し声が上方に拡散したり回り込んだりして隣のエリアに伝わることを抑制できる。すなわち、移動式衝立による個室化機能を向上できる。そして、壁体は必ずしも特別の構造に変える必要はないため、コストアップも抑制できる。また、テーブルを囲むエリアの全体を屋根で覆うものではないため、室内の照明が入ることは阻害されない。
【0017】
このように、本願発明の庇付きの移動式衝立を使用すると、コストをできるだけ抑制できると共に室内の採光機能も損なうことなく遮音機能を向上させることができるのであり、従って、グループワーキングやグループ学習を行いやすい環境を実現できる。なお、本願発明において、壁体や庇を吸音構造に構成したり、吸音材を張り付けたりすることは可能である。
【0018】
庇は真横に張り出していてもよいが、請求項2のように傾斜させると、人に圧迫感を与えることを防止できて好適である。
【0019】
請求項3のように庇を昇降式に構成すると、遮音機能を調節できる。また、2つの衝立を平面視で交差した姿勢に配置するに当たって、2つの衝立の庇の高さを変えることにより、2つの衝立の庇が緩衝することを防止しつつ壁体の側端同士は近接させてエリアの遮音機能を向上できる。
【0020】
請求項4の構成を採用すると、複数の衝立を左右にずらしつつ前後に重ね合わせた状態で、一方の衝立の脚装置を他方の衝立の壁体の下方に入り込ませることができる。すなわち、多数の衝立を重ね合わせることができる(ネスティングできる。)。従って、不使用時の格納スペースを有効利用できる。また、衝立はキャスタを設けているため、移動を軽い力で行える。
【0021】
請求項5のように、庇のコーナー部をカットしたような形態に折り曲げたり押し縮めたりできるように構成すると、2つの衝立を、庇の高さは変えることなく平面視で交差した姿勢に配置できる。従って、1つのエリアの音(話し声)が外部に漏洩することを抑制できると共に、隣り合った庇の高さを揃えて見栄えも改善できる。
【0022】
請求項6では、衝立は側面視でY形又はT形になるため、隣り合った2つのエリアの遮音化を1の衝立で実現できる。従って、遮音のためのコストを抑制できると共に、フロアのスペースの有効利用にも貢献できる。
【0023】
請求項7は、庇が片面に配置された衝立を2台背中合わせに配置して2つのエリアを仕切るものであるため、隣り合ったエリアは2つの衝立の壁体及び庇によって遮蔽されている。従って、遮音機能を格段に向上させて個室化機能を更に向上できる。
【0024】
フロアを十字状に仕切った4つのエリアを作ると、スペースを有効利用しつつテーブルを使用できる。従って、フロアの利用態様として、遮音性を確保した4つのエリアを隣り合わせて作りたいという要望は高いと云える。本願請求項8の発明はこの要望に応えるものであり、各ユニットは背中合わせに配置された一対の衝立で二重構造に構成されているため、壁体を透過する音も上方から回り込む(回折する)音も大幅に低減して、高い遮音機能を確保できる。
【0025】
本願発明では、壁体の上端から一対の庇が表裏両側に張り出した請求項6の衝立を使用してフロアを十字に仕切って、十字に仕切られた4つのエリアにそれぞれテーブルを配置することも可能であり、この場合も、フロアを有効利用できる。この場合は、外観はスッキリしたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は平面視でのテーブルと衝立との配置図、(B)は衝立を模式的に表示した部分平面図である。
図2】(A)は第1実施形態の衝立の斜視図、(B)はネスティング状態を示す平面図である。
図3】第2実施形態を示す図で、(A)は斜視図、(B)は使用状態の平面図である。
図4】(A)は第3実施形態の使用状態を示す平面図、(B)は第3実施形態に係る衝立の単体の部分平面図、(C)は第4実施形態の部分正面図である。
図5】第5実施形態を示す図で、(A)は使用状態の平面図、(B)は衝立単体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本願発明の実施形態を説明する。以下では、方向を特定するために前後左右の文言を使用するが、前後方向(表裏方向)は衝立の厚さ方向であり、左右方向は間口方向である。表面と裏面とは広幅面を指すが、表裏の区別には意味はない。
【0028】
(1).第1実施形態に係る衝立の構造
まず、図1、2に示す第1実施形態を説明する。図2(A)に示すように、衝立1は、左右の縦長フレーム(支柱)2と上下の水平フレーム3,4で壁枠体が構成された壁体5と、左右の縦長フレーム2の下端に固定した水平状の脚アーム6と、壁体5の上端に設けた庇7とを有している。
【0029】
壁体5は、下水平フレーム4よりも上方に配置された中間水平フレーム(横桟)8を有しており、左右の縦長フレーム2と上水平フレーム3と中間水平フレーム8とで囲われた空間に壁板9を配置している。壁板9は、合成樹脂板や木製板、金属板などの単層構造であってもよいし、複数の材料からなる積層構造でもよい。多数の小穴が空いた態様も採用できる。壁板9の全体又は一部を透明板又は透明シートで構成することも可能である。
【0030】
中間水平フレーム8を使用せずに、壁板9の下端を下水平フレーム4に至らせることも可能である。壁板9は1枚板の構造でもよいし、左右の複数枚に分割されていてもよい。左右複数枚に分割する場合、上水平フレーム3と中間水平フレーム8との間、又は、上下水平フレーム3,4の間に1本又は複数本の補助縦フレームを配置することも可能である。壁体5の壁枠体を格子状に構成して、その表裏両面又は片面に壁板9を張ること(障子状に構成すること)も可能である。
【0031】
更に、壁板9の全体又は一部をホワイトボードとして利用したり、芯板に軟質材を張って押しピンを差し込み可能な構成にしたりする(ピンナップ性を持たせる)ことも可能である。更に、壁板9をプロジェクタのスクリーンとして利用することも可能である。
【0032】
脚アーム6は縦長フレーム2の下端から表裏の片側のみに突出しており、脚アーム6の前後両端にキャスタ10を設けている。縦長フレーム2と脚アーム6とは側面視でL形の形態を成しているが、脚アーム6を壁体5の前後両側に突出させて、縦長フレーム2と脚アーム6とを側面視で逆T形に構成することも可能である。この実施形態では、脚アーム6とキャスタ10とによって脚装置が構成されている。
【0033】
下水平フレーム4は、その下面が脚アーム6よりも高くなるように配置している。従って、2つの衝立1を左右にずらしつつ前後に重ねることができる。すなわち、多数の衝立1をネスティングできる。
【0034】
庇7は脚アーム6の突出している側にはみ出ている。従って、庇7の重心は脚アーム6が突出している側に位置している。このため、脚アーム6が壁体5の片側のみに突出していても、衝立1は床に安定的に自立できる。
【0035】
庇7は、四角形の補強枠11に庇板12を取り付けた構造になっているが、庇板12が剛性を有する場合は、補強枠11を無くすことも可能である。庇7は、壁体5から離れるに従って高くなるように傾斜しており、平面視で、庇7の前端と脚アーム6の前端とが概ね揃うように設定している。但し、脚アーム6の長さと庇7の突出寸法とは任意に設定できる。
【0036】
本実施形態では、フレーム3,4,8や脚アーム6、補強枠11は角パイプを使用しているが、丸パイプを使用したり、異なる断面形状の部材(型鋼や押し出し材)を使用したりすることができる。
【0037】
図2(A)に一点鎖線で示すように、庇7を回動式に構成して、鉛直姿勢まで起こすことも可能である。或いは、傾斜角度を段階的に又は無段階的に変更できるように構成することも可能である。更に、庇7を複数の部材が重なったスライド式に構成して、張り出し寸法を変更できるようにすることも可能である。庇7を構成する庇板12は、壁板9と同様に様々な材質・構造を採用できる。透明な単層構造を採用すると採光性に優れている。
【0038】
(2).第1実施形態の使用態様
第1実施形態の衝立1の使用例を図1に表示している。この使用態様では、室内のフロアに4つのテーブル13が配置されていて、各テーブル13の使用エリアが衝立1の群で仕切られている。すなわち、衝立1の群を十字状に配置してフロアを4つのエリアに仕切って、各エリアにテーブル13を配置している。
【0039】
本使用例において、テーブル13は平面視四角形(長方形)に形成されており、コーナー部が棒脚13aで支持されている。また、テーブル13の各辺の箇所に1人ずつの人Mがいて椅子に腰掛けている。敢えて述べるまでもないが、テーブル13の使用態様は任意に設定できる。
【0040】
本使用例では、2つの衝立1を庇7及び脚アーム6が逆方向を向くように配置して1つの衝立ユニットを構成し、4つの衝立ユニット14~17を十字状に配置することにより、フロアを十字に仕切っている。
【0041】
すなわち、第1衝立ユニット14と第2衝立ユニット15とをその側端面が当接又は近接した状態で一文字状に配置する一方、第3衝立ユニット16と第4衝立ユニット17とを、第1,2衝立ユニット14,15と交差した姿勢で配置している。従って、第3衝立ユニット16と第4衝立ユニット17とで、第1,2衝立ユニット14,15との端部が挟まれている。
【0042】
衝立ユニット14~17の群で仕切られた4つのエリアは、その縁部が上方から庇7で覆われているため、各衝立ユニット14~17で生じた話し声が衝立1を越えて隣り合ったエリアに回り込む(回折する)ことを抑制できる。従って、エリアの個室状化を促進して、オフィスでのグループワークや学校でのグループ学習などの環境を改善できる。
【0043】
本使用態様では、第3,4衝立ユニット16,17の側端は第1,2衝立ユニット14,15の前端に位置しているため、第3,4衝立ユニット16,17で仕切られたエリアは、第1,2衝立ユニット14,15の両端の箇所で連通している。しかし、第1,2衝立ユニット14,15を背にした人の声はテーブル13に向かうため、第3,4衝立ユニット16,17で仕切られたエリアに声(音)が伝わることはあまりないと云える。従って、第3,4衝立ユニット16,17によって高い遮音機能を確保できる。
【0044】
(3).他の実施形態
図3に示す第2実施形態では、衝立1の左右端部のうち一方の端部に、脚アーム6から起立したサイドパネル18を設けている。このサイドパネル18を備えた衝立1は、第1実施形態の衝立1と併用できる。
【0045】
すなわち、4つの衝立ユニット14~17でフロアを十字状に仕切る場合は、第1衝立ユニット14と第2衝立ユニット15とにおいて、それぞれ片方の衝立1に本実施形態の衝立1を使用することにより、図3(B)に示すように、第3衝立ユニット16と第4衝立ユニット17とで仕切られたエリアをサイドパネル18で塞ぐことができる。第3,4衝立ユニット16,17はサイドパネル18を備えていない第1実施形態の衝立1を使用している。
【0046】
図3のようにサイドパネル18を設けた場合、一点鎖線で示すように、サイドパネル18の上端を水平状に形成して、サイドパネル18を折り畳み式に構成することが可能である。この場合は、必要に応じてサイドパネル18を広げて衝立の側方を塞ぐことができるため、第3,4衝立ユニット16,17の間に第1,2衝立ユニット14,15が介在していても、十字に仕切られた空間を的確に遮音できる。また、この場合は、衝立1は1種類で足りる(サイドパネル18は、壁体5の左右側部のうち片側だけに設けてもよいし、両側に設けてもよい。)。
【0047】
サイドパネル18の上端部を、一点鎖線を折り目として上下折り畳み可能としつつ、水平方向に折り畳みできる構成も採用可能である。この場合は、サイドパネル18を壁体5に重なるように折り畳みできるようにしつつ、衝立1の側部をしっかりと塞ぐことができる。サイドパネル18の上端部は、上下に折り畳むことに代えて、下方に押し縮めて水平旋回できるように構成することも可能である。
【0048】
第1実施形態及び第2実施形態では、4つの衝立ユニット14~17はその側端を突き合わせることができなかった。第3,4衝立ユニット16,17の縦長フレーム2が第1,2衝立ユニット14~15の脚アーム6に緩衝するからである。
【0049】
そこで、図4(A)(B)に示す第3実施形態では、脚アーム6をその長さ分だけ縦長フレーム2から左右内側にずらすと共に、庇7のコーナー部をカットした状態に折り返し可能に構成することにより、4つの衝立ユニット14~17をその端部が突き合わさる(近接する)状態に配置できるようにしている(折り返し方向は上向きでも下向きでも構わない。)。
【0050】
従って、この第3実施形態では、4つのエリアは2枚ずつの壁体5でしっかりと仕切られると共に、上方の空間は平面視L形に配置された2枚の庇7で覆われる。従って、壁体5による遮音効果も庇7による遮音効果も、格段に向上できる。庇7の端部は、折り返すことに代えて、蛇腹構造に構成してカット状に押し縮めることも可能である。
【0051】
平面視で交差した姿勢に配置される衝立1の庇7が緩衝することを防止する手段としては、図4(C)に第4実施形態として示すように、縦長フレーム2に昇降自在に配置した可動フレーム7aに庇7を取り付けて、庇7を昇降式に構成することも可能である。庇7を昇降式に構成しつつ、庇7を水平姿勢に配置して、交差姿勢に配置された一方の衝立1の庇7の端部に、他方の衝立1の庇7の端部が上又は下から重なる又は近接するように構成することも可能である。
【0052】
図5に示す第5実施形態では、1つの衝立1に、表側に張り出した庇7と裏側に張り出した庇7とを設けている。従って、縦長フレーム2(壁体5)と庇7とは、側面視でY形の形態を成していると共に、端部はコーナーを斜めカットした状態に折り畳み可能に構成している(傾斜した端面を符号12aで表示している。)。更に、第5実施形態では、左右の脚アーム6a,6bを、一方の脚アーム6aの下面が他方の脚アーム6bの上面よりも高くなるように、高さを異ならせている。脚アーム6は壁体5の前後両側に張り出している。
【0053】
この実施形態では、4つの衝立1を十字状に配置するにおいて、直線姿勢になっている一対ずつの衝立1における脚アーム6の高さを異ならせて、一方の対の脚アーム6aを他方の対の脚アーム6bが乗り越えるように設定している。このことと、庇7の端部がカット形状になっていることとにより、4つの衝立1を、その縦長フレーム2が互いに近接するように突き合わせ状に配置できる。
【0054】
従って、第5実施形態では、4つのエリアは各衝立1の壁体5と庇7とによってしっかりと仕切ることができる。4枚の庇7は連続したかのように配置できるため、見栄えもよい。
【0055】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、2枚の壁体が平面視でL形に交差した姿勢に形成して、2枚の壁体の上端にそれぞれ庇を設けておくことも可能である。この場合は、脚アームは不要であり、壁体の前端と交差部とにキャスタを配置したらよい。このL形衝立は、様々なレイアウトに配置して様々な仕切り態様を実現できる。
【0056】
衝立の壁体は、壁枠体(外枠)を備えていない単なる板状の構造と成したり、全体を中空構造に成したりすることも可能である。壁体を布帛によってスクリーン状に構成したり、開口状態と閉塞状態とを切り替えできるシャッター構造にしたりすることも可能である。庇は側面視で下向き又は上向きに反った(湾曲した)弓形に形成することも可能である。
【0057】
また、本願発明では、壁体に吸音構造を採用することも可能であるし、好ましい。例えば、壁板を硬質不織布の単層品又は複数品で構成したり、基板に不織布や樹脂シートを貼り付けたりすることができる。吸音材としてコルク板やパルプ板なども採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は衝立に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 衝立
2 縦長フレーム
3,4 水平フレーム
5 壁体
6,6a,6b 脚装置を構成する脚アーム
7 庇
7a 可動フレーム
8 中間水平フレーム
9 壁板
10 脚装置を構成するキャスタ
11 補強枠
12 庇板
13 テーブル
14~17 衝立ユニット
18 サイドパネル
図1
図2
図3
図4
図5