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特開2024-93834タイムアウト時間更新方法及びその装置
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  • 特開-タイムアウト時間更新方法及びその装置 図1
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  • 特開-タイムアウト時間更新方法及びその装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093834
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】タイムアウト時間更新方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240702BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210424
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小西 健一
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA11
5B376AA25
5B376AA32
5B376AA35
5B376CA05
5B376CA42
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】車両毎にプログラムの変更が行われてもタイムアウトの効率が低下することを防止できるタイムアウト時間更新方法及びその装置を提供する。
【解決手段】
タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両5からタイムアウト時間の設定値を取得し、対象車両以外の複数の他車両5A-5Xから特定のリクエストに対して応答データを返信する応答時間を収集し、タイムアウト時間の設定値と応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、乖離が小さくなるようにタイムアウト時間の設定値を更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に接続された外部ツールから送信された特定のリクエストに対して、前記車両に搭載された複数の電子制御装置が応答データを返信するときのタイムアウト時間を更新するタイムアウト時間更新方法であって、
前記タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両からタイムアウト時間の設定値を取得し、
前記対象車両以外の複数の他車両から前記特定のリクエストに対して前記応答データを返信する応答時間を収集し、
前記タイムアウト時間の設定値と前記応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、前記乖離が小さくなるように前記タイムアウト時間の設定値を更新するタイムアウト時間更新方法。
【請求項2】
前記応答時間の正規分布に基づいて前記応答時間の統計値を算出し、前記タイムアウト時間の設定値と前記応答時間の統計値との間に前記所定値以上の乖離があるか否かを判断する請求項1に記載のタイムアウト時間更新方法。
【請求項3】
前記タイムアウト時間の設定値を短くする場合には、前記タイムアウト時間の設定値が前記応答時間の統計値以上となるように更新し、前記タイムアウト時間の設定値を長くする場合には、前記タイムアウト時間の設定値が前記応答時間の統計値以下となるように更新する請求項2に記載のタイムアウト時間更新方法。
【請求項4】
前記タイムアウト時間の設定値を更新した後に前記対象車両でタイムアウトが発生し、前記対象車両が正常である場合には、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する請求項1~3のいずれか1項に記載のタイムアウト時間更新方法。
【請求項5】
前記更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する場合に、収集した前記応答時間の正規分布に基づいて修正する請求項4に記載のタイムアウト時間更新方法。
【請求項6】
前記更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する場合に、更新前の前記タイムアウト時間の設定値に戻す請求項4に記載のタイムアウト時間更新方法。
【請求項7】
車両に接続された外部ツールから送信された特定のリクエストに対して、前記車両に搭載された複数の電子制御装置が応答データを返信するときのタイムアウト時間を更新するコントローラを備えたタイムアウト時間更新装置であって、
前記コントローラは、
前記タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両からタイムアウト時間の設定値を取得し、
前記対象車両以外の複数の他車両から前記特定のリクエストに対して前記応答データを返信する応答時間を収集し、
前記タイムアウト時間の設定値と前記応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、前記乖離が小さくなるように前記タイムアウト時間の設定値を更新するタイムアウト時間更新装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムアウト時間更新方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、外部装置と車載制御装置との間のデータを中継する車載中継装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された車載中継装置では、車両に搭載されたECUと外部ツールとの間でダイアグ通信を行う場合に、車両毎あるいはECU毎にタイムアウト時間が設定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-228622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の車載中継装置では、車両毎にプログラムの変更が行われると、タイムアウト時間が長すぎたり、短すぎたりする場合が発生し、タイムアウトの効率が低下してしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、車両毎にプログラムの変更が行われてもタイムアウトの効率が低下することを防止できるタイムアウト時間更新方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係るタイムアウト時間更新方法及びその装置は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両からタイムアウト時間の設定値を取得する。そして、対象車両以外の複数の他車両から特定のリクエストに対して応答データを返信する応答時間を収集し、タイムアウト時間の設定値と応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、乖離が小さくなるようにタイムアウト時間の設定値を更新する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両毎にプログラムの変更が行われてもタイムアウトの効率が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るタイムアウト時間更新装置を備えたタイムアウト時間更新システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係るタイムアウト時間更新装置によるタイムアウト時間更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、一実施形態に係るタイムアウト時間更新装置による応答時間の統計値の算出方法を説明するための図である。
図4図4は、一実施形態に係るタイムアウト時間更新装置を備えたタイムアウト時間更新システムの変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0010】
[タイムアウト時間更新システムの構成]
図1は、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置を備えたタイムアウト時間更新システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、タイムアウト時間更新システム1は、サーバ3と、タイムアウト時間の更新対象となる対象車両5と、タイムアウト時間の更新対象以外の他車両5A-5Xとから構成されている。車両5、5A-5Xには、それぞれ診断ツール9、9A-9Xが接続され、車両5、5A-5Xに搭載されたECU(Electronic Control Unit)11、11A-11Xと、診断ツール9、9A-9Xとの間でデータ通信を行う。
【0011】
サーバ3は、診断ツール9、9A-9X及び車両5、5A-5Xに搭載されたECU11、11A-11Xとネットワークを介して通信し、故障診断のためのデータを収集する。サーバ3は、診断ツール9、9A-9Xからデータを収集する場合に、整備工場やディーラーに設置された端末からデータを収集してもよい。サーバ3は、タイムアウト時間更新装置13と、データベース15を備えており、データベース15には収集したデータやタイムアウト時間更新処理に必要なデータを格納している。例えば、データベース15は、ECU11、11A-11Xが返信した応答データや応答時間を格納している。
【0012】
タイムアウト時間更新装置13は、車両に接続された診断ツール9、9A-9Xから送信された診断リクエストに対して、車両5、5A-5Xに搭載された複数のECU11、11A-11Xが応答データを返信するときのタイムアウト時間を更新する。タイムアウト時間は、診断ツール9、9A-9Xから送信された診断リクエストに対して、ECU11、11A-11Xが返信する応答データを待つための待ち時間である。診断ツール9、9A-9Xが診断リクエストを送信してからタイムアウト時間を経過しても、ECU11、11A-11Xが応答データを返信しない場合にはタイムアウトが発生する。
【0013】
具体的に、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両5からタイムアウト時間の設定値を取得し、対象車両5以外の複数の車両5A-5Xから診断リクエストに対して応答データを返信する応答時間を収集する。そして、取得したタイムアウト時間の設定値と、収集した応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、乖離が小さくなるようにタイムアウト時間の設定値を更新する。
【0014】
このとき、タイムアウト時間更新装置13は、収集した応答時間の正規分布に基づいて応答時間の統計値を算出し、算出した応答時間の統計値とタイムアウト時間の設定値との間に所定値以上の乖離があるか否かを判断する。
【0015】
さらに、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値を更新した後に対象車両5でタイムアウトが発生し、尚且つ、対象車両5が正常である場合には、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する。対象車両5が正常であるか否かの判断は、通信系の故障コードやエラーが発生していない場合に、対象車両5を正常であると判断する。また、診断ツール9がタイムアウト時間の更新対象となっている場合には、診断ツール9及び対象車両5が通信系の故障コードやエラーが発生していない場合に、正常であると判断する。
【0016】
尚、タイムアウト時間更新装置13は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と、メモリ等の周辺機器から構成されたコントローラである。タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間更新処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。タイムアウト時間更新装置13の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含むプログラムされた処理装置を含んでおり、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含んでいてもよい。
【0017】
車両5は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両であり、ECU11を搭載している。車両5A-5Xは、タイムアウト時間の更新対象になっていない他車両であり、それぞれECU11A-11Xを搭載している。車両5A-5Xは、正規分布を求めて統計値を算出できる程度に多くの車両を含んでいる。
【0018】
ECU11、11A-11Xは、それぞれ特定の機能を有する電子制御装置であり、例えばエンジン制御ECU等である。ECU11、11A-11Xは、車載式故障診断装置(OBD:On-Board Diagnostics)による故障診断の対象となるECUであり、診断ツール9、9A-9Xから送信される診断リクエストの送信対象である。したがって、ECU11、11A-11Xは、診断ツール9、9A-9Xから診断リクエストを受信すると、そのリクエストに応じた応答データを返信する。
【0019】
診断ツール9、9A-9Xは、OBDによる故障診断を行う外部ツールである。診断ツール9、9A-9Xは、整備工場やディーラーで車両に設けられた診断器用コネクタに接続されると、故障診断の対象であるECU11、11A-11Xとダイアグ通信を行って、故障診断を行うための各種の応答データを収集する。このとき、診断ツール9、9A-9Xは、診断リクエストに対して、ECU11、11A-11Xが応答データを返信するまでの応答時間も収集している。
【0020】
[タイムアウト時間の更新処理]
次に、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13によるタイムアウト時間の更新処理を説明する。図2は、タイムアウト時間の更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0021】
図2に示すように、ステップS101において、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両5からタイムアウト時間の設定値を取得する。タイムアウト時間更新装置13は、ネットワークを介して車両5のECU11と通信してタイムアウト時間の設定値を取得してもよいし、診断ツール9で収集されてデータベース15に格納されている対象車両5のタイムアウト時間の設定値を取得してもよい。
【0022】
ステップS103において、タイムアウト時間更新装置13は、対象車両5以外の複数の他車両5A-5Xから診断リクエストに対して応答データを返信する応答時間を収集する。データベース15には、予め診断ツール9、9A-9Xで収集された応答時間が格納されているので、タイムアウト時間更新装置13は、データベース15から応答時間を収集する。また、タイムアウト時間更新装置13は、ネットワークを介して車両5A-5XのECU11A-11Xと通信して応答時間を収集してもよい
【0023】
ステップS105において、タイムアウト時間更新装置13は、ステップS103で収集した応答時間の正規分布に基づいて、応答時間の統計値を算出する。具体的に、タイムアウト時間更新装置13は、多くの車両から収集された応答時間のデータから正規分布を求めて標準偏差を計算する。そして、できる限りタイムアウトが発生しないように、タイムアウト時間更新装置13は、N×σ(標準偏差)の式のNの値を決定する。すなわち、標準偏差の倍数を決定する。
【0024】
例えば、図3に示すように、応答時間の統計値として、9σの値を設定すると、収集した応答時間のデータの大部分が含まれることになるので、タイムアウトが発生する確率は確実に低下する。ただし、Nの値を大きくし過ぎても実用性が低下するので、6σ~9σの間で調整して設定する。こうして、タイムアウト時間更新装置13は、応答時間の統計値としてN×σの値を算出する。
【0025】
ステップS107において、タイムアウト時間更新装置13は、ステップS105で算出した応答時間の統計値と、ステップS101で取得したタイムアウト時間の設定値との間に所定値以上の乖離があるか否かを判断する。
【0026】
具体的に、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値と応答時間の統計値との間の差分を乖離幅として算出し、算出した乖離幅が予め設定された所定値以上であるか否かを判断する。乖離幅の所定値については、予め実験やシミュレーションによって、タイムアウト時間の更新が必要となる乖離幅を設定しておけばよい。そして、所定値以上の乖離があると判断された場合にはステップS109に進み、所定値以上の乖離がないと判断された場合には、本実施形態に係るタイムアウト時間の更新処理を終了する。
【0027】
ステップS109において、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値と応答時間の統計値との間の乖離が小さくなるようにタイムアウト時間の設定値を更新する。具体的に、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値を応答時間の統計値に設定する。例えば、ステップS105で応答時間の統計値として9σの値が算出されている場合には、タイムアウト時間の設定値を9σの値に設定する。
【0028】
また、タイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値を応答時間の統計値に近づけるように更新してもよい。このとき、タイムアウト時間の設定値を短くする場合には、短くし過ぎることがないように、タイムアウト時間の設定値を、応答時間の統計値以上となるように更新する。一方、タイムアウト時間の設定値を長くする場合には、長くし過ぎることがないように、タイムアウト時間の設定値を、応答時間の統計値以下となるように更新する。こうしてタイムアウト時間の設定値が更新されると、本実施形態に係るタイムアウト時間の更新処理を終了する。
【0029】
尚、こうしてタイムアウト時間の設定値を更新した後に、対象車両5でタイムアウトが発生し、尚且つ、対象車両5で通信系の故障コードやエラーが発生していなくて正常である場合には、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する。具体的に、タイムアウト時間更新装置13は、収集した応答時間の正規分布に基づいて修正する。例えば、タイムアウト時間の設定値を6σの値に設定してタイムアウトが発生した場合には、7σの値に修正する。また、タイムアウト時間更新装置13は、更新前のタイムアウト時間の設定値に戻してもよい。
【0030】
[変形例]
上述した実施形態では、対象車両5のタイムアウト時間の設定値を更新する処理について説明したが、このようなタイムアウト時間の更新を車両の開発工程において利用することも可能である。
【0031】
例えば、図4に示すように、開発の第1段階S1において、開発車両50のタイムアウト時間の設定値に対して、上述したタイムアウト時間の更新処理を行って、最適なタイムアウト時間に設定する。そして、開発の第2段階S2、第3段階S3に進むと、開発車両50に搭載されるECUの数や実行される処理の数が増加してバスの負荷が増加していくので、タイムアウト時間を更新する必要性が生じる。そこで、各開発段階において、上述したタイムアウト時間の更新処理を行って最適なタイムアウト時間に設定し、最終的に第4段階S4において開発車両50のタイムアウト時間の設定値を決定して生産車両とする。これにより、開発段階において、ECUの数やプログラムが変更されても、常に最適なタイムアウト時間に設定することができるので、タイムアウトの効率が低下することを防止できる。
【0032】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の更新対象となっている対象車両からタイムアウト時間の設定値を取得する。そして、対象車両以外の複数の他車両から特定のリクエストに対して応答データを返信する応答時間を収集し、タイムアウト時間の設定値と応答時間との間に所定値以上の乖離がある場合には、乖離が小さくなるようにタイムアウト時間の設定値を更新する。これにより、車両毎にプログラムの変更が行われても、タイムアウト時間の設定値を最適な値に更新できるので、タイムアウトの効率が低下することを防止できる。さらに、ECUのソフトウェアが変更されたことによる車両内の通信ルートの変更や転送時間の遅延、ECUの応答時間の変更及び遅延によってタイムアウトが発生し、ECUとの通信が不成立になることを防止できる。
【0033】
また、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、応答時間の正規分布に基づいて応答時間の統計値を算出し、タイムアウト時間の設定値と応答時間の統計値との間に所定値以上の乖離があるか否かを判断する。これにより、多くの車両から収集したデータに基づいて乖離の有無を判断することができるので、より信頼性の高い判断を行うことができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値を短くする場合には、タイムアウト時間の設定値が応答時間の統計値以上となるように更新する。一方、タイムアウト時間の設定値を長くする場合には、タイムアウト時間の設定値が応答時間の統計値以下となるように更新する。これにより、応答時間の統計値を超えてタイムアウト時間の設定値を更新することがなくなるので、タイムアウト時間の設定値を長くし過ぎたり、短くし過ぎたりすることを防止できる。
【0035】
また、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、タイムアウト時間の設定値を更新した後に対象車両でタイムアウトが発生し、対象車両が正常である場合には、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する。これにより、タイムアウト時間の設定値が更新された後であっても、最適な値に修正することができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する場合に、応答時間の正規分布に基づいて修正する。これにより、多くの車両から収集したデータに基づいて修正することができるので、信頼性の高いタイムアウト時間の設定値に修正することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るタイムアウト時間更新装置13は、更新後のタイムアウト時間の設定値を修正する場合に、更新前のタイムアウト時間の設定値に戻している。これにより、タイムアウト時間の更新処理をやり直すことができるので、タイムアウト時間の設定値を最適な値に修正することができる。
【0038】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 タイムアウト時間更新システム
3 サーバ
5、5A-5X、50 車両
9、9A-9X 診断ツール
11、11A-11X ECU
13 タイムアウト時間更新装置
15 データベース
図1
図2
図3
図4