(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093842
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】持続型機能性食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/175 20160101AFI20240702BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/14 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240702BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20240702BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L33/135
A23L33/105
A23L33/15
A23L33/125
A23L33/12
A23L33/14
A23L33/10
A23L33/16
A23L5/00 C
A23L5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210433
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】592242419
【氏名又は名称】信和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(72)【発明者】
【氏名】下村 健三
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD19
4B018MD25
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF08
4B018MF14
4B035LC16
4B035LE11
4B035LG04
4B035LG14
4B035LG16
4B035LG26
4B035LG50
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP26
4B035LP36
4B035LP46
4B035LP59
(57)【要約】
【課題】本発明は、機能性食品の機能を持続的に発揮させることが可能な顆粒の集合体を提供する。
【解決手段】
機能成分を含む機能材と、機能材を各種膜厚にコーティングしてなる被覆機能材、あるいはこれらの組合せ、を含む機能性食品を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能成分を含む機能材と、
前記機能材をコーティングしてなる被覆機能材と、
を含む機能性食品。
【請求項2】
前記被覆機能材が、前記機能材の重量に対して、0.5重量%以上のコーティング材で被覆されている、
請求項1に記載の機能性食品。
【請求項3】
前記被覆機能材が1種類以上の被覆機能材からなる、
請求項2に記載の機能性食品。
【請求項4】
前記機能材および前記被覆機能材が2mm以下の顆粒である、
請求項1または2に記載の機能性食品。
【請求項5】
前記コーティング材が、シェラック、メタクリレートコポリマー、エチルセルロース、酸処理酵母細胞壁(AYC)、メチルセルロースおよびツェインの1種、またはこれらの組合せである、
請求項2に記載の機能性食品。
【請求項6】
前記機能材が、γアミノ酪酸(GABA)、乳酸菌体末、お茶カテキン、エピガロカテキンガレート、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、キシリトール、マスティック(乳香) 抽出エキス、プロポリス、フノラン、ニクズクエキス、ヨモギエキス、アガリクスエキス、メシマコブエキス、ヤマブシタケエキス、フコイダン、ラクトフェリン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、ビンカマイナーエキス、ホスファジルセリン、魚類由来高度不飽和脂肪酸(DHA、EPA)、唐辛子末、ラズベリーケトン、カプシエイト、コエンザイムQ10 、αリポ酸、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、桑葉抽出物、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE、ローヤルゼリー、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛イースト、鉄剤、ドロマイト、ヒアルロン酸、システイン、シスチン、シャンピニオンエキス、有胞子性乳酸菌、ビフィズス菌、イヌリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、カフェイン、テアニン、リンゴプロアントシアニジン、カシス抽出物、ブルーベリー抽出物、黒豆由来シアニジングリコシド、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ポリコサノール、オクタコサノール、コラーゲン、フィチン酸、セネガ流エキス、カフェイン、オウヒ、カンゾウのうち少なくとも1種類以上の機能成分で構成されている、
請求項1に記載の機能性食品。
【請求項7】
前記機能材が請求項6に記載の機能性成分と担体からなる顆粒である、
請求項6に記載の機能性食品。
【請求項8】
前記機能材および前記被覆機能材の比が、顆粒の数により、1:9~9:1である、
請求項1に記載の機能性食品。
【請求項9】
前記機能材および前記被覆機能材の比が、重量により、0.1:9.9~9.9:0.1である、
請求項1に記載の機能性食品。
【請求項10】
前記機能材および前記被覆機能材が別々に包装されている、
請求項1に記載の機能性食品。
【請求項11】
機能材および被覆機能材を含む機能性食品の製造方法であって、
機能材を提供する工程と、
被覆機能材を提供する工程と、
前記機能材および前記被覆機能材を組み合わせる工程と、を含む機能性食品の製造方法。
【請求項12】
前記機能材を提供する工程が、機能成分を造粒して顆粒を提供する工程を含む、請求項8に記載の、機能性食品の製造方法。
【請求項13】
前記機能材を提供する工程が、機能成分と担体とを造粒して顆粒を提供する工程を含む、請求項8に記載の、機能性食品の製造方法。
【請求項14】
前記被覆機能材を提供する工程が、前記機能材をコーティング材でコーティングする工程を含む、請求項8に記載の機能性食品の製造方法。
【請求項15】
前記被覆機能材を提供する工程が、1種類以上の被覆機能材を提供する工程である、請求項8に記載の機能性食品の製造方法。
【請求項16】
前記機能材および前記被覆機能材を組み合わせる工程が、所定量の機能材および所定量の被覆機能材を同一カプセルに封入する工程である、請求項8に記載の機能性食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる徐放性を有する顆粒を組み合わせてなる持続型機能性食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ライフスタイルの変化により食文化の変化、生活時間の多様化により必要な栄養摂取に偏りが生じることで糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病が増大している。また、少子高齢化社会の到来と相俟って、高齢者及び、中年層を中心として国民の健康指向が高まり、健康を意識した食品が増え続けている。さまざまな機能性食品、健康食品が市場に現れ、その市場規模は1兆円にまで達している。そして、健康を維持する材料として様々な成分が見いだされその研究論文が次々に発表されている。血圧が高めの人に対して血圧を下げる効果や、睡眠の質を上げるものや、腸内環境を整えるものや、社会の様々なストレスを緩和するものや、そして美容に効果があるとされるものなど、人々の課題とする健康を阻害する要因を緩和するものがほとんどである。このような社会情勢を背景として、サプリメントのみならず、嗜好性の高いチョコレートや、ドリンク、様々なお菓子にもその成分を入れ、機能性食品として幅広く売り出されている。
【0003】
しかしながら、その効果の持続性については短いものがあり、求めている機能性としては、長時間作用させたいと思っていても、その成分の急性が高く、血中の濃度が急激に上昇するものの必要とする閾値よりも急激に高くなり、その後急激に降下するため、持続性がないものが多く存在する。そのため、必要と思うときに効果を十分に発揮できず、複数回に分けて摂取する必要があり、多忙な中、摂取することを失念し結果的に効果を得られないという問題がある。本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、従来の機能材の効果が長く作用するようにしたいという思いから、様々な時間の長さに効果を発揮する機能性食品、及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0004】
特許文献1では、小腸内で持続的な徐放性を発揮させるために、被覆材層として可食性タンパク質を用いる発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決すべく検討を重ねた結果、持続性を上げるには段階的に機能材の成分を放出していくことがよいと考え、すぐに成分が吸収される即放性の性質を持つものと、徐放により遅れて成分を放出するものの2種類以上の溶解性質の違いをもった機能性材料を作り出すことで、機能材の効果を持続させることができることを見出した。これらを実現するためには、一つの錠剤ではそれぞれを組み合わせて順番に溶解させていくことが難しく、複数の錠剤では経口する回数が複数回にわたるという課題が発生するため、1回で経口出来る形態として顆粒状の機能材を作り、複数の溶解性能をもった種類に分けることで持続性が長い機能性食品を作り出せる。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、機能成分を含む機能材と、前記機能材をコーティングしてなる被覆機能材と、を含む機能性食品を提供する。
【0009】
また、本発明の他の態様は、前記被覆機能材が、前記機能材の重量に対して、0.5重量%以上のコーティング材で被覆されている、上記記載の機能性食品を含む。
【0010】
また、本発明の他の態様は、前記被覆機能材が1種類以上の被覆機能材からなる、
上記記載の機能性食品を含む。
【0011】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材が2mm以下の顆粒である、上記記載の機能性食品を含む。
【0012】
また、本発明の他の態様は、前記コーティング材が、シェラック、メタクリレートコポリマー、エチルセルロース、酸処理酵母細胞壁(AYC)、メチルセルロースおよびツェインの1種、またはこれらの組合せである、
上記記載の機能性食品を含む。
【0013】
また、本発明の他の態様は、前記機能材が、γアミノ酪酸(GABA)、乳酸菌体末、お茶カテキン、エピガロカテキンガレート、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、キシリトール、マスティック(乳香) 抽出エキス、プロポリス、フノラン、ニクズクエキス、ヨモギエキス、アガリクスエキス、メシマコブエキス、ヤマブシタケエキス、フコイダン、ラクトフェリン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、ビンカマイナーエキス、ホスファジルセリン、魚類由来高度不飽和脂肪酸(DHA、EPA)、唐辛子末、ラズベリーケトン、カプシエイト、コエンザイムQ10 、αリポ酸、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、桑葉抽出物、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE、ローヤルゼリー、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛イースト、鉄剤、ドロマイト、ヒアルロン酸、システイン、シスチン、シャンピニオンエキス、有胞子性乳酸菌、ビフィズス菌、イヌリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、カフェイン、テアニン、リンゴプロアントシアニジン、カシス抽出物、ブルーベリー抽出物、黒豆由来シアニジングリコシド、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ポリコサノール、オクタコサノール、コラーゲン、フィチン酸、セネガ流エキス、カフェイン、オウヒ、カンゾウのうち少なくとも1種類以上の機能成分で構成されている、上記記載の機能性食品を含む。
【0014】
また、本発明の他の態様は、前記機能材が上記記載の機能性成分と担体からなる顆粒である、機能性食品を含む。
【0015】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材の比が、顆粒の数により、1:9~9:1である、上記記載の機能性食品を含む。
【0016】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材の比が、重量により、0.1:9.9~9.9:0.1である、上記記載の機能性食品を含む。
【0017】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材が別々に包装されている、上記記載の機能性食品を含む。
【0018】
また、本発明の他の態様は、機能材および被覆機能材を含む機能性食品の製造方法であって、
機能材を提供する工程と、
被覆機能材を提供する工程と、
前記機能材および前記被覆機能材を組み合わせる工程と、を含む機能性食品の製造方法を含む。
【0019】
また、本発明の他の態様は、前記機能材を提供する工程が、機能成分を造粒して顆粒を提供する工程を含む、上記記載の、機能性食品の製造方法を含む。
【0020】
また、本発明の他の態様は、前記機能材を提供する工程が、機能成分と担体とを造粒して顆粒を提供する工程を含む、上記記載の、機能性食品の製造方法を含む。
【0021】
また、本発明の他の態様は、前記被覆機能材を提供する工程が、前記機能材をコーティング材でコーティングする工程を含む、上記記載の機能性食品の製造方法を含む。
【0022】
また、本発明の他の態様は、前記被覆機能材を提供する工程が、1種類以上の被覆機能材を提供する工程である、上記記載の機能性食品の製造方法を含む。
【0023】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材を組み合わせる工程が、所定量の機能材および所定量の被覆機能材を同一容器に封入する工程である、上記記載の機能性食品の製造方法を含む。
【0024】
また、本発明の他の態様は、前記機能材および前記被覆機能材を組み合わせる工程が、所定量の機能材および所定量の被覆機能材をそれぞれ個別の包袋に封入した後に、同一容器に梱包する工程である、上記記載の機能性食品の製造方法を含む。
【0025】
また、本発明の他の態様は、前記被覆機能材を組み合わせる工程が、所定量の機能材および所定量の被覆機能材をそれぞれ個別の包袋に封入した後に、同一容器に梱包する工程である、上記記載の機能性食品の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、機能材を有する食品において、機能材の徐放性を容易にコントロールすることが可能である。それゆえ、本発明を用いない食品よりも機能材の効果を持続させることも容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】pH1.2溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【
図2】pH6.8溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【
図3】pH1.2溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したGABAとコーティングなしの混合比率を変えた機能材の溶出試験結果
【
図4】pH6.8溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したGABAとコーティングなしの混合比率を変えた機能材の溶出試験結果
【
図5】pH1.2溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したビタミンCの溶出試験結果
【
図6】pH6.8溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したビタミンCの溶出試験結果
【
図7】pH1.2溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したビタミンCとコーティングなしの混合比率を変えた機能材の溶出試験結果
【
図8】pH6.8溶液中におけるエチルセルロースコーティングを施したビタミンCとコーティングなしの混合比率を変えた機能材の溶出試験結果
【
図9】pH1.2溶液中におけるシェラックコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【
図10】pH6.8溶液中におけるシェラックコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【
図11】pH1.2溶液中におけるシェラックコーティングを施したビタミンCの溶出試験結果
【
図12】pH6.8溶液中におけるシェラックコーティングを施したビタミンCの溶出試験結果
【
図13】pH1.2溶液中におけるオイドラギットコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【
図14】pH6.8溶液中におけるオイドラギットコーティングを施したGABAの溶出試験結果
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下にて、本願開示において用いる用語について説明する。
【0029】
(機能材)
本発明において、「機能材」とは、本発明の機能性食品において、人体に機能を提供する機能成分を含んだ構成を意味する。本発明の「機能材」の形態としては、これを造粒して得られる顆粒が好ましく、それらの大きさとしては、機能成分の種類や量に応じて適宜変更することが可能であるが、通常、5mm~0.1mmの間で任意の顆粒径とすることができるが、2mm以下が好ましい。また、本発明における「機能材」は機能成分を担体と混合して、造粒して得られる顆粒であってもよい。
【0030】
このような顆粒は、本明細書において、そのまま本発明の構成の一部として用いることができる。具体的には、以下で詳述する被覆機能材の前処理段階の顆粒として、すなわち即放性顆粒(あるいは機能材)または速崩性顆粒(もしくは機能材)として用いることができる。本明細書において、これらの用語は同じ意味で用いることができる。
【0031】
本発明における「機能材」を構成する担体の例としては、白糖・デンプン顆粒(SUGLETS(シュグレッツ):登録商標)がある。機能材の含有量を大きくする観点からは、直径が1mm以下の顆粒が好ましく、特に0.6μm~0.71μmの顆粒が好ましい。
【0032】
本発明における「機能材」を構成する機能成分の例としては、ビタミン類やγアミノ酪酸(GABA)またはこれらの組合せがある。体内への吸収速度の観点からは、吸収速度が2時間以内にピークを迎える機能材に対して処方することが好ましく、特にγアミノ酪酸(GABA)を機能材として用いて徐放性を持たせることが好ましい。
【0033】
本発明における「機能材」を構成する機能成分の例としては、γアミノ酪酸(GABA)、乳酸菌体末、お茶カテキン、エピガロカテキンガレート、ブドウ種子プロアントシアニジン、フランス海岸松樹皮抽出物、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン、キシリトール、マスティック(乳香) 抽出エキス、プロポリス、フノラン、ニクズクエキス、ヨモギエキス、アガリクスエキス、メシマコブエキス、ヤマブシタケエキス、フコイダン、ラクトフェリン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、ビンカマイナーエキス、ホスファジルセリン、魚類由来高度不飽和脂肪酸(DHA、EPA)、唐辛子末、ラズベリーケトン、カプシエイト、コエンザイムQ10、αリポ酸、塩化カルニチン、シトラスエキス、サラシアエキス、ギムネマシルベスタ抽出物、白インゲン豆エキス、桑葉抽出物、ビタミンB 1 、ビタミンC 、ビタミンE、ローヤルゼリー、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛イースト、鉄剤、ドロマイト、ヒアルロン酸、システイン、シスチン、シャンピニオンエキス、有胞子性乳酸菌、ビフィズス菌、イヌリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、カフェイン、テアニン、リンゴプロアントシアニジン、カシス抽出物、ブルーベリー抽出物、黒豆由来シアニジングリコシド、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ポリコサノール、オクタコサノール、コラーゲン、フィチン酸、セネガ流エキス、カフェイン、オウヒ、カンゾウのうち少なくとも1種類以上であればよいが、これらに限定されない。
【0034】
これらの機能成分は粉末状のものを造粒してもよく、顆粒状のものをそのまま用いてもよく、顆粒状のものを担体と共粉砕し、造粒して得られるものでもよい。
【0035】
このような担体の例としては、造粒機を用いた機能材の担体を作る方法があるが、これらに限定されない。摩損性の観点からは、日本薬局方の錠剤の摩損度試験法により試験した場合において摩損度2%未満の強度をもったものが好ましい。
【0036】
機能成分と担体とから顆粒を作る場合、用いる担体の量としては、機能成分の重量により、10重量%から50重量%でよい。機能材が効率良く担体に被覆する効率の理由により、33重量%が好ましい。機能成分の種類により、担体の種類と量は適宜変更して用いることができる。
【0037】
機能材を造粒する装置としては、本分野において一般的に用いられているものでよく、例えば、顆粒化装置がある。造粒液としては、メトローズ(登録商標)などの、水溶性セルロースエーテルを製造用水に撹拌してなるものを用いることができる。
【0038】
本発明の機能材は、造粒工程においてバッチごとに製造してもよいし、連続造粒方式にて製造してもよい。造粒された機能材は、その一部を被覆機能材の製造に用いるために、分割され保管してもよい。
【0039】
(被覆機能材)
本発明の「被覆機能材」とは、上記にて説明されるように造粒された機能材をコーティング材にてコーティングして製造される。本発明の目的を達成するために、このコーティングにより機能材の徐放性を制御するため、複数種類のコーティングを行って、徐放性の異なる機能材を同時に体内に取り込むことが好ましい。
【0040】
本発明で用いるコーティング材としては、シュグレッツ、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、難消化性タンパク質などを挙げることが出来る。
【0041】
コーティング材の例としては、シェラックやツェインがあるがこれらに限定されない必要に応じてこれらのコーティング材は組合せて用いることもできる。
【0042】
本発明の被覆機能材を製造するために用いられるコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例としては、遠心流動型造粒コーティング法がある。
【0043】
本発明の目的を達成するために、コーティング材を提供する工程において、被覆機能材を着色する工程を含んでいてもよい。これは、徐放性を制御する手段として有効であり、体内で吸収の時間を分散させるために、コーティングの厚みを変えた被覆機能材を区別するのに有効な手段である。
【0044】
着色工程は、例えば可食性の色素を、造粒された機能材にコーティング材をコーティングする前に着色工程を設けてもよいし、コーティング材に混合してコーティングしたときに視認により識別できるようにしてもよい。
【0045】
本発明において、機能材をコーティングするコーティング材の量を制御することにより、被覆機能材に含まれる機能材の徐放性によりコントロールできる。具体的には、コーティング材を用いない機能材はヒト摂取のち、胃内滞留中に直ちに機能成分が水などの同時摂取物中に放出され、そのまま小腸に移動する。このような機能材の本発明のコーティング材を用いて被覆した被覆機能材において、そのコーティング材の量をコントロールすることで、腸内に顆粒のまま到達して、機能材中の機能材分が所定の時間経過後に放出される。
【0046】
そのため、本発明の実施態様において、コーティング材の量は胃内を通過して小腸内で胃内からそのまま移動してきた機能成分が吸収されるまで、被覆機能材を維持することができる量を下限量として必要とする。本発明の実施態様では、本発明の被覆機能材にそのような強度をあたえる量としては機能材の重量に対して、少なくとも0.5重量%、好ましくは1.0重量%以上である。これに徐放性を考慮した場合には、実施例に記載の通り、これ以上の量のコーティング材を適宜用いることができる。
【0047】
(他の層)
本発明を限定する意図ではないが、本発明の被覆機能材の外側に、更なる機能性を付与するために他の層が設けられてもよい。このような層の例としては、保存性向上層、防湿層、遮光層、香味呈味層があるが、これらに限定されない。
【0048】
(機能性食品)
本発明の機能性食品は、上述の「機能材」および「被覆機能材」を混合して製造される。これらの混合比は、所望の徐放性を得るために適宜調整されるが、顆粒の数により、1:9~9:1で混合される。また、重量により、0.1:9.9~9.9:0.1の間で適宜選択される。
【0049】
また、本発明の機能性食品は、それぞれ個別に包装されている機能材および被覆機能材を組み合わせてなるものでもよい。このような構成とすることで、本発明の機能性食品を摂取する者は所望の徐放タイミングを自分で組み立てることができる。
【実施例0050】
機能材としてGABAを用いた実施例を示す。以下に示す重量は、量産を想定した際に用いる重量であり、この重量割合であれば同様の顆粒を製造することができる。また、以下に記載する製造設備もこれに限ったものではなく、時間や歩留まりを気にしない場合、それぞれの製造設備にあった条件を用いることで本発明と同様の効果を持つ顆粒を製造することができる。
室温1℃~30℃の間で製造する。20℃程度に制御された環境が好ましい。あらかじめ造粒されたGABA(市販品)15kgとカープレックス0.21kgを混合後、ハンマーミルを用いて共粉砕する。この共粉砕工程は、以降の被覆工程時の被覆効率を最適化する工程であり、市販されているGABAの種類によっては、省略することが出来る。
約1時間共粉砕したGABAとカープレックスが混合されていることを確認後、3バッチに分ける。次に造粒液を調整するため、製造用水5.85kgとSE-06メトローズ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を攪拌用SUS缶に投入し、撹拌を行う。約3時間撹拌しSE-06が完全に溶解していることを確認し溶液中に気泡が発生するため、2時間以上静置する。泡気泡が完全になくなったことを確認後、クラウンタルクを0.195kg投入し、この造粒液を使用するまでの間、継続して分散するために撹拌しておく。
次に、遠心流動型造粒コーティング装置(サークルフィーダー方式)の製造装置にシュグレッツ11kgを投入し、製造装置の設定を吸気温度60℃、品温20~35℃、スリットエア1.0、回転数80rpm、液量10~30ml/min、噴霧空気圧70N/minとし回転を開始する。
シュグレッツ表面が処理する空間の湿度より5~15%高い湿度であることを確認しながら造粒されたGABAの共粉砕品5.57kgを200~400gの小分けにしながら、集塵口の下部にてGABAを顆粒の中に入るように添加していく。シュグレッツ表面が処理する空間の湿度より5~15%高い湿度に制御するため、添加する量は湿度を確認しながら調整し、過乾燥にならないように添加する。
1回添加するごとに数分間、時間を開けて、シュグレッツ表面が処理する空間の湿度より5~15%高い湿度になるように添加の量、添加するまでの間隔を調整しながら5.57kgがすべて投入終わるまで行う。GABA共粉砕品が投入完了後、造粒液を1.0kgまで噴霧し、表面をレイヤリングする。その後、出来上がった造粒物を取り出し、篩目開き16meshのふるいをかけ整粒する。これを3バッチ順番に行う。バッチとバッチの間には必要に応じて設備の清掃作業を行い3バッチが同じ状態で製造できるようにする。次に1バッチ終了毎に整粒された顆粒をハイコーター(HCFS-130)で乾燥する。設備の設定は吸気温度70℃、乾燥時間20分で、3バッチの乾燥が完了後、再度、篩目開き16meshのふるいをかけ整粒する。このとき団粒した顆粒は取り除く。
3バッチのうち、1バッチは保管し、2バッチはコーティングの工程を行う。コーティングの手順は、大きく2工程あり、色付け工程と、コーティング工程である。まず、色付け工程として、色付け液を調合する。製造用水を4.8kg、SE-06を0.048kg、青色2号を0.048kg、クラウンタルクを0.072kgを撹拌用SUS缶に投入し撹拌する。整粒済みの顆粒2バッチ(32.4kg)をハイコーターに投入し、製造設備の設定を給気温度80~85℃、品温35~55℃、回転数7rpm、液量50ml/min、A(アトマイズエア:液を粒子状にするためのエア)エア130N/min、A+P(パターンエア:噴霧するパターンを制御するエア)エア190N/min、乾燥温度70℃、乾燥時間20分で処理を実施する。
すべての色付け液をかけ終わり、乾燥が完了したあと、篩目開き16meshのふるいをかけ整粒する。次にコーティングを行うため、コーティング液を調整する。撹拌用SUS缶に無水エタノールを84.48kg、エチルセルロースを21.12kg、ステアリン酸Mgを2.029kg、HPC-Lを1.014kg投入し撹拌する。次にハイコーターに先の工程で青色まで色付けした顆粒をすべて投入し、設備の設定を給気温度60~70℃、品温30~45℃、回転数7rpm、液量400ml/min、Aエア130N/min、A+Pエア190N/min、乾燥温度70℃、乾燥時間20分としてコーティング液を113.168kg使用した時点を終点としてコーティング及び乾燥を実施した。乾燥後の顆粒に対して、給気、排気を停止させクラウンタルクを90g投入し、顆粒に対して艶出しを10分行い工程を終了する。艶出し後の顆粒を篩目開き16meshのふるいをかけ、整粒する。最後に最初に取り出した1バッチを混合し、10分撹拌する。この顆粒をGABAの有効成分として所望の量となるようにGABAの質量換算でカプセルまたは、包材に充填する。
コーティングする量を変更するには、コーティング工程のコーティング液の量を調整する、またはコーティングする時間を調整する等、様々な方法で調整することが可能である。