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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093847
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】容器及び容器セット
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240702BHJP
   B65D 25/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
B65D25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210441
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】倉地 寿乃介
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB07
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
3E062EA02
3E062EB03
3E062EB05
3E062EC03
(57)【要約】
【課題】情報手段の誤読取りを抑制することのできる容器及び容器セットを提供する。
【解決手段】容器1は、上方に開口し、物品を収容可能な収容部3を有する容器本体2と、収容部3を複数の領域に区画する仕切り部材4とを備える。容器本体2は、容器本体2の上辺部から容器本体2の外方側に向けて水平方向に突出するフランジ部13を備える。フランジ部13には、仕切り部材4によって区画された各収容部3に隣接してそれぞれラベルを取着可能な情報表示部42が設けられる。一対の容器1を、情報表示部42が設けられたフランジ部13の外縁部同士を水平方向に対向させるようにして、同じ向きで位置を揃えた横並びとして設置した場合に、当該対向させられたフランジ部13に関し、当該一対の容器1が並べられた方向において、一方の容器1の情報表示部42の少なくとも一部が、他方の容器1の情報表示部と重ならないように設けられている。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出する側壁部とを具備し、内側の収容部に対して物品を収容可能な容器本体を備えるとともに、前記収容部を複数の領域に区画する仕切りを設置可能とする容器において、
前記側壁部の上辺部から前記容器本体の外方側に向けて水平方向に突出するフランジ部を備え、
前記フランジ部には、前記仕切りによって区画された前記各収容部に隣接してそれぞれ情報手段を取着可能な情報表示部が設けられ、
一対の前記容器を、前記情報表示部が設けられた前記フランジ部の外縁部同士を水平方向に対向させるようにして、同じ向きで位置を揃えた横並びとして設置した場合に、当該対向させられた前記フランジ部に関し、当該一対の容器が並べられた方向において、一方の前記容器の前記情報表示部の少なくとも一部が、他方の前記容器の前記情報表示部と重ならないように設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記側壁部の外面から前記容器本体の外方側に突出し、前記容器同士が積重ねられた段積状態において、下側の前記容器の前記フランジ部の上面に当接して支持される支持部を備え、
前記情報表示部は、前記フランジ部の上面よりも下方に凹むようにして形成され、前記容器の前記段積状態において、下側の前記容器に取着された前記情報手段が、上側の前記容器の前記支持部の下端部よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記情報表示部は、前記収容部側に向けて下方傾斜し、前記容器本体の内方側に開口する面取り部を備え、
前記面取り部に対して前記情報手段が取着される構成であり、
前記面取り部のうち当該面取り部の傾斜方向における幅は、前記フランジ部のうち前記情報表示部が設けられていない一般部の前記容器本体の内外方向における幅よりも長く構成されていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記情報表示部は、前記面取り部の両端部からそれぞれ前記一般部に向けて上方傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
上記請求項3又は4に記載の容器を備える容器セットにおいて、
前記容器セットは、複数の前記容器を前記横並びとして収容可能な大容器を備え、
前記容器は、少なくとも相対する一対の前記側壁部に対応する前記フランジ部にそれぞれ前記情報表示部が設けられていることを特徴とする容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切りを備える容器、及び、容器セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口する略箱状の容器本体と、容器本体の収容部を複数の領域に区画する仕切りとを備える容器において、容器本体の上辺部に設けられるフランジ部に対し、仕切られた各収容部に対応して、当該収容部に収容された物品の情報を有する情報手段(例えば、2次元コードが表記されたラベル)が取着されるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-173653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の容器を用いて保管されている複数の物品の中から必要な物品を取出すピッキング作業が行われる際に、容器同士が隣接して設置されている場合には、在庫や納品等の管理のためにピッキングの対象とされた物品の情報手段を読取手段(例えば、ハンドスキャナー)で読取る際に、隣接する容器の情報手段を誤って読取ってしまうといった事態を招くことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、情報手段の誤読取りを抑制することのできる容器及び容器セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出する側壁部とを具備し、内側の収容部に対して物品を収容可能な容器本体を備えるとともに、前記収容部を複数の領域に区画する仕切りを設置可能とする容器において、
前記側壁部の上辺部から前記容器本体の外方側に向けて水平方向に突出するフランジ部を備え、
前記フランジ部には、前記仕切りによって区画された前記各収容部に隣接してそれぞれ情報手段を取着可能な情報表示部が設けられ、
一対の前記容器を、前記情報表示部が設けられた前記フランジ部の外縁部同士を水平方向に対向させるようにして、同じ向きで位置を揃えた横並びとして設置した場合に、当該対向させられた前記フランジ部に関し、当該一対の容器が並べられた方向において、一方の前記容器の前記情報表示部の少なくとも一部が、他方の前記容器の前記情報表示部と重ならないように設けられていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、情報表示部に対して情報手段を取着することで、一対の容器を横並びで設置した場合に、互いに対向(隣接)配置される各フランジ部の情報表示部に取着された情報手段の位置を当該フランジ部の延在方向(フランジ部が設けられた側壁部の横幅方向)においてずらすことができる。従って、ピッキングの対象とされた物品の情報手段を読取手段で読取る際に、隣接する容器の情報手段を誤って読取ってしまうといった事態を抑制することができる。
【0009】
手段2.前記側壁部の外面から前記容器本体の外方側に突出し、前記容器同士が積重ねられた段積状態において、下側の前記容器の前記フランジ部の上面に当接して支持される支持部を備え、
前記情報表示部は、前記フランジ部の上面よりも下方に凹むようにして形成され、前記容器の前記段積状態において、下側の前記容器に取着された前記情報手段が、上側の前記容器の前記支持部の下端部よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、容器の段積み作業を行ったり、容器を段積状態として運搬したりする場合に、下側の容器の情報表示部に取着された情報手段が上側の容器の支持部に擦れる等して損傷等することを防止することができる。
【0011】
手段3.前記情報表示部は、前記収容部側に向けて下方傾斜し、前記容器本体の内方側に開口する面取り部を備え、
前記面取り部に対して前記情報手段が取着される構成であり、
前記面取り部のうち当該面取り部の傾斜方向における幅は、前記フランジ部のうち前記情報表示部が設けられていない一般部の前記容器本体の内外方向における幅よりも長く構成されていることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0012】
手段3によれば、情報表示部における情報手段の取着部位が収容部側に下方傾斜することから、情報表示部に取着される情報手段も収容部側に傾斜させることができる。従って、容器を横並びで設置したとしても、各容器のうち互いに隣接するフランジ部に取着された情報手段の表面を異なる方向に向ける(反対側に傾斜させる)ことができる。結果として、情報手段の誤読取りをより確実に防止することができる。また、情報表示部に面取り部を設けること(一般部に対して傾斜させること)によりフランジ部の幅(突出長)が長くなることを回避しつつ、情報表示部の情報手段の取着部位の幅をより広く確保することができる。
【0013】
手段4.前記情報表示部は、前記面取り部の両端部からそれぞれ前記一般部に向けて上方傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とする手段3に記載の容器。
【0014】
手段4によれば、容器を段積状態とする際に、下側の容器(容器本体)に対して、上側の容器(容器本体)を、段積状態とされる規定位置からずれた位置に一旦載置し、上側の容器の支持部を下側の容器のフランジ部に摺接させるようにして、上側の容器を規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行う場合に、上側の容器の支持部が下側の容器の情報表示部に引っ掛かり、スライド変位が阻害されるといった事態を抑制することができる。
【0015】
手段5.上記手段3又は4に記載の容器を備える容器セットにおいて、
前記容器セットは、複数の前記容器を前記横並びとして収容可能な大容器を備え、
前記容器は、少なくとも相対する一対の前記側壁部に対応する前記フランジ部にそれぞれ前記情報表示部が設けられていることを特徴とする容器セット。
【0016】
手段5によれば、容器を運搬・保管する場合の利便性の向上を図ることができる。また、上記手段3のように、情報表示部に面取り部が設けられる(情報手段の取着部位が傾斜する)ことで、容器の情報表示部に対する当該情報表示部の直上方位置からの読取手段の接近が大容器の側壁部により阻害されるような場合であっても、大容器の内側から読取手段を斜めにして情報表示部に向けて(正対させて)情報の読取りを行うことができる。従って、読取り作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】容器を示す斜視図である。
図2】容器の部分拡大斜視図である。
図3】容器本体を示す斜視図である。
図4】段積状態とされた容器を示す斜視図である。
図5】段積状態とされた容器の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
図6】段積状態とされた容器の部分拡大断面図である。
図7】横並びとされた容器を示す平面図である。
図8】容器セットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、内側の収容部3に対して物品を収容可能な容器本体2と、収容部3を複数の領域に区画し、容器本体2に対して着脱自在に取付けられる仕切りとしての仕切り部材4とを備えている。容器本体2は、平面視略矩形状をなす底壁構成部5と、底壁構成部5の各長側辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部6と、底壁構成部5の各短側辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部7とを備えている。底壁構成部5は、略矩形板状の底壁部11と、底壁部11の下面から下方に突出し、容器1を床面等の設置面に設置した場合に接地する接地リブ12(図5参照)とを備えている。接地リブ12は、少なくとも底壁部11の外周縁から下方に突出している。
【0019】
また、容器本体2は、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7の上辺部から容器本体2の外方側に向けて水平方向に突出するフランジ部13を備えている。さらに、容器本体2は、容器本体2の各コーナー部に対応して(コーナー部を含んで屈曲して延在するようにして)、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7の外面の下縁部(底壁部11)よりも若干上方位置から容器本体2の外方側に向けて水平方向に突出する支持部14を備えている。加えて、容器本体2は、各支持部14の両端部から上方に延出してフランジ部13の下面と連結される縦リブ15と、各支持部14に対応して設けられる一対の縦リブ15間を連結する横リブ16と、横リブ16とフランジ部13との間を連結する補助リブ17と、容器本体2の各コーナー部に対応して支持部14の上面と容器本体2のコーナー部とを連結する三角形板状のコーナー補強部18とを備えている。長辺側側壁部6に対応しては、横リブ16が長辺側側壁部6の横幅方向中央部側に延長されるようにして長辺側側壁部6の横幅方向全域に延在している。
【0020】
また、図4に示すように、本実施形態では、仕切り部材4が取付けられるとともに収容部3に物品が収容された状態の容器1(容器本体2)同士を上下に積重ねた状態(以後、「段積状態」と称する)とすることが可能に構成されている。容器1の段積状態では、上側の容器1の支持部14が、下側の容器1のフランジ部13の上面に当接して支持される。さらに、図5図6に示すように、上側の容器1のうち支持部14よりも下方の部位(接地リブ12等)が、下側の容器1の収容部3に挿入された状態となり、上側の容器1のうち下側の容器1の収容部3に挿入された部位の外面と、下側の容器1の長辺側側壁部6及び短辺側側壁部7の内面とが当接することで、段積状態とされた容器1間の水平方向における相対変位が規制されるようになっている。
【0021】
図1図2等に示すように、仕切り部材4は、容器本体2の収容部3に起立状態で設置される板状部21と、板状部21の各側辺部の上端部から側方に突出する取付部22とを備えている。これに対し、図2図3に示すように、容器本体2には、取付部22と係止状態とされ、仕切り部材4を起立状態で保持する被取付部31と、容器本体2に取付けられた仕切り部材4の下辺部を受容して当該仕切り部材4の厚み方向における仕切り部材4の相対変位を規制する位置決め部32とを備えている。本実施形態の被取付部31は、長辺側側壁部6において、長辺側側壁部6の横幅を約1/3に区切る位置と、長辺側側壁部6の横幅を約1/2に区切る位置とに設けられ、短辺側側壁部7において、短辺側側壁部7の横幅を約1/2に区切る位置に設けられている。
【0022】
また、図1に示すように、容器1の長手幅方向に延在する仕切り部材4(第1仕切り部材4a)と、容器1の短手幅方向に延在する仕切り部材4(第2仕切り部材4b)とを使用する場合に仕切り部材4同士が交差し得る位置には、交差する相手側の仕切り部材4を挿入可能とする交差挿入部23が設けられている。これにより、容器本体2に取付けられた第1仕切り部材4a、及び、第2仕切り部材4bの上辺部が互いに同じ高さとなるように構成されている。
【0023】
尚、容器本体2、及び、仕切り部材4は、ポリプロピレンによってそれぞれ一体的に形成されている。また、本実施形態では、第1仕切り部材4a及び第2仕切り部材4bの両方を使用する容器1の使用形態として、2枚の第2仕切り部材4bをそれぞれ容器1の長手幅を約1/3に区切る位置に取付けるとともに、第1仕切り部材4aを取付けることで収容部3を6つに区画するパターンと、1枚の第2仕切り部材4bを容器1の長手幅を約1/2に区切る位置に取付けるとともに、短辺側側壁部7に設けられた被取付部31に第1仕切り部材4aを取付けて収容部3を4つに区画するパターンとを想定している。
【0024】
また、図1図2に示すように、フランジ部13には、仕切り部材4によって区画された各収容部3に隣接してそれぞれ2次元コードが表記された情報手段としてのラベルを取着(貼着)可能な情報表示部42が設けられている。本実施形態では、フランジ部13のうち、長辺側側壁部6の上辺部から突出する長辺側フランジ部13aにおいて、収容部3が6つに区画された場合に各収容部3に隣接する位置(長辺側側壁部6のうち各収容部3の一部を画定する部位から突出する部位)にそれぞれ情報表示部42が設けられている。
【0025】
情報表示部42は、収容部3側に向けて下方傾斜し、容器本体2の内方側に開口する面取り部43を備えている。図6に示すように、面取り部43は、フランジ部13の外縁部を上端部とするのではなく、フランジ部13の外縁部よりも長辺側側壁部6の厚み程度の距離を容器本体2の内方側に変位した位置を上端部としている。このため、フランジ部13のうち情報表示部42の容器本体2の外方側の部位は、フランジ部13のうち情報表示部42が設けられていない一般部44の上面と面一となっている。また、面取り部43は基本的に平坦に構成されているが、面取り部43の上端部及び下端部はR形状とされている。
【0026】
さらに、面取り部43のうち当該面取り部43の傾斜方向における幅は、フランジ部13のうち情報表示部42が設けられていない一般部44の容器本体2の内外方向における幅よりも長く構成されている。本実施形態では、面取り部43の平坦部位に対し、当該平坦部位よりも若干外寸が小さいラベルが貼着される。情報表示部42に貼着されたラベルは、フランジ部13(一般部44)の上面よりも下方に位置しており、容器1を段積状態とした場合に、下側の容器1に貼着されたラベルは、上側の容器1の支持部14の下端部よりも下方に位置することとなる。尚、一般部44に関しても、その外縁部及び内縁部はR形状とされており、面取り部43の平坦部位の幅と、一般部44の平坦部位の幅とを比べても、面取り部43の方が長くなるように構成されている。加えて、図5図6に示すように、容器1の段積状態において、上側の容器1の底壁部11の外周縁部に沿って設けられる接地リブ12の下端部は、情報表示部42の面取り部43の下端部よりも下方に位置している。これにより、容器1の段積状態において、下側の容器1の情報表示部42に対し、上側の容器1の接地リブ12が乗り上げてしまうといった事態が防止される。
【0027】
また、図2に示すように、情報表示部42は、面取り部43の両端部からそれぞれ一般部44に向けて上方傾斜して一般部44、及び、長辺側側壁部6と連結される傾斜部45を備えている。傾斜部45のうち一般部44、及び、長辺側側壁部6との連結端部もR形状とされている。
【0028】
さて、図1等に示すように、容器1(容器本体2)の長手幅方向において一方の長辺側側壁部6に設けられた情報表示部42の形成範囲と、他方の長辺側側壁部6に設けられた情報表示部42の形成範囲とがずれており、本実施形態では、容器1(容器本体2)の短手幅方向において一方の長辺側側壁部6に設けられた情報表示部42の面取り部43の形成範囲と、他方の長辺側側壁部6に設けられた情報表示部42(面取り部43を含む)の形成範囲とが重ならないように構成されている。より具体的に、長辺側側壁部6のうち収容部3が6つに区画された状態において、一方の長辺側側壁部6は、各収容部3の一部を画定する各部位のそれぞれの横幅方向中央部よりも一方の短辺側側壁部7側の位置に情報表示部42が形成され、他方の長辺側側壁部6は、各収容部3の一部を画定する各部位のそれぞれの横幅方向中央部よりも他方の短辺側側壁部7側の位置に情報表示部42が形成されている。従って、一対の長辺側側壁部6の情報表示部42は、容器1を平面視した場合に、容器1の中央部を中心とした点対称位置、かつ、短辺側側壁部7の横幅方向中央部を通る仮想直線を中心とした非線対称位置に設けられている。
【0029】
かかる構成により、図7に示すように、一対の容器1を、情報表示部42が設けられたフランジ部13(長辺側フランジ部13a)の外縁部同士を水平方向に対向させるようにして、同じ向きで位置を揃えた(平面視で短辺側側壁部7のラインを揃えた)横並びとして設置した場合に、当該対向させられた長辺側フランジ部13aに関し、当該一対の容器1が並べられた方向において、一方の容器1の情報表示部42の少なくとも面取り部43が、他方の容器1の情報表示部42の面取り部43と重ならないように構成されている。従って、ラベルを情報表示部42の面取り部43に貼着することで、一対の容器1を横並びで設置した場合に、互いに対向配置された長辺側フランジ部13aに関し、当該一対の容器1が並べられた方向において、一方の容器1に貼着されたラベルの設置範囲と、他方の容器1に貼着されたラベルの設置範囲とが一部も重ならないように構成されている(本例では、一方の容器1に貼着されたラベルと、他方の容器1に貼着されたラベルとが、容器1の長手幅方向において傾斜部45の形成範囲程度、離間している)。
【0030】
また、本実施形態では、容器1を段積状態とする際に、下側の容器1(容器本体2)に対して、上側の容器1(容器本体2)を段積状態とされる規定位置から容器1の長手幅方向にずれた位置に一旦載置してから、上側の容器1を規定位置側にスライド変位させるスライドスタックを行うことが可能に構成されている。すなわち、上側の容器1の接地リブ12のうち一方の短辺側側壁部7側に設けられた部位を下側の容器1の収容部3に挿入した状態とし、上側の容器1のうち前記一方の短辺側側壁部7側に設けられた支持部14を下側の容器1のフランジ部13に摺接させつつ、上側の容器1をスライド変位させることとなる。ここで、各支持部14のコーナー部はR形状とされ、かつ、情報表示部42は長辺側フランジ部13aの外縁部付近にまで形成されていることから、容器1のスライドスタックに際し、上側の容器1の移動方向先頭側の一方の支持部14が下側の容器1の情報表示部42に到達した際には、当該支持部14が情報表示部42に若干落ち込むこととなる。但し、本実施形態では、上記のように一対の長辺側側壁部6の情報表示部42の形成範囲がずれていることから、上側の容器1の移動方向先頭側の他方の支持部14に関しては、一般部44に摺接した状態とされる(或いは、一方の支持部14及び他方の支持部14が両方とも傾斜部45に支持された状態とされる)。さらに、情報表示部42には傾斜部45が設けられているため、スライドスタックに際して情報表示部42に落ち込んだ支持部14は、スライドスタックが進行することで、傾斜部45により比較的スムースに一般部44へと案内される。加えて、スライドスタックに際しても、上側の容器1の接地リブ12のうち下側の容器1の収容部3に収容された部位の下端部は、情報表示部42の面取り部43の下端部よりも下方に位置おり、接地リブ12が情報表示部42に乗り上げてしまうといった事態が防止される。
【0031】
また、図8に示すように、一対の容器1を横並びとして収容可能な大容器51に対し一対の容器1を収容した形態(容器セット)として物品を運搬・保管することも可能に構成されている。大容器51の側壁部52の上辺部は、大容器51に収容された容器1の側壁部6、7の上辺部よりも上方に位置している。
【0032】
尚、容器本体2には、一方の短辺側側壁部7と、情報表示部42が他方の短辺側側壁部7側に寄せて形成された長辺側側壁部6との境界部において、当該境界部を比較的大きく平面取り形状とした指掛け部47が設けられている。一対の容器1が横並びで大容器51に収容された状態において、指掛け部47におけるフランジ部13と、大容器51の側壁部52との間に形成された隙間を介して、フランジ部13の裏側に指を掛けて容器1を持ち上げることが可能となっている。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態によれば、一対の容器1を横並びとして設置した場合に、互いに対向配置された一対の長辺側フランジ部13aに関し、当該一対の容器1が並べられた方向(容器本体2の短手幅方向)において、一方の容器1の情報表示部42の面取り部43が、他方の容器1の情報表示部42と重ならないように設けられている。このため、情報表示部42の面取り部43に対してラベルを取着することで、一対の容器1を横並びで設置した場合に、互いに対向(隣接)配置される各長辺側フランジ部13aの情報表示部42に取着されたラベルの位置を当該長辺側フランジ部13aの延在方向(容器本体2の長手幅方向)においてずらすことができる。従って、ピッキングの対象とされた物品に対応するラベルを読取手段(ハンドスキャナー等)で読取る際に、隣接する容器1のラベルを誤って読取ってしまうといった事態を抑制することができる。
【0034】
また、情報表示部42は、フランジ部13の上面よりも下方に凹むようにして形成されており、容器1の段積状態において、下側の容器1に貼着されたラベルが、上側の容器1の支持部14の下端部よりも下方に位置するように構成されている。このため、容器1の段積み作業を行ったり、容器1を段積状態として運搬したりする場合に、下側の容器1の情報表示部42に貼着されたラベルが上側の容器1の支持部14に擦れる等して損傷等することを防止することができる。
【0035】
さらに、情報表示部42は、収容部3側に向けて下方傾斜し、容器本体2の内方側に開口する面取り部43を備えており、当該面取り部43がラベルの貼着面となっている。つまり、情報表示部42におけるラベルの貼着面が収容部3側に下方傾斜することから、情報表示部42に貼着されるラベルも収容部3側に傾斜させることができる。従って、容器1を横並びで設置したとしても、各容器1のうち互いに隣接する長辺側フランジ部13aに貼着されたラベルの表面を異なる方向に向ける(反対側に傾斜させる)ことができる。結果として、ラベルの誤読取りをより確実に防止することができる。加えて、面取り部43のうち当該面取り部43の傾斜方向における幅は、長辺側フランジ部13aのうち情報表示部42が設けられていない一般部44の容器本体2の内外方向における幅よりも長く構成されている。つまり、情報表示部42に面取り部43を設けること(ラベルの貼着面を一般部44に対して傾斜させること)により長辺側フランジ部13aの幅(突出長)が長くなることを回避しつつ、情報表示部42のラベルの貼着面の幅をより広く確保することができる。
【0036】
また、情報表示部42は、面取り部43の両端部からそれぞれ一般部44に向けて上方傾斜する傾斜部45を備えている。このため、容器1を段積状態とする際にスライドスタックを行う場合に、上側の容器1の支持部14が下側の容器1の情報表示部42に引っ掛かり、スライド変位が阻害されるといった事態を抑制することができる。
【0037】
加えて、一対の容器1を横並びとして大容器51に収容した形態(容器セット)とすることで、容器1を運搬・保管する場合の利便性の向上を図ることができる。また、大容器51の側壁部52は、大容器51に収容された容器1の側壁部6、7よりも上方にまで延びており、容器1のうち大容器51の側壁部52に沿って延在する長辺側フランジ部13aに設けられた情報表示部42(ラベル)に対し、当該情報表示部42の直上方位置(鉛直方向上方位置)からでは、読取手段を情報表示部42に近付けることが大容器51の側壁部52により阻害されてしまう。この点、情報表示部42に面取り部43が設けられる(ラベルの貼着面が傾斜する)ことで、大容器51の内側から読取手段を斜めにして情報表示部42に向けて(正対させて)情報の読取りを行うことができる。従って、読取り作業性の向上等を図ることができる。
【0038】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0039】
(a)上記実施形態では、仕切り部材4が容器本体2に対して着脱自在に取付けられているが、仕切り部材4を一度取付けると仕切り部材4を損傷させない限り取外せない構成としたり、収容部3の仕切りを容器本体2と一体的に形成したりすることとしてもよい。また、上記実施形態において容器本体2に取付けられる仕切り部材4の配置や数等は特に限定されるものでなく適宜設定可能である。さらに、板状体の仕切り部材4を仕切りとする構成に限定されるものではなく、例えば、容器1の収容部3に複数の小容器を並べて設置可能として、当該収容された小容器の側壁部により仕切りを構成することとしてもよい。加えて、容器本体2において被取付部31及び位置決め部32を省略するとともに、第1仕切り部材4aと、第2仕切り部材4bとが一体化され、かつ、各取付部22が省略されたような形状(例えば、平面視略十字状)の汎用の仕切り部材を設置可能な構成としてもよい。
【0040】
(b)上記実施形態では、長辺側フランジ部13aに情報表示部42が設けられているが、当該構成に加えて、又は、代えて、フランジ部13のうち、一対の短辺側側壁部7の上辺部からそれぞれ突出する短辺側フランジ部のそれぞれに情報表示部42を設けることとしてもよい。この場合、一対の容器1の短辺側フランジ部の外縁部同士を水平方向に対向させるようにして位置を揃えた横並びとして設置した場合に、当該対向させられた短辺側フランジ部に関し、当該一対の容器1が並べられた方向において、一方の容器1の情報表示部42(の少なくとも一部)が、他方の容器1の情報表示部42と重ならないように設けられることとする。
【0041】
(c)上記実施形態では、一対の容器1を横並びで設置した場合に、互いに隣接するフランジ部13の情報表示部42の面取り部43同士が容器1が並べられた方向において一部も重ならないように構成されているが、例えば、面取り部43同士の一部が重なる構成としてもよいし、傾斜部45も含めて情報表示部42同士が重ならない構成としてもよい。さらに、上記実施形態では、情報表示部42の面取り部43のほぼ全域にラベルが貼着されるように構成されているが、例えば、情報表示部の面取り部に対してラベルを貼着する場合に、容器同士を横並びで設置した場合に、互いに隣接するフランジ部の情報表示部に貼着されたラベル同士が容器が並べられた方向において一部も重ならないように貼着可能であり、ラベル同士の一部が重なり、かつ、一部が重ならないように貼着可能でもあるように構成してもよい。
【0042】
加えて、上記実施形態では、情報表示部42のうちラベルを貼着する部位(面取り部43)が傾斜しているが、例えば、情報表示部42において一般部44の上面よりも低い位置に水平面を設け、当該水平面にラベルを貼着する構成としてもよい。さらに、情報表示部42の傾斜部45に代えて、略鉛直方向に延びる鉛直面を設ける構成としてもよい。
【0043】
(d)上記実施形態では、容器1の段積状態において下側の容器1のフランジ部13に当接して支持される支持部14が水平方向に延在するフランジ形状とされているが、上下方向に延在する縦リブの下辺部(又は、複数の縦リブの下辺部間を連結するリブ)により支持部を構成することとしてもよい。また、スライドスタックを行う場合に、上側の容器1のスライドスタックの移動方向先頭側の支持部14が下側の容器1の情報表示部42に到達した場合であっても、当該支持部14が、下側の容器1のフランジ部13のうち情報表示部42の容器1の外方側に位置する一般部44と同じ高さに位置する部位に当接して支持されるような構成としてもよい。
【0044】
(e)上記実施形態では、容器本体2及び仕切り部材4は、ポリプロピレンにより構成されているが、その他のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン等)により構成してもよいし、ポリオレフィン系以外の合成樹脂(例えばABS樹脂、AES樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等)により構成してもよい。また、情報表示部42に取着される情報手段としては、ラベルに限定されるものではなく、RFタグを採用することも可能である。さらに、情報手段の形状、情報表示部の形状、及び、情報手段を情報表示部に取着する方法についても特に限定されるものではなく、情報手段を情報表示部に係止させる係止機構を備える構成としたり、情報手段を情報表示部に固定するねじ等の取着手段を使用したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…容器、2…容器本体、3…収容部、4…仕切り部材、5…底壁構成部、6…長辺側側壁部、7…短辺側側壁部、13…フランジ部、13a…長辺側フランジ部、14…支持部、42…情報表示部、43…面取り部、44…一般部、45…傾斜部、51…大容器、52…側壁部。
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